JPH07154197A - ラダー型フィルタ - Google Patents

ラダー型フィルタ

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JPH07154197A
JPH07154197A JP6237632A JP23763294A JPH07154197A JP H07154197 A JPH07154197 A JP H07154197A JP 6237632 A JP6237632 A JP 6237632A JP 23763294 A JP23763294 A JP 23763294A JP H07154197 A JPH07154197 A JP H07154197A
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Hiroaki Kaida
弘明 開田
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】製造工程を簡略化することができ、小型化で
き、通過帯域幅を拡げることが可能なラダー型フィルタ
を提供する。 【構成】少なくとも1つの直列共振子及び少なくとも1
つの並列共振子を接続することにより構成され、直列共
振子及び並列共振子の少なくとも2個の共振子が厚み方
向に積層されており、かつそのうちの少なくとも1の共
振子が、動吸振部内蔵型圧電共振子を用いて構成され、
該圧電共振子が、長辺の長さb、短辺の長さaの共振部
を有し、該共振部を構成している材料のポアソン比をσ
としたときに、 を満たす値から±10%の範囲内となるように比b/a
が選択されているモードを利用した圧電共振子を用いて
構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも1個の直列
共振子及び少なくとも1個の並列共振子が梯子状に接続
されたラダー型フィルタに関し、特に、直列共振子及び
並列共振子を構成する共振子の構造が改良されたラダー
型フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のラダー型フィルタの構造の一例を
図1に示す。このラダー型フィルタは、角板の拡がり振
動モードを利用した複数の圧電共振子を用いて構成され
ている。すなわち、矩形板状の直列共振子1,2及び同
じく矩形板状の並列共振子3,4を用いて、図2の回路
図で示す4素子2段型のラダー型フィルタが構成されて
いる。
【0003】なお、図1において、2aは直列共振子の
一方主面に形成された電極を示し、直列共振子2の他方
主面側にも、同様の電極が形成されている。また、直列
共振子1の両主面にも、同様の電極が形成されている。
他方、並列共振子3,4には、両主面の全面に電極3
a,4aが形成されている。
【0004】また、5〜11は、金属端子を示し、直列
共振子1,2及び並列共振子3,4を図2に示すように
相互に電気的に接続するために用いられている。この金
属端子5〜11は、直列共振子1,2及び並列共振子
3,4と共に、絶縁性材料よりなるケース材12内に収
納される。また、図示しない蓋材によりケース材12の
上方開口12aが閉成されてラダー型フィルタ部品が構
成される。この場合、金属端子9〜11がケース外に引
き出され、外部との接続端子として利用される。
【0005】ところで、上記ラダー型フィルタを駆動す
る場合、直列共振子1,2及び並列共振子3,4がケー
ス内に収納された状態で所望の態様で振動し得ることが
必要である。すなわち、ケース内に収納された状態で、
各共振子1〜4の振動が妨げられてはならない。そこ
で、端部に位置する金属端子11としてはばね性を有す
る、いわゆるばね端子が用いられている。
【0006】図1のラダー型フィルタでは、ケースに収
納した状態の共振子1〜4の振動を妨げないために、金
属端子11として、ばね端子が用いられていたため、か
なりの不要空間が形成され、そのためラダー型フィルタ
全体の大きさがかなり大きくなりがちであった。例え
ば、図示した4素子内蔵の2段のラダー型フィルタにお
いて、最終的な部品として構成した場合の寸法は、7.
0mm×8.0mm×厚み8.0mm程度の大きさとな
っていた。
【0007】また、近年、他の電子部品と同様に、ラダ
ー型フィルタにおいても面実装型電子部品として構成さ
れたものが求められている。そこで、国際出願公開第W
O92/16997号には、全体形状を小型にすること
ができ、かつ面実装型電子部品として構成し得るラダー
型フィルタが提案されている。このラダー型フィルタで
は、直列共振子及び並列共振子が、圧電板の1つの端縁
において音叉状振動部を構成してなる音叉型圧電共振子
により構成されている。そして、直列共振子及び並列共
振子を構成する複数の音叉型圧電共振子が、互いの音叉
状振動部の振動を妨げないための空洞を確保するための
空洞形成材を介して積層されて一体化されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した音叉型圧電共
振子を用いたラダー型フィルタでは、組み立て工程の簡
略化、小型化及び面実装化を果たすことができる。しか
しながら、音叉型圧電共振子を用いたものであるため、
充分な帯域幅を確保することができないという問題があ
った。
【0009】本発明の目的は、製造工程の簡略化、小型
化及び面実装化を果たし得るだけでなく、充分な帯域幅
を確保し得るラダー型フィルタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の広い局
面によれば、直列腕を構成する少なくとも1個の直列共
振子と、並列腕を構成する少なくとも1個の並列共振子
とを備え、直列共振子及び並列共振子のうち、少なくと
も2個の共振子が厚み方向に積層されているラダー型フ
ィルタが提供される。
【0011】上記エネルギー閉じ込め型圧電共振子とし
ては、種々のものを用いることができる。上記エネルギ
ー閉じ込め型圧電共振子の第1のタイプは、短辺の長さ
がa、長辺の長さがbであり、圧電振動部を構成してい
る材料のポアソン比をσとしたときに、長辺と短辺の長
さの比b/aが、
【0012】
【数5】
【0013】を中心として±10%の範囲内とされてい
る(但し、nは整数)、矩形板状の圧電振動部と、前記
圧電振動部の短辺の中央に連結された支持部と、前記支
持部の外側端に連結された保持部とを備える、幅拡がり
モードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子で
ある。
【0014】上記幅拡がりモードとは、後述の実施例か
ら明らかなように、矩形板状の振動体の振動モードの1
つであり、正方形板の振動体の拡がりモード振動と、長
方形板の振動体の幅モード振動との間の振動姿態をとる
振動モードである。
【0015】幅拡がりモードを利用した上記圧電共振子
では、圧電振動部の短辺中央に支持部を単に固着又は一
体に構成するだけで、圧電振動部の振動エネルギーを閉
じ込めて支持することができるため、支持構造を簡略化
することができる。よって、上記支持部の外側に設けら
れた保持部を利用して他の共振子と組み合わせることに
より、小型のラダー型フィルタを構成することができ
る。しかも、上記圧電振動部は幅拡がりモードで振動さ
れるため、従来に比べて広い帯域を有するラダー型フィ
ルタを得ることも可能である。
【0016】本発明の特定的な局面によれば、上記幅拡
がりモードを利用した圧電振動部において、矩形板状の
圧電振動部の短辺と長辺との比が上記特定の範囲内とさ
れていることにより、幅拡がりモードが効率よく励振さ
れ、かつ閉じ込められる。これは、本願発明者により実
験的に確かめられたものである。
【0017】また、上記エネルギー閉じ込め型圧電共振
子の第2のタイプは、1つの方向に分極処理された板状
の圧電体と、前記分極方向に直交する方向に交流電圧を
印加するために上記圧電体に形成された第1,第2の共
振電極とを有し、上記分極方向に平行な圧電体面が矩形
形状を有し、該矩形の圧電体面の短辺の長さをa、長辺
の長さをbとし、圧電体のポアソン比をσとしたとき
に、比b/aが、
【0018】
【数6】
【0019】を中心として±10%の範囲内とされてい
る圧電振動部と、上記圧電振動部に連結された支持部
と、支持部に連結された保持部とを備える、すべりモー
ドを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子であ
る。
【0020】第2のタイプの圧電共振子では、圧電振動
部が上記特定の形状を有するように構成されているた
め、第1,第2の共振電極間に交流電圧を印加して圧電
振動部を共振させた場合、振動エネルギーが上記圧電振
動部に効果的に閉じ込められる。この現象は、本願発明
者により実験的に確かめられたものである。
【0021】第2のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電
共振子においても、上記のように圧電振動部に振動エネ
ルギーが効果的に閉じ込められるため、保持部を利用し
て該第2のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共振子を
支持することができ、そのような場合であっても、共振
特性の劣化が生じ難い。従って、上記保持部を利用して
他の共振子と組み合わせることにより、小型のラダー型
フィルタを容易に構成することができる。さらに、すべ
りモードを利用した共振子を用いるものであるため、圧
電音叉型共振子に比べてラダー型フィルタの帯域を拡げ
ることも容易である。
【0022】上記エネルギー閉じ込め型圧電共振子の第
3のタイプは、対向する一対の矩形の面と、一対の矩形
の面を結ぶ4つの側面とを有する板状の圧電振動部と、
上記圧電振動部の上記一対の矩形面上に形成された第
1,第2の共振電極と、上記圧電振動部の側面のうち、
上記矩形面の短辺に沿う側面の一端側に連結された支持
部と、支持部に連結された保持部とを備え、上記矩形面
の短辺の長さをa、長辺の長さをb、圧電振動部を構成
する材料のポアソン比をσとしたときに、比b/aが、
【0023】
【数7】
【0024】を満たす値を中心として±10%の範囲内
とされており(但し、nは整数)、圧電横効果を利用し
て2n次(但し、nは整数)の屈曲モードの振動を励振
させるように構成されているエネルギー閉じ込め型の圧
電共振子である。この第3のタイプの圧電共振子におい
ても、圧電振動部が上記特定の形状を有するように構成
されているため、2n次の屈曲モードの振動が圧電振動
部に効果的に閉じ込められる。この現象は、本願発明者
により実験的に確かめられたものである。
【0025】第3のタイプの圧電共振子を用いたラダー
型フィルタにおいても、圧電振動部に共振エネルギーが
効果的に閉じ込められるため、第3のタイプの圧電共振
子は、保持部を利用して容易に他の共振子と組み合わせ
たり、ケース基板等に接合することができ、その場合に
おいても、共振特性の劣化が生じ難い。従って、特性が
安定であり、支持構造を簡略化し得る小型のラダー型フ
ィルタを構成することができる。
【0026】また、上記エネルギー閉じ込め型圧電共振
子の第4のタイプは、圧電振動部と、支持部との間に動
吸振部を設けた構造を有するエネルギー閉じ込め型圧電
共振子である。ここでは、動吸振部により、振動エネル
ギーが動吸振現象により該動吸振部が設けられているま
での部分に効果的に閉じ込められる。動吸振現象の詳細
は、例えば、谷口修著「振動工学」第113頁〜第11
6頁(コロナ社発行)に記載されている。簡単に言え
ば、動吸振現象とは、振動が防止されるべき主振動体に
副振動体を連結し、該副振動体の固有振動数を選択する
ことにより、主振動体の振動が抑制される現象をいい、
上記動吸振部は、上記動吸振現象における副振動体に相
当し、共振部からの振動により振動する支持部が主動体
に相当することになる。
【0027】第4のタイプの圧電共振子を用いたラダー
型フィルタでは、少なくとも1個の共振子が上記動吸振
部を有する圧電共振子で構成されているため、振動エネ
ルギーの閉じ込め効率が高められている。従って、圧電
共振子の小型化を図ることができるため、該圧電共振子
を用いることによりラダー型フィルタの小型化を図るこ
とができる。
【0028】なお、上記第4のタイプのエネルギー閉じ
込め型の圧電共振子は、上記のように動吸振部を有する
ことを特徴とするものであり、圧電振動部自体について
は、特に限定されるものではない。すなわち、上述した
第1〜第3のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共振子
において、動吸振部を設けることにより、わずかに漏洩
してきた振動を動吸振部により抑制し、それによってよ
り一層エネルギー閉じ込め効率を高めることができる。
あるいは、第4のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子では、第1〜第3のタイプのエネルギー閉じ込め型
圧電共振子の圧電振動部とは異なる他の圧電振動部、例
えば長さモードを利用した圧電振動部、すべりモードを
利用した通常の圧電振動部、正方形板の拡がりモードを
利用した圧電振動部等を適宜利用することができる。す
なわち、動吸振部を利用した第4のタイプのエネルギー
閉じ込め型圧電共振子では、目的とする共振周波数に応
じて様々な振動モードで励振される圧電振動部を利用す
ることができ、従って、様々な周波数帯域で用い得るラ
ダー型フィルタを容易に得ることができる。
【0029】しかも、動吸振部を設けたことにより、動
吸振部までの部分に振動エネルギーが効果的に閉じ込め
られるため、第1〜第3のタイプのエネルギー閉じ込め
型圧電共振子の場合と同様に、保持部を利用して上記圧
電共振子を保持することができ、その場合においても、
共振特性の劣化が生じ難い。従って、特性が安定であ
り、かつ小型のラダー型フィルタを容易に構成すること
ができる。
【0030】なお、本発明の好ましい態様によれば、上
記支持部及び保持部は圧電振動部の両側に連結され、従
って、圧電振動部がその両側で支持部により支持される
ことになるため、より安定な構造のラダー型フィルタを
得ることができる。また、圧電振動部の両側に保持部が
配置されている構造では、両側に配置された保持部を利
用して圧電共振子を保持することができるため、支持構
造も安定化する。
【0031】また、本発明のラダー型フィルタは、上記
のように、少なくとも2個の共振子が積層されている構
造を有する。具体的には、このような積層構造は、例え
ば、第1,第2のケース基板間に積層構造を配置し、第
1,第2のケース基板により上記積層構造を挟持するこ
とにより構成することができ、それによって容易にチッ
プ型のラダー型フィルタを構成することができる。ある
いは、ベース基板上に上記積層構造を積層し、上記積層
構造を囲むようにキャップ材をベース基板に固定するこ
とにより、チップ型のラダー型フィルタを構成してもよ
い。
【0032】また、本発明は、上記のように、直列共振
子及び並列共振子のうち少なくとも1個の共振子が、板
状の圧電振動部、支持部及び保持部を有するが、全ての
共振子が、板状の圧電振動部、支持部及び保持部を有す
るように構成されていてもよく、その場合には、全ての
共振子が保持部を用いて連結されることができ、かつケ
ース基板等に固定することもできるため、チップ型のラ
ダー型フィルタを容易に構成することができる。
【0033】また、好ましくは、本発明では、上記圧電
共振子の両側に保持部が設けられている構造において、
両側の保持部を結ぶ方向の両側に、第1,第2のスペー
サ板が設けられる。第1,第2のスペーサ板は、圧電共
振子の振動部分の振動を妨げないように圧電共振子に連
結されており、それによって、圧電共振子と第1,第2
のスペーサ板とにより共振プレートが構成される。この
ような共振プレートを構成した場合、積層構造のチップ
型のラダー型フィルタを容易に構成することができる。
【0034】また、共振プレートを構成している上記圧
電共振子及び第1,第2のスペーサ板を同一の部材によ
り一体的に形成した場合には、共振子の側方の空間が確
実に囲撓されるため、耐湿性等の耐環境特性に優れたラ
ダー型フィルタを容易に得ることができる。
【0035】また、少なくとも1つの圧電共振子の両側
に保持部を設けた構造において、両側の保持部を結ぶ方
向の少なくとも一方側において、少なくとも1個の他の
圧電共振子が、互いに圧電振動部の振動を妨げないよう
に連結されていてもよい。すなわち、本発明のラダー型
フィルタでは、ある高さ位置において、2個以上の圧電
共振子が同一平面上に連結されていてもよい。
【0036】さらに、圧電共振子の側方に少なくとも1
個の圧電共振子を連結した構造においては、その連結構
造の両側に、第1,第2のスペーサ板を配置して、共振
プレートを構成してもよい。この場合においても、共振
プレートを構成している圧電共振子及び第1,第2のス
ペーサ板を同一の素材により一体に形成してもよく、そ
れによって複数の圧電共振子の側方を確実に封止するこ
とができ、耐湿性などの耐環境特性に優れたラダー型フ
ィルタを構成することができる。
【0037】また、圧電振動部には、好ましくは、該圧
電振動部を励振させるために第1,第2の共振電極が形
成され、保持部に引き出し電極が形成される。この場
合、第1,第2の共振電極が引き出し電極に電気的に接
続される。従って、引き出し電極を外部と電気的に接続
することにより、圧電振動部を共振させることができ
る。
【0038】より好ましくは、本発明のラダー型フィル
タの外表面に複数の外部電極が形成され、この複数の外
部電極が、上述した所定の引き出し電極に電気的に接続
される。従って、複数の外部電極を有するチップ型の電
子部品としてラダー型フィルタを構成することができ
る。
【0039】また、本発明の別の局面によれば、直列腕
を構成する少なくとも1個の直列共振子と、並列腕を構
成する少なくとも1個の並列共振子とを備えるラダー型
フィルタであって、少なくとも1個の板状の共振子と、
前記少なくとも1個の共振子に積層された少なくとも1
個の板状の他の共振子とを備え、前記直列共振子及び並
列共振子のうち少なくとも1個の共振子が、短辺の長さ
がa、長辺の長さがbであり、圧電振動部を構成してい
る材料のポアソン比をσとしたときに、長辺と短辺の長
さの比b/aが、上記式(1)を中心として±10%の
範囲内とされている矩形板状の圧電共振子であり、かつ
幅拡がりモードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電
共振子である、ラダー型フィルタが提供される。すなわ
ち、上述した第1のタイプのエネルギー閉じ込め型の圧
電共振子の圧電振動部のみを用いて構成された圧電共振
子が、用いられたラダー型フィルタが提供される。好ま
しくは、直列共振子及び並列共振子のすべての共振子
が、上記第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共振
子の圧電振動部のみを用いて構成された圧電共振子によ
り構成され、その場合には、支持部や保持部を有しない
ため、より小型のかつ比較的簡単な形状を有するラダー
型フィルタを提供することができる。
【0040】なお、上述した第1〜第3のタイプのエネ
ルギー閉じ込め型の圧電共振子及び第1のタイプのエネ
ルギー閉じ込め型圧電共振子の圧電振動部のみを用いて
構成された圧電共振子において、圧電振動部を構成する
圧電材料としては、圧電セラミックスの他、LiTaO
3 やLiNbO3 などの圧電単結晶が挙げられる。ま
た、金属板や半導体板などの表面に、圧電薄膜を付与
し、このような複合部材により圧電振動部を構成しても
よい。上記複合部材を用いて圧電振動部を構成した場合
には、上述したポアソン比σは、複合材料のポアソン比
を考慮して選択される。
【0041】
【実施例の説明】以下、本発明の非限定的な実施例を説
明することにより、本発明を明らかにする。
【0042】<第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧
電共振子>まず、本発明で用いられる特徴的な構造を有
する第1のタイプの圧電共振子につき説明し、しかる
後、この第1のタイプの圧電共振子を用いたラダー型フ
ィルタにつき説明する。
【0043】図3は、本発明で用いられる第1のタイプ
のエネルギー閉じ込め型圧電共振子における圧電振動部
を説明するための斜視図である。圧電共振子205で
は、厚み方向に分極軸が揃うように分極処理された矩形
の圧電セラミック板206の両主面に電極207及び2
08が形成されている。圧電セラミック板206の短辺
の長さをa、長辺の長さをbとしたときに、b/aが、
上述した特定の範囲に選択されており、それによって後
述の幅拡がりモードが強く励振される。次に、上記比b
/aを上記特定の範囲としたときに、幅拡がりモードが
強く励振されることを説明する。
【0044】図4〜図6は、拡がりモード、幅拡がりモ
ード及び幅モードを説明するための振動体の振動姿態を
示す各略図的平面図である。本願発明者は、有限要素法
により、矩形板状の振動体の振動状態を、その短辺およ
び長辺の長さを変化させて解析した。長辺の長さbの短
辺の長さaに対する比b/a=1の場合には、すなわ
ち、振動体が正方形板の場合は、図4に示すように拡が
り振動モードの振動が強く励振される。すなわち、図4
に示す平面形状が正方形の振動体201では、破線Aで
示す状態と、一点鎖線Bで示す状態との間で振動が繰り
返され、拡がりモードが強く励振される。
【0045】また、b/aを1よりかなり大きくした場
合、すなわちb/a>>1の場合には、図6に示すよう
に、矩形の振動体が破線Aで示す状態と、実線Bで示す
状態との間で振動し、幅モード振動が強く励振される。
【0046】これに対して、比=b/aが1より大き
く、上記幅モードの振動が強く励振されるよりも小さい
場合には、図5の振動体203に示すように、一点鎖線
Aと破線Bで示す姿態の間での振動、すなわち、幅拡が
りモードが強く励振されることがわかった。なお、上記
幅拡がりモードは、公知の拡がりモード及び幅モードの
中間の振動モードと考えられるため、上述のように幅拡
がりモードと命名したものである。
【0047】上記の知見に基づき、比b/aを特定の値
に選択した圧電セラミック板を用いて図3に示した圧電
共振子を作製した。上記圧電共振子205において、b
/aを種々変更して上記幅拡がり振動モードを励振した
ところ、b/a=−1.47σ+1.88を満たす場合
に、上記幅拡がり振動モードがもっとも強く励振される
ことが確かめられた。この場合の圧電共振子205にお
ける変位分布を、有限要素法により解析したところ、図
7(a)に示す結果が得られた。
【0048】上記有限要素法により解析された変位分布
において、図7(b)に示すように、圧電共振子205
の主面中央をOとし、x軸及びy軸を図示のように定義
し、各部分の変位状態を測定したところ、図8に示す結
果が得られた。すなわち、上記幅拡がりモードが励振さ
れている圧電共振子205の、X軸方向に沿う位置で
は、変位量は中心Oと、図7(b)中のX1 すなわち短
辺中央において最も小さく、その中間において変位量が
最も大きくなることがわかる。このことは、幅拡がりモ
ードを利用した圧電共振子205では、ノード点が主面
中心と、短辺の中央とに位置することを意味する。従っ
て、主面の中心あるいは短辺の中央を他の支持部材によ
って支持することにより、上記幅拡がりモードを阻害す
ることなく圧電共振子205を支持し得ることがわか
る。
【0049】また、上記比b/aは、圧電共振子205
のポアソン比と関係することが確かめられた。すなわ
ち、振動体のポアソン比を変化させて、上記幅拡がり振
動モードが励振される場合の比b/aを測定し、上記b
/aの値をプロットしたところ図9に示す結果が得られ
た。従って、図9の直線で示されるように、
【0050】
【数8】
【0051】を満たすように、上記比b/aを選択する
ことにより、幅拡がり振動モードを確実に励振し得るこ
とがわかった。
【0052】さらに、上記比b/aが、式(4)を満た
す場合にのみ幅拡がり振動モードが強く励振されるので
はなく、上記式(4)から若干ずれた場合でも幅拡がり
振動モードが強く励振されることがわかったので、ポア
ソン比σ=0.324の圧電セラミック板を用い、幅拡
がり振動モードの励振の有無を比b/aを変化させて確
かめた。すなわち、図7(b)における点X1 における
変位量をD(X1 )、幅拡がりモードにおいて変位量が
最も大きくなる点C(図7参照)の変位量をD(C)と
し、点X1 の点Cに対する相対変位D(X1 )/D
(C)を測定した。結果を、図10に示す。
【0053】図10から明らかなように、ポアソン比σ
=0.324の場合、比b/a=1.26〜1.54の
範囲内であれば相対変位が±10%以内であることがわ
かる。そこで、上記のように比b/aが最適の値から±
10%以内となるように図3に示した圧電共振子205
を複数種作製し、短辺中央部に支持部材を連結して共振
特性を測定した。その結果、上記のように相対変位が1
0%以内の場合には、幅拡がりモードが良好に閉じ込め
られることが確かめられた。
【0054】従って、図11に示すように、上記比b/
aは、式(4)を満たす点を中心として±10%の範囲
内に設定されれば、上記幅拡がり振動モードが良好に励
振され得ることがわかる。また、(−1.47σ+1.
88)のn倍(nは整数)であっても上記幅拡がり振動
モードが良好に励振されることがわかった。
【0055】図12(a)及び12Bは、上記の知見に
基づいて製作された幅拡がりモードを利用した圧電共振
子、すなわち第1のタイプの圧電共振子の一例を示す平
面図及び正面図である。圧電共振子211は、矩形板状
の振動体としての圧電振動部212を有する。圧電振動
部212は、平面形状が矩形であり、厚み方向に一様に
分極処理された圧電セラミック板213の両主面の全面
に共振電極214,215を形成した構造を有する。ま
た、上記圧電振動部212の幅拡がり振動モードで励振
された際のノード点である短辺中央には、支持部材21
6,217が連結されている。そして、支持部材21
6,217の外側端部には、それぞれ、保持部218,
219が連結されている。
【0056】なお、上記支持部材216,217及び保
持部218,219は、圧電セラミック板213と一体
に形成されている。すなわち、矩形の圧電セラミック板
を用意し、図12(a)に示した形状となるように機械
加工することにより形成されている。もっとも、上記支
持部材216,217及び保持部218,219は、圧
電振動部212と別体の部材で構成されてもよく、接着
等の適宜の方法により図示のように連結したものであっ
てもよい。
【0057】上記共振電極214,215は、それぞ
れ、支持部材216,217の一方面に形成された引出
し導電部214a,215aにより、保持部218,2
19の一方主面に形成された引き出し電極220,22
1に電気的に接続されている。
【0058】圧電共振子211では、引き出し電極22
0,221から交流電圧を印加することより、上記圧電
振動部212が幅拡がりモードで励振される。この場
合、圧電振動部212の短辺中央部分は殆ど振動せず、
圧電振動部212の短辺の中央部が振動のノード点を構
成するため、上記支持部材216,217が連結されて
いたとしても、幅拡がりモードの振動は阻害され難い。
よって、支持部材216,217間に上記幅拡がりモー
ドに基づく振動を効果的に閉じ込めることができる。
【0059】また、圧電セラミック板を用いて上記圧電
振動部212の大きさを、幅2.5mm×長さ3.5m
mとした場合には共振周波数は800kHz、幅1.0
mm×長さ1.4mmとしたときには2MHzとなるの
で、800kHz〜2MHz帯で使用するのに適したエ
ネルギー閉じ込め型の圧電共振子を構成し得ることがわ
かった。
【0060】もっとも、上記共振周波数については、他
の材料で圧電共振部を構成した場合には、当然、有効な
周波数帯域は変わる。従って、圧電振動部212を様々
な圧電材料で構成することにより、様々な周波数帯域で
用いるのに適したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子2
11を得ることができる。
【0061】図13は、幅拡がりモードを利用したエネ
ルギー閉じ込め型の圧電共振子の他の例をを示す。圧電
共振子231は、矩形板状の振動体としての圧電振動部
232を有する。もっとも、圧電振動部232では、圧
電板232aの上面において、長辺側の端縁に沿うよう
に、一対の共振電極232b,232cが形成されてい
る。なお、圧電板232aは、図示の矢印P方向すなわ
ち共振電極232bから共振電極232cに向かう方向
に分極処理されている。また、本例においても、圧電振
動部232の長辺の長さbの短辺の長さaに対する比b
/aは、式(1)を満たす点を中心として±10%以内
の範囲内に設定されている。
【0062】従って、共振電極232b,232c間に
交流電圧を印加することにより、幅拡がりモードによっ
て圧電振動部232が振動する。この場合、圧電振動部
232の変位方向は、印加される電界と平行であるた
め、圧電縦効果を利用した圧電共振子となる。
【0063】また、本例の圧電共振子231において
も、上記幅拡がりモードで共振する圧電振動部232の
振動のノード点に支持部材236,237が連結されて
おり、支持部材236,237の外側端部に保持部23
8,239が連結されている。なお、図13において、
234a,235aは引出し導電部を、240,241
は引き出し電極を示す。
【0064】図13に示した例から明らかなように、本
発明における幅拡がりモードを利用した共振子は、圧電
横効果を利用したものだけでなく、圧電縦効果を利用し
たものにも適用することができる。
【0065】図14は、本発明で用いられる幅拡がりモ
ードを利用したエネルギー閉じ込め型圧電共振子のさら
に他の例を示す平面図である。図14に示す圧電共振子
251は、動吸振部及び連結部を設けたことに特徴を有
し、その他の点については図12に示したエネルギー閉
じ込め型の圧電共振子211と同様である。従って、同
一部分については、同一の参照番号を付することによ
り、その説明は省略する。
【0066】動吸振部252,253は、支持部材21
6,217の外側端に連結されており、上下に延びる棒
状の部分として構成されている。動吸振部252,25
3の外側には、保持部218,219との間に連結部2
54,255が構成されている。
【0067】圧電共振部212の振動のノード点に支持
部材216,217が連結されているため、支持部材2
16,217側への振動の漏洩は非常に少ない。しかし
ながら、本例では、わずかに漏洩してきた振動により上
記動吸振部252,253が共振し、それによってわず
かに漏洩してきた振動が抑制される。従って、動吸振部
252,253までの部分に振動エネルギーを効果的に
閉じ込めることができる。よって、より一層小型の圧電
共振子を構成することができる。
【0068】図14に示した圧電共振子251は、上記
のように動吸振部を設けたことに一つの特徴を有するた
め、本発明のラダー型フィルタで用いられる第4のタイ
プのエネルギー閉じ込め型圧電共振子の一例でもある。
【0069】<第2のタイプの圧電共振子>図15及び
図16は、本発明で用いられるエネルギー閉じ込め型の
すべりモードを利用した圧電共振子(第2のタイプの圧
電共振子)を説明するための側面図及び斜視図である。
【0070】圧電共振子311は、矩形板状の圧電セラ
ミック板312を用いて構成されている。圧電セラミッ
ク板312は、その主面と平行な方向すなわち図示の矢
印P方向に分極軸が揃うように分極処理されている。
【0071】圧電セラミック板312の上面312aに
おいては、一方端面312cから他方端面312d側に
向かって、ただし他方端面312dには至らないように
第1の共振電極313が形成されている。同様に、圧電
セラミック板312の下面312b上では、端面312
d側から端面312c側に向かって、ただし端面312
cには至らないように第2の共振電極314が形成され
ている。
【0072】また、圧電セラミック板312の上面31
2aには、幅方向に延びる第1の溝315が、下面31
2b上にも、幅方向に延びる第2の溝316が形成され
ている。そして、第1の溝315と第2の溝316とで
挟まれた圧電セラミック板部分において、上下の第1,
第2の共振電極313,314が圧電セラミック板31
2を介して重なり合っており、それによって圧電振動部
が構成されている。すなわち、第1,第2の共振電極3
13,314の先端側に、それぞれ、第1,第2の溝3
15,316が形成されて、第1,第2の溝315,3
16間に共振部が構成されている。従って、第1,第2
の共振電極313,314間に交流電圧を印加して圧電
振動部を振動させた場合、すべりモードの振動が強く励
振され、該すべりモードの振動が第1,第2の溝31
5,316が形成されているため、圧電振動部に効果的
に閉じ込められる。
【0073】なお、圧電共振子311では、溝315,
316間が圧電振動部を構成しており、溝315の下方
の圧電板部分及び溝316の上方の圧電板部分が本発明
における支持部を構成している。また、溝315,31
6よりも外側の圧電板部分が本発明における保持部を構
成している。さらに、共振電極313,314は、圧電
振動部に存在する部分においては、圧電振動部を共振さ
せる電極として機能するが、上記保持部上に至っている
部分では、前述した引き出し電極として機能する。
【0074】圧電共振子311では、圧電振動部の分極
方向に平行な圧電体面方向が、長さbの長辺と、長さa
の短辺とを有する矩形面とされている。圧電セラミック
板312を構成している圧電材料のポアソン比をσとし
たときに、比b/aは、式(2)を満たす値を中心とし
て±10%の範囲内とされている。言い換えれば、比b
/aが、上記特定の範囲内となるように、上記溝31
5,316が形成されており、それによって圧電振動部
の寸法が定められている。
【0075】上記圧電共振子311において、比b/a
が上記特定の範囲内となるようにすれば、すべりモード
による振動エネルギーが圧電振動部内により一層効果的
に閉じ込められることは、本願発明者によって実験的に
確かめられたものである。これを、次に図17(a)〜
21を参照して説明する。
【0076】いま、図17(a)に側面図で示すよう
に、矢印P方向すなわち上面及び下面と平行な方向に分
極処理されており、かつ比b/a=1である圧電体32
1の両主面に共振電極322,323を形成した構造を
想定する。この場合、共振電極322,323から交流
電圧を印加することにより、圧電体321は輪かくすべ
りモードで振動する。その結果、図示の破線Aで示す振
動姿態と、破線Aで示す振動姿態と左右対称である振動
姿態との間で振動することになる。
【0077】上記振動体321の各部分の位置を、図1
7(b)にx−y座標系で示す。この場合、振動に際し
てコーナー部分Aはx方向及びy方向の何れにおいても
もっとも大きな変位を示す。また、圧電体321の中心
である点Oは振動のノード点となる。他方、圧電体32
1の側面の中間高さ位置の点O1 ,O2 においても、変
位がみられる。
【0078】従って、点O1 ,O2 においても変位がみ
られることになるため、上記圧電体321の両側面の外
側に、さらに圧電板を連ねた形状の輪かくすべりモード
の共振子を構成した場合、振動エネルギーの閉じ込め効
率は十分でないことがわかる。これに対して、比b/a
を、
【0079】
【数9】
【0080】としたときには、変位分布は図18に示す
とおりであることがわかった。すなわち、図18に略図
的側面図で示す圧電体331は、破線Bで示す振動姿態
と、該振動姿態と左右対称である振動姿態との間で振動
することになる。この場合、短辺側の変位ベクトルは図
19に示すようにx方向の成分のみを有する。また、圧
電体331の側面331a,331bでは、上半分の部
分と、下半分の部分とで変位方向が逆転する。
【0081】そこで、上記b/aを種々変更し、かつ種
々の圧電材料を用いて、圧電体に支持体を連ねた構造の
変位状態を調べた。その結果、使用する圧電材料のポア
ソン比σと比b/aとの間に図19に示す関係があるこ
とが確かめられた。図19の結果から、比b/aを、式
(5)を満たすように設定することにより、支持体側へ
の変位の伝達を減少させることができ、言い換えれば、
圧電振動部の部分に振動エネルギーを効果的に閉じ込め
られることがわかった。
【0082】また、上記比b/aが、(0.3σ+1.
48)のn倍(但し、nは整数)の場合にも振動エネル
ギーを効果的に閉じ込め得ることが確かめられた。上記
のようにして、式(2)を満たすように圧電振動部の寸
法を選択することにより圧電振動部において振動を閉じ
込め得ることがわかった。この結果に基づき、ポアソン
比σ=0.31の圧電材料を用い、b/a=1.57と
した場合の圧電振動部341に、支持部342A,34
3Aを介して圧電振動部341と等しい幅の厚みを有す
る支持部344,345を一体的に構成した共振子の変
位分布を有限要素法で調べたところ、図20に示す結果
が得られた。
【0083】図20から明らかなように、この共振子3
46では、圧電振動部341部分におけるすべりモード
の振動エネルギーが支持部342A,343A側にはほ
とんど漏洩していないことがわかる。すなわち、上記比
b/aを式(2)を満たすように選択することにより、
エネルギー閉じ込め効率の高いすべりモードを利用した
共振子を構成し得ることがわかる。
【0084】次に、あるポアソン比σにおいて、上記式
(2)のnを0.85〜1.1まで変化させ、図20に
示す変位量の最も大きな点Pの変位量に対する変位量の
最も小さな点Qにおける変位量の比、すなわち相対変位
(%)を測定した。結果を図21に示す。
【0085】図21から明らかなように、nの値が0.
9〜1.1の範囲であれば、相対変位は10%以下であ
ることがわかる。他方、相対変位が10%以下の場合に
は、共振子を構成する場合に実質的に問題のないことが
わかっている。従って、式(2)を満たす値から±10
%の範囲内であれば、共振部に振動エネルギーを効果的
に閉じ込めることができる。
【0086】そこで、図15及び図16に示した第2の
タイプの圧電共振子311では、圧電振動部の圧電セラ
ミック板の厚みaと共振部の分極方向Pに沿う長さ寸法
b、すなわち圧電振動部の分極方向に平行な矩形の圧電
体面の短辺の長さaと、長辺の長さbとが、上記式
(2)で示す値から±10%の範囲内とするように、上
記第1,第2の溝315,316が形成されており、そ
れによってエネルギー閉じ込め効率が高められている。
【0087】図22は、第2のタイプの圧電共振子の他
の例を示す側面図である。圧電共振子351では、矢印
P方向に分極処理された圧電セラミック板352の上面
352aにおいて、第1の溝355の外側に、さらに第
3の溝357が形成されており、他方、圧電セラミック
板352の下面352b側においても、第2の溝356
の外側に第4の溝358が形成されており、それによっ
て第1,第2の動吸振部359,360が構成されてい
る。この動吸振部359,360は、公知の動吸振現象
により、漏洩してきた振動によって共振し、漏洩してき
た振動を打ち消すように作用する。従って、動吸振部3
59,360の寸法は、このような動吸振現象による振
動の相殺を果たすような大きさに選ばれている。
【0088】圧電共振子351では、上記第3,第4の
溝357,358が形成されて動吸振部359,360
が構成されていることを除いては、圧電共振子311と
同様であるため、その他の部分については相当の参照番
号を付することにより、その説明は省略する。
【0089】圧電共振子351では、共振部における比
b/aが式(2)で示す値から±10%の範囲内とされ
ているため、共振部に振動エネルギーが効果的に閉じ込
められる。しかも、わずかに漏洩した振動は、上記動吸
振部359,360によって動吸振現象により相殺され
る。従って、第3,第4の溝357,358よりも外側
の保持部361,362において圧電共振子351を機
械的に保持した場合、共振特性の劣化がほとんど生じな
い。よって、圧電共振子311に比べて、より一層エネ
ルギー閉じ込め効率を高めることかでき、より小型の圧
電共振子を提供することができる。なお、圧電共振子3
51は、上記のように動吸振部359,360を有する
ため、本発明に用いられる第4のタイプの圧電共振子で
もある。
【0090】図23は、第2のタイプのエネルギー閉じ
込め型圧電共振子のさらに他の例を示す斜視図である。
圧電共振子371は、長手方向Pに沿って分極処理され
た細長い矩形の圧電セラミック板372を用いて構成さ
れている。圧電セラミック板372では、圧電板372
の上面において、両側縁に沿うように、第1,第2の共
振電極373,374が形成されている。また、両側縁
に、それぞれ、溝375,376が形成されている。溝
375,376間で挟まれている圧電板部分が、圧電振
動部を構成している。この圧電振動部は、分極方向Pに
平行な圧電体面である上面が矩形形状を有する。この圧
電振動部の上面の形状は、短辺の長さをa、長辺の長さ
をbとしたときに、上述した式(2)を満たす値を中心
として±10%の範囲内となるように選択されている。
従って、第1,第2の共振電極373,374から交流
電圧を印加することにより、圧電振動部が上述した図1
5の圧電共振子311と同様にすべりモードで共振し、
しかも該共振エネルギーが圧電振動部に効果的に閉じ込
められる。なお、溝375,376の側方の圧電板部分
が、本発明の支持部を構成し、溝375,376よりも
外側の圧電板部分が本発明の保持部を構成している。ま
た、保持部の上面には、それぞれ、第1,第2の共振電
極に電気的に接続されるように引き出し電極377,3
78が形成されている。
【0091】図24は、第2のタイプのエネルギー閉じ
込め型圧電共振子のさらに他の例を示す平面図である。
圧電共振子381では、溝383〜386を一方側面側
に形成し、他方側面側に溝387〜390を形成するこ
とにより、動吸振部391〜394が形成されている。
また、溝384,385間の圧電基板部分が、本発明に
おける圧電振動部395を構成している。また、溝38
3,386の外側に、それぞれ、保持部396,397
が形成されている。なお、本発明の支持部は、溝38
4,388間で挟まれている圧電基板部分及び溝38
5,389間で挟まれている圧電基板部分である。ま
た、上記溝383,387間の圧電基板部分及び溝38
6,390間の細い圧電基板部分が連結部を構成してい
る。
【0092】圧電振動部395は、図示の矢印P方向す
なわち圧電基板382の長さ方向に沿うように分極処理
されている。他方、共振電極398,399は、分極方
向Pと平行に圧電基板382の上面に形成されている。
また、上記圧電振動部395の上面が矩形形状を有し、
該上面の短辺の長さをa、長辺の長さをbとしたとき
に、比b/aが、前述した式(2)を満たす値を中心と
して±10%の範囲内とされている。
【0093】従って、共振電極398,399から交流
電圧を印加することにより、圧電振動部395がすべり
モードで共振し、該圧電振動部395に共振エネルギー
が効果的に閉じ込められる。さらに、動吸振部391〜
394が、漏洩してきたわずかな振動を動吸振現象によ
り抑制する。従って、圧電共振子381では、動吸振部
391〜394が設けられている部分までに振動エネル
ギーが確実に閉じ込められる。なお、保持部396,3
97上には、引き出し電極400,401が形成されて
いる。
【0094】図25は、図24に示した圧電共振子38
1の変形例である。圧電共振子381と異なるところ
は、圧電共振子411では、圧電振動部395が、図示
の矢印P方向すなわち圧電基板382の幅方向と平行に
分極処理されていることにあり、かつ共振電極398,
399が幅方向に延びるように形成されていることにあ
る。
【0095】図26は、図24に示した圧電共振子38
1のさらに他の変形例を示す斜視図である。圧電共振子
421では、圧電振動部395が、図示の矢印P方向す
なわち圧電基板382の長さ方向と平行に分極処理され
ている。圧電共振子381と異なるところは、電極の形
成位置である。
【0096】すなわち、圧電共振子421では、共振電
極398,399が、圧電振動部395において、圧電
基板382の両側面に形成されている。また、圧電共振
子421では、引き出し電極400,401が、それぞ
れ、保持部396,397において、圧電基板382の
側面に形成されている。また、引き出し電極400,4
01と、共振電極398,399と電気的に接続する接
続導電部もまた、圧電基板382の側面に沿って形成さ
れている。
【0097】圧電共振子421から明らかなように、第
2のタイプの圧電共振子における共振電極は、圧電振動
部を構成している圧電板の上面や下面だけでなく、側面
に形成されていてもよい。さらに、例えば、図24に示
した圧電共振子381において、一方の共振電極399
が圧電基板382の下面に形成されていてもよく、ある
いは、圧電共振子421において、一方の共振電極39
8または399が、圧電基板382の一方主面側に形成
されていてもよい。
【0098】さらに、第2のタイプの圧電共振子におい
ても、圧電振動部、支持部、及び保持部、さらに必要に
応じて設けられる動吸振部は、単一の圧電基板を機械加
工することにより構成されていてもよく、あるいは、こ
れらが、別部材で構成されていてもよい。
【0099】例えば、図27に示すように、圧電振動部
を構成するための矩形の圧電板431に対し、同じ厚み
の絶縁板432,433を接合することにより、基板4
34を形成してもよい。この基板434を用いて、上記
第2のタイプの圧電共振子を構成することができる。な
お、図27に示した基板434では、絶縁板432,4
33に、動吸振部435,436及び保持部437,4
38が一体に形成されていたが、これらの各部分につい
ても、別部材で構成されていてもよい。
【0100】さらに、図28に示すように、動吸振部4
35,436の外側に、同じ幅の基板部分439,44
0を形成してもよい。この場合には、基板部分439,
440が、連結部及び保持部を兼ねることになる。
【0101】第1の実施例 図29は、第1の実施例に係るラダー型フィルタの分解
斜視図であり、図30は該ラダー型フィルタの外観を示
す斜視図である。
【0102】ラダー型フィルタ20は、図29に示すケ
ース基板21,第1の共振プレート22、分離用スペー
サー23、第2の共振プレート24及びケース基板25
を積層した構造を有する。
【0103】第1の共振プレート22は、すべり振動モ
ードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子26,27
と、幅拡がりモードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振
子28とを接着して一体化し、さらに外側に動吸振部内
蔵型圧電共振子26〜28と厚みの等しいスペーサー板
29,30を接着剤を用いて接合した構造を有する。ス
ペーサー板29,30は、アルミナなどの絶縁性セラミ
ックスあるいは合成樹脂等の適宜のある程度の強度を有
する絶縁性材料により構成されており、かつ圧電共振子
26,27の振動部分の振動を妨げないための切欠29
a,30aを有する。
【0104】動吸振部内蔵型圧電共振子26は、図31
(a)に示すように、矢印Pで示す方向に一様に分極処
理された細長い矩形板状の圧電セラミック板26aを用
いて構成されている。圧電セラミック板26aの一方の
側面には、圧電セラミック板26aの一端から他端側に
向かって共振電極26bが形成されている。この共振電
極26bの先端は、側面を切欠くことにより形成された
凹部26cに至る部分で終了されている。また、凹部2
6cと所定距離を隔てて凹部26dが形成されており、
それによって凹部26c,26d間に動吸振部26eが
構成されている。
【0105】同様に、圧電セラミック板26aの他方側
面においても、圧電セラミック板26aの他方端から前
記一方端に延びるように共振電極26fが形成されてい
る。また、共振電極26bが形成されている側と同様
に、2つの凹部26g,26hを形成することにより、
動吸振部26iが構成されている。
【0106】第2のタイプの圧電共振子26では、上記
共振電極26bと共振電極26fとが重なり合っている
部分が圧電振動部を構成しており、該圧電振動部の寸法
比b/aが前述した式(2)を満たす値を中心として±
10%の範囲内とされている。すなわち、図23に示し
た圧電共振子371と同様に構成されている。圧電振動
部と動吸振部26e,26iとの間の部分が支持部を構
成し、凹部26d,26hが形成されている部分よりも
外側端の圧電セラミック板部分が保持部を構成し、該保
持部と動吸振部26e,26iとの間の相対的に幅の狭
い圧電セラミック部分が連結部を構成している。
【0107】動吸振部内蔵型圧電共振子26では、共振
電極26b,26fから交流電圧を印加することによ
り、共振電極26b,26fが重なり合う領域が、すべ
り振動モードで共振し、圧電共振子として動作する。し
かも、共振部が上記特定の寸法比を有するように形成さ
れているので、共振エネルギーが効果的に閉じ込められ
る。
【0108】また、上記共振電極26b,26fが重な
り合う領域で発生した振動が漏れたとしても、動吸振部
26e,26iまでの部分に確実に閉じ込められる。す
なわち、すべり振動モードの共振が、共振部から外側に
漏洩したとしても、該漏洩した振動により動吸振部26
e,26iが共振し、動吸振現象により減衰される。従
って、動吸振部26e,26iよりも外側の圧電セラミ
ック板部分には振動がほとんど伝達されない。よって、
圧電共振子26では、動吸振部26e,26iよりも外
側の圧電セラミック板部分を他の部材に連結することに
より、共振部の共振を妨げることなく圧電共振子26を
機械的に保持することが可能とされている。
【0109】図29に戻り、第1の共振プレート22に
用いられている動吸振部内蔵型圧電共振子28を、図3
1(b)を参照して説明する。動吸振部内蔵型圧電共振
子28は、上述した第1,第4のタイプの圧電共振子で
あり、図31(b)に示す平面形状を有する圧電セラミ
ック板28aを用いて構成されている。この圧電セラミ
ック板28aでは、圧電セラミック板は中央に平面形状
が矩形の圧電振動部28bが構成されている。圧電振動
部28bでは、図示の矢印P方向に分極処理されてお
り、かつ両主面に共振電極28cが形成されている(下
面側の共振電極については図示されず)。
【0110】また、圧電振動部28bは、前述した式
(1)を満たす値を中心として±10%の範囲内となる
ように縦横の寸法比b/aが選ばれている。圧電振動部
28bの両主面の共振電極28cから交流電圧を印加す
ることにより、圧電振動部28bは幅振動モードで共振
されるが、b/a比が上記特定の範囲内なので、圧電振
動部に共振エネルギーが効果的に閉じ込められる。
【0111】他方、圧電振動部28bの互いに対向して
いる側面中央には、細長い棒状の支持部28d,28e
が連結されており、支持部28d,28eの外側端にそ
れぞれ、動吸振部28f,28gが構成されている。動
吸振部28f,28gは、屈曲モードで振動するように
構成されており、圧電振動部28bから伝達してきた振
動によって共振するように構成されている。従って、圧
電振動部28bにおける共振エネルギーが漏れたとして
も、動吸振部28f,28gまでの部分に確実に閉じ込
められる。
【0112】また、動吸振部28f,28gの外側に
は、連結部28h,28iが連結されており、該連結部
28h,28iの外側端に保持部28j,28kが連結
されている。保持部28j,28kは、圧電共振子28
を他の部材と連結したり、機械的に保持するための部分
として設けられており、図示のように比較的大きな面積
を有する。
【0113】なお、図31(a)及び31Bに示した動
吸振部内蔵型圧電共振子26,28は、上記のように1
枚の圧電セラミック板を機械加工することにより形成さ
れてもよいが、各部分が別体で構成されており、相互に
接着剤等により連結されていてもよい。例えば、図31
(b)に示した圧電セラミック板28aに変えて、圧電
振動部を構成する矩形の圧電セラミック板の側方に、上
記支持部28d,28e、動吸振部28f,28g、連
結部28h,28i及び保持部28j,28kを構成す
る各部材を接着剤等により接着して一体化してもよい。
後述の第2の実施例以下の実施例で用いられる動吸振部
内蔵型圧電共振子においても、各圧電共振子を構成する
ための圧電セラミック板等は、本実施例と同様に、圧電
セラミック板を機械加工により形成したものであって
も、あるいは複数の部材を連結して構成されていてもよ
いことを指摘しておく。
【0114】また、共振電極28cは、接続導電部28
lを介して保持部28kの上面に形成された電極28m
に電気的に接続されている。同様に、共振部28bの下
面に形成された共振電極についても、接続導電部を介し
て保持部28jの下面に形成された電極に電気的に接続
されている。
【0115】図29に戻り、上記動吸振部内蔵型圧電共
振子26と同一の構造を有する動吸振部内蔵型圧電共振
子27と、上記動吸振部内蔵型圧電共振子26,28が
互いの保持部の側面を絶縁性接着剤で接着することによ
り一体化されており、かつ前述した第1,第2のスペー
サ板29,30をさらに側方に接合することにより、第
1の共振プレート22が構成されている。
【0116】共振プレート22においては、上面側に、
後述のようにラダー型フィルタを構成するように、圧電
共振子26〜28を電気的に接続するための電極22a
〜22dが形成されている。電極22aは、前述した圧
電共振子26の共振電極26f(図31(a)参照)に
電気的に接続されている。同様に、電極22cは、共振
電極26bに、電極22b,22dは、それぞれ、圧電
共振子27の側面に形成された一方の共振電極に電気的
に接続されている。また、圧電共振子28では、一方の
共振電極28cに接続されている電極28mが図示のよ
うに共振プレート22の端縁に至るように形成されてお
り、同じく下面側の共振電極に電気的に接続される電極
も共振プレート22の下面において反対側の端縁に至る
ように形成されている。
【0117】第2の共振プレート24では、圧電共振子
26と同一構造を有するすべり振動モードを利用した動
吸振部内蔵型圧電共振子31の両側に、動吸振部内蔵型
圧電共振子28と同様に構成された幅振動モードを利用
した動吸振部内蔵型圧電共振子32,33が接着されて
いる。また、これらの圧電共振子31〜33と厚みの等
しい絶縁性セラミックスもしくは合成樹脂等の適宜のあ
る程度の強度を有する絶縁性材料により構成された第
1,第2のスペーサ板34,35が、圧電共振子32,
33の側方に接着されている。スペーサ板34,35
は、図示のように、圧電共振子32,33側の端縁に略
コの字状の切欠34a,35aを有する。切欠34a,
35aは、圧電共振子32,33の共振部及び動共振部
の振動を妨げないための空間を確保するために設けられ
ている。
【0118】なお、圧電共振子31及び圧電共振子3
2,33の構造自体は、前述した圧電共振子26及び圧
電共振子28と同様であるため、その詳細な説明は省略
する。
【0119】第2の共振プレート24においては、上面
に、電極24a,24bが異なる端縁に至るように形成
されている。電極24a,24bは、それぞれ、圧電共
振子31の両側面に形成された共振電極の一方に電気的
に接続されている。また、圧電共振子32,33では、
上面に形成された共振電極32a,33aに電気的に接
続された保持部上の電極32c,33dが共振プレート
24の異なる端縁に至るように形成されている。また、
これらの圧電共振子32,33の共振部の下面に形成さ
れた共振電極については、下面において反対側の端縁に
至る電極に電気的に接続されている。
【0120】ケース基板21,25は、それぞれ、下面
及び上面に凹部21a,25aを有する。凹部21a,
25aは、積層された際に隣接する圧電共振子の共振部
や動吸振部の振動を妨げないように設けられている。ま
た、分離用スペーサ23においても、上面に凹部23a
が形成されており、図29では明確ではないが、下面側
にも凹部23aと同じ形状の凹部が形成されている。こ
れらの凹部は、上下に配置される圧電共振子の共振部及
び動吸振部の振動を妨げないために設けられている。
【0121】もっとも、上述した凹部21a,23a,
25aを設けずに、平板状のケース基板21、分離用ス
ペーサ23及びケース基板25を用いてもよい。その場
合には、圧電振動部及び動吸振部の振動を妨げないため
に、凹部21a,23a,25aの深さに相当する厚み
の矩形枠状のスペーサを間に介在させたり、あるいは絶
縁性接着剤を矩形枠状に塗布することにより、同様の空
間を形成する必要がある。
【0122】ケース基板21,25及び分離用スペーサ
23は、ある程度の強度を有する絶縁性材料、例えばア
ルミナなどの絶縁性セラミックスもくしは合成樹脂等に
より構成することができる。
【0123】本実施例では、上述したケース基板21、
第1の共振プレート22,分離用スペーサ23、第2の
共振プレート24及びケース基板25を積層し、絶縁性
接着剤で接着することにより、積層構造を有するラダー
型フィルタとして一体化される。これを、図30を参照
して説明する。
【0124】図30から明らかなように、本実施例のラ
ダー型フィルタ20では、矩形板状の複数の部材を積層
した構造を有し、側面から上面及び下面に至るように端
子電極20a〜20lが形成されている。端子電極20
a〜20lは、導電ペーストを塗布し、焼き付けること
により、あるいは蒸着、メッキもしくはスパッタリング
等により形成することができる。また、図29に示され
ているように、ケース基板21の上面に、予め電極21
bを複数形成しておき、さらにケース基板25の下面に
も同様に複数の端子電極部分を形成しておき、しかる
後、図30に示されているように積層体の側面に電極材
料を付与することにより、側面から上面及び下面に至る
端子電極20a〜20lを形成してもよい。
【0125】上記のようにして得られたラダー型フィル
タでは、図32に示すように、端子電極20a〜20l
を結線し、端子電極20aを入力端とし、端子電極20
k,20jを出力端とし、端子電極20l,20f,2
0bを接地電位に接続することにより、図33に回路図
で示すラダー型フィルタとして動作させることができ
る。
【0126】本実施例のラダー型フィルタ20では、す
べり振動モードや幅振動モードを用いた動吸振部内蔵型
圧電共振子26〜28,31〜33を用いて直列共振子
及び並列共振子が構成されている。従って、音叉型圧電
共振子を用いたラダー型フィルタに比べて、通過帯域幅
を容易に拡げることができる。
【0127】しかも、各動吸振部内蔵型共振子では、動
吸振部までの部分において振動エネルギーが効果的に閉
じ込められるため、各動吸振部内蔵型共振子をその保持
部を利用して上述のように簡単に連結し、一体化するこ
とができる。
【0128】第2の実施例 図34は、第2の実施例のラダー型フィルタを説明する
ための分解斜視図であり、図35は第2の実施例のラダ
ー型フィルタの外観を示す斜視図である。ラダー型フィ
ルタ40は、上から順に、ケース基板41、空洞形成用
スペーサ42、第1の共振プレート43、空洞形成用ス
ペーサ44、第2の共振プレート45、空洞形成用スペ
ーサ46、第3の共振プレート47、空洞形成用スペー
サ48、第4の共振プレート49、空洞形成用スペーサ
50及びケース基板51を順に積層した構造を有する。
【0129】ケース基板41,51は、第1の実施例で
用いたケース基板21,25と同様の材料で構成されて
いる。もっとも、ケース基板41,51は、平板状の部
材で構成されており、第1の実施例のケース基板21,
25における凹部21a,25aは形成されていない。
従って、ケース基板41の下方に配置される第1の共振
プレート43の振動部分の振動を妨げないための空間を
形成するために、スペーサ42が挿入されている。同様
に、ケース基板51の上面側にも、第4の共振プレート
49の振動部分の振動を妨げないための空間を確保する
ために、空洞形成用スペーサ50が用いられている。
【0130】空洞形成用スペーサ42,50は、図示の
ように厚みの薄い矩形枠状の部材で構成されているが、
例えば合成樹脂やその他の適宜の絶縁性材料で構成する
ことができる。なお、他の空洞形成用スペーサ44,4
6,48についても、空洞形成用スペーサ42,50と
同様の材料で構成され得る。
【0131】第1の共振プレート43は、長さ振動モー
ドで振動する動吸振部内蔵型圧電共振子52を有する。
圧電共振子52は、図36(a)に平面図で示すよう
に、圧電セラミック板で構成されており、中央に長さ振
動モードで振動される圧電振動部52aを有する。圧電
振動部52aは、細長い矩形板状の形状を有し、分極軸
がその長さ方向に沿うように分極処理されている。圧電
振動部52aの長さ方向中央部には、圧電振動部52a
を支持する支持部52b,52cが連なっている。支持
部52b,52cの外側端には、屈曲モードで共振し得
るように構成された動吸振部52d,52eが構成され
ている。動吸振部52d,52eは、圧電振動部52a
を共振させた際に漏洩してきた振動により共振し、振動
エネルギーの動吸振部52d,52eよりも外側への漏
洩を動吸振現象により防止するように、その寸法が定め
られている。
【0132】動吸振部52d,52eの外側には、相対
的に幅の細い連結部52f,52gが連ねられており、
かつその外側に相対的に大きな面積の保持部52h,5
2iが連結されている。
【0133】上記保持部52h,52iに、動吸振部内
蔵型圧電共振子52と等しい厚みのスペーサ53,54
が接着され、一体化されることにより、第1の共振プレ
ート43が構成されている。この場合、圧電振動部52
aの共振を妨げないための空間が形成されるように、上
記保持部52h,52iの寸法あるいはスペーサ53,
54の形状が選択されている。
【0134】上記圧電振動部52aでは、圧電振動部5
2aを励振するための共振電極52j,52kが上面に
形成されており、該共振電極52j,52kは、接続導
電部を介して保持部52h,52i上に形成された電極
52m,52nに電気的に接続されている。
【0135】他方、第2の共振プレート45は、動吸振
部内蔵型圧電共振子55の側方にスペーサ56,57を
接合した構造を有する。スペーサ56,57は、前述し
たスペーサ53,54と同様に構成されている。
【0136】圧電共振子55は、図36(b)に平面図
で示すように、中央に細長い矩形板状の圧電振動部55
aを有する。圧電振動部55aの側方には、支持部55
b,55cが連ねられており、支持部55b,55cの
外側端に動吸振部55d,55eが構成されており、動
吸振部55d,55eの側方に連結部55f,55gを
介して相対的に面積の大きな保持部55h,55iを形
成した構造を有する。従って、全体としての平面形状
は、動吸振部内蔵型圧電共振子52と同様である。
【0137】異なるところは、圧電振動部55aの上面
に全面に共振電極55jが形成されており、下面にも同
様に全面に共振電極(図示されず)が形成されており、
かつ圧電振動部55aにおいて圧電セラミック板が厚み
方向に一様に分極処理されていることにある。すなわ
ち、この圧電振動部55aも、長さモードで振動するよ
うに構成されている。
【0138】また、圧電振動部55aの一方の共振電極
55jは、接続導電部を介して保持部55i上に形成さ
れた電極55kに電気的に接続されており、下面に形成
された共振電極は、接続導電部を介して保持部55hの
下面に形成された電極に電気的に接続されている。
【0139】図34に戻り、第3の共振プレート47
は、第1の共振プレート43に比べて保持部への電極の
引き出し方が異なるのみであるので、第3の共振プレー
ト47を構成している動吸振部内蔵型圧電共振子58及
びスペーサ59,60については、上記第1の共振プレ
ート43について行った説明を援用することにより省略
する。
【0140】同様に、第4の共振プレート49について
も、第2の共振プレート45と保持部への電極の引き出
し方が異なるのみであるが簡単に説明すると、第4の共
振プレート49における、圧電共振子61の圧電振動部
61aの上面に形成された共振電極61bに電気的に接
続される保持部61d上の電極61cは、保持部61d
の中央部分に形成されている。一方、圧電振動部61a
の下面の全面に形成された共振電極(図示されず)は、
保持部61eの下面端部に形成された電極に電気的に接
続されている。
【0141】このように第3,第4共振プレートの引き
出し電極を第1,第2共振プレートと異ならせている目
的は以下の通りである。すなわち、外部電極40aによ
り図34中の電極60mと61mが導通され、外部電極
40dにより電極52n,55k,60nが導通され、
このことにより、図37に示す2段型のラダーフィルタ
が構成される。なお、電極40dはダミー電極ではある
が、上記のような作用を有している。また、外部電極4
0fは純粋なダミー電極である。
【0142】第2の実施例においても、第1の実施例と
同様に各部材を積層し、側面から上面及び下面に至るよ
うに外部電極を形成することにより、図35に示すよう
に2段型のラダー型フィルタ40として完成される。図
35において、40a〜40fは外部電極を示す。な
お、図35では、相対的に厚みの薄いスペーサ42,4
4,46,48の図示は省略されている。
【0143】従って、外部電極40cを入力端、外部電
極40aを出力端、外部電極40b,40eを接地電位
に接続することにより、図37に示すように2段型のラ
ダー型フィルタとして動作させることができる。
【0144】第3の実施例 図38は、第3の実施例に係る1段のラダー型フィルタ
を示す分解斜視図、図39はその外観を示す斜視図であ
る。
【0145】本実施例のラダー型フィルタ110では、
ケース基板111、共振プレート112、空洞形成用ス
ペーサ113、共振プレート114及びケース基板11
5が積層されている。
【0146】ケース基板115の上面には凹部115a
が、ケース基板111の下面にも同じような凹部が形成
されており、それによって積層される共振プレートの振
動部分の振動を妨げないための空間が確保されている。
また、空洞形成用スペーサ113を間に介在させること
により、共振プレート112,114の振動部分の振動
を妨げないための空間が構成される。
【0147】上記ケース基板111,115及び空洞形
成用スペーサ113の詳細は、第1の実施例に用いたケ
ース基板及び空洞形成用スペーサと同様にして構成され
るので、その詳細な説明は省略する。
【0148】共振プレート112は、図31(a)に示
した動吸振部内蔵型圧電共振子26の両側にスペーサ1
16,117を貼り合わせた構造を有する。スペーサ1
16,117は、圧電共振子26側の側面に切欠116
a,117aを有し、それによって圧電共振子26の振
動部分の振動が妨げないようにされている。
【0149】他方、共振プレート114は、共振電極の
引き出されている部分の電極の形成位置が若干異なるこ
とを除いては、図31(b)に示した圧電共振子28と
同一の圧電共振子28の側方にスペーサ118,119
を貼り合わせることにより構成されている。スペーサ1
18,119は、スペーサ116,117と同様に、圧
電共振子28側に切欠118a,119aを有する。
【0150】なお、図38では、必ずしも明確ではない
が、圧電共振子28では、共振部28bの下面にも共振
電極が形成されており、該共振電極に電気的に接続され
た電極が共振プレート114の端縁114a側に至るよ
うに形成されている。
【0151】本実施例のラダー型フィルタ110では、
上記各部材を積層し、図39に示すように外部電極11
0a,110b,110cを側面に形成することにより
完成される。すなわち、外部電極110aを接地電位に
接続し、外部電極110bを入力端、外部電極110c
を出力端とすることにより、図40に示すように1段の
ラダー型フィルタを構成することができる。また、上記
共振プレート112,114をそれぞれ2枚以上積層す
ることにより、2段以上のラダー型フィルタも容易に構
成することができる。
【0152】第4の実施例 図41は、第4の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図であり、図42は該ラダー型フィ
ルタの外観を示す斜視図である。
【0153】ラダー型フィルタ130は、ケース基板1
31、空洞形成用スペーサ132、第1の共振プレート
133、空洞形成用スペーサ134、第2の共振プレー
ト135、空洞形成用スペーサ136及びケース基板1
37を積層した構造を有する。
【0154】ケース基板131,137は、平板状の絶
縁性セラミックスもしくは合成樹脂等により構成されて
おり、空洞形成用スペーサ132,134,136は、
第2の実施例で用いた空洞形成用スペーサと同様に構成
されている。
【0155】第1の共振プレート133は、幅拡がりモ
ードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子138,13
9をその保持部同士を接着することにより一体化し、さ
らに外側にスペーサ140,141を貼り合わせた構造
を有する。
【0156】圧電共振子138は、第1の実施例で用い
た幅拡がりモードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子
28と同様に構成されている。また、同じく幅拡がりモ
ードを利用した、但し縦効果を利用した動吸振部内蔵型
圧電共振子139は、圧電共振子138と同様の平面形
状を有する圧電セラミック板において、図41の右側に
示すように共振部の下面において対向する一対の端縁に
共振電極139a,139bを形成することにより構成
されている。また、分極方向は図中の矢印で示される。
従って、共振電極139a,139b間に交流電圧を印
加することにより、圧電縦効果を利用した幅モード共振
子として動作する。なお、共振電極139a,139b
は、それぞれ、共振プレート133の異なる対向端縁に
引き出されている。
【0157】第2の共振プレート135は、第1の共振
プレート133と同様に、幅モード利用した横効果の動
吸振部内蔵型圧電共振子142と、縦効果を利用した動
吸振部内蔵型圧電共振子143とをその保持部同士を貼
り合わせることにより、さらに両側にスペーサ144,
145を貼り合わせることにより構成されている。もっ
とも、第2の共振プレート135では、縦効果を利用し
た動吸振部内蔵型圧電共振子143において、一対の共
振電極143a,143bが共振プレート135の上面
側に形成されている。
【0158】本実施例のラダー型フィルタ130は、上
述した各部材を積層し、得られた積層体の両端面に、図
42に示す外部電極130a〜130fを形成すること
により得られる。
【0159】すなわち、外部電極130cを入力端と
し、外部電極130a,130dを共通接続し出力端と
し、外部電極130e,130fを共通接続し、外部電
極130bを接地電位に接続することにより、図43に
示す2段のラダー型フィルタが構成される。
【0160】第5の実施例 第5の実施例に係るラダー型フィルタ150の構造を、
図44に分解斜視図で、図45に外観斜視図で示す。
【0161】本実施例は、第4の実施例のラダー型フィ
ルタの変形例に相当する。従って、異なる部分について
のみ、説明することにする。第1の共振プレート151
は、圧電縦効果を利用した幅モードの動吸振部内蔵型圧
電共振子153,154をその保持部同士を接着するこ
とにより一体化した構造を有する。この圧電共振子15
3,154の構造は、第4の実施例で用いた圧電共振子
143と同様である。
【0162】他方、第2の共振プレート152では、圧
電横効果を利用した幅モードの動吸振部内蔵型圧電共振
子155,156がその保持部同士を接着することによ
り一体化されている。
【0163】この圧電共振子155,156は、第4の
実施例において用いた圧電共振子138と同様に構成さ
れている。上記第1の共振プレート151では、一方端
縁に沿って上面側に電極151a,151bが形成され
ており、電極151a,151bは、それぞれ、圧電共
振子153,154の一方の共振電極に電気的に接続さ
れている。他方、共振プレート151の他方端縁に沿う
ように電極151cが形成されており、電極151c
は、圧電共振子153,154の他方の共振電極にそれ
ぞれ電気的接続されている。
【0164】また、共振プレート152においては、圧
電共振子155,156の共振電極155a,156a
に電気的に接続される電極152aが共振プレート15
2の一方端縁に沿うように形成されている。他方、共振
プレート152の下面においては、圧電共振子155,
156の下面側の共振電極に電気的に接続される電極1
52b,152cが、それぞれ、共振プレート152の
他方端縁に沿うように形成されている。
【0165】なお、157,158はケース基板を、1
59a〜159cは空洞形成用スペーサを示す。上記各
部材を積層して得られた積層体に、図45に示すように
外部電極150a〜150fを形成することにより、第
5の実施例のラダー型フィルタ150が得られる。
【0166】ラダー型フィルタ150では、第4の実施
例と同様に外部電極を接続することにより、第4の実施
例と同様に2段のラダー型フィルタとして動作させるこ
とができる。
【0167】第6の実施例 図46は、第6の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図であり、図47は該ラダー型フィ
ルタの外観を示す斜視図である。
【0168】本実施例のラダー型フィルタ160は、第
1,第2の共振プレートの構造が異なることを除いて
は、第4の実施例と同様に構成されている。図46を参
照して、第1の共振プレート161は、すべりモードを
利用した動吸振部内蔵型圧電共振子162と、幅モード
を利用した動吸振部内蔵型圧電共振子163とをその保
持部同士を接着することにより一体化されている。圧電
共振子162,163の外側には、スペーサ164,1
65が貼り合わされている。
【0169】圧電共振子162は、第1の実施例で用い
たすべりモードを利用した圧電共振子26(図17
(a)参照)と同様に構成されている。この圧電共振子
162の一方側面に形成された共振電極は、共振プレー
ト161の一方端縁に沿うように形成された電極161
aに電気的に接続されている。他方、他方側面に形成さ
れた共振電極は、共振プレート161の他方端縁に沿う
ように形成された電極161bに電気的に接続されてい
る。
【0170】また、幅モードを利用した動吸振部内蔵型
圧電共振子163は、第4の実施例で用いた圧電共振子
138と同様に構成されている。この圧電共振子163
の上面の共振電極163aは、電極161cに電気的に
接続されている。電極161cは、電極161bと同じ
端縁に沿うように形成されている。
【0171】他方、図46の右側に破線で示すように、
共振プレート161の下面側においては、圧電共振子1
63の下面に形成された共振電極163bが、共振プレ
ート161の一方端縁に沿うように形成された電極16
1dに電気的に接続されている。
【0172】第2の共振プレート166は、上記第1の
共振プレート161を反転させた構造に相当する。すな
わち、すべりモードを利用した動吸振部内蔵型圧電型共
振子167、幅モードを利用した動吸振部内蔵型圧電共
振子168を保持部同士を接着させて一体化し、外側に
スペーサ169a,169bを貼り合わせた構造を有す
る。
【0173】第1の共振プレート161を反転させたも
のに相当するため、両主面に形成される電極形状は、第
1の共振プレート161と上下が逆とされている。上記
各部材を積層し、得られた積層体に、端子電極160a
〜160fを形成することにより、図47に示すラダー
型フィルタ160が得られる。本実施例においても、第
4の実施例と同様に、外部電極160a,160dを出
力端とし、外部電極160cを入力端とし、外部電極1
60bを接地電位に接続し、外部電極160e,160
fを共通接続することにより、2段のラダー型フィルタ
として動作させることができる。
【0174】第7の実施例 図48は、第7の実施例に係るラダー型フィルタの分解
斜視図であり、図49は該ラダー型フィルタの外観を示
す斜視図である。
【0175】本実施例では、第1のケース基板171、
共振プレート172〜175及びケース基板176が積
層される。ここでは、共振子の振動を妨げないために、
共振プレート172〜175がこれらに枠状に接着剤を
付与し接着することにより、振動空間が確保されてい
る。
【0176】共振プレート172は、第1のタイプのエ
ネルギー閉じ込め型圧電共振子177の側方に第1,第
2のスペーサ板178,179を接合することにより構
成されている。圧電共振子177は、矩形板状の圧電振
動部181に、支持部を介して保持部182,183を
連結した構造を有する。圧電振動部181においては、
上面に第1の共振電極180aが、下面に第2の共振電
極180bが形成されている。本実施例においても、圧
電振動部181の上面が、短辺の長さをa、長辺の長さ
をbとしたときに、前述した式(1)を満たす値を中心
として±10%の範囲内となるように比b/aが定めら
れている。従って、圧電振動部181に振動エネルギー
が効果的に閉じ込められる。
【0177】共振プレート175についても、上記共振
プレート172とほぼ同様に構成されている。もっと
も、共振電極180a,180bに電気的に接続されて
おり、かつ保持部182,183に形成される引き出し
電極の位置が、共振プレート172とは異ならされてい
る。
【0178】また、共振プレート172,175におい
ては、第1,第2の共振電極180a,180bが、圧
電振動部181の主面よりもかなり小さい面積に形成さ
れている。従って、電極180a,180b間の静電容
量が比較的小さくされている。
【0179】他方、共振プレート173においては、第
1のタイプの幅拡がりモードを利用したエネルギー閉じ
込め型の圧電共振子185が用いられており、圧電共振
子185の側方に第1,第2のスペーサ板186,18
7が接合されている。圧電共振子185は、共振電極を
除いては、圧電共振子177と同様に構成されている。
従って、同一部分については、同一の参照番号を付する
ことによりその説明を省略する。圧電共振子185で
は、第1,第2の共振電極188a,188bが、圧電
振動部181の上面及び下面において、外周縁には至ら
ないが、かなり大きな面積を有するように矩形形状に形
成されている。従って、共振電極188a,188b間
の静電容量が、圧電共振子177における共振電極18
0a,180b間の静電容量に比べてかなり大きくされ
ている。
【0180】圧電共振子185においても、圧電振動部
181が、第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子を構成するように設けられているため、振動エネル
ギーが圧電振動部181に効果的に閉じ込められる。
【0181】本実施例のラダー型フィルタでは、上記ケ
ース基板171,176及び共振プレート172〜17
5を積層し、所定の外部電極を形成することにより得ら
れる。
【0182】すなわち、図49に示されているように、
ラダー型フィルタ170では、外部電極189a〜c
が、得られた積層体の一方側面に、189d〜189f
が他方側面に形成されている。この外部電極189aを
出力端として用い、外部電極189b,189eを接地
電位に接続し、外部電極189cを入力端として用いる
ことにより、2段のラダー型フィルタが構成される。こ
の場合、前述した圧電共振子177,177が直列共振
子を、容量の相対的に大きな圧電共振子185,185
が並列共振子を構成する。なお、電極189dは端子電
極A,B,Cを短絡させる作用を有するか、外部電極1
89d,189fは、ダミーの外部電極であり、ラダー
型フィルタとして動作させる際の外部回路接続用として
は用いられない。
【0183】第8の実施例 図50は、第8の実施例のラダー型フィルタを説明する
ための分解斜視図である。本実施例のラダー型フィルタ
では、ベース基板191とキャップ材192とで構成さ
れる空間内に複数の圧電共振子が積層される。ベース基
板191は、アルミナなどの絶縁性セラミックあるいは
合成樹脂等の適宜の絶縁材料により構成される。ベース
基板191上には、接続導電部191a〜191eが、
分散形成されている。これらの接続導電部191a〜1
91eは、後述する圧電共振子の引き出し電極に電気的
に接続され、あるいはベース基板191の側面に形成さ
れた外部電極191f〜191h,191jに電気的に
接続される。
【0184】キャップ材192は、合成樹脂あるいは金
属等の適宜の材料で構成され、下方に開口を有する。ま
た、キャップ材192は、開口部が、ベース基板191
の上面の面積よりも小さくされており、従ってキャップ
材192の下端面がベース基板191の上面に絶縁性接
着剤等を用いて接合され、それによって、キャップ材1
92がベース基板191と一体化される。もっとも、キ
ャップ材192の開口部は、ベース基板191の側面に
当接されるように、その大きさが選ばれていてもよい。
【0185】本実施例では、第7の実施例で用いた圧電
共振子177及び圧電共振子185が各2個用いられ、
図示のように積層される。もっとも、図50では特に示
してはいないが、上下に配置される圧電共振子の振動を
妨げないための空間を圧電共振子間及び圧電共振子17
7とベース基板191との間に設けるために、導電性接
着剤等192A〜195が用いられる。すなわち、図5
0においては、各導電性接着剤192A〜195は浮い
た状態で模式的に示されているが、積層にあたり、塗布
される。例えば、導電性接着剤192Aは、圧電共振子
177と、圧電共振子185との接着に用いられ、両圧
電共振子177,185の保持部間に所定の厚みを有す
るように介在される。それによって、圧電共振子177
と、圧電共振子185との間に所定の厚みの空間が形成
され、両圧電共振子177,185の圧電振動部の振動
が妨げられない。また、導電性接着剤192Aは、図示
のように、圧電共振子177の保持部182,183の
側面に形成された電極182a〜182c及び183a
〜183cに電気的に接続されるように、接続された状
態で保持部182,183の外周縁に至るように配置さ
れている。同様に、他の導電性接着剤193〜195に
ついても、その上方または下方に位置する圧電共振子の
圧電振動部の振動を妨げないための空間を形成するため
に、所定の厚みに形成される。
【0186】また、導電性接着剤193〜195につい
ても、各圧電共振子の側面に形成されている電極やベー
ス基板191上の接続導電部、あるいはベース基板19
1の側面に形成された外部電極191f〜191kに電
気的に接続されるように配置されている。
【0187】本実施例のラダー型フィルタにおいても、
上記のように、2個の第1のタイプのエネルギー閉じ込
め型の圧電共振子177,177及び2個の第1のタイ
プのエネルギー閉じ込め型圧電共振子185,185が
積層されて2段のラダー型フィルタが構成される。しか
も、ベース基板191とキャップ材192とを接合する
ことにより構成された空間内に、複数の圧電共振子17
7,185が囲撓されるため、耐湿性に優れたラダー型
フィルタを容易に構成することができる。
【0188】第9の実施例 図51は、第9の実施例に係るラダー型フィルタの分解
斜視図である。第9の実施例のラダー型フィルタでは、
第8の実施例のラダー型フィルタの変形例に相当する。
【0189】すなわち、本実施例においても、上面の接
続導電部の形状は異なるものの、ベース基板191と同
様に構成されたベース基板196とキャップ材192と
を用いてチップ型のラダー型フィルタが構成される。
【0190】また、ベース基板196上には、接続導電
部196a〜196fが形成されている。これらの接続
導電部196a〜196fは、ベース基板196の側面
に形成された外部電極、あるいは上方に配置される圧電
共振子に電気的に接続されるように配置されている。
【0191】本実施例では、複数枚の板状の圧電共振子
451〜454が積層されている。これらの圧電共振子
451〜454の接合及び圧電共振子454とベース基
板196との接合に際しては、第8の実施例と同様に、
導電性接着剤等192〜195が用いられる。図51に
おいても、これらの導電性接着剤192〜195は、中
に浮かされた状態で図示されているが、実際には、圧電
共振子451〜454の上面もしくは下面あるいはベー
ス基板196の下面に所定の厚みを有するように塗布さ
れる。ここまでは、第8の実施例と同様である。また、
第8の実施例及び第9の実施例において、異方性の導電
接着剤を用いれば接合材を分離形成しないでもよい。こ
のような異方性導電接着剤の例を図51の右方に参照番
号195Aで示す。
【0192】本実施例の特徴は、圧電共振子451〜4
54が、前述した第1のタイプのエネルギー閉じ込め型
の圧電共振子、すなわち幅拡がりモードを利用した圧電
共振子の圧電振動部のみを用いて構成されていることに
ある。すなわち、圧電共振子451は、厚み方向に分極
処理された矩形板状の圧電セラミック板455を用いて
構成されている。この圧電セラミック板455の上面4
55aは、矩形の形状を有し、その短辺の長さをa、長
辺の長さをbとし、圧電セラミック板455を構成して
いる材料のポアソン比をσとしたときに、比b/aが、
前述した式(1)を満たす値を中心として±10%の範
囲内となるようにその形状が定められている。また、圧
電セラミック板455の上面及び下面には、圧電共振子
177と同様に、第1,第2の共振電極456a,45
6bが主面よりもかなり小さな面積に形成されている。
【0193】第1,第2の共振電極456a,456b
から交流電圧を印加することにより、圧電共振子451
は圧電横効果により幅拡がりモードで振動される。この
場合、振動のノード点は、圧電セラミック板455の短
辺側に沿う側面の中央に位置する。従って、本実施例で
は、短辺側の側面の中央領域に、圧電共振子451を接
合するための引き出し電極457a〜457c,458
a〜458cが形成されている。
【0194】圧電共振子454は、上記圧電共振子45
1とほぼ同様に構成されている。異なる点は、上面及び
下面に形成された第1,第2の共振電極456a,45
6bの電極引き出し方向が異ならされているだけであ
る。
【0195】また、圧電共振子452については、第
1,第2の共振電極457a,457bが、共振電極4
56a,456bに比べてかなり大きな寸法を有するよ
うに形成されていることを除いては、圧電共振子451
と同様に構成されている。また、圧電共振子453は、
上記圧電共振子452と電極引き出し方向が異なる点を
除いては同様に構成されている。
【0196】従って、圧電共振子452〜454におい
ても、両主面の第1,第2の共振電極から交流電圧を印
加することにより、幅拡がりモードの振動が励振され
る。そして、この振動に基づく共振エネルギーは、各圧
電共振子452〜454内に効果的に閉じ込められる。
【0197】他方、圧電共振子451〜454は、それ
ぞれ、上記のように振動のノード点が、短辺側に沿う側
面中央領域存在するため、上記のように、引き出し電極
457a〜457c,458a〜458cが形成されて
いる部分において、導電性接着剤等192A〜195を
用いて接合することにより、共振特性に影響をあまり与
えることなく、圧電共振子451〜454を積層・固着
することができる。
【0198】本実施例においても、第7及び第8の実施
例のラダー型フィルタと同様に、2段のラダー型フィル
タを構成することができる。しかも、本実施例では、圧
電共振子451〜454が、第1のタイプの圧電共振子
の圧電振動部のみを用いて構成されているため、圧電共
振子451〜454は、極めて容易に製造することがで
き、かつ機械的強度も高められている。
【0199】なお、第9の実施例では、第1のタイプの
エネルギー閉じ込め型圧電共振子の圧電振動部のみを用
いて各圧電共振子451〜454を構成したが、同様
に、第2のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共振子の
圧電振動部のみを用いても、本実施例と同様にしてラダ
ー型フィルタを構成することができる。すなわち、圧電
共振子451〜454に代えて、前述した第2のタイプ
のエネルギー閉じ込め型圧電共振子の圧電振動部のみを
用いて圧電共振子を構成してもよい。
【0200】上述してきた第1〜第6の実施例のラダー
型フィルタでは、動吸振部内蔵型の圧電共振子を用いた
ラダー型フィルタにつき説明したが、第1,第3〜第6
の実施例における動吸振部内蔵型圧電共振子は、動吸振
部を設けていないものであってもよい。
【0201】<本発明で用いられる第3のタイプのエネ
ルギー閉じ込め型圧電共振子の説明>本発明で用いられ
る第3のタイプの圧電共振子は、本発明者により見い出
された新しい振動モードを利用した圧電共振子である。
この新たに見い出された振動モードを、図52〜図56
を参照して説明する。
【0202】今、図52に示すように、矩形の圧電板5
21の両主面の全面に電極522,523を形成したモ
デルを考える。圧電板521は、矩形の平面形状を有す
る。すなわち、上面及び下面が矩形の平面形状を有す
る。また、圧電板521は、厚み方向に、すなわち矢印
P方向に一様に分極処理されている。
【0203】電極522,523から交流電圧を印加す
ることにより、上記圧電板521を振動させた場合の上
面あるいは下面における屈曲振動の2次高調波を有限要
素法により解析すると、圧電板521の平面形状がある
範囲において、図53に示す振動モードが励振されるこ
とがわかった。なお、図53は、有限要素法により解析
された振動モードを示し、元の形状が線Aで示されてお
り、ここでは、Bで示す変位状態と、Bで示す変位状態
とは逆の変位状態との間で振動が繰り返される。
【0204】上記屈曲モードの2次高調波の振動が励振
される圧電板521を、一対の短辺に沿う一対の側面の
各一端側において保持した場合、図54に示すように、
振動エネルギーが閉じ込められることが確かめられた。
すなわち、図54に有限要素法により解析した変位分布
を示すように、圧電板521の短辺側の側面521aの
一端側に連結部522を連結する。また、他方の短辺側
に沿う側面521bの一端に連結部523を連結する。
この場合、連結部522と連結部523とは、圧電板5
21の上面の1つの対角線の両端に連結されている。
【0205】図54から明らかなように、上記連結部5
22,523を連結し、該連結部522,523により
圧電板521を保持した場合、変位状態Cでは、連結部
522,523よりも外側の部分に変位が伝搬しないこ
とがわかる。言い換えれば、連結部522,523を、
上記位置に連結することにより、圧電板521の屈曲モ
ードの2次高調波の振動を連結部522,523までの
部分に閉じ込め得ることがわかる。
【0206】図54に示した変位状態Cにおける電荷分
布を調べたところ、図55に示す結果が得られた。すな
わち、圧電板521の上面において、+極性の領域が、
図示の仮想線Dに沿う方向に延び、この仮想線Dは、1
つの対角線に略沿うように延びている。また、他方の対
角線側のコーナー部分近傍に、−極性の電位の強い部分
が表れる。
【0207】従って、上記連結部522,523を連結
して、図54に示した変位Cと、その逆の変位状態との
間で振動する振動を強く励振させるには、図55に示し
た電荷分布に応じて共振電極を形成すればよいと考えら
れる。
【0208】上記のように、矩形の圧電板521に連結
部522,523を連結し、両面の電極から電圧を印加
して励振させた場合に、屈曲モードの2次高調波が強く
励振され、該振動のエネルギーが連結部522,523
までに閉じ込められる。このような効果は、圧電板52
1の寸法が特定の範囲にある場合にのみ得られれること
がわかった。
【0209】すなわち、本願発明者は、種々の寸法の圧
電板521を用いて、図54に示した変位状態Cと、逆
の変位状態との間で繰り返す振動を励振させたところ、
圧電板521の矩形面の長辺の長さをb、短辺の長さを
aとし、圧電板521を構成する材料のポアソン比をσ
とすると、上述した式(3)を満たす値のときに上記振
動が強く励振され、かつ第1,第2の連結部522,5
23までの部分に振動エネルギーが効果的に閉じ込めら
れ得ることがわかった。すなわち、比b/aを種々変更
し、かつ種々の圧電材料を用いて、図54に示したよう
に有限要素法により変位状態を解析した。その結果、上
記屈曲モードの2次高調波を効果的に連結部522,5
23までに閉じ込めるには、比b/aと、圧電板521
を構成する材料のポアソン比σとが、図56(a)に示
す関係を満たせばよいことが確かめられた。この図56
(a)の結果から、比b/aが、
【0210】
【数10】
【0211】となるように、上記短辺の長さa及び長辺
の長さbを選択すればよいことがわかる。さらに、上記
比b/aが(0.3σ+1.48)の整数倍の場合に
も、上記と同様に、振動エネルギーが閉じ込められるこ
とを見い出した。
【0212】また、本願発明者は、あるポアソン比σの
圧電材料からなる圧電板を用いて、式(3)のnを、
0.85〜1.1まで変化させ、図54に示す変位量の
最も小さな点Pの変位量に対する変位量の最も大きな点
Qにおける変位量の比、すなわち相対変位(%)を測定
した。結果を図56(b)に示す。
【0213】図56(b)から明らかなように、nの値
が0.9〜1.1の範囲であれば、上記相対変位は10
%以下であることがわかる。他方、相対変位が10%以
下の場合には、共振子を構成する場合に実質的に問題の
ないことがわかっている。従って、式(1)を満たす値
から±10%の範囲内であれば、圧電振動部に振動エネ
ルギーを効果的に閉じ込めることができる。
【0214】上記のように、短辺の長さがa、長辺の長
さb、圧電板を構成する材料のポアソン比がσの圧電振
動部において、上記比b/aを式(3)を満たす値から
±10%の範囲内とすることにより、エネルギー閉じ込
め効率に優れた圧電共振子を提供し得ることがわかっ
た。なお、上記屈曲モードの2次高調波の振動は、圧電
板521に連結部522,523を連結しない場合に
は、振動のノードは、矩形面の中央と両短辺に沿う側面
の中央に存在することが確かめられている。
【0215】第3のタイプの圧電共振子の具体例 図57は、第3のタイプの圧電共振子の一例を示す平面
図であり、図58は、圧電板を透かして下面側の電極形
状を示した模式的平面図である。
【0216】圧電共振子531は、矩形の圧電板532
と支持部533,534と、保持部535,536とを
有する。圧電板532は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛
系圧電セラミックスのような圧電材料により構成されて
おり、圧電セラミックスの場合には、厚み方向に一様に
分極処理されている。圧電板532は、矩形の平面形状
を有し、短辺に沿う第1の側面532aの一端側に第1
の支持部533が連結されており、短辺に沿う第2の側
面532bの一端に第2の支持部534が連結されてい
る。また、支持部533,534の外側には、支持部5
33,534よりも面積の大きな保持部535,536
が連結されている。
【0217】圧電共振子531では、上記圧電板53
2、第1,第2の支持部533,534及び第1,第2
の保持部535,536は、一枚の圧電板を用意し、該
圧電板に溝537,538を形成することにより構成さ
れている。すなわち、圧電板532、第1,第2の支持
部533,534及び保持部535,536は、同一材
料により一体的に構成されている。もっとも、圧電板5
32、第1,第2の支持部533,534及び第1,第
2の保持部535,536はそれぞれ別の部材で構成さ
れていてもよく、接着剤等により接合されて一体化され
てもよい。
【0218】圧電板532は、矩形の平面形状を有し、
その矩形面の長辺の長さをb、短辺の長さをaとし、圧
電板532を構成している材料のポアソン比をσとした
ときに、比b/aは、上述した式(3)を満たす値を中
心として±10%の範囲内とされている。
【0219】圧電板532の上面には、第1の共振電極
538が形成されており、下面には、第1の共振電極5
38と圧電板532を介して対向するように第2の共振
電極539が形成されている。第1,第2の共振電極5
38,539は、図55に示した+の極性の領域にほぼ
合致するように形成されている。すなわち、第1,第2
の共振電極538,539は、図55に示した仮想線D
に沿う方向に、すなわち一方の対角線に略沿う方向に延
ばされている。
【0220】第2の保持部536上には引き出し電極5
40が、第1の保持部535の下面には引き出し電極5
41が形成されている。第1の共振電極538は、接続
導電部542を介して引き出し電極540に電気的に接
続されており、他方、第2の共振電極539は、接続導
電部543を介して引き出し電極541に電気的に接続
されている。
【0221】圧電共振子531では、引き出し電極54
0,541から交流電圧を印加することにより、第1,
第2の共振電極538,539間に交流電圧が印加さ
れ、それによって上述した屈曲モードの2次高調波の振
動が強く励振される。
【0222】この場合、圧電板532の長辺と短辺の長
さの比b/aが、上述した式(3)を満たす値を中心と
して±10%の範囲内とされているため、支持部53
3,534までの部分に振動が効果的に閉じ込められ
る。従って、保持部535,536を利用して機械的に
保持したとしても、共振特性の劣化が生じ難い。言い換
えれば、支持部533,534までの部分に振動エネル
ギーが効果的に閉じ込められたエネルギー閉じ込め型の
圧電共振子531が提供される。
【0223】第10の実施例 図59〜61は、第10の実施例にかかるラダー型フィ
ルタを説明するための分解斜視図及び外観を示す斜視図
及びスペーサを示す斜視図である。
【0224】図59を参照して、第10の実施例では、
共振プレート581,582と、第1,第2のケース基
板583,584とが積層される。第2のケース基板5
84の上面に凹部584aが形成されており、第1のケ
ース基板583の下面にも凹部が形成されている。
【0225】共振プレート581は、すべりモードを利
用した第2のタイプの圧電共振子554の両側縁に、第
1,第2のスペーサー板585,586を接合した構造
を有する。また、共振プレート582は、第3のタイプ
の圧電共振子531Bの両側方に第1,第2のスペーサ
ー板587,588を接合した構造を有する。
【0226】圧電共振子531Bは、図57に示した圧
電共振子531とほぼ同様に構成されている。異なる点
は、接続導電部の形状及び引き出し電極の形成位置だけ
である。
【0227】また、上記第1,第2のスペーサー板58
5,586,587,588は、図29に示した第1,
第2のスペーサー板29,30と同様に構成されてい
る。本実施例のラダー型フィルタでは、上記第1,第2
の共振プレート581,582が、図60に示すスペー
サー589を介して積層される。
【0228】上記矩形枠状のスペーサー589は、第
1,第2の共振プレート581,582を積層した後に
おいて、圧電共振子554と、第1の圧電共振子531
Bとの振動部分の振動を妨げないための空間を確保する
ために挿入されている。
【0229】上記のようにして共振プレート581,5
82を積層し、さらに上下に第1,第2のケース基板5
83,584を貼り合わせることにより、図61に示す
積層体590を得ることができる。得られた積層体59
0において、両側面に、外部電極590a,590b及
び590c,590dを形成することにより、ラダー型
フィルタ591を得ることができる。
【0230】このラダー型フィルタ591では、上記外
部電極590aを入力端とし、外部電極590bを基準
電位に接続し、外部電極590cと外部電極590dと
を共通接続して出力端として用いることにより、図62
に示す1段のラダー型フィルタとして動作させることが
できる。
【0231】その他 上述した第1〜第10の実施例から明らかなように、本
発明のラダー型フィルタでは、少なくとも2個の圧電共
振子が積層されている。従って、容易にチップ型のラダ
ー型フィルタを得ることができる。しかも、上記第1〜
第4のタイプの各圧電共振子では、前述したように、圧
電振動部に振動エネルギーが効果的に閉じ込められるの
で、保持部において機械的に支持したとしても、その共
振特性の劣化がほとんどない。従って、第1〜第10の
実施例のように、保持部において他の部材に接合して共
振プレートを構成することにより、各圧電共振子の共振
特性を所望通りに発揮させることができる。よって、特
性の安定なラダー型フィルタを確実に提供することがで
きる。
【0232】なお、第1〜第10の実施例では、第1の
圧電共振子及び必要に応じて他の圧電共振子を接合し、
その両側に第1,第2のスペーサー板を接合して共振プ
レートを構成していたが、各共振プレートは同一の材料
により一体的に構成されていてもよい。例えば、図29
に示す実施例において、矩形の圧電板を用意し、共振プ
レート22の平面形状に合致するように該圧電板をレー
ザ等により加工し、所定の電極パターンを両面に形成す
ることにより、共振プレート22を得てもよい。この場
合には、共振プレート22が一体の部材で構成されてい
るため、共振プレート22の外周縁に存在する接合部を
省略することができ、それによってチップ型フィルタの
耐湿性を高めることができる。すなわち、得られたチッ
プ型フィルタにおいて、共振プレート21の側方からの
湿気の侵入を確実に防止することができる。
【0233】なお、第1〜第3の実施例では、第1のタ
イプの圧電共振子と組み合わされる圧電共振子として、
すべりモードを利用した第4のタイプの圧電共振子を示
したが、組み合わされる圧電共振子としては幅拡がりモ
ードを利用したものや長さモードを利用したものなど種
々のエネルギー閉じ込め型圧電共振子を用いることがで
きる。
【0234】また、第3のタイプの圧電共振子の電極形
状についても、図57及び図58に示したものに限られ
ない。例えば、図63及び図64に示すように、圧電振
動部600の上面に、一対の第1の共振電極601a,
601bを、下面に第1の共振電極601a,601b
と表裏対向するように形成された第2の共振電極602
a,602bを形成した構造であってもよい。この場
合、第1,第2の共振電極601a〜602bは、図5
5に示した電荷分布において−の極性の強い部分に形成
されている。従って、図57に示した圧電共振子531
と位相は逆であるが、同様に圧電振動部にエネルギーが
閉じ込められる屈曲モードの2n次の振動が確実に励振
される。
【0235】
【発明の効果】以上のように、本発明のラダー型フィル
タでは、直列共振子及び並列共振子のうち、少なくとも
2個の共振子が厚み方向に積層されているため、ラダー
型フィルタの平面形状を小さくすることができる。ま
た、このような積層構造を有するため、ラダー型フィル
タをチップ型部品として構成することも容易である。
【0236】また、本発明では、上記直列共振子及び並
列共振子のうち少なくとも1個の共振子が、板状の圧電
振動部と、該圧電振動部に連結された支持部と、支持部
に連結された保持部とを有し、支持部に振動エネルギー
が伝達されないように構成されたエネルギー閉じ込め型
の圧電共振子により構成されている。従って、圧電共振
子の共振特性を劣化させることなく、上記保持部を利用
して他の圧電共振子やケース基板等に固定することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のラダー型フィルタを説明するための分解
斜視図。
【図2】従来のラダー型フィルタの回路構成を示す図。
【図3】幅拡がりモードの圧電共振子で用いられる圧電
振動部を説明するための斜視図。
【図4】拡がりモードを説明するための略図平面図。
【図5】幅拡がりモードを説明するための略図的平面
図。
【図6】幅モードを説明するための略図的平面図。
【図7】(a)及び(b)は、幅拡がりモードの振動の
有限要素法により解析された変位分布を示す図及び
(a)における座標を説明するための図。
【図8】図7に示した変位分布におけるx方向に沿った
位置と変位量との関係を示す図。
【図9】ポアソン比と幅拡がりモードを励振させる寸法
比b/aとの関係を示す図。
【図10】比b/aと、図7に示した変位分布における
相対変位量との関係を示す図。
【図11】ポアソン比と比b/aとの関係を示す図。
【図12】(a)及び(b)は、それぞれ、第1のエネ
ルギー閉じ込め型圧電共振子の一例を示す平面図及び側
面図。
【図13】第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子の他の例を示す平面図。
【図14】第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子の一例を示す平面図。
【図15】第2のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子の一例を示す側面図。
【図16】図15に示した圧電共振子の斜視図。
【図17】(a)及び(b)は、それぞれ、すべり振動
モードで振動する振動体の振動姿態を説明するための模
式図及び(a)における座標形を示す図。
【図18】圧電体を示す略図的側面図。
【図19】圧電材料のポアソン比σと、比b/aとの関
係を示す図。
【図20】第2のタイプの圧電共振子における振動の変
位分布を示す有限要素法により解析した状態を示す図。
【図21】整数nと相対変位との関係を示す図。
【図22】第2のタイプの圧電共振子の一例を示す側面
図。
【図23】第2のタイプの圧電共振子のさらに他の例を
示す斜視図。
【図24】第2のタイプの圧電共振子の他の例を示す平
面図。
【図25】第2のタイプの圧電共振子のさらに他の例を
示す平面図。
【図26】第2のタイプの圧電共振子の他の例を示す斜
視図。
【図27】第2のタイプの圧電共振子を構成するための
圧電振動部、支持部、動吸振部及び保持部を一体化した
構造を示す斜視図。
【図28】連結部と保持部とが一体化された圧電板を示
す斜視図。
【図29】第1の実施例のラダー型フィルタの分解斜視
図。
【図30】第1の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図31】(a)及び(b)は、第1の実施例に用いら
れる動吸振部内蔵型圧電共振子を説明するための各斜視
図。
【図32】第1の実施例において端子電極の結線状態を
説明するための模式的平面図。
【図33】第1の実施例のラダー型フィルタの回路構成
を示す図。
【図34】第2の実施例のラダー型フィルタを説明する
ための分解斜視図。
【図35】第2の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図36】(a)及び(b)は、それぞれ、第2の実施
例で用いられる長さモードを利用した動吸振部内蔵型圧
電共振子を説明するための各平面図。
【図37】第2の実施例のラダー型フィルタの回路構成
を示す図。
【図38】第3の実施例のラダー型フィルタを示す分解
斜視図。
【図39】第3の実施例のラダー型フィルタの斜視図。
【図40】第3の実施例のラダー型フィルタの回路構成
を示す図。
【図41】第4の実施例のラダー型フィルタを説明する
ための分解斜視図。
【図42】第4の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図43】第4の実施例のラダー型フィルタの回路構成
を示す図。
【図44】第5の実施例のラダー型フィルタを説明する
ための分解斜視図。
【図45】第5の実施例のラダー型フィルタの外管を示
す斜視図。
【図46】第6の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図47】第6の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図48】本発明の第7の実施例に係るラダー型フィル
タを説明するための分解斜視図。
【図49】第7の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図50】第8の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図51】第9の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図52】第3のタイプの圧電共振子を説明するための
モデルとして圧電板を示す斜視図。
【図53】図52に示した圧電板の変位状態を有限要素
法で解析した状態を模式的平面図。
【図54】図52に示した圧電板に支持部及び保持部を
連結した構造の変位状態を有限要素法で解析した状態を
示す模式的断面図。
【図55】図54の変位状態における電荷分布を示す平
面図。
【図56】(a)及び(b)は、それぞれ、圧電材料の
ポアソン比と、比b/aとの関係及び整数nと相対変位
との関係を示す図。
【図57】第3のタイプの圧電共振子の一例を示す平面
図。
【図58】圧電板を透かして図57に示した圧電共振子
の下方の電極形状を示す模式的平面図。
【図59】第10の実施例に係るラダー型フィルタを説
明するための分解斜視図。
【図60】スペーサを示す斜視図。
【図61】第10の実施例に係るラダー型フィルタの外
観を示す斜視図。
【図62】第10の実施例のラダー型フィルタの回路構
成を示す図。
【図63】第3のタイプの圧電共振子の他の例を説明す
るための平面図。
【図64】第3のタイプの圧電共振子において圧電板を
透かして下方の電極形状を示した平面図。
【符号の説明】
20…ラダー型フィルタ 22,23…共振プレート 26,27,31…すべりモードを利用した動吸振部内
蔵型圧電共振子 28,32,33…幅モードを利用した動吸振部内蔵型
圧電共振子 28a…圧電セラミック板 28b…共振部 28d,28e…支持部 28f,28g…動吸振部 28h,28i…連結部 28j,28k…保持部 40…ラダー型フィルタ 52…動吸振部内蔵型圧電共振子 52a…共振部 52b,52c…支持部 52d,52e…動吸振部 52f…連結部 52g,52h…保持部 61…動吸振部内蔵型圧電共振子

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直列腕を構成する少なくとも1個の直列
    共振子と、並列腕を構成する少なくとも1個の並列共振
    子とを備えるラダー型フィルタであって、 少なくとも1個の板状の共振子と、 前記少なくとも1個の共振子に積層された少なくとも1
    個の板状の他の共振子とを備え、 前記直列共振子及び並列共振子のうち少なくとも1個の
    共振子が、板状の圧電振動部と、圧電振動部に連結され
    た支持部と、支持部に連結された保持部とを有するエネ
    ルギー閉じ込め型の共振子である、ラダー型フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記並列共振子及び直列共振子のうちの
    少なくとも1個の共振子が、短辺の長さがa、長辺の長
    さがbであり、圧電振動部を構成している材料のポアソ
    ン比をσとしたときに、長辺と短辺の長さの比b/a
    が、 【数1】 を中心として±10%の範囲内とされている矩形板状の
    圧電振動体と、 前記圧電振動部の短辺中央に連結された支持部と、前記
    支持部の外側端に連結された保持部とを備える幅拡がり
    モードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子で
    ある、請求項1に記載のラダー型フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記直列共振子及び並列共振子のうち、
    少なくとも1個の共振子が、 1つの方向に分極処理された板状の圧電体と、前記分極
    方向に直交する方向に交流電圧を印加するために圧電体
    に形成された第1,第2の共振電極とを有し、前記分極
    方向に平行な圧電体面が矩形形状を有し、該矩形面の短
    辺の長さをa、長辺の長さをbとし、圧電体のポアソン
    比をσとしたときに、比b/aが、 【数2】 を中心として±10%の範囲内とされている圧電振動部
    と、 圧電振動部に連結された支持部と、支持部に連結された
    保持部とを備えるすべりモードを利用したエネルギー閉
    じ込め型の圧電共振子である、請求項1に記載のラダー
    型フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記直列共振子及び並列共振子のうち、
    少なくとも1個の共振子が、 対向する一対の矩形の面と、一対の矩形の面を結ぶ4つ
    の側面とを有する板状の圧電振動部と、 前記圧電振動部の前記一対の矩形面上に形成された第
    1,第2の共振電極と、前記圧電振動部の側面のうち、
    前記矩形面の短辺に沿う側面の一端側に連結された支持
    部と、支持部に連結された保持部とを備え、 前記矩形面の短辺の長さをa、長辺の長さをb、圧電振
    動部を構成する材料のポアソン比をσとしたときに、比
    b/aが、 【数3】 を満たす値を中心として±10%の範囲内とされてお
    り、圧電横効果を利用して2n次(但し、nは整数)の
    屈曲モードの振動を励振させるように構成されている第
    1の圧電共振子である、請求項1に記載のラダー型フィ
    ルタ。
  5. 【請求項5】 前記圧電振動部と、前記支持部との間に
    設けられた動吸振部をさらに備える、請求項1〜4の何
    れかに記載のラダー型フィルタ。
  6. 【請求項6】 前記圧電振動部の両側に、それぞれ、支
    持部及び保持部が連結されている、請求項1に記載のラ
    ダー型フィルタ。
  7. 【請求項7】 第1,第2のケース基板をさらに備え、 前記第1,第2のケース基板間に、前記少なくとも1個
    の共振子及び少なくとも1個の他の共振子が挟持されて
    いる、請求項1または6に記載のラダー型フィルタ。
  8. 【請求項8】 ベース基板と、ベース基板上に固定され
    たキャップ材とをさらに備え、 前記ベース基板上に、前記少なくとも2つの直列共振子
    が積層されており、 前記キャップ材が、積層された複数の共振子を囲むよう
    に、該キャップ材が前記ベース基板に固定されている、
    請求項1または6に記載のラダー型フィルタ。
  9. 【請求項9】 全ての前記直列共振子及び並列共振子
    が、板状の圧電振動部と、前記圧電振動部に連結された
    支持部と、前記支持部に連結された保持部とを前記圧電
    振動部の両側に有する、請求項1に記載のラダー型フィ
    ルタ。
  10. 【請求項10】 前記圧電共振子の両側に設けられた前
    記保持部を結ぶ方向の両側に、第1,第2のスペーサ板
    が、前記圧電共振子の振動部分の振動を妨げないように
    連結されており、それによって圧電共振子及び第1,第
    2のスペーサ板により共振プレートが構成されている、
    請求項9に記載のラダー型フィルタ。
  11. 【請求項11】 前記共振プレートを構成している圧電
    共振子及び第1,第2のスペーサ板が同一の部材により
    一体に形成されている、請求項10に記載のラダー型フ
    ィルタ。
  12. 【請求項12】 前記圧電共振子の両側に設けられた保
    持部を結ぶ方向の少なくとも一方側に、少なくとも1個
    の他の圧電共振子が、互いの圧電振動部の振動を妨げな
    いように連結されている、請求項9に記載のラダー型フ
    ィルタ。
  13. 【請求項13】 前記圧電共振子及び該圧電共振子に連
    結された少なくとも1個の圧電共振子の連結材の両側
    に、第1,第2のスペーサ板が、圧電共振子の振動を妨
    げないように連結されており、それによって共振プレー
    トが構成されている、請求項12に記載のラダー型フィ
    ルタ。
  14. 【請求項14】 前記共振プレートを構成している複数
    の圧電共振子、第1,第2のスペーサ板が同一の部材に
    より一体に形成されている、請求項13に記載のラダー
    型フィルタ。
  15. 【請求項15】 前記圧電振動部に設けられた第1,第
    2の共振電極と、 前記保持部に形成された引き出し電極とをさらに備え、 第1,第2の共振電極が前記引き出し電極に電気的に接
    続されている、請求項1に記載のラダー型フィルタ。
  16. 【請求項16】 外表面に形成された複数の外部電極を
    さらに備え、前記複数の外部電極が、所定の前記引き出
    し電極に電気的に接続されている、請求項15に記載の
    ラダー型フィルタ。
  17. 【請求項17】 直列腕を構成する少なくとも1個の直
    列共振子と、並列腕を構成する少なくとも1個の並列共
    振子とを備えるラダー型フィルタであって、 少なくとも1個の矩形板状の共振子と、 前記少なくとも1個の矩形板状の共振子に積層された少
    なくとも1個の矩形板状の共振子とを備え、 前記直列共振子及び並列共振子のうち少なくとも1個の
    共振子が、短辺の長さがa、長辺の長さがbであり、構
    成材料のポアソン比をσとしたときに、長辺と短辺の長
    さの比b/aが、 【数4】 を中心として±10%の範囲内とされている矩形板状の
    圧電共振子であり、 前記圧電共振子が、幅拡がりモードを利用したエネルギ
    ー閉じ込め型の圧電共振子である、ラダー型フィルタ。
  18. 【請求項18】 前記直列共振子及び並列共振子の全て
    の共振子が、上記幅拡がりモードを利用したエネルギー
    閉じ込め型の圧電共振子により構成されている、請求項
    17に記載のラダー型フィルタ。
  19. 【請求項19】 前記複数のエネルギー閉じ込め型の圧
    電共振子が、前記短辺の中央近傍の領域において隣接す
    る圧電共振子の主面同士が接合されている、請求項18
    に記載のラダー型フィルタ。
  20. 【請求項20】 前記圧電共振子の接合が、接着剤を用
    いて行われており、該接着剤が、接合される両側の圧電
    共振子の振動を妨げないための空間を形成するように、
    所定の厚みを有する、請求項19に記載のラダー型フィ
    ルタ。
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