JPH07138304A - 高分子ラテックスの製造方法 - Google Patents

高分子ラテックスの製造方法

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JPH07138304A
JPH07138304A JP31106893A JP31106893A JPH07138304A JP H07138304 A JPH07138304 A JP H07138304A JP 31106893 A JP31106893 A JP 31106893A JP 31106893 A JP31106893 A JP 31106893A JP H07138304 A JPH07138304 A JP H07138304A
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particles
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latex
polymer
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Atsushi Shichizawa
淳 七沢
Ii Hamieretsuku Aachi
アーチ・イー・ハミエレック
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 乳化重合において、重合禁止効果を持ちかつ
単量体に可溶な化合物の存在下にレドックス系重合開始
剤を用いて重合を行うことを特徴とする超微粒子よりな
る高分子ラテックスの製造方法。 【効果】 本発明の製造方法は単量体の種類、架橋構造
の有無に関係なく適用でき、高分子超微粒子よりなるラ
テックス合成の自由度を大きく高める。本ラテックスを
乳化重合用シード粒子として用いた場合、シードラテッ
クス量が少なくて済み、反応器の容積効率が向上し、重
合処方の自由度を大きくとることができる。粒子径が極
めて小さいことは粒子径の異なるラテックスを混ぜると
特異な粘度挙動を有し、水性塗料や水性粘着剤のハイソ
リッド化、高性能化に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超微粒子よりなる高分子
ラテックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】乳化重合法は従来より100〜1000
nmといった微小高分子粒子よりなるラテックスの工業的
製造方法として知られており、このような高分子ラテッ
クスは、塗料、粘着剤、紙コート剤、モルタル等の混和
剤等として広く用いられている。近年これら用途におけ
る一層の性能向上を狙い、より微小な高分子粒子ラテッ
クスの開発が進められている。即ち極めて微小な粒子よ
りなる高分子ラテックスは浸透力に富むこと、乾燥後に
得られる被膜が平滑であること、径の異なる粒子からな
るラテックスとの混合により特異な粘度挙動を示し塗料
の粘度調整剤として有用なこと、更には、乳化重合用の
シード粒子として用いるとその使用量が少なくて済み経
済的に有利なことから、5〜50nmといった極めて微小
な高分子粒子よりなるラテックスの開発が活発に進めら
れているのである。
【0003】しかしながら、今までに知られている極め
て微小な粒子よりなる高分子ラテックス製造方法は、
(メタ)アクリル酸及びそのエステル類といった親水性
単量体を主成分とするもの、あるいは疎水性単量体を主
成分とする場合にあっては粒子内に高度な架橋構造を持
たせるものに限られており、架橋構造を持たずかつ疎水
性高分子超微粒子よりなる高分子ラテックスの製造方法
は知られていない。これは、以下に示す理由によるもの
と考えられる。
【0004】一般的に乳化重合法により高分子ラテック
スを合成する場合、重合に用いる乳化剤の量を増やすこ
とにより粒子の径が小さくなることはよく知られてお
り、この方法を用いれば100nm程度の高分子粒子は容
易に合成できる。
【0005】しかしながら、更に微小な粒子よりなる高
分子ラテックスを得るべく大量の乳化剤を用い重合を行
っても、(イ)乳化剤ミセルがラジカルを受け取って重
合を始め、次のラジカルを受け取り重合を停止するまで
の間に相当量の単量体が高分子粒子に転化してしまうこ
と、(ロ)一度成長し大きくなった粒子は、径の小さい
粒子に比べ表面張力が弱く従ってより多くの単量体を可
溶化することから、粒子中の単量体濃度が高く、径の小
さい粒子より早く重合し、容易に更に径の大きな粒子と
なること、そして(ハ)このようにして粒子が成長する
過程で、その表面に今まで水中にミセルとして存在して
いた乳化剤を吸着し、潜在的に高分子粒子となり得たは
ずのミセルの数を減らし、結果としてポリマー粒子の数
はミセルの数より少なくなることから、乳化剤を増量し
ミセルの数を増やした程にはポリマー粒子数の増加、即
ち粒子の微小化は達成されない。結局、粒子の成長が早
く、粒子表面積拡大に伴い乳化剤ミセルが消失してしま
うという重合の動力学的理由から100nm以下といった
極めて微小な粒子よりなる高分子ラテックスは容易に合
成できなかったのである。
【0006】ところで、この制約に対し乳化重合法を用
いて微小粒子よりなる高分子ラテックスを合成する技術
としてレドックス開始剤を用いる方法が公知である
(「高分子論文集」36(11)729(197
9))。この方法は、単位時間あたりに供給されるラジ
カルの量を増やし、以て乳化剤ミセルがポリマー粒子に
転化する確率を増やそうという着想に基づくものであ
る。この技術は更にレドックス開始剤を洗練し、また架
橋粒子への展開といった形で発展しつつあり(特開昭6
0−170604号公報、特開昭62−177007号
公報)通常の熱分解型重合開始剤使用時に比べ小さな径
の粒子よりなるラテックスの合成に成功している。
【0007】しかしこの技術では、メチルメタアクリレ
ート、アクリル酸、メタアクリル酸といった親水性ある
いは水溶性の単量体、即ちラテックス粒子よりのラジカ
ル脱出を促進する単量体を必須成分として用い粒子中の
ラジカル濃度を下げ粒子の成長を抑制する必要があり、
これらの助けを受けることにより初めて30nm程度の微
小粒子を得ていると推定される。従って、スチレン、ブ
タジエンといった疎水性単量体を主成分とする重合系へ
の適用には難点があり、事実この場合40〜70nmの粒
子しか得られていないのである。また親水性成分を多く
含むラテックスにあっては、必ずしも低粘度で浸透力に
富むものは得られず、ラテックスの安定性にも限界があ
ることが指摘されている。
【0008】さらに、積極的に親水性の単量体としてシ
アン化ビニル単量体を共重合成分として微小粒子を作成
する方法は知られているが(特開平5−39324号公
報)シアン化ビニル単量体を含まない微粒子の作成には
適用できない。
【0009】この他に疎水性単量体の重合において
(イ)連鎖移動剤の使用(J.Polym.Sci.,P
olym.Chem.Ed.,20 1261(198
2))、(ロ)単量体に可溶な重合禁止剤の添加(J.
Apply.Polym.Sci.,35 2009(1
987),J.Apply.Polym.Sci.,35
2023(1987))により一般の乳化重合に比べ
小さめの粒子を作成する方法が公知である。これらの技
術は、ラテックス粒子内部におけるラジカル濃度を下げ
ることによって粒子の成長速度を制限し、高分子粒子を
小さいままで留め置く一方で、ミセルが粒子化する確率
を上げようという考え方に基づくものである。
【0010】但し(イ)の方法では、連鎖移動剤の添加
に伴い一度は小さくなった粒子が更に連鎖移動剤添加量
を増すと逆に粒子が大きくなってしまうこと、(ロ)の
方法は、単位単量体あたりの重合禁止剤添加量200pp
m 以上での検討例がなく、また重合禁止剤の性質上、高
濃度におよぶ添加は必然的に重合そのものを阻止してし
まうことが容易に予想されることから、これ単独で疎水
性単量体から微小粒子を合成する技術として用いるには
限界があり、報告されている粒子径も50〜70nmと超
微粒子といえるほどには十分小さくない。
【0011】その他には(ハ)複数のビニル基を有する
単量体を共重合せしめ、粒子そのものを単量体が溶け難
い架橋構造化し粒子中の単量体濃度を下げ、粒子の成長
速度を制限し、高分子粒子を小さいままで留め置くいわ
ゆる「マイクロゲル」が知られている(J.Oil C
ol.Chem.Assoc.,60 438(197
7))。この方法に基づけば、ある程度の微小粒子の合
成は可能なものの、粒子表面に残存する未反応ビニル基
が粒子の安定性を阻害し、粒子同志が合体肥大化しやす
いこと、これを阻止するには重合性アミノ酸を乳化剤と
して用いる(特公平2−11607号公報)、特殊な乳
化剤を組み合わせて用いる(特開平2−73803号公
報)等が提案されているものの、乳化剤の特殊性から広
く工業的に応用可能な技術とはいい難く、また報告され
ている粒子自体30〜50nm程度であった。
【0012】現在までに知られている疎水性単量体の乳
化重合法のなかで、最も微小な粒子を与える技術は、マ
イクロエマルジョン、マイクロラテックス法であり、3
0nm時には20nm程度のポリスチレン超微粒子が得られ
ている。この技術は、一般的なアニオン系乳化剤にほぼ
同重量のアルコールを加え、ミセル内の単量体可溶化力
を高め、このミセルを残らず重合させてしまおうという
試みである。しかしながら単量体可溶化力の限界から単
量体に対し2倍量の乳化剤が必要とされ、結局、得られ
る粒子の組成はポリマー20%、乳化剤40%、アルコ
ール40%と、とても実用的な高分子ラテックスとはい
い難い。また、必ずしも全てのミセルが高分子超微粒子
に転化するとは限らず、20nm未満の粒子は得られ難い
(J.Polym.Sci.,Part A:Poly
m.Chem.,30 703(1992))。
【0013】一方、乳化重合法によらずに微小粒子より
なる高分子ラテックスを作成する方法として、例えば特
開昭62−241903号公報に技術開示がある。これ
はメチルエチルケトン等の有機溶媒中で重合したポリマ
ーをケン化処理した後水中に分散し、有機溶媒を回収す
る方法であるが、この方法は操作が繁雑であり溶媒の除
去も必要なことから、一回の操作で目的とするラテック
スの得られる乳化重合法と比較しコスト高にならざるを
得ず、またケン化を受ける置換基を持たねばならないこ
とから疎水性ポリマーのみからなる超微粒子を与えな
い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術によれ
ば、経済的に有利である乳化重合法を用い、単量体の種
類あるいは粒子の架橋構造の有無に関係なく高分子超微
粒子よりなるラテックスを製造する方法は知られていな
いのである。よってかかる現状に鑑みるとこのようなラ
テックス製造方法を提供することはラテックスの応用範
囲を広げるために、極めて重要であり、それが本願発明
の課題なのである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる技
術上の課題を解決すべく鋭意検討した結果、乳化重合に
おいて、重合禁止効果を持ちかつ単量体に可溶なる化合
物存在下にレドックス系重合開始剤を用いて重合を行う
ことにより、単量体の種類あるいは粒子の架橋構造の有
無に関係なく超微粒子よりなる高分子ラテックスを短時
間のうちに作成可能であることを見い出し、本発明を完
成した。即ち、本発明は乳化重合において、重合禁止効
果を持ちかつ単量体に可溶な化合物の存在下にレドック
ス系重合開始剤を用いて重合を行うことを特徴とする超
微粒子よりなる高分子ラテックスの製造方法を提供する
ものである。
【0016】以下、更に詳しく本発明を説明する。本発
明の高分子ラテックス製造方法の第一の特徴は、重合時
に重合禁止効果を有する化合物を添加し粒子の成長速度
を抑制することにある。しかしながらこれのみで超微粒
子よりなる高分子ラテックスを作製すべく相当量の禁止
剤を使用すると、重合に要する時間が著しく長く経済的
に有利とはいえないため、ラジカル発生速度の早いレド
ックス系重合開始剤を用いることを第二の特徴とする。
即ち、従来技術との大きな違いは、従来技術にて挙げた
レドックス系重合開始剤を用いる微小粒子製造技術が、
ラジカル発生速度の速さのみに着目しポリマー粒子の成
長速度に関して注意を払っていないのに対し、本技術の
本質はポリマー粒子の成長速度を抑制しその時に問題と
なる重合速度の低下を補うべくレドックス系重合開始剤
を用いる点にあるといえる。
【0017】本発明にいう超微粒子とは、絶対的な粒子
径の基準に基づくものではなく、重合時に用いる乳化剤
と単量体の比率に応じて変化し、例えば乳化剤と単量体
の重量比が1.0倍の場合は20nm以下、同比率が0.
1倍の場合は35nm以下ということができる。粒子径
は、重合により生成する高分子とこれを取り巻く乳化剤
を合わせた粒子の径であり、電子顕微鏡、光散乱といっ
た分析手段により直接観測される値である。
【0018】本発明にて用いられる重合禁止効果を有す
る化合物は、単量体に可溶で水に不溶な化合物である。
水に可溶なラジカル重合禁止剤であるハイドロキノン等
は、水中のラジカルを徒に消費するばかりで粒子成長の
抑制に寄与しない。空気中、水中に存在する酸素にも同
様の問題がある。好ましい重合禁止効果を有する化合物
としては、ターシャリ−ブチルカテコール等のいわゆる
フェノール系ラジカル重合禁止剤として市販されている
もの、αメチルスチレンダイマー等の退化的連鎖移動を
受けるもの、更にはハロゲン系難燃剤といった通常重合
禁止剤とは呼称されないが同様の効果を有するハロゲン
系の重合禁止剤が含まれる。
【0019】一般に市販されている単量体には、貯蔵、
輸送中のトラブルを防止する目的で少量(20〜100
ppm)の重合禁止剤が添加されているのが通例であり、
このような単量体を単にレドックス開始剤を用い重合さ
せても、著しい微小粒子よりなるラテックスは得られて
いないことから、本発明の効果が顕著に現れるために
は、重合禁止剤の添加量としては単量体単位量あたり5
00ppm 以上が好ましい。
【0020】図1に乳化剤としてドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム10g、単量体としてスチレン10
g、レドックス開始剤を構成する還元剤としてチオ硫酸
ナトリウム0.064g、重合禁止剤としてターシャリ
−ブチルカテコールを用い重合した場合の粒子数と重合
禁止剤量の関係を示す。これらのうち、単量体に対して
禁止剤を3000ppm 添加して得たラテックス粒子の電
子顕微鏡写真を見ると、粒子径は、ほぼ単一に分散し重
量平均粒子径は13.5nmであることがわかった。図2
にこの時の重合速度曲線を示す。
【0021】本発明にて用いられるレドックス系重合開
始剤とは、過硫酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、過
酸化水素といった水溶性過酸化物と金属塩と還元剤の組
み合わせ、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸
化物と金属塩と還元剤の組み合わせ、その他当業者公知
のものを適宜使用できる。図3に乳化剤としてドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム10g、単量体としてス
チレン10g、重合禁止剤としてターシャリ−ブチルカ
テコール3000ppm 用いた時、レドックス開始剤を構
成する還元剤チオ硫酸ナトリウム量と粒子数の関係を、
図4には重合速度曲線を示す。
【0022】図1及び図3よりラテックス粒子数は主と
して重合禁止剤量によって決まること、図2及び図4よ
り、レドックス開始剤は禁止剤添加により損なわれた重
合を加速する効果を担っていることが明らかである。ま
た、適正な最終重合率を達成するには、禁止剤の多寡に
応じ適正な量の開始剤を使用すべきであることもわか
る。
【0023】本発明にて用いられる単量体には、スチレ
ン、αメチルスチレンに代表される芳香族ビニル化合
物、ブタジエン、イソプレンに代表される共役ジエン化
合物、(メタ)アクリル酸及びそのエステル類が挙げら
れる。フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイイミ
ド等を用いることも可能である。これらの化合物の一部
を置換基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、フェニル基、ビニル基、あるいはハロゲン原
子により置き換えてなるものも含まれる。単量体として
これらを単独で、あるいは2種類以上組み合わせて用い
ることも任意である。更に架橋構造を持たせるか持たせ
ないかは、用途に応じて自由に設定することができる。
【0024】乳化重合に用いられる乳化剤には特に制限
はなく、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、
脂肪酸アルカリ金属塩、コハク酸アルカリ金属塩、ある
いはラジカル重合性を有するアルカリ金属塩等のアニオ
ン系乳化剤を単独または組み合わせて用いることができ
る。図5に、単量体としてスチレン10g、重合禁止剤
としてターシャリ−ブチルカテコール3000ppm 、レ
ドックス開始剤を構成する還元剤チオ硫酸ナトリウム
0.064g用いた時の乳化剤ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムの量と粒子数の関係を示す。図5には比
較のため、同一条件で重合禁止剤無添加の場合を示す。
この二つの線から、重合禁止剤無添加の場合にあっては
粒子数は乳化剤量に強く依存するものの、ひとたび重合
禁止剤を加えると、これが主として粒子数を決定し、乳
化剤量に対する粒子数の依存性が弱くなることがわか
る。
【0025】重合方法としては反応に用いる単量体全量
を一括して仕込む一般的なバッチ法、単量体の一部分を
重合させ、更に単量体を適宜追加しながら重合を継続す
るセミバッチ法が代表的である。本発明に基づく重合反
応は極めて早いことから発熱と除熱のバランスを考慮す
るとセミバッチ法が好ましいがセミバッチ法のみに限定
されるものではない。セミバッチ法において、単量体の
追添加と同時に開始剤、乳化剤を追添加することも任意
である。
【0026】図6に、図1に示す超微粒子を種ラテック
スとし、これにスチレン90g、レドックス開始剤系用
の還元剤0.456g加え重合を継続して得られたセミ
バッチ法によるラテックスの粒子径を示す。得られる高
分子成分(少量の未反応単量体を含む)100gに対し
重合に用いられた乳化剤は10gであり、この方法は、
乳化剤の混入を極力避けたい用途分野に超微粒子ラテッ
クスを応用したい時に有効である。
【0027】重合温度については特に制約はなく、開始
剤の分解消費と重合の進行を勘案し適宜設定することが
できる。重合に伴う粒子の成長速度を低く保つほど粒子
径の小さい粒子が得られる方向にあるため一般的には低
温重合が好ましいが、このような条件を選んだ場合、単
量体の種類によっては、重合末期に重合率が頭打ちにな
ることがある。このような場合には当業者公知の方法、
例えば開始剤の追添加、温度設定の変更等任意に実施
し、必要な最終的な重合率を達成することが可能であ
る。
【0028】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。
【0029】実施例1 還流冷却器付き500mlガラスリアクターに、予め煮沸
することにより脱酸素された蒸留脱イオン水230ml、
蒸留精製されたスチレン10g、ターシャリ−ブチルカ
テコール0.03g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム10g、過硫酸カリウム1.04g、炭酸水素ナ
トリウム2.08g、硫酸銅0.01gを加え窒素気流
下40℃にて乳化液を調製する。この乳化液に対して、
予め煮沸することにより脱酸素された蒸留脱イオン水3
0mlにチオ硫酸ナトリウム0.129g溶かしてなる水
溶液を加え窒素雰囲気下で重合を開始する。重合系の温
度は40℃一定に保つ。重合開始後およそ5分で乳化液
は透明になり、20分後の重合率は約80%となる。電
子顕微鏡を用いて観察した被覆乳化剤を含むラテックス
粒子は狭い粒子径分布を有し、重量平均粒子径は13.
0nmである。
【0030】実施例2 実施例1記載の重合を、単量体をスチレン9g、メタア
クリル酸メチルエステル1gに変えて実施する。20分
後の重合率は80%、電子顕微鏡を用いて観察したラテ
ックス重量平均粒子径は12.0nmである。
【0031】実施例3 実施例1記載の重合を、単量体をスチレン9g、ジビニ
ルベンゼン1gに変えて実施する。20分後の重合率は
75%、電子顕微鏡を用いて観察したラテックス重量平
均粒子径は12.0nmである。
【0032】実施例4 実施例1記載の重合を使用する還元剤を0.064gに
て実施後、更に引き続きスチレン90g、予め煮沸する
ことにより脱酸素された蒸留脱イオン水40mlにチオ硫
酸ナトリウム0.456g溶かしてなる水溶液を120
分かけて添加し、その後更に30分反応させる。最終重
合率は80%、ラテックス重量平均粒子径は23.8nm
である。
【0033】比較例1 実施例1に記載の重合を、ターシャリ−ブチルカテコー
ルを加えることなく実施する。およそ10分で重合率8
0%に達するものの、ラテックスは青味がかった半透明
で、粒子径は20.7nmである。
【0034】比較例2 実施例1に記載の重合を、過硫酸ナトリウム0.10g
(実施例1にて発生するラジカルと等モルのラジカルを
発生し得る量)とし、かつ硫酸銅、チオ硫酸ナトリウム
を用いることなく、60℃にて実施する。6時間経過後
も重合は進行しない。図1,図3,図5は、実施例1に
示した重合方法に基づき、重合禁止剤、還元剤、乳化剤
の量をそれぞれ変化させることにより得られるものであ
り、図2,図4は、その時の重合速度曲線である。図6
は、実施例4に示す方法を図1に示すラテックスを種と
して実施し得られるものである。
【0035】
【発明の効果】本発明の製造方法は単量体の種類、架橋
構造の有無に関係なく適用でき、高分子超微粒子よりな
るラテックス合成の自由度を大きく高めるものである。
本ラテックスを乳化重合用シード粒子として用いた場
合、一定の粒子数を与えるシードラテックス量が少なく
て済み、反応器の容積効率が向上し好ましく、併せて、
重合処方の自由度を大きくとることを可能ならしめる。
粒子径が極めて小さいことは粒子径の異なるラテックス
と混ぜると特異な粘度挙動を有し、水性塗料や水性粘着
剤のハイソリッド化、高性能化に有効である。加えて塗
料として用いると平滑な塗膜を与える。更には樹脂用粉
体添加剤の表面処理剤として用いると、粉体粒子に比べ
著しく粒子径が小さいおかげで、粉体表面を均一に被覆
することが可能であり、粉体粒子同志の融着を防止し、
よって樹脂材料に粉体を添加する際に問題となる粉体の
分散不良、樹脂材料の機械的強度低下を回避することが
できる等、工業的利用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラテックス粒子径と重合禁止剤量の関係。
【図2】重合速度曲線。
【図3】ラテックス粒子径とレドックス還元剤量の関
係。
【図4】重合速度曲線。
【図5】ラテックス粒子径と乳化剤量の関係。
【図6】セミバッチ法におけるラテックス粒子径と重合
禁止剤量の関係。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳化重合において、重合禁止効果を持ち
    かつ単量体に可溶な化合物の存在下にレドックス系重合
    開始剤を用いて重合を行うことを特徴とする超微粒子よ
    りなる高分子ラテックスの製造方法。
  2. 【請求項2】 化合物がフェノール系もしくはハロゲン
    系の重合禁止剤、または退化的連鎖移動を受ける化合物
    であり、これを単独または組み合わせて、重合開始時に
    用いる単量体単位重量あたり500ppm 以上添加して重
    合することを特徴とする請求項1記載の高分子ラテック
    スの製造方法。
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