JPH0712235Y2 - 自転車ヘッドセットの上部組付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、自転車に用いられるヘッドセットの上部組
付け構造の改良に関する。

（従来の技術） 従来用いられている自転車のヘッドセットの上部組付け
構造は、上わんと上玉押しとの間に鋼球を介在させ、上
玉押しの上に中ナット、更にその上に止ナットを組合わ
せてなるものが一般的に知られている。

そして、これに加えられる変更としては、中ナットと併
用して、或はその代用としてワッシャやランプ掛けを用
いたりするが、いずれの例においても、上玉押しの内周
面にメネジを切り、これにホークステムのオネジを螺合
させ、適度のトルクで組み付け固定していた。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上玉押しとホークステムとの螺合が使用中に
加わる衝撃等により緩んでくると、ハンドルにがたつき
が生じていた。そのため、上玉押しから止ナットまでの
各部材に緩み止めのための改良が加えられている例もあ
るが、完全に緩みを無くすことは困難であった。

また、上玉押しに対向する上わんは、ヘッドパイプの上
端に圧入されるが、上わんとヘッドパイプとの間の圧入
が緩んだり、上わん或は上わんと上玉押しの間に介在さ
れた鋼球が摩耗した場合にも、ヘッドセットの上部組付
け構造が緩み、これが原因でハンドルのがたつきが生じ
ていた。

しかも、上玉押し等は適正なトルクで締め付ける必要が
あるため、組付けの調整には熟練を要すると共に、この
組付けを不注意に行うと軸受の転動面に圧痕を残す等、
不良品の発生の原因ともなっている。

これに対して上わんに対向してホークステムに挿着され
る上玉押しの内周面を無ねじ状に形成するとともに、ホ
ークステムに螺着される固定部材と上玉押しとの間に弾
性部材を挿入し、固定部材の締付ける力を弾性部材を介
して上玉押しに伝達して上玉押しをホークステムに固定
する自転車ヘッドセットも提案されている。

しかし、この場合は固定部材の締付ける力を弾性部材を
介して上玉押しに伝達するために、自転車ヘッドセット
の微妙な調整が困難であるとの難点がある。

（問題点を解決するための手段） 以上の問題点を解決するため、この考案では上玉押しの
ホークステムの挿通穴の内周にはテーパー面とホークス
テムとの間隙にはリング状の一部に縦割りの欠切部を有
し、且つその外周にテーパー部を有するコーンワッシャ
のテーパー部を嵌入するとともに、該コーンワッシャ
と、ホークステムに螺合等の手段により止められる固定
部材との間には弾性部材を介在させた自転車用ヘッドセ
ットの上部組付け構造を提案するものである。

ここで、固定部材としては、従来の中ナットや止ナット
を用いることができ、必要に応じて、これらのナットは
ワッシャやランプ掛け、ブラケット等を併用或は代用さ
せてもよい。また、これらのナットを弾性部材の形状に
適合し易いよう変化させてもよい。

弾性部材としてはハガネ等の弾性金属材料、ゴム、ウレ
タン、ナイロン等の弾性樹脂材料で構成することができ
る。更に、その形状はホームステムに挿着できるよう、
リング状に形成されており、その断面形状は種々に変形
することができる。この弾性部材は、コーンワッシャと
固定部材との間に設けられているが、両者に弾性部材を
受入れる溝を設けてもよい。

（作用） この考案のヘッドセットの上部取付け構造においては、
ホークステムに螺着された固定部材を締付けると、弾性
部材が下方に強圧され、これによりコーンワッシャのテ
ーパー部が上玉押しのホークステムの挿通穴の内周に形
成したテーパー面とホークステムの間の間隙に食込み、
上玉押しが上わんを押圧して上わん、鋼球、上玉押しの
間に適当の圧力をもって相対せしめて後、上玉押しがホ
ークステムに固定される。

したがって、この考案によればヘッドセットの上部組付
けの調整を容易に行なうことができると同時に、上玉押
しとホークステムの固定も強固にできるのである。

また、この考案によれば弾性部材と上玉押しとの間にリ
ング状の一部に切欠部を有するコーンワッシャを設け、
且つコーンワッシャの外周に設けられたテーパー部を、
上玉押しのホークステム挿通穴内周面とホークステムと
の間隙に食込ませて上玉押しを押圧しているため、適切
な力によって上玉押しを上わんに押圧することができ
る。

更に、上述のような各種の原因で使用中にヘッドセット
の上部組付け構造に緩みが生じた場合においても、弾性
部材の反発力によりコーンワッシャのテーパー部が上玉
押しのテーパー面とホークステムとの間隙に食込み、上
玉押しを鋼球を介して上わんに押圧するため、ヘッド軸
受にがたが生ずることがない。

したがって、この考案によれば一旦ヘッドセットの上部
組付け構造を調整すれぱ、以後の調整を必要としない。

（実施例） 以下、この考案を図示の実施例に基づいて説明すると、
第１図は、この考案の一実施例を示すヘッドセットの組
立状態を示すもので、１は上端にハンドル等を設けたホ
ークステムで、ホークステム１にはヘッドパイプ２を挿
通し、ヘッドパイプ２の下端には下わん３を挿着し、下
わん３の下方には鋼球４を介して対向状に下玉押し５が
設けられている。

一方、ヘッドパイプ２上のホークステム１には順次上わ
ん６、上玉押し７、コーンワッシャ８、弾性体ワッシャ
９、止ワッシャ10、中ナット11、ブラケット12、止ナッ
ト13が挿通される。

このうち、上わん６はその下端部をヘッドパイプ２の上
端に挿着し、上わん６の上面は上玉押し７の下面と対向
させてその間隙に鋼球４を介在させ、また上玉押し７の
ホークステム１の挿通穴14の内周にテーパー面14aを形
成する。

一方、コーンワッシャ８はリング状の一部に切欠部8aを
設けるとともに、その外周には上記テーパー面14aに係
合するテーパー部8bを設け、テーパー部8bをホークステ
ム１と挿通穴のテーパー面14aとの間隙に嵌入させる。

以上のように構成される自転車ヘッドセットの上部組付
け構造において、ホークステム１に螺着された中ナット
11を締付けると、弾性体ワッシャ９が押圧され、更に弾
性体ワッシャ９の反発力でコーンワッシャ８のテーパー
部8aが上玉押し７のホークステムの挿通穴の内周に形成
したテーパー面14aとホークステム１の間の間隙に更に
食込み、これにより上玉押し７が鋼球４を介して上わん
６を押圧し、上わん６、鋼球４、上玉押し７の間に適当
の圧力をもって相対せしめて上玉押し７がホークステム
１に固定される。

（考案の効果） 以上この考案によれば、弾性部材と上玉押しとの間にリ
ング状の一部に切欠部を有するコーンワッシャを設け、
且つコーンワッシャの外周に設けられたテーパー部を、
上玉押しのホークステム挿通穴内周面とホークステムと
の間隙に食込ませて上玉押しを押圧しているため、十分
な圧力でホークステムと上玉押しを固定させると共に、
適当な力によって上玉押しを上わんに押圧することがで
きる。したがって厳密な組付け調整が不要となり、組付
け調整が容易となる。更に、鋼球等に摩耗が生じたとき
は自動的に追従して上玉押しの位置を調整し固定するこ
とができる。

しかも、この考案によれば上記構成を採用することによ
り、軸受の転動面に圧痕を残さない程度の力で上玉押し
を押圧するような微妙な調整が容易に行なうことができ
る。

また、この考案においては上記構成を採用することによ
り、各種の原因によって自転車の使用中にヘッドセット
の上部組付け構造に緩みが生じた場合においても、弾性
部材の反発力によりコーンワッシャのテーパー部が上玉
押しのテーパー面とホークステムとの間隙に食込み、上
玉押しをホークステムに固定するので、ハンドルがたつ
き等を防止できる。したがって、この考案では一旦ヘッ
ドセットの上部組付け構造を調整すれば、以後の調整を
必要としない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示すヘッドセットの一
部縦断組立状態図、第２図は同上のヘッドセットに使用
された弾性体ワッシャ、コーンワッシャ、上玉押しの斜
視図である。 図中、１はホークステム、２はヘッドパイプ、４は鋼
球、６は上わん、７は上玉押し、８はコーンワッシャ、
９は弾性体ワッシャ、11は中ナット。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上玉押しのホークステムの挿通穴の内周に
   テーパー面を形成し、一方コーンワッシャはリング状の
   一部に縦割りの欠切部を有し、且つその外周には上記テ
   ーパー面に接合するテーパー部を設け、該テーパー部を
   ホークステムと上記テーパー面との間隙に嵌入するとと
   もに、該コーンワッシャと、ホークステムに螺合等の手
   段により止められる固定部材との間には弾性部材を介在
   させたことを特徴とする自転車用ヘッドセットの上部組
   付け構造。