JPH07118407A - 農薬包装用フィルム - Google Patents
農薬包装用フィルムInfo
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- JPH07118407A JPH07118407A JP5268841A JP26884193A JPH07118407A JP H07118407 A JPH07118407 A JP H07118407A JP 5268841 A JP5268841 A JP 5268841A JP 26884193 A JP26884193 A JP 26884193A JP H07118407 A JPH07118407 A JP H07118407A
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Abstract
を0.1〜20モル%含有する変性ポリビニルアルコー
ルを製膜してなる農薬包装用の水溶性フィルム。 【化1】 (ここで、R1は水素または低級アルキル基、R2はアル
キル基、R3、R4、R5は水素またはアルキル基、Mは
水素、アルカリ金属、アンモニウム基またはアミンをそ
れぞれ示す。) 【効果】 本発明の農薬包装用の水溶性フィルムは、機
械的強度に優れるとともに、長期間にわたって農薬を包
装して放置した場合であっても良好な水溶性が発現す
る。
Description
用として優れた性能を有する特定の変性ポリビニルアル
コールを製膜してなる農薬包装用の水溶性フィルムに関
する。
を水溶性フィルムに単位量づつ密封包装(ユニット包
装)して、使用時にその包装形態のまま水中に投入し、
内容物を包装フィルムごと水に溶解または分散して使用
する方法が用いられてきている。このユニット包装の利
点は、使用時に危険な薬品に直接触れることなく使用で
きること、一定量が包装されているために使用時に計量
が不要であることなどである。従来、このようなユニッ
ト包装用の水溶性フィルムとして無変性の部分けん化ポ
リビニルアルコール(以下PVAと略称することがあ
る)製フィルムが用いられていた。これらの水溶性フィ
ルムは冷水に易溶性でしかも機械的強度が優れており良
好な性能を有しているが、農薬やその助剤として含まれ
ている官能基を有する多くの活性剤、分散剤および担体
などが包装体であるPVA系のフィルムと徐々に反応
し、経時的にPVA系フィルムの水溶性の低下が生じ、
長期保存中に水に不溶性または難溶性となり、使用でき
なくなるという問題があった。これらの問題があるため
に、広く実用化できないのが現状である。かかる対策の
一つとして水溶性の低下を抑える為にカルボン酸変性し
たPVAフィルムを使用することが試みられている。し
かしながら、該フィルムは耐熱性が充分でなかったり放
置により水溶性の低下が生じるという特性がPVA自身
にあり、さらに農薬を包装した場合には、農薬に含まれ
る多価金属塩とのイオン架橋やキレート架橋により水溶
性が低下したり、農薬に含まれる官能基と反応し、水溶
性が経時的に低下するという問題が生じている。またカ
ルボン酸変性の他にオキシアルキレン基やカチオン性基
などをPVAに導入することも試みられているが、これ
らの変性をする場合には、高分子量のPVAが得られず
フィルム強度が極端に低下したり、湿度依存性が大きく
湿度の低い冬場では硬く脆くなったり、雨の日には全く
腰のないフィルムになるなどの欠点を有しており、農薬
包装時に農薬に含まれる種々の官能基と反応し、水溶性
の低下が生じるという問題があった。
の欠点がなく、農薬包装用のフィルムとして機械的強度
に優れ、柔軟でタフネスのあるフィルム物性を有し、さ
らに長期間にわたり農薬を包装した場合であっても良好
な水溶性が保持される農薬包装用のフィルムを提供する
ことにある。
に鑑み、鋭意検討した結果、下記の化2で表されるスル
ホン酸基含有単位を0.1〜20モル%含有する変性ポリビ
ニルアルコールを製膜してなる農薬包装用の水溶性フィ
ルムを見い出し本発明を完成するに至った。
基、R2はアルキル基、R3、R4、R5は水素またはアル
キル基、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基また
はアミンをそれぞれ示す。)上記一般式で示されるスル
ホン酸基含有単位を含有する変性PVAは、農薬、その
助剤およびその担体に含まれる多価金属塩や種々の官能
基を有する化合物と反応することがなく、化学的に非常
に安定であることから、農薬を包装した場合に長期間に
わたって水溶性の経時的な低下がほとんどない。また本
発明の変性PVAが含有しているスルホン酸基は、親水
基が強いことから、未変性のPVAフィルムよりも水へ
の溶解速度が著しく大きい。
る。本発明に使用する変性PVAは、上記一般式で表さ
れるスルホン酸基含有単位を0.1〜20モル%含有す
る変性ポリビニルアルコールである。該変性PVAは、
ビニルエステルと下記の化3で示されるスルホン酸基を
含有する重合性単量体を、塊状またはアルコールなどの
溶媒を用いた溶液中で、ラジカル開始剤の存在下で共重
合させて得られた共重合体を、アルカリまたは酸触媒を
作用させて、部分的にあるいは高度にけん化させること
によって得られる。
は化2における場合と同じ意味を有する。)ここでビニ
ルエステルとは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸
ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど
が挙げられるが、工業的に生産されコスト的に有利な酢
酸ビニルが通常使用される。本発明のスルホン酸基を含
有する重合性単量体は、上記の化3で示されるが、R1
は水素または低級アルキル基であり、水素またはメチル
基が好ましい。R2はアルキル基であることが必須であ
り、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるが、そ
の理由はアミド基の化学的安定性が高く、けん化反応に
おいても加水分解により結合が切れないようにするため
である。R3、R4、R5は水素またはアルキル基であ
る。この中でもR3はアルキル基であることが好まし
く、炭素数1〜3のアルキル基であることがアミド基の
安定性の点でより望ましい。R4およびR5は水素または
炭素数1〜3のアルキル基であることが望ましい。Mは
水素、アルカリ金属、アンモニウム基またはアミン基で
あり、アルカリ金属としてはNa、K、Liが挙げられ
る。そのMが水素の場合には、スルホン酸基が強酸のた
めに、共重合中にビニルエステルが加水分解を受けるな
どの問題が生じることがあり、一般的には部分的にある
いは完全にアルカリ金属で中和されていることが望まし
い。
酸基含有単量体の具体的な例としては次の物が挙げられ
る。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸またはそのアルカリ金属塩、2−アクリルアミド−1
−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属
塩、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸またはそのアルカリ金属塩などである。この中で
も、ビニルエステルとの共重合反応性やけん化時の安定
性などの点から2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩が好ましい。共
重合により得られた共重合体は通常アルコール溶液中で
アルカリまたは酸触媒を用いてけん化され、本発明に用
いられるスルホン酸基を含有する変性PVAが製造され
る。スルホン酸基含有変性PVA中のスルホン酸基含有
単位の含有量は0.1〜20モル%であり、好ましくは
0.5〜10モル%であり、さらに好ましくは1〜5モ
ル%である。該含有量が0.1モル%未満では、農薬を
包装した時の水溶性の経時的な安定性が悪く、水への溶
解速度も遅く好ましくない。また該含有量が20モル%
より大きい場合には、フィルムの強度が大きく低下し硬
く脆くなり、フィルムとしての物性が問題で使用できな
い。
が、フィルムの機械的な物性も重要であり、10〜50
μmの薄い厚さでも強い強度と柔軟性を要求されている
ことから、フィルムの強度やタフネスの点から、粘度平
均重合度で300〜10000が好ましく、500〜4
000がより好ましい。重合度が300未満ではフィル
ム強度が弱くなる傾向にあり、また重合度が10000
より大きい場合ではフィルムを調製するときの溶液粘度
が高くなり作業性に問題があり好ましくない。該変性P
VAのけん化度は、フィルム強度、フィルムのコシおよ
び製袋性を考慮すると、通常40〜100モル%であ
り、好ましくは60〜100モル%であり、さらに好ま
しくは70〜99.5モル%である。
上記に詳細に説明したが、以下に示す変性PVAは本発
明においては好ましくないことから使用できない。従来
より知られているPVAへのスルホン酸基の導入方法と
しては、PVAと濃硫酸を反応させる方法、ヨウ素など
で酸化処理した後に酸性亜硫酸ソーダと反応させる方
法、あるいはスルホン酸基を有するアルデヒドを用いて
アセタール化する方法などのいわゆる後反応による変性
は実験室では合成可能であるが工業的には工程が複雑で
コスト的にも高価であり、性能的にも均一な変性ができ
なかったり、高重合度の変性PVAを製造することがで
きないなどの問題が多い。またエチレンスルホン酸、ア
リルスルホン酸、メタアリルスルホン酸などのオレフィ
ンスルホン酸またはそれらの塩とビニルエステルの共重
合体をけん化することによって得られる変性PVAは、
その製造時にビニルエステルや溶媒へのオレフィンスル
ホン酸の溶解性が低いことから、好条件での製造が困難
であり、また重合速度が遅く、得られる共重合体の重合
度も低いことから、強度的に優れたフィルムが得られな
いという致命的な欠陥があり使用できない。また別のス
ルホン酸基含有単量体として、スルホアルキル(メタ)
アクリル酸エステルやその他の共重合可能な酸のエステ
ル基にスルホン酸を有する単量体とビニルエステルとの
共重合によって得られるスルホン酸変性ポリビニルエス
テルは合成は可能であるが、その後のけん化反応でスル
ホン酸基含有単位中のエステル基も同様にけん化され、
生成した変性PVA中にスルホン酸基を含有することが
できないために使用できない。
はその水溶液を流延するか、適当な可塑剤または水の存
在下で溶融押出するなどの任意の方法が用いられる。そ
の際、必要に応じて着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥
離剤、紫外線吸収剤、無機粉体などの通常の添加剤を適
宜配合しても差し支えない。また必要に応じて、本発明
の特性を失わない範囲内で通常のPVA、澱粉、カルボ
キシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シメチルセルロースなどの水溶性高分子を添加しても良
い。また農薬を包装する水溶性フィルムは高温多湿の地
域や寒冷地でも使用されるために、フィルムの強度やタ
フネスが要求され、特に低温での耐衝撃性が必要とされ
る。そのため一般にフィルムのガラス転移点を下げるた
め種々の可塑剤が用いられる。可塑剤としては通常のP
VAの可塑剤として一般に用いられているものであれば
全て使用可能である。具体的な可塑剤としては、グリセ
リン、ジグリセリン、ジエチレングリコールなどの多価
アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノール
A、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体、その他
N−メチルピロリドンなどのアミド化合物や水などがこ
れに含まれる。可塑剤の添加量としては使用する変性P
VAの種類や使用する農薬の種類によっても異なるが、
変性PVA100重量部に対して、0〜50重量部、好
ましくは5〜30重量部である。
された薬剤、農作物(樹木を含む)または農林産物を害
する菌、線虫、ダニ、昆虫、ネズミ、雑草などの動植物
の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、除草剤、その他の
薬剤などが挙げられる。具体的にはボルドー剤などの殺
菌散布剤、クロルピクリンなどの土壌や種子の消毒剤、
有機リンやDDTなどの殺虫剤、シュラーダンなどの浸
透殺虫剤、2,4−D(2,4−ジクロルフェノキシ酢
酸)などの除草剤、ナフチル酢酸などの植物成長調整
剤、殺ソ剤、誘引剤、忌避剤などが挙げられる。また農
薬の助剤として用いられるタルク、カオリン、ベントナ
イトなどの展開剤やスルホキシドなどの共力剤、また農
薬の水への親和性を上げたり、均一に分散するための界
面活性剤や分散剤も本発明の農薬に含まれる。本発明の
スルホン酸基含有変性PVAを用いた水溶性フィルムに
ユニット包装された農薬は、水に投入し溶解して使用す
る水和剤および畑や水田に直接投入するジャンボ剤など
の種々の使用方法が可能である。形態としては粉体状、
顆粒状、場合によっては有機溶剤に溶解した液体状の農
薬が使用できる。通常、農薬は数グラムから数キログラ
ムが包装され箱や、さらにアルミの外装袋に入れて保
存、輸送され、現場で使用される。
説明するが、本発明はこれによって限定されるものでは
ない。なお実施例中、特に断りのないかぎり「%」およ
び「部」は重量基準を表す。 [水溶性フィルムの水溶性の測定方法]フィルムサンプ
ルを40×40mmの正方形に切り、これをスライドマ
ウントに鋏み、20℃および10℃の攪拌をしている水
中に浸漬し、フィルムが完全に溶解するまでの時間(秒
数)を測定し評価した。 [耐熱性]フィルムをヒートシーラーで140℃、1k
g/cm2、2秒間の条件下でヒートシールを行い、そ
のヒートシール部分について上記水溶性試験を20℃で
行った。
スルホン酸ナトリウムをメタノール溶媒中で共重合して
得られた共重合体のメタノール溶液を水酸化ナトリウム
のメタノール溶液を添加することによって常法によりけ
ん化反応を行い、重合度1720、けん化度98モル
%、スルホン酸基含有単位3モル%のスルホン酸基含有
変性PVAを得た。この変性PVA100部に対しグリ
セリン20部を用いて水溶液を作製し、70℃の熱ロー
ルへ流延し厚さ40μmのフィルムを得た。このフィル
ムから10cm×20cmの袋を作り、農薬(殺虫剤、
水和物)の微粉末40gを入れ熱シールして密封した。
この農薬包装をさらにポリエチレンにアルミ箔をラミネ
ートしたフィルムで熱シールして密封し、農薬包装袋か
ら水や可塑剤が飛散しないようにした。この袋を長期保
存テストの加速試験として50℃の恒温槽に入れ放置
し、2週間目、4週間目に取り出し包装したフィルムの
水溶性の経時変化をテストした。また取りだしたフィル
ムの熱シールした部分の水溶性をテストした。結果を表
1に示す。50℃、4週間後もほとんど水溶性の低下は
なく、良好であった。
ド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムとを共重
合し、ケン化反応を行うことにより、重合度1250、
けん化度88モル%、スルホン酸基含有単位2モル%の
スルホン酸基含有変性PVAを得た。この変性PVAを
用いて、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、農
薬を包装し放置試験を実施した。結果を表1に併せて示
す。
ド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムとを共重
合し、けん化反応を行うことにより、重合度1750、
けん化度98モル%、スルホン酸基含有単位6モル%の
スルホン酸基含有変性PVAを得た。この変性PVAを
用いて、実施例1と同様にして、フィルムを作製し、農
薬を包装し放置試験を実施した。但しフィルムに添加す
る可塑剤として、PVA100部に対しグリセリン15
部およびジグリセリン10部を使用した。結果を表1に
併せて示す。
分とする殺菌剤(銅水和剤、亜鉛およびマグネシウムイ
オンを含む)に代えた他は、実施例1と同様にして包装
袋の放置試験を実施し、水溶性の経時変化を見た。結果
を表1に併せて示す。
度1750、けん化度88モル%)を用いた他は実施例
1と同様にして、フィルムを作製し、農薬を包装し包装
袋の放置試験を実施し水溶性の経時変化を見た。結果を
表1に併せて示す。
A(重合度1780、けん化度96モル%、変性度2モ
ル%)を用いた他は、実施例1と同様にして、フィルム
を作製し、農薬を包装し包装袋の放置試験を実施し水溶
性の経時変化を見た。結果を表1に併せて示す。
に代えて、アリルスルホン酸ナトリウムを用いた他は、
実施例1と同様にして、酢酸ビニルと共重合し、けん化
反応を行うことにより、アリルスルホン酸基含有変性P
VAを調製した。この変性PVAは、重合度250およ
びけん化度88モル%であり、変性度は1.5モル%で
あった。この変性PVAを用いて、実施例1と同様にし
てフィルムを作製し、農薬を包装し放置試験を実施した
ところ、フィルムの強度が非常に低く、ちょっとした衝
撃により、容易に破れたり、ひびが生じ、農薬包装用の
水溶性フィルムとしては、性能的に非常に劣り、全く使
用できないものであった。尚、アリルスルホン酸基含有
変性PVAのフィルム強度を向上させるために、該変性
PVAの重合度を増加させようとしたが、該変性PVA
の場合には、重合度を増加させることができなかった。
は、機械的強度に優れるとともに、長期間にわたって農
薬を包装して放置した場合であっても良好な水溶性が発
現する。
Claims (1)
- 【請求項1】 下記の化1で表されるスルホン酸基含有
単位を0.1〜20モル%含有する変性ポリビニルアル
コールを製膜してなる農薬包装用の水溶性フィルム。 【化1】 (ここで、R1は水素または低級アルキル基、R2はアル
キル基、R3、R4、R5は水素またはアルキル基、Mは
水素、アルカリ金属、アンモニウム基またはアミンをそ
れぞれ示す。)
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