JPH07119728B2 - 溶融金属中の水素溶解量測定用センサプローブ - Google Patents
溶融金属中の水素溶解量測定用センサプローブInfo
- Publication number
- JPH07119728B2 JPH07119728B2 JP3347384A JP34738491A JPH07119728B2 JP H07119728 B2 JPH07119728 B2 JP H07119728B2 JP 3347384 A JP3347384 A JP 3347384A JP 34738491 A JP34738491 A JP 34738491A JP H07119728 B2 JPH07119728 B2 JP H07119728B2
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- Japan
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- hydrogen
- sensor element
- measuring
- sensor
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- Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属中の水素濃度
を測定するための水素溶解量測定用センサプローブとそ
のセンサプローブを用いた溶融金属中の水素濃度測定方
法に関する。
を測定するための水素溶解量測定用センサプローブとそ
のセンサプローブを用いた溶融金属中の水素濃度測定方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属中の水素濃度を測定する方法と
しては、減圧下のサンプルの表面に最初に気泡が発生
したときの圧力とサンプルの温度とから水素ガス量を算
出するイニシャルバブル法、減圧下で凝固させたサン
プル中の気泡の状態観察、標準試料の比重との比較及び
試料断面の気泡の状態から水素ガス量を測定する減圧凝
固法、並びに少量のガスを溶湯に注入し、これを溶湯
中で循環させた後、回収し、このガス中に水素ガスが拡
散し、平衡状態になったところで、ガスクロマトグラフ
ィ法により前記排出ガス中の水素ガスを分析するテレガ
ス法等がある。
しては、減圧下のサンプルの表面に最初に気泡が発生
したときの圧力とサンプルの温度とから水素ガス量を算
出するイニシャルバブル法、減圧下で凝固させたサン
プル中の気泡の状態観察、標準試料の比重との比較及び
試料断面の気泡の状態から水素ガス量を測定する減圧凝
固法、並びに少量のガスを溶湯に注入し、これを溶湯
中で循環させた後、回収し、このガス中に水素ガスが拡
散し、平衡状態になったところで、ガスクロマトグラフ
ィ法により前記排出ガス中の水素ガスを分析するテレガ
ス法等がある。
【0003】しかし、これらの方法では、実際の鋳造現
場で使用するには測定時間がかかりすぎたり、精度が悪
かったり、装置が大がかりになったり、測定に多大のコ
ストがかかるという問題点がある。
場で使用するには測定時間がかかりすぎたり、精度が悪
かったり、装置が大がかりになったり、測定に多大のコ
ストがかかるという問題点がある。
【0004】本願発明者等は、これまでに高温でプロト
ン導電性を示す固体電解質SrCe0.95Yb0.05O3-x
を用いてガルバニ電池式の水素センサを構成し、センサ
の基準極側の水素分圧と溶融金属中の水素濃度との間の
水素活量差によって生じる起電力から溶融金属中の水素
濃度を測定する方法を提案している。この方法は、測定
にかかる費用も少なく、短時間に測定ができ、溶融金属
内の水素濃度の変化を連続的に起電力として測定するこ
とができる等の利点がある。
ン導電性を示す固体電解質SrCe0.95Yb0.05O3-x
を用いてガルバニ電池式の水素センサを構成し、センサ
の基準極側の水素分圧と溶融金属中の水素濃度との間の
水素活量差によって生じる起電力から溶融金属中の水素
濃度を測定する方法を提案している。この方法は、測定
にかかる費用も少なく、短時間に測定ができ、溶融金属
内の水素濃度の変化を連続的に起電力として測定するこ
とができる等の利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶融金
属、特にアルミニウムのように平衡酸素分圧が極めて低
い金属中では、固体電解質が還元されて、固体電解質と
溶融金属との界面に絶縁性の酸化物膜ができてしまい、
長時間の測定が困難であるという難点がある。即ち、プ
ロトン導電性固体電解質を用いた溶融金属中の水素濃度
を測定する際に、直接センサプローブを溶融金属中に浸
漬すると、センサの使用温度400〜1100℃で溶融
金属と固体電解質との界面に絶縁性の酸化物膜が生じ、
これにより水素濃度の測定が不能になってしまう。
属、特にアルミニウムのように平衡酸素分圧が極めて低
い金属中では、固体電解質が還元されて、固体電解質と
溶融金属との界面に絶縁性の酸化物膜ができてしまい、
長時間の測定が困難であるという難点がある。即ち、プ
ロトン導電性固体電解質を用いた溶融金属中の水素濃度
を測定する際に、直接センサプローブを溶融金属中に浸
漬すると、センサの使用温度400〜1100℃で溶融
金属と固体電解質との界面に絶縁性の酸化物膜が生じ、
これにより水素濃度の測定が不能になってしまう。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、センサ素子を構成する固体電解質の還元を
防止するために、センサ素子を直接溶湯中に浸漬するこ
となく溶融金属中の水素濃度を測定することができる溶
融金属中の水素溶解量測定用センサプローブを提供する
ことを目的とする。
のであって、センサ素子を構成する固体電解質の還元を
防止するために、センサ素子を直接溶湯中に浸漬するこ
となく溶融金属中の水素濃度を測定することができる溶
融金属中の水素溶解量測定用センサプローブを提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶融金属中
の水素溶解量測定用センサプローブは、ペロブスカイト
型プロトン導電性固体電解質からなる一端閉塞形の素子
と、この素子の内面に形成された多孔質電極からなる基
準極と、前記素子内に前記基準極と接触して充填された
固体基準物質と、前記素子の外面に形成された多孔質電
極からなる測定極と、前記基準極と測定極とを隔離する
シール材と、円筒状をなしその内周面が前記素子の外周
面の全域に接触するように前記素子よりも突出して外嵌
されたセラミックス製スリーブとを有することを特徴と
する。
の水素溶解量測定用センサプローブは、ペロブスカイト
型プロトン導電性固体電解質からなる一端閉塞形の素子
と、この素子の内面に形成された多孔質電極からなる基
準極と、前記素子内に前記基準極と接触して充填された
固体基準物質と、前記素子の外面に形成された多孔質電
極からなる測定極と、前記基準極と測定極とを隔離する
シール材と、円筒状をなしその内周面が前記素子の外周
面の全域に接触するように前記素子よりも突出して外嵌
されたセラミックス製スリーブとを有することを特徴と
する。
【0008】前記ペロブスカイト型プロトン導電性固体
電解質は、SrCe0.95Yb0.05O3-x、BaCe0.9
Nb0.1O3-x、CaZr0.9In0.1O3-x等の組成を有
する。また、前記カップ状のセンサホルダはガス非透過
性の緻密なセラミックス製の材料で形成されている。ま
た、前記シール材は、センサ使用前にシール処理をする
場合は、前記固体電解質、例えばSrCe0.95Yb0.05
O3-x,CaZr0.9,In0.1 O3-x及びBaCe0.95
Y0.05O3-x等のセンサ使用温度域300〜1100℃
間における熱膨張係数8.5×10−6〜9.8×10
-6(/℃)に近い熱膨張係数8.0×10−6〜10.
0×10-6(/℃)をもち、流動点がセンサ使用温度以
上である緻密質ガラスシール材を使用するか、又はセン
サ使用時にシールする場合は、使用温度以下の軟化温度
を持ち、且つ、使用温度以上の流動点を持つ緻密質ガラ
スシール材を使用することが好ましい。更に、固体基準
物質としては、特開昭63-269053号公報に開示されたハ
イドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2及び
リン酸アルミニウム(AlPO4)等がある。
電解質は、SrCe0.95Yb0.05O3-x、BaCe0.9
Nb0.1O3-x、CaZr0.9In0.1O3-x等の組成を有
する。また、前記カップ状のセンサホルダはガス非透過
性の緻密なセラミックス製の材料で形成されている。ま
た、前記シール材は、センサ使用前にシール処理をする
場合は、前記固体電解質、例えばSrCe0.95Yb0.05
O3-x,CaZr0.9,In0.1 O3-x及びBaCe0.95
Y0.05O3-x等のセンサ使用温度域300〜1100℃
間における熱膨張係数8.5×10−6〜9.8×10
-6(/℃)に近い熱膨張係数8.0×10−6〜10.
0×10-6(/℃)をもち、流動点がセンサ使用温度以
上である緻密質ガラスシール材を使用するか、又はセン
サ使用時にシールする場合は、使用温度以下の軟化温度
を持ち、且つ、使用温度以上の流動点を持つ緻密質ガラ
スシール材を使用することが好ましい。更に、固体基準
物質としては、特開昭63-269053号公報に開示されたハ
イドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2及び
リン酸アルミニウム(AlPO4)等がある。
【0009】
【作用】本発明においては、先ずセンサ素子に外嵌する
セラミックス製スリーブの前記センサ素子から突出する
部分を溶融金属中に浸漬する。これにより、前記スリー
ブ内に溶融金属と接する空間を閉じ込める。そして、溶
融金属中からこの空間内のガス中に出てくる水素ガスの
量を空間内ガス中の水素分圧として測定する。この測定
原理は、プロトン導電性固体電解質を用いたガルバニ電
池の起電力を測定することにより行うものである。この
ようにして、この水素溶解量測定用センサプローブで溶
融金属の表面近傍の高温部分の水素濃度を測定し、この
空間内の水素濃度が平衡値に達したときの水素濃度から
溶融金属中の水素濃度を決定することができる。
セラミックス製スリーブの前記センサ素子から突出する
部分を溶融金属中に浸漬する。これにより、前記スリー
ブ内に溶融金属と接する空間を閉じ込める。そして、溶
融金属中からこの空間内のガス中に出てくる水素ガスの
量を空間内ガス中の水素分圧として測定する。この測定
原理は、プロトン導電性固体電解質を用いたガルバニ電
池の起電力を測定することにより行うものである。この
ようにして、この水素溶解量測定用センサプローブで溶
融金属の表面近傍の高温部分の水素濃度を測定し、この
空間内の水素濃度が平衡値に達したときの水素濃度から
溶融金属中の水素濃度を決定することができる。
【0010】プロトン導電性を示す固体電解質を用いる
水素濃淡電池式の水素センサは高温で安定に作動し、下
記数式1で与えられる理論値に近い起電力を示す。
水素濃淡電池式の水素センサは高温で安定に作動し、下
記数式1で与えられる理論値に近い起電力を示す。
【0011】
【数1】 E=(RT/2F)ln[PH2(1)/PH2(2)]
【0012】但し、Eは起電力(V)、Rは気体定数、
FはFaraday 定数、Tは絶対温度、PH2(1)、P
H2(2)は夫々固体基準物質の水素活量とAl溶湯と接
したプローブ空間内の水素分圧である。
FはFaraday 定数、Tは絶対温度、PH2(1)、P
H2(2)は夫々固体基準物質の水素活量とAl溶湯と接
したプローブ空間内の水素分圧である。
【0013】溶融金属中の水素濃度とその溶湯上の水素
分圧との間には平衡関係が成り立ち、下記数式2のSiev
ertsの規則に従う。
分圧との間には平衡関係が成り立ち、下記数式2のSiev
ertsの規則に従う。
【0014】
【数2】S=K(PH2)1/2 但し、Sは水素の平衡溶解度、Kは定数、PH2は溶湯上
の水素分圧である。
の水素分圧である。
【0015】この数式2から分かるように、溶湯に接し
た気相中の水素分圧を測定できれば溶湯中に溶解してい
る水素濃度を求めることができる。
た気相中の水素分圧を測定できれば溶湯中に溶解してい
る水素濃度を求めることができる。
【0016】一般に溶融金属中の水素濃度は、その溶湯
と接した気相中の水素分圧と溶湯温度とに依存し、その
水素分圧及び溶湯温度の依存性はSieverts則とHenry則
に従う。このため、水素濃度Sは下記数式3で表すこと
ができる。
と接した気相中の水素分圧と溶湯温度とに依存し、その
水素分圧及び溶湯温度の依存性はSieverts則とHenry則
に従う。このため、水素濃度Sは下記数式3で表すこと
ができる。
【0017】
【数3】 logS=A−(B/T)+(1/2)log(PH2) 但し、A及びBは金属の組成に依存した定数である。
【0018】そこで、図1に示すような形状のセンサを
組み、これを溶湯中に浸漬させてタンマン管状の電解質
センサ素子内に溶湯と接触した気相が占める空間を形成
し、この気相中に溶湯から放出される水素ガスの分圧を
本発明の水素溶解量測定用センサプローブを用いて測定
する。このセンサプローブの基準極と測定極との間に発
生する起電力から、前記数式1を用いて水素分圧PH2を
求め、この水素分圧を数式3に代入することにより、溶
湯中の水素濃度Sを求めることができる。
組み、これを溶湯中に浸漬させてタンマン管状の電解質
センサ素子内に溶湯と接触した気相が占める空間を形成
し、この気相中に溶湯から放出される水素ガスの分圧を
本発明の水素溶解量測定用センサプローブを用いて測定
する。このセンサプローブの基準極と測定極との間に発
生する起電力から、前記数式1を用いて水素分圧PH2を
求め、この水素分圧を数式3に代入することにより、溶
湯中の水素濃度Sを求めることができる。
【0019】このように本発明によれば、固体電解質か
らなるセンサ素子が直接溶湯金属と接触せずに、溶湯中
の水素濃度を長時間測定することができる。
らなるセンサ素子が直接溶湯金属と接触せずに、溶湯中
の水素濃度を長時間測定することができる。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例について添付の図面を
参照して具体的に説明する。
参照して具体的に説明する。
【0021】図1は本発明の第1の実施例に係る水素溶
解量測定用センサプローブを示す断面図である。
解量測定用センサプローブを示す断面図である。
【0022】センサ素子1はペロブスカイト型プロトン
導電性固体電解質(例えば、SrCe0.95Yb0.05O
3-x、CaZr0.9In0.1O3-x、BaCe0.95Y0.05O
3-x等)からなる一端閉塞形状をなし、そのセンサ素子
1の内面と外面に多孔質の例えば、Pt,Ni、又は酸
化物導電体等からなる夫々基準電極2及び測定電極3が
焼付けにより形成されている。
導電性固体電解質(例えば、SrCe0.95Yb0.05O
3-x、CaZr0.9In0.1O3-x、BaCe0.95Y0.05O
3-x等)からなる一端閉塞形状をなし、そのセンサ素子
1の内面と外面に多孔質の例えば、Pt,Ni、又は酸
化物導電体等からなる夫々基準電極2及び測定電極3が
焼付けにより形成されている。
【0023】センサ素子1内の下半部には、固体基準物
質6が充填されている。そして、センサ素子1の上部に
は、センサ素子1の保持用のセラミックス製絶縁管4が
挿入されていて、この絶縁管4により固体基準物質6を
センサ素子1内に封入するようになっている。なお、絶
縁管4とセンサ素子1の内面との間はPt等の金属ペー
スト10により接着固定されている。
質6が充填されている。そして、センサ素子1の上部に
は、センサ素子1の保持用のセラミックス製絶縁管4が
挿入されていて、この絶縁管4により固体基準物質6を
センサ素子1内に封入するようになっている。なお、絶
縁管4とセンサ素子1の内面との間はPt等の金属ペー
スト10により接着固定されている。
【0024】絶縁管4内には、Pt線又はNi線等のリ
ード線5が挿入されている。パイプ4の先端部には、P
t又はNi等の金属ペーストが塗布されており、リード
線5の先端部を絶縁管4と固体基準物質6との間に挟
み、前記金属ペーストによりリード線5と固体基準物質
6との間の導通が図られている。
ード線5が挿入されている。パイプ4の先端部には、P
t又はNi等の金属ペーストが塗布されており、リード
線5の先端部を絶縁管4と固体基準物質6との間に挟
み、前記金属ペーストによりリード線5と固体基準物質
6との間の導通が図られている。
【0025】そして、緻密なセラミックス製(例えば、
アルミナ質、ムライト質又は窒化珪素質等)のスリーブ
8がセンサ素子1に外嵌されている。このスリーブ8は
センサ素子1よりも長く、その上端がセンサ素子1の上
端とほぼ一致し、下端がセンサ素子1よりも下方に突出
している。センサ素子1の開口部にはガス導入用のパイ
プ4、センサ素子1及びスリーブ8の間の隙間を埋める
ようにして粉末ガラスシール材7が配置されている。こ
のガラスシール材7により、基準極2が外気及び測定極
3の雰囲気から気密的に分離されている。このスリーブ
8の内面には、センサ素子1の測定極3に電気的に接続
するようにして導電性ペーストからなるリード9が形成
されており、このリード9を介して測定極3が外部の処
理装置に接続されている。
アルミナ質、ムライト質又は窒化珪素質等)のスリーブ
8がセンサ素子1に外嵌されている。このスリーブ8は
センサ素子1よりも長く、その上端がセンサ素子1の上
端とほぼ一致し、下端がセンサ素子1よりも下方に突出
している。センサ素子1の開口部にはガス導入用のパイ
プ4、センサ素子1及びスリーブ8の間の隙間を埋める
ようにして粉末ガラスシール材7が配置されている。こ
のガラスシール材7により、基準極2が外気及び測定極
3の雰囲気から気密的に分離されている。このスリーブ
8の内面には、センサ素子1の測定極3に電気的に接続
するようにして導電性ペーストからなるリード9が形成
されており、このリード9を介して測定極3が外部の処
理装置に接続されている。
【0026】次に、このように構成されたセンサプロー
ブの動作について説明する。スリーブ8の下端部を溶湯
(図示せず)内に浸漬し、スリーブ8内に、センサ素子
1、スリーブ8及び溶湯19の湯面に囲まれた空間を形
成する。センサ素子1は溶湯19に浸漬させず、その測
定極3はこの空間内に位置させる。
ブの動作について説明する。スリーブ8の下端部を溶湯
(図示せず)内に浸漬し、スリーブ8内に、センサ素子
1、スリーブ8及び溶湯19の湯面に囲まれた空間を形
成する。センサ素子1は溶湯19に浸漬させず、その測
定極3はこの空間内に位置させる。
【0027】そうすると、溶湯内に溶解している水素
が、スリーブ8、センサ素子1及び溶湯19に囲まれた
空間内の水素ガスと平衡になり、溶湯中の水素溶解度S
と前記空間内の水素分圧PH2との間には、前記数式3に
て示す関係が成立する。そこで、この空間内の水素分圧
PH2を、センサ素子1により、ガルバニ起電力を利用し
て測定する。即ち、パイプ4,6を利用して基準極2の
周囲に基準ガスを循環供給し、前記空間内のガスに接触
する測定極3と、センサ素子1内で前記基準ガスと接触
する基準極2との間に発生する起電力Eを検出し、この
起電力から前記数式1に従って溶湯上の水素分圧PH2を
求める。そして、この水素分圧PH2から、前記数式3に
より、溶湯中の水素溶解度Sを求める。このようにし
て、溶湯中の水素溶解度を、センサ素子1を溶湯中に浸
漬させずに測定することができる。このため、溶湯によ
るセンサ素子1の浸食が回避され、長時間に亘って水素
溶解量を測定することができる。
が、スリーブ8、センサ素子1及び溶湯19に囲まれた
空間内の水素ガスと平衡になり、溶湯中の水素溶解度S
と前記空間内の水素分圧PH2との間には、前記数式3に
て示す関係が成立する。そこで、この空間内の水素分圧
PH2を、センサ素子1により、ガルバニ起電力を利用し
て測定する。即ち、パイプ4,6を利用して基準極2の
周囲に基準ガスを循環供給し、前記空間内のガスに接触
する測定極3と、センサ素子1内で前記基準ガスと接触
する基準極2との間に発生する起電力Eを検出し、この
起電力から前記数式1に従って溶湯上の水素分圧PH2を
求める。そして、この水素分圧PH2から、前記数式3に
より、溶湯中の水素溶解度Sを求める。このようにし
て、溶湯中の水素溶解度を、センサ素子1を溶湯中に浸
漬させずに測定することができる。このため、溶湯によ
るセンサ素子1の浸食が回避され、長時間に亘って水素
溶解量を測定することができる。
【0028】図2は本発明の他の実施例に係るセンサプ
ローブを示す断面図である。図2において、図1と実質
的に同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略
する。このセンサプローブはスリーブ11が比較的長
く、その上端部はセンサ素子1の上端部よりも上方に位
置する。このため、ガラスシール材7はスリーブ11と
絶縁管4との間隙にも介在し、そのシール性が向上す
る。本実施例も図1に示す実施例と同様の効果を奏す
る。
ローブを示す断面図である。図2において、図1と実質
的に同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略
する。このセンサプローブはスリーブ11が比較的長
く、その上端部はセンサ素子1の上端部よりも上方に位
置する。このため、ガラスシール材7はスリーブ11と
絶縁管4との間隙にも介在し、そのシール性が向上す
る。本実施例も図1に示す実施例と同様の効果を奏す
る。
【0029】次に、図2に示す実施例のセンサプローブ
を製造し、溶湯中の水素溶解量の測定試験をした結果に
ついて説明する。先ず、ペロブスカイト型プロトン導電
性固体電解質であるCaZr0.9ln0.1O3-xからなる
一端閉塞型センサ素子1の内面及び外面に、多孔質白金
からなる基準極2及び測定極3を900℃の温度で焼き
付けた。その後、固体基準物質として、AlPO4及び
La0.4Sr0.6CoO3-xの混合粉末をセンサ素子1内
に充填し、Ptリード線を通したアルミナ製絶縁管4を
その先端部にPtペーストを塗布してセンサ素子1内に
挿入した。
を製造し、溶湯中の水素溶解量の測定試験をした結果に
ついて説明する。先ず、ペロブスカイト型プロトン導電
性固体電解質であるCaZr0.9ln0.1O3-xからなる
一端閉塞型センサ素子1の内面及び外面に、多孔質白金
からなる基準極2及び測定極3を900℃の温度で焼き
付けた。その後、固体基準物質として、AlPO4及び
La0.4Sr0.6CoO3-xの混合粉末をセンサ素子1内
に充填し、Ptリード線を通したアルミナ製絶縁管4を
その先端部にPtペーストを塗布してセンサ素子1内に
挿入した。
【0030】次に、センサ素子1の先端部から10mm
突出するようにして、ムライト製のスリーブ11を外嵌
し、パイプ4、センサ素子1及びスリーブ11を粉末ガ
ラスシール材7(組成;Na2O3・B2O3・SiO2、
熱膨張係数:9.5×10-6、軟化点;695℃、流動
点;880℃)により、固定した。そして、このように
して組み立てたものを、電気炉にて加熱(昇温・降温速
度5℃/分、850℃で10分保持)し、粉末ガラスシ
ール材7を融着してセンサプローブとした。
突出するようにして、ムライト製のスリーブ11を外嵌
し、パイプ4、センサ素子1及びスリーブ11を粉末ガ
ラスシール材7(組成;Na2O3・B2O3・SiO2、
熱膨張係数:9.5×10-6、軟化点;695℃、流動
点;880℃)により、固定した。そして、このように
して組み立てたものを、電気炉にて加熱(昇温・降温速
度5℃/分、850℃で10分保持)し、粉末ガラスシ
ール材7を融着してセンサプローブとした。
【0031】次に、このセンサプローブを使用して、図
3に示す用に、黒鉛坩堝30内で溶融させたアルミニウ
ム溶湯31中の水素溶解量を測定した。センサ素子1の
基準ガスは、水素濃度が1%である。アルミニウム溶湯
31上の水素ガス分圧は、Arガス源37と水素ガス源
36とに連結されたガス混合器35から、これらのガス
の配合量を種々設定して得た混合ガスを坩堝30内に導
入することにより、調節した。そして、この種々の水素
分圧雰囲気下におくことにより、溶湯中の水素濃度を種
々の値に制御し、その条件でセンサ素子1(又は20)
の起電力を測定した。溶湯温度及び起電力の測定値はレ
コーダ33に記録した。なお、坩堝30内の溶湯はヒー
タ34により加熱して所定の温度に保持した。
3に示す用に、黒鉛坩堝30内で溶融させたアルミニウ
ム溶湯31中の水素溶解量を測定した。センサ素子1の
基準ガスは、水素濃度が1%である。アルミニウム溶湯
31上の水素ガス分圧は、Arガス源37と水素ガス源
36とに連結されたガス混合器35から、これらのガス
の配合量を種々設定して得た混合ガスを坩堝30内に導
入することにより、調節した。そして、この種々の水素
分圧雰囲気下におくことにより、溶湯中の水素濃度を種
々の値に制御し、その条件でセンサ素子1(又は20)
の起電力を測定した。溶湯温度及び起電力の測定値はレ
コーダ33に記録した。なお、坩堝30内の溶湯はヒー
タ34により加熱して所定の温度に保持した。
【0032】本実施例のセンサプローブの測定値の精度
を見積もるため、ガスクロマトグラフィ分析装置38を
使用して、アルミニウム溶湯31内の水素濃度をTelega
s(テレガス法)法により測定した。この場合に、窒素
ガス源40から窒素ガスを溶湯中に吹き込み、溶湯中で
窒素ガスをバブリングさせて、循環させ、溶湯湯面上の
雰囲気窒素ガス中の水素濃度が溶湯内の水素濃度と平衡
に達したときの窒素ガス中の水素濃度を、ガスクロマト
グラフ分析装置38に導き、このガスクロマトグラフィ
分析装置38により水素濃度を測定した。また、測定対
象の溶湯31の温度はK熱電対32により測定した。な
お、溶湯の温度は700〜800℃であった。なお、こ
のテレガス法は、溶湯中の水素濃度を高精度で測定でき
る方法として知られているものである。
を見積もるため、ガスクロマトグラフィ分析装置38を
使用して、アルミニウム溶湯31内の水素濃度をTelega
s(テレガス法)法により測定した。この場合に、窒素
ガス源40から窒素ガスを溶湯中に吹き込み、溶湯中で
窒素ガスをバブリングさせて、循環させ、溶湯湯面上の
雰囲気窒素ガス中の水素濃度が溶湯内の水素濃度と平衡
に達したときの窒素ガス中の水素濃度を、ガスクロマト
グラフ分析装置38に導き、このガスクロマトグラフィ
分析装置38により水素濃度を測定した。また、測定対
象の溶湯31の温度はK熱電対32により測定した。な
お、溶湯の温度は700〜800℃であった。なお、こ
のテレガス法は、溶湯中の水素濃度を高精度で測定でき
る方法として知られているものである。
【0033】図4は、横軸にテレガス法により測定した
水素濃度をとり、縦軸にセンサ素子の起電力をとってそ
の測定値を○で示すグラフ図である。但し、このデータ
は、99重量%の純度のアルミニウム溶湯を750℃に
加熱した場合のものである。この図5に示すように、テ
レガス法により測定した溶湯中の水素濃度とセンサ素子
の起電力との間には、極めて良好な相関関係が存在す
る。他の温度条件等においても同様の関係が得られる。
水素濃度をとり、縦軸にセンサ素子の起電力をとってそ
の測定値を○で示すグラフ図である。但し、このデータ
は、99重量%の純度のアルミニウム溶湯を750℃に
加熱した場合のものである。この図5に示すように、テ
レガス法により測定した溶湯中の水素濃度とセンサ素子
の起電力との間には、極めて良好な相関関係が存在す
る。他の温度条件等においても同様の関係が得られる。
【0034】図5はテレガス法により求めた溶湯中の水
素濃度測定値を横軸にとり、本実施例のセンサ素子を用
いて測定した水素濃度の測定値を縦軸にとって、両者を
比較したグラフ図である。この図6から明らかなよう
に、テレガス法で求めた値と本発明に係るセンサを用い
て測定した値は極めてよく一致した。従って、本実施例
のセンサプローブの測定値の精度が極めて高いことがわ
かる。
素濃度測定値を横軸にとり、本実施例のセンサ素子を用
いて測定した水素濃度の測定値を縦軸にとって、両者を
比較したグラフ図である。この図6から明らかなよう
に、テレガス法で求めた値と本発明に係るセンサを用い
て測定した値は極めてよく一致した。従って、本実施例
のセンサプローブの測定値の精度が極めて高いことがわ
かる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、溶融金属(溶湯)中に
センサプローブのスリーブを浸漬するだけで、この溶湯
中に溶解している水素濃度を測定することができ、セン
サプローブのセンサ素子自体は溶湯に接触しないので、
長時間にわたる連続測定が可能である。また、センサプ
ローブのセンサ素子の起電力を測定するだけで、溶湯中
の水素濃度を測定できるので、測定装置の小型化が可能
であり、実際の鋳造工程で使用するに当たり、操作性が
向上する。また、テレガス法のようにガスを循環させる
必要がないため、測定に必要なランニングコストも低減
できる。このため、本発明により、小型で測定精度が高
く、信頼性が高い溶融金属中の水素濃度測定装置を提供
することができる。
センサプローブのスリーブを浸漬するだけで、この溶湯
中に溶解している水素濃度を測定することができ、セン
サプローブのセンサ素子自体は溶湯に接触しないので、
長時間にわたる連続測定が可能である。また、センサプ
ローブのセンサ素子の起電力を測定するだけで、溶湯中
の水素濃度を測定できるので、測定装置の小型化が可能
であり、実際の鋳造工程で使用するに当たり、操作性が
向上する。また、テレガス法のようにガスを循環させる
必要がないため、測定に必要なランニングコストも低減
できる。このため、本発明により、小型で測定精度が高
く、信頼性が高い溶融金属中の水素濃度測定装置を提供
することができる。
【0036】また、従来、測定精度が優れているとされ
るテレガス法による場合は、脱ガス処理行程のときのよ
うに溶湯の流れが速いような場合には使用することがで
きない。しかし、本発明に係るセンサプローブは、溶湯
に流れがあっても何ら支障なく水素濃度を測定すること
ができるので、その測定対象が著しく拡大され、本発明
は水素濃度測定を必要とする技術分野において、極めて
有益である。
るテレガス法による場合は、脱ガス処理行程のときのよ
うに溶湯の流れが速いような場合には使用することがで
きない。しかし、本発明に係るセンサプローブは、溶湯
に流れがあっても何ら支障なく水素濃度を測定すること
ができるので、その測定対象が著しく拡大され、本発明
は水素濃度測定を必要とする技術分野において、極めて
有益である。
【図1】本発明の実施例に係る水素溶解量測定用センサ
プローブを示す断面図である。
プローブを示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施例に係る水素溶解量測定用セ
ンサプローブを示す断面図である。
ンサプローブを示す断面図である。
【図3】本実施例のセンサプローブの測定精度を試験す
る装置を示す模式図である。
る装置を示す模式図である。
【図4】テレガス法による水素濃度測定値と、本実施例
のセンサ素子の起電力との関係を示すグラフ図である。
のセンサ素子の起電力との関係を示すグラフ図である。
【図5】テレガス法による水素濃度測定値と、本実施例
のセンサ素子の起電力との関係を示すグラフ図である。
のセンサ素子の起電力との関係を示すグラフ図である。
1;センサ素子 2;基準極 3;測定極 4;セラミックス性絶縁管 5;リード線 7;粉末ガラスシール材
Claims (1)
- 【請求項1】 ペロブスカイト型プロトン導電性固体電
解質からなる一端閉塞形の素子と、この素子の内面に形
成された多孔質電極からなる基準極と、前記素子内に前
記基準極と接触して充填された固体基準物質と、前記素
子の外面に形成された多孔質電極からなる測定極と、前
記基準極と測定極とを隔離するシール材と、円筒状をな
しその内周面が前記素子の外周面の全域に接触するよう
に前記素子よりも突出して外嵌されたセラミックス製ス
リーブとを有することを特徴とする溶融金属中の水素溶
解量測定用センサプローブ。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3347384A JPH07119728B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 溶融金属中の水素溶解量測定用センサプローブ |
KR1019920021565A KR970003280B1 (ko) | 1991-11-26 | 1992-11-17 | 용융금속중의 수소용해량 측정용 센서 프로우브 및 수소농도 측정방법 |
AU28557/92A AU654219B2 (en) | 1991-11-26 | 1992-11-23 | Sensor probe for measuring hydrogen concentration in molten metal and method for measuring hydrogen concentration |
US07/981,873 US5439579A (en) | 1991-11-26 | 1992-11-25 | Sensor probe for measuring hydrogen concentration in molten metal |
EP92120184A EP0544281B1 (en) | 1991-11-26 | 1992-11-26 | Sensor probe for measuring hydrogen concentration in molten metal and method for measuring hydrogen concentration |
DE69225778T DE69225778T2 (de) | 1991-11-26 | 1992-11-26 | Verfahren und Vorrichtung zur Wasserstoffkonzentrationsmessung in flüssigen Metallen |
CA002083909A CA2083909C (en) | 1991-11-26 | 1992-11-26 | Sensor probe for measuring hydrogen concentration in molten metal and method for measuring hydrogen concentration |
AT92120184T ATE166973T1 (de) | 1991-11-26 | 1992-11-26 | Verfahren und vorrichtung zur wasserstoffkonzentrationsmessung in flüssigen metallen |
TW081109836A TW207568B (ja) | 1991-11-26 | 1992-12-08 | |
US08/302,604 US5445725A (en) | 1991-11-26 | 1994-09-08 | Sensor probe for measuring hydrogen concentration in molten metal and method for measuring hydrogen concentration |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3347384A JPH07119728B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 溶融金属中の水素溶解量測定用センサプローブ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0749330A JPH0749330A (ja) | 1995-02-21 |
JPH07119728B2 true JPH07119728B2 (ja) | 1995-12-20 |
Family
ID=18389864
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3347384A Expired - Lifetime JPH07119728B2 (ja) | 1991-11-26 | 1991-12-27 | 溶融金属中の水素溶解量測定用センサプローブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07119728B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB0421868D0 (en) | 2004-10-01 | 2004-11-03 | Environmental Monitoring And C | Apparatus and method for measuring hydrogen concentration |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP3347384A patent/JPH07119728B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0749330A (ja) | 1995-02-21 |
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