JPH0713389B2 - 嵌合外囲体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、強固に施工でき、板面有効率を極めて高い値
にでき、さらに比較的施工性を良好にできる嵌合外囲体
に関する。

〔従来の技術及びその課題〕

既に、出願人は、隣接する嵌合用建築用板相互を嵌合し
て葺成する屋根又は壁等の嵌合外囲体を良好なる施工性
等の面から種々研究，開発している。さらに、嵌合用建
築用板と母屋等の構造材に固着した受金具との取付につ
いても、簡単に嵌合できる構成のものが種々開発されて
いるが、嵌合部の強度が弱い場合には、新たにボルト等
を固着して強度を増加させている現状であり、施工性が
良好で、しかも嵌合の強度性が優れたものが特に要望さ
れている。さらに、受金具箇所以外の箇所の嵌合におい
ても、良好なる嵌合ができ、且つ強固な構成にできるも
のが要望されている。

また、より強度性を保持しつつより安価に施工できるも
のも存在しない等の課題もあった。

〔課題を解決するための手段〕

そこで発明者は、前記課題を解決すべく鋭意，研究を重
ねた結果、本発明を、受金具本体と係合用片とからな
り、該係合用片の両被係合用段部は上部両外側に突出し
た受金具を、母屋等の構造材上に所定間隔に固着し、主
板の一側の山の左右側に内面側係合用段部を形成した内
面側山形状部を設け、この下側を緩傾斜状部とし、その
主板の他側に、山の左右側に外面側係合用段部を各々形
成した外面側山形状部を設け、且つこの下側を緩傾斜状
部とした嵌合用建築用板を前記受金具間に載置して、内
面側係合用段部と被係合用段部とを係合し、隣接の嵌合
用建築用板の外面側山形状部を、前位の嵌合用建築用板
の内面側山形状部に被嵌して、その外面側係合用段部と
内面側係合用段部とを係合して葺成し、これら被係合用
段部，外面側係合用段部，内面側係合用段部夫々の下片
を水平状に形成した嵌合外囲体にしたことにより、強固
に施工でき、板面有効率を極めて高い値にでき、さらに
比較的施工性を良好にでき、前記の課題を解決したもの
である。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を第１図乃至第６図に基づいて説
明する。

Ａは長手方向に適宜の長さ又は長尺の金属製の嵌合用建
築用板で、主板１の一側（第１図における単位嵌合用建
築用板Ａの左側、第４図の左側）に、内面側山形状部２
が形成されている。この内面側山形状部２の高さ方向の
中間の山の左右側に内面側係合用段部2a,2aが夫々屈曲
形成されている。その内面側山形状部２は緩傾斜状部2b
の上端より内方に内面側係合用段部2aが形成され、その
上端より山形部2cが設けられ、この山形部2cの外端より
内面側係合用段部2aが一体形成され、この下端より傾斜
状の端縁2dが必要に応じて設けられている。その緩傾斜
状部2bの傾斜度は、山形部2c両側の傾斜度に比較して格
段と緩やかで、略∠45度内外に形成されている。また、
その内面側係合用段部2aの下片は水平状に形成されてい
る。

また、主板１の他側（第１図における単位嵌合用建築用
板Ａの右側、第４図の右側）に外面側山形状部３が一体
的に設けられている。この外面側山形状部３の左右側に
外面側係合用段部3a,3aが各々形成されている。その外
面側山形状部３は緩傾斜状部3bの上端より内方に外面側
係合用段部3aが形成され、その上端より山形部3cが設け
られ、この山形部3cの外端より外面側係合用段部3aが一
体形成され、この下端より傾斜状の端縁3dが必要に応じ
て設けられている。この端縁3dは、図面に示すように、
断面略Ｃ字状に屈曲されることが多い。さらに、その緩
傾斜状部3bの傾斜度は、山形部3c両側の傾斜度に比較し
て格段と緩やかで、略∠45度内外に形成されている。そ
の外面側係合用段部3aの下片も、前記内面側係合用段部
2aと同様に水平状に形成されている。また、前記緩傾斜
状部2b及び3bは第４図鎖線に示すように、緩傾斜状で弧
状に形成されることもある。

その嵌合用建築用板Ａの一側（第１図における単位嵌合
用建築用板Ａの左側、第４図の左側）の内面側山形状部
２に、隣接の嵌合用建築用板Ａの他側（第１図における
単位嵌合用建築用板Ａの右側、第４図の右側）の外面側
山形状部３が被嵌されてその内面側係合用段部2a,2aと
外面側係合用段部3a,3aとが相互が係合するように、嵌
合用建築用板Ａの一側（第１図における単位嵌合用建築
用板Ａの左側）の内面側山形状部２が、他側（第１図に
おける単位嵌合用建築用板Ａの右側）の外面側山形状部
３よりも板厚分だけ小さくなるように形成されている。

このように、内面側山形状部２及び内面側係合用段部2a
と外面側山形状部３及び外面側係合用段部3aの内面側，
外面側は、葺成後の位置関係の概念を示すようにしたも
のである。

前記主板１が広幅の場合には、第１図に示すように、必
要に応じて中間山形状部４が膨出形成されている。この
中間山形状部４の断面も、前記内面側山形状部２や外面
側山形状部３の断面と略同等であり、その中間山形状部
４の両傾斜部箇所に係合用段部4a,4aが屈曲形成され、
この下側の両傾斜部は緩やかな傾斜状をなしている。さ
らに、その係合用段部4aの下片も、水平状に形成されて
いる。

前記嵌合用建築用板Ａは比較的薄材の金属製で、緩傾斜
状部2b,3b等が弾力性を有する材質をなしている。

Ｂは金属製の受金具であって、台形山形状の受金具本体
５の上部両外側に、鉤状の被係合用段部6a,6aが突出形
成されている。この被係合用段部6aの下片は水平状に形
成されている。

具体的実施例では、第５図に示すように、台形山形状の
受金具本体５の頂部5aに、金属製の帯板が断面門形状に
プレス加工され、且つ正面から見て台形山形状をなした
係合用片６の頂部が溶接等で固着され、この係合用片６
の両側に、下片が水平状の鉤状の被係合用段部6a,6aが
形成されている。その受金具本体５の両側には取付底部
5b,5bが形成され、その受金具本体５の両側傾斜脚部に
はリブ等の補強突条5cが屈曲形成されている。

また、第６図に示すように、台形山形状の受金具本体５
の頂部5aに、金属製の帯板が断面台形山形状に屈曲形成
された係合用片６の頂部が溶接等で固着され、この係合
用片６の両側下端が、内方に水平状に屈曲されて、鉤状
の被係合用段部6a,6aが一体形成されている。

前記受金具Ｂが母屋，胴縁等の構造材７上に直接、又は
この上に敷設した木毛板，発泡合成樹脂板等の断熱板上
に所定間隔にドリルビス，ボルト・ナット等の固着具又
は溶接にて固着され、嵌合用建築用板Ａが前記受金具B,
B間に載置されつつその内面側山形状部２が受金具Ｂに
被嵌され、内面側係合用段部2a,2aと受金具Ｂの被係合
用段部6a,6aとが係合され、次いで隣接の嵌合用建築用
板Ａの他側（第１図における単位嵌合用建築用板Ａの右
側、第４図の右側）の外面側山形状部３が、前位の嵌合
用建築用板Ａの一側の，受金具Ｂに嵌合した内面側山形
状部２に被嵌され、その外面側係合用段部3aと内面側係
合用段部２とが係合され、これらが順次繰り返されて屋
根又は壁等の嵌合外囲体が施工されている（第１図参
照）。

また、嵌合用建築用板Ａの主板１の中間に中間山形状部
４が膨出形成されている場合には、第１図に示すよう
に、その受金具Ｂの被係合用段部6a,6aが中間山形状部
４の両側の係合用段部4a,4aに係合されている。

なお、嵌合用建築用板Ａの外面側山形状部３の端に、断
面略Ｃ字状の端縁3dを形成すれば、この端縁3dと嵌合用
建築用板Ａの内面側山形状部２の緩傾斜状部2bとの間に
空隙部が形成され、毛管現象を阻止でき、そこから雨水
は殆ど浸入しにくくなり、水密性（雨仕舞）を極めて良
好にできる。

〔発明の効果〕

本発明においては、受金具本体５と係合用片６とからな
り、該係合用片６の両被係合用段部6a,6aは上部両外側
に突出した受金具Ｂを、母屋等の構造材７上に所定間隔
に固着し、主板１の一側の山の左右側に内面側係合用段
部2a,2aを形成した内面側山形状部２を設け、この下側
を緩傾斜状部2bとし、その主板１の他側に、山の左右側
に外面側係合用段部3a,3aを各々形成した外面側山形状
部３を設け、且つこの下側を緩傾斜状部3bとした嵌合用
建築用板Ａを前記受金具B,B間に載置して、内面側係合
用段部2aと被係合用段部6aとを係合し、隣接の嵌合用建
築用板Ａの外面側山形状部3aを、前位の嵌合用建築用板
Ａの内面側山形状部２に被嵌して、その外面側係合用段
部3aと内面側係合用段部2aとを係合して葺成し、これら
被係合用段部6a,外面側係合用段部3a,内面側係合用段部
2a夫々の下片を水平状に形成した嵌合外囲体としたこと
により、まず、第１に嵌合外囲体を強固に施工でき、第
２に屋根又は壁等の嵌合外囲体の施工費を安価にでき、
第３に施工を確実にできる等の効果を奏する。

これらの効果について詳述すると、内面側係合用段部2a
と被係合用段部6aとを係合し、さらに、外面側係合用段
部3aと内面側係合用段部2aとを係合して葺成し、これら
被係合用段部6a,外面側係合用段部3a,内面側係合用段部
2a夫々の下片を水平状に形成したことにより、一旦嵌合
すると、それらの係合箇所は容易に外れにくくでき、極
めて強固なる嵌合外囲体を提供できる。即ち、被係合用
段部6a,外面側係合用段部3a,内面側係合用段部2a夫々の
下片が水平状のため、強い負圧荷重（風圧荷重）が加わ
った場合には、それらの水平状部箇所には、第３図にお
いて、例えばＸ−Ｘ軸に対して、上下方向に押圧力F,F
が作用し、この押圧力F,Fは垂直方向を向いており、作
用面（前記被係合用段部6a,外面側係合用段部3a,内面側
係合用段部2a夫々の下片が水平状箇所）が水平である
と、水平方向の分力が作用せず、即ち、水平方向の分力
は、嵌合部箇所から外れようと力であるために、外れよ
うとする力が作用せず、極めて嵌合部を強固にでき、ひ
いては嵌合外囲体を強固に施工できる効果がある。この
ため、従来のように嵌合部の強度が弱い場合には新たに
ボルト等を固着して強度を増加させるようなことも一切
解消できる。

また、このように、強固な嵌合外囲体でも、施工するの
に、上側から内面側山形状部２や外面側山形状部３を押
圧することのみで施工できる。施工に際しては、内面側
山形状部２の緩傾斜状部2bや外面側山形状部３の緩傾斜
状部3bの存在により、内面側山形状部２外面側山形状部
３の裾野が極めて広がった状態であり、即ち、間口が広
く、比較的嵌合しやすいものにできる利点もある。さら
に、嵌合用建築用板Ａと受金具Ｂのみで、本発明の嵌合
外囲体は殆ど構成でき、構成部材も少なく、施工も比較
的簡易かつ迅速にできる。

また、板面を屋根面に対して垂直にすると板面有効率は
なくなるし、板面を屋根面に対して水平にすると板面有
効率は100％となる。そこで、本発明では、内面側山形
状部２及び外面側山形状部３には、夫々緩傾斜状部2bや
緩傾斜状部3bを形成させたことにより、嵌合用建築用板
Ａの幅方向の板面の働き幅を有効に使用することがで
き、これによって、材料幅当たりの製品形状の横幅を比
率を表わした，板面有効率を極めて高い値にでき、嵌合
用建築用板Ａの材料単価を安価にでき、ひいては比較的
割安な嵌合外囲体を提供できる。

また、受金具Ｂは受金具本体５と係合用片６とから構成
されており、第５図，第６図等に示すように、受金具本
体５と係合用片６とを別部材からなるものとすること
で、係合用片６には被係合用段部6a,6aを形成すること
が極めて容易となり、受金具Ｂの製造を簡単にすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであって、その第１図
は本発明の斜視図、第２図は第１図の受金具取付箇所の
断面図、第３図は第２図の要部断面図、第４図は嵌合用
建築用板の斜視図、第５図は受金具の斜視図、第６図は
受金具の別の実施例の正面図である。 Ａ……嵌合用建築用板,1……主板 ２……内面側山形状部,2a……内面側係合用段部 2b……緩傾斜状部,3……外面側山形状部 3a……外面側係合用段部,3b……緩傾斜状部 Ｂ……受金具,5……受金具本体 ６……係合用片,6a……被係合用段部 ７……構造材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 浩一 東京都中央区京橋２丁目９番２号 三晃金 属工業株式会社内 (72)発明者 広滝 秀敏 東京都中央区京橋２丁目９番２号 三晃金 属工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭52−118521（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−21816（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】受金具本体と係合用片とからなり、該係合
   用片の両被係合用段部は上部両外側に突出した受金具
   を、母屋等の構造材上に所定間隔に固着し、主板の一側
   の山の左右側に内面側係合用段部を形成した内面側山形
   状部を設け、この下側を緩傾斜状部とし、その主板の他
   側に、山の左右側に外面側係合用段部を各々形成した外
   面側山形状部を設け、且つこの下側を緩傾斜状部とした
   嵌合用建築用板を前記受金具間に載置して、内面側係合
   用段部と被係合用段部とを係合し、隣接の嵌合用建築用
   板の外面側山形状部を、前位の嵌合用建築用板の内面側
   山形状部に被嵌して、その外面側係合用段部と内面側係
   合用段部とを係合して葺成し、これら被係合用段部，外
   面側係合用段部，内面側係合用段部夫々の下片を水平状
   に形成したことを特徴とした嵌合外囲体。