JPH0712481A - 空調用熱交換器の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】空調用熱交換器の構成を簡単化すると共に、ヘ
ッダの曲げ加工を簡単化する。 【構成】一対のヘッダ１２ａ，１２ｂ、複数の伝熱管１
３および複数のフィン１４をアルミのブレージングシー
トにより形成して、これらをろう付けせずに単に組み立
てて組立体１１ａを構成する。この組立体１１ａを、一
対のヘッダ１２ａ，１２ｂの軸方向両端部がほぼ水平を
成すように治具装置２１の固定台座２３ａと傾倒台座２
３ｂ上に載置する。傾倒台座２３ｂの内端部をピン２４
により治具２２に回動自在に取り付ける一方、傾倒台座
２３ｂの外端部を、ろう付け温度の直前で傾倒するよう
に熱変形する止め金２５上に載置して、これらをろう付
け温度まで加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一対のヘッダをほぼくの
字状に屈曲して成る空調用熱交換器の製造方法およびそ
の製造装置に係り、特に、一対のヘッダの屈曲方法を改
良した空調用熱交換器の製造方法およびその製造装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の空調用熱交換器の一例と
しては特開平４−２６８１２８号公報に掲載されたもの
がある。これは、図４に示すようにパラレルフロータイ
プの熱交換器１であり、その一対のヘッダ２ａ，２ｂを
例えばほぼくの字状に屈曲させることにより、室内機３
内に効率的に収容させて、その小型化を図ったものであ
り、図４中符号４は室内ファンである。

【０００３】この熱交換器１は図５にも示すように一対
のヘッダ２ａ，２ｂの軸方向中間部に、上下一対の仕切
壁５ａ，５ｂにより仕切ることにより上下に２分割し、
ろう付けした後、これらヘッダ２ａ，２ｂの上下をくの
字状に折曲している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の熱交換器１では、一対のヘッダ２ａ，２ｂの
仕切位置（分割位置）に曲げ位置を一致させて曲げなけ
ればならないという位置の限定があるので、その曲げ加
工が容易ではない上に、仮に仕切位置に曲げ位置が一致
しない場合には、曲げ部に潰れが発生して熱交換性能が
低下するという課題もある。

【０００５】また、ろう付け後に、ヘッダ２ａ，２ｂの
曲げ加工を行なうので、曲げ加工時の応力がろう付け部
に局所的に集中する上に、潰れが増大する。

【０００６】さらに、一方のヘッダ、例えば２ａに、そ
の上部室と下部室とを連絡する連絡管６を溶接する必要
があり、構成が複雑である。なお、図中、符号７はフィ
ンである。

【０００７】そこで、本発明はこのような事情を考慮し
てなされたもので、その目的は、構成が簡単でかつヘッ
ダの曲げ加工が容易である空調用熱交換器の製造方法お
よびその製造装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、アルミ材がろ
う付け温度の直前で軟化する点に着目してなされたもの
であり、次のように構成される。

【０００９】本願の請求項１に記載の発明（以下、第１
の発明という）は、対向配置される一対のヘッダと、こ
れら両ヘッダ間に架設されて、これら両ヘッダを連通せ
しめる複数の伝熱管と、これら伝熱管の外面に装着され
る複数のフィンとを、アルミのブレージングシートによ
りそれぞれ成形、組み立てた状態で加熱し、ろう付け温
度に達したときに、前記ヘッダと伝熱管とフィンとをろ
う付けせしめる一方、その直前に、前記ヘッダを屈曲せ
しめることを特徴とする。

【００１０】また、本願の請求項２に記載の発明（以
下、第２の発明という）は、アルミブレージングシート
から対向配置される一対のヘッダと、これら両ヘッダ間
に架設されて、これら両ヘッダを連通せしめる複数の伝
熱管と、これら伝熱管の外面に挿着される複数のフィン
とを形成し、これらの形成品を熱交換器として組み立て
た組立品を炉内にてろう付けを行なうための空調用熱交
換器の製造装置において、前記組立品ヘッダの軸方向両
端部がほぼ水平を成すようにそれぞれ支持する一対の台
座と、これら台座の一方を支持すると共に、その他方
を、その内端部周りに回動自在に支持し、ろう付け用加
熱炉内に搬入される治具と、この治具に装着されて、前
記他方の台座の外端部を支持し、炉内がろう付け温度に
達する直前の温度でその外端部の支持を外すように変形
する止め金とを有することを特徴とする。

【００１１】

【作用】

〈第１の発明〉まず、アルミ板の表面にろう材を塗布し
て成るアルミのブレージングシートにより一対のヘッダ
と、複数の伝熱管および複数のフィンとをそれぞれ形成
し、これらを組み立てる。

【００１２】次に、この組立体を、加熱する。

【００１３】すると、アルミ製のヘッダが充分に加熱さ
れて軟化して行き、ろう付け温度に達する直前で、一対
のヘッダを屈曲する。次に、ろう付け温度に達してから
ろう付けが行なわれ、その後の冷却により熱交換器の組
立が完了する。

【００１４】したがって本発明によれば、ろう付け温度
に達する直前にヘッダを屈曲させるだけでヘッダを極め
て簡単に屈曲させることができる上に、曲げ部の潰れを
低減することができる。

【００１５】また、従来例のように仕切壁や連絡管を設
けないので、構成が簡単である上に、仕切位置に曲げ位
置を一致させる必要がないので、その曲げ加工の一層の
簡単化を図ることができる。

【００１６】〈第２の発明〉アルミのブレージングシー
トにより一対のヘッダ、複数の伝熱管および複数の部品
をそれぞれ形成してから、ろう付けせずに単に組み立て
て、一対のヘッダの軸方向両端部がほぼ水平を成すよう
に一対の台座上に載置して加熱する。

【００１７】すると、アルミ製のヘッダが軟化し、ろう
付け温度に達する直前で止め金が熱変形して、他方の台
座の外端部を止め金から外す。このために、他方の台座
が傾倒するので、この台座上に載置された一対のヘッダ
の軸方向各一端部が傾倒してほぼくの字状に屈曲され
る。この後、ろう付け温度に達したときにろう付けされ
る。

【００１８】したがって本発明によれば、空調用熱交換
器の単なる組立体をろう付け温度まで徐々に加熱するこ
とにより、一対のヘッダをほぼくの字状に屈曲すること
ができるので、その屈曲を極めて簡単に行なうことがで
きる上に、前記第１の発明とほぼ同様の効果を奏するこ
とができる。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１〜図３に基づい
て説明する。

【００２０】図２は本発明が適用される空調用熱交換器
の構成を示す一部省略斜視図であり、図において、空調
用熱交換器１１は、図中左右一対のヘッダ１２ａ，１２
ｂ間に、偏平管等より成る複数の伝熱管１３…を上下方
向に所要のピッチで架設して両ヘッダ１２ａ，１２ｂを
相互に連通させている。

【００２１】また、これら伝熱管１３の外周には、複数
の矩形薄板状のフィン１４…を直交するように取り付け
ている。

【００２２】そして、この熱交換器１１を図示しない空
気調和機の室内機等の内部に、効率的に収容して、その
小型化を図るために、一対のヘッダ１２ａ，１２ｂを、
その軸方向中間部をほぼ中心にして例えば屈曲角θでほ
ぼくの字状に屈曲している。

【００２３】次に、このように構成される熱交換器１１
の製造方法およびその製造装置を説明する。

【００２４】まず、アルミ板の表面にろう材をコーティ
ングして成るアルミのブレージングシートにより一対の
ヘッダ１２ａ，１２ｂ、各伝熱管１３および各フィン１
４をそれぞれ形成し、これらをろう付けせずに組み立て
て組立体１１ａを形成し、製造装置である治具装置２１
の一対の台座２３ａ，２３ｂ用に載置する。

【００２５】治具装置２１は有底角筒状の治具２２の開
口端部２２ａ上に、平板状の左右一対の台座２３ａ，２
３ｂを、若干の間隙を置いてほぼ水平方向に対向させて
支持しており、その一方の台座２３ａは、その外端部を
開口部２２ａの一端に固定することにより固定台座２３
ａに構成されている。

【００２６】また、他方の台座２３ｂは、その内端部を
ピン２４により傾倒自在に取り付けることにより、傾倒
台座２３ｂに構成されている。

【００２７】さらに、これら一対の台座２３ａ，２３ｂ
は、その外端部上面上に、一対のヘッダ１２ａ，１２ｂ
の軸方向両端を軸方向から挟み持ちする鉤状の一対の係
止突起２３ａ1 ，２３ｂ1 をそれぞれ一体に突設してい
る。

【００２８】そして、傾倒台座２３ｂは、その外端部を
止め金２５の自由端部上に載置しており、この止め金２
５の外端部を治具２２の開口部２２ａの他端部に固定し
ている。

【００２９】止め金２５は、例えばバイメタルにより構
成されており、熱交換器１１のろう付け温度（例えば６
００℃付近）の直前の温度（例えば５５０℃付近）で、
図１（ｂ）に示すように、その自由端部が下向きに傾倒
するように熱変形するものであり、その際に、傾倒台座
２３ｂの外端部の支持を外して、この傾倒台座２３ｂを
所定角θで傾倒させるようになっている。

【００３０】次に、図１（ａ）に示すように治具装置２
１の一対の台座２３ａ，２３ｂ上に、熱交換器１１の組
立体１１ａを所定の位置に載置した状態で、図示しない
ろう付け用炉内に搬入する。

【００３１】このろう付け用炉は、その炉内で、図３に
示すように、組立体１１ａに、フラックスの塗布，乾
燥，加熱，ろう付け，一次冷却およびエアブロー冷却
を、炉の入口から出口へ向けて順次行なうものであり、
図３中、曲線Ａで示すように炉内温度を制御するように
なっている。

【００３２】したがって、熱交換器１１の組立体１１ａ
を載せた治具装置２１がろう付け用炉内を、その入口か
ら出口に向けて順次移動する間に、炉内温度の昇温に伴
ってオールアルミ製の組立体１１ａが充分に加熱されて
軟化していき、その炉内温度がろう付け温度の直前の温
度（例えば５５０℃付近）に達すると、図１（ｂ）に示
すように、止め金２５が熱変形して、その自由端部が傾
倒する。

【００３３】このために、傾倒台座２３ｂの自由端部の
支持が外れてピン２４周りに傾倒し、その外端部が治具
２２の内底上に落下する。これにより、傾倒台座２３ｂ
上に載置されている一対のヘッダ１２ａ，１２ｂの両一
端部が自重により傾倒してほぼくの字状に屈曲する。

【００３４】この後、炉内温度がろう付け温度まで達す
ると、ブレージングシート上のろう材が溶けて組立体１
１ａの所要箇所にろう付けが行なわれ、以後、炉内の一
次冷却およびエアブロー冷却により、ろう材が固化し
て、組立体１１ａのろう付けが完了して炉出口から搬出
される。

【００３５】したがって本実施例によれば、治具装置２
１上に熱交換器１１の組立体１１ａを単に載置して、ろ
う付け用炉内に通すことにより、一対のヘッダ１２ａ，
１２ｂを所定角度に曲げることができるので、その曲げ
加工を極めて簡単に行なうことができる上に、曲げ部の
潰れを低減することができる。

【００３６】また、図５等で示す従来例のように仕切壁
や連絡管等を形成しないので、構成が簡単である上に、
仕切位置に曲げ位置を一致させて曲げる必要がないの
で、曲げ加工がさらに一層容易になる。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように本願第１，第２の発
明は、ヘッダを軸方向に極めて簡単に屈曲することがで
きる上に、曲げ部の潰れを低減することができる。

【００３８】また、本発明は、従来例のように仕切壁や
連絡管等を形成しないので、構成が簡単である上に、仕
切位置に曲げ位置を一致させる必要がないので、曲げ加
工をさらに一層簡単に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明に係る空調用熱交換器の製造方
法およびその製造装置の一実施例の前工程を示す図、
（ｂ）は同後工程を示す図。

【図２】図１で示す本実施例が適用される空調用熱交換
器の一般的構成を示す一部省略斜視図。

【図３】図１で示す本実施例に使用されるろう付け用炉
の炉内温度の変化を示すグラフ。

【図４】従来の熱交換器を内蔵した空気調和機の室内機
の概略縦断面図。

【図５】図４で示す従来の熱交換器の縦断面図。

【符号の説明】

１１ 空調用熱交換器 １１ａ 熱交換器の単なる組立体 １２ａ，１２ｂ 一対のヘッダ １３ 伝熱管 １４ フィン ２１ 治具装置 ２２ 治具 ２３ａ 固定台座 ２３ｂ 傾倒台座 ２３ａ1 ，２３ｂ1 係止突起 ２４ ピン ２５ 止め金

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミブレージングシートから一対のヘ
   ッダ、複数の伝熱管および複数のフィンを形成する形成
   工程と、これらの形成品から熱交換器を組み立てる組立
   工程と、上記組立体を加熱することによってろう付けを
   行なうろう付け工程とからなる空調用熱交換器の製造方
   法において、上記ろう付け工程時、ろう付け温度に達す
   る直前に上記組立体を屈曲することを特徴とする空調用
   熱交換器の製造方法。
2. 【請求項２】 アルミブレージングシートから対向配置
   される一対のヘッダと、これら両ヘッダ間に架設され
   て、これら両ヘッダを連通せしめる複数の伝熱管と、こ
   れら伝熱管の外面に挿着される複数のフィンとを形成
   し、これらの形成品を熱交換器として組み立てた組立品
   を炉内にてろう付けを行なうための空調用熱交換器の製
   造装置において、前記組立品ヘッダの軸方向両端部がほ
   ぼ水平を成すようにそれぞれ支持する一対の台座と、こ
   れら台座の一方を支持すると共に、その他方を、その内
   端部周りに回動自在に支持し、ろう付け用加熱炉内に搬
   入される治具と、この治具に装着されて、前記他方の台
   座の外端部を支持し、炉内がろう付け温度に達する直前
   の温度でその外端部の支持を外すように変形する止め金
   とを有することを特徴とする空調用熱交換器の製造装
   置。