JPH11241746A - 車両用コイルスプリングシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ショックアブソーバとの接触を防止できる車
両用コイルスプリングシートを提供する。 【解決手段】 コイルスプリングシート１０は、ゴム弾
性体製の筒状体であって、略円筒形のブーツ部１２と、
その一端側に同軸的かつ一体的に取り付けられ径方向外
方に延びる環状のシート座部１１とにより構成されてい
る。ブーツ部は、軸方向に順次配列された、薄肉の第１
の筒状部１３と、第１の筒状部のシリンダ２２側端の底
部１３ａに連結されわずかに縮径された蛇腹部１４と、
蛇腹部に連結された蛇腹部と略同一径で先端側がわずか
に縮径された第２の筒状部１５とによって同軸的かつ一
体的に形成されている。第１の筒状部の内周面に剛性リ
ング部材１６が圧入固定されている。シート座部に荷重
が加わりゴム弾性体に歪が生じても、蛇腹部の軸直角方
向の変形が剛性リング部材によって抑えられ、蛇腹部の
シリンダ等との接触による損傷を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両サスペンショ
ンのサスペンションインシュレータに対するショックア
ブソーバの取付部にて、ショックアブソーバのロッド及
びシリンダ外周に同軸的に配置された略円筒形状のゴム
弾性体製の車両用コイルスプリングシートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、車両用のコイルスプリングシート
１は、例えば図４に示すように、車体７に固定されるサ
スペンションインシュレータ２に対するショックアブソ
ーバ３の取付部分にて、ロッド４及びシリンダ５の外周
と、コイルスプリング６の内周の間に配置される略円筒
形のブーツ部１ａと、ブーツ部１ａのサスペンションイ
ンシュレータ２側の端部に径方向外方に突出した環状の
シート座部１ｂとを有しており、ブーツ部１ａのシート
座部１ｂ近傍位置が軸方向に延びた蛇腹部１ｃになって
いる。そして、コイルスプリングシート１のシート座部
１ｂが、サスペンションインシュレータ２の周囲の車体
側取付部材８とコイルスプリング６の一端間に挟まれて
固定されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、コイルスプ
リング６からの入力により、コイルスプリングシート１
のシート座部１ｂに荷重が加わると、ゴム弾性体の歪の
ために蛇腹部１ｃの軸直角方向の断面形状が楕円形に変
形しやすく、一方ショックアブソーバの小型化によりシ
リンダ５と蛇腹部１ｃ間のクリアランスが小さくなって
いる。そのため、変形した蛇腹部１ｃが、シリンダ５等
と接触し易く、ゴム弾性体である蛇腹部１ｃが損傷を受
け易くなっている。その結果、コイルスプリングシート
１の、泥水や砂等からシリンダ５を保護する保護機能が
損なわれたり、蛇腹部１ｃとシリンダ５との接触により
異音が発生する等の問題がある。本発明は、上記した問
題を解決しようとするもので、ショックアブソーバとの
接触を防止しその耐久性が確保される車両用コイルスプ
リングシートを提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的
を達成するために、上記請求項１に係る発明の構成上の
特徴は、車両サスペンションのサスペンションインシュ
レータに対するショックアブソーバの取付部にて、ショ
ックアブソーバのロッド及びシリンダの外周とショック
アブソーバのコイルスプリングの内周との間の空間に同
軸的に配置される略円筒形のブーツ部と、ブーツ部のサ
スペンションインシュレータ側の端部に一体的に取り付
けられてブーツ部に対して径方向外方に突出しサスペン
ションインシュレータの周囲の車体側取付部材とコイル
スプリングの一端とによって挟持される環状のシート座
部とを設けてなるゴム弾性体製の車両用コイルスプリン
グシートであって、ブーツ部が、シリンダ側に向けて軸
方向に順次配列された第１の筒状部と、第１の筒状部よ
りわずかに縮径された蛇腹部と、蛇腹部と略同一径の第
２の筒状部とにより同軸的かつ一体的に形成されると共
に、第１の筒状部の内周面に同軸的に圧入されて第１の
筒状部の底部に固定された環状の剛性リング部材を備え
たことにある。

【０００５】上記のように構成した請求項１の発明にお
いては、剛性リング部材が第１の筒状部に圧入されて底
部に装着固定されているため、コイルスプリングからの
入力により、コイルスプリングシートのシート座部に荷
重が加わりゴム弾性体に歪が生じても、その蛇腹部の軸
直角方向の変形が剛性リング部材によって抑えられる。
そのため、蛇腹部の軸直角方向の断面形状がほぼ円形に
維持され、蛇腹部のシリンダ等との接触による損傷を有
効に防止することができる。その結果、請求項１の発明
によれば、コイルスプリングシートの耐久性が確保さ
れ、シリンダ等を保護する機能が維持されると共に、蛇
腹部とシリンダ等との接触による異音発生を防止するこ
とができる。

【０００６】また、上記請求項２に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項１に記載の車両用コイルスプリング
シートにおいて、剛性リング部材外周側における第１の
筒状部の周壁の肉厚を、第１の筒状部の底部の肉厚より
薄くしたことにある。

【０００７】上記のように構成した請求項２の発明にお
いては、第１の筒状部の周壁の肉厚を薄くしたことによ
り、シート座部に荷重が加わりゴム弾性体に変形が生じ
ても、剛性リング部材外周側にて肉薄の第１の筒状部に
よりゴム弾性体の変形を吸収し、蛇腹部側への変形の伝
達を遮断することができる。そのため、シート座部側か
らの蛇腹部側への干渉を防止できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
を用いて説明すると、図１は、同実施形態である自動車
サスペンションのショックアブソーバ２０の一部を断面
図により示し、図２及び図３は、ショックアブソーバ２
０に装着されるコイルスプリングシート１０を平面図及
び断面図により示したものである。

【０００９】コイルスプリングシート１０は、ゴム弾性
体製の筒状体であって、略円筒形のブーツ部１２と、そ
の一端側に同軸的かつ一体的に取り付けられ、ブーツ部
１２に対して径方向外方に延びると共に軸方向に所定の
肉厚の環状のシート座部１１とにより構成されている。
シート座部１１は、一端側（図示上端側）にて周方向に
等間隔にゴム変形吸収のための複数の凹部１１ａを設け
ており、軸方向反対面がコイル取付座面１１ｂになって
いる。ブーツ部１２は、シート座部１１側から先端（図
示下端）に向けて軸方向に順次配列された、薄肉の第１
の筒状部１３と、第１の筒状部１３のシリンダ側端の底
部１３ａに連結されわずかに縮径された蛇腹部１４と、
蛇腹部１４に連結された蛇腹部と略同一径で先端側がわ
ずかに縮径された第２の筒状部１５とによって同軸的か
つ一体的に形成されている。第１の筒状部１３の周壁１
３ｂ内周面の底部１３ａ近傍位置には、リング状突部１
３ｃが同軸的にわずかに突出して設られている。

【００１０】コイルスプリングシート１０には、第１の
筒状部１３の周壁１３ｂ内周面に剛性リング部材１６が
同軸的に圧入固定されている。剛性リング部材１６は、
樹脂製または金属製であって、軽量化のために、軸方向
の厚みが薄く、径方向の肉厚も小さくされている。剛性
リング部材１６は、第１の筒状部１３の底部１３ａに接
触して固定され、第１の筒状部１３の内周面に突設され
たリング状突部１３ｃにより抜け止めされている。ただ
し、リング状凸部１３ｃは除いてもよく、また、剛性リ
ング部材１６を接着剤等により接着固定させてもよい。
そして、剛性リング部材１６の外周側においては、図３
に示すように、第１の筒状部１３の周壁１３ｂの肉厚
が、底部１３ａの肉厚より薄く形成されている。

【００１１】上記構成のコイルスプリングシート１０
は、図１に示すように、自動車のサスペンションのショ
ックアブソーバ２０のサスペンションインシュレータ２
１への取付部分において、シリンダ２２及びロッド２３
とコイルスプリング２４の間に同軸的に配置され、シー
ト座部１１が、車体３０に取り付けられる車体側取付部
材２５の凹部２５ａに装着されている。また、シート座
部１１の軸方向内側のコイル取付座面１１ｂには、コイ
ルスプリング２４の一端が押圧されており、コイルスプ
リングシート１０は、車体側取付部材２５とコイルスプ
リング２４によって挟持されている。

【００１２】以上に説明した実施形態においては、コイ
ルスプリングシート１０は、剛性リング部材１６が第１
の筒状部１３に圧入されて底部１３ａに接触して固定さ
れているため、コイルスプリング２４からの入力によ
り、シート座部１１に荷重が加わりゴム弾性体に歪が生
じても、蛇腹部１４の軸直角方向の変形が剛性リング部
材１６によって抑えられる。そのため、蛇腹部１４の軸
直角方向の断面形状がほぼ円形に維持され、コイルスプ
リングシート１０の蛇腹部１４のシリンダ２２等との接
触による損傷を有効に防止することができる。その結
果、コイルスプリングシート１０の耐久性が確保され、
泥水や砂ほこり等からシリンダ等を保護する保護機能が
維持されると共に、蛇腹部１４とシリンダ２２等との接
触による異音の発生を防止することができる。

【００１３】また、剛性リング部材１６の外周側におい
て、第１の筒状部１３の周壁１３ｂの肉厚を、底部１３
ａの軸方向の肉厚より薄くしてあることにより、シート
座部１１に荷重が加わりゴム弾性体に変形が生じても、
薄肉の第１の筒状部１３によりゴム弾性体の変形を吸収
し、蛇腹部１４側への変形の伝達を遮断することができ
る。そのため、ゴム弾性体の変形によるシート座部１１
からの蛇腹部１４側への干渉を防止できる。

【００１４】なお、本発明の車両用コイルスプリングシ
ートの具体的外形等については、上記実施形態に示した
ものに限られるものではなく、適宜変更可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態である車両用コイルスプリ
ングシートをショックアブソーバへ取り付けた状態を示
す断面図である。

【図２】同コイルスプリングシートを示す平面図であ
る。

【図３】同コイルスプリングシートを示す図２のＩＩＩ
−ＩＩＩ線方向の断面図である。

【図４】従来例の車両用コイルスプリングシートをショ
ックアブソーバへ取り付けた状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１０…コイルスプリングシート、１１…シート座部、１
１ａ…凹部、１１ｂ…コイル取付座面、１２…ブーツ
部、１３…第１の筒状部、１３ａ…底部、１３ｂ…周
壁、１３ｃ…リング状突部、１４…蛇腹部、１５…第２
の筒状部、１６…剛性リング部材、２０…ショックアブ
ソーバ、２１…サスペンションインシュレータ、２２…
シリンダ、２３…ロッド、２４…コイルスプリング、２
５…車体側取付部材。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両サスペンションのサスペンションイ
   ンシュレータに対するショックアブソーバの取付部に
   て、該ショックアブソーバのロッド及びシリンダの外周
   と該ショックアブソーバのコイルスプリングの内周との
   間の空間に同軸的に配置される略円筒形のブーツ部と、
   該ブーツ部の前記サスペンションインシュレータ側の端
   部に一体的に取り付けられて該ブーツ部に対して径方向
   外方に突出し前記サスペンションインシュレータの周囲
   の車体側取付部材と前記コイルスプリングの一端とによ
   って挟持される環状のシート座部とを設けてなるゴム弾
   性体製の車両用コイルスプリングシートであって、 前記ブーツ部が、前記シリンダ側に向けて軸方向に順次
   配列された第１の筒状部と、該第１の筒状部よりわずか
   に縮径された蛇腹部と、該蛇腹部と略同一径の第２の筒
   状部とにより同軸的かつ一体的に形成されると共に、前
   記第１の筒状部の内周面に同軸的に圧入されて該第１の
   筒状部の底部に固定された環状の剛性リング部材を備え
   たことを特徴とする車両用コイルスプリングシート。
2. 【請求項２】 前記請求項１に記載の車両用コイルスプ
   リングシートにおいて、前記剛性リング部材外周側にお
   ける前記第１の筒状部の周壁の肉厚を、該第１の筒状部
   の底部の肉厚より薄くしたことを特徴とする車両用コイ
   ルスプリングシート。