JP2007274347A - ラーメモード水晶振動子およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】 ラーメモード水晶振動子の振動子形状に関するものであり、特に、小型化、高精度化、低CI値を実現し、ラーメモード水晶振動子全体の機械的強度を向上する振動子形態とその製造方法を得ることを目的とする。
【解決手段】 課題を解決するために本発明は、矩形状の水晶素子に電荷を加えたときに、前記水晶素子の角部4点を節として、前記矩形状の長手方向に伸びたときには短手方向に伸縮し、かつ、前記矩形状の短手方向に伸びたときには長手方向に伸縮する輪郭振動の振動形態を生じる、LQ1Tカットあるいは、LQ2Tカットの水晶基板から成り、振動部、支持部、接続部で構成するラーメモード水晶振動子において、前記水晶素子の前記接続部にガラス材が接合されているラーメモード水晶振動子とその製造方法により課題を解決する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ラーメモード水晶振動子の振動子形状に関するものであり、特に、小型化、高精度化、低CI値を実現し、ラーメモード水晶振動子全体の機械的強度を向上する振動子形態とその製造方法に関するものである。
ラーメモード水晶振動子は小型で低周波数を実現する上で最適な振動モードを得ることができる。そのため低周波の振動子でありながら小型化を実現するということは、近年めざましい進化を遂げている携帯電話、携帯型の小型ゲーム機器などに広く利用される大きな市場がある。
ラーメモード水晶振動子は数十μmの板厚の圧電基板により形成されており、ラーメモード水晶振動子を保持するためには振動の阻害にならないように、回転モーメントはあるが変位の無い振動の節を保持することが一般的である。図6に示すように四隅の接続部を介して支持と保持がなされている。この節からアームを引き出し保持部へ接続し、接続部を介してパッケージと実装して組立ることで振動子を得ている。このときのアーム部はなるべく細くすることにより振動の阻害を少なくし、等価直列抵抗を小さくすることができる。そのため、落下衝撃時に強い構造が必要となる。
要するに、従来は振動子を作製する際には等価抵抗値R1の上昇を避けるために振動の節となっている正方形の四隅に支持部を設けており、その関係で、振動部と支持部及び接続部は一体で形成されるため振動の節となっている四隅にはモーメント力が生じてしまう。そのために支持部の設計が適切でない場合、振動のエネルギーが支持部に漏れてしまい等価抵抗値R1が大きくなってしまう。更に等価抵抗値R1を小さくすること則ち、等価抵抗値R1の上昇を軽減する目的で四隅からの支持部の幅、及び厚みを小さくすると落下等の衝撃を受けた場合や過大な励振電流により振幅が大きくなった場合に破損するおそれがある。
上述のように、ラーメモード水晶振動子は正方形板の場合、四隅が節(回転ノード)となって面内で等体積的に振動する振動モードであることから、従来のラーメモード水晶振動子は等価抵抗値R1の良い(低い)振動子を得るために振動の節となっている四隅から支持部を引き出すことが最も有効な支持方法であり、実際の支持方法については、振動子の支持部には接続部を介してセラミックなどの基板に導電性接着剤を用いて固定しているのが現状である。
上述のプロセスの一例を図7に示すが、ウエハー洗浄、ライトエッチング、プロテクト蒸着膜(CrAu)、レジスト塗布、露光、現像、パターニング、エッチング、レジスト剥離、CrAu剥離、洗浄、励振電極蒸着の一連の工程で素子が形成され、セラミック材質などのパッケージに導電性接着剤にて搭載されてラーメモード水晶振動子を得る。
特開2003−142979号公報 特開2001−313537号公報 特開2004−242256号公報 特開2005−244702号公報 なお出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
上述する従来のラーメモード水晶振動子は振動部の辺比が整数の矩形板となるため、例えば振動部四隅を支持する場合には、振動の節は四隅となり振動変位が小さい部分であることから振動部の保持によるラーメモードの振動を阻害することは無い。
しかしながら、振動部と支持部と接続部が一体で形成される構造であるために、ラーメモード水晶振動子を容器に実装し収納すると、振動部と支持部とを接続する部分にはラーメモード振動の節から発生するモーメント力が生じるために、そのモーメント力の影響を受けて、接続部には屈曲振動が発生してしまう。
従って支持部及び接続部の形状を適切な設計値にしないと振動部の振動漏れが生じ、振動部を保持する支持部や接続部にまで不必要な振動が伝達することから、純粋なラーメモードの振動を阻害されるおそれがある。
加えて、振動部分を何らかの手段により容器に実装するために、支持部及び接続部が必要になってくる。そのために振動子という形態で考えると振動部に加えて支持部と接続部などが一体となった構造が必要となってくるために、全体的に小型化が難しくなっている現状にある。その一方で小型化を推進する上で振動部以外の支持部などを軽量化し脆弱な形状にすることにより、Q値を高く維持することはできるものの、従来のラーメモード水晶振動子の構造上水晶振動子の持つインピーダンス(CI値)を低く抑えることが難しいのが現状である。
そこで、振動部のみを薄くすることでCI値を抑える技術が知られている。その場合振動子の厚み加工をパウダービームにより実現する手法や、化学エッチング手法を用いる記載があるが、パウダービームは機械的な加工処理であることから、製造工程におけるコストの低減が難しいことと、量産化する上でもまた、加工時間を考えても多大の処理時間がかかることが見込まれている。また、振動部のみを薄くすることは機械的な強度不足を招くことも考えられ、実用上の使用に耐えにくいという課題も挙げられている。
そこで本発明は、矩形状の水晶素子に電荷を加えたときに、前記水晶素子の角部4点を節として、前記矩形状の長手方向に伸びたときには短手方向に伸縮し、かつ、前記矩形状の短手方向に伸びたときには長手方向に伸縮する輪郭振動の振動形態を生じる、LQ1Tカットあるいは、LQ2Tカットの水晶基板から成り、振動部、支持部、接続部で構成するラーメモード水晶振動子において、前記水晶素子の前記接続部にガラス材が接合されているラーメモード水晶振動子である。
また、上述のラーメモード水晶振動子を得る手法としては、矩形状の水晶素子に電荷を加えたときに、前記水晶素子の角部4点を節として、前記矩形状の長手方向に伸びたときには短手方向に伸縮し、かつ、前記矩形状の短手方向に伸びたときには長手方向に伸縮する輪郭振動の振動形態を生じる、LQ1Tカットあるいは、LQ2Tカットの水晶基板から成り、振動部、支持部、接続部で構成するラーメモード水晶振動子の製造方法おいて、前記水晶素子の主面にガラスの平板を接合する工程と、前記水晶素子の接続部を除く部位全てのガラスを除去する工程と、前記水晶素子にパターンニングする工程と、前記水晶素子に電極を形成する工程とにより構成されるラーメモード水晶振動子の製造方法である。このとき、ガラスの除去工程と水晶素子にパターンニングする工程にはウェットエッチング工法が用いられる。
そこで本願発明者は、ガラスと水晶素子の各々のエッチング条件で最も効率的な処理条件を探し当てたものである。また、本願発明者は今日までのラーメモード水晶振動子の支持構造の改善と共に、電気的な諸特性の維持向上と、機械的な強度、耐衝撃性強度を維持向上したラーメモード水晶振動子の実現により従来の課題を改善した。
上述のように本発明のラーメモード水晶振動子の形態とその製造方法を用いることにより、ラーメモード水晶振動子の構成要素である、接続部の機械的な強度を向上しながら、本来の電気的特性には影響を与えずにラーメモード水晶振動子の製造を実現することができる。その結果、製造工程での歩留まりを改善し、製造コストの低減と量産化時の時間短縮を実現することができる。
以下、図面に従ってこの発明の実施例を説明する。なお、各図において同一の符号は同様の対象を示すものとする。
圧電素板を基板にした水晶素子1で、その基板の辺比の一方の寸法を1(L)としたとき、もう一方の寸法が整数比(1(L)〜n)を満たす板の四隅に無振動部を有することにラーメモード振動子の特徴がある。図1に示すように正方形板の場合は四隅が節となって向かい合う2辺Aが正方形の中心方向に変位したときはもう一方の2辺Bが正方形の外方向に変位し、また向かい合う2辺Aが正方形の外方向に変位したときはもう一方の2辺Bが正方形の中心方向に変位する振動形態である。
従って、図1(a)と図1(b)の動作を繰り返す形態で振動する。この図1は正方形板の最低次の振動モードと呼ぶ。また図1(c)には振動板の寸法概念を示す。そして図2にはその振動モードの模式図を示している。また、図3については、基本形を元にして高次の振動モードを例にしたものである。考え方は図1の基本形と同様であり、図3(a)は二次(モード)の場合を示し、図3(b)は三次(モード)の場合を示したものである。なお、図1と図3に示す△マークはラーメモード振動子の無振動部を表すものである。
さて本発明の特徴として、図4に本発明のラーメモード水晶振動子の概念形状を示す。図4(a)は斜視図であり、図4(b)はA−A断面での部分断面図である。矩形状の水晶素子に電荷を加えたときに、水晶素子の角部4点を節として、矩形状の長手方向に伸びたときには短手方向に伸縮し、かつ、矩形状の短手方向に伸びたときには長手方向に伸縮する輪郭振動の振動形態を生じる、LQ1Tカットあるいは、LQ2Tカットの水晶基板から成り、振動部1、支持部2、接続部3で構成するラーメモード水晶振動子において、水晶素子の接続部にガラス4材が接合された形態を有することを描画したものである。図4(a)では支持部の形状を一例でありその他の支持形状であっても同様の効果を奏する。
また、図5については、本発明のラーメモード水晶振動子の素子外形を得るフロー図を示したものである。上述のラーメモード水晶振動子を得る手法としては、矩形状の水晶素子に電荷を加えたときに、水晶素子の角部4点を節として、矩形状の長手方向に伸びたときには短手方向に伸縮し、かつ、矩形状の短手方向に伸びたときには長手方向に伸縮する輪郭振動の振動形態を生じる、LQ1Tカットあるいは、LQ2Tカットの水晶基板から成り、振動部1、支持部2、接続部3で構成するラーメモード水晶振動子の製造方法おいて、水晶素子の主面にガラス4の平板を接合する工程と、水晶素子の接続部を除く部位全てのガラス4を除去する工程と、水晶素子にパターンニングする工程と、水晶素子に電極を形成する工程とにより構成されるラーメモード水晶振動子の製造方法である。
このとき、ガラス4の除去工程と水晶素子にパターンニングする工程にはウェットエッチング工法が用いられるが、ガラス4を部分的に除去するときに用いるウェットエッチング液と、水晶素子のパターンニングを行うのに用いるウェットエッチング液には、双方で処理速度が異なることから、ガラス4を処理する場合には水晶素子を処理するものに比べてウェットエッチング液濃度が薄いものが用いられる。なお、上述する工程の中で、ガラス4平板との接合に関連する以外のラーメモード水晶振動子の素子形状得る工程については従来工程に準じて形成するものである。
ラーメモード水晶振動子の1次の形態を示す平面図である。 図1に示す振動形態を解析するモードである。 図1の基本形を基に、高次の場合の振動形態を示す平面図である。 本発明のラーメモード振動子の形態を示す斜視図である。 本発明の素子形成のフロー図である。 従来例として示すラーメモード水晶振動子形態の概念図である。 ラーメモード振動子の素子を形成する製造プロセスを示すフロー図である。
符号の説明
1 振動部
2 支持部
3 接続部
4 ガラス

Claims (3)

  1. 矩形状の水晶素子に電荷を加えたときに、前記水晶素子の角部4点を節として、前記矩形状の長手方向に伸びたときには短手方向に伸縮し、かつ、前記矩形状の短手方向に伸びたときには長手方向に伸縮する輪郭振動の振動形態を生じる、LQ1Tカットあるいは、LQ2Tカットの水晶基板から成り、振動部、支持部、接続部で構成するラーメモード水晶振動子において、
    前記水晶素子の前記接続部にガラス材が接合されていることを特徴とするラーメモード水晶振動子。
  2. 矩形状の水晶素子に電荷を加えたときに、前記水晶素子の角部4点を節として、前記矩形状の長手方向に伸びたときには短手方向に伸縮し、かつ、前記矩形状の短手方向に伸びたときには長手方向に伸縮する輪郭振動の振動形態を生じる、LQ1Tカットあるいは、LQ2Tカットの水晶基板から成り、振動部、支持部、接続部で構成するラーメモード水晶振動子の製造方法おいて、
    前記水晶素子の主面にガラスの平板を接合する工程と、前記水晶素子の接続部を除く部位全てのガラスを除去する工程と、前記水晶素子にパターンニングする工程と、前記水晶素子に電極を形成する工程とにより構成されることを特徴とするラーメモード水晶振動子の製造方法。
  3. 請求項2において、ガラスの除去工程と水晶素子にパターンニングする工程にはウェットエッチング工法が用いられていることを特徴とするラーメモード水晶振動子の製造方法。
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