JPH07138487A - 高分子ラテックス組成物 - Google Patents

高分子ラテックス組成物

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JPH07138487A
JPH07138487A JP31106793A JP31106793A JPH07138487A JP H07138487 A JPH07138487 A JP H07138487A JP 31106793 A JP31106793 A JP 31106793A JP 31106793 A JP31106793 A JP 31106793A JP H07138487 A JPH07138487 A JP H07138487A
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emulsifier
amount
particles
monomer
pts
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JP31106793A
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Atsushi Shichizawa
淳 七沢
Ii Hamieretsuku Aachi
アーチ・イー・ハミエレック
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 疎水性単量体95重量%以上含む単量体を乳
化重合させて得た図1の四辺形ABCDの範囲の乳化剤
量と粒子径の関係を満足するポリマー粒子、乳化剤、水
よりなる高分子ラテックス組成物。 【効果】 本発明ラテックス組成物は疎水性高分子超微
粒子からなり、粘度が低く、拡散性が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は疎水性高分子超微粒子よ
りなる高分子ラテックス組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、100〜1000nmといった
微小な高分子粒子は乳化重合法により工業的に製造され
ており、この様な高分子ラテックスは、塗料、粘着剤、
紙コート剤、モルタル等の混和剤等として広く用いられ
ている。近年これら用途における一層の性能向上を狙
い、より微小な高分子粒子のラテックスの開発が進めら
れている。即ち極めて微小な粒子よりなる高分子ラテッ
クスは浸透力に富むこと、乾燥後に得られる被膜が平滑
であること、径の異なる粒子からなるラテックスとの混
合により特異な粘度挙動を示し塗料の粘度調整剤として
有用なこと、更には、乳化重合用のシード粒子として用
いるとその使用量が少なくて済み経済的に有利なこと等
の利点が認められ、5〜50nmといった微小な高分子粒
子よりなるラテックスの開発が活発に進められているの
である。
【0003】しかしながら、今までに知られている極め
て微小な粒子よりなる高分子ラテックスは、(メタ)ア
クリル酸およびそのエステル類といった親水性単量体を
主成分としたもの、あるいは疎水性単量体を主成分とす
る場合にあっては粒子内に高度な架橋構造を有するもの
に限られており、架橋構造を持たずかつ疎水性高分子超
微粒子よりなる高分子ラテックスの存在は知られていな
い。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。
【0004】一般的に乳化重合法により高分子ラテック
スを合成する場合、重合に用いる乳化剤の量を増やすこ
とにより粒子の径が小さくなることはよく知られてお
り、この方法を用いれば100nm程度の高分子粒子は容
易に合成できる。しかしながら、更に微小な粒子よりな
る高分子ラテックスを得るべく大量の乳化剤を用い重合
を行っても、(イ)乳化剤ミセルがラジカルを受け取っ
て重合を始め、次のラジカルを受け取り重合を停止する
までの間に相当量の単量体が高分子粒子に転化してしま
うこと、(ロ)一度成長し大きくなった粒子は、径の小
さい粒子に比べ表面張力が弱く従ってより多くの単量体
を可溶化することから、粒子中の単量体濃度が高く、径
の小さい粒子より早く重合し、容易に更に径の大きな粒
子となること、そして(ハ)この様にして粒子が成長す
る過程で、その表面に今まで水中にミセルとして存在し
ていた乳化剤を吸着し、潜在的に粒子となり得たはずの
ミセルの数を減らし、結果としてポリマー粒子の数はミ
セルの数より少なくなるのである。
【0005】以上の理由から、乳化剤を増量しミセルの
数を増やした程にはポリマー粒子数の増加、即ち粒子の
微小化は達成されず、結局、粒子の成長が早く、粒子表
面積拡大に伴う乳化剤ミセルが消失してしまうという重
合の動力学的理由から、極めて微小な粒子よりなる高分
子ラテックスは容易に合成できなかったのである。ま
た、仮に微小粒子が得られたにしても、ラテックス粒子
は大量の乳化剤に被われ、実用的な高分子とはいえなか
った。
【0006】ところで、この制約に対し乳化重合法を用
いて微小粒子よりなる高分子ラテックスを合成する技術
およびこれに基づく組成物として、レドックス開始剤を
重合に用いたものがすでに公知である(「高分子論文
集」36(11)729(1979))。この方法は、
単位時間当りに供給されるラジカルの量を増やし、以て
乳化剤ミセルがポリマー粒子に転化する確率を増やそう
という着想に基づくものである。この技術は更にレドッ
クス開始剤を洗練し、また架橋粒子への展開といった形
で発展しつつあり(特開昭60−170604号公報、
特開昭62−177007号公報)通常の熱分解型重合
開始剤使用時に比べ小さな径の粒子よりなるラテックス
が得られている。
【0007】しかしながらこの技術では、メチルメタア
クリレート、アクリル酸、メタアクリル酸といった親水
性或いは水溶性の単量体、即ちラテックス粒子よりのラ
ジカル脱出を促進する単量体を必須成分として用い粒子
中のラジカル濃度を下げ粒子の成長を抑制しており、こ
れらの助けを受けることにより30nm以下の微小粒子を
得ていると推定される。従って、スチレン、ブタジエン
といった疎水性単量体を主成分とする高分子ラテックス
にあっては、40〜70nmの粒子径のものしか得られて
いない。また、親水性成分を多く含むラテックスにあっ
ては、必ずしも低粘度で浸透力に富むものは得られず、
ラテックスの安定性にも限界がある。
【0008】さらに、積極的に親水性の単量体としてシ
アン化ビニル単量体を共重合成分として作られた微小粒
子も知られているが(特開平5−39324号公報)親
水性単量体であるシアン化ビニル化合物を含まず、か
つ、少量の乳化剤しか含まない微粒子組成物は得られて
いない。水性単量体として、エチルアクリレート、メチ
ルメタアクリレートを主成分とした微粒子組成物(特開
昭64−26603号公報)にあっても同様である。
【0009】この他に疎水性単量体の重合において
(イ)連鎖移動剤の使用(J.Polym.Sci.,P
olym.Chem.Ed.,20 1261(198
2))、(ロ)単量体に可溶な重合禁止剤の添加(J.
Apply.Polym.Sci.,35 2009(1
987),J.Apply.Polym.Sci.,35
2023(1987))により作られた小さめの粒子
が公知である。これらの技術は、ラテックス粒子内部に
おけるラジカル濃度を下げることによって粒子の成長速
度を制限し、高分子粒子を小さいままで留め置く一方
で、ミセルが粒子化する確率を上げようという考え方に
基づき作られたものである。
【0010】しかし(イ)の方法では連鎖移動剤の添加
に伴い一度は小さくなった粒子が更に連鎖移動剤添加量
を増やすことにより逆に粒子が大きくなること、(ロ)
の方法は、単位単量体当りの重合禁止剤添加量200pp
m 以上での検討例がなく、また重合禁止剤の性質上、高
濃度添加は必然的に重合そのものを阻止してしまうこと
が容易に予想されるため、これ単独で疎水性単量体から
微小粒子を合成する技術として用いるには限界があり、
報告されている粒子径も50〜70nmと疎水性超微粒子
とはいえる程には十分小さくない。
【0011】その他(ハ)複数のビニル基を有する単量
体を共重合せしめ、粒子そのものを単量体が溶けにくい
架橋構造化し粒子中の単量体濃度を下げ粒子の成長速度
を制限し、高分子粒子を小さいままで留め置くいわゆる
「マイクロゲル」が知られている(J.Oil Co
l.Chem.Assoc.,60 438(197
7))。この方法に基づけば、ある程度の微小粒子の合
成は可能なものの、粒子表面に残存する未反応ビニル基
が粒子の安定性を阻害し、粒子同志が合体肥大化しやす
いこと、これを阻止するには重合性アミノ酸を乳化剤と
して用いる(特公平2−11607号公報)、特殊な乳
化剤を組み合わせて用いる(特開平2−73803号公
報)等が提案されているものの、乳化剤の特殊性から広
く工業的に応用可能な技術とはいい難く、また報告され
ている粒子自体30〜50nm程度であった。
【0012】親水性単量体とマイクロゲルを組み合わせ
てなる、例えば特開平2−300203号、同2−30
0204号公報開示の組成物は、微小粒子よりなるラテ
ックスを合成しているものの、重合に際し大量の乳化剤
が必要である。
【0013】現在までに知られている疎水性単量体の乳
化重合法のなかで、最も微小な粒子を与える技術は、マ
イクロエマルジョン、マイクロラテックス法であり、3
0nm時には20nm程度のポリスチレン超微粒子が得られ
ている。この技術は、一般的なアニオン系乳化剤にほぼ
同重量のアルコールを加え、ミセル内の単量体可溶化力
を高め、このミセルを残らず重合させてしまおうという
試みである。
【0014】しかしながら単量体可溶化力の限界から単
量体に対し2倍量の乳化剤が必要とされ、結局、得られ
る粒子の組成はポリマー20%、乳化剤40%、アルコ
ール40%と、とても実用的な超微粒子高分子ラテック
スとはいい難いものであった。また、必ずしも全てのミ
セルが高分子超微粒子に転化するとは限らず、20nm未
満の粒子は得られ難い(J.Polym.Sci.,Pa
rt A:Polym.Chem.,30 703(19
92))。
【0015】一方、乳化重合法によらずに得られた微小
粒子よりなる高分子ラテックスとして、例えば特開昭6
2−241903号公報に技術開示されたものがある。
これはメチルエチルケトン等の有機溶媒中で重合したポ
リマーをケン化処理した後水中に分散し、有機溶媒を回
収する方法によるものである。しかしながら、この方法
自体操作が繁雑であり溶媒の除去も必要なことから、一
回の操作で目的とするラテックスの得られる乳化重合法
による組成物と比較しコスト高にならざるを得ず、また
ケン化を受ける置換基を持たねばならないことから疎水
性ポリマーのみからなる超微粒子は得られていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術におい
ては、少量の乳化剤しか用いず、疎水性単量体を重合さ
せて得られる高分子超微粒子よりなるラテックス組成物
は得られていない。この様なラテックス組成物を提供す
ることは、ラテックスの応用範囲を広げるために極めて
重要であり、本発明はそれを課題として完成したもので
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は鋭意検
討した結果、重合禁止剤存在下、レドックス重合開始剤
を用い疎水性単量体を重合させ、大量の乳化剤を含ま
ず、低い粘度、高い拡散性、優れた安定性を有する高分
子超微粒子ラテックス組成物を得ることに成功した。
【0018】即ち本発明は疎水性単量体95重量%以上
含む単量体を乳化重合させることによって得られ、縦軸
をラテックスの粒子径、横軸を単量体100部当りの乳
化剤量(部)とするグラフにおいて、単量体100部当
りの乳化剤量が3部にあって粒子径35nmである点A、
単量体100部当りの乳化剤量が300部にあって粒子
径10nmである点B、単量体100部当りの乳化剤量が
300部にあって粒子径5nmである点C、単量体100
部当りの乳化剤量が3部にあって粒子径5nmである点D
により囲まれる四辺形ABCDの範囲の乳化剤量と粒子
径の関係を満足するポリマー粒子、乳化剤、および水よ
りなる高分子ラテックス組成物を提供するものである。
【0019】以下、詳しく本発明を説明する。本発明に
て用いられる疎水性単量体とは、スチレン、αメチルス
チレンに代表される芳香族ビニル化合物、ブタジエン、
イソプレンに代表される共役ジエン化合物が挙げられ、
(メタ)アクリル酸等の有機酸の長鎖エステル、マレイ
イミド誘導体も含まれる。ここで疎水性の程度を定量的
に記述するのは容易ではないが、例えばポリマーハンド
ブック第2版 VII−1〜11ページに水に対しinso
lubleと分類される単量体ということができる、こ
れらの化合物の一部を疎水性置換基、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビ
ニル基、あるいはハロゲン原子により置き換えてなるも
のも含まれる。
【0020】単量体としてこれらを単独で、あるいは2
種類以上組み合わせて用いることが可能で、得られる高
分子粒子の安定性が損なわれない範囲で、少量の比較的
親水性の単量体、例えば、(メタ)アクリル酸短鎖エス
テル類、シアン化ビニル化合物等を共重合することもで
きる。得られるポリマー粒子の安定性の程度は重合時の
残渣量から知ることが可能で、重合に供する単量体当り
の重合残渣量が1%以下の場合は、ポリマー粒子が安定
ということができ、この様なラテックスは、共重合に用
いる親水性単量体の比率が5%以下の配合の範囲で得ら
れる。また架橋構造を持たせるか否かは、用途に応じて
任意に選定すればよい。
【0021】本ラテックス組成物は、従来作り得なかっ
た疎水性単量体の重合物からなる微粒子であることの他
に、重合物当りの乳化剤量が少ない点も特徴といえる。
一般にラテックス組成物にあっては、その粒子径と用い
られる乳化剤の量に明確な相関関係が認められ、例え
ば、従来技術に基づく40〜70nmのポリスチレンから
なる疎水性粒子の場合(「高分子論文集」36(11)
729(1979))単量体当りの乳化剤重量が2%、
マイクロラテックス法による20〜30nmのポリスチレ
ン粒子の場合(J.Polym.Sci.,Part
A:Polym.Chem.,30 703(199
2))では200%、この他疎水性粒子ではないがポリ
メタクリル酸メチルを成分とする33nmの粒子の場合
(特開昭64−26603号公報)5.1%、水溶性の
ポリメタクリル酸を成分とする21nmの粒子の場合(特
開平2−300204号公報)10%、同様の組成の粒
子でその径が10nmの場合(特開平2−300204号
公報)350%という様に、粒子径と用いられる乳化剤
量の対数は、ほぼ直線関係を有する。
【0022】本発明のラテックス組成物も同様で、その
安定性を確保するには一定の粒子径と乳化剤量の関係を
満たす必要があることは事実である。しかしながら、例
えば粒子径35nmの粒子を得ようとする場合には単量体
重量当り3wt%(図中点A)、20nmの粒子を得ようと
する場合には単量体重量当り300wt%(図中点B)
と、従来品に比較し疎水性という特徴を持つだけに止ま
らず、約15〜20%少ない乳化剤量でも安定なラテッ
クスが得られ、実施例に示す様に、この量を減らす余地
も残されている。すなわち、本ラテックス組成物は、耐
水性を要求される用途、あるいは低分子量成分の混入を
嫌う用途分野において有利であり、微小粒子からなるラ
テックスの用途拡大に寄与し得ることは明らかである。
【0023】ただし必要とされる乳化剤の下限量につい
ては十分解明されてはいない。これは重合禁止剤を増や
すと同時にレドックス開始剤を増やす、あるいは重合温
度を下げる等の手段を実施する余地が残されているため
であり、これらの組み合わせによっては、重合前の単量
体を含有したミセルのサイズといわれている5nm程度の
径の微粒子の提供が可能になると思われる。
【0024】即ち疎水性単量体95重量%以上含む単量
体を乳化重合させることによって得られ、縦軸をラテッ
クスの粒子径、横軸を単量体100部当りの乳化剤量
(部)とする図1(グラフ)において、単量体100部
当りの乳化剤量が3部にあって粒子径35nmである点
A、単量体100部当りの乳化剤量が300部にあって
粒子径10nmである点B、単量体100部当りの乳化剤
量が300部にあって粒子径5nmである点C、単量体1
00部当りの乳化剤量が3部にあって粒子径5nmである
点Dにより囲まれる四辺形ABCDの範囲の乳化剤量と
粒子径の関係を満足するポリマー粒子、乳化剤、および
水よりなる高分子ラテックス組成物である。尚、ここで
いう粒子径とは、電子顕微鏡、光散乱といった分析手段
により直接測定される、高分子成分と一部未反応の単量
体および乳化剤を合計した粒子の径である。
【0025】乳化重合に用いられる乳化剤には特に制限
はなく、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、
脂肪酸アルカリ金属塩、コハク酸アルカリ金属塩、ある
いはラジカル重合性を有するアルカリ金属塩等のアニオ
ン系乳化剤を単独または組み合わせて用いることができ
る。更にミセル数が大きく減少しない範囲でノニオン系
乳化剤を併用してもよい。
【0026】本発明の組成物は、単量体可溶性の重合禁
止剤存在下に、疎水性単量体をレドックス系開始剤を用
い重合することにより得られる。この時用いられる重合
禁止剤としては、ターシャリ−ブチルカテコール等のい
わゆるラジカル重合禁止剤として市販されているもの、
αメチルスチレンダイマー等の退化的連鎖移動を受ける
もの、更にはハロゲン系難燃剤といった通常重合禁止剤
とは呼称されないが同様の効果を有するものが含まれ
る。
【0027】レドックス開始剤としては当業者公知のも
の、例えば、過硫酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、
過酸化水素といった水溶性過酸化物と金属塩と還元剤の
組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過
酸化物と金属塩と還元剤の組み合わせが挙げられる。重
合方法にも特に制限はなく、バッチ法、セミバッチ法を
必要な粒子径に応じ適宜選択できる。
【0028】
【実施例】以下、実施例に基づき具体的に説明する。
【0029】実施例1 還流冷却器付き500mlガラスリアクターに、予め煮沸
することにより脱酸素された蒸留脱イオン水230ml、
蒸留精製されたスチレン10g、ターシャリ−ブチルカ
テコール0.03g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム10g、過硫酸ナトリウム0.92g、炭酸水素
ナトリウム2.08g、硫酸銅0.01gを加え窒素気
流下40℃にて乳化液を調製する。この乳化液に対し
て、予め煮沸することにより脱酸素された蒸留脱イオン
水30mlにチオ硫酸ナトリウム0.128g溶かしてな
る水溶液を加え窒素雰囲気下で重合を開始する。重合系
の温度40℃一定に保つ。重合開始後およそ5分で乳化
液は透明になり、20分後の重合率は82%である。重
合時の析出物は観察されない。
【0030】電子顕微鏡を用いて観察した被覆乳化剤を
含むラテックス粒子は狹い粒子径分布を有し、重量平均
粒子径は13.7nmである。脱イオン水を用い5%に希
釈しキャノンフェンスケ型粘度計を用い30℃にて測定
した還元粘度は0.3g/dlである。ラテックス一滴
(約0.2ml)を濾紙上に滴下すると極めて素早く吸収
され、このラテックスが優れた拡散性を有することが明
らかである。
【0031】実施例2 実施例1に記載の重合を、単量体をスチレン9.5g、
メタアクリル酸0.5gに替えて実施する。20分後の
重合率は80%、重合時の析出物は観察されずラテック
ス粒子径は11.0nm、還元粘度は0.45g/dlであ
る。本ラテックスも濾紙上に滴下すると極めて素早く吸
収される。
【0032】実施例3 実施例1記載の重合を使用する還元剤を0.064gに
て実施後、更に引き続きスチレン90g、予め煮沸する
ことにより脱酸素された蒸留脱イオン水40mlにチオ硫
酸ナトリウム0.465g溶かしてなる水溶液を120
分かけて添加し、その後更に30分反応させる。最終重
合率は80%、重合残渣は観察されず、ラテックス重量
平均粒子径は245nmである。本ラテックスも濾紙上に
滴下すると極めて素早く吸収される。
【0033】実施例4 実施例1記載の重合を使用する乳化剤を5.0gにて実
施後、実施例3記載の単量体と還元剤添加反応を行う。
最終重合率は75%、重合残渣は観察されず、ラテック
ス重量平均粒子径は275nmである。
【0034】比較例1 実施例1に記載の重合を、ターシャリ−ブチルカテコー
ルを加えることなく実施する。およそ10分で重合率8
0%に達する。ラテックス粒子径は21.7nmと小さい
にもかかわらず粒子径に分布があり、ラテックスは青味
がかった半透明を呈し、濾紙上への拡散は、実施例に比
べ遅い。
【0035】比較例2 実施例1に記載の重合を、単量体をスチレン5g、メタ
アクリル酸5gに替えて実施する。20分後の重合率は
90%と高くラテックス粒子径は11.0nmと小さいも
のの0.3gの重合残渣が発生し、還元粘度は1.2g
/dlと高く、濾紙上に滴下したところなかなか拡散しな
い。
【0036】
【発明の効果】本発明のラテックス組成物の特徴は、粘
度の低さと高い拡散性にある。ラテックス粘度が低いこ
と、および極めて高い拡散性を有することは水性塗料や
水性粘着剤のハイソリッド化に有効で濡れ性のよい塗料
が得られる。また、乳化剤使用量が少なく、塗膜の耐水
性も良好である。本ラテックスを乳化重合用シード粒子
として用いた場合、一定の粒子数を与えるシードラテッ
クス量が少なくて済み、反応器の容積効率が向上し好ま
しく、併せて、追添加する単量体の量や種類等重合処方
の自由度を大きくとることを可能ならしめる。更には樹
脂用粉体添加剤の表面処理剤として用いると、粉体粒子
に比べ著しく粒子径が小さいおかげで、粉体表面を均一
に被覆し粉体添加剤の樹脂中への均一分散を助ける。ま
た、乳化剤に起因する低分子成分の混入に伴う樹脂物性
の低下を回避できる等、工業的に利用価値の高い組成物
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラテックス粒子径(対数表示)と重合に用いら
れる乳化剤の単量体に対する比率を示すグラフである。
図中区画ABCDは、特許請求の範囲を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】実施例3 実施例1記載の重合を使用する還元剤を0.064gに
て実施後、更に引き続きスチレン90g、予め煮沸する
ことにより脱酸素された蒸留脱イオン水40mlにチオ硫
酸ナトリウム0.465g溶かしてなる水溶液を120
分かけて添加し、その後更に30分反応させる。最終重
合率は80%、重合残渣は観察されず、ラテックス重量
平均粒子径は24.5nmである。本ラテックスも濾紙上
に滴下すると極めて素早く吸収される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】実施例4 実施例1記載の重合を使用する乳化剤を5.0gにて実
施後、実施例3記載の単量体と還元剤添加反応を行う。
最終重合率は75%、重合残渣は観察されず、ラテック
ス重量平均粒子径は27.5nmである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性単量体95重量%以上含む単量体
    を乳化重合させることによって得られ、縦軸をラテック
    スの粒子径、横軸を単量体100部当りの乳化剤量
    (部)とするグラフにおいて、単量体100部当りの乳
    化剤量が3部にあって粒子径35nmである点A、単量体
    100部当りの乳化剤量が300部にあって粒子径10
    nmである点B、単量体100部当りの乳化剤量が300
    部にあって粒子径5nmである点C、単量体100部当り
    の乳化剤量が3部にあって粒子径5nmである点Dにより
    囲まれる四辺形ABCDの範囲の乳化剤量と粒子径の関
    係を満足するポリマー粒子、乳化剤、および水よりなる
    高分子ラテックス組成物。
JP31106793A 1993-11-18 1993-11-18 高分子ラテックス組成物 Withdrawn JPH07138487A (ja)

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JP31106793A JPH07138487A (ja) 1993-11-18 1993-11-18 高分子ラテックス組成物

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006316239A (ja) * 2005-04-14 2006-11-24 Hitachi Chem Co Ltd ポリマ微粒子、ポリマ微粒子分散液およびその製造方法
JP2012515250A (ja) * 2009-01-14 2012-07-05 スティロン ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 乳化重合における単量体転化率の増加方法

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JP2006316239A (ja) * 2005-04-14 2006-11-24 Hitachi Chem Co Ltd ポリマ微粒子、ポリマ微粒子分散液およびその製造方法
JP2012515250A (ja) * 2009-01-14 2012-07-05 スティロン ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 乳化重合における単量体転化率の増加方法

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