JPH07121508B2 - 研削砥石の整形方法 - Google Patents

研削砥石の整形方法

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JPH07121508B2 JP2707587A JP2707587A JPH07121508B2 JP H07121508 B2 JPH07121508 B2 JP H07121508B2 JP 2707587 A JP2707587 A JP 2707587A JP 2707587 A JP2707587 A JP 2707587A JP H07121508 B2 JPH07121508 B2 JP H07121508B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は等速継手におけるアウターレースのボールトラ
ック溝等のように、円弧形状の溝を研削するために用い
る研削砥石を整形する研削砥石の整形方法に関する。
(産業上の利用分野) 第2図は等速継手に用いられるアウターレース1のボー
ルトラック溝2を、スピンドル3の先端に取付けられた
円筒形の砥石4により研削している状態を示している。
図示するアウターレース1は、バーフィールド型の等速
継手であり、ボールトラック溝2は6つ設けられてい
る。これらのボールトラック溝2をそれぞれ研削する円
筒形の砥石4の先端部5は半球形状となっており、この
半球形状の部分5でボールトラック溝2の内面が研削さ
れる。この砥石4を用いた研削方法は、砥石4をワーク
であるアウターレース1に押し付けて研削を行ない、プ
ランジ研削ないしプランジカットとも言われるクリープ
研削によってなされている。この研削過程にあっては、
砥石4はスピンドル3によって回転中心Ogを中心に回転
する一方、ワークであるアウターレース1は、第2図に
おいてθ1で示す位置から、θ2で示す位置まで、ボー
ルトラック溝12の中心Oaを中心としてアウターレース1
の中心軸Owが揺動する。尚、第2図において符号6は研
削代つまり取代を示す。
このようにして所定の研削量だけ研削を行なった後に、
通常砥石4はドレッサを用いて整形されている。この整
形には、目直し、目立て、或いはドレッシングと言われ
るように、適当な工具によって砥石表面に鋭利な切り刃
を出して気孔内にある切りくずを除去して研削能率を向
上させることと、形直し、砥石修正、或いはツルーイン
グと言われるように、適当な工具で砥石外周を回転中心
軸の中心線に対して正しい幾何学的形状に仕上げること
とがある。一般には、上記ドレッシングとツルーイング
とが同時に行なわれている。
通常の整形作業では、単石のドレッサーを用いることに
よって行なわれており、第2図に示す砥石4の先端部5
も、ボールトラック溝2の断面形状として真円であるサ
ーキュラアーク、ボールとボールトラック溝が積極的に
点接触するように設計されるゴシックアーク等になるよ
うに砥石形状が球形に単石のドレッサによって整形され
ている。また、砥石4の振れが最小になるように、外周
全長にわたって、円筒ドレスを用いてツルーイングが行
なわれている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上述したような従来の整形方法にあって
は、WA砥粒系(白色アルミナ質砥粒)の柔かい砥石4を
使用しているために、研削加工中の砥粒の脱落や自生作
用の結果、砥石形状が全周均一に変化しないため、平面
研削におけるトラバース研削に相当するオシレーション
加工を行なって、粗研毎及び精研毎に整形を行なう必要
があった。例えば、アウターレース1のボールトラック
溝2の場合には、1つの溝2を粗研した毎に1回の整形
を行なうと共に、精研を3回行なった毎に1回の整形を
行なう必要があった。
このため、従来では整形の回数が多く、アウターレース
の生産性が低いという問題点があった。この結果、砥石
4の1個当りのワークの加工数も少なかった。例えば、
砥石4の使用可能長さ10mm、ドレッサの切込み量を0.05
mm/回、ワーク1個当りのドレス回数を8回とすると、
砥石4の寿命は10mm/(0.05mm×8回)で示され、砥石
4の1個当りのワークの加工数は、たかだか25個程度で
あった。
しかして、一般に研削作用とは砥石表面の切り刃が研削
によって鈍化し、切刃にかかる力が増大し、砥粒が粉砕
或いは脱落することによって、再び鋭刃が現出する。こ
れにより、砥石の切り刃が自動的に更新されることとな
るが、これはいわゆる砥石の自生作用と考えられてい
る。更に、砥石が目こぼれや、目つぶれ或いは目詰まり
を起して、切味が不良となった場合、その切味を更新回
復させるために整形を行なう。
通常の砥石に比べて硬度、結合度等で優れているCBN
(ボラゾン)砥石を用いることにより、研削中の自生作
用を極度に減少させ、砥石の寿命を極めて長く維持する
ことが可能となってきている。しかしながら、ボールト
ラック溝2の研削にあっては、第2、3図に示す如く砥
粒がワークを研削する時の切削長さは、ほぼワークのボ
ールトラック溝2の断面円弧の周の長さと等しい程の長
さとなるために、切屑による目詰りが生じ易くなってい
る。
そこで、この目詰り回復と目立てとを目的として整形、
つまりドレッシングを行なう必要がある。WA系などの通
常の砥石を整形する場合の多くは、単石のドレッサを使
用するが、CBN砥石のドレッシングは単石ではダイヤモ
ンドの切刃摩耗が著しく進行するため、ロータリドレッ
サを用いることになる。
ロータリドレスを用いて第2図に示す砥石4の半球形状
の先端部5を整形するためには、従来第4図(A)
(B)に示す整形方法がある。図示するように、ロータ
リドレッサ10を用いて行なわれている。このロータリド
レッサ10は回転体となっており、先端に平坦な整形部11
を有している。このようなロータリドレッサ10を用いて
砥石4の整形を行なうには、第4図に示すように砥石4
を矢印で示す方向に砥石4の回転中心軸Ogを中心として
回転させると共に、ロータリドレッサ10の回転中心軸Od
の延長線上が前記砥石4の回転中心軸Ogに交差するよう
にロータリドレッサ10を配置した状態でロータリドレッ
サ10を矢印で示す方向に回転させながら、このロータリ
ドレッサ10を角度αで示す範囲に砥石4に対して揺動さ
せている。
また、第4図(A)に示したように、ロータリドレッサ
10は、ロータリドレッサ10の整形部11の最外周かつ最上
位点を通る回転中心Odに平行な直線が、砥石4の半球形
状の先端部5の中心を通過するように、配置されてい
る。即ち、一般的には、ロータリドレッサ10の整形部11
のシャープな外周エッジを利用して砥石4の整形が行わ
れる。
ところが、砥石4の整形が進むにつれて、上記のように
外周エッジを利用して整形する場合には、ロータリドレ
ッサ10の平坦な整形部11も外周ほど大きく磨耗するよう
にしてこの磨耗が進行し、ロータリドレッサ10の整形部
11と砥石4との接触部がベタ当りに近い状態となってし
まう。このため、特に半球形状の先端部5を有する円筒
形の砥石4を整形するような場合にあっては、双方の回
転動作による連続的な接触により接触部で高熱が発生
し、その結果、砥石4およびロータリドレッサ10のそれ
ぞれの切れ刃が焼付き等を起こして、切れ味が著しく低
下するという問題がある。
また、このように、ロータリドレッサ10の切れ味が低下
するため、ワークのボールトラック溝2の精度の1つで
ある真円度が良好に得られないばかりか、切れ味の低下
はロータリドレッサ10の磨耗によるものと作業者が判断
してロータリドレッサ10を砥石4の半球形状の先端部5
の中心に向けてさらに接近させて整形を行い、結果的
に、砥石4の形状は、第5図に示すように、ロータリド
レッサ10の揺動範囲αの上方位置におけるB部におい
て、外周ほど大きく磨耗したロータリドレッサ10の整形
部11の形状がそのまま転写されたように整形されてしま
うという問題が生じた。このような整形が行われた砥石
4によって研削されたワークのボールトラック溝2の真
円度を示したグラフが第6図である。しかも前記B部は
ワークのボールトラック溝2の第3図においてA、Aa部
を加工する部分に相当する。
さらに、砥石4およびロータリドレッサ10の相互回転に
伴う接触部での回転方向の接線ベクトルが平行となって
いるので、ロータリドレッサ10で砥石4の鋭利な砥粒の
面より低いところにある切り屑を除去するためには、砥
石の鋭利な切れ刃をも余分に除去しなければならないと
いう問題がある。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので
あり、ロータリドレッサにより砥石の半球形状部を整形
する場合に、接触部における発熱を抑制しつつ、半球形
状部の寸法変化を少なくかつ切り屑の除去が容易なロー
タリドレッサによる砥石の半球形状部の整形を可能と
し、砥石を用いたワークの研削精度を向上させることを
目的とする。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するための本発明は、ほぼ半球形状の先
端部を有する円筒形の砥石を当該砥石の回転中心軸を中
心として回転すると共に、回転体の先端に形成され前記
砥石と接触する平坦な整形部を有するロータリドレッサ
を、前記砥石の回転中心軸に対して平行をなす偏心基準
線に前記ロータリドレッサの回転中心軸の延長線上を位
置させて回転し、前記砥石と前記ロータリドレッサとの
接触部における前記砥石の回転方向と前記ロータリドレ
ッサの回転方向とを相互に直交させつつ、前記接触部を
前記砥石の回転中心軸を含む平面内で当該砥石の外周面
に沿って移動してなる研削砥石の整形方法である。
(作用) 本発明のロータリドレッサは砥石に対してオフセットし
た状態で砥石を研削することとなる。これにより、砥石
とロータリドレッサとの接触部における砥石の回転方向
とロータリドレッサの回転方向とは相互に直交関係とな
るため、整形時に接触部において高熱が発生して切れ味
が低下するのを回避しつつ、ロータリドレッサの整形部
を半球形状部の比較的広い範囲にわたって整形当初から
ベタ当りに近い状態で接触させることができる。したが
って、整形を行なっても砥石の半球形状部の寸法変化が
少なく整形精度が高まると共に、ロータリドレッサの磨
耗した整形部が砥石の整形に悪影響を及ぼすこともなく
なる。これに伴い、ワークの加工精度、特に真円度が向
上とすると共に、ロータリドレッサの寿命が向上するこ
ととなる。更に、砥石としては、従来CBNを用いること
ができる。
一方、砥石とロータリドレッサとの接触部でのそれぞれ
の回転方向の接線ベクトルを直交させたので、ロータリ
ドレッサの切れ刃は切り屑に接触する機会が多くなり、
その結果、砥石の表面に固着した切り屑は容易に除去さ
れる。したがって、ロータリドレッサで砥石の鋭利な切
れ刃を不必要に除去することもなく、砥石の整形は目立
てを行う程度で十分となり、ドレス切り込み量は僅かで
良く、ロータリドレッサの磨耗が極めて少なくなるた
め、一層砥石の整形寸法が安定することとなる。また、
これに伴い、砥石寿命も長くなる。
(実施例) 以下、図面に基いて本発明を説明する。第1図(A)〜
(C)は本発明の研削砥石の整形方法を具体化した整形
装置を示す図であり、ほぼ半球形状の先端部5を有する
円筒形の砥石4を、ロータリドレッサ10を用いて整形
(ドレッシング)している状態を示す。
砥石4は第2図に示すように研削を行なう場合と同様
に、スピンドル3に装着されて回転中心軸Ogを中心とし
て矢印で示す方向に回転している。ロータリドレッサ10
は回転体をなし、その先端に砥石4と接触する平坦な整
形部11が形成されている。この整形部11は環状に形成さ
れており、この部分にはダイヤモンド12が図示しない結
合剤によって結合されている。そして、このロータリド
レッサ10は図示しないスピンドルによって矢印で示す方
向に回転中心軸Odを中心として回転している。
前記砥石4と前記ロータリドレッサ10との位置関係は、
図示するように、ロータリドレッサ10の回転中心軸Odが
砥石4の回転中心軸Ogに対して偏心量εだけオフセット
されるようになっている。すなわち、第1図(A)
(C)に示されるように、砥石4の回転中心軸Ogに対し
て平行となり、かつこの回転中心軸Ogに前記偏心量εだ
け離れた偏心基準線Oeに、ロータリドレッサ10の回転中
心軸Odの延長線上を位置させて、ロータリドレッサ10が
設置されている。前記偏心量つまりオフセット量εは、
環状となった成形部11の径方向の中心部から、回転中心
軸Odまでの距離に相当する寸法となっている。これによ
り、第1図(C)に示すように、砥石4とロータリドレ
ッサ10との接触部における砥石4の回転方向(矢印aの
方向)と、ロータリドレッサ10の回転方向(矢印bの方
向)とが相互に直交する関係となる。
更に、ロータリドレッサ10は第1図(B)において矢印
Dで示すように、回転中心軸Ogを含む平面内で当該砥石
の外周面に沿う方向に揺動するようになっている。この
揺動によって前記接触部は回転中心軸Ogを含む平面内で
当該砥石の外周面に沿う方向に移動することになる。
次に、第1図(A)〜(C)に示す本発明を具体化した
整形装置によって、砥石4を整形(ドレッシング)する
手順について説明する。
ロータリドレッサ10が第1図(B)において仮想線で示
す位置で待機している状態の下で、砥石4をその回転中
心軸Ogの方向に前進させる。このときには、砥石4とロ
ータリドレッサ10はそれぞれ矢印で示す方向に回転して
いる。次に、砥石4を設定されたドレス切込み量δだけ
前進させる。この状態の下で、第1図(B)において仮
想線で示す位置から実線で示す位置までロータリドレッ
サ10を揺動させる。この揺動によって、砥石4とロータ
リドレッサ10との接触部が移動することになるが、この
接触部の移動は相対的であれば良く、ロータリドレッサ
10を揺動させることなく、砥石4を揺動させるようにし
ても良い。尚、ドレス切込み量はロータリドレッサ10が
第1図(B)で仮想線で示す位置においてδ/2の切込み
をかけ、実線で示す位置で更にδ/2の切込みをかけるよ
うにしても良い。
上述のようにしてドレッシングが完了すると、第2図に
示すように、回転中心軸Owがθ1の位置となって待機し
ているワーク1に対して、整形完了後の砥石4が接近す
る。次に、ワーク1は第2図においてθ1の位置からθ
2の位置まで揺動し、ワーク1にはクリープ研削がなさ
れる。ワーク1がθ2の位置まで到達すると、スパーク
アウトの速度でθ1の位置まで戻る。これにより、1つ
のボールトラック溝2の研削が完了し、ワーク1は図外
の割出し装置によって60゜旋回し、次に研削すべきボー
ルトラック溝2に割出し回転される。この溝2に対して
上述と同様に研削加工を行ない、6つの溝の研削を繰り
返す。
砥石4として目こぼれの少ないCBN砥石を使用するとに
よって、切屑の目詰りが発生して切味が低下するまでに
30箇所のボールトラック溝2を連続して研削加工するこ
とができる。砥石4をドレッシングすべきか否かは、砥
石4の切味が低下すると砥石4を回転するためのスピン
ドル3の図示しないモータの電流が15〜25%程度増大す
るので、その電流をモニターすることによって検知する
ことができる。
この場合の整形(ドレッシング)にあっては、砥石4と
ロータリドレッサ10との接触部における砥石4の回転方
向とロータリドレッサ10の回転方向とが相互に直交関係
となるようにしたことから、整形時に接触部において保
熱されることがきわめて少なくなり、高熱が発生して切
れ味が低下するのを回避することができる。このよう
に、接触部における発熱を抑制しつつ、ロータリドレッ
サ10の整形部11を砥石4の半球形状部5の比較的広い範
囲にわたって整形当初からベタ当りに近い状態で接触さ
せることができる。したがって、砥石4の整形を行って
も砥石4の寸法変化が少なく整形精度が高まると共に、
ロータリドレッサ10の磨耗した整形部11が砥石4の整形
に悪影響を及ぼすこともなくなり、ワークの加工精度、
特に真円度が向上することとなる。
一方、従来のように砥石およびロータリドレッサの相互
回転に伴う接触部での回転方向の接線ベクトルが平行と
なる場合には、ロータリドレッサで砥石の鋭利な砥粒の
面より低いところにある切り屑を除去するためには、砥
石の鋭利な切れ刃をも余分に除去しなければならないの
に対し、本実施例によれば、砥石4とロータリドレッサ
10との接触部でのそれぞれの回転方向の接線ベクトルを
直交させたので、ロータリドレッサ10の切れ刃は切り屑
に接触する機会が多くなり、その結果、砥石4の表面に
固着した切り屑を容易に除去することができる。したが
って、ロータリドレッサで砥石の鋭利な切れ刃を不必要
に除去することもなく、砥石の整形は目詰まりに対して
目立てを行う程度で十分であるから、ドレス切り込み量
δは数μ程度で良く、ロータリドレッサ10の磨耗が極め
て少なくなるため、一層砥石4の整形寸法が安定するこ
ととなる。
また、砥石4を整形するためにロータリドレッサ10によ
ってオシレーション加工を行なった場合の砥石寿命は、
ドレス切込み量を0.01mm/回とし、ワーク1を5個整形
した後に1回整形するとして、1つの砥石の使用可能長
さを5mmとしても、{5mm/(0.01mm/回)}×5個/回で
砥石寿命が求められ、合計2500個のワーク加工数が1つ
の砥石で得られた。
このように砥石寿命が向上するのは、砥石4としてCBN
を使用することが可能となり、しかもロータリドレッサ
10を砥石4に対して距離εだけオフセットした状態で整
形を行うようにし、砥石とロータリドレッサとの接触部
における砥石の回転方向とロータリドレッサの回転方向
とが相互に直交関係となるようにしたことから、整形時
に接触部において高熱が発生して切れ味が低下するのを
回避しつつ、ロータリドレッサ10の整形部11を砥石4の
半球形状部5の比較的広い範囲にわたって整形当初から
ベタ当りに近い状態で接触させることができ、これによ
り、1度の整形によって整形される量が少なく、半球形
状部の寸法変化が少なくなるためである。換言すれば、
ロータリドレッサ10による砥石4の整形では、砥石4の
目立てのためにのみ行なえば良く、この整形作業により
砥石4の先端部5を正しい幾何学的形状に仕上げるま
で、つまりツルーイングとみなされる程度にまで整形す
る必要がなくなるからである。また、ロータリドレッサ
10の摩耗も同時に減少することから、ロータリドレッサ
10を交換するときに発生するドレッサ位置出しのための
ドレッシングやワークの試加工の機会を極めて少なくす
ることができる。
(発明の効果) 以上のように本発明によれば、ロータリドレッサを砥石
に対してオフセットした状態で砥石を研削するように
し、砥石とロータリドレッサとの接触部における砥石の
回転方向とロータリドレッサの回転方向とが相互に直交
関係となるようにしたことから、整形時に接触部におい
て高熱が発生して切れ味が低下するのを回避しつつ、ロ
ータリドレッサの整形部を半球形状部の比較的広い範囲
にわたって整形当初からベタ当りに近い状態で接触させ
ることができる。したがって、砥石の整形を行なっても
砥石の半球形状部の寸法変化が少なく整形精度が高まる
と共に、ロータリドレッサの磨耗した整形部が砥石の整
形に悪影響を及ぼすこともなくなり、ワークの加工精
度、特に真円度が向上することとなる。しかも、このよ
うな整形方法によれば、砥石としてCBN等を用いること
が可能となり、砥石の寿命自体をも向上させることがで
きるのみならず、ロータリドレッサの摩耗も減少してロ
ータリドレッサの寿命をも向上させることができる。
一方、従来のように砥石およびロータリドレッサの相互
回転に伴う接触部での回転方向の接線ベクトルが平行と
なる場合には、ロータリドレッサで砥石の鋭利な砥粒の
面より低いところにある切り屑を除去するためには、砥
石の鋭利な切れ刃をも余分に除去しなければならないの
に対し、本発明によれば、砥石とロータリドレッサとの
接触部でのそれぞれの回転方向の接線ベクトルを直交さ
せたので、ロータリドレッサの切れ刃は切り屑に接触す
る機会が多くなり、その結果、砥石の表面に固着した切
り屑を容易に除去することができる。したがって、ロー
タリドレッサで砥石の鋭利な切れ刃を不必要に除去する
こともなく、砥石の整形は目立てを行う程度で十分とな
り、ドレス切り込み量は僅かで良く、ロータリドレッサ
の磨耗が極めて少なくなるため、一層砥石の整形寸法が
安定することとなる。また、これに伴い、砥石寿命も長
く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明の研削砥石の整形方法を具体化し
た研削砥石の整形装置を示す斜視図、第1図(B)
(C)はそれぞれ第1図(A)の正面図と側面図、第2
図は砥石によってワークに研削作業を行なっている状態
を示す断面図、第3図は第2図の要部拡大断面図、第4
図は従来の研削砥石の整形方法を示す正面図と側面図、
第5図は従来の整形方法により砥石を研削した場合の食
い込み現象を示す砥石の正面図、第6図は従来の整形方
法で砥石を整形した場合における砥石の真円度を示すグ
ラフである。 1……ワーク(アウターレース)、2……ボールトラッ
ク溝、4……砥石、5……半球形状部(先端部)、10…
…ロータリドレッサ、11……整形部、12……ダイヤモン
ド、Og……砥石の回転中心軸、Od……ロータリドレッサ
の回転中心軸。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ほぼ半球形状の先端部を有する円筒形の砥
    石を当該砥石の回転中心軸を中心として回転すると共
    に、回転体の先端に形成され前記砥石と接触する平坦な
    整形部を有するロータリドレッサを、前記砥石の回転中
    心軸に対して平行をなす偏心基準線に前記ロータリドレ
    ッサの回転中心軸の延長線上を位置させて回転し、前記
    砥石と前記ロータリドレッサとの接触部における前記砥
    石の回転方向と前記ロータリドレッサの回転方向とを相
    互に直交させつつ、前記接触部を前記砥石の回転中心軸
    を含む平面内で当該砥石の外周面に沿って移動してなる
    研削砥石の整形方法。
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