JPH07154198A - ラダー型フィルタ - Google Patents

ラダー型フィルタ

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JPH07154198A
JPH07154198A JP6237633A JP23763394A JPH07154198A JP H07154198 A JPH07154198 A JP H07154198A JP 6237633 A JP6237633 A JP 6237633A JP 23763394 A JP23763394 A JP 23763394A JP H07154198 A JPH07154198 A JP H07154198A
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piezoelectric
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resonance
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plate
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Hiroaki Kaida
弘明 開田
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】製造工程を簡略化することができ、小型化を図
ることができ、通過帯域幅を拡げることが可能なラダー
型フィルタを提供する。 【構成】一対のケース基板間に少なくとも1つの直列共
振子及び並列共振子を配置することにより構成され、直
列共振子及び並列共振子の少なくとも2個の共振子がケ
ース基板面と平行な方向に連結されており、かつそのう
ちの少なくとも1の共振子が、動吸振部内蔵型圧電共振
子を用いて構成され、該圧電共振子が、長辺の長さb、
短辺の長さaの共振部を有し、該共振部を構成している
材料のポアソン比をσとしたときに、 を満たす値から±10%の範囲内となるように比b/a
が選択されているモードを利用した圧電共振子を用いて
構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも1個の直列
共振子及び少なくとも1個の並列共振子が梯子状に接続
されたラダー型フィルタに関し、特に、直列共振子及び
並列共振子を構成する共振子の構造が改良されたラダー
型フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のラダー型フィルタの構造の一例を
図1に示す。このラダー型フィルタは、角板の拡がり振
動モードを利用した複数の圧電共振子を用いて構成され
ている。すなわち、矩形板状の直列共振子1,2及び同
じく矩形板状の並列共振子3,4を用いて、図2の回路
図で示す4素子2段型のラダー型フィルタが構成されて
いる。
【0003】なお、図1において、2aは直列共振子の
一方主面に形成された電極を示し、直列共振子2の他方
主面側にも、同様の電極が形成されている。また、直列
共振子1の両主面にも、同様の電極が形成されている。
他方、並列共振子3,4には、両主面の全面に電極3
a,4aが形成されている。
【0004】また、5〜11は、金属端子を示し、直列
共振子1,2及び並列共振子3,4を図2に示すように
相互に電気的に接続するために用いられている。この金
属端子5〜11は、直列共振子1,2及び並列共振子
3,4と共に、絶縁性材料よりなるケース材12内に収
納される。また、図示しない蓋材によりケース材12の
上方開口12aが閉成されてラダー型フィルタ部品が構
成される。この場合、金属端子9〜11がケース外に引
き出され、外部との接続端子として利用される。
【0005】ところで、上記ラダー型フィルタを駆動す
る場合、直列共振子1,2及び並列共振子3,4がケー
ス内に収納された状態で所望の態様で振動し得ることが
必要である。すなわち、ケース内に収納された状態で、
各共振子1〜4の振動が妨げられてはならない。そこ
で、端部に位置する金属端子11としてはばね性を有す
る、いわゆるばね端子が用いられている。
【0006】図1のラダー型フィルタでは、ケースに収
納した状態の共振子1〜4の振動を妨げないために、金
属端子11として、ばね端子が用いられていたため、か
なりの不要空間が形成され、そのためラダー型フィルタ
全体の大きさがかなり大きくなりがちであった。例え
ば、図示した4素子内蔵の2段のラダー型フィルタにお
いて、最終的な部品として構成した場合の寸法は、7.
0mm×8.0mm×厚み8.0mm程度の大きさとな
っていた。
【0007】また、近年、他の電子部品と同様に、ラダ
ー型フィルタにおいても面実装型電子部品として構成さ
れたものが求められている。そこで、同時係属中のアメ
リカ合衆国特許出願第07/941,081号及び国際
出願公開第WO92/16997号には、全体形状を小
型にすることができ、かつ面実装型電子部品として構成
し得るラダー型フィルタが提案されている。このラダー
型フィルタでは、直列共振子及び並列共振子が、圧電板
の1つの端縁において音叉状振動部を構成してなる音叉
型圧電共振子により構成されている。そして、直列共振
子及び並列共振子を構成する複数の音叉型圧電共振子
が、互いの音叉状振動部の振動を妨げないための空洞を
確保するための空洞形成材を介して積層されて一体化さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した音叉型圧電共
振子を用いたラダー型フィルタでは、組み立て工程の簡
略化、小型化及び面実装化を果たすことができる。しか
しながら、音叉型圧電共振子を用いたものであるため、
充分な帯域幅を確保することができないという問題があ
った。
【0009】本発明の目的は、製造工程の簡略化、小型
化及び面実装化を果たし得るだけでなく、充分な帯域幅
を確保し得るラダー型フィルタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の広い局
面によれば、直列腕を構成する少なくとも1個の直列共
振子と、並列腕を構成する少なくとも1個の並列共振子
とを備え、直列共振子及び並列共振子のうち、少なくと
も2個の共振子が横方向に連結されているラダー型フィ
ルタが提供される。
【0011】上記エネルギー閉じ込め型圧電共振子とし
ては、種々のものを用いることができる。上記エネルギ
ー閉じ込め型圧電共振子の第1のタイプは、短辺の長さ
がa、長辺の長さがbであり、圧電振動部を構成してい
る材料のポアソン比をσとしたときに、長辺と短辺の長
さの比b/aが、
【0012】
【数4】
【0013】を中心として±10%の範囲内とされてい
る(但し、nは整数)、矩形板状の圧電振動部と、前記
圧電振動部の短辺の中央に連結された支持部と、前記支
持部の外側端に連結された保持部とを備える、幅拡がり
モードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子で
ある。
【0014】上記幅拡がりモードとは、後述の実施例か
ら明らかなように、矩形板状の振動体の振動モードの1
つであり、正方形板の振動体の拡がりモード振動と、長
方形板の振動体の幅モード振動との間の振動姿態をとる
振動モードである。
【0015】幅拡がりモードを利用した上記圧電共振子
では、圧電振動部の短辺中央に支持部を単に固着又は一
体に構成するだけで、圧電振動部の振動エネルギーを閉
じ込めて支持することができるため、支持構造を簡略化
することができる。よって、上記支持部の外側に設けら
れた保持部を利用して他の共振子と組み合わせることに
より、小型のラダー型フィルタを構成することができ
る。しかも、上記圧電振動部は幅拡がりモードで振動さ
れるため、従来に比べて広い帯域を有するラダー型フィ
ルタを得ることも可能である。
【0016】本発明の特定的な局面によれば、上記幅拡
がりモードを利用した圧電振動部において、矩形板状の
圧電振動部の短辺と長辺との比が上記特定の範囲内とさ
れていることにより、幅拡がりモードが効率よく励振さ
れ、かつ閉じ込められる。これは、本願発明者により実
験的に確かめられたものである。
【0017】また、上記エネルギー閉じ込め型圧電共振
子の第2のタイプは、1つの方向に分極処理された板状
の圧電体と、前記分極方向に直交する方向に交流電圧を
印加するために上記圧電体に形成された第1,第2の共
振電極とを有し、上記分極方向に平行な圧電体面が矩形
形状を有し、該矩形の圧電体面の短辺の長さをa、長辺
の長さをbとし、圧電体のポアソン比をσとしたとき
に、比b/aが、
【0018】
【数5】
【0019】を中心として±10%の範囲内とされてい
る圧電振動部と、上記圧電振動部に連結された支持部
と、支持部に連結された保持部とを備える、すべりモー
ドを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子であ
る。
【0020】第2のタイプの圧電共振子では、圧電振動
部が上記特定の形状を有するように構成されているた
め、第1,第2の共振電極間に交流電圧を印加して圧電
振動部を共振させた場合、振動エネルギーが上記圧電振
動部に効果的に閉じ込められる。この現象は、本願発明
者により実験的に確かめられたものである。
【0021】第2のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電
共振子においても、上記のように圧電振動部に振動エネ
ルギーが効果的に閉じ込められるため、保持部を利用し
て該第2のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共振子を
支持することができ、そのような場合であっても、共振
特性の劣化が生じ難い。従って、上記保持部を利用して
他の共振子と組み合わせることにより、小型のラダー型
フィルタを容易に構成することができる。さらに、すべ
りモードを利用した共振子を用いるものであるため、圧
電音叉型共振子に比べてラダー型フィルタの帯域を拡げ
ることも容易である。
【0022】上記エネルギー閉じ込め型圧電共振子の第
3のタイプは、対向する一対の矩形の面と、一対の矩形
の面を結ぶ4つの側面とを有する板状の圧電振動部と、
上記圧電振動部の上記一対の矩形面上に形成された第
1,第2の共振電極と、上記圧電振動部の側面のうち、
上記矩形面の短辺に沿う側面の一端側に連結された支持
部と、支持部に連結された保持部とを備え、上記矩形面
の短辺の長さをa、長辺の長さをb、圧電振動部を構成
する材料のポアソン比をσとしたときに、比b/aが、
【0023】
【数6】
【0024】を満たす値を中心として±10%の範囲内
とされており(但し、nは整数)、圧電横効果を利用し
て2m次(但し、mは整数)の屈曲モードの振動を励振
させるように構成されているエネルギー閉じ込め型の圧
電共振子である。この第3のタイプの圧電共振子におい
ても、圧電振動部が上記特定の形状を有するように構成
されているため、2m次の屈曲モードの振動が圧電振動
部に効果的に閉じ込められる。この現象は、本願発明者
により実験的に確かめられたものである。
【0025】第3のタイプの圧電共振子を用いたラダー
型フィルタにおいても、圧電振動部に共振エネルギーが
効果的に閉じ込められるため、第3のタイプの圧電共振
子は、保持部を利用して容易に他の共振子と組み合わせ
たり、ケース基板等に接合することができ、その場合に
おいても、共振特性の劣化が生じ難い。従って、特性が
安定であり、支持構造を簡略化し得る小型のラダー型フ
ィルタを構成することができる。
【0026】しかも、上記圧電振動部は、2m次の屈曲
モードの振動で励振されるものであるため、従来例に比
べて、広い帯域を有するラダー型フィルタを構成するこ
とができる。
【0027】また、上記エネルギー閉じ込め型圧電共振
子の第4のタイプは、圧電振動部と、支持部との間に動
吸振部を設けた構造を有するエネルギー閉じ込め型圧電
共振子である。ここでは、動吸振部により、振動エネル
ギーが動吸振現象により該動吸振部が設けられているま
での部分に効果的に閉じ込められる。動吸振現象の詳細
は、例えば、谷口修著「振動工学」第113頁〜第11
6頁(コロナ社発行)に記載されている。簡単に言え
ば、動吸振現象とは、振動が防止されるべき主振動体に
副振動体を連結し、該副振動体の固有振動数を選択する
ことにより、主振動体の振動が抑制される現象をいい、
上記動吸振部は、上記動吸振現象における副振動体に相
当し、共振部からの振動により振動する支持部が主動体
に相当することになる。
【0028】第4のタイプの圧電共振子を用いたラダー
型フィルタでは、少なくとも1個の共振子が上記動吸振
部を有する圧電共振子で構成されているため、振動エネ
ルギーの閉じ込め効率が高められている。従って、圧電
共振子の小型化を図ることができるため、該圧電共振子
を用いることによりラダー型フィルタの小型化を図るこ
とができる。
【0029】なお、上記第4のタイプのエネルギー閉じ
込め型の圧電共振子は、上記のように動吸振部を有する
ことを特徴とするものであり、圧電振動部自体について
は、特に限定されるものではない。すなわち、上述した
第1〜第3のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共振子
において、動吸振部を設けることにより、わずかに漏洩
してきた振動を動吸振部により抑制し、それによってよ
り一層エネルギー閉じ込め効率を高めることができる。
あるいは、第4のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子では、第1〜第3のタイプのエネルギー閉じ込め型
圧電共振子の圧電振動部とは異なる他の圧電振動部、例
えば長さモードを利用した圧電振動部、すべりモードを
利用した通常の圧電振動部、正方形板の拡がりモードを
利用した圧電振動部等を適宜利用することができる。す
なわち、動吸振部を利用した第4のタイプのエネルギー
閉じ込め型圧電共振子では、目的とする共振周波数に応
じて様々な振動モードで励振される圧電振動部を利用す
ることができ、従って、様々な周波数帯域で用い得るラ
ダー型フィルタを容易に得ることができる。
【0030】しかも、動吸振部を設けたことにより、動
吸振部までの部分に振動エネルギーが効果的に閉じ込め
られるため、第1〜第3のタイプのエネルギー閉じ込め
型圧電共振子の場合と同様に、保持部を利用して上記圧
電共振子を保持することができ、その場合においても、
共振特性の劣化が生じ難い。従って、特性が安定であ
り、かつ小型の、特に高さの小さいラダー型フィルタを
容易に構成することができる。
【0031】なお、本発明の好ましい態様によれば、上
記支持部及び保持部は圧電振動部の両側に連結され、従
って、圧電振動部がその両側で支持部により支持される
ことになるため、より安定な構造のラダー型フィルタを
得ることができる。また、圧電振動部の両側に保持部が
配置されている構造では、両側に配置された保持部を利
用して圧電共振子を保持することができるため、支持構
造も安定化する。
【0032】また、本発明のラダー型フィルタは、上記
のように、少なくとも2個の板状の共振子が横方向に、
すなわち実装面に平行に連結されている構造を有する。
具体的には、このような連結構造は、例えば、第1,第
2のケース基板間に上記連結構造を配置し、第1,第2
のケース基板により上記連結構造を挟持することにより
構成することができ、それによって容易にチップ型のラ
ダー型フィルタを構成することができる。あるいは、べ
ース基板上に上記連結構造を積層し、上記連結構造を囲
むようにキャップ材をベース基板に固定することによ
り、チップ型のラダー型フィルタを構成してもよい。
【0033】また、本発明は、上記のように、直列共振
子及び並列共振子のうち少なくとも1個の共振子が、板
状の圧電振動部、支持部及び保持部を有するが、全ての
共振子が、板状の圧電振動部、支持部及び保持部を有す
るように構成されていてもよく、その場合には、全ての
共振子が保持部を用いて連結されることができ、かつケ
ース基板等に固定することもできるため、チップ型のラ
ダー型フィルタを容易に構成することができる。
【0034】また、好ましくは、本発明では、上記圧電
共振子の両側に保持部が設けられている構造において、
少なくとも2個の上記圧電共振子の両側に、第1,第2
のスペーサ板が設けられる。第1,第2のスペーサ板
は、各圧電共振子の振動部分の振動を妨げないように各
圧電共振子に連結されており、それによって、上記少な
くとも2個の圧電共振子と第1,第2のスペーサ板とに
より共振プレートが構成される。このような共振プレー
トを構成した場合、積層構造のチップ型のラダー型フィ
ルタを容易に構成することができる。
【0035】また、共振プレートを構成している上記少
なくとも2個の圧電共振子及び第1,第2のスペーサ板
を同一の部材により一体的に形成した場合には、共振子
の側方の空間が確実に囲撓されるため、耐湿性等の耐環
境特性に優れたラダー型フィルタを容易に得ることがで
きる。
【0036】また、上記共振プレートに、さらに他の共
振プレートが積層されていてもよい。すなわち、本発明
のラダー型フィルタでは、2枚以上の共振プレートが備
えられていてもよい。
【0037】また、圧電振動部には、好ましくは、該圧
電振動部を励振させるために第1,第2の共振電極が形
成され、保持部に引き出し電極が形成される。この場
合、第1,第2の共振電極が引き出し電極に電気的に接
続される。従って、引き出し電極を外部と電気的に接続
することにより、圧電振動部を共振させることができ
る。
【0038】より好ましくは、本発明のラダー型フィル
タの外表面に複数の外部電極が形成され、この複数の外
部電極が、上述した所定の引き出し電極に電気的に接続
される。従って、複数の外部電極を有するチップ型の電
子部品としてラダー型フィルタを構成することができ
る。
【0039】なお、上述した第1〜第3のタイプのエネ
ルギー閉じ込め型の圧電共振子において、圧電振動部を
構成する圧電材料としては、圧電セラミックスの他、L
iTaO3 やLiNbO3 などの圧電単結晶が挙げられ
る。また、金属板や半導体板などの表面に、圧電薄膜を
付与し、このような複合部材により圧電振動部を構成し
てもよい。上記複合部材を用いて圧電振動部を構成した
場合には、上述したポアソン比σは、複合材料のポアソ
ン比を考慮して選択される。
【0040】
【実施例の説明】以下、本発明の非限定的な実施例を説
明することにより、本発明を明らかにする。
【0041】<第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧
電共振子>まず、本発明で用いられる特徴的な構造を有
する第1のタイプの圧電共振子につき説明し、しかる
後、この第1のタイプの圧電共振子を用いたラダー型フ
ィルタにつき説明する。
【0042】図3は、本発明で用いられる第1のタイプ
のエネルギー閉じ込め型圧電共振子における圧電振動部
を説明するための斜視図である。圧電共振子205で
は、厚み方向に分極軸が揃うように分極処理された矩形
の圧電セラミック板206の両主面に電極207及び2
08が形成されている。圧電セラミック板206の短辺
の長さをa、長辺の長さをbとしたときに、b/aが、
上述した特定の範囲に選択されており、それによって後
述の幅拡がりモードが強く励振される。次に、上記比b
/aを上記特定の範囲としたときに、幅拡がりモードが
強く励振されることを説明する。
【0043】図4〜図6は、拡がりモード、幅拡がりモ
ード及び幅モードを説明するための振動体の振動姿態を
示す各略図的平面図である。本願発明者は、有限要素法
により、矩形板状の振動体の振動状態を、その短辺およ
び長辺の長さを変化させて解析した。長辺の長さbの短
辺の長さaに対する比b/a=1の場合には、すなわ
ち、振動体が正方形板の場合は、図4に示すように拡が
り振動モードの振動が強く励振される。すなわち、図4
に示す平面形状が正方形の振動体201では、破線Aで
示す状態と、一点鎖線Bで示す状態との間で振動が繰り
返され、拡がりモードが強く励振される。
【0044】また、b/aを1よりかなり大きくした場
合、すなわちb/a>>1の場合には、図6に示すよう
に、矩形の振動体が破線Aで示す状態と、実線Bで示す
状態との間で振動し、幅モード振動が強く励振される。
【0045】これに対して、比=b/aが1より大き
く、上記幅モードの振動が強く励振されるよりも小さい
場合には、図5の振動体203に示すように、一点鎖線
Aと破線Bで示す姿態の間での振動、すなわち、幅拡が
りモードが強く励振されることがわかった。
【0046】なお、上記幅拡がりモードは、公知の拡が
りモード及び幅モードの中間の振動モードと考えられる
ため、上述のように幅拡がりモードと命名したものであ
る。上記の知見に基づき、比b/aを特定の値に選択し
た圧電セラミック板を用いて図3に示した圧電共振子を
作製した。
【0047】上記圧電共振子205において、b/aを
種々変更して上記幅拡がり振動モードを励振したとこ
ろ、b/a=−1.47σ+1.88を満たす場合に、
上記幅拡がり振動モードがもっとも強く励振されること
が確かめられた。この場合の圧電共振子205における
変位分布を、有限要素法により解析したところ、図7
(a)に示す結果が得られた。
【0048】上記有限要素法により解析された変位分布
において、図7(b)に示すように、圧電共振子205
の主面中央をOとし、x軸及びy軸を図示のように定義
し、各部分の変位状態を測定したところ、図8に示す結
果が得られた。すなわち、上記幅拡がりモードが励振さ
れている圧電共振子205の、X軸方向に沿う位置で
は、変位量は中心Oと、図7(b)中のX1 すなわち短
辺中央において最も小さく、その中間において変位量が
最も大きくなることがわかる。このことは、幅拡がりモ
ードを利用した圧電共振子205では、ノード点が主面
中心と、短辺の中央とに位置することを意味する。従っ
て、主面の中心あるいは短辺の中央を他の支持部材によ
って支持することにより、上記幅拡がりモードを阻害す
ることなく圧電共振子205を支持し得ることがわか
る。
【0049】また、上記比b/aは、圧電共振子205
のポアソン比と関係することが確かめられた。すなわ
ち、振動体のポアソン比を変化させて、上記幅拡がり振
動モードが励振される場合の比b/aを測定し、上記b
/aの値をプロットしたところ図9に示す結果が得られ
た。従って、図9の直線で示されるように、
【0050】
【数7】
【0051】を満たすように、上記比b/aを選択する
ことにより、幅拡がり振動モードを確実に励振し得るこ
とがわかった。
【0052】さらに、上記比b/aが、式(4)を満た
す場合にのみ幅拡がり振動モードが強く励振されるので
はなく、上記式(4)から若干ずれた場合でも幅拡がり
振動モードが強く励振されることがわかったので、ポア
ソン比σ=0.324の圧電セラミック板を用い、幅拡
がり振動モードの励振の有無を比b/aを変化させて確
かめた。すなわち、図7(b)における点X1 における
変位量をD(X1 )、幅拡がりモードにおいて変位量が
最も大きくなる点C(図7参照)の変位量をD(C)と
し、点X1 の点Cに対する相対変位D(X1 )/D
(C)を測定した。結果を、図10に示す。
【0053】図10から明らかなように、ポアソン比σ
=0.324の場合、比b/a=1.26〜1.54の
範囲内であれば相対変位が±10%以内であることがわ
かる。そこで、上記のように比b/aが最適の値から±
10%以内となるように図3に示した圧電共振子205
を複数種作製し、短辺中央部に支持部材を連結して共振
特性を測定した。その結果、上記のように相対変位が1
0%以内の場合には、幅拡がりモードが良好に閉じ込め
られることが確かめられた。
【0054】従って、図11に示すように、上記比b/
aは、式(4)を満たす点を中心として±10%の範囲
内に設定されれば、上記幅拡がり振動モードが良好に励
振され得ることがわかる。また、(−1.47σ+1.
88)のn倍(nは整数)であっても上記幅拡がり振動
モードが良好に励振されることがわかった。
【0055】図12(a)及び12(b)は、上記の知
見に基づいて製作された幅拡がりモードを利用した圧電
共振子、すなわち第1のタイプの圧電共振子の一例を示
す平面図及び正面図である。圧電共振子211は、矩形
板状の振動体としての圧電振動部212を有する。圧電
振動部212は、平面形状が矩形であり、厚み方向に一
様に分極処理された圧電セラミック板213の両主面の
全面に共振電極214,215を形成した構造を有す
る。また、上記圧電振動部212の幅拡がり振動モード
で励振された際のノード点である短辺中央には、支持部
材216,217が連結されている。そして、支持部材
216,217の外側端部には、それぞれ、保持部21
8,219が連結されている。
【0056】なお、上記支持部材216,217及び保
持部218,219は、圧電セラミック板213と一体
に形成されている。すなわち、矩形の圧電セラミック板
を用意し、図12(a)に示した形状となるように機械
加工することにより形成されている。もっとも、上記支
持部材216,217及び保持部218,219は、圧
電振動部212と別体の部材で構成されてもよく、接着
等の適宜の方法により図示のように連結したものであっ
てもよい。
【0057】上記共振電極214,215は、それぞ
れ、支持部材216,217の一方面に形成された引出
し導電部214a,215aにより、保持部218,2
19の一方主面に形成された引き出し電極220,22
1に電気的に接続されている。
【0058】圧電共振子211では、引き出し電極22
0,221から交流電圧を印加することより、上記圧電
振動部212が幅拡がりモードで励振される。この場
合、圧電振動部212の短辺中央部分は殆ど振動せず、
圧電振動部212の短辺の中央部が振動のノード点を構
成するため、上記支持部材216,217が連結されて
いたとしても、幅拡がりモードの振動は阻害され難い。
よって、支持部材216,217間に上記幅拡がりモー
ドに基づく振動を効果的に閉じ込めることができる。
【0059】また、圧電セラミック板を用いて上記圧電
振動部212の大きさを、幅2.5mm×長さ3.5m
mとした場合には共振周波数は800kHz、幅1.0
mm×長さ1.4mmとしたときには2MHzとなるの
で、800kHz〜2MHz帯で使用するのに適したエ
ネルギー閉じ込め型の圧電共振子を構成し得ることがわ
かった。
【0060】もっとも、上記共振周波数については、他
の材料で圧電共振部を構成した場合には、当然、有効な
周波数帯域は変わる。従って、圧電振動部212を様々
な圧電材料で構成することにより、様々な周波数帯域で
用いるのに適したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子2
11を得ることができる。
【0061】図13は、幅拡がりモードを利用したエネ
ルギー閉じ込め型の圧電共振子の他の例をを示す。圧電
共振子231は、矩形板状の振動体としての圧電振動部
232を有する。もっとも、圧電振動部232では、圧
電板232aの上面において、長辺側の端縁に沿うよう
に、一対の共振電極232b,232cが形成されてい
る。なお、圧電板232aは、図示の矢印P方向すなわ
ち共振電極232bから共振電極232cに向かう方向
に分極処理されている。また、本例においても、圧電振
動部232の長辺の長さbの短辺の長さaに対する比b
/aは、式(1)を満たす点を中心として±10%以内
の範囲内に設定されている。
【0062】従って、共振電極232b,232c間に
交流電圧を印加することにより、幅拡がりモードによっ
て圧電振動部232が振動する。この場合、圧電振動部
232の変位方向は、印加される電界と平行であるた
め、圧電縦効果を利用した圧電共振子となる。
【0063】また、本例の圧電共振子231において
も、上記幅拡がりモードで共振する圧電振動部232の
振動のノード点に支持部材236,237が連結されて
おり、支持部材236,237の外側端部に保持部23
8,239が連結されている。なお、図13において、
234a,235aは引出し導電部を、240,241
は引き出し電極を示す。
【0064】図13に示した例から明らかなように、本
発明における幅拡がりモードを利用した共振子は、圧電
横効果を利用したものだけでなく、圧電縦効果を利用し
たものにも適用することができる。
【0065】図14は、本発明で用いられる幅拡がりモ
ードを利用したエネルギー閉じ込め型圧電共振子のさら
に他の例を示す平面図である。図14に示す圧電共振子
251は、動吸振部及び連結部を設けたことに特徴を有
し、その他の点については図12に示したエネルギー閉
じ込め型の圧電共振子211と同様である。従って、同
一部分については、同一の参照番号を付することによ
り、その説明は省略する。
【0066】動吸振部252,253は、支持部材21
6,217の外側端に連結されており、上下に延びる棒
状の部分として構成されている。動吸振部252,25
3の外側には、保持部218,219との間に連結部2
54,255が構成されている。
【0067】圧電共振部212の振動のノード点に支持
部材216,217が連結されているため、支持部材2
16,217側への振動の漏洩は非常に少ない。しかし
ながら、本例では、わずかに漏洩してきた振動により上
記動吸振部252,253が共振し、それによってわず
かに漏洩してきた振動が抑制される。従って、動吸振部
252,253までの部分に振動エネルギーを効果的に
閉じ込めることができる。よって、より一層小型の圧電
共振子を構成することができる。
【0068】図14に示した圧電共振子251は、上記
のように動吸振部を設けたことに一つの特徴を有するた
め、本発明のラダー型フィルタで用いられる第4のタイ
プのエネルギー閉じ込め型圧電共振子の一例でもある。
【0069】<第2のタイプの圧電共振子>図15及び
図16は、本発明で用いられるエネルギー閉じ込め型の
すべりモードを利用した圧電共振子(第2のタイプの圧
電共振子)を説明するための側面図及び斜視図である。
【0070】圧電共振子311は、矩形板状の圧電セラ
ミック板312を用いて構成されている。圧電セラミッ
ク板312は、その主面と平行な方向すなわち図示の矢
印P方向に分極軸が揃うように分極処理されている。
【0071】圧電セラミック板312の上面312aに
おいては、一方端面312cから他方端面312d側に
向かって、ただし他方端面312dには至らないように
第1の共振電極313が形成されている。同様に、圧電
セラミック板312の下面212b上では、端面312
d側から端面312c側に向かって、ただし端面312
cには至らないように第2の共振電極314が形成され
ている。
【0072】また、圧電セラミック板312の上面31
2aには、幅方向に延びる第1の溝315が、下面31
2b上にも、幅方向に延びる第2の溝316が形成され
ている。そして、第1の溝315と第2の溝316とで
挟まれた圧電セラミック板部分において、上下の第1,
第2の共振電極313,314が圧電セラミック板31
2を介して重なり合っており、それによって圧電振動部
が構成されている。すなわち、第1,第2の共振電極3
13,314の先端側に、それぞれ、第1,第2の溝3
15,316が形成されて、第1,第2の溝315,3
16間に共振部が構成されている。従って、第1,第2
の共振電極313,314間に交流電解を印加して圧電
振動部を振動させた場合、すべりモードの振動が強く励
振され、該すべりモードの振動が第1,第2の溝31
5,316が形成されているため、圧電振動部に効果的
に閉じ込められる。
【0073】なお、圧電共振子311では、溝315,
316間が圧電振動部を構成しており、溝315の下方
の圧電板部分及び溝316の上方の圧電板部分が本発明
における支持部を構成している。また、溝315,31
6よりも外側の圧電板部分が本発明における保持部を構
成している。さらに、共振電極313,314は、圧電
振動部に存在する部分においては、圧電振動部を共振さ
せる電極として機能するが、上記保持部上に至っている
部分では、前述した引き出し電極として機能する。
【0074】圧電共振子311では、圧電振動部の分極
方向に平行な圧電体面方向が、長さbの長辺と、長さa
の短辺とを有する矩形面とされている。圧電セラミック
板312を構成している圧電材料のポアソン比をσとし
たときに、比b/aは、式(2)を満たす値を中心とし
て±10%の範囲内とされている。言い換えれば、比b
/aが、上記特定の範囲内となるように、上記溝31
5,316が形成されており、それによって圧電振動部
の寸法が定められている。
【0075】上記圧電共振子311において、比b/a
が上記特定の範囲内となるようにすれば、すべりモード
による振動エネルギーが圧電振動部内により一層効果的
に閉じ込められることは、本願発明者によって実験的に
確かめられたものである。これを、次に図17(a)〜
21を参照して説明する。
【0076】いま、図17(a)に側面図で示すよう
に、矢印P方向すなわち上面及び下面と平行な方向に分
極処理されており、かつ比b/a=1である圧電体32
1の両主面に共振電極322,323を形成した構造を
想定する。この場合、共振電極322,323から交流
電圧を印加することにより、圧電体321は輪かくすべ
りモードで振動する。その結果、図示の破線Aで示す振
動姿態と、破線Aで示す振動姿態と左右対称である振動
姿態との間で振動することになる。
【0077】上記振動体321の各部分の位置を、図1
7(b)にx−y座標系で示す。この場合、振動に際し
てコーナー部分Aはx方向及びy方向の何れにおいても
もっとも大きな変位を示す。また、圧電体321の中心
である点Oは振動のノード点となる。他方、圧電体32
1の側面の中間高さ位置の点O1 ,O2 においても、変
位がみられる。
【0078】従って、点O1 ,O2 においても変位がみ
られることになるため、上記圧電体321の両側面の外
側に、さらに圧電板を連ねた形状の輪かくすべりモード
の共振子を構成した場合、振動エネルギーの閉じ込め効
率は十分でないことがわかる。これに対して、比b/a
を、
【0079】
【数8】
【0080】としたときには、変位分布は図18に示す
とおりであることがわかった。すなわち、図18に略図
的側面図で示す圧電体331は、破線Bで示す振動姿態
と、該振動姿態と左右対称である振動姿態との間で振動
することになる。この場合、短辺側の変位ベクトルは図
19に示すようにx方向の成分のみを有する。また、圧
電体331の側面331a,331bでは、上半分の部
分と、下半分の部分とで変位方向が逆転する。
【0081】そこで、上記b/aを種々変更し、かつ種
々の圧電材料を用いて、圧電体に支持体を連ねた構造の
変位状態を調べた。その結果、使用する圧電材料のポア
ソン比σと比b/aとの間に図19に示す関係があるこ
とが確かめられた。図19の結果から、比b/aを、
【0082】
【数9】
【0083】に設定することにより、支持体側への変位
の伝達を減少させることができ、言い換えれば、圧電振
動部の部分に振動エネルギーを効果的に閉じ込められる
ことがわかった。また、上記比b/aが、(0.3σ+
1.48)のn倍(但し、nは整数)の場合にも振動エ
ネルギーを効果的に閉じ込め得ることが確かめられた。
【0084】上記のようにして、式(2)を満たすよう
に圧電振動部の寸法を選択することにより圧電振動部に
おいて振動を閉じ込め得ることがわかった。この結果に
基づき、有限要素法によりポアソン比σ=0.31の圧
電材料を用い、b/a=1.57とした場合の圧電振動
部341の変位分布を調べたところ、図22に示す結果
が得られた。
【0085】また、このような圧電振動部341に、支
持部342A,343Aを介して圧電振動部341と等
しい幅の厚みを有する支持部344,345を一体的に
構成した共振子の変位分布を同じく有限要素法で調べた
ところ、図20に示す結果が得られた。
【0086】図20から明らかなように、この共振子3
46では、圧電振動部341部分におけるすべりモード
の振動エネルギーが支持部342A,343A側にはほ
とんど漏洩していないことがわかる。すなわち、上記比
b/aを式(2)を満たすように選択することにより、
エネルギー閉じ込め効率の高いすべりモードを利用した
共振子を構成し得ることがわかる。
【0087】次に、あるポアソン比σにおいて、上記式
(2)のnを0.85〜1.1まで変化させ、図20に
示す変位量の最も大きな点Pの変位量に対する変位量の
最も小さな点Qにおける変位量の比、すなわち相対変位
(%)を測定した。結果を図21に示す。
【0088】図21から明らかなように、nの値が0.
9〜1.1の範囲であれば、相対変位は10%以下であ
ることがわかる。他方、相対変位が10%以下の場合に
は、共振子を構成する場合に実質的に問題のないことが
わかっている。従って、式(2)を満たす値から±10
%の範囲内であれば、共振部に振動エネルギーを効果的
に閉じ込めることができる。
【0089】そこで、図15及び図16に示した第2の
タイプの圧電共振子11では、圧電振動部の圧電セラミ
ック板の厚みaと共振部の分極方向Pに沿う長さ寸法
b、すなわち圧電振動部の分極方向に平行な矩形の圧電
体面の短辺の長さaと、長辺の長さbとが、上記式
(2)で示す値から±10%の範囲内とするように、上
記第1,第2の溝15,16が形成されており、それに
よってエネルギー閉じ込め効率が高められている。
【0090】図22は、第2のタイプの圧電共振子の他
の例を示す側面図である。圧電共振子351では、矢印
P方向に分極処理された圧電セラミック板352の上面
352aにおいて、第1の溝355の外側に、さらに第
3の溝357が形成されており、他方、圧電セラミック
板352の下面352b側においても、第2の溝356
の外側に第4の溝358が形成されており、それによっ
て第1,第2の動吸振部359,360が構成されてい
る。この動吸振部359,360は、公知の動吸振現象
により、漏洩してきた振動によって共振し、漏洩してき
た振動を打ち消すように作用する。従って、動吸振部3
59,360の寸法は、このような動吸振現象による振
動の相殺を果たすような大きさに選ばれている。
【0091】圧電共振子351では、上記第3,第4の
溝357,358が形成されて動吸振部359,360
が構成されていることを除いては、圧電共振子と同様で
あるため、その他の部分については相当の参照番号を付
することにより、その説明は省略する。
【0092】圧電共振子351では、共振部における比
b/aが式(2)で示す値から±10%の範囲内とされ
ているため、共振部に振動エネルギーが効果的に閉じ込
められる。しかも、わずかに漏洩した振動は、上記動吸
振部359,360によって動吸振現象により相殺され
る。従って、第3,第4の溝357,358よりも外側
の保持部361,362において圧電共振子351を機
械的に保持した場合、共振特性の劣化がほとんど生じな
い。よって、圧電共振子に比べて、より一層エネルギー
閉じ込め効率を高めることかでき、より小型の圧電共振
子を提供することができる。なお、圧電共振子351
は、上記のように動吸振部359,360を有するた
め、本発明に用いられる第4のタイプの圧電共振子でも
ある。
【0093】図23は、第2のタイプのエネルギー閉じ
込め型圧電共振子のさらに他の例を示す斜視図である。
圧電共振子371は、長手方向Bに沿って分極処理され
た細長い矩形の圧電セラミック板372を用いて構成さ
れている。圧電セラミック板372では、圧電板372
の上面において、両側縁に沿うように、第1,第2の共
振電極373,374が形成されている。また、両側縁
に、それぞれ、溝375,376が形成されている。溝
375,376間で挟まれている圧電板部分が、圧電振
動部を構成している。この圧電振動部は、分極方向Pに
平行な圧電体面である上面が矩形形状を有する。この圧
電振動部の上面の形状は、短辺の長さをa、長辺の長さ
をbとしたときに、上述した式(2)を満たす値を中心
として±10%の範囲内となるように選択されている。
従って、第1,第2の共振電極373,374から交流
電圧を印加することにより、圧電振動部が上述した図1
5の圧電共振子311と同様にすべりモードで共振子、
しかも該共振エネルギーが圧電振動部に効果的に閉じ込
められる。なお、溝375,376の側方の圧電板部分
が、本発明の支持部を構成し、溝375,376よりも
外側の圧電板部分が本発明の保持部を構成している。ま
た、保持部の上面には、それぞれ、第1,第2の共振電
極に電気的に接続されるように引き出し電極377,3
78が形成されている。
【0094】図24は、第2のタイプのエネルギー閉じ
込め型圧電共振子のさらに他の例を示す平面図である。
圧電共振子381では、溝383〜386を一方側面側
に形成し、他方側面側に溝387〜390を形成するこ
とにより、動吸振部391〜394が形成されている。
また、溝384,385間の圧電基板部分が、本発明に
おける圧電振動部395を構成している。また、溝38
3,386の外側に、それぞれ、保持部396,397
が形成されている。なお、本発明の支持部は、溝38
4,388間で挟まれている圧電基板部分及び溝38
5,389間で挟まれている圧電基板部分である。ま
た、上記溝383,387間の圧電基板部分及び溝38
6,390間の細い圧電基板部分が連結部を構成してい
る。
【0095】圧電振動部135は、図示の矢印P方向す
なわち圧電基板382の長さ方向に沿うように分極処理
されている。他方、共振電極398,399は、分極方
向Pと平行に圧電基板382の上面に形成されている。
また、上記圧電振動部395の上面が矩形形状を有し、
該上面の短辺の長さをa、長辺の長さをbとしたとき
に、比b/aが、前述した式(2)を満たす値を中心と
して±10%の範囲内とされている。
【0096】従って、共振電極398,399から交流
電圧を印加することにより、圧電振動部395がすべり
モードで共振し、該圧電振動部395に共振エネルギー
が効果的に閉じ込められる。さらに、動吸振部391〜
394が、漏洩してきたわずかな振動を動吸振現象によ
り抑制する。従って、圧電共振子381では、動吸振部
391〜394が設けられている部分までに振動エネル
ギーが確実に閉じ込められる。なお、保持部396,3
97上には、引き出し電極400,401が形成されて
いる。
【0097】図25は、図24に示した圧電共振子38
1の変形例である。圧電共振子381と異なるところ
は、圧電共振子411では、圧電振動部395が、図示
の矢印P方向すなわち圧電基板382の幅方向と平行に
分極処理されていることにあり、かつ共振電極398,
399が幅方向に延びるように形成されていることにあ
る。
【0098】図26は、図24に示した圧電共振子38
1のさらに他の変形例を示す斜視図である。圧電共振子
421では、圧電振動部395が、図示の矢印P方向す
なわち圧電基板382の長さ方向と平行に分極処理され
ている。圧電共振子381と異なるところは、電極の形
成位置である。
【0099】すなわち、圧電共振子421では、共振電
極398,399が、圧電振動部395において、圧電
基板382の両側面に形成されている。また、圧電共振
子391では、引き出し電極400,401が、それぞ
れ、保持部396,397において、圧電基板382の
側面に形成されている。また、引き出し電極400,4
01と、共振電極398,399と電気的に接続する接
続導電部もまた、圧電基板382の側面に沿って形成さ
れている。
【0100】圧電共振子421から明らかなように、第
2のタイプの圧電共振子における共振電極は、圧電振動
部を構成している圧電板の上面や下面だけでなく、側面
に形成されていてもよい。さらに、例えば、図24に示
した圧電共振子381において、一方の共振電極399
が圧電基板382の下面に形成されていてもよく、ある
いは、圧電共振子421において、一方の励振電極39
8または399が、圧電基板382の一方主面側に形成
されていてもよい。
【0101】さらに、第2のタイプの圧電共振子におい
ても、圧電振動部、支持部、及び保持部、さらに必要に
応じて設けられる動吸振部は、単一の圧電基板を機械加
工することにより構成されていてもよく、あるいは、こ
れらが、別部材で構成されていてもよい。
【0102】例えば、図27に示すように、圧電振動部
を構成するための矩形の圧電板431に対し、同じ厚み
の絶縁板432,433を接合することにより、基板4
34を形成してもよい。この基板434を用いて、上記
第2のタイプの圧電共振子を構成することができる。な
お、図27に示した基板434では、絶縁板432,4
33に、動吸振部435,436及び保持部437,4
38が一体に形成されていたが、これらの各部分につい
ても、別部材で構成されていてもよい。
【0103】さらに、図28に示すように、動吸振部4
35,436の外側に、同じ幅の基板部分439,44
0を形成してもよい。この場合には、基板部分439,
440が、連結部及び保持部を兼ねることになる。
【0104】第1の実施例 図29は、第1の実施例に係るラダー型フィルタの分解
斜視図であり、図30は該ラダー型フィルタの外観を示
す斜視図である。
【0105】ラダー型フィルタ20は、図29に示すケ
ース基板21,第1の共振プレート22、分離用スペー
サー23、第2の共振プレート24及びケース基板25
を積層した構造を有する。
【0106】第1の共振プレート22は、すべり振動モ
ードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子26,27
と、幅拡がりモードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振
子28とを接着して一体化することにより連結し、さら
に外側に動吸振部内蔵型圧電共振子26〜28と厚みの
等しいスペーサー板29,30を接着剤を用いて接合し
た構造を有する。スペーサー板29,30は、アルミナ
などの絶縁性セラミックスあるいは合成樹脂等の適宜の
ある程度の強度を有する絶縁性材料により構成されてお
り、かつ圧電共振子26,27の振動部分の振動を妨げ
ないための切欠29a,30aを有する。
【0107】動吸振部内蔵型圧電共振子26は、図31
(a)に示すように、矢印Pで示す方向に一様に分極処
理された細長い矩形板状の圧電セラミック板26aを用
いて構成されている。圧電セラミック板26aの一方の
側面には、圧電セラミック板26aの一端から他端側に
向かって共振電極26bが形成されている。この共振電
極26bの先端は、側面を切欠くことにより形成された
凹部26cに至る部分で終了されている。また、凹部2
6cと所定距離を隔てて凹部26dが形成されており、
それによって凹部26c,26d間に動吸振部26eが
構成されている。
【0108】同様に、圧電セラミック板26aの他方側
面においても、圧電セラミック板26aの他方端から前
記一方端に延びるように共振電極26fが形成されてい
る。また、共振電極26bが形成されている側と同様
に、2つの凹部26g,26hを形成することにより、
動吸振部26iが構成されている。
【0109】第2のタイプの圧電共振子26では、上記
共振電極26bと共振電極26fとが重なり合っている
部分が圧電振動部を構成しており、該圧電振動部の寸法
比b/aが前述した式(2)を満たす値を中心として±
10%の範囲内とされている。すなわち、図23に示し
た圧電共振子371と同様に構成されている。圧電振動
部と動吸振部26e,26iとの間の部分が支持部を構
成し、凹部26d,26hが形成されている部分よりも
外側端の圧電セラミック板部分が保持部を構成し、該保
持部と動吸振部26e,26iとの間の相対的に幅の狭
い圧電セラミック部分が連結部を構成している。
【0110】動吸振部内蔵型圧電共振子26では、共振
電極26b,26fから交流電圧を印加することによ
り、共振電極26b,26fが重なり合う領域が、すべ
り振動モードで共振し、圧電共振子として動作する。し
かも、共振部が上記特定の寸法比を有するように形成さ
れているので、共振エネルギーが効果的に閉じ込められ
る。
【0111】また、上記共振電極26b,26fが重な
り合う領域で発生した振動が漏れたとしても、動吸振部
26e,26iまでの部分に確実に閉じ込められる。す
なわち、すべり振動モードの共振が、共振部から外側に
漏洩したとしても、該漏洩した振動により動吸振部26
e,26iが共振し、動吸振現象により減衰される。従
って、動吸振部26e,26iよりも外側の圧電セラミ
ック板部分には振動がほとんど伝達されない。よって、
圧電共振子26では、動吸振部26e,26iよりも外
側の圧電セラミック板部分を他の部材に連結することに
より、共振部の共振を妨げることなく圧電共振子26を
機械的に保持することが可能とされている。
【0112】図29に戻り、第1の共振プレート22に
用いられている動吸振部内蔵型圧電共振子28を、図3
1(b)を参照して説明する。動吸振部内蔵型圧電共振
子28は、上述した第1,第4のタイプの圧電共振子で
あり、図31(b)に示す平面形状を有する圧電セラミ
ック板28aを用いて構成されている。この圧電セラミ
ック板28aでは、圧電セラミック板は中央に平面形状
が矩形の圧電振動部28bが構成されている。圧電振動
部28bでは、図示の矢印P方向に分極処理されてお
り、かつ両主面に共振電極28cが形成されている(下
面側の共振電極については図示されず)。
【0113】また、圧電振動部28bは、前述した式
(1)を満たす値を中心として±10%の範囲内となる
ように縦横の寸法比b/aが選ばれている。圧電振動部
28bの両主面の共振電極28cから交流電圧を印加す
ることにより、圧電振動部28bは幅振動モードで共振
されるが、b/a比が上記特定の範囲内なので、圧電振
動部に共振エネルギーが効果的に閉じ込められる。
【0114】他方、圧電振動部28bの互いに対向して
いる側面中央には、細長い棒状の支持部28d,28e
が連結されており、支持部28d,28eの外側端にそ
れぞれ、動吸振部28f,28gが構成されている。動
吸振部28f,28gは、屈曲モードで振動するように
構成されており、圧電振動部28bから伝達してきた振
動によって共振するように構成されている。従って、圧
電振動部28bにおける共振エネルギーが漏れたとして
も、動吸振部28f,28gまでの部分に確実に閉じ込
められる。
【0115】また、動吸振部28f,28gの外側に
は、連結部28h,28iが連結されており、該連結部
28h,28iの外側端に保持部28j,28kが連結
されている。保持部28j,28kは、圧電共振子28
を他の部材と連結したり、機械的に保持するための部分
として設けられており、図示のように比較的大きな面積
を有する。
【0116】なお、図31(a)及び31Bに示した動
吸振部内蔵型圧電共振子26,28は、上記のように1
枚の圧電セラミック板を機械加工することにより形成さ
れてもよいが、各部分が別体で構成されており、相互に
接着剤等により連結されていてもよい。例えば、図31
(b)に示した圧電セラミック板28aに変えて、圧電
振動部を構成する矩形の圧電セラミック板の側方に、上
記支持部28d,28e、動吸振部28f,28g、連
結部28h,28i及び保持部28j,28kを構成す
る各部材を接着剤等により接着して一体化してもよい。
後述の第2の実施例以下の実施例で用いられる動吸振部
内蔵型圧電共振子においても、各圧電共振子を構成する
ための圧電セラミック板等は、本実施例と同様に、圧電
セラミック板を機械加工により形成したものであって
も、あるいは複数の部材を連結して構成されていてもよ
いことを指摘しておく。
【0117】また、共振電極28cは、接続導電部28
lを介して保持部28kの上面に形成された電極28m
に電気的に接続されている。同様に、共振部28bの下
面に形成された共振電極についても、接続導電部を介し
て保持部28jの下面に形成された電極に電気的に接続
されている。
【0118】図29に戻り、上記動吸振部内蔵型圧電共
振子26と同一の構造を有する動吸振部内蔵型圧電共振
子27と、上記動吸振部内蔵型圧電共振子26,28が
互いの保持部の側面を絶縁性接着剤で接着することによ
り一体化されており、かつ前述した第1,第2のスペー
サ板29,30をさらに側方に接合することにより、第
1の共振プレート22が構成されている。
【0119】共振プレート22においては、上面側に、
後述のようにラダー型フィルタを構成するように、圧電
共振子26〜28を電気的に接続するための電極22a
〜22dが形成されている。電極22aは、前述した圧
電共振子26の共振電極26f(図31(a)参照)に
電気的に接続されている。同様に、電極22cは、共振
電極26bに、電極22b,22dは、それぞれ、圧電
共振子27の側面に形成された一方の共振電極に電気的
に接続されている。また、圧電共振子28では、一方の
共振電極28cに接続されている電極28mが図示のよ
うに共振プレート22の端縁に至るように形成されてお
り、同じく下面側の共振電極に電気的に接続される電極
も共振プレート22の下面において反対側の端縁に至る
ように形成されている。
【0120】第2の共振プレート24では、圧電共振子
26と同一構造を有するすべり振動モードを利用した動
吸振部内蔵型圧電共振子31の両側に、動吸振部内蔵型
圧電共振子28と同様に構成された幅振動モードを利用
した動吸振部内蔵型圧電共振子32,33が接着されて
いる。また、これらの圧電共振子31〜33と厚みの等
しい絶縁性セラミックスもしくは合成樹脂等の適宜のあ
る程度の強度を有する絶縁性材料により構成された第
1,第2のスペーサ板34,35が、圧電共振子32,
33の側方に接着されている。スペーサ板34,35
は、図示のように、圧電共振子32,33側の端縁に略
コの字状の切欠34a,35aを有する。切欠34a,
35aは、圧電共振子32,33の共振部及び動共振部
の振動を妨げないための空間を確保するために設けられ
ている。なお、圧電共振子31及び圧電共振子32,3
3の構造自体は、前述した圧電共振子26及び圧電共振
子28と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0121】第2の共振プレート24においては、上面
に、電極24a,24bが異なる端縁に至るように形成
されている。電極24a,24bは、それぞれ、圧電共
振子31の両側面に形成された共振電極の一方に電気的
に接続されている。また、圧電共振子32,33では、
上面に形成された共振電極32a,33aに電気的に接
続された保持部上の電極32c,33dが共振プレート
24の異なる端縁に至るように形成されている。また、
これらの圧電共振子32,33の共振部の下面に形成さ
れた共振電極については、下面において反対側の端縁に
至る電極に電気的に接続されている。
【0122】ケース基板21,25は、それぞれ、下面
及び上面に凹部21a,25aを有する。凹部21a,
25aは、積層された際に隣接する圧電共振子の共振部
や動吸振部の振動を妨げないように設けられている。ま
た、分離用スペーサ23においても、上面に凹部23a
が形成されており、図29では明確ではないが、下面側
にも凹部23aと同じ形状の凹部が形成されている。こ
れらの凹部は、上下に配置される圧電共振子の共振部及
び動吸振部の振動を妨げないために設けられている。
【0123】もっとも、上述した凹部21a,23a,
25aを設けずに、平板状のケース基板21、分離用ス
ペーサ23及びケース基板25を用いてもよい。その場
合には、圧電振動部及び動吸振部の振動を妨げないため
に、凹部21a,23a,25aの深さに相当する厚み
の矩形枠状のスペーサを間に介在させたり、あるいは絶
縁性接着剤を矩形枠状に塗布することにより、同様の空
間を形成する必要がある。
【0124】ケース基板21,25及び分離用スペーサ
23は、ある程度の強度を有する絶縁性材料、例えばア
ルミナなどの絶縁性セラミックスもくしは合成樹脂等に
より構成することができる。
【0125】本実施例では、上述したケース基板21、
第1の共振プレート22,分離用スペーサ23、第2の
共振プレート24及びケース基板25を積層し、絶縁性
接着剤で接着することにより、積層構造を有するラダー
型フィルタとして一体化される。これを、図30を参照
して説明する。
【0126】図30から明らかなように、本実施例のラ
ダー型フィルタ20では、矩形板状の複数の部材を積層
した構造を有し、側面から上面及び下面に至るように端
子電極20a〜20lが形成されている。端子電極20
a〜20lは、導電ペーストを塗布し、焼き付けること
により、あるいは蒸着、メッキもしくはスパッタリング
等により形成することができる。また、図29に示され
ているように、ケース基板21の上面に、予め電極21
bを複数形成しておき、さらにケース基板25の下面に
も同様に複数の端子電極部分を形成しておき、しかる
後、図30に示されているように積層体の側面に電極材
料を付与することにより、側面から上面及び下面に至る
端子電極20a〜20lを形成してもよい。
【0127】上記のようにして得られたラダー型フィル
タでは、図32に示すように、端子電極20a〜20l
を結線し、端子電極20aを入力端とし、端子電極20
k,20jを出力端とし、端子電極20l,20f,2
0bを接地電位に接続することにより、図33に回路図
で示すラダー型フィルタとして動作させることができ
る。
【0128】本実施例のラダー型フィルタ20では、す
べり振動モードや幅振動モードを用いた動吸振部内蔵型
圧電共振子26〜28,31〜33を用いて直列共振子
及び並列共振子が構成されている。従って、音叉型圧電
共振子を用いたラダー型フィルタに比べて、通過帯域幅
を容易に拡げることができる。
【0129】また、ラダー型フィルタ20では、図29
から明らかなように、共振プレート22において、板状
の圧電共振子26〜28が横方向に連結されている。同
様に、共振プレート24においても、板状の圧電共振子
31〜33が横方向に連結されている。従って、厚みを
さほど増加させることなく、3段のチップ型のラダー型
フィルタを構成することができる。すなわち、複数の板
状の圧電共振子が実装面と平行な方向である横方向に連
結されているため、ラダー型フィルタの低背化を促進す
ることが可能となる。
【0130】しかも、各動吸振部内蔵型共振子では、動
吸振部までの部分において振動エネルギーが効果的に閉
じ込められるため、各動吸振部内蔵型共振子をその保持
部を利用して上述のように簡単に連結し、一体化するこ
とができる。
【0131】第2の実施例 図34は、第2の実施例に係るラダー型フィルタに用い
られるT型接続用フィルタの分解斜視図であり、図35
は該T型フィルタの外観を示す斜視図である。
【0132】T型フィルタ70は、ケース基板71と、
共振プレート72と、ケース基板73とを積層すること
により構成されている。ケース基板71,73は、第1
の実施例のケース基板21,25と同様に構成されてい
る。すなわち、ケース基板73の上面には凹部73aが
形成されており、特に図示はされていないが、ケース基
板71の下面にも同様の凹部が形成されている。
【0133】他方、共振プレート72は、第1の実施例
で用いられた共振プレート22とほぼ同様に構成されて
いる。すなわち、中央に幅拡がりモードを利用した動吸
振部内蔵型圧電共振子28を配置し、その側方にすべり
モードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子26,27
を接着し、さらに外側にスペーサ29,30を接着した
構造を有する。もっとも、本実施例では、圧電共振子2
8の上面においては、共振電極28cに接続される電極
28mが引き出された端縁側に、圧電共振子26,27
の各一方の共振電極に接続される電極72a,72bも
引き出されている。
【0134】また、図34において右側に破線で示すよ
うに、下面側においても、共振電極28nに電気的に接
続される電極28oが圧電共振子26,27の他方の共
振電極に電気的に接続される電極72c,72dと同一
端縁側に引き出されている。
【0135】図35から明らかなように、上記各部材を
積層して得られたラダー型フィルタ70では、上記電極
28m,72a〜72dが形成されている位置に応じ
て、端子電極70a〜70fが形成されている。従っ
て、端子電極70cを入力端、端子電極70bを接地電
位に接続されるようにし、端子電極70aを出力端と
し、端子電極70d〜70fを共通接続することによ
り、図36に示すT型のフィルタが構成される。
【0136】上記フィルタ70は、図37及び図38を
参照して示すπ型接続用フィルタと接続されて、3段の
ラダー型フィルタを構成する。このπ型フィルタを、図
37及び図38を参照して説明する。
【0137】π型フィルタ80は、ケース基板81、共
振プレート82及びケース基板83を積層した構造を有
する。ケース基板81,83は、図34に示したケース
基板71,73と同様に構成されている。すなわち、ケ
ース基板81の下面に凹部が、ケース基板83の上面に
凹部83aが形成されている。
【0138】他方、共振プレート82は、第1の実施例
の共振プレート24とほぼ同様に構成されている。異な
るところは、幅拡がりモードを利用した動吸振部内蔵型
圧電共振子32,33の上面の共振電極32a,33a
が何れも、共振プレート82の一方端縁側に引き出され
ており、図37に破線で右側に示すように、下面の共振
電極についても、何れもが共振プレート82の他方の端
縁側に引き出されていることにある。その他の点につい
ては、共振プレート24と同様であるため、相当の部分
については相当の参照番号を付することによりその説明
は省略する。
【0139】図38に示すように、このπ型フィルタ8
0において、側面に端子電極80a〜80fを形成し、
端子電極80a,80bを共通接続し、出力端とし、端
子電極80c,80dを接地電位に接続し、端子電極8
0g,80fを共通接続して入力端とすることにより、
図39に示すπ型フィルタが構成される。
【0140】従って、上記T型フィルタ70の出力端と
π型フィルタ80の入力端とを接続することにより、3
段のラダー型フィルタが構成される。言い換えれば、T
型フィルタ70とπ型フィルタ80とを接続することに
より、第1の実施例のラダー型フィルタと同じ段数のラ
ダー型フィルタを構成することができる。
【0141】第3の実施例 第3の実施例のラダー型フィルタは、図40及び図41
を参照して示すT型フィルタ90と、図42及び図43
を参照して説明するπ型フィルタ100とを接続するこ
とにより構成され、第2の実施例と同様に3段のラダー
型フィルタを構成するものである。
【0142】図40及び図41に示すT型フィルタ90
は、第2の実施例のT型フィルタ70の場合と同様に、
ケース基板71,73と、共振プレート92とを積層し
た構造を有する。共振プレート92では、中央に幅拡が
りモードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子93が配
置されている。この圧電共振子93は、第1の実施例で
用いられた幅拡がりモードを利用した動吸振部内蔵型圧
電共振子28と同様の構造を有する。
【0143】圧電共振子93の側方には、すべりモード
を利用した動吸振部内蔵型圧電共振子94,95が保持
部同士を接着することにより接合されている。圧電共振
子94は、圧電セラミック板を機械加工することにより
図示の形状とされており、中央に矩形板状の共振部94
aを有する。共振部94aでは、その分極軸方向が圧電
板の長さ方向に沿うように分極処理されている。共振部
94aには、上面において、対向する一対の端縁に沿う
ように、共振電極94b,94cが形成されている。従
って、共振電極94b,94cから交流電圧を印加する
ことにより、すべり振動モードで共振部94aが共振す
る。
【0144】また、図40の右方に下面の電極形状を示
す図において、共振子94の輪かくが破線で示されてい
るが、この図を参照して共振子94の形状を説明する。
共振部94aには、相対的に幅の狭い支持部94d,9
4eが連結されており、該支持部94d,94eの外側
端に動吸振部94f,94gが構成されている。また、
動吸振部94f,94gの外側の側面に、連結部94
h,94iを介して保持部94j,94kが連ねられて
いる。共振部94aの外側の各部分の詳細は、圧電共振
子28と同様である。
【0145】また、他方のすべりモードを利用した圧電
共振子95についても、圧電共振子94と同一に構成さ
れている。上記圧電共振子94,95の外側には、スペ
ーサ96,97が貼り合わされている。スペーサ96,
97は圧電共振子93〜95と等しい厚みを有するよう
に構成されており、かつ圧電共振子94,95側に切欠
96a,97aを有する。この切欠96a,97aは、
圧電共振子94,95の振動部分の振動を妨げないため
に設けられている。
【0146】上記共振プレート92をケース基板71,
73で挟持するように積層し、端面に端子電極90a〜
90fを形成することにより、第2の実施例のT型フィ
ルタ70と同様のT型フィルタを得ることができる(図
41)。すなわち、端子電極90cを入力端、端子電極
90d〜90fを共通接続し、端子電極90bを接地電
位に接続し、端子電極90aを出力端とすることによ
り、T型フィルタとして動作させることができる。
【0147】他方、図42に示すように、π型フィルタ
100は、第2の実施例におけるπ型フィルタ80とほ
ぼ同様に構成されている。すなわち、ケース基板81,
83間に共振プレート101を介在させて積層すること
により構成されている。共振プレート101が、共振プ
レート82と異なるところは、中央に、すべり振動モー
ドを用した動吸振部内蔵型圧電共振子102を用いたこ
とにある。動吸振部内蔵型圧電共振子102は、T型フ
ィルタ90に用いた動吸振部内蔵型圧電共振子94と同
様に構成されている。
【0148】図43に示すように、上記ケース基板8
1、共振プレート101及びケース基板83を積層して
得られた積層体に端子電極100a〜100fを形成す
ることにより、π型フィルタが構成される。すなわち、
端子電極100a,100bを共通接続して出力端と
し、端子電極100c,100dを接地電位に接続し、
端子電極100e,100fを共通接続し、入力端とす
ることにより、π型フィルタとして動作させることがで
きる。よって、第2の実施例の場合と同様に、T型フィ
ルタ90とπ型フィルタ100とを接続することによ
り、3段のラダー型フィルタを構成することができる。
【0149】第4の実施例 第4の実施例のラダー型フィルタ120を、図44及び
図45を参照して説明する。
【0150】本実施例では、圧電共振子26,28が1
枚の共振プレート121として一体化されている。すな
わち、圧電共振子26,28がスペーサ122を介して
接着されており、かつ圧電共振子28の側方にスペーサ
123が、圧電共振子26の外側にはスペーサ124が
接合されて、共振プレート121が構成されている。他
方、共振プレート121を、上下からケース基板12
5,126で挟持し積層することにより、図45に示す
積層体が得られる。
【0151】この積層体の対向端面に端子電極120a
〜120dを形成することにより、1段のラダー型フィ
ルタが構成される。すなわち、端子電極120aを接地
電位に接続し、端子電極120bを入力端とし、端子電
極120c,120dを共通接続し出力端とすることに
より、図46に示すように1段のラダー型フィルタが構
成される。また、上記共振プレート121を複数枚、間
に空洞形成用スペーサを介して積層することにより、2
段以上のラダー型フィルタも容易に構成し得る。
【0152】第5の実施例 図47は、第5の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図であり、図48は該ラダー型フィ
ルタの外観を示す斜視図である。
【0153】ラダー型フィルタ130は、ケース基板1
31、空洞形成用スペーサ132、第1の共振プレート
133、空洞形成用スペーサ134、第2の共振プレー
ト135、空洞形成用スペーサ136及びケース基板1
37を積層した構造を有する。
【0154】ケース基板131,137は、平板状の絶
縁性セラミックスもしくは合成樹脂等により構成されて
おり、空洞形成用スペーサ132,134,136は、
第2の実施例で用いた空洞形成用スペーサと同様に構成
されている。
【0155】第1の共振プレート133は、幅拡がりモ
ードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子138,13
9をその保持部同士を接着することにより一体化し、さ
らに外側にスペーサ140,141を貼り合わせた構造
を有する。
【0156】圧電共振子138は、第1の実施例で用い
た幅拡がりモードを利用した動吸振部内蔵型圧電共振子
28と同様に構成されている。また、同じく幅拡がりモ
ードを利用した、但し縦効果を利用した動吸振部内蔵型
圧電共振子139は、圧電共振子138と同様の平面形
状を有する圧電セラミック板において、図47の右側に
示すように共振部の下面において対向する一対の端縁に
共振電極139a,139bを形成することにより構成
されている。また、分極方向は図中の矢印で示される。
従って、共振電極139a,139b間に交流電圧を印
加することにより、圧電縦効果を利用した幅モード共振
子として動作する。なお、共振電極139a,139b
は、それぞれ、共振プレート133の異なる対向端縁に
引き出されている。
【0157】第2の共振プレート135は、第1の共振
プレート133と同様に、幅モード利用した横効果の動
吸振部内蔵型圧電共振子142と、縦効果を利用した動
吸振部内蔵型圧電共振子143とをその保持部同士を貼
り合わせることにより、さらに両側にスペーサ144,
145を貼り合わせることにより構成されている。もっ
とも、第2の共振プレート135では、縦効果を利用し
た動吸振部内蔵型圧電共振子143において、一対の共
振電極143a,143bが共振プレート135の上面
側に形成されている。
【0158】本実施例のラダー型フィルタ130は、上
述した各部材を積層し、得られた積層体の両端面に、図
48に示す外部電極130a〜130fを形成すること
により得られる。
【0159】すなわち、外部電極130cを入力端と
し、外部電極130a,130dを共通接続し出力端と
し、外部電極130e,130fを共通接続し、外部電
極130bを接地電位に接続することにより、図49に
示す2段のラダー型フィルタが構成される。
【0160】第6の実施例 第6の実施例に係るラダー型フィルタ150の構造を、
図50に分解斜視図で、図51に外観斜視図で示す。
【0161】本実施例は、第5の実施例のラダー型フィ
ルタの変形例に相当する。従って、異なる部分について
のみ、説明することにする。第1の共振プレート151
は、圧電縦効果を利用した幅モードの動吸振部内蔵型圧
電共振子153,154をその保持部同士を接着するこ
とにより一体化した構造を有する。この圧電共振子15
3,154の構造は、第4の実施例で用いた圧電共振子
143と同様である。
【0162】他方、第2の共振プレート152では、圧
電横効果を利用した幅モードの動吸振部内蔵型圧電共振
子155,156がその保持部同士を接着することによ
り一体化されている。この圧電共振子155,156
は、第5の実施例において用いた圧電共振子138と同
様に構成されている。
【0163】上記第1の共振プレート151では、一方
端縁に沿って上面側に電極151a,151bが形成さ
れており、電極151a,151bは、それぞれ、圧電
共振子153,154の一方の共振電極に電気的に接続
されている。他方、共振プレート151の他方端縁に沿
うように電極151cが形成されており、電極151c
は、圧電共振子153,154の他方の共振電極にそれ
ぞれ電気的接続されている。
【0164】また、共振プレート152においては、圧
電共振子155,156の共振電極155a,156a
に電気的に接続される電極152aが共振プレート15
2の一方端縁に沿うように形成されている。他方、共振
プレート152の下面においては、圧電共振子155,
156の下面側の共振電極に電気的に接続される電極1
52b,152cが、それぞれ、共振プレート152の
他方端縁に沿うように形成されている。なお、157,
158はケース基板を、159a〜159cは空洞形成
用スペーサを示す。
【0165】上記各部材を積層して得られた積層体に、
図51に示すように外部電極150a〜150fを形成
することにより、第6の実施例のラダー型フィルタ15
0が得られる。
【0166】ラダー型フィルタ150では、第5の実施
例と同様に外部電極を接続することにより、第5の実施
例と同様に2段のラダー型フィルタとして動作させるこ
とができる。
【0167】第7の実施例 図52は、第7の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図であり、図53は該ラダー型フィ
ルタの外観を示す斜視図である。
【0168】本実施例のラダー型フィルタ160は、第
1,第2の共振プレートの構造が異なることを除いて
は、第5の実施例と同様に構成されている。図52を参
照して、第1の共振プレート161は、すべりモードを
利用した動吸振部内蔵型圧電共振子162と、幅モード
を利用した動吸振部内蔵型圧電共振子163とをその保
持部同士を接着することにより一体化されている。圧電
共振子162,163の外側には、スペーサ164,1
65が貼り合わされている。
【0169】圧電共振子162は、第1の実施例で用い
たすべりモードを利用した圧電共振子26(図17
(a)参照)と同様に構成されている。この圧電共振子
162の一方側面に形成された共振電極は、共振プレー
ト161の一方端縁に沿うように形成された電極161
aに電気的に接続されている。他方、他方側面に形成さ
れた共振電極は、共振プレート161の他方端縁に沿う
ように形成された電極161bに電気的に接続されてい
る。
【0170】また、幅モードを利用した動吸振部内蔵型
圧電共振子163は、第4の実施例で用いた圧電共振子
138と同様に構成されている。この圧電共振子163
の上面の共振電極163aは、電極161cに電気的に
接続されている。電極161cは、電極161bと同じ
端縁に沿うように形成されている。
【0171】他方、図52の右側に破線で示すように、
共振プレート161の下面側においては、圧電共振子1
63の下面に形成された共振電極163bが、共振プレ
ート161の一方端縁に沿うように形成された電極16
1dに電気的に接続されている。
【0172】第2の共振プレート166は、上記第1の
共振プレート161を反転させた構造に相当する。すな
わち、すべりモードを利用した動吸振部内蔵型圧電型共
振子167、幅モードを利用した動吸振部内蔵型圧電共
振子168を保持部同士を接着させて一体化し、外側に
スペーサ169a,169bを貼り合わせた構造を有す
る。
【0173】第1の共振プレート161を反転させたも
のに相当するため、両主面に形成される電極形状は、第
1の共振プレート161と上下が逆とされている。上記
各部材を積層し、得られた積層体に、端子電極160a
〜160fを形成することにより、図53に示すラダー
型フィルタ160が得られる。本実施例においても、第
5の実施例と同様に、外部電極160a,160dを出
力端とし、外部電極160cを入力端とし、外部電極1
60bを接地電位に接続し、外部電極160e,160
fを共通接続することにより、2段のラダー型フィルタ
として動作させることができる。
【0174】第8の実施例 前述してきた第1〜第7の実施例では、動吸振部内蔵型
圧電共振子をその主面が水平方向となるように複数の部
材を積層して積層型のラダー型フィルタが構成されてい
た。しかしながら、本発明のラダー型フィルタは、圧電
共振子の主面が水平方向を向くように複数積層した構造
を有するものに限らない。第8の実施例はこのように複
数の圧電共振子を主面が垂直方向を向くように積層した
構造の例である。
【0175】図54を参照して、ラダー型フィルタ17
0では、圧電横効果を利用した幅拡がりモードの動吸振
部内蔵型圧電共振子171,173と、圧電縦効果を利
用した幅拡がりモードの動吸振部内蔵型圧電共振子17
2,174とが、図示のように交互にスペーサ175を
介して横方向に積層される。なお、圧電共振子171の
外側及び圧電共振子174の外側には、それぞれ、略コ
の字状のスペーサ176,177が貼り合わされる。
【0176】なお、上記複数のスペーサ175及びスペ
ーサ176,177は、各圧電共振子の保持部に接着さ
れる。従って、スペーサ175,176,177を用い
て複数の圧電共振子171,174を接着し一体化した
構造において、各圧電共振子171〜174の共振部及
び動吸振部の振動が妨げられることはない。
【0177】本実施例では、上述した圧電共振子171
〜174をスペーサ175〜177とともに接着し一体
化した構造体の上面及び下面にケース基板178,17
9が積層される。
【0178】このようにして得られたラダー型フィルタ
170の外観を図55に示す。外部との接続は、得られ
た積層体の端面に形成された端子電極170a〜170
d,170e〜170hを利用して行われる。すなわ
ち、端子電極170a,170gを接地電位に接続し、
端子電極170b〜170dを共通接続し、端子電極1
70e,170fを共通接続して出力端とし、端子電極
170hを入力端とすることにより、2段のラダー型フ
ィルタが構成される。
【0179】第9の実施例 上述してきた実施例では、動吸振部を有する複数の圧電
共振子を用いてラダー型フィルタが構成されていたが、
本発明のラダー型フィルタでは、少なくとも1つの圧電
共振子が動吸振部内蔵型圧電共振子により構成されてお
りさえすればよい。このような実施例を、図56及び図
57を参照して説明する。
【0180】第9の実施例に係るラダー型フィルタ18
0では、共振プレート181の上下にケース基板18
2,183が積層される。ケース基板182,183
は、前述した第1の実施例で用いたケース基板と同様に
構成されている。
【0181】共振プレート181では、動吸振部内蔵型
圧電共振子184,185と、動吸振部を有しない通常
のTSモードを利用した厚みすべり振動モードの圧電共
振子186,187とが、空洞形成用スペーサ188,
189,190を介して横方向に積層されている。スペ
ーサ188〜190は、絶縁性セラミックスまたは合成
樹脂よりなり、各圧電共振子の両端近傍に接着されてい
る。
【0182】また、最外側には、スペーサ191,19
2が貼り合わされており、それによって共振プレート1
81が構成されている。スペーサ191,192につい
ても、絶縁性セラミックスもしくは合成樹脂等により構
成することができ、圧電共振子181,187の一方主
面側において、両端近傍に接着されている。
【0183】ところで、すべり振動モードを利用した動
吸振部内蔵型圧電共振子184は、図57に示すよう
に、矩形板状の圧電セラミック板184aの一方主面に
共振電極184bを形成した構造を有する。共振電極1
84bは、図示されている側主面において圧電セラミッ
ク板184aの一方端近傍に形成された電極184cに
電気的に接続されている。また、本実施例では、圧電セ
ラミック板184aにおいて、2本の横方向に延びる溝
184d,184eが形成されており、該溝184d,
184e間に電極184fが、溝184eと圧電セラミ
ック板184aの他方端との間に電極184g,184
hが形成されている。この構造は、圧電セラミック板1
84aにおいて、両端に等しい面積の電極184c,1
84hを形成し、両者を結ぶように細長い電極を形成し
た後、上記溝184d,184eをダイシング等により
形成することにより得られる。
【0184】他方、圧電セラミック板184aの他方端
面においても同様に、但し溝184d,184eとは、
圧電セラミック板184aの長さ方向中央部分を介して
反対側に2本の溝184i,184jを形成することに
より、共振電極及び共振電極に連なる電極が形成されて
いる。
【0185】従って、圧電セラミック板184aを介し
て両側の共振電極が重なり合う部分、すなわち溝184
dと184iとで挟まれる部分がすべり振動モードで共
振する共振部として構成されている。
【0186】また、上記溝184d,184e間の圧電
セラミックス部分及び溝184i,184j間の圧電セ
ラミックス部分が、それぞれ動吸振部を構成する。な
お、TSモードを利用した公知のすべり振動モードの圧
電共振子186,187は、矩形板状の圧電セラミック
板の中央部分で圧電セラミック板を介して重なり合う一
対の共振電極を形成した周知の電極構造を有するように
構成されている。もっとも、両主面の共振電極は、それ
ぞれ異なる端部に引き出されている。
【0187】本実施例のラダー型フィルタ180は、上
記共振プレート181の上下にケース基板182,18
3を接着することにより構成され、得られた積層体の対
向端面に所定の端子電極を形成することにより、前述し
た実施例と同様に動吸振部内蔵型圧電共振子を用いたラ
ダー型フィルタを構成することができる。本実施例にお
いても、動吸振部内蔵型圧電共振子を用いてラダー型フ
ィルタが構成されているため、圧電音叉型共振子を用い
たラダー型フィルタに比べて帯域幅を拡げることが可能
となる。
【0188】上述してきた第1〜第9の実施例のラダー
型フィルタでは、動吸振部内蔵型の圧電共振子を用いた
ラダー型フィルタにつき説明したが、動吸振部内蔵型圧
電共振子は、動吸振部を設けていないものであってもよ
い。
【0189】第10の実施例 図58は、本発明の第10の実施例に係るラダー型フィ
ルタの分解斜視図である。
【0190】本実施例では、ベース基板193と、キャ
ップ材194とで構成される空間内に共振プレート19
5が配置される。ベース基板193は、アルミナなどの
絶縁性セラミックスあるいは合成樹脂等の適宜の絶縁材
料により構成されている。ベース基板193上には、接
続導電部193a〜193cが形成されている。これら
の接続導電部193a〜193cは、後述する圧電共振
子の引き出し電極に電気的に接続され、かつ、ベース基
板193の側面に形成された切欠に形成された外部電極
193d〜193gの何れかに電気的に接続されてい
る。
【0191】キャップ材194は、合成樹脂あるいは金
属などの適宜の材料で構成され、下方に開口を有する。
また、キャップ材194は、開口部が、ベース基板19
3の上面の面積よりも小さくされている。従って、キャ
ップ材194の下端面からベース基板193の上面に絶
縁性接着剤等を用いて接合されることより、キャップ剤
194がベース基板193と一体化される。もっとも、
キャップ材194の開口部の大きさは、ベース基板19
3の側面に当接されるように選ばれていてもよい。
【0192】本実施例では、共振プレート195は、電
極引き出し部分が若干異なること、及び第1,第2のス
ペーサ板144及び145を有しないことを除いては、
図47に示した共振プレート135と同様に構成されて
いる。すなわち、図47に示した圧電共振子142,1
43と似た構造を有する圧電共振子196,197が互
いの圧電振動部196a,197aの振動を妨げないよ
うに横方向に連結されることにより、共振プレート19
5が構成されている。
【0193】このように、本発明において、横方向に連
結される2個の共振子は、該少なくとも2個の共振子の
みにより共振プレートを構成するように一体化されても
よい。
【0194】なお、圧電共振子196及び圧電共振子1
97の圧電振動部196a,197aは、それぞれ、前
述した圧電共振子143及び圧電共振子142の圧電振
動部とほぼ同様に構成されている。もっとも、圧電共振
子196,197では、動吸振部は設けられていない。
すなわち、圧電共振子196が上述した第2のタイプの
圧電共振子により、圧電共振子197が第1のタイプの
圧電共振子により構成されている。
【0195】そして、両圧電共振子196,197は、
互いの保持部196b,197b及び196c,197
cを結合することにより一体化されている。なお、共振
プレート195のベース基板193への固定に際して
は、導電性接着剤を用いて行われる。すなわち、圧電共
振子196の一方の共振電極及び圧電共振子197の上
面の共振電極に接続される引き出し電極199aが、導
電性接着剤198aを介して接続導電部193aに結合
される。同様に、圧電共振子197の下面の共振電極に
電気的に接続された引き出し電極が、導電性接着剤19
8bを介して接続導電部193bに電気的に接続される
とともに、物理的に接合される。なお、図58では図示
されていないが、圧電共振子196の他方の共振電極に
接続されており、かつ圧電共振子196の下面に形成さ
れた引き出し電極も、導電性接着剤を介して、上記接続
導電部193cに電気的に接続される。
【0196】この場合、上記導電性接着剤198a,1
98bを所定の厚みに塗布することにより、圧電共振子
196,197の圧電振動部196a,196bの振動
を妨げないための空間を、圧電共振子196,197と
ベース基板193との間に形成することができる。な
お、導電性接着剤に代えて、上記空間を確保するための
スペーサを介して共振プレート195をベース基板19
3上に貼り合わせてもよい。
【0197】本実施例のラダー型フィルタにおいても、
2個の圧電共振子196,197が、横方向に連結され
て一体化されている。従って、低背化を促進し得るチッ
プ型の圧電フィルタを容易に構成することができる。ま
た、ベース基板193とキャップ材194との間に構成
された密閉空間内に、複数の圧電共振子196,197
が囲撓されているため、耐湿性などの耐環境特性に優れ
たラダー型フィルタを構成することも容易である。
【0198】<本発明で用いられる第3のタイプのエネ
ルギー閉じ込め型圧電共振子の説明>本発明で用いられ
る第3のタイプの圧電共振子は、本発明者により見い出
された新しい振動モードを利用した圧電共振子である。
この新たに見い出された振動モードを、図59〜図63
を参照して説明する。
【0199】今、図59に示すように、矩形の圧電板5
21の両主面の全面に電極522,523を形成したモ
デルを考える。圧電板521は、矩形の平面形状を有す
る。すなわち、上面及び下面が矩形の平面形状を有す
る。また、圧電板521は、厚み方向に、すなわち矢印
P方向に一様に分極処理されている。
【0200】電極522,523から交流電圧を印加す
ることにより、上記圧電板521を振動させた場合の屈
曲振動の2次高調波を有限要素法により解析すると、圧
電板521の平面形状がある範囲において、図60に示
す振動モードが励振されることがわかった。なお、図6
0は、有限要素法により解析された振動モードを示し、
元の形状が線Aで示されており、ここでは、Bで示す変
位状態と、Bで示す変位状態とは逆の変位状態との間で
振動が繰り返される。
【0201】上記屈曲モードの2次高調波の振動が励振
される圧電板521を、一対の短辺に沿う一対の側面の
各一端側において保持した場合、図61に示すように、
振動エネルギーが閉じ込められることが確かめられた。
すなわち、図61に有限要素法により解析した変位分布
を示すように、圧電板521の短辺側の側面521aの
一端側に連結部522を連結する。また、他方の短辺側
に沿う側面521bの一端に連結部523を連結する。
この場合、連結部522と連結部523とは、圧電板5
21の上面の1つの対角線の両端に連結されている。
【0202】図61から明らかなように、上記連結部5
22,523を連結し、該連結部522,523により
圧電板521を保持した場合、変位状態Cでは、連結部
522,523よりも外側の部分に変位が伝搬しないこ
とがわかる。言い換えれば、連結部522,523を、
上記位置に連結することにより、圧電板521の屈曲モ
ードの2次高調波の振動を連結部522,523までの
部分に閉じ込め得ることがわかる。
【0203】図61に示した変位状態Cにおける電荷分
布を調べたところ、図66に示す結果が得られた。すな
わち、圧電板521の上面において、+極性の領域が、
図示の仮想線Dに沿う方向に延び、この仮想線Dは、1
つの対角線に略沿うように延びている。また、他方の対
角線側のコーナー部分近傍に、−極性の電位の強い部分
が表れる。
【0204】従って、上記連結部522,523を連結
して、図61に示した変位Cと、その逆の変位状態との
間で振動する振動を強く励振させるには、図62に示し
た電荷分布に応じて共振電極を形成すればよいと考えら
れる。
【0205】上記のように、矩形の圧電板521に連結
部522,523を連結し、両面の電極から電圧を印加
して励振させた場合に、屈曲モードの2次高調波が強く
励振され、該振動のエネルギーが連結部522,523
までに閉じ込められる。このような効果は、圧電板52
1の寸法が特定の範囲にある場合にのみ得られれること
がわかった。
【0206】すなわち、本願発明者は、種々の寸法の圧
電板521を用いて、図61に示した変位状態Cと、逆
の変位状態との間で繰り返す振動を励振させたところ、
圧電板521の矩形面の長辺の長さをb、短辺の長さを
aとし、圧電板521を構成する材料のポアソン比をσ
とすると、上述した式(3)を満たす値のときに上記振
動が強く励振され、かつ第1,第2の連結部522,5
23までの部分に振動エネルギーが効果的に閉じ込めら
れ得ることがわかった。すなわち、比b/aを種々変更
し、かつ種々の圧電材料を用いて、図61に示したよう
に有限要素法により変位状態を解析した。その結果、上
記屈曲モードの2次高調波を効果的に連結部522,5
23までに閉じ込めるには、比b/aと、圧電板21を
構成する材料のポアソン比σとが、図63(a)に示す
関係を満たせばよいことが確かめられた。この図63
(a)の結果から、比b/aが、
【0207】
【数10】
【0208】となるように、上記短辺の長さa及び長辺
の長さbを選択すればよいことがわかる。さらに、上記
比b/aが(0.3σ+1.48)の整数倍の場合に
も、上記と同様に、振動エネルギーが閉じ込められるこ
とを見い出した。
【0209】また、本願発明者は、あるポアソン比σの
圧電材料からなる圧電板を用いて、式(3)のnを、
0.85〜1.1まで変化させ、図61に示す変位量の
最も小さな点Pの変位量に対する変位量の最も大きな点
Qにおける変位量の比、すなわち相対変位(%)を測定
した。結果を図63(b)に示す。
【0210】図63(b)から明らかなように、nの値
が0.9〜1.1の範囲であれば、上記相対変位は10
%以下であることがわかる。他方、相対変位が10%以
下の場合には、共振子を構成する場合に実質的に問題の
ないことがわかっている。従って、式(1)を満たす値
から±10%の範囲内であれば、圧電振動部に振動エネ
ルギーを効果的に閉じ込めることができる。
【0211】上記のように、短辺の長さがa、長辺の長
さb、圧電板を構成する材料のポアソン比がσの圧電振
動部において、上記比b/aを式(1)を満たす値から
±10%の範囲内とすることにより、エネルギー閉じ込
め効率に優れた圧電共振子を提供し得ることがわかっ
た。なお、上記屈曲モードの2次高調波の振動は、圧電
板521に連結部522,523を連結しない場合に
は、振動のノードは、矩形面の中央と両短辺に沿う側面
の中央に存在することが確かめられている。
【0212】第3のタイプの圧電共振子の具体例 図64は、第3のタイプの圧電共振子の一例を示す平面
図であり、図65は、圧電板を透かして下面側の電極形
状を示した模式的平面図である。
【0213】圧電共振子531は、矩形の圧電板532
と支持部533,534と、保持部535,536とを
有する。圧電板532は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛
系圧電セラミックスのような圧電材料により構成されて
おり、圧電セラミックスの場合には、厚み方向に一様に
分極処理されている。圧電板532は、矩形の平面形状
を有し、短辺に沿う第1の側面532aの一端側に第1
の支持部533が連結されており、短辺に沿う第2の側
面532bの一端に第2の支持部534が連結されてい
る。また、支持部533,534の外側には、支持部5
33,534よりも面積の大きな保持部535,536
が連結されている。
【0214】圧電共振子531では、上記圧電板53
2、第1,第2の支持部533,534及び第1,第2
の保持部535,536は、一枚の圧電板を用意し、該
圧電板に溝537,538を形成することにより構成さ
れている。すなわち、圧電板532、第1,第2の支持
部533,534及び保持部535,536は、同一材
料により一体的に構成されている。もっとも、圧電板5
32、第1,第2の支持部533,534及び第1,第
2の保持部535,536はそれぞれ別の部材で構成さ
れていてもよく、接着剤等により接合されて一体化され
てもよい。
【0215】圧電板532は、矩形の平面形状を有し、
その矩形面の長辺の長さをb、短辺の長さをaとし、圧
電板532を構成している材料のポアソン比をσとした
ときに、比b/aは、上述した式(3)を満たす値を中
心として±10%の範囲内とされている。
【0216】圧電板532の上面には、第1の共振電極
538が形成されており、下面には、第1の共振電極5
38と圧電板532を介して対向するように第2の共振
電極539が形成されている。第1,第2の共振電極5
38,539は、図62に示した+の極性の領域にほぼ
合致するように形成されている。すなわち、第1,第2
の共振電極538,539は、図62に示した仮想線D
に沿う方向に、すなわち一方の対角線に略沿う方向に延
ばされている。
【0217】第2の保持部536上には引き出し電極5
40が、第1の保持部535の下面には引き出し電極5
41が形成されている。第1の共振電極538は、接続
導電部542を介して引き出し電極540に電気的に接
続されており、他方、第2の共振電極539は、接続導
電部543を介して引き出し電極541に電気的に接続
されている。
【0218】圧電共振子531では、引き出し電極54
0,541から交流電圧を印加することにより、第1,
第2の共振電極538,539間に交流電圧が印加さ
れ、それによって上述した屈曲モードの2次高調波の振
動が強く励振される。
【0219】この場合、圧電板32の長辺と短辺の長さ
の比b/aが、上述した式(3)を満たす値を中心とし
て±10%の範囲内とされているため、支持部533,
534までの部分に振動が効果的に閉じ込められる。従
って、保持部535,536を利用して機械的に保持し
たとしても、共振特性の劣化が生じ難い。言い換えれ
ば、支持部533,534までの部分に振動エネルギー
が効果的に閉じ込められたエネルギー閉じ込め型の圧電
共振子531が提供される。
【0220】第11の実施例 図66は、本発明の第11の実施例にかかるラダー型フ
ィルタの分解斜視図を、図67は、外観を示す斜視図で
ある。
【0221】本実施例のラダー型フィルタは、共振プレ
ート551と、共振プレート551の上下に貼り合わさ
れるケース基板552,553とを有する。共振プレー
ト551は、上記第1の圧電共振子531と同様に構成
された第3のタイプの圧電共振子531Aを有する。圧
電共振子531Aは、上面及び下面に形成された接続導
電部542,543の形状が若干異なることを除いて
は、図64及び図65に示した第1の圧電共振子531
と同様に構成されている。従って、同一部分について
は、同一の参照番号を付することにより、その説明を省
略する。
【0222】本実施例では、圧電共振子531Aの外側
に、すべりモードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧
電共振子554,555が接合されている。圧電共振子
554では、細長い矩形の圧電板に溝558,559が
形成されており、該溝558,559で挟まれている部
分が圧電振動部として構成されている。圧電振動部56
0では、圧電板が矢印P方向、すなわち圧電共振子55
4の長さ方向に延びるように分極処理されている。ま
た、圧電振動部560の平面形状は、その長辺の長さを
b、短辺の長さをaとし、圧電振動部560を構成して
いる材料のポアソン比をσとしたときに、前述した式
(3)を満たすように選ばれている。他方、圧電共振子
554には、上面において、両側縁に沿うように、第
1,第2の共振電極561,562が形成されている。
他方、他面においても、第1,第2の共振電極563,
564が形成されている。なお、図66においては、共
振プレート551の下面の電極形状を、右方に略図的に
示すことにする。圧電共振子554では、上記第1,第
2の共振電極561,562が、両端の保持部上に形成
された引出し電極565,566に、それぞれ、電気的
に接続されている。同様に、下面においては、第1,第
2の共振電極563,564が、それぞれ、引出し電極
567,568に電気的に接続されている。なお、圧電
共振子555についても、圧電共振子554と同様に構
成されている。
【0223】圧電共振子554では、上記第1,第2の
共振電極561,562及び第1,第2の共振電極56
3,564間に交流電圧を印加することにより、圧電振
動部560がすべりモードで励振される。また、圧電振
動部560が上記特定の形状を有するため、共振エネル
ギーは、圧電振動部560に効果的に閉じ込められる。
すなわち、溝558,559の外側の保持部を利用して
機械的に支持したとしても、共振特性に劣化が生じ難
い。
【0224】圧電共振子554,555の外側には、第
1,第2のスペーサー板556,557が接合されてい
る。スペーサー板556,557は、圧電共振子55
4,555の共振部分の振動を妨げないように、空隙5
57a,556aを有するように、コの字状の部材で構
成されている。なお、圧電共振子531Aと、圧電共振
子554,555も、同様に、それぞれの圧電振動部同
士が接触しないように、間に空隙を介して接合されてい
る。
【0225】上記第1,第2のスペーサー板556,5
57は、例えばアルミナなどの絶縁性セラミックスや、
合成樹脂などの適宜の材料で構成される。第1,第2の
スペーサー板556,557は、圧電共振子531A,
554,555と同様の厚みを有するように構成されて
いる。すなわち、共振プレート551は、全体としてほ
ぼ一様な厚みを有する板状の部材として用意される。
【0226】第1,第2のケース基板552,553
は、それぞれ、アルミナなどの絶縁性セラミックスや合
成樹脂により構成される。第2のケース基板553の上
面には、平面形状が矩形の凹部553aが形成されてい
る。特に図示はしないが、第1のケース基板552の下
面にも、同様の凹部が形成されている。凹部553a
は、圧電共振子531A,554,555の振動部分の
振動を妨げないための空間を共振プレート552の下方
に設けるために形成されている。
【0227】図67に示すように、本実施例のラダー型
フィルタ550は、上記共振プレート551及び第1,
第2のケース基板552,553を接着剤等により貼り
合わせることにより得られる。なお、得られた積層体5
69では、外部電極570a〜570cが一方側面に、
外部電極570d〜570fが他方側面に形成される。
【0228】従って、チップ型フィルタ550では、外
部電極570cを入力端、外部電極570bを基準電位
に接続される端子、外部電極570aを出力端とし、外
部電極570d〜570fを相互に接続することによ
り、図68に示すT型を構成することができる。図68
の回路では、上記すべりモードを利用した圧電共振子5
54,555により、2個の直列共振子が構成され、圧
電共振子531Aにより1個の並列共振子が構成され
る。
【0229】上記チップ型フィルタ550を、次に説明
するπ型の接続構造を有するチップ型フィルタと組み合
わせることにより、3段のラダー型フィルタを構成する
ことができる。
【0230】第12の実施例 図69及び図70は、それぞれ、第12の実施例にかか
るチップ型のラダー型フィルタを説明するための分解斜
視図及び外観を示す斜視図である。このラダー型フィル
タは、図71に示すπ型の回路構成を有するものであ
り、従って前述したT型の接続構造を有するラダー型フ
ィルタ550と組み合わせることにより、3段のラダー
型フィルタを構成することができる。
【0231】図69を参照して、本実施例のチップ型フ
ィルタで、共振プレート571の上下に第1,第2のケ
ース基板572,573が積層される。第1,第2のケ
ース基板572,573は、前述した第1,第2のケー
ス基板552,553と同様に構成されている。すなわ
ち、ケース基板573の上面には凹部573aが形成さ
れており、同様に、ケース基板572の下面にも凹部が
形成されている。
【0232】また、共振プレート571では、すべりモ
ードを利用した圧電共振子574が中央に配置されてお
り、該圧電共振子574の両側に、第3のタイプの圧電
共振子531A,531Aが接続されている。圧電共振
子574は、第11の実施例で用いたすべりモードを利
用した圧電共振子554と同様に構成されている。すな
わち、第12の実施例は、直列共振子を構成するための
圧電共振子574が中央に配置されており、両側に並列
共振子を構成するための圧電共振子531A,531A
が接合されている構造を有する。また、圧電共振子53
1A,531Aの各外側には、第1,第2のスペーサー
板575,576が貼り合わされている。第1,第2の
スペーサー板575,576は、第11の実施例で用い
た第1,第2のスペーサー板556,557と同様に構
成されている。上記のように、圧電共振子574は、圧
電共振子554(図66)と同様に構成されているた
め、同一部分については同一の参照番号を付することに
よりその説明は省略する。
【0233】本実施例のチップ型フィルタでは、上記共
振プレート571の上下にケース基板572,573を
貼り合わせることにより、図70に示す積層体577が
得られる。この積層体577の両側面に、それぞれ、外
部電極578a〜578c及び578d〜578fを形
成する。このようにして、第12の実施例のチップ型の
ラダー型フィルタ579が得られる。
【0234】ラダー型フィルタ579では、外部電極5
78aと外部電極578bとを共通接続し、出力端とし
て用いる。また、外部電極578c及び外部電極578
dを基準電位に接続する。そして、外部電極578eと
外部電極578fとを共通接続し、入力端として用い
る。上記のようにして用いることにより、図71に示す
π型の接続構造を有するラダー型フィルタとして動作さ
れる。
【0235】また、第11の実施例のラダー型フィルタ
550と、第12の実施例のラダー型フィルタ579と
を接続することにより、3段のラダー型フィルタを構成
することができる。すなわち、図72に示すように、ラ
ダー型フィルタ550の出力端と、ラダー型フィルタ5
79の入力端とを接続することにより、例えば、第11
の実施例のラダー型フィルタの外部電極570aと、第
12の実施例のラダー型フィルタ579の外部電極57
8e,578fとを電気的に接続することにより、3段
のラダー型フィルタとして動作させることができる。
【0236】その他 上述した第1〜第12の実施例から明らかなように、本
発明のラダー型フィルタでは、少なくとも2個の圧電共
振子が積層されている。従って、容易にチップ型のラダ
ー型フィルタを得ることができる。しかも、上記第1〜
第4のタイプの各圧電共振子では、前述したように、圧
電振動部に振動エネルギーが効果的に閉じ込められるの
で、保持部において機械的に支持したとしても、その共
振特性の劣化がほとんどない。従って、第1〜第12の
実施例のように、保持部において他の部材に接合して共
振プレートを構成することにより、各圧電共振子の共振
特性を所望通りに発揮させることができる。よって、特
性の安定なラダー型フィルタを確実に提供することがで
きる。
【0237】なお、第1〜第12の実施例では、第1の
圧電共振子及び必要に応じて他の圧電共振子を接合し、
その両側に第1,第2のスペーサー板を接合して共振プ
レートを構成していたが、各共振プレートは同一の材料
により一体的に構成されていてもよい。例えば、図29
に示す実施例において、矩形の圧電板を用意し、共振プ
レート22の平面形状に合致するように該圧電板をレー
ザ等により加工し、所定の電極パターンを両面に形成す
ることにより、共振プレート22を得てもよい。この場
合には、共振プレート22が一体の部材で構成されてい
るため、共振プレート21の外周縁に存在する接合部を
省略することができ、それによってチップ型フィルタの
耐湿性を高めることができる。すなわち、得られたチッ
プ型フィルタにおいて、共振プレート21の側方からの
湿気の侵入を確実に防止することができる。
【0238】なお、第1〜第3の実施例では、第1のタ
イプの圧電共振子と組み合わされる圧電共振子として、
すべりモードを利用した第4のタイプの圧電共振子を示
したが、組み合わされる圧電共振子としては幅拡がりモ
ードを利用したものや長さモードを利用したものなど種
々のエネルギー閉じ込め型圧電共振子を用いることがで
きる。
【0239】また、第3のタイプの圧電共振子の電極形
状についても、図64及び図65に示したものに限られ
ない。例えば、図73及び図74に示すように、圧電振
動部600の両面に、一対の第1の共振電極601a,
601bを、下面に第1の共振電極601a,601b
と表裏対向するように形成された第2の共振電極602
a,602bを形成した構造であってもよい。この場
合、第1,第2の共振電極601a〜602bは、図6
2に示した電荷分布において−の極性の強い部分に形成
されている。従って、図64に示した圧電共振子531
と位相は逆であるが、同様に圧電振動部にエネルギーが
閉じ込められる屈曲モードの2m次の振動が確実に励振
される。
【0240】
【発明の効果】以上のように、本発明のラダー型フィル
タでは、直列共振子及び並列共振子のうち、少なくとも
2個の板状の共振子が横方向に、すなわち実装面に平行
な方向に連結されているため、ラダー型フィルタの高さ
を小さくすることができる。また、このような構造を有
するため、ラダー型フィルタをチップ型部品として構成
することも容易である。
【0241】また、本発明では、上記直列共振子及び並
列共振子のうち少なくとも1個の共振子が、板状の圧電
振動部と、該圧電振動部に連結された支持部と、支持部
に連結された保持部とを有し、支持部に振動エネルギー
が伝達されないように構成されたエネルギー閉じ込め型
の圧電共振子により構成されている。従って、圧電共振
子の共振特性を劣化させることなく、上記保持部を利用
して他の圧電共振子やケース基板等に固定することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のラダー型フィルタを説明するための分解
斜視図。
【図2】従来のラダー型フィルタの回路構成を示す図。
【図3】幅拡がりモードの圧電共振子で用いられる圧電
振動部を説明するための斜視図。
【図4】拡がりモードを説明するための略図平面図。
【図5】幅拡がりモードを説明するための略図的平面
図。
【図6】幅モードを説明するための略図的平面図。
【図7】(a)及び(b)は、幅拡がりモードの振動の
有限要素法により解析された変位分布を示す図及び
(a)における座標を説明するための図。
【図8】図7に示した変位分布におけるx方向に沿った
位置と変位量との関係を示す図。
【図9】ポアソン比と幅拡がりモードを励振させる寸法
比b/aとの関係を示す図。
【図10】比b/aと、図7に示した変位分布における
相対変位量との関係を示す図。
【図11】ポアソン比と比b/aとの関係を示す図。
【図12】(a)及び(b)は、それぞれ、第1のタイ
プのエネルギー閉じ込め型圧電共振子の一例を示す平面
図及び側面図。
【図13】第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子の他の例を示す平面図。
【図14】第1のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子の一例を示す平面図。
【図15】第2のタイプのエネルギー閉じ込め型圧電共
振子の一例を示す側面図。
【図16】図15に示した圧電共振子の斜視図。
【図17】(a)及び(b)は、それぞれ、すべり振動
モードで振動する振動体の振動姿態を説明するための模
式図及び(a)における座標形を示す図。
【図18】圧電体を示す略図的側面図。
【図19】圧電材料のポアソン比σと、比b/aとの関
係を示す図。
【図20】第2のタイプの圧電共振子における振動の変
位分布を示す有限要素法により解析した状態を示す図。
【図21】相対変位量とnの値との関係を示す図。
【図22】第2のタイプの圧電共振子の一例を示す側面
図。
【図23】第2のタイプの圧電共振子のさらに他の例を
示す斜視図。
【図24】第2のタイプの圧電共振子の他の例を示す平
面図。
【図25】第2のタイプの圧電共振子のさらに他の例を
示す平面図。
【図26】第2のタイプの圧電共振子の他の例を示す斜
視図。
【図27】第2のタイプの圧電共振子を構成するための
圧電振動部、支持部、動吸振部及び保持部を一体化した
構造を示す斜視図。
【図28】連結部と保持部とが一体化された圧電板を示
す斜視図。
【図29】第1の実施例のラダー型フィルタの分解斜視
図。
【図30】第1の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図31】(a)及び(b)は、第1の実施例に用いら
れる動吸振部内蔵型圧電共振子を説明するための各斜視
図。
【図32】第1の実施例において端子電極の結線状態を
説明するための模式的平面図。
【図33】第1の実施例のラダー型フィルタの回路構成
を示す図。
【図34】第2の実施例のラダー型フィルタを説明する
ための分解斜視図。
【図35】第2の実施例で用意されるT接続型フィルタ
の外観を示す斜視図。
【図36】第2の実施例で用意されるT接続型フィルタ
の回路構成を示す図。
【図37】第2の実施例で用意されるπ接続型フィルタ
を示す分解斜視図。
【図38】第2の実施例で用意されるπ接続型フィルタ
の斜視図。
【図39】第2の実施例で用意されるπ接続型フィルタ
の回路構成を示す図。
【図40】第3の実施例で用意されるT接続型フィルタ
を説明するための分解斜視図。
【図41】第3の実施例で用意されるT接続型フィルタ
の外観を示す図。
【図42】第3の実施例で用意されるT接続型フィルタ
を説明するための分解斜視図。
【図43】第3の実施例で用意されるT接続型フィルタ
を説明するための斜視図。
【図44】第4の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図45】第4の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図46】第4の実施例のラダー型フィルタの回路構成
を示す図。
【図47】本発明の第5の実施例に係るラダー型フィル
タを説明するための分解斜視図。
【図48】第5の実施例のラダー型フィルタの外観を示
す斜視図。
【図49】第5の実施例のラダー型フィルタの回路構成
を示す図。
【図50】第6の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図51】第6の実施例に係るラダー型フィルタの外観
を示す斜視図。
【図52】第7の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図53】第7の実施例に係るラダー型フィルタの外観
を示す斜視図。
【図54】第8の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図55】第8の実施例に係るラダー型フィルタの外観
を示す斜視図。
【図56】第9の実施例に係るラダー型フィルタを説明
するための分解斜視図。
【図57】図56に示した実施例で用いられる圧電共振
子を説明するための斜視図。
【図58】第10の実施例に係るラダー型フィルタを説
明するための分解斜視図。
【図59】第3のタイプの圧電共振子を説明するための
モデルとして圧電板を示す斜視図。
【図60】図59に示した圧電板の変位状態を有限要素
法で解析した状態を模式的平面図。
【図61】図59に示した圧電板に支持部及び保持部を
連結した構造の変位状態を有限要素法で解析した状態を
示す模式的断面図。
【図62】図61の変位状態における電荷分布を示す平
面図。
【図63】(a)及び(b)は、それぞれ、ポアソン比
σと比(b/a)との関係及びnと相対変位量との関係
を示す図。
【図64】第3のタイプの圧電共振子の一例を示す平面
図。
【図65】圧電板を透かして図64に示した圧電共振子
の下方の電極形状を示す模式的平面図。
【図66】第11の実施例に係るラダー型フィルタを説
明するための分解斜視図。
【図67】第11の実施例に係るラダー型フィルタの外
観を示す斜視図。
【図68】第11の実施例のラダー型フィルタの回路構
成を示す図。
【図69】第12の実施例に係るラダー型フィルタの分
解斜視図。
【図70】第12の実施例のラダー型フィルタの外観を
示す斜視図。
【図71】第12の実施例のラダー型フィルタの回路構
成を示す図。
【図72】第11の実施例のラダー型フィルタと第12
の実施例のラダー型フィルタとを接続した結線状態を示
す平面図。
【図73】第3のタイプの圧電共振子の他の例を説明す
るための平面図。
【図74】第3のタイプの圧電共振子において圧電板を
透かして下方の電極形状を示して平面図。
【符号の説明】
20…ラダー型フィルタ 22,23…共振プレート 26,27,31…すべりモードを利用した動吸振部内
蔵型圧電共振子 28,32,33…幅拡がりモードを利用した動吸振部
内蔵型圧電共振子 28a…圧電セラミック板 28b…共振部 28d,28e…支持部 28f,28g…動吸振部 28h,28i…連結部 28j,28k…保持部 40…ラダー型フィルタ 52…動吸振部内蔵型圧電共振子 52a…共振部 52b,52c…支持部 52d,52e…動吸振部 52f…連結部 52g,52h…保持部 61…動吸振部内蔵型圧電共振子

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直列腕を構成する少なくとも1個の直列
    共振子と、並列腕を構成する少なくとも1個の並列共振
    子とを備えるラダー型フィルタであって、 前記直列共振子及び並列共振子のうち、少なくとも2個
    の共振子が実装面に対して横方向に連結されており、 前記直列共振子及び並列共振子のうち少なくとも1個の
    共振子が、板状の圧電振動部と、圧電振動部に連結され
    た支持部と、支持部に連結された保持部とを有するエネ
    ルギー閉じ込め型の共振子である、ラダー型フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記並列共振子及び直列共振子のうちの
    前記少なくとも1個の共振子が、短辺の長さがa、長辺
    の長さがbであり、圧電振動部を構成している材料のポ
    アソン比をσとしたときに、長辺と短辺の長さの比b/
    aが、 【数1】 を中心として±10%の範囲内とされている矩形板状の
    圧電振動体と、 前記圧電振動部の短辺中央に連結された支持部と、前記
    支持部の外側端に連結された保持部とを備える幅拡がり
    モードを利用したエネルギー閉じ込め型の圧電共振子で
    ある、請求項1に記載のラダー型フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記直列共振子及び並列共振子のうち、
    前記少なくとも1個の共振子が、 1つの方向に分極処理された板状の圧電体と、前記分極
    方向に直交する方向に交流電圧を印加するために圧電体
    に形成された第1,第2の共振電極とを有し、前記分極
    方向に平行な圧電体面が矩形形状を有し、該矩形面の短
    辺の長さをa、長辺の長さをbとし、圧電体のポアソン
    比をσとしたときに、比b/aが、 【数2】 を中心として±10%の範囲内とされている圧電振動部
    と、 圧電振動部に連結された支持部と、支持部に連結された
    保持部とを備えるすべりモードを利用したエネルギー閉
    じ込め型の圧電共振子である、請求項1に記載のラダー
    型フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記直列共振子及び並列共振子のうち、
    少なくとも1個の共振子が、 対向する一対の矩形の面と、一対の矩形の面を結ぶ4つ
    の側面とを有する板状の圧電振動部と、 前記圧電振動部の前記一対の矩形面上に形成された第
    1,第2の共振電極と、前記圧電振動部の側面のうち、
    前記矩形面の短辺に沿う側面の一端側に連結された支持
    部と、支持部に連結された保持部とを備え、 前記矩形面の短辺の長さをa、長辺の長さをb、圧電振
    動部を構成する材料のポアソン比をσとしたときに、比
    b/aが、 【数3】 を満たす値を中心として±10%の範囲内とされてお
    り、圧電横効果を利用して2m次(但し、mは整数)の
    屈曲モードの振動を励振させるように構成されている第
    1の圧電共振子である、請求項1に記載のラダー型フィ
    ルタ。
  5. 【請求項5】 前記圧電振動部と、前記支持部との間に
    設けられた動吸振部をさらに備える、請求項1〜4の何
    れかに記載のラダー型フィルタ。
  6. 【請求項6】 前記圧電振動部の両側に、それぞれ、支
    持部及び保持部が連結されている、請求項1に記載のラ
    ダー型フィルタ。
  7. 【請求項7】 第1,第2のケース基板をさらに備え、 前記第1,第2のケース基板間に、少なくとも前記少な
    くとも2個の共振子が連結された構造が挟持されてい
    る、請求項1または6に記載のラダー型フィルタ。
  8. 【請求項8】 ベース基板と、ベース基板上に固定され
    たキャップ材とをさらに備え、 前記ベース基板上に、少なくとも前記少なくとも2つの
    共振子が連結された構造が積層されており、 前記キャップ材が積層された複数の共振子を囲むよう
    に、該キャップ材が前記ベース基板に固定されている、
    請求項1または6に記載のラダー型フィルタ。
  9. 【請求項9】 全ての前記直列共振子及び並列共振子
    が、板状の圧電振動部と、前記圧電振動部に連結された
    支持部と、前記支持部に連結された保持部とを前記圧電
    振動部の両側に有する、請求項1に記載のラダー型フィ
    ルタ。
  10. 【請求項10】 横方向に連結された少なくとも2個の
    前記圧電共振子の両側に、前記各圧電共振子の振動部分
    の振動を妨げないように連結された第1,第2のスペー
    サ板をさらに備え、それによって少なくとも2個の圧電
    共振子及び第1,第2のスペーサ板により共振プレート
    が構成されている、請求項9に記載のラダー型フィル
    タ。
  11. 【請求項11】 前記共振プレートを構成している少な
    くとも2個の圧電共振子及び第1,第2のスペーサ板が
    同一の部材を用いて一体に形成されている、請求項10
    に記載のラダー型フィルタ。
  12. 【請求項12】 前記共振プレートが複数枚備えられて
    おり、かつ該複数枚の共振プレートが互いの圧電振動部
    の振動を妨げないように積層されている、請求項9に記
    載のラダー型フィルタ。
  13. 【請求項13】 前記圧電振動部に設けられた第1,第
    2の共振電極と、 前記保持部に形成された引き出し電極とをさらに備え、 第1,第2の共振電極が前記引き出し電極に電気的に接
    続されている、請求項1に記載のラダー型フィルタ。
  14. 【請求項14】 外表面に形成された複数の外部電極を
    さらに備え、前記複数の外部電極が、所定の前記引き出
    し電極に電気的に接続されている、請求項13に記載の
    ラダー型フィルタ。
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