JPH07116347B2 - 耐衝撃性に優れるポリオキシメチレン組成物 - Google Patents

耐衝撃性に優れるポリオキシメチレン組成物

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JPH07116347B2
JPH07116347B2 JP1103496A JP10349689A JPH07116347B2 JP H07116347 B2 JPH07116347 B2 JP H07116347B2 JP 1103496 A JP1103496 A JP 1103496A JP 10349689 A JP10349689 A JP 10349689A JP H07116347 B2 JPH07116347 B2 JP H07116347B2
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ポリオキシメチレン組成物に関するものであ
る。
更に詳しく言えば、本発明は、優れた耐衝撃性を有し、
かつポリオキシメチレンの本来有している曲げ弾性率等
の優れた機械物性、優れた成形性を損なわないことを特
徴とする、ポリオキシメチレン組成物に関するものであ
る。
(従来の技術) ポリオキシメチレンは、機械物性特性、疲労特性、摩擦
摩粍特性に優れているために、近年エンジニアリングプ
ラスチックとしての需要はますます増大する傾向にあ
る。
しかしながら、ポリオキシメチレンは耐衝撃性、例え
ば、ノッチ付きアイゾッド値が低く、成形時の残留応力
や小さな傷などが存在すると破壊しやすいという欠点を
有している。
この欠点を改良する方法として、特開昭59−136343号公
報では、2相構造よりなるアクリル系の多相インターポ
リマーであって、第1相(中心相)がエラストマー相、
第2相(最外相)が硬質相からなる多相インターポリマ
ーを、ポリオキシメチレンに添加することにより、得ら
れる組成物の耐衝撃性が改良されることが開示されてい
る。
特開昭62−36451号公報、特開昭63−33466号公報におい
ても、同様に2相構造よりなるアクリル系の多相インタ
ーポリマーを添加することによって、ポリオキシメチレ
ンの耐衝撃性を改良する方法が開示されている。
これらの多相インターポリマーは、特開昭59−136343号
公報に開示されているように、第1相と第2相の間に中
間相を導入してもよい。例えば、第1相であるアクリル
系のエラストマー相と、第2相であるアクリル系の硬質
相の間に、スチレンを主成分とする中間相を導入しても
よい。しかし、この中間相を有した多相インターポリマ
ーも第1相がエラストマー相、第2相が硬質相からなる
2相構造を有していると言える。
これまで述べた2相構造を有する多相インターポリマー
をポリオキシメチレンに添加して得られる組成物は、耐
衝撃性の向上は得られるものの、エラストマー成分をポ
リオキシメチレンに通常添加した時と同様に、曲げ弾性
率、曲げ強度、さらには、組成物自身の成形性の低下を
生じてしまう。ポリオキシメチレンの優れた機械物性、
成形性を保持するためにも、これらの低下を極力少なく
することが常に望まれている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、このような従来技術における課題を克
服し、ポリオキシメチレンの優れている機械物性特性
(特に曲げ特性)、成形性、疲労特性、及び摩擦摩粍特
性を保持したまま、耐衝撃性に優れたポリオキシメチレ
ン組成物を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の点について鋭意検討の結果、ポリ
オキシメチレンに3相構造よりなる多相インターポリマ
ーを添加することにより、ポリオキシメチレンが本来有
している優れた特徴を何ら損なうことなく、特に曲げ特
性、成形性に優れ、かつ、耐衝撃性に優れた組成物が得
られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は; ポリオキシメチレン(A)100重量部に対して、3相構
造であって、第1相(中心相)及び第3相(最外相)が
硬質相からなり、第2相(中間相)がエラストマー相か
らなる多相インターポリマー(B)を0.5〜100重量部配
合し、しかも (B)の硬質相を構成する重合体のガラス転移温度が、
(B)のエラストマー相を構成する重合体のガラス転移
温度よりも高く、かつ、 ポリオキシメチレン組成物中の(B)の粒径が、0.01〜
2.0μmの間にあることを特徴とする、ポリオキシメチ
レン組成物に関するものである。
本発明に用いられるポリオキシメチレンとは、ポリオキ
シメチレンホモポリマーまたは主鎖の大部分がオキシメ
チレン連鎖よりなるポリオキシメチレン共重合体であ
り、詳しくはホルムアルデヒドもしくはホルムアルデヒ
ドの環状オリゴマーであるトリオキサン、テトラオキサ
ンなどを単独に、またはこれらと共重合可能な1種以上
のコモノマー(たとえはエチレンオキサイド、1,4−ブ
タンジオールホルマールなど)をさらに組合せて、重合
または共重合して得られたものを末端基からの分解に対
して安定化したものをいう。
使用に際しては、通常の熱安定剤、酸化防止剤および公
知の添加剤を添加することができる。
また、一度熱安定剤等の添加剤を加えた後、粉末状に粉
砕したものも使用できる。
本発明で使用することのできる多相インターポリマー
は、3相構造であって、第1相(中心相)及び、第3相
(最外相)が硬質相からなり、第2相(中間相)がエラ
ストマー相からなり、硬質相を構成する重合体のガラス
転移温度(以下Tgと略す)がエラストマー相を構成する
重合体のTgよりも高い多相インターポリマーである。硬
質相を構成する重合体のTgは、25℃以上が好ましく、さ
らには50℃以上がより好ましい。エラストマー相を構成
する重合体のTgは、25℃未満は好ましく、さらには0℃
未満がより好ましい。
多相インターポリマーの硬質相、及びエラストマー相を
構成する重合体は、次に挙げるモノマーからなる単独重
合体でもよく、2種類以上のモノマーからなる共重合体
でもよい。
使用可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニ
ルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;塩化ビニル、
塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルモノマー;アク
リロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系モ
ノマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メ
タクリル酸ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステ
ル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒ
ドロキシエチルなどのアクリル酸エステル;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和アミド;ビニ
ルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチ
ルエーテルなどのビニルアルキルエーテルなどを挙げる
ことができる。
また、これらビニル重合性モノマーに、例えばブタジエ
ン、イソプレンなどの共役ジエンを加えて共重合させて
もよいし、これらの共役ジエンを単独重合させたもので
もよい。
多相インターポリマーのエラストマー相は、アクリル酸
エステル、又は、共役ジエンからなる重合体が好まし
く、さらには、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル、又は、スチレン−ブタジエンからなる
重合体がより好ましい。硬質相は、メタクリル酸エステ
ル、又は芳香族ビニル、又はハロゲン化ビニルからなる
重合体が好ましく、さらには、メタクリル酸メチル、又
は、スチレン、又は塩化ビニルからなる重合体がより好
ましい。
多相インターポリマーの硬質相、エラストマー相を構成
する重合体の好ましい組合せとしては、例えば、 硬質相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体、
かつエラストマー相がアクリル酸n−ブチルを主成分と
する重合体、 硬質相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体、
かつエラストマー相がアクリル酸2−エチルヘキシルを
主成分とする重合体、 硬質相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体、
かつエラストマー相がスチレン−ブタジエンを主成分と
する重合体、 硬質相がスチレンを主成分とする重合体、かつエラス
トマー相がスチレン−ブタジエンを主成分とする重合
体、 硬質相が塩化ビニルを主成分とする重合体、かつエラ
ストマー相がスチレン−ブタジエンを主成分とする重合
体、または 硬質相がアクリロニトリルを主成分とする重合体、か
つエラストマー相がスチレン−ブタジエンを主成分とす
る重合体、 などがある。
更に最も好ましいものは、多相インターポリマーの硬質
相がメタクリル酸メチルの単独重合体、又は、メタクリ
ル酸メチル80重量%以上と他の共重合可能なモノマー20
重量%以下からなる重合体から構成されかつ、エラスト
マー相がアクリル酸n−ブチルの単独重合体、又は、ア
クリル酸n−ブチル80重量%以上と他の共重合可能なモ
ノマー20重量%以下からなる重合体から構成される多相
インターポリマーである。
本発明で言う多相インターポリマーは、下記に示す慣用
の乳化重合技術を用いて製造することができる。具体的
には、3相構造からなる、第1相(中心相)及び、第3
相(最外相)に硬質相を有し、第2相(中間相)にエラ
ストマー相を有する多相インターポリマーの製法につい
て示す。; 乳化剤などの乳化重合に必要な添加剤を含む水の中へ、
第1相の硬質相の形成に必要なモノマーと重合開始剤を
加え、かきまぜながら重合を行う。
乳化剤としては、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ等の
アルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン
酸ソーダ等のアルキル芳香族スルホン酸塩などを使用す
ることができる。
重合開始剤としては、ジイソプロピルベンゼンヒドロパ
ーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化
物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などを
使用することができる。
第1相を形成する際、第1相の硬質相と第2相のエラス
トマー相の間に化学結合を持たせるために、多官能性グ
ラフト剤を使用することが好ましい。
多官能性グラフト剤としては、異なる官能性を有する多
官能単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸などのアリルエステルなどがあり、アク
リル酸アリル、メタクリル酸アリルが好ましい。
多官能性グラフト剤の添加量が、硬質相、即ち、グラフ
トベースとなる相を構成する重合体の全重量に基づい
て、0.1〜5.0重量%が好ましく、更には、0.1〜2.5重量
%がより好ましい。
第1相の硬質相を形成する重合反応が終了した時点で、
次に第2相のエラストマー相の形成に必要なモノマーを
追添する。この際、必要であれば重合開始剤を追添して
もよい。
エラストマー相に適度な弾性を与えるために、エラスト
マー相を構成するモノマーと多官能性架橋剤を共重合さ
せるのが好ましい。
多官能性架橋剤としては、ジビニル化合物、ジアリル化
合物、ジアクリル化合物、ジメタクリル化合物などの一
般に使われる架橋剤を用いることができ、ジアクリル酸
エチル、ジアクリル酸−n−ブチルが好ましい。多官能
性架橋剤の添加量は、エラストマー相を構成する重合体
の全重量に基づいて0.1〜5.0重量%が好ましく、更には
0.1〜2.5重量%がより好ましい。
第2相を形成する際、第2相のエラストマー相と第3相
の硬質相の間に化学結合を持たせるために、多官能性グ
ラフト剤を使用することが好ましい。多官能性グラフト
剤としては、異なる官能性を有する多官能単量体、例え
ばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸な
どのアリルエステルなどがあり、アクリル酸アリル、メ
タクリル酸アリルが好ましい。
多官能性グラフト剤の添加量は、エラストマー相即ち、
グラフトベースとなる相を構成する重合体の全重量に基
づいて0.1〜5.0重量%が好ましく、さらには0.1〜2.5重
量%がより好ましい。
同様に、第2相のエラストマー相の形成する重合反応が
終了した時点で、次に第3相の硬質相の形成に必要なモ
ノマーを追添する。この際、必要であれば重合開始剤を
追添してもよい。第3相の硬質相を形成する重合が終了
した時点で、多相インターポリマーの重合を終了とす
る。
乳化重合は、通常50〜90℃の温度で行われる。
上記乳化重合によって得られた多相インターポリマー
は、慣用の手段、例えば、塩析、凍結融解、あるいはス
プレードライなどの方法を用いて粒子の形態を保ったま
ま水と分離することができる。塩析は、塩化アンモニウ
ム、塩化ナトリウムなどの電解質溶液を用い、沈殿を濾
別する。更に、洗浄、乾燥工程を経て本発明で言う3相
構造からなる多相インターポリマーを得ることができ
る。
また、多相インターポリマーを構成する各相の間、即
ち、硬質相とエラストマー相の間に、硬質相及びエラス
トマー相とは組成の異なる新規な中間相を導入しても構
わない。例えば、アクリル酸n−ブチルを主成分とする
エラストマー相とメタクリル酸メチルを主成分とする硬
質相の間に新規な中間相としてスチレンを主成分とする
硬質相を導入することができる。
しかしながら、本発明で言う多相インターポリマーは、
基本的に3相構造であって、第1相(中心相)及び第3
相(最外相)が硬質相からなり、第2相(中間相)がエ
ラストマー相からなる多相インターポリマーである。本
発明で言う多相インターポリマーは、中心相に硬質相を
有している点に大きな特徴がある。更に、多相インター
ポリマーの耐衝撃性改質効果、多相インターポリマー製
造時の経済性を考慮して、硬質相−エラストマー相−硬
質相からなる3相構造を有している多相インターポリマ
ーが最も好ましい。
多相インターポリマーを構成する硬質相、及びエラスト
マー相の割合は、目的に応じて任意とすることができ
る。例えば、耐衝撃性の向上を重視する場合は、エラス
トマー相の割合を多くし、良好な曲げ弾性率を得たい場
合は、硬質相の割合を多くすることができる。
しかしながら、多相インターポリマーをポリオキシメチ
レンに混合した後、押出機を用いて溶融混練する際、そ
の多相インターポリマーの最外相である硬質相の割合、
即ち、硬質相の厚さが小さい場合は、その硬質相が破壊
されやすく、硬質相の内部に存在するエラストマー相の
影響により、その多相インターポリマー粒子が他の多相
インターポリマー粒子と凝集を起こし、本発明で得られ
る均一微分散した状態を保てなくなる。
よって、多相インターポリマーの硬質相の割合は、多相
インターポリマーの全重量に基づいて、約10〜80重量%
が好ましく、更には約25〜70重量%がより好ましい。
多相インターポリマーの最外相である硬質相は、ポリオ
キシメチレンを分解する傾向のある酸等の部位を含有し
ていない方が好ましく、重合時に使用した過酸化物など
の触媒、不純物は極力取り除いた方が好ましい。
本発明で言う耐衝撃性に優れるポリオキシメチレン組成
物を得るには、組成物中の多相インターポリマーの粒径
は0.01〜2.0μmの間にあることが必要である。粒径が
0.01μmより小さければ、本発明で得られる組成物の耐
衝撃性は改善されず、粒径が2.0μmより大きければ、
得られる組成物の成形性が大きく低下してしまう。更に
は、ポリオキシメチレン組成物中の多相インターポリマ
ーの粒径は0.05〜0.5μmの間にあることがより好まし
い。
多相インターポリマー(B)の配合割合は、ポリオキシ
メチレン(A)100重量部に対して0.5〜100重量部が必
要である。配合割合が0.5重量部未満であれば、本発明
で得られる組成物の耐衝撃性は改善されず、配合割合が
100重量部を越えると、本組成物の曲げ弾性率の低下
等、ポリオキシメチレンの有する優れた機械物性を大き
く損なってしまう。更には、多相インターポリマーの配
合割合は、5〜70重量部が好ましい。
なお、本発明の組成物には、上述の成分のほかに、その
用途等に応じて難燃化剤、離型剤、耐候性付与剤、酸化
防止剤、帯電防止剤、耐熱剤、着色剤、補強剤、界面活
性剤、無機充填剤、滑剤などの常用の補助的成分を添加
することができる。
本発明の組成物を用いて成形品を製造する方法として
は、例えば射出成形、押出成形など慣用の成形手段を採
用することができる。成形は通常170〜300℃の加熱条件
下で行われる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定
されるものではない。
なお、実施例中の測定項目は次の通りである。
引張特性: ASTM D−638に準じて測定。
ウエルド引張特性評価は、ダブルゲートの試験片形状と
し、試験片中央にウエルドラインができるような試験片
を用いて測定した。114mmチャック間標準、50mm/min引
張速度での評価である。
曲げ特性: ASTM D−790に準じて測定。
アイゾッド値(ノッチ付) ASTM D−256に準じて測定。
MI値: ASTM D−1238−57Tに準じ、190℃、2.16Kg荷重で測定。
粒径: 多相インターポリマーの粒径は、電子顕微鏡観察法によ
って測定した。
なお、使用したポリオキシメチレンは下記のものであ
る。
実施例1 (3相構造からなる多相インターポリマーの製造) 攪拌機、コンデンサーを備えた10lビーカーに、蒸留水
5.7l、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソーダ20
g、還元剤としてロンガリット1.2gを加え均一に溶解す
る。第1相としてメタクリル酸メチル(以下MMAと略
す)220g、アクリル酸n−ブチル(以下BAと略す)3.0
g、メタクリル酸アリル(以下ALMAと略す)0.8g、ジイ
ソプロピルベンゼンヒドロパーオキシ(以下PBPと略
す)0.2gの均一溶液を加え、80℃で重合した。約15分で
反応は完了した。得られた重合体のTgは、108℃であっ
た。
次いで、第2相としてBA1,270g、スチレン(以下Stと略
す)320g、ジアクリル酸ジエチレングリコール(以下DE
GAと略す)20g、ALMA13.0g、PBP1.6gを均一温度で1時
間にわたって滴下した。滴下終了後、40分で反応は完了
した。このものを単独で重合して得られた重合体のTg
は、−38℃であった。次に、第3相としてMMA680gへ、B
A4.0g、PBP0.6g、n−オクチルメルカプタン(以下OMと
略す)0.2gの均一溶液を加えた。このものを単独で重合
させて得た重合体の分子量は、1,220,000、Tgは109℃で
あった。この段階の反応は約15分で完了した。
次いで、温度を95℃に上げ、1時間保持した。得られた
乳化剤を0.5%塩化アルミニウム水溶液中に投入して重
合体を凝集させ、温水で5回洗浄後、乾燥して白色フロ
ック状の成形材料を得た。
このフロック状の多相インターポリマーを(B−1)と
する。
ポリオキシメチレン(A−1)としては、慣用の粉砕機
を用いて、その粒径が約10〜500μmの間にあるパウダ
ー状に粉砕したものを用いた。
このパウダー状のポリオキシメチレン(A−1)2Kgに
対して、上記多相インターポリマー(B−1)を0.8Kg
配合し、この混合物をヘンシェルミキサーを用いて十分
攪拌、混合した。
次に、この混合物を30mmφの口径を有する高剪断性能の
二軸押出機で、シリンダー温度200℃、スクリュー回転
数100rpm、吐出量約5Kg/Hrの条件下で溶融混練し、ペレ
ット状のポリオキシメチレン組成物を得た。
このペレットを十分乾燥させた後、MI値を測定した。
次に、シリンダー温度200℃の下で射出成形し、各試験
片を作製した後、アイゾッド値、曲げ特性、引張特性
(ウェルド部/非ウェルド部)を測定した。
また、ポリオキシメチレン組成物中の多相インターポリ
マーの粒径は、曲げ試験片の中央部を樹脂流れ方向に対
し並行な面で切削して得られた超薄切片の電子顕微鏡写
真から求めた。
評価結果を表−1に示す。
本実施例で得られた組成物は、アイゾット値が高く耐衝
撃性に優れている。更に、曲げ弾性率、MI値も良好であ
り、ポリオキシメチレンの有する優れた曲げ特性、成形
性を何ら損なうものではない。また、非フェルド部に対
するウェルド部の引張物性保持率も高く、等方性にも優
れていることが分かる。
本組成物中の多相インターポリマーの粒径は、0.08〜0.
12μmであった。
比較例−1 (2相構造から成る多相インターポリマーの製造) 攪拌機、コンデンサーを備えた10lビーカーに蒸留水5.7
l、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソーダ20g、
還元剤としてロンガリット1.2gを加え、均一に溶解す
る。
第1相としてBA970g、St244g、DEGA15g、ALMA10g、PBP
1.2gの均一溶液を加え、80℃で重合した。約40分で反応
は完了した。このものを単独で重合して得られた重合体
のTgは、−38℃であった。
次に、第2相として、MMA680gへ、BA4.0g、PBP0.6g、OM
0.2gの均一溶液を加えた。このものを単独で重合させて
得た重合体の分子量は、1,220,000、Tgは109℃であっ
た。この段階の反応は約15分で完了した。
次いで、温度を95℃に上げ、1時間保持した。得られた
乳化剤を0.5%塩化アルミニウム水溶液中に投入して重
合体を凝集させ、温水で5回洗浄後、乾燥して白色フロ
ック状の成形材料を得た。
このフロック状の多相インターポリマーを(B−2)と
する。
実施例1における3相構造から成る多相インターポリマ
ー(B−1)の代わりに、2相構造からなる多相インタ
ーポリマー(B−2)を用いたこと以外は、実施例1と
同様に評価を行った。その結果を表−4に示す。
アイゾット値は、実施例1とほぼ同等の高い値を示し耐
衝撃性は大きく改善されてはいるが、曲げ弾性率、MI値
の低下が、実施例1に較べて若干大きい。
これは、多相インターポリマーの中心相に硬質相を有す
る3相構造の多相インターポリマー(B−1)と、中心
相に硬質相を有していない2相構造の多相インターポリ
マー(B−2)との有意義な差である。即ち、2相構造
からなる多相インターポリマーでは、本発明で言う優れ
た効果は得られないことが分かる。
なお、本組成物中の多相インターポリマーの粒径は、0.
07〜1.1μmであった。
実施例2〜9 3相構造から成る多相インターポリマー(B−1)の配
合割合とポリオキシメチレンの種類を変えた以外は、実
施例1と同様にして評価を行った。
いずれも実施例1と同様に良好な結果が得られた。
その結果は表−1にまとめて示す。
実施例10〜18 実施例1の3相構造からなる多相インターポリマーの製
造において、硬質相とエラストマー相を形成するモノマ
ーの配合割合、即ち、硬質相についてはMMAとBA、エラ
ストマー相についてはBAとStの配合割合を変え、各相を
構成する重合体のTgを変えたこと以外は、実施例1と同
様な方法によって3相構造からなる多相インターポリマ
ー(B−3〜11)を製造し、実施例1と同様に評価を行
った。各多相インターポリマーの組成及びTgを表−5
に、評価結果を表−2に示す。
3相構造からなる多相インターポリマーの硬質相を構成
する重合体のTgが、エラストマー相を構成する重合体の
Tgよりも高ければ、得られた組成物は本発明で言う優れ
た特徴を有すると云うことができる。
比較例2〜4 実施例10〜18と同様な手法で、3相構造からなる多相イ
ンターポリマーであって、第1相(中心相)及び第3相
(最外相)を構成する重合体のTgが、第2相(中間相)
を構成する重合体のTgよりも低い多相インターポリマー
(B−12〜14)を製造し、実施例−1と同様に評価を行
った。
各多相インターポリマーの組成及びTgを表−6、評価結
果を表−4に示す。
3相構造から成る多相インターポリマーであっても、第
1相及び第3相を構成する重合体のTgが、第2相を構成
する重合体のTgよりも低ければ、得られた組成物は耐衝
撃性の向上が見られないか、あるいは、MI値の低下が大
きい、即ち、このような多相インターポリマーでは、本
発明で言う優れた効果は発現できないことが分かる。
実施例19〜23 実施例1の3相構造からなる多相インターポリマー(B
−1)の重合において、乳化剤として用いているジオク
チルスルホコハク酸ソーダの量を変えること以外は、実
施例1と同様な方法で、粒径の異なる3相構造からなる
多相インターポリマー(B−15〜19)を製造し、実施例
1と同様な方法で評価を行った。
各多相インターポリマーの組成を表−6に、評価結果を
表−3に示す。
本実施例で得られる組成物中の多相インターポリマーの
粒径が0.01〜2.0μmの間にあれば、実施例1と同様に
良好な結果が得られているのが分かる。
実施例24〜29 実施例1の3相構造からなる多相インターポリマー(B
−1)製造において、多相インターポリマーの硬質相ま
たは/かつエラストマー相を構成るモノマーの種類を変
えたこと以外は、実施例1と同様な方法で、組成の異な
る3相構造からなる多相インターポリマー(B−20〜2
5)を製造し、実施例1と同様な方法で評価を行った。
各多相インターポリマーの組成を表−7に、評価結果を
表−3に示す。
多相インターポリマーを構成するモノマーの種類を変え
て製造した多相インターポリマーも、実施例1で用いた
アクリル系の3相構造からなる多相インターポリマー
(B−1)と同様に本発明で言う優れた改質効果を示し
ている。
(発明の効果) 本発明のポリオキシメチレン組成物は、耐衝撃性に極め
て優れている。
しかも、従来の2相構造を有する多相インターポリマー
の添加によって生じる曲げ弾性率の低下、成形性の低下
が少ない等の元来ポリオキシメチレンが有している優れ
た特徴を損なわないという利点がある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオキシメチレン(A)100重量部に対
    して、3相構造であって、第1相(中心相)及び第3相
    (最外相)が硬質相からなり、第2相(中間相)がエラ
    ストマー相からなる多相インターポリマー(B)を0.5
    〜100重量部配合し、しかも (B)の硬質相を構成する重合体のガラス転移温度が、
    (B)のエラストマー相を構成する重合体のガラス転移
    温度よりも高く、かつ、 ポリオキシメチレン組成物中の(B)の粒径が、0.01〜
    2.0μmの間にあることを特徴とする、ポリオキシメチ
    レン組成物。
  2. 【請求項2】多相インターポリマー(B)の硬質相を構
    成する重合体のガラス転移温度が、50℃以上であり、
    (B)のエラストマー相を構成する重合体のガラス転移
    温度が0℃未満である、請求項(1)記載の組成物。
  3. 【請求項3】多相インターポリマー(B)の硬質相がメ
    タクリル酸メチルを主成分とする重合体からなり、
    (B)のエラストマー相がアクリル酸n−ブチルを主成
    分とする重合体からなる、請求項(1)記載の組成物。
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