JP4053648B2 - 緩み止めナット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、緩み止め効果の高いナットの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、ナットの緩み止めを図る手段としては、ナットの座面側にばね座金を使用したり、ナットに割りピン嵌入用の孔を開けて割りピンを嵌め入れたり、あるいは偏心させた二つのナットを使用したりするものがある。
【0003】
しかしながら、従来のナットの緩み止め手段は、ナットをねじ軸に螺合させて所定の締め付け力を作用させた後に、さらにナットとねじ軸との間にそれ以上の押し付け力を増大させる機能はなく、十分な緩み止め効果を発揮するものではない。
【0004】
そこで、この発明は、ナットをねじ軸に螺合させて所定のトルクで締め付けた後に、さらにナットのねじ孔をねじ軸に対し強い押し付け力を作用させることが可能な緩み止め効果の高いナットを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、緩み止めナットを、次のような構成のナット本体と、ロックリングとの組み合わせによって構成したのである。
【0006】
即ち、ねじ軸に対して螺合するねじ孔を有するナット本体の外周面を、軸方向に、締付け工具が係合する係合部と、円形のロック部とに区分し、上記ロック部に内周面が円形のロックリングを被せ、上記ロック部に、ねじ孔の軸心に沿う方向でねじ孔に達する縦切目と、ねじ孔の軸心を横切る方向でねじ孔に達し、先端が縦切目に連続する横切目とによって画されたロック片を形成し、上記ロックリングの内面に、ナット本体を締め付ける前の状態においてロック片の先端側に位置し、ナット本体を締め付けた後の状態においてロックリングを回転させることによりロック片の外周面に噛み込みロック片をねじ軸に対して押し付ける突部を設けた構成としたものである。
【0007】
上記構成の緩み止めナットでは、ナット本体を所定のトルクでねじ軸に対して螺合させた後、ロックリングを締め付け方向に回転させて、ロックリングの内面の突部を、ナット本体に一体に形成されたロック片の外周面に噛み込ませれば、ロック片がねじ軸に対して強く押し付けられるので、ナット本体の緩み止め効果が増大する。
【0008】
そして、ロックリングをロック片の噛み込み位置から元の状態に戻せば、ナット本体とねじ軸との間には規定のトルクの締め付け力が作用しているだけであるから、ナット本体を緩め方向に回転させることができる。
【0009】
したがって、ロックリングの回転により、ナット本体がねじ軸に対して緩まないロック位置と、ナット本体をねじ軸に対して緩めることができる非ロック位置とを選択することが可能となる。
【0010】
【実施の形態】
この発明に係る緩み止めナットを、六角ナットに用いた例を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0011】
六角ナットのナット本体1は、ねじ軸Aに対して螺合するねじ孔2を有し、外周面が、軸方向に、レンチ等の締付け工具に対して係合する六角形の係合部3と、円形の薄肉に削られたロック部4とに区分されている。
【0012】
ロックリング5は、上記外周面が上記ナット本体1の係合部3と同形状の六角形に形成され、内周面が、円形のロック部4の外面にぴったりと被せられるように円形に形成されている。
【0013】
上記ナット本体1のロック部4には、ねじ孔2の軸心に沿う方向でねじ孔2に達する縦切目6と、ねじ孔2の軸心を横切る方向でねじ孔2に達し、先端が上記縦切目6に連続する横切目7とによって画されたロック片8が形成されている。
【0014】
上記横切目7は、ロック部4の係合部3側の付け根部分に、円形のロック部4の約半周に亘って形成されている。
【0015】
上記ロックリング5の内面には、ナット本体1を締め付ける前の状態においてロック片8の先端側に位置し、ナット本体1を締め付けた後の状態においてロックリング5を回転させることにより、ロック片8の外周面に噛み込み、ロック片8をねじ軸Aに対して押し付ける突部9が形成されている。
【0016】
この突部9は、ロック部4の縦切目6に嵌まる幅に形成され、この突部9の付け根部分には、ロック部4の縦切目6に上記突部9を嵌め入れて、ロックリング5を少し回転させた位置で、横切目7に嵌まる係合爪10が形成されており、この係合爪10をロック部4の横切目7に嵌め入れておくことにより、ナット本体1に対するロックリング5の脱落を防止することができる。
【0017】
上記ロック片8の先端外面部分には、上記ロックリング5を回転させた場合に、ロックリング5の突部9をロック片8の外周面へと導く、ねじ孔2の軸心方向に逃げる逃げ面11が形成されている。
【0018】
上記のように構成された緩み止めナットを使用する場合、まず、ロックリング5の突部9と、ナット本体1のロック部4の縦切目6の位置を合わせて、ロックリング5をナット本体1のロック部4に被せ、この状態でねじ軸Aにナット本体1を螺合させ、ナット本体1の座面に所定の締め付けトルクがかかるまでナット本体1を締め付けるようにする。
【0019】
この後、ロックリング5だけを締め付け工具によって回転させ、ロックリング5の突部9をナット本体1のロック片8の外周面に噛み込ませると、ロック片8がねじ軸Aに対して強く押圧されるため、ナット本体1のねじ軸Aに対する緩みが防止される。
【0020】
そして、ロックリング5の突部9をロック片8の噛み込み位置からロック片8の先端の逃げ面11の位置までロックリング5を戻すと、ロック片8とねじ軸Aとの押圧が解除されるので、この状態でナット本体1を緩めることができる。
【0021】
図5及び図6は、この発明に係る緩み止めナットの他の例であり、上記第1の例のナットにおけるロック片8の外面の中途部分に、軸方向に縦溝12を追加し、ロックリング5の内面に、締め付け前の状態で縦溝12に嵌まる突部13を追加したものである。このように、縦溝12と突部13を追加すると、ロックが二重に行われるので、緩み止め効果がさらに向上する。この第二の例において、第一の例と共通する部分には、同一の符号を付している。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る緩み止めナットは、ロックリングの回転により、ナット本体がねじ軸に対して緩まないロック位置と、ナット本体をねじ軸に対して緩めることができる非ロック位置とに選択して使用することができる。
【0023】
また、ナット本体の外周面に一体に形成したロック部に、ロックリングを被せた構成であるため、ナット自体の高さも最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はナット本体とロックリングとを分離してナット本体の方から見た斜視図、(b)はロックリングの方から見た斜視図
【図2】(a)はナット本体の正面図、(b)は(a)のI−I線の断面図、(c)は(a)のII−II線の断面図、(d)はロックリングの一部を切欠いた正面図、(e)はロックリングの平面図、(f)はロックリングの縦断面図
【図3】(a)はナット本体にロックリングを被せた状態を示す一部切欠き正面図、(b)は(a)のIII −III 線の断面図、(c)は(b)の状態からロックリングを回転させてロックした状態を示す断面図
【図4】使用状態の断面図
【図5】この発明に係るナットの他の実施例を示し、(a)はナット本体とロックリングとを分離してナット本体の方から見た斜視図、(b)はロックリングの方から見た斜視図
【図6】(a)は横切目部分で切断した状態を示す図5の実施例の断面図、(b)は(a)の状態からロックリングを回転させてロックした状態の断面図
【符号の説明】
A ねじ軸
1 ナット本体
2 ねじ孔
3 係合部
4 ロック部
5 ロックリング
6 縦切目
7 横切目
8 ロック片
9 突部
10 係合爪
11 逃げ面
12 縦溝
13 突部
Claims (3)
- ねじ軸に対して螺合するねじ孔を有するナット本体の外周面を、軸方向に、締付け工具が係合する係合部と、円形のロック部とに区分し、上記ロック部に内周面が円形のロックリングを被せ、上記ロック部に、ねじ孔の軸心に沿う方向でねじ孔に達する縦切目と、ねじ孔の軸心を横切る方向でねじ孔に達し、先端が縦切目に連続する横切目とによって画されたロック片を形成し、上記ロックリングの内面に、ナット本体を締め付ける前の状態においてロック片の先端側に位置し、ナット本体を締め付けた後の状態においてロックリングを回転させることによりロック片の外周面に噛み込みロック片をねじ軸に対して押し付ける突部を設け、上記ロックリングの内面の突部に、上記ロック片の横切目に嵌まる係合爪を形成したことを特徴とする緩み止めナット。
- 上記ナット本体とロックリングの外周面の形状が、同形状の六角形をしている請求項1記載の緩み止めナット。
- 上記ロック片の先端外面部分に、ねじ孔の軸心方向に逃げる逃げ面を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の緩み止めナット。
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JPH11247824A JPH11247824A (ja) | 1999-09-14 |
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1998
- 1998-03-05 JP JP05380398A patent/JP4053648B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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