JP2004336677A - 複合輪郭モード水晶振動子 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い小型水晶振動子を提供することにある。
【解決手段】水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度18°〜28°回転したカット面か、または、正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度62°〜72°回転したカット面か、どちらか一方を有する正方形振動部を具え、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動する複合輪郭モード水晶振動子を作成する。その結果、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い小型水晶振動子を提供することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度18°〜28°回転したカット面か、または、正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度62°〜72°回転したカット面か、どちらか一方を有する正方形振動部を具え、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動する複合輪郭モード水晶振動子を作成する。その結果、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い小型水晶振動子を提供することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波数、小型、高精度、耐衝撃性、低廉化などの要求の強い携帯機器用、及び、民生機器用の基準信号源として、最適なカット方式と振動子形状と電極構成とを有し、正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動する複合輪郭モード水晶振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、水晶を用いたラーメモード水晶振動子が知られている。図14は、正方形の振動部を具える従来のラーメモード水晶振動子を示す(例えば、特許文献1参照。)。図14において、ラーメモード水晶振動子501は、正方形振動部503と接続部504,510と支持部505,509とマウント部507と電極502,506,508等とを具えて構成されている。正方形振動部503は、2個の接続部504,510を介してそれぞれ支持部505,509に接続され、更に、支持部505,509は、マウント部507に接続されている。このラーメモード水晶振動子501の正方形振動部503と接続部504,510と支持部505,509とマウント部507とは、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。このラーメモード水晶振動子501の正面と背面とには、電極502,506,508等が、励振電極、及び、給電電極として配置されている。
【0003】
更に、もうひとつの従来の技術として、水晶を用いた輪郭すべりモード水晶振動子が知られている。図15は、正方形の振動部を具える従来の輪郭すべりモード水晶振動子を示す(例えば、非特許文献1参照。)。図15において、輪郭すべりモード水晶振動子511は、正方形振動部515と接続部514,519と環状接続部512,517とマウント部513,518と電極516,520等とを具えて構成されている。正方形振動部515は、2個の接続部514,519を介してそれぞれ環状接続部512,517に接続され、更に、環状接続部512,517は、それぞれマウント部513,518に接続されている。環状接続部512,517には、それぞれ貫通穴512a,517aがあいている。この輪郭すべりモード水晶振動子511の正方形振動部515と接続部514,519と環状接続部512,517とマウント部513,518とは、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。この輪郭すべりモード水晶振動子511の正面と背面とには、電極516,520等が励振電極、及び、給電電極として配置されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−069373号公報(第1図)
【非特許文献1】
川島宏文、平間宏一、斎藤直哉、小山光明、共著「水晶振動子とその応用デバイス」電子情報通信学会論文誌、C−I Vol.J82−C−I No.12、1999年12月、p.667−682(図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水晶振動子の周波数温度特性は、温度tに対する周波数偏差ΔF/Fを、テイラー展開項の第3次項まで考慮した関係式、ΔF/F=α(t−t0)+β(t−t0)2+γ(t−t0)3、に近似して評価することが通例である。このとき、αは1次温度係数であり、βは2次温度係数であり、γは3次温度係数であり、t0はテイラー展開温度(基準温度)である。また、水晶振動子を発振回路の基準信号源として応用する場合、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さいことが好ましい。従来のラーメモード水晶振動子には、テイラー展開温度t0を25℃としたときに1次温度係数αが大略零となるカット方式の水晶振動子として、水晶の正方形Y板(機械軸y軸に垂直な表面を有する正方形の板)を電気軸x軸を中心軸として角度35.7°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度45°回転したカット面を有する正方形振動部を具えたLQ1Tカットラーメモード水晶振動子がある。しかしながら、このLQ1Tカットラーメモード水晶振動子は、2次温度係数βが大略−5.6×10−8/℃2となり、広い温度範囲に亘って周波数変化が大きいという課題が残された。また、従来の輪郭すべりモード水晶振動子には、テイラー展開温度t0を25℃としたときに1次温度係数αが大略零となるカット方式の水晶振動子として、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度37.4°回転したカット面を有する正方形振動部を具えたCTカット輪郭すべりモード水晶振動子がある。しかしながら、このCTカット輪郭すべりモード水晶振動子は、2次温度係数βが大略−5.4×10−8/℃2となり、広い温度範囲に亘って周波数変化が大きいという課題が残された。このようなことから、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い小型水晶振動子が所望されていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の方法で従来の課題を有利に解決した複合輪郭モード水晶振動子を提供することを目的とするものである。
【0007】
即ち、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度18°〜28°回転したカット面か、または、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度62°〜72°回転したカット面か、どちらか一方を有する正方形振動部を具え、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動し、前記正方形振動部と接続部とマウント部と電極と、または、前記正方形振動部と接続部と環状接続部とマウント部と電極と、または、前記正方形振動部と接続部と支持部とマウント部と電極とを具えて構成された複合輪郭モード水晶振動子において、前記正方形振動部の輪郭辺の中心部と端部とを除いた、輪郭辺上にある2箇所の接続点に、それぞれ1個づつ前記接続部を設け、前記接続部や前記環状接続部等を介して、前記正方形振動部を、前記マウント部、または、前記支持部に接続する構造を、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成することにより課題を解決したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明において利用する現象と実施例とを図面に基づき具体的に述べる。
【0009】
図1は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部1とその座標系を示す。水晶の結晶構造の座標系は、原点o、電気軸x、機械軸y、光軸zからなり、座標系o−xyzを構成している。本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部1は、水晶の正方形Y板を、電気軸x軸を中心軸としてカット角度φ回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸としてカット角度θ回転したカット面を有し、電気軸xの新軸x′方向の寸法と光軸zの新軸z″方向の寸法とが等しい長さL0となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部1のy′方向の寸法は、厚さT0であり、T0≪L0の関係となる。
【0010】
図2は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子において複合利用する輪郭系振動モードのモード形状を示す。図2(a)は、ラーメモードのモード形状を示し、図2(b)は、輪郭すべりモードのモード形状を示し、図2(c)は、輪郭拡大縮小モードのモード形状を示す。図2中の実線で描かれた輪郭2,3,4,5,6,7,8,9,10は、各モードのモード形状輪郭を示し、破線で描かれた輪郭11,12,13,14,15,16は、正方形振動部1の元の外形輪郭を示す。正方形振動部1がこれらの輪郭系振動モードで共振する場合の共振周波数Fmは、周波数定数をmとしたとき、Fm=m/L0の関係式に従う。本発明において、図2(a),(b),(c)に示したこれら3種の輪郭系振動モードを複合した振動モードを複合輪郭モードと呼称する。本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部は、共振時にこの複合輪郭モードで振動する。
【0011】
図3は、本発明における正方形振動部1の共振周波数の周波数温度特性の1次温度係数αが零となるカット角度θ(0°≦θ≦90°)とカット角度φとの関係を示す。このときテイラー展開温度t0を25℃とする。図3中の曲線17,18,19は、1次温度係数αが零となるカット角度θとカット角度φとの関係を示す。曲線17,19上の点20,22が示すように、カット角度θ=0°,90°(カット角度φ=37.4°)のとき、CTカット輪郭すべりモード水晶振動子となり、曲線18上の点21が示すように、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、LQ1Tカットラーメモード水晶振動子となる。また、曲線17,18,19が示すように、カット角度θ=18°とカット角度θ=72°とに破線で描かれた境界線23,24を境として、境界線23,24付近の1次温度係数αが零となるカット角度φの値が急増加している。
【0012】
図4は、図3の関係において、カット角度θを媒介変数としたとき正方形振動部1が共振時にどのような振動モードで振動するかを示す。この図4では、媒介変数としてのカット角度θをカット角度θ=0°,30°,45°,60°,90°とする。図4(a)は、カット角度θ=0°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(b)は、カット角度θ=30°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(c)は、カット角度θ=45°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(d)は、カット角度θ=60°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(e)は、カット角度θ=90°のときの振動モードのモード形状を示す。図4中の実線で描かれた輪郭30,31,32,33,34は、各モードのモード形状輪郭を示し、破線で描かれた輪郭25,26,27,28,29は、正方形振動部1の元の外形輪郭を示す。図4(a),(e)が示すように、カット角度θ=0°,90°のとき、正方形振動部1は、共振時に輪郭すべりモードで振動する。また、図4(c)が示すように、カット角度θ=45°のとき、正方形振動部1は、共振時にラーメモードで振動する。そして、図4(b),(d)が示すように、カット角度θ=30°,60°のとき、正方形振動部1は、共振時に輪郭すべりモードとラーメモードとの中間的な形状のモードで振動する。この図4(b),(d)が示すようなカット角度θの範囲が0°<θ<45°、及び、45°<θ<90°の範囲内で発生する輪郭すべりモードとラーメモードとの中間的な振動モードを総称して中間モードと呼称する。
【0013】
図4中の図4(a),(b),(c),(d),(e)を図4(a)から図4(e)へと順番に見ていくと、正方形振動部1の共振時におけるモード形状は、本来、カット角度θ(0°≦θ≦90°)を媒介変数として、輪郭すべりモード−中間モード−ラーメモード−中間モード−輪郭すべりモードとなるモード形状の連続性があることが推測できる。
【0014】
図5は、図3の関係において、カット角度θ(0°≦θ≦90°)と2次温度係数βとの関係を示す。この図5中の曲線35,36,37は、カット角度θと2次温度係数βとの関係を示す。曲線36が示すように、カット角度θ=18°〜28°、及び、カット角度θ=72°〜62°の範囲で2次温度係数βが、LQ1Tカットラーメモード水晶振動子の2次温度係数β≒−5.6×10−8/℃2に比べて大きくなっている。特筆すべき例として、曲線36上の点38,39が示すカット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、及び、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、2次温度係数βは、大略零となる。
【0015】
図6は、図3の関係において、カット角度θ(0°≦θ≦90°)と3次温度係数γとの関係を示す。この図6中の曲線42,43,44は、カット角度θと3次温度係数γとの関係を示す。この図6中の曲線43が示す例として、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、及び、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、3次温度係数γ≒−3.7×10−10/℃3となる。
【0016】
図7は、図3の関係において、カット角度θ(0°≦θ≦90°)と周波数定数m1,m2との関係を示す。この図7中の曲線47は、正方形振動部1が大略、輪郭すべりモード−中間モード−ラーメモード−中間モード−輪郭すべりモードで共振する場合の周波数定数m1を示し、曲線48は、正方形振動部1が大略、輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数定数m2を示す。正方形振動部1が大略、輪郭すべりモード−中間モード−ラーメモード−中間モード−輪郭すべりモードで共振する場合の共振周波数F1は、F1=m1/L0の関係式に従う。また、正方形振動部1が大略、輪郭拡大縮小モードで共振する場合の共振周波数F2は、F2=m2/L0の関係式に従う。この図7の曲線47と曲線48とは、カット角度θ=18°,72°のとき交差する。この曲線47と曲線48とが交差するカット角度θ=18°,72°のときの点49,50付近で、正方形振動部1が本来、中間モードで共振する場合と輪郭拡大縮小モードで共振する場合との双方のモード共振が結合現象を起こし、互いの振動モードのモード形状と共振周波数とに影響を及ぼしあう。
【0017】
図8は、図7で示した点49,50付近で起こる結合現象によって周波数温度特性が変化する現象を詳述する為の説明図である。図8(a)は、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、正方形振動部1がラーメモード共振する場合と輪郭拡大縮小モード共振する場合との周波数温度特性を示す。更に、図8(b)は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が中間モード共振する場合と輪郭拡大縮小モード共振する場合と複合輪郭モード共振する場合との周波数温度特性を示す。尚、この図8(a),(b)のグラフは、正方形振動部1のx′方向とz″方向との輪郭辺の寸法L0をL0=1mmとしたときの各モードの周波数温度特性を示しているので、縦軸が周波数(MHz)となる。
【0018】
図8(a)中の曲線51は、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、正方形振動部1がラーメモードで共振する場合の周波数温度特性を示し、曲線52は、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、正方形振動部1が輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数温度特性を示す。図8(a)のカット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、ラーメモードで共振する場合の周波数と輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数とは、十分に周波数差があるので、双方のモード共振は、殆ど結合現象を起こさず、互いの周波数温度特性とモード形状とに影響を及ぼしあわない。
【0019】
図8(b)中の実線で描かれた曲線53,55は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が複合輪郭モードで共振する場合の周波数温度特性を示し、破線で描かれた曲線56は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数温度特性を示し、破線で描かれた曲線54は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が中間モードで共振する場合の周波数温度特性を示す。このとき、中間モードで共振する場合の周波数と輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数とは、比較的、周波数差が無いので、双方のモード共振は、結合現象を起こし、互いの周波数温度特性とモード形状とに大きな影響を及ぼしあう。即ち、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が中間モードで共振する場合の周波数温度特性は、本来、破線で描かれた曲線54のはずであるが、近傍の低周波数領域に輪郭拡大縮小モード共振が存在するので、結合現象を起こし、互いのモード共振の共振周波数が反発しあい、結果として曲線53で示す、結合現象により生じるモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで共振する場合の周波数温度特性に変化する。同時に、このとき正方形振動部1が輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数温度特性は、本来、破線で描かれた曲線56のはずであるが、近傍の高周波数領域に中間モード共振が存在するので、結合現象を起こし、互いのモード共振の共振周波数が反発しあい、結果として曲線55で示す、結合現象により生じるモード形状が輪郭拡大縮小モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで共振する場合の周波数温度特性に変化する。
【0020】
本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、以上で述べた結合現象により生じるモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードを主振動の共振モードとした水晶振動子であり、例えば、曲線53で示すような周波数温度特性をもつ水晶振動子となる。
【0021】
図9は、図3の関係における一例として、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、及び、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のときの正方形振動部1の共振時のモード形状を示す。この図9中には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド152,153が示されているが、正方形振動部1のカット面を形成するときの回転角がカット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)のときはトライアド152が、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のときはトライアド153が、それぞれ図9に適合する。図9中の実線で描かれた輪郭59は、このときの振動モードのモード形状輪郭を示し、破線で描かれた輪郭60は、正方形振動部1の元の外形輪郭を示している。この図9中に示した振動モードのモード形状は、前述の結合現象によって、中間モードのモード形状に、わずかではあるが、輪郭拡大縮小モードのモード形状が複合され、中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードのモード形状となっている。この図9中の点61,62で示した箇所が、カット角度θ=21°、及び、カット角度θ=69°のとき、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部1の輪郭辺上において、最も変位が小さい箇所である。そして、後に述べる本発明の複合輪郭モード水晶振動子の実施例1,2,3(図11,12,13)では、以上で述べた、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部の輪郭辺上において、最も変位が小さい箇所付近(例えば、図9では点61,62に示した箇所に相当する正方形振動部の輪郭辺上の箇所付近)を2個の接続部をそれぞれ設ける接続点としている。
【0022】
また、図9中の両方向矢印57,58で示した方向の励振を促す座標変換後の圧電定数e21′,e23′は、絶対値がほぼ等しく、それぞれ正負の符号が逆になるので、正方形振動部1の正面のおよそ全面と、背面のおよそ全面とにそれぞれ励振電極を配置し、この正面と背面とに設けた異極となる2つの電極に交番電圧をかけることにより、輪郭拡大縮小モードが近傍の高周波数領域に存在する中間モードの影響を受けて変化した、モード形状が輪郭拡大縮小モードのモード形状に近似している複合輪郭モードではなく、中間モードが近傍の低周波数領域に存在する輪郭拡大縮小モードの影響を受けて変化した、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードを主振動の共振モードとして励振させることが可能となる。その結果として、本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、例えば、図8中の曲線53で示すような周波数温度特性をもつ水晶振動子となる。
【0023】
図10は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性の例を示す。この図10において具体的に説明する正方形振動部1のカット面を形成するときのカット角度の例は、カット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.5°のときと、カット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.7°のときとである。また、この図10中の周波数温度特性グラフは、テイラー展開温度t0を25℃とし、縦軸を周波数偏差(ppm)としている。曲線521は、比較の対象として従来のLQ1Tカットラーメモード水晶振動子の周波数温度特性を示す。曲線150は、カット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.5°のときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性を示し、曲線151はカット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.7°にカット角度を小変更したときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性を示す。曲線150が示すカット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.5°のときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の1次温度係数αと2次温度係数βとは、共に大略零となり、3次温度係数γ≒−3.7×10−10/℃3となるので、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さい。また、曲線151が示すカット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.7°にカット角度を小変更したときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性は、広い温度範囲に亘って更に周波数変化が小さい。この図10から、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性は、従来のLQ1Tカットラーメモード水晶振動子の周波数温度特性とくらべて、周波数変化が少ないことがわかる。
【0024】
本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、水晶の正方形Y板をカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°,62°〜72°回転したカット面を有する正方形振動部を具えている。そして、以上で述べたように、本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、カット角度φ,θを媒介変数として複数の振動モードの結合現象によって起こる主振動の周波数温度特性の変化を調整し、水晶振動子としての周波数温度特性の安定性を確保している。換言して付け加えるならば、本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、前述の範囲内でカット角度φ,θを変更することにより、周波数温度特性に関して広範囲に亘る設計変更が可能なので、多種の周波数温度特性の仕様要求に対応することが可能である。
【0025】
(実施例1)
図11は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の一実施例を示す。図11(a)は正面図、図11(b)は右側面図である。図11(a)には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド63,64が示されているが、正方形振動部71のカット面を形成するときの回転角がカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°のときはトライアド63が、カット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=62°〜72°のときはトライアド64が、それぞれ図11(a)の正面図に適合する。図11の複合輪郭モード水晶振動子65は、正方形振動部71と接続部70,75とマウント部68,74とを具えて構成され、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。正方形振動部71は、x′方向の寸法とz″方向の寸法とが等しい長さL0′となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部71のy′方向の寸法は、厚さT0′であり、T0′≪L0′の関係となる。正方形振動部71は、接続部70を介してマウント部68に接続されている。同時に、正方形振動部71は、接続部75を介してマウント部74に接続されている。正方形振動部71に接続された接続部70,75は、それぞれ正方形振動部中心線67から長さL1の位置の接続点201,202に角度ω1の取付け角度で設けられている。尚、長さL1は、L1=k1×L0′/2の関係式に従い、係数k1の範囲は、k1=0.15〜0.85とし、理想的には、k1=0.35〜0.65とすることが好ましい。以上のように構成された本実施例の複合輪郭モード水晶振動子65の正面と背面とには、励振電極として電極72,77が配置され、正面と背面と側面とには、給電電極として電極69,73,76,78,160,161が配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
【0026】
図示されていないが、図11中の複合輪郭モード水晶振動子65をパッケージ内に挿入固定する場合は、マウント部68,74上に配置されている電極69,73,76,78,160,161を導電性接着剤や半田等を用いてパッケージの電極パッド等に接続し、それと同時にパッケージ内に固定すればよい。
【0027】
本実施例のように、正方形振動部71の正方形振動部中心線67から長さL1の位置の接続点201,202に角度ω1の取付け角度で接続部70,75をそれぞれ設ける理由は、共振時に、例えば図9で示したような、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部71の特性をできる限り保存することにある。即ち、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部71の輪郭辺上の変位が最も小さい箇所は、正方形振動部71の輪郭辺の中心部と端部とを除く輪郭辺上にあり、その変位が最も小さい箇所付近を効果的に支持することにより、本実施例の複合輪郭モード水晶振動子65は、水晶振動子としての安定的な特性を損なわずに、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
【0028】
(実施例2)
図12は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す。図12(a)は正面図、図12(b)は右側面図である。図12(a)には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド79,80が示されているが、正方形振動部88のカット面を形成するときの回転角がカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°のときはトライアド79が、カット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=62°〜72°のときはトライアド80が、それぞれ図12(a)の正面図に適合する。図12の複合輪郭モード水晶振動子81は、正方形振動部88と接続部87,93と環状接続部84,90とマウント部86,92とを具えて構成され、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。正方形振動部88は、x′方向の寸法とz″方向の寸法とが等しい長さL0″となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部88のy′方向の寸法は、厚さT0″であり、T0″≪L0″の関係となる。環状接続部84,90にはそれぞれ貫通穴84a,90aがあいている。正方形振動部88は、接続部87と環状接続部84とを介してマウント部86に接続されている。同時に、正方形振動部88は、接続部93と環状接続部90とを介してマウント部92に接続されている。正方形振動部88に接続された接続部87,93は、それぞれ正方形振動部中心線83から長さL2の位置の接続点203,204に角度ω2の取付け角度で設けられている。尚、長さL2は、L2=k2×L0″/2の関係式に従い、係数k2の範囲は、k2=0.15〜0.85とし、理想的には、k2=0.35〜0.65とすることが好ましい。また、以上のように構成された本実施例の複合輪郭モード水晶振動子81の正面と背面とには、励振電極として電極89,95が配置され、正面と背面と側面とには、給電電極として電極85,91,94,96,162,163が配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
【0029】
図示されていないが、図12中の複合輪郭モード水晶振動子81をパッケージ内に挿入固定する場合は、マウント部86,92上に配置されている電極85,91,94,96,162,163を導電性接着剤や半田等を用いてパッケージの電極パッド等に接続し、それと同時にパッケージ内に固定すればよい。
【0030】
本実施例のように、正方形振動部88の正方形振動部中心線83から長さL2の位置の接続点203,204に角度ω2の取付け角度で接続部87,93をそれぞれ設ける理由は、共振時に、例えば図9で示したような、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部88の特性をできる限り保存することにある。即ち、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部88の輪郭辺上の変位が最も小さい箇所は、正方形振動部88の輪郭辺の中心部と端部とを除く輪郭辺上にあり、その変位が最も小さい箇所付近を効果的に支持することにより、本実施例の複合輪郭モード水晶振動子81は、水晶振動子としての安定的な特性を損なわずに、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
【0031】
(実施例3)
図13は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す。図13(a)は左側面図、図13(b)は正面図、図13(c)は右側面図である。図13(b)には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド97,98が示されているが、正方形振動部102のカット面を形成するときの回転角がカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°のときはトライアド97が、カット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=62°〜72°のときはトライアド98が、それぞれ図13(b)の正面図に適合する。図13の複合輪郭モード水晶振動子99は、正方形振動部102と接続部103,112と支持部107とマウント部105とを具えて構成され、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。正方形振動部102は、x′方向の寸法とz″方向の寸法とが等しい長さL0′′′となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部102のy′方向の寸法は、厚さT0′′′であり、T0′′′≪L0′′′の関係となる。正方形振動部102は、接続部112を介して支持部107に接続されている。同時に、正方形振動部102は、接続部103を介してマウント部105に接続されている。支持部107とマウント部105とは一体に形成されている。正方形振動部102に接続された接続部103,112は、それぞれ正方形振動部中心線101から長さL3の位置の接続点205,206に角度ω3の取付け角度で設けられている。尚、長さL3は、L3=k3×L0′′′/2の関係式に従い、係数k3の範囲は、k3=0.15〜0.85とし、理想的には、k3=0.35〜0.65とすることが好ましい。以上のように構成された本実施例の複合輪郭モード水晶振動子99の正面と背面とには、励振電極として電極109,111が配置され、正面と背面と下面とには、給電電極として電極104,106,108,110,164,165が配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
【0032】
図示されていないが、この複合輪郭モード水晶振動子99をパッケージ内に挿入固定する場合は、マウント部105上に配置されている電極104,106,108,110,164,165を導電性接着剤や半田等を用いてパッケージの電極パッド等に接続し、それと同時にパッケージ内に固定すればよい。
【0033】
本実施例のように、正方形振動部102の正方形振動部中心線101から長さL3の位置の接続点205,206に角度ω3の取付け角度で接続部103,112をそれぞれ設ける理由は、共振時に、例えば図9で示したような、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部102の特性をできる限り保存することにある。即ち、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部102の輪郭辺上の変位が最も小さい箇所は、正方形振動部102の輪郭辺の中心部と端部とを除く輪郭辺上にあり、その変位が最も小さい箇所付近を効果的に支持することにより、本実施例の複合輪郭モード水晶振動子99は、水晶振動子としての安定的な特性を損なわずに、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
【0034】
以上、発明の実施の形態において、正方形振動部の形状を完全な正方形として説明したが、特殊な仕様が要求される場合においては、振動部の形状を略正方形としてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の複合輪郭モード水晶振動子によれば、次の如き効果が得られる。
(1)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、1次温度係数αと2次温度係数βとが共に大略零となることを含め、1次温度係数αが大略零、且つ、2次温度係数βが−1×10−8/℃2以上となるので、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さい水晶振動子となる。
(2)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、カット角度φとカット角度θとを変更することにより、周波数温度特性に関して広範囲に亘る設計変更が可能なので、多種の周波数温度特性の仕様要求に対応することが可能である。
(3)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部を効果的に支持することにより、正方形振動部が本来有する特性を保存できるので、広い温度範囲で周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
(4)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、それを製造する工程において、正方形振動部と接続部と環状接続部と支持部とマウント部との組み合わせ接続を、化学的エッチング法によって一体に形成するので、水晶ウェハ単位のバッチ処理による量産での作業性に優れ、工数を削減することが可能である。即ち、本発明は、安価な複合輪郭モード水晶振動子を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部とその座標系を示す説明図である。
【図2】本発明の複合輪郭モード水晶振動子において複合利用する輪郭系振動モードのモード形状を示す説明図である。
【図3】本発明における正方形振動部の共振周波数の周波数温度特性の1次温度係数αが零となるカット角度θとカット角度φとの関係を示す関係線図である。
【図4】本発明においてカット角度θを媒介変数としたとき正方形振動部が共振時にどのような振動モードで振動するかを示す説明図である。
【図5】本発明におけるカット角度θと2次温度係数βとの関係を示す関係線図である。
【図6】本発明におけるカット角度θと3次温度係数γとの関係を示す関係線図である。
【図7】本発明におけるカット角度θと周波数定数m1,m2との関係を示す関係線図である。
【図8】図7で示した点49,50付近で起こる結合現象によって周波数温度特性が変化する現象を詳述する為の説明図である。
【図9】本発明においてカット角度θ=21°、及び、カット角度θ=69°のときの正方形振動部の共振時のモード形状を示す説明図である。
【図10】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性の例を示す特性図である。
【図11】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の一実施例を示す正面図と右側面図とである。
【図12】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す正面図と右側面図とである。
【図13】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す左側面図と正面図と右側面図とである。
【図14】正方形の振動部を具える従来のラーメモード水晶振動子を示す正面図である。
【図15】正方形の振動部を具える従来の輪郭すべりモード水晶振動子を示す正面図である。
【符号の説明】
o 座標の原点
x 水晶の座標軸(電気軸)
y 水晶の座標軸(機械軸)
z 水晶の座標軸(光軸)
x′,y′,z′,z″ 座標系回転後の座標の新軸
φ カット角度(x軸を中心軸とした座標系回転角度)
θ カット角度(y′軸を中心軸とした座標系回転角度)
α 1次温度係数
β 2次温度係数
γ 3次温度係数
ω1,ω2,ω3 角度
m1,m2 周波数定数
L0,L0′,L0″,L0′′′,L1,L2,L3 長さ
T0,T0′,T0″,T0′′′ 厚さ
1,71,88,102,503,515 正方形振動部
65,81,99 複合輪郭モード水晶振動子
66,67,82,83,100,101 正方形振動部中心線
69,72,73,76,77,78,85,89,91,94,95,96,104,106,108,109,110,111,160,161,162,163,164,165,502,506,508,516,520 電極
70,75,87,93,103,112,504,510,514,519接続部
84,90,512,517 環状接続部
84a,90a,512a,517a 貫通穴
107,505,509 支持部
68,74,86,92,105,507,513,518 マウント部
2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,59,60 輪郭
20,21,22,38,39,49,50,61,62 点
17,18,19,35,36,37,42,43,44,47,48,51,52,53,54,55,56,150,151,521 曲線
23,24, 境界線
63,64,79,80,97,98,152,153 トライアド
57,58 両方向矢印
201,202,203,204,205,206 接続点
501 ラーメモード水晶振動子
511 輪郭すべりモード水晶振動子
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波数、小型、高精度、耐衝撃性、低廉化などの要求の強い携帯機器用、及び、民生機器用の基準信号源として、最適なカット方式と振動子形状と電極構成とを有し、正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動する複合輪郭モード水晶振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、水晶を用いたラーメモード水晶振動子が知られている。図14は、正方形の振動部を具える従来のラーメモード水晶振動子を示す(例えば、特許文献1参照。)。図14において、ラーメモード水晶振動子501は、正方形振動部503と接続部504,510と支持部505,509とマウント部507と電極502,506,508等とを具えて構成されている。正方形振動部503は、2個の接続部504,510を介してそれぞれ支持部505,509に接続され、更に、支持部505,509は、マウント部507に接続されている。このラーメモード水晶振動子501の正方形振動部503と接続部504,510と支持部505,509とマウント部507とは、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。このラーメモード水晶振動子501の正面と背面とには、電極502,506,508等が、励振電極、及び、給電電極として配置されている。
【0003】
更に、もうひとつの従来の技術として、水晶を用いた輪郭すべりモード水晶振動子が知られている。図15は、正方形の振動部を具える従来の輪郭すべりモード水晶振動子を示す(例えば、非特許文献1参照。)。図15において、輪郭すべりモード水晶振動子511は、正方形振動部515と接続部514,519と環状接続部512,517とマウント部513,518と電極516,520等とを具えて構成されている。正方形振動部515は、2個の接続部514,519を介してそれぞれ環状接続部512,517に接続され、更に、環状接続部512,517は、それぞれマウント部513,518に接続されている。環状接続部512,517には、それぞれ貫通穴512a,517aがあいている。この輪郭すべりモード水晶振動子511の正方形振動部515と接続部514,519と環状接続部512,517とマウント部513,518とは、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。この輪郭すべりモード水晶振動子511の正面と背面とには、電極516,520等が励振電極、及び、給電電極として配置されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−069373号公報(第1図)
【非特許文献1】
川島宏文、平間宏一、斎藤直哉、小山光明、共著「水晶振動子とその応用デバイス」電子情報通信学会論文誌、C−I Vol.J82−C−I No.12、1999年12月、p.667−682(図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水晶振動子の周波数温度特性は、温度tに対する周波数偏差ΔF/Fを、テイラー展開項の第3次項まで考慮した関係式、ΔF/F=α(t−t0)+β(t−t0)2+γ(t−t0)3、に近似して評価することが通例である。このとき、αは1次温度係数であり、βは2次温度係数であり、γは3次温度係数であり、t0はテイラー展開温度(基準温度)である。また、水晶振動子を発振回路の基準信号源として応用する場合、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さいことが好ましい。従来のラーメモード水晶振動子には、テイラー展開温度t0を25℃としたときに1次温度係数αが大略零となるカット方式の水晶振動子として、水晶の正方形Y板(機械軸y軸に垂直な表面を有する正方形の板)を電気軸x軸を中心軸として角度35.7°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度45°回転したカット面を有する正方形振動部を具えたLQ1Tカットラーメモード水晶振動子がある。しかしながら、このLQ1Tカットラーメモード水晶振動子は、2次温度係数βが大略−5.6×10−8/℃2となり、広い温度範囲に亘って周波数変化が大きいという課題が残された。また、従来の輪郭すべりモード水晶振動子には、テイラー展開温度t0を25℃としたときに1次温度係数αが大略零となるカット方式の水晶振動子として、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度37.4°回転したカット面を有する正方形振動部を具えたCTカット輪郭すべりモード水晶振動子がある。しかしながら、このCTカット輪郭すべりモード水晶振動子は、2次温度係数βが大略−5.4×10−8/℃2となり、広い温度範囲に亘って周波数変化が大きいという課題が残された。このようなことから、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い小型水晶振動子が所望されていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の方法で従来の課題を有利に解決した複合輪郭モード水晶振動子を提供することを目的とするものである。
【0007】
即ち、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度18°〜28°回転したカット面か、または、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度62°〜72°回転したカット面か、どちらか一方を有する正方形振動部を具え、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動し、前記正方形振動部と接続部とマウント部と電極と、または、前記正方形振動部と接続部と環状接続部とマウント部と電極と、または、前記正方形振動部と接続部と支持部とマウント部と電極とを具えて構成された複合輪郭モード水晶振動子において、前記正方形振動部の輪郭辺の中心部と端部とを除いた、輪郭辺上にある2箇所の接続点に、それぞれ1個づつ前記接続部を設け、前記接続部や前記環状接続部等を介して、前記正方形振動部を、前記マウント部、または、前記支持部に接続する構造を、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成することにより課題を解決したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明において利用する現象と実施例とを図面に基づき具体的に述べる。
【0009】
図1は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部1とその座標系を示す。水晶の結晶構造の座標系は、原点o、電気軸x、機械軸y、光軸zからなり、座標系o−xyzを構成している。本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部1は、水晶の正方形Y板を、電気軸x軸を中心軸としてカット角度φ回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸としてカット角度θ回転したカット面を有し、電気軸xの新軸x′方向の寸法と光軸zの新軸z″方向の寸法とが等しい長さL0となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部1のy′方向の寸法は、厚さT0であり、T0≪L0の関係となる。
【0010】
図2は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子において複合利用する輪郭系振動モードのモード形状を示す。図2(a)は、ラーメモードのモード形状を示し、図2(b)は、輪郭すべりモードのモード形状を示し、図2(c)は、輪郭拡大縮小モードのモード形状を示す。図2中の実線で描かれた輪郭2,3,4,5,6,7,8,9,10は、各モードのモード形状輪郭を示し、破線で描かれた輪郭11,12,13,14,15,16は、正方形振動部1の元の外形輪郭を示す。正方形振動部1がこれらの輪郭系振動モードで共振する場合の共振周波数Fmは、周波数定数をmとしたとき、Fm=m/L0の関係式に従う。本発明において、図2(a),(b),(c)に示したこれら3種の輪郭系振動モードを複合した振動モードを複合輪郭モードと呼称する。本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部は、共振時にこの複合輪郭モードで振動する。
【0011】
図3は、本発明における正方形振動部1の共振周波数の周波数温度特性の1次温度係数αが零となるカット角度θ(0°≦θ≦90°)とカット角度φとの関係を示す。このときテイラー展開温度t0を25℃とする。図3中の曲線17,18,19は、1次温度係数αが零となるカット角度θとカット角度φとの関係を示す。曲線17,19上の点20,22が示すように、カット角度θ=0°,90°(カット角度φ=37.4°)のとき、CTカット輪郭すべりモード水晶振動子となり、曲線18上の点21が示すように、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、LQ1Tカットラーメモード水晶振動子となる。また、曲線17,18,19が示すように、カット角度θ=18°とカット角度θ=72°とに破線で描かれた境界線23,24を境として、境界線23,24付近の1次温度係数αが零となるカット角度φの値が急増加している。
【0012】
図4は、図3の関係において、カット角度θを媒介変数としたとき正方形振動部1が共振時にどのような振動モードで振動するかを示す。この図4では、媒介変数としてのカット角度θをカット角度θ=0°,30°,45°,60°,90°とする。図4(a)は、カット角度θ=0°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(b)は、カット角度θ=30°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(c)は、カット角度θ=45°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(d)は、カット角度θ=60°のときの振動モードのモード形状を示し、図4(e)は、カット角度θ=90°のときの振動モードのモード形状を示す。図4中の実線で描かれた輪郭30,31,32,33,34は、各モードのモード形状輪郭を示し、破線で描かれた輪郭25,26,27,28,29は、正方形振動部1の元の外形輪郭を示す。図4(a),(e)が示すように、カット角度θ=0°,90°のとき、正方形振動部1は、共振時に輪郭すべりモードで振動する。また、図4(c)が示すように、カット角度θ=45°のとき、正方形振動部1は、共振時にラーメモードで振動する。そして、図4(b),(d)が示すように、カット角度θ=30°,60°のとき、正方形振動部1は、共振時に輪郭すべりモードとラーメモードとの中間的な形状のモードで振動する。この図4(b),(d)が示すようなカット角度θの範囲が0°<θ<45°、及び、45°<θ<90°の範囲内で発生する輪郭すべりモードとラーメモードとの中間的な振動モードを総称して中間モードと呼称する。
【0013】
図4中の図4(a),(b),(c),(d),(e)を図4(a)から図4(e)へと順番に見ていくと、正方形振動部1の共振時におけるモード形状は、本来、カット角度θ(0°≦θ≦90°)を媒介変数として、輪郭すべりモード−中間モード−ラーメモード−中間モード−輪郭すべりモードとなるモード形状の連続性があることが推測できる。
【0014】
図5は、図3の関係において、カット角度θ(0°≦θ≦90°)と2次温度係数βとの関係を示す。この図5中の曲線35,36,37は、カット角度θと2次温度係数βとの関係を示す。曲線36が示すように、カット角度θ=18°〜28°、及び、カット角度θ=72°〜62°の範囲で2次温度係数βが、LQ1Tカットラーメモード水晶振動子の2次温度係数β≒−5.6×10−8/℃2に比べて大きくなっている。特筆すべき例として、曲線36上の点38,39が示すカット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、及び、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、2次温度係数βは、大略零となる。
【0015】
図6は、図3の関係において、カット角度θ(0°≦θ≦90°)と3次温度係数γとの関係を示す。この図6中の曲線42,43,44は、カット角度θと3次温度係数γとの関係を示す。この図6中の曲線43が示す例として、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、及び、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、3次温度係数γ≒−3.7×10−10/℃3となる。
【0016】
図7は、図3の関係において、カット角度θ(0°≦θ≦90°)と周波数定数m1,m2との関係を示す。この図7中の曲線47は、正方形振動部1が大略、輪郭すべりモード−中間モード−ラーメモード−中間モード−輪郭すべりモードで共振する場合の周波数定数m1を示し、曲線48は、正方形振動部1が大略、輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数定数m2を示す。正方形振動部1が大略、輪郭すべりモード−中間モード−ラーメモード−中間モード−輪郭すべりモードで共振する場合の共振周波数F1は、F1=m1/L0の関係式に従う。また、正方形振動部1が大略、輪郭拡大縮小モードで共振する場合の共振周波数F2は、F2=m2/L0の関係式に従う。この図7の曲線47と曲線48とは、カット角度θ=18°,72°のとき交差する。この曲線47と曲線48とが交差するカット角度θ=18°,72°のときの点49,50付近で、正方形振動部1が本来、中間モードで共振する場合と輪郭拡大縮小モードで共振する場合との双方のモード共振が結合現象を起こし、互いの振動モードのモード形状と共振周波数とに影響を及ぼしあう。
【0017】
図8は、図7で示した点49,50付近で起こる結合現象によって周波数温度特性が変化する現象を詳述する為の説明図である。図8(a)は、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、正方形振動部1がラーメモード共振する場合と輪郭拡大縮小モード共振する場合との周波数温度特性を示す。更に、図8(b)は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が中間モード共振する場合と輪郭拡大縮小モード共振する場合と複合輪郭モード共振する場合との周波数温度特性を示す。尚、この図8(a),(b)のグラフは、正方形振動部1のx′方向とz″方向との輪郭辺の寸法L0をL0=1mmとしたときの各モードの周波数温度特性を示しているので、縦軸が周波数(MHz)となる。
【0018】
図8(a)中の曲線51は、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、正方形振動部1がラーメモードで共振する場合の周波数温度特性を示し、曲線52は、カット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、正方形振動部1が輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数温度特性を示す。図8(a)のカット角度θ=45°(カット角度φ=35.7°)のとき、ラーメモードで共振する場合の周波数と輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数とは、十分に周波数差があるので、双方のモード共振は、殆ど結合現象を起こさず、互いの周波数温度特性とモード形状とに影響を及ぼしあわない。
【0019】
図8(b)中の実線で描かれた曲線53,55は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が複合輪郭モードで共振する場合の周波数温度特性を示し、破線で描かれた曲線56は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数温度特性を示し、破線で描かれた曲線54は、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が中間モードで共振する場合の周波数温度特性を示す。このとき、中間モードで共振する場合の周波数と輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数とは、比較的、周波数差が無いので、双方のモード共振は、結合現象を起こし、互いの周波数温度特性とモード形状とに大きな影響を及ぼしあう。即ち、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、または、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のとき、正方形振動部1が中間モードで共振する場合の周波数温度特性は、本来、破線で描かれた曲線54のはずであるが、近傍の低周波数領域に輪郭拡大縮小モード共振が存在するので、結合現象を起こし、互いのモード共振の共振周波数が反発しあい、結果として曲線53で示す、結合現象により生じるモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで共振する場合の周波数温度特性に変化する。同時に、このとき正方形振動部1が輪郭拡大縮小モードで共振する場合の周波数温度特性は、本来、破線で描かれた曲線56のはずであるが、近傍の高周波数領域に中間モード共振が存在するので、結合現象を起こし、互いのモード共振の共振周波数が反発しあい、結果として曲線55で示す、結合現象により生じるモード形状が輪郭拡大縮小モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで共振する場合の周波数温度特性に変化する。
【0020】
本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、以上で述べた結合現象により生じるモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードを主振動の共振モードとした水晶振動子であり、例えば、曲線53で示すような周波数温度特性をもつ水晶振動子となる。
【0021】
図9は、図3の関係における一例として、カット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)、及び、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のときの正方形振動部1の共振時のモード形状を示す。この図9中には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド152,153が示されているが、正方形振動部1のカット面を形成するときの回転角がカット角度θ=21°(カット角度φ=38.5°)のときはトライアド152が、カット角度θ=69°(カット角度φ=38.5°)のときはトライアド153が、それぞれ図9に適合する。図9中の実線で描かれた輪郭59は、このときの振動モードのモード形状輪郭を示し、破線で描かれた輪郭60は、正方形振動部1の元の外形輪郭を示している。この図9中に示した振動モードのモード形状は、前述の結合現象によって、中間モードのモード形状に、わずかではあるが、輪郭拡大縮小モードのモード形状が複合され、中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードのモード形状となっている。この図9中の点61,62で示した箇所が、カット角度θ=21°、及び、カット角度θ=69°のとき、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部1の輪郭辺上において、最も変位が小さい箇所である。そして、後に述べる本発明の複合輪郭モード水晶振動子の実施例1,2,3(図11,12,13)では、以上で述べた、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部の輪郭辺上において、最も変位が小さい箇所付近(例えば、図9では点61,62に示した箇所に相当する正方形振動部の輪郭辺上の箇所付近)を2個の接続部をそれぞれ設ける接続点としている。
【0022】
また、図9中の両方向矢印57,58で示した方向の励振を促す座標変換後の圧電定数e21′,e23′は、絶対値がほぼ等しく、それぞれ正負の符号が逆になるので、正方形振動部1の正面のおよそ全面と、背面のおよそ全面とにそれぞれ励振電極を配置し、この正面と背面とに設けた異極となる2つの電極に交番電圧をかけることにより、輪郭拡大縮小モードが近傍の高周波数領域に存在する中間モードの影響を受けて変化した、モード形状が輪郭拡大縮小モードのモード形状に近似している複合輪郭モードではなく、中間モードが近傍の低周波数領域に存在する輪郭拡大縮小モードの影響を受けて変化した、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードを主振動の共振モードとして励振させることが可能となる。その結果として、本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、例えば、図8中の曲線53で示すような周波数温度特性をもつ水晶振動子となる。
【0023】
図10は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性の例を示す。この図10において具体的に説明する正方形振動部1のカット面を形成するときのカット角度の例は、カット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.5°のときと、カット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.7°のときとである。また、この図10中の周波数温度特性グラフは、テイラー展開温度t0を25℃とし、縦軸を周波数偏差(ppm)としている。曲線521は、比較の対象として従来のLQ1Tカットラーメモード水晶振動子の周波数温度特性を示す。曲線150は、カット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.5°のときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性を示し、曲線151はカット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.7°にカット角度を小変更したときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性を示す。曲線150が示すカット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.5°のときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の1次温度係数αと2次温度係数βとは、共に大略零となり、3次温度係数γ≒−3.7×10−10/℃3となるので、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さい。また、曲線151が示すカット角度θ=21°、且つ、カット角度φ=38.7°にカット角度を小変更したときの本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性は、広い温度範囲に亘って更に周波数変化が小さい。この図10から、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性は、従来のLQ1Tカットラーメモード水晶振動子の周波数温度特性とくらべて、周波数変化が少ないことがわかる。
【0024】
本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、水晶の正方形Y板をカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°,62°〜72°回転したカット面を有する正方形振動部を具えている。そして、以上で述べたように、本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、カット角度φ,θを媒介変数として複数の振動モードの結合現象によって起こる主振動の周波数温度特性の変化を調整し、水晶振動子としての周波数温度特性の安定性を確保している。換言して付け加えるならば、本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、前述の範囲内でカット角度φ,θを変更することにより、周波数温度特性に関して広範囲に亘る設計変更が可能なので、多種の周波数温度特性の仕様要求に対応することが可能である。
【0025】
(実施例1)
図11は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の一実施例を示す。図11(a)は正面図、図11(b)は右側面図である。図11(a)には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド63,64が示されているが、正方形振動部71のカット面を形成するときの回転角がカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°のときはトライアド63が、カット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=62°〜72°のときはトライアド64が、それぞれ図11(a)の正面図に適合する。図11の複合輪郭モード水晶振動子65は、正方形振動部71と接続部70,75とマウント部68,74とを具えて構成され、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。正方形振動部71は、x′方向の寸法とz″方向の寸法とが等しい長さL0′となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部71のy′方向の寸法は、厚さT0′であり、T0′≪L0′の関係となる。正方形振動部71は、接続部70を介してマウント部68に接続されている。同時に、正方形振動部71は、接続部75を介してマウント部74に接続されている。正方形振動部71に接続された接続部70,75は、それぞれ正方形振動部中心線67から長さL1の位置の接続点201,202に角度ω1の取付け角度で設けられている。尚、長さL1は、L1=k1×L0′/2の関係式に従い、係数k1の範囲は、k1=0.15〜0.85とし、理想的には、k1=0.35〜0.65とすることが好ましい。以上のように構成された本実施例の複合輪郭モード水晶振動子65の正面と背面とには、励振電極として電極72,77が配置され、正面と背面と側面とには、給電電極として電極69,73,76,78,160,161が配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
【0026】
図示されていないが、図11中の複合輪郭モード水晶振動子65をパッケージ内に挿入固定する場合は、マウント部68,74上に配置されている電極69,73,76,78,160,161を導電性接着剤や半田等を用いてパッケージの電極パッド等に接続し、それと同時にパッケージ内に固定すればよい。
【0027】
本実施例のように、正方形振動部71の正方形振動部中心線67から長さL1の位置の接続点201,202に角度ω1の取付け角度で接続部70,75をそれぞれ設ける理由は、共振時に、例えば図9で示したような、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部71の特性をできる限り保存することにある。即ち、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部71の輪郭辺上の変位が最も小さい箇所は、正方形振動部71の輪郭辺の中心部と端部とを除く輪郭辺上にあり、その変位が最も小さい箇所付近を効果的に支持することにより、本実施例の複合輪郭モード水晶振動子65は、水晶振動子としての安定的な特性を損なわずに、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
【0028】
(実施例2)
図12は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す。図12(a)は正面図、図12(b)は右側面図である。図12(a)には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド79,80が示されているが、正方形振動部88のカット面を形成するときの回転角がカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°のときはトライアド79が、カット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=62°〜72°のときはトライアド80が、それぞれ図12(a)の正面図に適合する。図12の複合輪郭モード水晶振動子81は、正方形振動部88と接続部87,93と環状接続部84,90とマウント部86,92とを具えて構成され、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。正方形振動部88は、x′方向の寸法とz″方向の寸法とが等しい長さL0″となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部88のy′方向の寸法は、厚さT0″であり、T0″≪L0″の関係となる。環状接続部84,90にはそれぞれ貫通穴84a,90aがあいている。正方形振動部88は、接続部87と環状接続部84とを介してマウント部86に接続されている。同時に、正方形振動部88は、接続部93と環状接続部90とを介してマウント部92に接続されている。正方形振動部88に接続された接続部87,93は、それぞれ正方形振動部中心線83から長さL2の位置の接続点203,204に角度ω2の取付け角度で設けられている。尚、長さL2は、L2=k2×L0″/2の関係式に従い、係数k2の範囲は、k2=0.15〜0.85とし、理想的には、k2=0.35〜0.65とすることが好ましい。また、以上のように構成された本実施例の複合輪郭モード水晶振動子81の正面と背面とには、励振電極として電極89,95が配置され、正面と背面と側面とには、給電電極として電極85,91,94,96,162,163が配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
【0029】
図示されていないが、図12中の複合輪郭モード水晶振動子81をパッケージ内に挿入固定する場合は、マウント部86,92上に配置されている電極85,91,94,96,162,163を導電性接着剤や半田等を用いてパッケージの電極パッド等に接続し、それと同時にパッケージ内に固定すればよい。
【0030】
本実施例のように、正方形振動部88の正方形振動部中心線83から長さL2の位置の接続点203,204に角度ω2の取付け角度で接続部87,93をそれぞれ設ける理由は、共振時に、例えば図9で示したような、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部88の特性をできる限り保存することにある。即ち、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部88の輪郭辺上の変位が最も小さい箇所は、正方形振動部88の輪郭辺の中心部と端部とを除く輪郭辺上にあり、その変位が最も小さい箇所付近を効果的に支持することにより、本実施例の複合輪郭モード水晶振動子81は、水晶振動子としての安定的な特性を損なわずに、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
【0031】
(実施例3)
図13は、本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す。図13(a)は左側面図、図13(b)は正面図、図13(c)は右側面図である。図13(b)には、電気軸xの新軸x′、機械軸yの新軸y′、光軸zの新軸z″の座標軸方向を示すトライアド97,98が示されているが、正方形振動部102のカット面を形成するときの回転角がカット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=18°〜28°のときはトライアド97が、カット角度φ=36.5°〜46.5°、且つ、カット角度θ=62°〜72°のときはトライアド98が、それぞれ図13(b)の正面図に適合する。図13の複合輪郭モード水晶振動子99は、正方形振動部102と接続部103,112と支持部107とマウント部105とを具えて構成され、化学的エッチング工法等を用いて一体に形成されている。正方形振動部102は、x′方向の寸法とz″方向の寸法とが等しい長さL0′′′となる正方形板として形成される。このとき、正方形振動部102のy′方向の寸法は、厚さT0′′′であり、T0′′′≪L0′′′の関係となる。正方形振動部102は、接続部112を介して支持部107に接続されている。同時に、正方形振動部102は、接続部103を介してマウント部105に接続されている。支持部107とマウント部105とは一体に形成されている。正方形振動部102に接続された接続部103,112は、それぞれ正方形振動部中心線101から長さL3の位置の接続点205,206に角度ω3の取付け角度で設けられている。尚、長さL3は、L3=k3×L0′′′/2の関係式に従い、係数k3の範囲は、k3=0.15〜0.85とし、理想的には、k3=0.35〜0.65とすることが好ましい。以上のように構成された本実施例の複合輪郭モード水晶振動子99の正面と背面とには、励振電極として電極109,111が配置され、正面と背面と下面とには、給電電極として電極104,106,108,110,164,165が配置されている。これらの励振電極と給電電極との主材料は、導電性材料である金属等であることが好ましい。
【0032】
図示されていないが、この複合輪郭モード水晶振動子99をパッケージ内に挿入固定する場合は、マウント部105上に配置されている電極104,106,108,110,164,165を導電性接着剤や半田等を用いてパッケージの電極パッド等に接続し、それと同時にパッケージ内に固定すればよい。
【0033】
本実施例のように、正方形振動部102の正方形振動部中心線101から長さL3の位置の接続点205,206に角度ω3の取付け角度で接続部103,112をそれぞれ設ける理由は、共振時に、例えば図9で示したような、モード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部102の特性をできる限り保存することにある。即ち、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部102の輪郭辺上の変位が最も小さい箇所は、正方形振動部102の輪郭辺の中心部と端部とを除く輪郭辺上にあり、その変位が最も小さい箇所付近を効果的に支持することにより、本実施例の複合輪郭モード水晶振動子99は、水晶振動子としての安定的な特性を損なわずに、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
【0034】
以上、発明の実施の形態において、正方形振動部の形状を完全な正方形として説明したが、特殊な仕様が要求される場合においては、振動部の形状を略正方形としてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の複合輪郭モード水晶振動子によれば、次の如き効果が得られる。
(1)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、1次温度係数αと2次温度係数βとが共に大略零となることを含め、1次温度係数αが大略零、且つ、2次温度係数βが−1×10−8/℃2以上となるので、広い温度範囲に亘って周波数変化が小さい水晶振動子となる。
(2)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、カット角度φとカット角度θとを変更することにより、周波数温度特性に関して広範囲に亘る設計変更が可能なので、多種の周波数温度特性の仕様要求に対応することが可能である。
(3)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、共振時にモード形状が中間モードのモード形状に近似している複合輪郭モードで振動する正方形振動部を効果的に支持することにより、正方形振動部が本来有する特性を保存できるので、広い温度範囲で周波数変化が小さく、等価直列抵抗R1が小さく、Q値が高い水晶振動子となる。
(4)本発明の複合輪郭モード水晶振動子は、それを製造する工程において、正方形振動部と接続部と環状接続部と支持部とマウント部との組み合わせ接続を、化学的エッチング法によって一体に形成するので、水晶ウェハ単位のバッチ処理による量産での作業性に優れ、工数を削減することが可能である。即ち、本発明は、安価な複合輪郭モード水晶振動子を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の正方形振動部とその座標系を示す説明図である。
【図2】本発明の複合輪郭モード水晶振動子において複合利用する輪郭系振動モードのモード形状を示す説明図である。
【図3】本発明における正方形振動部の共振周波数の周波数温度特性の1次温度係数αが零となるカット角度θとカット角度φとの関係を示す関係線図である。
【図4】本発明においてカット角度θを媒介変数としたとき正方形振動部が共振時にどのような振動モードで振動するかを示す説明図である。
【図5】本発明におけるカット角度θと2次温度係数βとの関係を示す関係線図である。
【図6】本発明におけるカット角度θと3次温度係数γとの関係を示す関係線図である。
【図7】本発明におけるカット角度θと周波数定数m1,m2との関係を示す関係線図である。
【図8】図7で示した点49,50付近で起こる結合現象によって周波数温度特性が変化する現象を詳述する為の説明図である。
【図9】本発明においてカット角度θ=21°、及び、カット角度θ=69°のときの正方形振動部の共振時のモード形状を示す説明図である。
【図10】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の周波数温度特性の例を示す特性図である。
【図11】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の一実施例を示す正面図と右側面図とである。
【図12】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す正面図と右側面図とである。
【図13】本発明の複合輪郭モード水晶振動子の形状の他の実施例を示す左側面図と正面図と右側面図とである。
【図14】正方形の振動部を具える従来のラーメモード水晶振動子を示す正面図である。
【図15】正方形の振動部を具える従来の輪郭すべりモード水晶振動子を示す正面図である。
【符号の説明】
o 座標の原点
x 水晶の座標軸(電気軸)
y 水晶の座標軸(機械軸)
z 水晶の座標軸(光軸)
x′,y′,z′,z″ 座標系回転後の座標の新軸
φ カット角度(x軸を中心軸とした座標系回転角度)
θ カット角度(y′軸を中心軸とした座標系回転角度)
α 1次温度係数
β 2次温度係数
γ 3次温度係数
ω1,ω2,ω3 角度
m1,m2 周波数定数
L0,L0′,L0″,L0′′′,L1,L2,L3 長さ
T0,T0′,T0″,T0′′′ 厚さ
1,71,88,102,503,515 正方形振動部
65,81,99 複合輪郭モード水晶振動子
66,67,82,83,100,101 正方形振動部中心線
69,72,73,76,77,78,85,89,91,94,95,96,104,106,108,109,110,111,160,161,162,163,164,165,502,506,508,516,520 電極
70,75,87,93,103,112,504,510,514,519接続部
84,90,512,517 環状接続部
84a,90a,512a,517a 貫通穴
107,505,509 支持部
68,74,86,92,105,507,513,518 マウント部
2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,59,60 輪郭
20,21,22,38,39,49,50,61,62 点
17,18,19,35,36,37,42,43,44,47,48,51,52,53,54,55,56,150,151,521 曲線
23,24, 境界線
63,64,79,80,97,98,152,153 トライアド
57,58 両方向矢印
201,202,203,204,205,206 接続点
501 ラーメモード水晶振動子
511 輪郭すべりモード水晶振動子
Claims (4)
- 正方形振動部が共振時に輪郭系振動モードで振動する水晶振動子において、前記正方形振動部は、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度18°〜28°回転したカット面か、または、水晶の正方形Y板を電気軸x軸を中心軸として角度36.5°〜46.5°回転し、更に、機械軸y軸の新軸y′軸を中心軸として角度62°〜72°回転したカット面か、どちらか一方を有しており、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動することを特徴とする複合輪郭モード水晶振動子。
- 前記正方形振動部と接続部とマウント部と電極とを具えて構成された複合輪郭モード水晶振動子において、前記複合輪郭モード水晶振動子を正面からみたとき、前記正方形振動部の輪郭辺の中心部と端部とを除いた、輪郭辺上にある2箇所の接続点に、それぞれ1個づつ前記接続部が設けられていて、前記正方形振動部が2個の前記接続部を介して2個の前記マウント部にそれぞれ接続されていて、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動する事を特徴とする請求項1に記載の複合輪郭モード水晶振動子。
- 前記正方形振動部と接続部と環状接続部とマウント部と電極とを具えて構成された複合輪郭モード水晶振動子において、前記複合輪郭モード水晶振動子を正面からみたとき、前記正方形振動部の輪郭辺の中心部と端部とを除いた、輪郭辺上にある2箇所の接続点に、それぞれ1個づつ前記接続部が設けられていて、前記正方形振動部が2個の前記接続部と2個の前記環状接続部とを介して2個の前記マウント部にそれぞれ接続されていて、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動する事を特徴とする請求項1に記載の複合輪郭モード水晶振動子。
- 前記正方形振動部と接続部と支持部とマウント部と電極とを具えて構成された複合輪郭モード水晶振動子において、前記複合輪郭モード水晶振動子を正面からみたとき、前記正方形振動部の輪郭辺の中心部と端部とを除いた、輪郭辺上にある2箇所の接続点に、それぞれ1個づつ前記接続部が設けられていて、前記正方形振動部が2個の前記接続部を介して前記支持部と前記マウント部とにそれぞれ接続されていて、前記支持部と前記マウント部とが一体に形成されていて、前記正方形振動部が共振時に複数の輪郭系振動モードを複合した振動モードで振動する事を特徴とする請求項1に記載の複合輪郭モード水晶振動子。
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006186462A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-07-13 | Kyocera Kinseki Corp | 水晶振動子 |
JP2007181131A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Kyocera Kinseki Corp | ラーメモード水晶振動子の保持構造 |
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-
2003
- 2003-05-02 JP JP2003162993A patent/JP2004336677A/ja active Pending
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