JPH07139544A - プロペラシャフトのセンターベアリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プロペラシャフトの振動に伴うカラーの上下
方向の振れを抑制する。それによって部品相互の干渉に
よる騒音の発生を無くす。 【構成】 カラー７をゴム弾性体５を介して車体に取り
付ける。カラー７の外周面にダイナミックダンパ６を取
り付ける。カラー７の両端部内周に、玉軸受３，４を取
り付ける。カラー７の両端部が玉軸受３，４を通してプ
ロペラシャフト１に支持されるため、カラー７の端部は
上下に振れなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プロペラシャフトの略
中央部を自動車の車体に支持させるセンターベアリング
に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、３継手、乃至、４継手形のプロ
ペラシャフトは、回転に伴う中間軸部分の振動を抑える
ために、その略中央部がセンターベアリングを介して車
体側に支持されている。

【０００３】ところで、このセンターベアリングは、振
動し易いプロペラシャフトの略中央部を車体に支持させ
るものであるため、振動低減のための機能を持たせて可
及的に車体側への振動入力を抑える必要がある。このた
め、これに対処するものとして、従来、例えば特開平４
−２１１７４５号公報に示されるようなものが案出され
ている。

【０００４】このセンターベアリングは、車体にゴム弾
性体を介して取り付けられるカラーに、プロペラシャフ
トを支持するためのベアリング本体（玉軸受等）を取り
付けると共に、前記カラーの延出端外周に、質量体と弾
性体とから成るダイナミックダンパを取り付け、プロペ
ラシャフトの所定周波数域の振動をダイナミックダンパ
の動的吸振作用によって低減するようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記センター
ベアリングにおいては、カラーの軸方向の一箇所だけに
ベアリング本体を配置する構造となっているため、プロ
ペラシャフトの振動に伴ってダイナミックダンパの質量
体が上下方向に変動すると、カラーがその延出端を自由
端として上下方向に振れ、それによってカラーや質量体
がプロペラシャフト等の周辺部品と干渉して騒音を発生
することが考えられる。

【０００６】そこで本発明は、プロペラシャフトの振動
に伴うカラーの上下方向の振れを抑制して、部品相互の
干渉による騒音の発生を無くすことのできるプロペラシ
ャフトのセンターベアリングを提供しようとするもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上述した課題を
解決するための手段として、車体に弾性的に取り付けら
れるカラーに、プロペラシャフトの回転を許容するベア
リング本体と、プロペラシャフトの振動を低減するダイ
ナミックダンパとが取り付けられて成るプロペラシャフ
トのセンターベアリングにおいて、前記ベアリング本体
を、カラーの軸方向の複数箇所に配置した。

【０００８】

【作用】カラーの複数箇所がベアリング本体を介してプ
ロペラシャフトに支持されることとなり、カラーの端部
は上下方向に振れなくなる。

【０００９】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１０】まず、第１実施例を図１によって説明す
る。

【００１１】図面において、１は、プロペラシャフトで
あり、２は、本発明にかかるセンターベアリングであ
る。

【００１２】センターベアリング２は、プロペラシャフ
ト１の回転を許容するベアリング本体としての玉軸受
３，４と、この玉軸受３，４を車体に弾性的に支持させ
るゴム弾性体５と、プロペラシャフト１の振動を低減す
るダイナミックダンパ６とを備え、これらが軸方向に所
定長さを持つカラー７に結合されている。玉軸受３，４
はカラー７の両端部に配置され、各外輪３ａ，４ａがカ
ラー７両端の段部７ａに嵌合されると共に、内輪３ｂ，
４ｂがプロペラシャフト１に同シャフト１の段部１ａと
スナップリング８とによって係止されている。尚、図１
では、一方の玉軸受３の内輪３ｂをシャフト１の段部１
ａに当接させ、他方の玉軸受４の内輪４ｂを一対のスナ
ップリング８，８でシャフト１に係止させたものを示し
たが、図２に示すもののように、他方の玉軸受４を段部
１ｂと一つのスナップリング８によってシャフト１に係
止させたり、図３に示すもののように他方の玉軸受４を
一つのスナップリング８のみによってシャフト１に係止
させることも可能である。

【００１３】一方、ゴム弾性体５は、全体形状が円環状
で、径方向断面が略Ｕ字状の第１，第２ゴム素子５ａ，
５ｂと、これらのゴム素子５ａ，５ｂの間に介装されて
両素子５ａ，５ｂの偏ったつぶれを防止する第３ゴム素
子５ｃとから成り、第１，第２ゴム素子５ａ，５ｂの内
外周部が夫々リテーナリング９，１０を介して前記カラ
ー７の一端外周と車体取付用ブラケツト（図示せず。）
に嵌着固定されている。そして、前記リテーナリング９
の一端は他方の玉軸受４の軸方向側方に延出し、その延
出部分が、プロペラシャフト１に固定された断面コ字状
のリング部材１１と共にダストカバーを構成するように
なっている。尚、カラー７と一方の玉軸受３の間には延
出リング１２が介装支持されていて、この延出リング１
２が、前記リテーナリング９と同様、リング部材１１と
共にダストカバーを構成するようになっている。

【００１４】また、ダイナミックダンパ６は、環状の質
量体１３と、この質量体１３とプロペラシャフト１を連
結するゴム弾性体１４とを備えており、このダンパ系の
固有振動数をプロペラシャフト１の吸振対象とする振動
周波数域に合致させてある。そして、ゴム弾性体１４の
外周側は直接質量体１３に加硫接着されており、内周側
はリテーナリング１５に加硫接着され、このリテーナリ
ング１５を介してカラー７の軸方向略中央部に嵌着固定
されている。尚、図１では、ゴム弾性体５のリテーナリ
ング９とダイナミックダンパ６のリテーナリング１５と
を別体に形成したが、図４に示すもののように両者を一
体に形成する（一体化したものを図中符号１６で示
す。）ようにしても良い。これにより、カラー７へのリ
テーナリングの固定が一回の圧入で済むようになる。ま
た、図５に示すように、カラー７を薄板材によって延出
リング１２と一体に形成するか、或は、リテーナリング
９と一体に形成するようにしても良い。

【００１５】このセンターベアリング２は以上のような
構成であるため、プロペラシャフト１の振動が所定周波
数域になると、ダイナミックダンパ６を構成する質量体
１３が車体上下方向に共振し、このときダイナミックダ
ンパ６の動的吸振作用によってプロペラシャフト１の振
動を低減する。

【００１６】ここで、このセンターベアリング２の場
合、カラー７の軸方向の両端部に玉軸受３，４を配置し
て、カラー７の軸方向両側がプロペラシャフト１に支持
されるようにしているため、プロペラシャフト１の振動
時に質量体１３が変動してもカラー７の端部が上下方向
に振れることはない。したがって、このセンターベアリ
ング２を採用した場合には、カラー７や質量体１３が周
辺部品と干渉することがなくなるため、騒音の発生も起
こらない。

【００１７】尚、以上ではカラー７の端部にゴム弾性体
５を取り付け、略中央部にダイナミックダンパ６を取り
付けたものについて説明したが、図６に示すように、逆
に、カラー７の端部にダイナミックダンパ６を取り付
け、略中央部にゴム弾性体５を取り付けることも可能で
ある。また、玉軸受３，４の設置個数も二つに限定され
るものでなく、二つ以上であれば任意の個数に設定する
ことが可能である。

【００１８】つづいて、本発明の第２実施例を図７によ
って説明する。尚、上記実施例と同一部分には同一符号
を用いるものとする。

【００１９】センターベアリング２０は、カラー１７が
３部品によって形成され、中央の第１カラー１７ａの両
側に、第２，第３カラー１７ｂ，１７ｃが嵌合固定され
た構造となっている。そして、第１カラー１７ａは、外
周面にゴム弾性体５が取り付けられる一方で、内周面に
ダイナミックダンパ６が取り付けられ、第２，第３カラ
ー１７ｂ，１７ｃには玉軸受３が嵌合されている。した
がって、完成後の構造からみると、カラー１７の外周面
にゴム弾性体５が取り付けられている点や、カラーの軸
方向両端に玉軸受４が配置されている点は第１実施例と
同様であって、ダイナミックダンパ６がカラー７の内周
面に取り付けられている点が上記実施例と異なってい
る。

【００２０】このセンターベアリング２０は、基本構成
が第１実施例とほぼ同様であるため、カラー１７の振れ
防止等の基本的な作用効果は上記実施例と同様に得るこ
とができる。そして、このセンターベアリング２０にあ
っては、第１実施例と異なりカラー１７の内周側にダイ
ナミックダンパ６が取り付けられるため、ダイナミック
ダンパ６がカラー１７の外周域を占有しなくなり、その
分装置全体をコンパクト化することができる。また、カ
ラー１７を第１，第２，第３カラー１７ａ，１７ｂ，１
７ｃの３部品から構成したため、ゴム弾性体５やダイナ
ミックダンパ６を取り付ける際にカラー１７を分解状態
にしておけば、取付作業（加硫接着等）を容易に行うこ
とができる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明は、ベアリング本体
を、カラーの軸方向の複数箇所に配置して、カラーがプ
ロペラシャフトに複数箇所で支持されるようにしたた
め、プロペラシャフトの振動に伴うカラーの上下方向の
振れが確実に抑制され、その結果、カラーや質量体がプ
ロペラシャフト等の周辺部品と干渉して騒音を発生する
ことが無くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す断面図。

【図２】同実施例の変形例を示す断面図。

【図３】同実施例の変形例を示す断面図。

【図４】同実施例の変形例を示す断面図。

【図５】同実施例の変形例を示す断面図。

【図６】同実施例の変形例を示す断面図。

【図７】本発明の第２実施例を示す断面図。

【符号の説明】

１…プロペラシャフト、 ２，２０…センターベアリング、 ３，４…玉軸受（ベアリング本体）、 ５…ゴム弾性体、 ６…ダイナミックダンパ、 ７，１７…カラー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に弾性的に取り付けられるカラー
   に、プロペラシャフトの回転を許容するベアリング本体
   と、プロペラシャフトの振動を低減するダイナミックダ
   ンパとが取り付けられて成るプロペラシャフトのセンタ
   ーベアリングにおいて、前記ベアリング本体を、カラー
   の軸方向の複数箇所に配置したことを特徴とするプロペ
   ラシャフトのセンターベアリング。