JP2009147590A - 水晶振動子片 - Google Patents

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Abstract

【課題】低いCI値の水晶振動子片を提供する。
【解決手段】
振動する脚の根元にエッチングにより残渣が形成される複数の振動脚と、複数の振動脚が接続された基部とを備え、複数の振動脚と基部とがエッチングによって一体的に形成される水晶振動子片において、水晶振動子片の厚み方向から見て、残渣のうちで、残渣の面積が最も小さく形成される第1群振動脚を除いた第2群振動脚に、第2群振動脚の共振周波数を調整するためのバランス調整部を形成し、このバランス調整部は、基部と反対側の先端であり、第2群振動脚の一体物として形成されることを特徴とする。これにより、振動する複数の振動脚の共振周波数を合わせることができ、振動損失が少ない低いCI値を有する水晶振動子片を提供できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水晶エッチングで製造される水晶振動子片に関し、特に振動損失が抑制され低いCI値を有する水晶振動子片に関する。
近年、電子デバイスの小型化と高性能化が進み、水晶振動子にも小型化と低消費電力化、すなわち低いCI値(クリスタルインピーダンス)化が求められるようになってきた。水晶振動子において低いCI値を実現するには、目的とする振動以外への振動損失を抑制する必要がある。
時計や携帯電話などに利用されている音叉型の水晶振動子は、水晶ウェハから所望の形状の水晶振動子片を切り出す工程、水晶振動子片を発振させるための電極を形成する工程、電極が形成された水晶振動子片を容器に実装する工程などによって製造される。特に、水晶振動子片の形状は振動を決定する大きな要素であるため、水晶ウェハから水晶振動子片を切り出す工程が適切でないと、振動損失は増大し、結果として高いCI値を有する水晶振動子片となってしまう。
図8に示すように、音叉型水晶振動子片10は、水晶のZ軸に垂直な面でカットされたZ板や、Z板からX軸回りに数度回転させた水晶ウェハ100などから加工される。回転角は大抵の場合、0〜10度程度である。X軸周りに回転させた後の結晶軸はX、Y’、Z’となる。すなわち水晶ウェハ100の主面はX−Y’面ということになる。
図10は図9に示す水晶ウェハ100から切り出した後の2脚音叉型水晶振動子片10を振動子片の厚み方向から見た概略図である。水晶振動子片10は、支持部11、基部12、−X側の振動脚である第1群振動脚13a、+X側の振動脚である第2群振動脚13b、および基部12から突出した肩部14a、14bから構成されている。振動する部分は振動脚13a、13bであり、X軸を幅方向に、Y’軸を長手方向に、Z’軸を厚み方向に持つ。
水晶ウェハ100からこの水晶振動子片10を切り出す工程には、小型の水晶振動子片を精度よく安価に大量生産できる、フォトリソグラフィとウェットエッチングを利用した方法が用いられている。
このウェットエッチングによる水晶振動子片の製造方法は、図9に示すように水晶ウェハ100の表裏両面に水晶振動子形状の金属耐食膜でできたエッチングマスク200を形成し、フッ酸系のエッチング液に浸すことによって行われる。エッチングマスク200に覆われていない部分はエッチング液に溶解し、結果として水晶振動子片10が得られる。
水晶には異方性があるため、その結晶方位によってエッチングされる速度が異なる。よって、エッチング後の水晶振動子片10の振動脚13a、13bの根元付近には、図10に示すように残渣30〜33が形成される。他の部分にも残渣は形成されるが、ここでは問題となる残渣のみ示した。
これらの振動脚の根元付近に形成される残渣30〜33は、前述した水晶の異方性から振動脚13a、13bの中心線(Y’軸方向)に対してそれぞれ左右対称にはならず非対称に形成される。
第1群振動脚13aと第2群振動脚13bとの間には、基部12への根元でもある又部16を備える。いずれの振動脚もそれぞれの−X側に大きな角度を持った残渣30、33が形成されるが、その周囲の構造が違うため、第2群振動脚13bに形成された残渣33は振動脚の厚み方向からみて、その面積が大きく、第1群振動脚13aに形成された残渣30は第1肩部14aの幅に制約されるため振動脚の厚み方向からみて、その面積が小さく形成される。
よって第1群振動脚13aと第2群振動脚13bには互いに異なった残渣が形成される。なお、便宜上、又部に形成された残渣32、33も肩部に形成された残渣30、31もともに残渣と呼ぶことにする。
音叉型振動子の振動脚の共振周波数は脚幅に比例して決まる。大きな残渣33が形成される第2群振動脚13bは等価的に脚幅が増えたものとみなすことができ、小さな残渣30および32しか形成されない第1群振動脚13aよりも共振周波数が高くなる。
このように、左右脚の共振周波数が異なると、音叉の屈曲振動は対称に振動することができず、バランスを崩して横揺れを発現する。すると、バランスが保たれた理想状態では動くことのない支持部11に振動が漏れ、振動損失の原因となる。その結果、音叉型水晶振動子片のCI値を上昇させることになる。
この左右アンバランスの問題を解決するために従来技術では、振動脚の厚み方向からみて、その面積が大きな残渣が形成された振動脚とは反対側の第1群振動脚の脚幅を第2群振動脚の脚幅よりも太くして共振周波数を高くし、左右脚の周波数を合わせる手法が提案されている(例えば、特許文献1。)。また、捩り振動子においては、振動脚先端の錘の量をかえる手法が提案されている(例えば、特許文献2。)。
また一般に、水晶振動子の共振周波数を調整する方法としては、水晶片形成後に振動脚に金属膜を設け、これを必要量だけ除去する方法が用いられている(例えば、特許文献3。)。さらに、複数脚の周波数のバランス調整をする方法としても、金属膜を除去する方法が用いられている(例えば、特許文献4。)。
実公平1−19459(第3頁、第1図) 特開昭64−58108(第6頁、第1図) 特開2003−318685号(第5頁、第1図) 特開2004−77453(第8頁、第1図)
図10に示したように通常の形状をした音叉型水晶振動子片を水晶エッチングによって製造すると、上述したような左右のアンバランスによるCI値の上昇が問題になり、特に小型化を進めた場合には、X−Y’平面形状に対するZ’軸方向の厚みが相対的に厚くなることで残渣も相対的に大きく形成され、その結果、左右のアンバランスの影響は大きくなるという問題があった。
また、特許文献1のように脚幅を異ならせる場合、少しの幅寸法の変更が共振周波数を急激に変化させるため、製造上二つの脚のバランスをとることは非常に難易度が高い。
また、特許文献2では、捩り振動子の振動脚の先端に付けられた錘の量を左右脚で異ならせ、バランスを調節するという方法をとっているが、屈曲振動子について、どの場所の錘を、どのように異ならせればよいかという残渣と錘の位置関係については開示されていない。
また、特許文献3、4のように振動脚先端に形成した金属膜を除去することによっても左右振動脚の周波数の調整はでき、残渣によるアンバランスを解消することはできるが、振動脚に周波数調整用の金属膜をわざわざ付加しなければならず、作業性が悪い。また、片方の振動脚の金属膜のみ除去するのは、非常に手間がかかる上に、うまく適量に調節するのは難しい。
本発明は、残渣によって生じた振動脚同士の共振周波数のずれを解消し、振動損失が少なく低いCI値を有する水晶振動子片を容易かつ確実に提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の水晶振動子片は、
振動する脚の根元にエッチングにより残渣が形成される複数の振動脚と、前記複数の振動脚が接続された基部とを備え、前記複数の振動脚と前記基部とが前記エッチングによって一体的に形成される水晶振動子片において、
前記水晶振動子片の厚み方向から見て、前記残渣のうちで、前記残渣の面積が最も小さく形成される第1群振動脚を除いた第2群振動脚に、この第2群振動脚の共振周波数を調整するためのバランス調整部を形成し、
このバランス調整部は、前記基部と反対側の先端であり、前記第2群振動脚の一体物として形成されることを特徴とする。
また、振動する脚の根元にエッチングにより残渣が形成される2本の振動脚と、これら2本の振動脚が接続された基部と、この基部に接続され前記2本の振動脚の間に設けられた中央脚とを備え、前記2本の振動脚と前記基部と前記中央脚とがエッチングによって一体的に形成される水晶振動子片において、
前記水晶振動子片の厚み方向から見て、前記残渣のうちで、前記残渣の面積が最も小さく形成される第1群振動脚を除いた第2群振動脚に、この第2群振動脚の共振周波数を調整するためのバランス調整部を形成し、
このバランス調整部は、前記基部と反対側の先端であり、前記第2群振動脚の一体物として形成されることを特徴とする。
この構成によれば、残渣が大きく形成される第2群振動脚の先端にバランス調整部を形成して、残渣によって上昇した第2群振動脚の共振周波数を調整して下げるので、第2群振動脚の共振周波数は残渣が最も小さく形成される第1群振動脚の共振周波数と略同じになる。その結果、振動する振動脚同士の共振周波数がそろいバランスがとれ、振動損失が少なくなり、水晶振動子片は低いCI値が得られる。バランス調整部は、第2群振動脚と一体物として水晶で形成されるので、水晶片の製造時に確実にバランスを調整することができる。
また、前記バランス調整部は、前記第2群振動脚における幅方向の側面において、少なくとも一方の側面に形成してもよい。
この構成によれば、振動脚内側、または外側の幅寸法に制限がある場合にも、必要量のバランス調整部を形成することができ、小型を維持しながらCI値を低下させることができる。また、バランス調整部を第2群振動脚の両側面に形成した場合には、振動脚の対称性が良く振動が安定し、さらに水晶振動子片のCI値を低下させることができる。
また、前記バランス調整部は、前記第2群振動脚における長手方向の端面に形成してもよい。
この場合には、振動脚の幅方向の寸法に制限があり、バランス調整部を第2群振動脚の側面に形成するだけでは周波数調整できないときに、更に長手方向の端面にもバランス調
整部を形成することで、水晶振動子片の全体サイズを大きくせずに第2群振動脚の周波数を効果的に調整できる。
また、前記バランス調整部は、前記第2群振動脚の幅方向における側面のみに形成してもよい。これにより、水晶振動子片の長さ寸法は変わらないため、小型化に適している。
また、前記複数の振動脚は、それらの先端に前記基部側の脚幅よりも幅広い錘部を備え、前記第2群振動脚の錘部に前記バランス調整部を形成してもよい。
この構成によれば、もともと錘を付加してあるので、長さ方向の寸法を短くすることができ、小型化に適している構成であり、振動脚の共振周波数のバランスも取れているので小型でCI値の低い水晶振動子片が得られる。
本発明によれば、又部に形成される残渣の大きさの違いによって生じる振動脚同士の共振周波数のずれを解消してバランスを調整することができ、振動漏れが少なくCI値が低い水晶振動子片を提供することができる。
以下、本発明の実施形態における水晶振動子片について図1〜図9を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の水晶振動子片の正面図である。水晶振動子片110には支持部111、支持部111に接続された基部112、基部112に接続された2本の振動脚113a、113bを備える。ここでは、水晶結晶軸の−X軸側の振動脚を振動脚113a、+X軸側の振動脚を振動脚113bとする。
ここで、振動脚113aと振動脚113bとの間に、基部112への根元である又部116を備え、この又部116は間隙幅bとして設けられている。また、基部112はその一端側に基部112から水晶結晶軸の−X軸側へ突出幅aだけ突出した第1肩部114aと、基部112の他端側に基部112から水晶結晶軸の+X軸側へ突出幅cだけ突出した第2肩部114bが形成されている。
水晶には異方性があるため、その結晶方位によってエッチングされる速度が異なる。よって、エッチング後の水晶振動子片110には、図1に示すように残渣130〜133が形成される。他の部分にも残渣は形成されるが、ここでは問題となる基部112と振動脚113a、113bの根元付近にできる残渣130〜133に注目して示した。
これらの残渣は、前述した水晶の異方性から振動脚113a、113bの中心線(Y’軸方向)に対してそれぞれ左右対称にはならず非対称に形成される。
いずれの振動脚もそれぞれの−X側に大きな角度を持った残渣130、133が形成されるが、その周囲の構造が違うため、振動脚113bに形成された残渣133は振動脚の厚み方向から見て、その面積が大きく、振動脚113aに形成された残渣130は第1肩部114aの幅に制約されるため振動脚の厚み方向から見て、その面積が小さく形成される。よって振動脚113aと振動脚113bには互いに異なった残渣が形成される。ここで、振動脚の厚み方向から見て、その面積が小さく形成される振動脚113aを第1群振動脚、振動脚の厚み方向から見て、その面積が大きく形成される振動脚113bを第2群振動脚とする。
なお、便宜上、又部に形成された残渣132、133も肩部に形成された残渣130、
131もともに残渣と呼ぶことにする。
音叉型振動子の振動脚の共振周波数は脚幅に比例して決まる。大きな残渣133が形成される第2群振動脚113bは等価的に脚幅が増えたものとみなすことができ、小さな残渣130、132が形成された第1群振動脚113aよりも共振周波数が高くなる方向に働く。
しかしながら本実施形態の水晶振動子片では、第2群振動脚113bの基部と反対側の先端に、振動脚と一体物として水晶で第2群振動脚113bの共振周波数を調整するためのバランス調整部dが形成される。このバランス調整部dは、第1群振動脚113aには形成されない。
バランス調整部dの追加は振動脚が長くなったことと等価であり、第2群振動脚113bの共振周波数を調整して下げる働きをする。バランス調整部dの量は、第2群振動脚113bの共振周波数が、第1群振動脚113aの共振周波数とほぼ同じになるように設定する。
この設定は、共振周波数を同じにするには、例えば次のようにする。第1群振動脚を振動しないように固定した状態で第2群振動脚の共振周波数を測定する。同じようにして第1群振動脚の共振周波数を測定し、両方の振動脚の共振周波数が同じになるバランス調整部の突出量を見つける。この手法では、水晶振動子片が超小型になった場合には作業性が悪いので、次の手法とする。
バランス調整部dの突出量を変えて水晶振動子片を数種類作製し、両方の振動脚が振動できる状態で振動させ、各々CI値を測定する。バランス調整部dの突出量によってCI値は連続的に変化し、ある量で極小値を迎える。このときには振動のバランスがとれており、両方の振動脚の共振周波数が一致しているものとみなすことができる。
このバランス調整部dの量は第1群振動脚に形成される残渣133、131と第2群振動脚に形成される残渣130、132の割合によって異なるため、上述のように最適な量をあらかじめ実験によって求めて設定した。バランス調整部dが追加され、第1群振動脚113a、第2群振動脚113bの共振周波数が揃っている本発明の水晶振動子片は、左右対称に屈曲振動をすることができる。その結果、支持部の揺れがほとんどないため振動による損失の少ない低CI値を示すことができる。
なお、バランス調整部dは、図2に示すように第2群振動脚先端の長手方向に形成されてもよいし、図1に示すように第2群振動脚先端の側面のみに形成されてもよいし、長手方向と側面両方に形成されてもよい。
また、バランス調整部dは、第2群振動脚先端における一方の側面のみに形成されていても、両側面のみに形成されていてもよい。この場合、バランス調整部dは第2群振動脚の幅方向に突出するように形成される。このように形成することで、水晶振動子片の長さ寸法は変わらないため、小型化に適した構成である。
幅寸法に制限がない場合には、両側面に形成することによって振動脚の左右対称性が向上するため振動が安定し、特にCI値が低下する。
振動脚の内側または外側の幅寸法に制限がある場合には、一方の側面のみに形成することで必要量のバランス調整部dを形成することが可能となる。幅方向の寸法にかなり制限があり、バランス調整部dを第2群振動脚の側面に形成するだけでは周波数調整できない
場合には、更に長手方向の端面にもバランス調整部dを形成することで、水晶振動子片の全体サイズを大きくせずに第2群振動脚の周波数を効果的に調整できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図3を用いて説明する。本実施形態の水晶振動子片122では、図3に示したように、第1群振動脚113a、第2群振動脚113bが隣り合わず、第1群振動脚113aと第2群振動脚113bとの間に中央脚115がある構成となっている。
水晶振動子片122の第1群振動脚113a、第2群振動脚113b、中央脚115は基部112で連結されている。支持部111は、水晶振動子片122を外部に固定するための支持部である。
基部112の一端側に、基部112から水晶結晶軸の−X軸側に突出幅aで突出した第1肩部114aが形成されている。基部112の他端側に、基部112から水晶結晶軸の+X軸側に突出幅cで突出した第2肩部114bが形成されている。ここでいう突出幅a、突出幅cの意味は、第1の実施形態で述べたものと同じである。また、各振動脚133aおよび113bと中央脚115との間は間隙幅bに設定された又部116がそれぞれ形成されている。
間隙幅bが第1肩部114a側の突出幅aよりも広いため、又部116に形成される残渣133は第1肩部114aに形成される残渣130よりも大きい。本発明を利用していない場合、振動脚の厚み方向から見て面積の大きな残渣が形成される第2群振動脚113bの共振周波数は、振動脚の厚み方向から見て面積の小さな残渣が形成される第1群振動脚113aの共振周波数よりも高くなる。
これは、振動脚の共振周波数はその振動脚の幅に比例して決まり、大きな残渣が形成されることによって等価的に脚幅が太くなったものとみなせるためである。そのため、2本の振動脚同士の共振周波数がずれており、振動のバランスもくずれ、水晶振動子片のCI値が高くなる。
しかしながら、本実施形態の水晶振動子片122には、第1の実施形態で説明した場合と同様に第2群振動脚113bの先端にバランス調整部dが振動脚と一体物として水晶で形成されている。残渣133の影響で上昇した第2群振動脚113bの共振周波数を、バランス調整部dの作用によって下げることができる。
第2群振動脚113bの共振周波数が、第1群振動脚113aの共振周波数とほぼ同じになるように、バランス調整部dの量は設定されている。このバランス調整部dの量は残渣133と残渣130の割合によって異なるため、最適な量をあらかじめ実験によって求めておき、それを採用した。バランス調整部dの量を設定する手法は、第1の実施形態の場合と同様である。
バランス調整部dが追加され、第1群振動脚113a、第2群振動脚113bの共振周波数が揃っている本発明の振動子は、左右対称に屈曲振動をすることができ、支持部の揺れが少なく振動損失が少ないため、低いCI値を示すことができる。
なお、バランス調整部dは、図2と同様に第2群振動脚先端の長手方向に形成されてもよいし、図3に示すように第2群振動脚先端の側面のみに形成されていてもよいし、長手方向と側面両方に形成されてもよい。
また、バランス調整部dは、水晶振動子片先端の一方の側面のみに形成されていても、両側面のみに形成されていてもよい。この場合、バランス調整部dは第2群振動脚の幅方向に突出するように形成される。このように形成することで、水晶振動子片の長さ寸法は変わらないため、小型化に適した構成である。
幅寸法に制限がない場合には、両側面に形成することによって振動脚の左右対称性が向上するため振動が安定し、特にCI値が低下する。
振動脚の内側または外側の幅寸法に制限がある場合には、一方の側面のみに形成することで必要量のバランス調整部を形成することが可能となる。幅方向の寸法にかなり制限があり、バランス調整部dを第2群振動脚の側面に形成するだけでは周波数調整できない場合には、更に長手方向の端面にもバランス調整部dを形成することで、水晶振動子片の全体サイズを大きくせずに第2群振動脚の周波数を効果的に調整できる。
本実施形態のような構成の水晶振動子片では、中央脚115があることによって幅方向寸法が大きくなる。そのため、第1肩部114aの幅を十分に確保することができず又部にできる残渣133と第1肩部にできる残渣130の比が大きく異なり、特に振動脚の周波数バランスが崩れやすいため、本発明を適用することの意味は大きい。
(第3の実施形態)
図4は本発明の水晶振動子片120の正面図である。図1で示した第1の実施形態とは振動脚113a、113bの先端のみ異なり、その他の構成は同様であるため説明は省略する。図4の水晶振動子片120の第1群振動脚113a、第2群振動脚113bの先端にはそれぞれ第1群錘部117aと第2群錘部117bが設けてある。第2群錘部117bは、第1群錘部117aよりもバランス調整部dだけ大きく形成されている。
バランス調整部dは第2群錘部と一体物として水晶で形成されている。第2群振動脚113bの共振周波数が、第1群振動脚113aの共振周波数とほぼ同じになるように、バランス調整部dの量は設定されている。このバランス調整部dの量は残渣133と残渣130の割合によって異なるため、最適な量をあらかじめ実験によって求めておき、それを採用した。バランス調整部dの量を設定する手法は、第1の実施形態の場合と同様である。
両振動脚113a、113bに錘部117a、117bが形成されていることによって、目的の共振周波数を得るための脚の長さ寸法を縮小でき、小型化が可能。また、バランス調整部dの作用で振動脚同士の共振周波数が揃うため、左右対称に屈曲振動をすることができ、支持部の揺れが少なく支持部からの振動損失が少なくて済み、低いCI値を示すことができる。
なお、バランス調整部dは、図2と同様に長手方向に形成されてもよいし、図4に示すように第2群振動脚先端の側面のみに形成されてもよいし、長手方向と側面両方に形成されてもよい。
また、バランス調整部dは、図4の水晶振動子片120のように第2群錘部117bの一方の側面のみに形成されていても、図5に示す水晶振動子片121のように両側面のみに形成されてもよい。この場合、バランス調整部dは第2群振動脚の幅方向に突出するように形成される。このように形成することで、水晶振動子片の長さ寸法は変わらないため、小型化に適した構成である。
幅寸法に制限がない場合には、両側面に形成することによって振動脚の左右対称性が向
上するため振動が安定し、特にCI値が低くなる。
振動脚の内側または外側の幅寸法に制限がある場合は、一方の側面のみに形成することで必要量のバランス調整部を形成することが可能となる。幅方向の寸法にかなり制限があり、バランス調整部dを第2群振動脚の側面に形成するだけでは周波数調整できない場合には、更に長手方向の端面にもバランス調整部dを形成することで、水晶振動子片の全体サイズを大きくせずに第2群振動脚の周波数を効果的に調整できる。
(第4の実施形態)
図6は本発明の第4の実施形態における水晶振動子片123の正面図である。図3で示した第2の実施形態とは振動脚113a、113bの先端のみ異なり、その他の構成は同様であるため説明は省略する。図6の水晶振動子片の第1群振動脚113a、第2群振動脚113bの基部112と反対側の先端にはそれぞれ第1群錘部117aと第2群錘部117bが設けてある。
第2群錘部117bは、第1群錘部117aよりもバランス調整部dだけ大きく形成されている。バランス調整部dは第2群振動脚113bの共振周波数を調整するためのものであり、第2群錘部と一体物として水晶で形成されている。第2群振動脚113bの共振周波数が、第1群振動脚113aの共振周波数とほぼ同じになるように、バランス調整部dの量は設定されている。
このバランス調整部dの量は残渣133と残渣130の割合によって異なるため、最適な量をあらかじめ実験によって求めておき、それを採用した。バランス調整部dの量を設定する手法は、第1の実施形態の場合と同様である。
両振動脚113a、113bに錘部117a、117bが形成されていることによって、目的の共振周波数を得るための脚の長さ寸法を縮小でき、小型化が可能。また、バランス調整部dの作用で振動脚同士の共振周波数が揃うため、左右対称に屈曲振動をすることができ、支持部の揺れが少なく支持部からの振動損失が少なくて済み、低いCI値を示すことができる。
なお、バランス調整部dは、図2と同様に長手方向に形成されてもよいし、図6に示すように第2群振動脚先端の側面のみに形成されていてもよいし、長手方向と側面両方に形成されてもよい。
なお、バランス調整部dは、図6の水晶振動子片123のように第2群錘部117bの一方の側面のみに形成されていても、図7の水晶振動子片124のように両側面のみに形成されていてもよい。この場合、バランス調整部dは第2群振動脚の幅方向に突出するように形成される。このように形成することで、水晶振動子片の長さ寸法は変わらないため、小型化に適した構成である。
幅寸法に制限がない場合には、図7に示すように両側面に形成することによって振動脚の左右対称性が向上するため振動が安定し、特にCI値が低くなる。
振動脚の内側または外側の幅寸法に制限がある場合は、図6のように一方の側面のみに形成することで必要量のバランス調整部を形成することが可能となる。幅方向の寸法にかなり制限があり、バランス調整部dを第2群振動脚の側面に形成するだけでは周波数調整できない場合には、更に長手方向の端面にもバランス調整部dを形成することで、水晶振動子片の全体サイズを大きくせずに第2群振動脚の周波数を効果的に調整できる。
両振動脚に錘部が形成されることによって、長さ寸法を縮小でき、なおかつバランス調整部dの作用で振動脚同士の共振周波数が揃うため、左右対称に屈曲振動をすることができる。その結果、支持部での揺れが少なく支持部からの振動損失が少ないため、低いCI値を示すことができる。
第1から第4の実施形態で説明した水晶振動子片110、120、121、122、123、124の製造方法は、従来技術と同じで次のようにする。
図8に示すように、音叉型水晶振動子片は、水晶のZ軸に垂直な面でカットされたZ板や、Z板からX軸回りに数度回転させた水晶ウェハ100などから加工される。回転角は大抵の場合、0〜10度程度である。X軸周りに回転させた後の結晶軸はX、Y’、Z’となる。すなわち水晶ウェハ100の主面はX−Y’面ということになる。
水晶ウェハ100から水晶振動子片を切り出す工程には、小型の水晶振動子片を精度よく安価に大量生産できる、フォトリソグラフィとウェットエッチングを利用した方法が用いられている。
このウェットエッチングによる水晶振動子片の製造方法は、図9に示すように水晶ウェハ100の表裏両面に水晶振動子形状の金属耐食膜でできたエッチングマスク200を形成し、フッ酸系のエッチング液に浸すことによって行われる。エッチングマスク200に覆われていない部分はエッチング液に溶解し、結果として水晶振動子片が得られる。
以上、第1から4の実施形態に示したように、本発明によれば、振動脚の厚み方向から見て面積の大きな残渣が根元に形成され周波数の上がった第2群振動脚に、バランス調整部を一体物として設けることで第2群振動脚の共振周波数を下げ、面積の小さな残渣のみしか形成されない第1群振動脚の共振周波数と第2群振動脚の共振周波数をほぼ同じ程度にそろえることができる。その結果、振動脚同士のバランスがとれるために振動損失を低減でき、水晶振動子片のCI値が低下する。
バランス調整部を第2群振動脚の側面に形成すれば、水晶振動子片の長さ寸法を大きくする必要がないため、小型化に有効である。また、バランス調整部は、振動脚の水晶と一体物として形成されているので、水晶片製造時にフォトリソグラフィ工程によって一度に形成することができ、面倒な調整工程を必要としない。また、常に一定のものを形成することができるため、確実にバランスを調整し、CI値が低くなる。
本発明は、又部や肩部、すなわち残渣の形成される場所の形状が直線で形成されていても、曲線で形成されていてもよい。
また、本発明は2本の振動子振動脚を持った水晶振動子片に限られたものではなく、3本以上の振動脚をもった水晶振動子片にも適応できる。その場合、振動脚の厚み方向から見て、根元に形成された残渣の面積が最も小さく形成された振動脚を第1群振動脚、その他の振動脚を第2群振動脚として、第2群振動脚の先端にはそれぞれ必要量のバランス調整部を形成する。
バランス調整部の量は、第2群振動脚が2本以上ありそれらに形成された残渣の量が等しい場合には等しい量に設定し、残渣の量が異なる場合にはそれぞれ異なる量のバランス調整部を形成することによって共振周波数を下げ、すべての第2群振動脚の共振周波数が第1群振動脚の共振周波数に揃うようにする。
振動脚が3本以上ある場合としては、第1群振動脚が1本で第2群振動脚が2本以上あ
る場合や、第1群振動脚が2本以上あり第2群振動脚が1本の場合や、第1群振動脚も第2群振動脚もともに2本以上ある場合があるが、いずれの場合も第2群振動脚の先端にそれぞれ適当量のバランス調整部を形成し、すべての振動脚の共振周波数が揃うようにする。このようにすることで振動のバランスが保たれ、振動損失が低減され、CI値が低下する。
本発明の第1の実施形態における水晶振動子片を示した図である。 本発明の第1の実施形態における水晶振動子片を示した図である。 本発明の第2の実施形態における水晶振動子片を示した図である。 本発明の第3の実施形態における水晶振動子片を示した図である。 本発明の第3の実施形態における水晶振動子片を示した図である。 本発明の第4の実施形態における水晶振動子片を示した図である。 本発明の第4の実施形態における水晶振動子片を示した図である。 水晶ウェハの結晶軸を表した図である。 水晶エッチング工程の一部を示した図である。 従来技術における水晶振動子片を示した図である。
符号の説明
100 水晶ウェハ
10、120,110、121、122,123,124 水晶振動子片
11、111 支持部
12、112 基部
13a、113a 第1群振動脚
13b、113b 第2群振動脚
14a、114a 第1肩部
14b、114b 第2肩部
115 中央脚
16、116 又部
200 エッチングマスク
a 第1肩部の突出幅
b 又部の間隙幅
c 第2肩部の突出幅
30、31、32、33、130、131、132、133 残渣
d バランス調整部
117a 第1群錘部
117b 第2群錘部

Claims (6)

  1. 振動する脚の根元にエッチングにより残渣が形成される複数の振動脚と、前記複数の振動脚が接続された基部とを備え、前記複数の振動脚と前記基部とが前記エッチングによって一体的に形成される水晶振動子片において、
    前記水晶振動子片の厚み方向から見て、前記残渣のうちで、前記残渣の面積が最も小さく形成される第1群振動脚を除いた第2群振動脚に、この第2群振動脚の共振周波数を調整するためのバランス調整部を形成し、
    このバランス調整部は、前記基部と反対側の先端であり、前記第2群振動脚の一体物として形成されることを特徴とする水晶振動子片。
  2. 振動する脚の根元にエッチングにより残渣が形成される2本の振動脚と、これら2本の振動脚が接続された基部と、この基部に接続され前記2本の振動脚の間に設けられた中央脚とを備え、前記2本の振動脚と前記基部と前記中央脚とがエッチングによって一体的に形成される水晶振動子片において、
    前記水晶振動子片の厚み方向から見て、前記残渣のうちで、前記残渣の面積が最も小さく形成される第1群振動脚を除いた第2群振動脚に、この第2群振動脚の共振周波数を調整するためのバランス調整部を形成し、
    このバランス調整部は、前記基部と反対側の先端であり、前記第2群振動脚の一体物として形成されることを特徴とする水晶振動子片。
  3. 前記バランス調整部は、前記第2群振動脚における幅方向の側面において、少なくとも一方の側面に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の水晶振動子片。
  4. 前記バランス調整部は、前記第2群振動脚における長手方向の端面に形成されることを特徴とする請求項3に記載の水晶振動子片。
  5. 前記バランス調整部は、前記第2群振動脚の幅方向における側面のみに形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の水晶振動子片。
  6. 前記複数の振動脚は、それらの先端に前記基部側の脚幅よりも幅広い錘部を備え、前記第2群振動脚の錘部に前記バランス調整部が形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の水晶振動子片。
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