JP3850970B2 - 高分子組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はビニルアルコール系重合体および水溶性蛋白質を含有する高分子組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水溶性高分子であるビニルアルコール系重合体(以下、PVA系重合体と略記することがある)は保護コロイド能やフィルム物性に特に優れていることから、多方面に利用されている。
一方、ゼラチンやカゼインなどの水溶性蛋白質はその特有の性質から、特に感光性材料としして広く利用されている。しかしながら、ゼラチンやカゼインなどの水溶性蛋白質は、フィルムが脆く強度的にも弱く、同時に湿度に対する感受性が強く、高湿度下では表面にべたつきが生じるという欠点を有しており、これらの改良が強く望まれている。これらの点を改良するために種々の試みがなされており、フィルム強度の大きい水溶性高分子とりわけPVA系重合体をブレンドする方法は一つの有効な手段と考えられている。しかしながら、PVA系重合体の耐水性が不足し高湿度下では表面にべたつきが生じたり、水溶性蛋白質とPVA系重合体の相溶性が悪いことから、フィルムの透明性が必要とされる感光性材料の分野には使用しにくいのが現状である。
【0003】
フィルム強度の向上および高湿度下におけるフィルム表面のべたつきを減少させるために、PVA系重合体とゼラチンやカゼインなどの水溶性蛋白質との相溶性を向上させる試みがなされている。末端に長鎖アルキル基を有するPVA系重合体(特開昭63−20349号)の場合には、PVA系重合体とゼラチンやカゼインとの相溶性は向上するが、高湿度下におけるフィルム表面のべたつきの問題が依然として残っており、またPVA系重合体の水溶液が発泡しやすいことから、作業性に問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PVA系重合体と水溶性蛋白質との相溶性に優れ、かつ水溶性蛋白質のフィルムの欠点である脆く弱い点がなく、吸湿に伴うフィルム表面のべたつきが少ない高分子組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アミノ基を有するビニルアルコール系重合体(A)、水溶性蛋白質(B)および架橋剤(C)からなり、成分(A)/成分(B)=90/10〜5/95、{成分(A)+成分(B)}/成分(C)=99.8/0.2〜80/20である高分子組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
【発明の実際の形態】
本発明に用いるアミノ基を有するビニルアルコール系重合体(A)としては、重合体主鎖に直接結合したアミノ基を有するPVA系重合体、重合体側鎖のアルキル基に結合したアミノ基を有するPVA系重合体、重合体側鎖のフェニル基に結合したアミノ基を有するPVA系重合体などが挙げられる。これらの中でも、架橋性に優れる点から、フェニル基に結合したアミノ基を有するPVA系重合体が好ましい。該PVA系重合体の構造には特に制限はなく、例えば下記の化3または化4で表される構造単位を有するPVA、芳香族アミノ基を有するアルデヒドとのアセタール化物構造を有するPVA、あるいはアミノ安息香酸ビニル単位を有するPVA等が挙げられる。これらの中でも、下記の化3または化4で表される構造単位を有するPVAが最も適している。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】
(ここで、R1,R2,R3,R4およびR5は水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、Aは2価の炭化水素基を表し、Sは硫黄原子を表し、Xはフェニル基に結合したアミノ基を含有する1価の基を表す。)
【0010】
アミノ基を含有する単位の含有量は0.01〜30モル%が好ましく、重合体中における該単位の分布には特に制限はない。該単位の含有量が0.01モル%未満の場合には、架橋密度が不充分であることから、吸湿に伴うフィルム表面のべたつきが少ないフィルムが得られない。該単位の含有量が30モル%より大の場合には、PVAの特長が失われると同時に水性分散液の調製が困難になる場合がある。該単位の含有量のさらに好ましい範囲としては0.02〜20モル%であり、特に好ましい範囲は0.05〜15モル%である。
【0011】
上記の化3または化4で表される構造単位中のR1,R2,R3,R4およびR5は、水素原子または(置換基を有していてもよい)炭素数8以下の炭化水素基であれば特に制限はないが、R1が水素原子で、R2が水素原子またはメチル基であり、R3,R4およびR5が水素原子または炭素数8以下(より好ましくは炭素数6以下)の炭化水素であるものが好ましい。なお、R3とR4(またはR5)がいっしょになって環を形成することも差し支えない。
【0012】
化4で表される構造単位中のAは、(窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子の少なくとも1種を含んでいてもよい)2価の炭化水素基であればその構造に特に制限はなく、例えば、−CH2OCH2−、−OCH2−、−CONH−φ−OCH2−、−CONHCH2−、−CONHCH2OCH2−、−CONHCH2OCH2CH2−、−CONHCH2OCH2CH2CH2−、−CONHCH2OCH2CH2CH2CH2−、−CONHCH2−φ(CH3)2−CH2−等が例示される。(なお、φはフェニル基を意味する。)
【0013】
化3または化4で表される構造単位中のXは、フェニル基に結合したアミノ基を含有する一価の基であればその構造には特に制限はなく、たとえば、−ph−NH 2 (1,2−)、−ph−NH 2 (1,3−)、−ph−NH 2 (1,4−)、−CH2−ph−NH 2 (1,2−)、−CH2−ph−NH 2 (1,3−)、−CH2−ph−NH 2 (1,4−)、−CH2CH2−ph−NH 2 (1,2−)、−CH2CH2−ph−NH 2 (1,3−)、−CH2CH2−ph−NH 2 (1,4−)、−ph(CH3)−NH 2 (1,2,3−)、−ph(CH 3 )−NH 2 (1,2,4−)、−ph(CH3)−NH 2 (1,2,5−)、−ph(CH3)−NH 2 (1,2,6−)、−nph−NH 2 (1,2−)、−nph−NH 2 (1,4−)、−nph−NH 2 (1,8−)等が例示される。(なお、phはフェニル基を意味し、nphはナフタレン基を意味する。)
【0014】
本発明に用いるアミノ基を有するPVA系重合体(以下、アミノ基変性PVAと略記することがある)の重合度は、該重合体の4%のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液の20℃の粘度(B型粘度計で測定)で表して、1.2〜10000mPa・sが好ましく、1.5〜5000mPa・sがより好ましく、2〜2000mPa・sが特に好ましい。
4%のDMSO溶液の粘度が1.2mPa・s未満になると、本発明の変性PVA組成物の皮膜物性が発現しないため、目的の性能が発現しない。4%のDMSO溶液の粘度が10000mPa・sより大になると、ポリマー溶液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になり、均一なフィルムが得られない。
【0015】
本発明に用いるアミノ基変性PVAのけん化度は50〜99.99モル%が好ましく、70〜99.9モル%がより好ましく、75〜99.8モル%がより好ましく、80〜99.7モル%が特に好ましい。けん化度が50モル%未満の場合には、水溶性が低下し満足な水性分散液の調製が困難になったり、耐水性が低下することから、目的とする高分子組成物が得られない。けん化度が99.99モル%より大の場合には、重合体の生産が難しい。
【0016】
本発明に用いるアミノ基を有するPVA系重合体(A)の製造方法としては、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中で、ビニルエステル系単量体とN−ビニルアミド系単量体との共重合体をけん化するなどの公知の方法が挙げられる。
N−ビニルアミド系単量体としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどが挙げられ、これらの単量体はけん化によりアミノ基が生成する。
【0017】
また、本発明において用いるフェニル基に結合したアミノ基を有するPVA系重合体(A)の製造方法としては、エポキシ基を有する単量体とビニルエステル系単量体との共重合体を芳香族アミノ基を有するメルカプタンと反応させた後けん化する方法、PVAと芳香族アミノ基を有するアルデヒド類とのアセタール化反応による方法などが挙げられるが、前者の方法の方が簡便であり好ましい。エポキシ基を有する単量体とビニルエステル系単量体との共重合体を得る方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重合法が採用される。溶液重合時に使用される溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
【0018】
エポキシ基を有する単量体とビニルエステル系単量体から構成される共重合体のエポキシ基と芳香族アミノ基を有するメルカプタンとの反応は、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で行われる。この反応においては、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどのアルカリを触媒として用いるのが好ましい。反応温度には特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
【0019】
上述の方法で用いるビニルエステル系単量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、一般には酢酸ビニルが用いられる。
上記の方法により得られる変性ポリビニルエステルは、N−ビニルアミド類あるいはエポキシ基を有する単量体とビニルエステル系単量体のみで構成されるものであってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合してもよい。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいはその炭素数1〜18のモノもしくはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩等が挙げられる。これらの含有量としては、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、3モル%以下がさらにより好ましい。
【0020】
エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、ブタジエンモノエポキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、8−ヒドロキシ−6,7−エポキシ−1−オクテン、8−アセトキシ−6,7−エポキシ−1−オクテン、N−(2,3−エポキシ)プロピルアクリルアミド、N−(2,3−エポキシ)プロピルメタクリルアミド、4−アクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、3−アクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、4−メタクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、3−メタクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、N−グリシドキシメチルアクリルアミド、N−グリシドキシメチルメタクリルアミド、N−グリシドキシエチルアクリルアミド、N−グリシドキシエチルメタクリルアミド、N−グリシドキシプロピルアクリルアミド、N−グリシドキシプロピルメタクリルアミド、N−グリシドキシブチルアクリルアミド、N−グリシドキシブチルメタクリルアミド、4−アクリルアミドメチル−2,5−ジメチル−フェニルグリシジルエーテル、4−メタクリルアミドメチル−2,5−ジメチル−フェニルグリシジルエーテル、アクリルアミドプロピルジメチル(2,3−エポキシ)プロピルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルジメチル(2,3−エポキシ)プロピルアンモニウムクロリド、メタクリル酸グリシジル等が用いられる。
【0021】
変性ポリビニルエステルのエポキシ基に付加させる芳香族アミノ基を有するメルカプタンとしては、メルカプト基と芳香環に結合したアミノ基を有する化合物である。例えば、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−(N−メチル)アミノチオフェノール、3−(N−メチル)アミノチオフェノール、4−(N−メチル)アミノチオフェノール、2−(N,N−ジメチル)アミノチオフェノール、3−(N,N−ジメチル)アミノチオフェノール、4−(N,N−ジメチル)アミノチオフェノール等が挙げられる。また、これらの酢酸エステルや安息香酸エステル等のエステルも使用できる。
【0022】
また、本発明に用いるPVA系重合体は、2−メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、n−ドデシルメルカプタンなどの炭素数2〜50の炭化水素メルカプタンなどのチオール存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体と、N−ビニルアミド系単量体あるいはエポキシ基を有するビニル単量体を共重合した後、けん化することによって得られる末端変性物でもよい。
【0023】
本発明に用いる水溶性蛋白質(B)としては、カゼイン、ゼラチン、アルブミンおよびこれらの変性物が挙げられる。これらの中でも、ゼラチンまたはカゼインが好んで用いられる。カゼインとしては、酸カゼイン、カゼインナトリウムなどが挙げられる。ゼラチンとしては、酸性法ゼラチン、アルカリ法ゼラチンなどが挙げられる。
【0024】
本発明に用いる架橋剤(C)としては、多価エポキシ化合物、アルデヒド化合物、多価イソシアネート化合物、ビニルスルホン酸などが挙げられる。
架橋剤(C)のうち多価エポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジβ−メチルグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クロル化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、エポキシウレタン樹脂等のグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸グリシジルエーテル・エステル等のグリシジルエーテル・エステル型;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、アクリル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型;グリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルアミノフェノール等のグリシジルアミン型;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキサイド等の脂環族エポキシ樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0025】
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのモノアルデヒド類、グリオキザール、マロンアルデヒド、グルタルアルデヒド、ピメリンジアルデヒド、スベリンジアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等のジアルデヒド類が挙げられる。
【0026】
多価イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、水素化TDI、トリメチロールプロパン−TDIアダクト(例えばバイエル社製、商品名:Desmour L)、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビスジフェニルイソシアネート(MDI)、水素化MDI、重合MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。また、乳化剤を用いて水に分散させたイソシアネートも使用できる。
【0027】
ビニルスルホン酸としては、特開昭53−57257号、特開昭53−41221号、特公昭47−24259号、特公昭49−13563号などに記載されているものが使用できる。
【0028】
本発明の高分子組成物において、成分(A)と成分(B)との重量混合比は、成分(A)/成分(B)=90/10〜5/95であり、また、 { 成分(A)+成分(B) } と成分(C)との重量混合比は、 { 成分(A)+成分(B) } /成分(C)=99.8/0.2〜80/20である。{成分(A)+成分(B)}/成分(C)が99.99/0.01を超える場合あるいは70/30未満の場合には耐水性および相溶性が低下する。
【0029】
本発明の高分子組成物は水溶液の状態で使用されるが、組成物の相溶性向上の点から、水溶液のpHは7以上が好ましく、8以上が特に好ましい。
本発明の高分子組成物には、他の水溶性ポリマー、界面活性剤、消泡剤、防かび剤などの成分を適宜含有させることができる。
【0030】
本発明の高分子組成物は、PVA系重合体、水溶性蛋白質および架橋剤の相溶性が良好であり、かつ水溶性蛋白質のフィルムの欠点である脆く弱い点が改善され、吸湿に伴うフィルム表面のべたつきが少ないフィルムが得られることから、感光性材料として好適に利用できるほか、紙加工用にも利用できる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお以下の実施例および比較例において「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0032】
(エポキシ基を有するビニルエステル系重合体の合成例)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた反応器に、酢酸ビニルモノマー360部、アリルグリシジルエーテル8.8部、2−メルカプトエタノール0.013部およびメタノール75部を仕込み、窒素ガスを15分間バブリングして脱気した。別途、メタノール15部に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.5部を溶解した開始剤溶液および2−メルカプトエタノールの4%メタノール溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。
反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、別途調製した開始剤溶液を添加し重合を開始した。同時に2−メルカプトエタノールの4%メタノール溶液7.6mlを60℃で6時間連続的に添加しながら重合した後、冷却して重合を停止した。この時の固形分濃度は63.0%であった。続いて30℃、減圧下にメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(濃度46.5%)を得た。このメタノール溶液の一部をエーテル中に投入してポリマーを回収し、アセトン−エーテルで2回再沈精製した後、40℃で減圧乾燥した。この精製ポリマーについて、CDCl 3 を溶媒にしてプロトンNMR(日本電子製、GSX−270)測定およびアセトン中、30℃で測定した極限粘度[η]から次式により粘度平均重合度(P)を算出したところ、アリルグリシジルエーテル単位(エポキシ基)を1.8モル%含有する粘度平均重合度が475のポリ酢酸ビニル共重合体であった。
P=([η]×103/7.94)(1/0.62)
【0033】
(フェニル基に結合したアミノ基を有するPVA系重合体の合成例)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた反応器に、上記で得られたエポキシ基含有ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液(濃度46.5%)100部を計り取り15分間窒素ガスをバブリングした後、2−アミノチオフェノール2.3部と酢酸ナトリウム0.70部をメタノール48部に溶解したものを仕込んだ。撹拌しながら50℃で2時間反応させた後、40℃に冷却してから濃度10%の水酸化ナトリウムのメタノール溶液を3.9部添加しけん化を行った。40℃で5時間放置した後粉砕し、酢酸8部を加えて中和した。次に、ソックスレー抽出器を用いてメタノールで48時間以上洗浄し、60℃で20時間以上乾燥して、変性ビニルアルコール系重合体を得た。該重合体のIRおよびプロトンNMR(d6−DMSO)を測定したところ、エポキシ基は完全に消失しており、1.8モル%のアミノ基(アニリン基)の導入が確認でき、ビニルアルコール含量は87.5モル%、けん化度に換算すると89.1モル%であった。また、該ポリマーを水中、30℃で測定した極限粘度[η]から次式により粘度平均重合度(P)を算出したところ、粘度平均重合度が460のポリビニルアルコール共重合体であった。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
【0034】
組成物の評価は、以下の方法で行った。
(相溶性)
得られたフィルム(厚み約40μm)について相分離の有無を観察し、相溶性を判定した。その結果を下記の記号で示す。
○:均質である
△:やや相分離が認められる
×:明らかに相分離している
【0035】
(フィルムの強靱性)
得られたフィルム(厚み約40μm)について20℃,65%RHの条件で調湿した後、触感で強靭性を観察し判定した。その結果を下記の記号で示す。
○:靱性が大きく強靱である
△:靭性が中程度でやや脆さが認められる
×:靭性が小さく明らかに脆い
【0036】
(フィルムの耐水性)
得られたフィルム(厚み約40μm)について20℃,65%RHの条件で調湿した後、触感でフィルム表面のべたつきを観察し、耐水性を判定した。その結果を下記の記号で示す。
○:全くべたつきがなく耐水性に優れる
△:ややべたつきがあり軽度の耐水性を有す
×:べたつきがあり耐水性がない
【0037】
実施例1
カゼイン(半井化学薬品製試薬)の5%アンモニア性水溶液(pH=8.5)、前記の合成例で得られた変性PVAの5%水溶液およびエチレングリコールジグリシジルエーテルの5%水溶液をそれぞれ調製し、表1に示す割合で混合し、室温で流延して厚み41μmのフィルムを得た。得たフィルムの相分離の有無、強靱性および耐水性を比較した。その結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例1において用いた本発明の変性PVAに代えて、表1に示したポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
比較例2
実施例1において用いたエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いないこと以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例2
ゼラチン(関東化学製試薬)の10%水溶液(NaOHでpH=9.5に調整)、表2に示す変性PVAの10%水溶液およびエチレングリコールジグリシジルエーテルの10%水溶液をそれぞれ調製し、表2に示す割合で混合し、室温で流延して厚み40μmのフィルムを得た。得たフィルムの相分離の有無、強靱性および耐水性を実施例1の場合と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
【0042】
比較例3
実施例2において用いた本発明の変性PVAに代えて、表2に示したポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実施例2と同様にして試験を行った。その結果を表2に示す。
【0043】
比較例4
実施例2において用いたエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いないこと以外は、実施例2と同様にして試験を行った。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
実施例3
実施例1において用いた変性PVAに代えて、表3に示したN−ビニルホルムアミドと酢酸ビニルの共重合体をけん化して得た一級アミノ基変性PVAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を表3に示す。
【0046】
実施例4
ゼラチン(関東化学製試薬)の10%水溶液(NaOHでpH=9.5に調整)、表3に示すN−ビニルホルムアミドと酢酸ビニルの共重合体をけん化して得た一級アミノ基変性PVAの10%水溶液および水分散性イソシアネート(コロネートC−3053、日本ポリウレタン工業製)の10%水溶液をそれぞれ調製し、表3に示す割合で混合し、室温で流延して厚み40μmのフィルムを得た。得たフィルムの相分離の有無、強靱性および耐水性を実施例1の場合と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
【0047】
比較例5および6
実施例3および実施例4において用いた変性PVAに代えて、表3に示したポリビニルアルコールを用いたこと以外は、実施例3および実施例4と同様にして試験を行った。その結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表1〜3から明らかなように、アミノ基変性PVA、水溶性蛋白質および架橋剤からなるフィルムは、比較例に比べ、相溶性、強靱性および耐水性が同時に向上していることが分かる。
【0050】
【発明の効果】
本発明の高分子組成物は、PVA系重合体、水溶性蛋白質および架橋剤との相溶性が良好であり、強靱かつ耐水性に優れるフィルムが得られることから、感光性材料として好適に利用できるほか、紙加工剤としても利用できる。
Claims (5)
- アミノ基を有するビニルアルコール系重合体(A)、水溶性蛋白質(B)および架橋剤(C)からなり、成分(A)/成分(B)=90/10〜5/95、{成分(A)+成分(B)}/成分(C)=99.8/0.2〜80/20である高分子組成物。
- アミノ基を有するビニルアルコール系重合体(A)がフェニル基に結合したアミノ基を有するビニルアルコール系重合体である請求項1記載の高分子組成物。
- 水溶性蛋白質(B)がゼラチンまたはカゼインである請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子組成物。
- 架橋剤(C)が多価エポキシ化合物、アルデヒド化合物、多価イソシアネート化合物およびビニルスルホン酸の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子組成物。
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