JP2826562B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関するもので
ある。
更に詳しく言えば、本発明は、優れた耐衝撃性を有
し、かつポリアセタール樹脂成形品の全ての部分におい
て、優れた耐衝撃性を有することを特徴とする、ポリア
セタール樹脂組成物に関するものである。
(従来の技術) ポリアセタールは、機械的特性、疲労特性、摩擦摩耗
特性に優れているために、近年エンジニアリングプラス
チックとしての需要は益々増大する傾向にある。
然しながら、ポリアセタールは、耐衝撃性、例えば、
ノッチ付きアイゾット値が低く、成形時の残留応力や小
さな傷などが存在すると、破壊しやすいという欠点を有
している。
特開昭59−136343号公報には、ポリオキシメチレンに
2相構造からなる粒径が10〜100μmのアクリル系多相
インターポリマーを添加して得られる組成物が耐衝撃性
に優れることを開示している。然しながら、本公報の方
法によって得られる組成物は、加工条件により一定方向
の耐衝撃性が著しく低下するという欠点を有している。
また、耐衝撃性の向上巾も大きくない。
具体的には、射出成形、押出成形、ブロー成形などの
加工の際に、分散している多相インターポリマーに配向
のかかるような加工条件、例えば、溶融樹脂同志が射出
成形品金型内で合流してできるウェルド部では、成形品
の一定方向の耐衝撃性が著しく低下、即し、ウェルド強
度が低下してしまう。これらの現象は、ポリオキシメチ
レン中に分散している多相インターポリマーが成形品の
全ての場所で均一の分散状態を示しておらず、凝集ある
いは配向といった成形品内での分散不均一化が生じるた
めに発生するものである。
従って、本公報の方法によっては、優れた耐衝撃性を
有する組成物を得ることができない。
また、特開昭62−36451号公報には、ポリオキシメチ
レンに10〜100μmの粒径を有しかつ2相構造からなる
アクリル系多相インターポリマーと熱可塑性ポリウレタ
ンとを添加することにより、組成物の耐衝撃性が改善さ
れることを開示している。しかし、該発明でも優れた耐
衝撃性を有する組成物は得られない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、このような従来技術における欠点を
克服し、ポリアセタールの優れている機械的特性、疲労
特性、摩擦摩耗特性を保持したまま、優れた耐衝撃性を
有するポリアセタール樹脂組成物を提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは鋭意検討の結果、本発明によって得られ
た組成物が、ポリアセタールの本来有している優れた特
性を何ら損なうことなく、耐衝撃性が著しく改善される
ことを見出した。
即ち、本発明は; ポリアセタール樹脂(A)と、軟質相と硬質相の繰
り返しよりなる2相以上の多層構造を有し、かつ、その
最外相がポリアセタール相である多相インターポリマー
(B)とを含む、ポリアセタール樹脂組成物を提供す
る。また、 多相インターポリマー(B)が、第1相が軟質相で
あるエラストマー相であり、第2相がポリアセタール樹
脂以外からなる硬質相であり、最外相がポリアセタール
相である点にも特徴を有する。また、 多相インターポリマー(B)の軟質相を構成する重
合体のガラス転移温度が0℃未満である点にも特徴を有
する。また、 多相インターポリマー(B)の硬質相を構成する重
合体のガラス転移温度が50℃以上である点にも特徴を有
する。また、 多相インターポリマー(B)を構成する軟質相がア
クリル酸エステル又は共役ジエンからなる重合体である
点にも特徴を有する。また、 多相インターポリマー(B)を構成する軟質相がア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
又はスチレン−ブタジエンからなる重合体である点にも
特徴を有する。また、 多相インターポリマー(B)を構成する硬質相が、
メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、又はハロゲン化
ビニルからなる重合体である点にも特徴を有する。ま
た、 多相インターポリマー(B)を構成する硬質相が、
メタクリル酸メチル、スチレン、又は塩化ビニルからな
る重合体である点にも特徴を有する。また、 多相インターポリマー(B)の硬質相が、メタクリ
ル酸メチルの単独重合体、又はメタクリル酸メチル80重
量%以上と他の共重合可能なモノマー20重量%以下から
なる共重合体から構成され、且つ軟質相がアクリル酸n
−ブチルの単独重合体、又はアクリル酸n−ブチル80重
量%以上と他の共重合可能なモノマー20重量%以下から
なる共重合体から構成される多相インターポリマーであ
る点にも特徴を有する。また、 多相ポリマーの粒径が0.01〜2.0μmである点にも
特徴を有する。また、 多相インターポリマー(B)の配合割合が、ポリア
セタール樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部であ
る点にも特徴を有する。また、 (12) 多相インターポリマー(B)を構成する多相ポ
リマーが軟質相を構成する重合体の全重量に基いて0.1
〜5.0重量%の多官能性架橋剤を含み、且つ軟質相を構
成する重合体の全重量に基いて0.1〜5.0重量%の多官能
性架橋剤を含む多相ポリマーである点にも特徴を有す
る。また、 (13) 多相インターポリマー(B)を構成する硬質相
の割合が、多相インターポリマーの全重量に基いて25〜
80重量%である点にも特徴を有する。
本発明に用いられるポリアセタール樹脂とは、ポリオ
キシメチレンホモポリマーまたは主鎖の大部分がオキシ
メチレン連鎖よりなるポリオキシメチレン共重合体であ
り、詳しくはホルムアルデヒドもしくはホルムアルデヒ
ドの環状オリゴマーであるトリオキサン、テトラオキサ
ンなどを単独に、またはこれらと共重合可能な1種以上
のコモノマー(例えば、エチレンオキサイド、1,4−ブ
タンジオール、フォルマールなど)をさらに組合せて、
重合または共重合して得られたものを末端基からの分解
に対して安定化したものをいう。
本発明の組成物には、通常の熱安定剤、酸化防止剤お
よび公知の添加剤を添加することができる。また、一度
熱安定剤等の添加剤を加えた後、粉末状に粉砕したもの
も使用できる。
本発明で使用することのできる多相インターポリマー
は、軟質相と硬質相の繰り返しよりなる2相以上の多相
構造からなり、かつ、その最外相はポリアセタール相で
形成されている多相インターポリマーである。
例えば、2相構造からなり、第1相に軟質相であるエ
ラストマー相を有し、第2相に硬質相を有し、且つ最外
相にポリアセタール相を有する多相インターポリマーを
本発明に用いることができる。
軟質相を構成する重合体のガラス転移温度(以下、Tg
と略す)は、25℃未満が好ましく、0℃未満が更に好ま
しい。硬質相を構成する重合体のTgは、25℃以上が好ま
しく、50℃以上が更に好ましい。
多相インターポリマーの軟質相、硬質相は、次に挙げ
るモノマーからなる単独重合体、あるいは、2種類以上
のモノマーからなる共重合体から構成される。
使用可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、ビ
ニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル
系モノマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸
エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ア
クリル酸ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステ
ル;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和ア
ミド;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、
ビニルブチルエーテルなどのビニルアルキルエーテルな
どを挙げることができる。
また、これらビニル重合性モノマーに、例えば、ブタ
ジエン、イソプレンなどの共役ジエンを加えて共重合さ
せてもよいし、これらの共役ジエンを単独重合させたも
のでもよい。
多相インターポリマーの軟質相は、アクリル酸エステ
ル、又は、共役ジエンからなる重合体が好ましく、さら
には、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、又は、スチレン−ブタジエンからなる重合体が
より好ましい。
該多相インターポリマーの硬質相は、メタクリル酸エ
ステル、又は芳香族ビニル、又はハロゲン化ビニルから
なる重合体が好ましく、さらには、メタクリル酸メチ
ル、又は、スチレン、又は塩化ビニルからなる重合体が
より好ましい。
多相インターポリマー中の硬質相、軟質相を構成する
重合体の好ましい組合せとしては、例えば、硬質相がメ
タクリル酸メチルを主成分とする重合体で、かつ軟質相
がアクリル酸n−ブチルを主成分とする重合体; 硬質相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体
で、かつ軟質相がアクリル酸2−エチルヘキシルを主成
分とする重合体; 硬質相がメタクリル酸メチルを主成分とする重合体
で、かつ軟質相がスチレン−ブタジエンを主成分とする
共重合体; 硬質相がスチレンを主成分とする重合体で、かつ軟質
相がスチレン−ブタジエンを主成分とする共重合体; 硬質相が塩化ビニルを主成分とする重合体で、かつ軟
質相がスチレン−ブタジエンを主成分とする共重合体; 硬質相がアクリロニトリルを主成分とする重合体で、
軟質相がスチレン−ブタジエンを主成分とする共重合体
などがある。
最も好ましい多相インターポリマーの組合せとして
は、多相インターポリマーの硬質相が、メタクリル酸メ
チルの単独重合体、又は、メタクリル酸メチル80重量%
以上と他の共重合可能なモノマー20重量%以下からなる
共重合体から構成され、かつ、軟質相が、アクリル酸n
−ブチルの単独重合体、又はアクリル酸n−ブチル80重
量%以上と、他の共重合可能なモノマー20重量%以下の
共重合体から構成される多相インターポリマーがある。
また、これらの多相インターポリマーの最外相は、ポ
リアセタール相であることが必要である。軟質相と硬質
相との繰り返しよりなり、最外相にポリアセタール相を
有さない多層インターポリマーを用いると、耐衝撃性の
大幅な向上は達成出来ない。一方、軟質相と硬質相との
繰り返しよりなり、且つ最外相にポリアセタール相を有
する多層インターポリマーを用いると、耐衝撃性は飛躍
的に向上する。
本発明における多相インターポリマーは、下記に示す
重合技術を用いて製造することができる。具体的な例と
して、2相構造からなる、第1相に軟質相を有し、第2
相に硬質相を有し、且つ最外相にポリアセタール相を有
する多相インターポリマーの製法を示す。
乳化剤などの乳化重合に必要な添加剤を含む水の中
へ、軟質相の形成に必要なモノマーと重合開始剤を入れ
て撹拌しながら重合を行う。
乳化剤としては、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ等
のアルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ソーダ等のアルキル芳香族スルホン酸塩などを使用
することができる。
重合開始剤としては、ジイソフロピルベンゼンヒドロ
パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化
物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などを
使用することができる。
軟質相に適度な弾性を与えるために、軟質相を構成す
るモノマーと多官能性架橋剤を共重合させるのが好まし
い。
多官能性架橋剤としては、ジビニル化合物、ジアリル
化合物、ジアクリル化合物、ジメタクリル化合物などの
一般に使われる架橋剤を用いることができ、ジアクリル
酸エチル、ジアクリル酸n−ブチルが好ましい。多官能
性架橋剤の添加量は、エラストマー相を構成する重合体
の全重量に基づいて0.1〜5.0重量%が好ましく、更には
0.1〜2.5重量%がより好ましい。
更に、硬質相と軟質相の間の化学結合を行わせるため
に、多官能性グラフト剤を使用することが好ましい。多
官能性グラフト剤としては、異なる官能性を有する多官
能単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、フマル酸などのアリルエステルなどがあり、アクリ
ル酸アリル、メタクリル酸アリルが好ましい。多官能性
グラフト剤の添加量は、軟質相、即ち、グラフトベース
となる相を構成する重合体の全重量に基づいて、0.1〜
5.0重量%が好ましく、更には0.1〜2.5重量%がより好
ましい。
軟質相を構成する重合反応が終了した時点で、次に、
硬質相を構成するモノマーを追添する。この際、必要で
あれば、重合開始剤を追添することもできる。
乳化重合は、通常50〜90℃の温度で行われる。
上記乳化重合によって得られた多相ポリマーは、慣用
の手段、例えば、塩析、凍結融解、あるいはスプレード
ライなどの方法を用いて粒子の形態を保ったまま水と分
離することができる。塩析は、塩化アルミニウム、塩化
ナトリウムなどの電解質溶液を用い、沈澱をろ別する。
更に、洗浄、乾燥工程を経て、本発明で言う多相ポリマ
ーを得ることができる。
また、多相ポリマーを構成する各相の間、即ち、硬質
相と軟質相の間に、モノマー組成の異なる新規な中間相
を導入してもかまわない。
例えば、アクリル酸n−ブチルを主成分とする軟質相
とメタクリル酸メチルを主成分とする硬質相の間に、新
規な中間相としてスチレンを主成分とする硬質相を導入
することができる。
多相ポリマーを構成する硬質相及び軟質相の割合は、
目的に応じて任意とすることができる。例えば、耐衝撃
性の向上を重視する場合は、軟質相の割合を多くし、良
好な曲げ弾性率を得たい場合は、硬質相の割合を多くす
ることができる。然しなから、多相インターポリマーを
ポリオキシメチレンに混合した後、押出機を用いて溶融
混練する際に、その多相インターポリマーの硬質相の割
合、即ち、硬質相の厚さが小さい場合は、その硬質相が
破壊されやすく、その多相インターポリマー粒子が他の
多相インターポリマー粒子と凝集を起こし、均一微分散
した状態を保てなくなる。
従って、多相インターポリマー中の硬質相の割合は、
多相インターポリマーの全重量に基づいて、約25〜80重
量%が好ましく、更には約40〜70重量%がより好まし
い。
以上の方法で得られた多相インターポリマーの存在下
で、ホルムアルデヒド、トリオキサンの単独重合を行う
ことによって、最外相にポリアセタール相を有する多相
インターポリマーが得られる。あるいは、多相ポリマー
の存在下で、ホルムアルデヒド、トリオキサンと、これ
らと共重合可能な一種以上のコモノマーとを共重合する
ことによっても、本発明で用いることの出来る多相イン
ターポリマーを得ることができる。
多相インターポリマーの最外相であるポリアセタール
相は、このままでは不安定なことが多く、エステル化、
エーテル化等の末端封鎖法、加水分解法等の方法で安定
化した後、実用に供される。
また、最外相であるポリアセタール相は、その内相を
なす硬質相もしくは軟質相とグラフト性モノマーを仲介
として、結合されている方がより好ましい。
優れた耐衝撃性を有するポリアセタール樹脂組成物を
得るためには、本組成物中の多相ポリマーの粒径が、0.
01〜2.0μmの間にあることが望ましい。
また、本組成物中の多相インターポリマーの配合割合
は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.5〜100
重量部の範囲であることが望ましい。
なお、本発明の組成物には、その用途等に応じて難燃
化剤、離型剤、耐候性付与剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、耐熱剤、着色剤、補強剤、界面活性剤、無機充填
剤、滑剤などの常用の補助的成分を添加することができ
る。
本発明の組成物を用いて成形品を製造する方法として
は、たとえば射出成形、押出成形など慣用の成形手段を
採用することができる。成形は通常170〜300℃の加熱条
件下で行われる。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明を更に具体
的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限
定されるものではない。
なお、実施中の測定項目は次の通りである。
アイゾット衝撃値(ノッチ付): ASTM D−256に準じて測定 粒径: ポリアセタール樹脂組成物中の多相ポリマーの粒径
は、電子顕微鏡観察法によって測定した。
なお、使用したアセタールは下記のものである。
実施例1 かきまぜ機、コンデンサーを備えた10ビーカーに蒸
留水5.7、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソ
ーダ20g、還元剤としてロンガリット1.2gを加え均一に
溶解する。
第1相の軟質相として、アクリル酸−n−ブチル(以
下BAと略す)1,270g、スチレン(以下Stと略す)320g、
ジアクリル酸ジエチレングリコール(以下DEGAと略す)
20g、メタクリル酸アリル(以下ALMAと略す)13g、ジイ
ソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(以下PBPと
略す)1.6gの均一溶液を加え、80℃で重合した。約40分
で反応は完了した。このものを単独で重合して得られた
重合体のTgは−38℃であった。
次に、第2相の硬質相として、MMA 680g、BA4.0g、
ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)10g、PBP
0.6g、n−オクチルメルカプタン(以下OMと略す)0.2g
の均一溶液を加えた。
このものを単独で重合させて得た重合体の分子量は、
1,220,000、Tgは109℃であった。この段階の反応は約15
分で完了した。
次いで、温度を95℃に上げ、1時間保持した。得られ
た重合体を0.5%塩化アルミニウム水溶液中に投入して
重合体を凝集させ、温水で5回洗浄後、乾燥して白色フ
ロック状の多相ポリマーを得た。
次いで、n−ヘキサン10の中にこの多相ポリマー10
50grを懸濁させた後、無水のホルムアルデヒドを200gr/
時で、また重合触媒であるテトラブチルアンモニウムア
セテートを0.03gr/時で1時間連続的にn−ヘキサン中
に供給した。重合体をn−ヘキサンより分離後、蒸気状
態の無水酢酸と接触せしめて安定化を行った。
こうして得られた多相インターポリマーをB−1とす
る。
この多相インターポリマー(B−1)中の硬質相の割
合は、約30重量%であった。
次に、ポリアセタール樹脂(A−1)と多相インター
ポリマー(B−1)を用いて、本発明の優れた耐衝撃性
を有する組成物を製造する。
ポリアセタール樹脂(A−1)は、慣用の粉砕機を用
いて、その粒径が約10〜500μmの間にあるパウダー状
に粉砕したものを用いた。
次に、この混合物を30mmφの口径を有する高剪断性能
を有する二軸押出機で、シリンダー温度200℃に設定
し、スクリュー回転数100rpm、吐出量約5kg/Hrの条件下
で溶融混練し、ペレット状のアセタール樹脂組成物を得
た。
このペレットを十分乾燥させた後、シリンダー温度20
0℃設定の下で射出成形し、各試験片を作成した後、ア
イゾット値を測定した。
また、ポリアセタール樹脂組成物中の多相ポリマーの
平均粒径は、試験片の中央部を樹脂流れ方向に対し、平
行な面で切削して得られた超薄切片の電子顕微鏡写真か
ら求めた。
評価結果を表−1に示す。
表−1より明らかな如く、本実施例では、優れた耐衝
撃性を有する組成物が得られている。
実施例2〜4 表−1に示すポリアセタール樹脂と多相インターポリ
マーより組成物を製造し、物性の測定を行った。その結
果を表−1にあわせて示した。いずれの実施例において
も、耐衝撃性は大幅に向上している。
比較例1〜4 実施例1で用いた多相インターポリマー製法のうち、
多相ポリマー共存下でのホルムアルデヒドの重合を省略
し、最外相が硬質相のままである多相ポリマー(B−
2)を用いた外は、全て実施例1〜4と同様に操作し
た。その結果を表−2に示す。
耐衝撃性は、A−1(6.2kg・cm/cm)、A−2(4.8k
g・cm/cm)、A−3(4.9kg・cm/cm)に較べて向上して
いるが、大幅な向上とは言い難い。
実施例5〜7 実施例1で行った多相インターポリマー(B−1)の
製造において、軟質相を構成するBAとStの割合、又は/
かつ硬質相を構成するMMAとBAの割合を変え、軟質相を
構成する重合体のTgと硬質相を構成する重合体のTgを変
えたこと以外は、実施例1と同様にして多相インターポ
リマー(B−5〜7)を製造し、評価を行った。
これらの多相インターポリマーの組成及びTg、評価結
果を表−3に示す。
いずれの実施例においても、優れた耐衝撃性を示す良
好な結果が得られた。
実施例8〜13 実施例1で行った多相インターポリマー(B−1)の
製造において、軟質相、または/かつ硬質相を構成する
モノマーの種類と割合を変えたこと以外は、実施例1と
同様な方法で多相インターポリマー(B−8〜13)を製
造し、実施例1と同様に評価した。
これらの多相インターポリマーの組成と評価結果を表
−3に示す。
いずれの実施例においても、全て良好な結果が得られ
ていることが分かる。
(発明の効果) 本発明のポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性に極
めて優れているという利点がある。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 59/02

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアセタール樹脂(A)と、軟質相と硬
    質相の繰り返しよりなる2相以上の多層構造を有し、か
    つ、その最外相がポリアセタール相である多相インター
    ポリマー(B)とを含むことを特徴とする、ポリアセタ
    ール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】多相インターポリマー(B)が、第1相が
    軟質相であるエラストマー相であり、第2相が硬質相で
    あり、最外相がポリアセタール相であるを特徴とする、
    請求項(1)記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 【請求項3】多相インターポリマー(B)の軟質相を構
    成する重合体のガラス転移温度が0℃未満であることを
    特徴とする、請求項(1)又は(2)記載のポリアセタ
    ール樹脂組成物。
  4. 【請求項4】多相インターポリマー(B)の硬質相を構
    成する重合体のガラス転移温度が50℃以上であることを
    特徴とする、請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の
    ポリアセタール樹脂組成物。
  5. 【請求項5】多相インターポリマー(B)を構成する軟
    質相がアクリル酸エステル又は共役ジエンからなる重合
    体であることを特徴とする、請求項(1)〜(4)のい
    ずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 【請求項6】多相インターポリマー(B)を構成する軟
    質相がアクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
    キシル又はスチレン−ブタジエンからなる重合体である
    ことを特徴とする、請求項(5)に記載のポリアセター
    ル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】多相インターポリマー(B)を構成する硬
    質相が、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、又はハ
    ロゲン化ビニルからなる重合体であることを特徴とす
    る、請求項(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアセ
    タール樹脂組成物。
  8. 【請求項8】多相インターポリマー(B)を構成する硬
    質相が、メタクリル酸メチル、スチレン、又は塩化ビニ
    ルからなる重合体であることを特徴とする、請求項
    (7)に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  9. 【請求項9】多相インターポリマー(B)の硬質相が、
    メタクリル酸メチルの単独重合体、又はメタクリル酸メ
    チル80重量%以上と他の共重合可能なモノマー20重量%
    以下からなる共重合体から構成され、且つ軟質相がアク
    リル酸n−ブチルの単独重合体、又はアクリル酸n−ブ
    チル80重量%以上と他の共重合可能なモノマー20重量%
    以下からなる共重合体から構成される多相インターポリ
    マーであることを特徴とする、請求項(1)〜(8)の
    いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
  10. 【請求項10】多相ポリマーの粒径が0.01〜2.0μmで
    あることを特徴とする、請求項(1)〜(9)のいずれ
    かに記載のポリアセタール樹脂組成物。
  11. 【請求項11】多相インターポリマー(B)の配合割合
    が、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.5〜100
    重量部であることを特徴とする、請求項(1)〜(10)
    のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
  12. 【請求項12】多相インターポリマー(B)を構成する
    多相ポリマーが軟質相を構成する重合体の全重量に基い
    て0.1〜5.0重量%の多官能性架橋剤を含み、且つ軟質相
    を構成する重合体の全重量に基いて0.1〜5.0重量%の多
    官能性架橋剤を含む多相ポリマーであることを特徴とす
    る、請求項(1)〜(11)のいずれかに記載のポリアセ
    タール樹脂組成物。
  13. 【請求項13】多相インターポリマー(B)を構成する
    硬質相の割合が、多相インターポリマーの全重量に基い
    て25〜80重量%であることを特徴とする、請求項(1)
    〜(12)のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成
    物。
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