JPH0829381A - 溶融金属中の水素溶解量測定用センサ - Google Patents

溶融金属中の水素溶解量測定用センサ

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JPH0829381A
JPH0829381A JP6163912A JP16391294A JPH0829381A JP H0829381 A JPH0829381 A JP H0829381A JP 6163912 A JP6163912 A JP 6163912A JP 16391294 A JP16391294 A JP 16391294A JP H0829381 A JPH0829381 A JP H0829381A
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electrolyte member
molten metal
sleeve
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JP6163912A
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Tamotsu Yajima
保 矢嶋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 測定極の酸化を防止できると共に、特に蒸気
圧が高いMg及びZnを合金成分として含む溶融金属中
の水素溶解量の測定に好適の水素溶解量測定用センサを
提供する。 【構成】 固体電解質部材1はプロトン導電性セラミッ
クス又はガラスにより一端が閉塞された管状に形成され
ている。固体電解質部材1の内面及び外面には、夫々測
定極及び基準極として多孔質電極2a,2bが設けられ
ている。この固体電解質部材1の開放端側には導電性多
孔質スリーブ3が嵌合しており、このスリーブ3内に
は、充填材12として、酸化ジルコニウム、酸化セリウ
ム、酸化チタン、酸化イットリウム及び酸化カルシウム
からなる群から選択された少なくとも1種のセラミック
スの粉末又はファイバーが充填されている。固体電解質
物質1の閉塞端側にはセラミックス製のパイプ4が嵌合
しており、このパイプ4の内側には金属製パイプ9が配
設されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロトン導電性を有す
る固体電解質部材を使用して溶融金属中の水素濃度を測
定する溶融金属中の水素溶解量測定用センサに関し、特
にMg又はZnを含有する合金の溶湯中の水素溶解量測
定に好適の溶融金属中の水素溶解量測定用センサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、溶融金属中の水素濃度を測定する
方法としては、以下に示す方法がある。
【0003】イニシャルバブル法 先ず、溶融金属をサンプリングし、この溶融金属をヒー
ターを内蔵した測定室内に配置する。その後、前記測定
室内を減圧状態にして溶融金属の表面から最初に気泡が
発生したときの測定室内の温度及び圧力から水素量を算
出する。
【0004】減圧凝固法 サンプリングした溶融金属を減圧下で凝固させ、凝固後
の試料内の気泡の状態観察、標準試料の比重との比較及
び試料断面の気泡の状態から水素ガス量を求める。
【0005】分圧平衡法 少量の不活性ガスを溶湯に注入しこれを循環させて、水
素ガスが不活性ガス中に拡散し平衡状態になったところ
で前記不活性ガスを回収し、熱伝導度式検出器、ガスク
ロマトグラフ又は質量分析器等で不活性ガス中の水素濃
度を分析し、その分析結果及び溶融金属の温度から溶融
金属中の水素濃度を求める。
【0006】真空抽出法 溶融金属をサンプリングし、急冷して凝固させた試料を
真空中で加熱して、試料から放出される水素ガスの量を
熱伝導度式検出器、ガスクロマトグラフ、質量分析器又
は赤外線分析器等を用いて定量する。
【0007】しかし、これらの従来の溶融金属中の水素
濃度測定方法においては、測定に長時間を要するという
欠点、測定精度が悪いという欠点又は高価な測定装置が
必要であるという欠点等があり、いずれも実際の鋳造現
場での水素溶解量の測定には適していない。
【0008】これらの問題点を解決すべく開発された測
定方法に、プロトン導電性固体電解質を用いたガス濃淡
電池式の水素センサがある。この種のセンサは、プロト
ン導電性を有する固体電解質からなる部材の一方の面側
に多孔性導電体からなる基準極及びこの基準極に接触し
濃淡電池の起電力の基準となる基準物質を配設し、他方
の面に設けられた測定極を溶融金属に接触させて、基準
極側の水素分圧と溶融金属中の水素濃度との間の水素活
量の差によって生じる起電力から溶融金属中の水素濃度
を検出するものである。このセンサは、溶融金属中の水
素濃度を直接測定することが可能であり、応答速度が速
く、高い精度を得ることができるという利点を有してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のプロトン導電性固体電解質を用いたセンサは、
溶融金属との接触により固体電解質が還元されて固体電
解質と溶融金属との界面に絶縁性の酸化物膜が形成され
てしまうため、長時間の測定が困難であるという難点が
ある。
【0010】固体電解質部材に耐熱性セラミックスのス
リーブを取り付け、溶融金属と測定極との間にこのスリ
ーブ内の空間に存在するガス(気相)を介在させて、溶
融金属と測定極とが直接接触しないようにすることも考
えられるが、例えば溶融金属中にMg及びZnのような
蒸気圧が高い合金成分が含まれている場合には、測定極
がMg及びZn等の蒸気により腐食されて、短時間でセ
ンサが動作しなくなるという問題点がある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、測定極の酸化を防止できると共に、特にM
g及びZn等の蒸気圧が高い合金成分を含む溶融金属中
の水素溶解量の測定に好適の溶融金属中の水素溶解量測
定用センサを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶融金属中
の水素溶解量測定用センサは、プロトン導電性を有する
固体電解質材料により形成された固体電解質部材と、こ
の固体電解質部材に設けられた基準極及び測定極と、前
記基準極に対して濃淡電池の起電力の基準を与える基準
物質と、前記固体電解質部材に固定され前記測定極に接
続した空間を形成するスリーブと、前記空間内に充填さ
れた充填材と、を有し、前記充填材はMg又はZnと反
応して多孔質の反応生成物を生成するセラミックスの粉
末又はファイバーであることを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明においては、固体電解質部材にスリーブ
が固定されており、このスリーブ内の空間には、充填材
として、所定のセラミックスの粉末又はファイバーが充
填されている。このスリーブ内に充填されたセラミック
スの粉末又はファイバーによりスリーブ内に溶融金属が
侵入することを防止し、スリーブ内のセラミックスの粉
末又はファイバー間の隙間に存在するガス(気相)を測
定極と溶融金属との間に介在させて、固体電解質部材と
溶融金属とが直接接触することを防止する。これによ
り、測定極と溶融金属との接触による測定極の酸化を防
止できる。
【0014】ところで、溶融金属中にMg又はZnのよ
うに蒸気圧が高い合金成分が含まれている場合に、測定
極がこれらの合金成分の蒸気により腐食されて、短時間
でセンサが動作しなくなってしまう。また、前記充填材
としてアルミナ粉末等が使用されている場合は、Mg又
はZnがアルミナと反応して緻密な酸化物(スピネル)
を形成し、スリーブ内の水素ガスの移動を妨げるため、
水素ガスが測定極に到達しなくなり、センサが動作しな
くなってしまう。一方、前記充填材として、酸化ジルコ
ニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化イットリウム
又は酸化カルシウム等のセラミックスの粉末又はファイ
バーを使用した場合は、セラミックスとMg又はZnと
の反応により多孔質の反応生成物が生成される。このた
め、溶融金属からスリーブ内の気相中に拡散した水素ガ
スは、前記反応生成物を通過して測定極に到達する。従
って、前記スリーブ内に充填する充填材は、酸化ジルコ
ニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化イットリウム
及び酸化カルシウムからなる群から選択された少なくと
も1種のセラミックスの粉末又はファイバーであること
が好ましい。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例について、添付の図面
を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例に係
る溶融金属中の水素溶解量測定用センサを示す断面図で
ある。固体電解質部材1は、CaZr0.9In0.13-x
(但し、xは0〜0.05)、SrCe0.95Yb0.05
3-x 及びBaCe0.9Nd0.13-x 等のようにプロトン
導電性を有する組成のセラミックス又はガラスにより一
端が閉塞された管状に形成されており、固体電解質部材
1の内面及び外面には、夫々測定極及び基準極として、
例えば、Pt、Ni又は酸化物導電体等からなる多孔質
電極2a,2bが焼き付け形成されている。
【0016】この固体電解質部材1の閉塞端側の端部に
はセラミックス製パイプ4が嵌合しており、このパイプ
4と固体電解質部材1とは無機接着剤により接合されて
いる。また、固体電解質部材1とパイプ4との接合部分
は、ガラスシール材6により気密的に封止されている。
このガラスシール材6は、その熱膨張係数がセンサの使
用温度域である300乃至1000℃における固体電解
質部材1の熱膨張率に近く、更に流動点が前記センサの
使用温度以上である緻密質ガラスからなるものであるこ
とが好ましい。
【0017】セラミックス製パイプ4の内側にはステン
レスからなる金属製パイプ9が挿入されており、この金
属製パイプ9の先端部分は多孔質電極2bに接合されて
いる。この金属製パイプ9を介して、固体電解質部材1
に、基準物質として、水素ガス分圧が一定に調整された
基準ガス8を供給する。また、この金属製パイプ9は多
孔質電極2bに電気的に接続されており、多孔質電極2
bのリードとしても作用する。
【0018】一方、固体電解質部材1の開放端側には導
電性多孔質スリーブ3が嵌合している。このスリーブ3
は、少なくとも黒鉛を主成分とし、SiC、BN、B4
C、TiB2、TiC及びZrB2等の非酸化物又はアル
ミナ、ジルコニア及びチタニア等の酸化物等により構成
されている。
【0019】このスリーブ3の内面の固体電解質部材1
の開放端部の近傍には、多孔質電極2aに電気的に接続
された引出電極2cが設けられており、この引出電極2
cを介して多孔質電極2aと導電性多孔質スリーブ3と
は相互に電気的に接続されている。また、固体電解質部
材1及びスリーブ3の内側には、充填材12として、酸
化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化イッ
トリウム及び酸化カルシウムからなる群から選択された
少なくとも1種のセラミックスの粉末又はファイバーが
充填されている。
【0020】また、セラミックス製パイプ4の外面及び
ガラスシール材6は、セラミックスからなるコーティン
グ材7によりコーティングされている。このコーティン
グ材7は、ガラスシール材6と溶融金属との反応を防ぐ
ためのものである。
【0021】本実施例に係る水素溶解量測定用センサ
は、スリーブ3側を溶融金属に浸漬する。この場合に、
スリーブ3内の充填材12により、溶融金属がスリーブ
3内に侵入することを防止でき、スリーブ3の内側がガ
ス室となって、溶融金属と固体電解質部材1とが直接接
触することを防止できる。また、測定極である多孔質電
極2aは、引出電極2c及びスリーブ3を介して溶融金
属に電気的に接続される。
【0022】次に、金属製パイプ9を介して固体電解質
部材1の多孔質電極2b側に基準ガス8として所定濃度
の水素又は水蒸気を含有するガスを供給する。そうする
と、溶融金属と基準ガス8との水素活量の差により、固
体電解質部材1の両側の多孔質電極2a,2bの間に起
電力が発生する。この起電力を測定することにより、溶
融金属中の水素濃度を測定する。この測定原理は、プロ
トン導電性固体電解質物質を用いたガス濃淡電池の起電
力を測定することにより行うものである。
【0023】プロトン導電性を示す固体電解質を用いる
ガス濃淡電池式の水素センサは高温で安定に作動し、下
記数式1で与えられる理論値に近い起電力を示す。
【0024】
【数1】 E=(RT/2F)ln[PH1(1)/PH2(2)] 但し、Eは起電力(V)、Rは気体定数、Fはファラデ
ー定数、Tは絶対温度、PH1(1)及びPH2(2)は夫
々測定極側及び基準極側の水素分圧である。
【0025】溶融金属中の水素濃度とその溶湯上の水素
分圧との間には平衡関係が成り立ち、下記数式2のシー
ベルトの(Sieverts)の規則に従う。
【0026】
【数2】S=K(PH21/2 但し、Sは水素の平衡溶解度、Kは定数、PH2は溶湯上
の水素分圧である。
【0027】この数式2からわかるように、溶湯に接し
た気相中の水素分圧を測定できれば、溶湯中に溶解して
いる水素濃度を求めることができる。
【0028】一般的に溶融金属中の水素濃度は、その溶
湯と接した気相中の水素分圧と溶湯温度とに依存し、そ
の水素分圧及び溶湯温度の依存性はシーベルト則とヘン
リー(Henry )則に従う。このため、水素濃度Sは下記
数式3で表すことができる。
【0029】
【数3】 logS=A−(B/T)+(1/2)log(PH2) 但し、A及びBは金属の組成に依存した定数である。
【0030】そこで、図1に示すセンサのスリーブ3側
を溶融金属中に浸漬して、溶湯中の水素濃度を測定す
る。即ち、基準極と測定極との間に発生する起電力か
ら、前記数式1を用いて水素分圧PH2を求め、この水素
分圧を数式3に代入することにより、溶湯中の水素濃度
Sを求めることができる。
【0031】例えば、溶融金属中にカーボンの棒を挿入
して、このカーボンの棒と金属製パイプ9との間の電位
差を測定し、その結果に基づいて溶融金属中の水素溶解
量を検出することができる。
【0032】この場合に、本実施例においては、スリー
ブ3内に充填されたセラミックスの充填材12により、
溶融金属と測定極である多孔質電極2aとが直接接触す
ることを防止できるので、溶融金属との接触による多孔
質電極2aの酸化を防止できる。また、溶融金属中にM
g又はZn等のように蒸気圧が高い合金成分が含まれて
いる場合でも、充填材12とこれらの合金成分との反応
により生成される反応生成物は多孔質なものであるの
で、前記反応生成物によりスリーブ内での水素ガスの移
動が阻害されることがない。従って、本実施例に係る水
素溶解量測定用センサは、センサ寿命が長く、溶融金属
中の水素溶解量を長期間に亘って測定することができ
る。更に、本実施例に係るセンサは、構造が簡単であ
り、起電力を測定するだけで溶湯中の水素溶解量を測定
することができるので、測定装置の小型化が可能であ
り、実際の鋳造工程で使用するのに当たり、操作性が向
上するという利点もある。
【0033】図2は本発明の第2の実施例に係る溶融金
属中の水素溶解量測定用センサを示す断面図である。本
実施例が第1の実施例と異なる点は、基準物質として固
体基準物質18を使用した点にあり、その他の構成は基
本的には第1の実施例と同様であるので、図2において
図1と同一物には同一符号を付してその詳しい説明は省
略する。
【0034】本実施例においては、固体電解質部材1の
閉塞端側に嵌合するセラミックス製パイプ4の内側に、
固体基準物質18として、例えば、燐酸アルミニウムと
電子導電性酸化物との混合物又は金属と金属水素化物と
の混合物等が装入されている。これらの物質は、水素又
は水蒸気活量が常に一定に維持されるという性質を有し
ている。パイプ4の固体電解質部材1と反対側の端部に
は、アルミナセメント11及びアルミナ粉末充填材13
が外側からこの順で充填されており、固体基準物質18
はこれらのアルミナセメント11及び充填材13により
密閉されている。なお、リード10は、基準極である多
孔質電極2bに電気的に接続され、固体基準物質18、
充填材13及びアルミナセメント11を挿通して外部に
導出されている。本実施例においても、第1の実施例と
同様の効果を得ることができる。
【0035】以下、本発明の第1の実施例に係る溶融金
属中の水素溶解量測定用センサを実際に製造し、その特
性を調べた結果について説明する。
【0036】先ず、ペロブスカイト型プロトン導電性酸
化物であるCaZr0.9In0.13- x (但し、xは0〜
0.05)により、一端が閉塞した管状の固体電解質部
材1を形成した。そして、この固体電解質部材1の内側
及び外側の面に、測定極及び基準極として、夫々多孔質
Pt電極2a,2bを900℃の温度で焼き付けた。
【0037】次に、この固体電解質部材1の閉塞端側に
アルミナ製のパイプ4(外径が6.5mm、内径が4.
5mm、長さが500mm)をアルミナ質のセラミック
ス接着剤を用いて固定し、その接着部分をガラスシール
材6で気密的にシールした。更に、このガスシール材6
及びパイプ4の外面をアルミナ質のセラミックスコーテ
ィング材7により被覆した。また、固体電解質部材1の
開放端側にカーボン製の導電性多孔質スリーブ3を嵌合
して固定した。そして、このスリーブ3の内側の面に、
多孔質電極2aに電気的に接触する引出電極2cを形成
した。
【0038】その後、固体電解質部材1の内側に、溶融
金属の侵入を防ぐための充填材12として、酸化ジルコ
ニウム粉末を充填した。
【0039】次いで、アルミナ製のパイプ4の内側にス
テンレス製のパイプ9を挿入し、このパイプ9の先端部
を多孔質電極2bに電気的に接触させて固定した。
【0040】このようにして製造したセンサを、黒鉛る
つぼ内で溶解した温度が700℃のアルミニウム合金中
(JIS7075合金)に挿入し、センサの起電力応答
を測定した。なお、JIS7075合金は、Mg及びZ
nを含有するアルミニウム合金である。測定時には、ス
テンレス製パイプ9を介して基準極側に1体積%の水素
を含んだアルゴンガスを導入した。また、溶融金属中の
水素濃度は、黒鉛るつぼ内で溶解したアルミニウム合金
上の気相の水素ガス濃度を変化させることにより調整し
た。更に、溶融金属中にカーボン製の棒を挿入し、この
カーボン棒とステンレス製のパイプ9との間の電位差を
測定することにより、固体電解質部材1の基準極と測定
極との間の起電力測定を行った。なお、溶融金属中の温
度は、クロメル−アルメル熱電対(K熱電対)にて測定
した。
【0041】その結果、本発明に係るセンサは、Mg及
びZnを含有するアルミニウム合金でも、長時間安定し
て動作した。即ち、本実施例においては、Mg及びZn
による多孔質電極2aの腐食は発生せず、また、セラミ
ックス粉末はMgと反応したものの、反応生成物は多孔
質のものであり、充填材12中の水素ガスの移動が妨げ
られることはなかった。本実施例のセンサは、充填材1
2がアルミナ粉末である場合に比して3倍以上センサ寿
命が延びた。
【0042】なお、上述の実施例においては、いずれも
固体電解質部材に予めセラミックス製パイプが取り付け
られている場合について説明したが、使用時に固体電解
質部材にセラミックス製パイプを無機接着剤により固定
してもよい。この場合は、固体電解質部材とセラミック
ス製パイプとの接合部を封止するシール材として、その
軟化点がセンサの使用温度以下であり、流動点がセンサ
の使用温度以上の緻密質ガラスシール材を使用すること
が好ましい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る溶融金
属中の水素溶解量測定用センサは、スリーブを有し、こ
のスリーブ内の測定極に接続した空間内に所定のセラミ
ックスの粉末又はファイバーにより構成される充填材が
充填されているから、溶融金属中に蒸気圧が高いMg及
びZnが合金元素が含まれている場合であっても、測定
極の腐食を防止できると共に、Mg及びZnとセラミッ
クスとの反応による緻密なスピネルの生成を回避でき
る。このため、本発明に係る水素溶解量測定用センサ
は、溶融金属中の水素溶解量を長時間に亘って安定して
測定することができる。特に、本発明に係る水素溶解量
測定用センサは、Mg及びZnの金属成分を含む合金溶
湯中の水素溶解量の測定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る溶融金属中の水素
溶解量測定用センサを示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る溶融金属中の水素
溶解量測定用センサを示す断面図である。
【符号の説明】
1;固体電解質部材 2a,2b;多孔質電極 3;スリーブ 4;セラミックス製パイプ 6;ガラスシール材 7;コーティング材 8;基準ガス 9;金属製パイプ 10;リード 11;アルミナセメント 12,13;充填材 18;固体基準物質

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロトン導電性を有する固体電解質材料
    により形成された固体電解質部材と、この固体電解質部
    材に設けられた基準極及び測定極と、前記基準極に対し
    て濃淡電池の起電力の基準を与える基準物質と、前記固
    体電解質部材に固定され前記測定極に接続した空間を形
    成するスリーブと、前記空間内に充填された充填材と、
    を有し、前記充填材はMg又はZnと反応して多孔質の
    反応生成物を生成するセラミックスの粉末又はファイバ
    ーであることを特徴とする溶融金属中の水素溶解量測定
    用センサ。
  2. 【請求項2】 プロトン導電性を有する固体電解質材料
    により形成された固体電解質部材と、この固体電解質部
    材に設けられた基準極及び測定極と、前記基準極に対し
    て濃淡電池の起電力の基準を与える基準物質と、前記固
    体電解質部材に固定され前記測定極に接続した空間を形
    成するスリーブと、前記空間内に充填された充填材と、
    を有し、前記充填材は酸化ジルコニウム、酸化セリウ
    ム、酸化チタン、酸化イットリウム及び酸化カルシウム
    からなる群から選択された少なくとも1種のセラミック
    スの粉末又はファイバーであることを特徴とする溶融金
    属中の水素溶解量測定用センサ。
  3. 【請求項3】 プロトン導電性を有する固体電解質材料
    により一端が閉塞された管状に形成された固体電解質部
    材と、この固体電解質部材の外面上に設けられた基準極
    と、この基準極に対して濃淡電池の起電力の基準を与え
    る基準物質と、前記固体電解質部材の内面上に設けられ
    た測定極と、前記固体電解質部材の開放端側を嵌合する
    スリーブと、このスリーブ内に充填された充填材と、を
    有し、前記充填材はMg又はZnと反応して多孔質の反
    応生成物を生成するセラミックスの粉末又はファイバー
    であることを特徴とする溶融金属中の水素溶解量測定用
    センサ。
  4. 【請求項4】 プロトン導電性を有する固体電解質材料
    により一端が閉塞された管状に形成された固体電解質部
    材と、この固体電解質部材の外面上に設けられた基準極
    と、この基準極に対して濃淡電池の起電力の基準を与え
    る基準物質と、前記固体電解質部材の内面上に設けられ
    た測定極と、前記固体電解質部材の開放端側を嵌合する
    スリーブと、このスリーブ内に充填された充填材と、を
    有し、前記充填材は酸化ジルコニウム、酸化セリウム、
    酸化チタン、酸化イットリウム及び酸化カルシウムから
    なる群から選択された少なくとも1種のセラミックスの
    粉末又はファイバーであることを特徴とする溶融金属中
    の水素溶解量測定用センサ。
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