JPH07113808A - 乾式分析フイルム片の搬送方法および生化学分析装置 - Google Patents

乾式分析フイルム片の搬送方法および生化学分析装置

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JPH07113808A
JPH07113808A JP26091493A JP26091493A JPH07113808A JP H07113808 A JPH07113808 A JP H07113808A JP 26091493 A JP26091493 A JP 26091493A JP 26091493 A JP26091493 A JP 26091493A JP H07113808 A JPH07113808 A JP H07113808A
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JP
Japan
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film
dry
incubator
dry analysis
film piece
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JP26091493A
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English (en)
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Fumio Sugaya
文雄 菅谷
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スライド枠を有しない乾式分析フイルム片を
簡易な機構で良好に点着位置およびインキュベータに搬
送し信頼性を高める。 【構成】 基体の上に試薬層を設けてなる乾式分析フイ
ルム片1を収容したカートリッジ20を取出口29が上方ま
たは側方になるように配置し、該カートリッジ20から乾
式分析フイルム片1をその基体面を上方または側方から
吸着して取り出した後、試料液が点着される前までに該
乾式分析フイルム片1を吸着したまま基体が下面になる
ように回転させ、点着後の乾式分析フイルム片1をイン
キュベータ12に搬送する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液、尿等の試料液に
含まれる予め定められた生化学物質(アナライトまたは
被検成分)と化学反応、生化学反応または免疫反応し、
それにより光学濃度が変化する試薬層を有する乾式分析
フイルムを特定の形状(正方形、長方形、円形、楕円形
など)の小片(チップ)に裁断した乾式分析フイルム片
の搬送方法および上記乾式分析フイルム片を使用してそ
の光学濃度変化から生化学物質の濃度を測定する生化学
分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、試料液の小滴を点着供給する
だけでこの試料液中に含まれている特定の化学成分の含
有量またはその活性値、有形成分の含有量を定量分析す
ることのできるドライタイプの一体型多層分析フイルム
(多層分析要素、多層分析素子)が開発され、実用化さ
れている。また、濾紙タイプの試験片やそれを改良した
単層または多層の試験片も提案され、一部は実用化され
ている。
【0003】また、このような乾式分析フイルムを用い
て試料液中の化学成分等の定量的な分析を行うには、試
料液を乾式分析フイルムに展開層を有するものでは展開
層に、展開層を有しないものでは直接試薬層に点着させ
た後、これをインキュベータ(恒温装置)内で所定時間
恒温保持(インキュベーション)して呈色反応(色素生
成反応)させ、次いで試料液中の所定の生化学物質と化
学分析スライドに含まれる試薬との組み合わせにより予
め選定された波長を含む測定用照射光をこの化学分析ス
ライドに照射してその光学濃度を測定し、この光学濃度
値から、あらかじめ求めておいた光学濃度値と所定の生
化学物質の物質濃度または活性値との対応を表わす検量
線を用いて該試料液中の所定の生化学物質の物質濃度ま
たは活性値を求めるものである。
【0004】ところで、前記の乾式分析フイルムは、有
機ポリマーからなる基体の上に試薬を含有した試薬層を
少なくとも1層、さらに好ましくは試薬層の上側に展開
層を設けた構成を有するものである。そして、自動操作
のために、乾式分析フイルム片は有機ポリマー製のスラ
イド枠(フレーム)に収められた化学分析スライドとし
て用いられる。スライド枠に乾式分析フイルム片を収め
ることにより、乾燥すると反りやすい乾式分析フイルム
を平面状態に維持できるようにもなっている。
【0005】すなわち、試薬層中の試薬は水分がなけれ
ば反応しないが、水分を吸収したとたんに反応を開始す
る恐れがある。したがって、正確な分析結果を得るため
には、測定を行うまでは試薬層を乾燥状態に維持しなけ
ればならない。しかし、乾式分析フイルム片は乾燥する
と反りやすいものであるので、乾式分析フイルム片を乾
燥状態に維持すると、乾式分析フイルム片は瓦状に湾曲
した状態になるものであった。そこで、この湾曲した乾
式分析フイルム片を平面状態に維持するために、乾式分
析フイルム片をフレームに収めて強制的に平面状態にし
ているのである。
【0006】また、上記のような平板状の化学分析スラ
イドは、前記のような生化学分析装置において試料液の
点着からインキュベータによる恒温保持を行うについて
順次搬送されるものであるが、その搬送は、例えば、往
復運動を行う爪によって行う技術が、米国特許第4,296,
069 号、同第4,568,519 号明細書等に開示されている。
そして、上記のような搬送機構による搬送が行えるよう
にするためにも前記化学分析スライドにはマウントが設
けられているものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかして、上記のよう
な化学分析スライドを用いた生化学分析装置は大型化す
る傾向を有するものであった。すなわち、大きい医療機
関においては、多量の化学分析スライドを短時間の内に
消費することから大型のカートリッジが用いられ、ま
た、分析対象の生化学物質の数に相当する数のカートリ
ッジを設ける必要があるので、カートリッジに要するス
ペースが大きくなるものであった。
【0008】また、化学分析スライドは、スライド枠に
要するコストが大きく、これが化学分析スライドのコス
トを上げる原因の一つとなっており、さらに、このスラ
イド枠の存在によりカートリッジ、インキュベータ等が
大型になるものでもあった。
【0009】そこで、本件発明者らは、乾式分析フイル
ム片をそのままの形態で、すなわち、スライド枠に収め
ることなく単体で生化学分析装置に適用するようにし
た、小形化を可能にしたカートリッジおよびインキュベ
ータを発明し、出願した(特願平4−5508号、特願平4
−16098 号)。
【0010】しかしながら、上記のように乾式分析フイ
ルム片を単体で使用する場合には、その分析の自動化の
ためにも乾式分析フイルム片のインキュベータへの搬送
および恒温保持が確実に行えるようにする必要がある
が、カートリッジからの乾式分析フイルム片を吸着パッ
ドで吸着して取出すことが搬送機構としては好適である
が、前述のように乾燥状態の乾式分析フイルム片は瓦状
に湾曲(カール)しやすく、試料液の点着に応じて湾曲
程度が変化するものであって、この乾式分析フイルム片
に正確に試料液を点着するとともに、点着され展開する
試料液に触れることなく乾式分析フイルム片をインキュ
ベータに搬送しなければならない。
【0011】すなわち、展開層または試薬層の吸着は吸
着不良が生じる恐れがあり、また、点着後の乾式分析フ
イルム片を試料液に触れた状態で保持して搬送すると、
この搬送具に付着した試料液が次に保持した乾式分析フ
イルム片の試薬層(展開層)に展開して、この試薬層を
汚染し測定精度に悪影響を与えることになる。
【0012】さらに、乾式分析フイルム片の搬送におい
ては、搬送機構を簡単にして、コンパクトにかつ低コス
ト化を得るとともに、信頼性を高める必要がある。
【0013】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、スライド枠を有しない乾式分析フイル
ム片を試料液による汚染を生じることなく良好にインキ
ュベータに搬送し信頼性を高めるようにした乾式分析フ
イルム片の搬送方法と、その搬送方法を実施し得る生化
学分析装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の乾式分析フイルム片の搬送方法は、基体の上に
少なくとも1層の試薬層を設けてなる乾式分析フイルム
片を、カートリッジに形成された取出口側に基体が面す
るように順次積層して収容し、上記カートリッジを取出
口が上方または側方になるように配置し、該カートリッ
ジから乾式分析フイルム片をその基体面を上方または側
方から吸着して取出口から取り出した後、試料液が点着
される前までに該乾式分析フイルム片を吸着したまま基
体が下面になるように回転させ、基体と反対面に試料液
が点着された後の乾式分析フイルム片をインキュベータ
に搬送することを特徴とするものである。
【0015】前記乾式分析フイルム片は、基体、少なく
とも1層の試薬層、さらに好ましくは1層の展開層を、
この順に有する構成からなる。基体は、例えば、PET
(ポリエチレンテレフタレート)、ポリスチレンなどの
有機ポリマーシートである。上記基体は透明支持体を兼
ねてもよいしあるいは透明支持体の下にさらに基体を接
着して積層してもよい。透明支持体は基体と同様の素材
からなるシートを用いることができる。
【0016】試薬層は、例えば、ゼラチン、ポリアクリ
ルアミド、ポリビニルアルコールなどの親水性ポリマー
バインダーの中に生化学物質を検出するための発色(色
素が生成される)または変色反応に必要な試薬成分が含
まれている少なくとも1つの層で構成されている。ただ
し、ヘモグロビンなどの定量用乾式分析フイルム片のよ
うに、試薬を必要としないものもある。
【0017】濾紙タイプの試験素子やそれを改良した単
層または多層の試験素子の場合には、このような試験素
子を、公知の適当な接着剤により前記基体に接着積層し
たものをも、本明細書では乾式分析フイルム片に含め
る。
【0018】上記乾式分析フイルム片で分析できる生体
成分としては、例えば、血糖(グルコース)、コレステ
ロール、尿素窒素(BUN)、クレアチニン、ビリルビ
ン、GOT(グルタミン酸オキザロ酢酸転移酵素)、G
PT(グルタミン酸ピルビン酸転移酵素)、アミラー
ゼ、C反応性蛋白(CRT)がある。
【0019】また、本発明の生化学分析装置は、基体の
上に少なくとも1層の試薬層を設けてなる乾式分析フイ
ルム片を、取出口側に基体が面するように順次積層して
収容したカートリッジと、乾式分析フイルム片に試料液
を点着する点着手段と、点着後の乾式分析フイルム片を
恒温保持するインキュベータと、前記取出口が上方また
は側方になるように配置されたカートリッジ内の取出口
端部の乾式分析フイルム片の基体面を上方または側方か
ら吸着する吸着手段と、上記吸着手段を移動してカート
リッジから乾式分析フイルム片を取り出した後、試料液
が点着される前までに基体が下面になるように回転さ
せ、点着後にインキュベータのセルに挿入する搬送手段
とを備えたことを特徴とする。
【0020】前記インキュベータは、好ましくは、吸着
手段がインキュベータ内に移動されるときに開き、吸着
手段が外部にあるときに閉じるシャッターを備え、収容
された乾式分析フイルム片の点着面側を密閉状態に保持
するものである。
【0021】
【作用】上記のような乾式分析フイルム片の搬送方法で
は、取出口が上方または側方になるように配置したカー
トリッジに収容した乾式分析フイルム片を、その基体面
を上方または側方から吸着して取出口から取り出し、そ
のまま乾式分析フイルム片を持ち替えないで試料液を点
着する前までに回転させ、基体と反対面に試料液を点着
した後、インキュベータに搬送することにより、乾式分
析フイルム片を良好にかつ確実に乾燥するようにしてい
る。
【0022】また、本発明の生化学分析装置によれば、
乾式分析フイルム片を吸着保持したら持ち替えずに試料
液が点着される前までに回転させ、点着後にインキュベ
ータにまで搬送する搬送手段の採用により、乾式分析フ
イルム片の使用と相俟って、搬送機構を簡単にして、信
頼性、コスト、コンパクト化を得ることができるととも
に、処理能力が向上し、さらに、汚れる部分を少なくし
て保守が容易となるものである。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に沿って説明す
る。図1は一実施例の乾式分析フイルム片の搬送方法を
実施し得る生化学分析装置の概略機構を示す斜視図であ
る。
【0024】生化学分析装置10は、未使用の矩形状の乾
式分析フイルム片1を積層収容したカートリッジ20を格
納しているフイルム供給装置11(フイルムサプライヤ)
と、上記フイルム供給装置11の側方に配設され乾式分析
フイルム片1を所定時間恒温保持するインキュベータ12
と、前記フイルム供給装置11のカートリッジ20内の乾式
分析フイルム片1を吸着保持する吸着手段17と、該吸着
手段17を移動してフイルム供給装置11から点着位置を経
てインキュベータ12に乾式分析フイルム片1を搬送する
フイルム搬送手段13と、たとえば血清,尿等の複数の試
料液を収容する試料液収容手段14(サンプラ)と、試料
液収容手段14の試料液をフイルム搬送手段13による搬送
途中の乾式分析フイルム片1に点着する点着手段15と、
インキュベータ12の下方に配設された測定手段16とを備
えている。また、前記吸着手段17および搬送手段13は、
測定後の乾式分析フイルム片1をインキュベータ12から
排出する排出手段を兼ねている。
【0025】上記乾式分析フイルム片1は、図2に示す
ように、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)
やポリスチレン等の有機機ポリマーシート等のプラスチ
ックシートからなる光透過性の基体2(ベースフイル
ム)上に、試薬層3を塗布または接着により設け、この
上に展開層4をラミネート法等により積層したものであ
る。この乾式分析フイルム片1の形状は、正方形(例え
ば12mm×12mm)、長方形等に形成される。
【0026】上記試薬層3はゼラチン等の親水性ポリマ
バインダまたは多孔性層の中にアナライトに選択的に反
応する検出試薬および発色反応に必要な試薬(化学分析
試薬または免疫分析試薬)成分が含まれる少なくとも1
つの層で構成されている。また、上記展開層4は、外部
との間でコスレに強い材料、例えばポリエステル等の合
成繊維からなる織物布地や編み物布地、天然繊維と合成
繊維との混紡による織物布地や編み物布地、不織布もし
くは紙から構成されて保護層として機能するとともに、
この展開層4上に点着された試料液を試薬層3に一様に
供給し得るように展開する。
【0027】この乾式分析フイルム片1は常湿状態で
は、図2(A) に示すように平面に近い形状に形成され。
しかしながら、乾式分析フイルム片1は保管時において
は化学反応または免疫反応を進行させないように乾燥環
境下(例えば湿度が20%以下)に配設されるため、図2
(B) に代表例を示すような展開層4を内側にして湾曲し
たカール形状となる性質を有する。
【0028】上記乾式分析フイルム片1は測定項目別に
図3に示すようなカートリッジ20内に収容される。この
カートリッジ20には、角筒状の箱体21の一端部(上端)
には最端部の乾式分析フイルム片1を取り出すための取
出口29が開口されている。この取出口29は、一側面の端
部に開口された1枚の乾式分析フイルム片1が挿通可能
な第1開口部29a と、上端面に開口された吸着手段17
(吸着パッド)が上方から進入する略U字型の第2開口
部29b とで形成されている。
【0029】また、その内部には、前記乾式分析フイル
ム片1がその基体2を取出口29側に向けて順次積層して
収容されるものであり、この収容した乾式分析フイルム
片1を押え部材31によって取出口29側に押圧するととも
に、他端部に縮装され上記押え部材31を付勢するバネ部
材30が配設されている。さらに、上記箱体21の側面に
は、収容した乾式分析フイルム片1の特性等を表わす情
報を有する磁気ストライプ21a が付設されている。
【0030】前記カートリッジ20は、取出口29を上にし
て内部に多数の乾式分析フイルム片1を基体2を上にし
て積み重ねた状態で収容し、前記図1のように、フイル
ム供給装置11の円盤状のラック22に配設された内周側も
しくは外周側のカートリッジ収納部22a にリング状に装
填されている。上記ラック22は基部24に回転可能に支持
され、基部24に設置された図示しないサプライヤモータ
によって回転駆動され、所定のカートリッジ収納部22a
が取出位置に停止するように制御される。
【0031】そして、上記ラック22の外周部分にはカバ
ー25が配設されて内部が密閉され、上面に配設された開
閉蓋を有する挿入口25a から、前記カートリッジ20の挿
入、取出しを行うように設けられている。また、上記ラ
ック22の中心部分には除湿剤収容部27が設けられ、該除
湿剤収容部27にはカバー25上面の中心部に形成された開
閉蓋を有する投入口25b から除湿剤が装填され、このフ
イルム供給装置11の内部が低湿度の乾燥状態に保たれ
る。一方、カバー25の上面の取出位置には、各カートリ
ッジ20から所定の乾式分析フイルム片1を取り出す際に
開く開閉シャッター(図示せず)が設けられ、該シャッ
ターを通して搬送手段13の駆動によって上方から吸着手
段17(吸着パッド)が挿入される。
【0032】この吸着パッド17によるカートリッジ20か
らの乾式分析フイルム1の取り出しは、図4に示すよう
に行う。まず、図4(A) のように、吸着パッド17は上方
から取出口29の第2開口部29b に進入して、最上部の乾
式分析フイルム1の基体2に当接し、密着性を高めるた
めに図4(B) のようにさらに押圧する。この位置で吸着
パッド17は吸引ポンプの吸引力により乾式分析フイルム
1を保持する。次に、吸着パッド17は乾式分析フイルム
1を吸着したまま図4(C) のように上昇し、乾式分析フ
イルム1の両側部分が第2開口部29b の端縁(受け)に
より接触支持され、かつ乾式分析フイルム1の形状が所
定の湾曲形状となるようにフォーミングして停止する。
そして、図4(D) のように上記吸着パッド17は第1開口
部29a 側にスライド移動し、乾式分析フイルム1を第1
開口部29a を通して外部に取り出すものである。なお、
上記フォーミングにより乾式分析フイルム1の乾燥状態
でのカール形状を強制的に所定の湾曲形状として、第1
開口部29a を確実に1枚ずつ通過するようにしている。
また、上記吸着パッド17の移動は、搬送手段13の駆動操
作によって行われる。
【0033】上記のようにカートリッジ20の取出口29か
ら取り出された最上段の乾式分析フイルム片1は、吸着
パッド17で吸着保持したまま上方に移動してフイルム供
給装置11の外部に取り出される。
【0034】次にインキュベータ12は、円盤状の本体40
が中心下部の回転駆動機構41によって回転自在に支持さ
れ(図1参照)、上記本体40の円周上には所定間隔で前
記乾式分析フイルム片1を収容するセル42が複数配設さ
れ、このセル42内で乾式分析フイルム片1がインキュベ
ーションされる。
【0035】上記インキュベータ12の詳細構造は図5な
いし図9に示すように、前記本体40は下部の上面が平坦
な金属製の下ディスク45と、該下ディスク45上に配設さ
れ止めネジ47によって締結された金属製の上ディスク46
を有する。上ディスク46は外周部分が上方に環状に膨出
して形成され、外周下端部と下ディスク45の上面との間
にはセル42の側方開口部となる隙間が形成されている。
上記下ディスク45と上ディスク46との間にはヒータ48が
内蔵され、両ディスク45,46 は熱伝導性の高い材料(例
えばアルミニウム)で形成され、セル42近傍に配設され
た温度センサ(図示省略)の検出に基づいて、乾式分析
フイルム片1を所定温度(たとえば37℃)に加熱保持す
る。また、上ディスク46を覆って断熱材51が設けられ、
下ディスク45の下部にはアンダーカバー52が配設されて
いる。
【0036】そして、上記本体40は、下ディスク45の下
面に配設された軸受50(図5参照)によってベース53に
対して回転自在に支承されるとともに、その中心部に設
けられた回転軸45a にギヤ54が固着され、このギヤ54に
ディスクドライブモータ55の駆動ギヤ56が噛合されて回
転駆動が行われる。
【0037】前記インキュベータ12のセル42の構造は、
図6に拡大して示すように、上記下ディスク45にセル42
の形成位置に対応して所定間隔で測光窓59が開口され、
この測定窓59の外側部分の下ディスク45は放射方向に所
定幅で切欠き部60(図9参照)が形成され、この切欠き
部60を通して吸着パッド17が挿通され、乾式分析フイル
ム片1の挿入および排出を行う。また、上記切欠き部60
を開閉自在に閉塞するシャッター74がそれぞれのセル42
に対応して配設されている。
【0038】上記シャッター74は、前記下ディスク45の
切欠き部60に測定窓59を残して嵌挿する閉塞部75が外周
側に配設され、この閉塞部75の両側から中心方向に延び
るアーム76が連接され、両側のアーム76は測定窓59より
内周側の部分で枢支ピン77によって起伏動自在に枢支さ
れている。また、上記枢支ピン77より内周側部分の両側
のアーム76を連結して作動レバー78が設けられ、この作
動レバー78は中心側部分が下方に傾斜して形成されてい
る。さらに、上記シャッター74は、枢支ピン77に配設さ
れた捩りスプリング79によって閉塞方向に回動するよう
に付勢されている。このシャッター74の開閉は後述のシ
ャッタ開閉ピン68によって行われる。なお、図8の中央
部分はシャッター74が開作動した状態の底面図を示して
いる。
【0039】また、前記測光窓59上部には、セル42内に
挿入された乾式分析フイルム片1を所定位置に固定する
固定手段としてのフイルム押え61が配設されるととも
に、乾式分析フイルム片1を密閉状態で覆う密閉手段と
してのセルカバー64が配設されている。また、測定位置
における前記セル42の底部に開口された測光窓59の下方
すなわち本体40の下方には、前記測定手段16の測光ヘッ
ド95が配設されている。
【0040】具体的には、上記フイルム押え61は乾式分
析フイルム片1の試料液の展開が届かない隅角部を押え
るものであり、その底面形状が、周囲に矩形状の枠部が
形成され、この枠部の内側寸法は乾式分析フイルム片1
の形状より大きく、その隅角部に内方に突出して乾式分
析フイルム片1の四隅に接触する突部が形成されてい
る。このフイルム押え61の上面には押えスプリング62が
縮装されて下方に付勢されている。
【0041】一方、前記セルカバー64は上記フイルム押
え61の外周を囲んで角筒状に形成され、上ディスク46に
上下方向に摺動自在に嵌挿され、上方に縮装されたセル
スプリング65によって下方に付勢されている。そして、
該セルカバー64の外周部の底面が前記下ディスク45の上
面に圧接して密閉状態を得るものであり、内部には前記
押えスプリング62を縮装しつつフイルム押え61を摺動可
能に収容し、該フイルム押え61はセルカバー64に係止さ
れて一体に上昇するように設けられている。
【0042】なお、上記セルカバー64およびフイルム押
え61は黒色のポリエチレンで構成し、ガスの吸着による
汚染、乾式分析フイルム片1を透過するわずかな光の内
部反射による測光への影響を低減している。
【0043】また、上記セルカバー64の下部の両側の前
後には側方に突出したつば状の係合部(図示せず)が形
成され、該係合部の下方に対応して前記下ディスク45に
は貫通孔45c (図8参照)が開口されている。該貫通孔
45c には下方から押上棒67が挿通されるものであり、こ
の押上棒67の先端が上記セルカバー64の下面に当接して
セルカバー64全体をセルスプリング65に抗して押し上げ
るように構成されている。この押上棒67は、フイルム挿
入時およびフイルム排出時に、セルカバー64をフイルム
押え61とともに上昇作動するものである。
【0044】また、この押上棒67の作動ベースとしての
昇降台66には、前記シャッター74の作動レバー78を操作
するシャッタ開閉ピン68が取り付けられている。該シャ
ッタ開閉ピン68は、先端部にローラ68a が取り付けられ
るとともに、スプリング69によって上方に付勢されて昇
降台66に対して伸縮自在に取り付けられている。
【0045】前記吸着手段17(吸着パッド)の移動操作
は搬送手段13によって行うものであり、その搬送におい
ては、吸着パッド17によって吸着保持した乾式分析フイ
ルム1を持ち替えることなくインキュベータ12内部のセ
ル42に挿入するものである(図1参照)。この搬送手段
13の詳細構造は図示していないが、上記吸着パッド17を
保持している上下方向に延びるロッド部71を垂直な方向
の軸72によって回転可能に支持するとともに、該回転軸
72を前後左右動および上下動自在に支持したものであ
り、それらの駆動を図示しない駆動機構によって行うも
のである。なお、上記吸着パッド17には図示しないサク
ションポンプからの減圧パイプが接続されている。
【0046】まず、上記搬送手段13は、フイルム供給装
置11の部分においては、吸着パッド17を該フイルム供給
装置11の上部の開口から格納室内に進入し、乾式分析フ
イルム1を吸着する際の上下動および吸着した乾式分析
フイルム1をカートリッジ20から取り出すスライド移動
可能に設けられている。また、上記乾式分析フイルム1
を吸着した吸着パッド17を点着位置に移動するための上
下および前後左右移動に加えて、乾式分析フイルム1を
基体2を上方から吸着している状態より基体2が下面と
なるように反転する回転可能に設けられている。さら
に、点着後の乾式分析フイルム1をインキュベータ12の
セル42に挿入、後退するために前後動するとともに、吸
着している乾式分析フイルム1をセル42の底面に載置す
るために下降移動するものである。これに加えて、測定
後の乾式分析フイルム1をセル42から排出するために、
上記前後動と上動に加えて、インキュベータ12の近傍に
配設された廃却箱84にセル42から排出した使用後の乾式
分析フイルム1を廃却するために、吸着パッド17を廃却
箱84側に回転する回動が行えるように設定されている。
【0047】前記図1の試料液収容手段14は、回転駆動
機構86によって回転操作される回転テーブル85を備え、
該回転テーブル85の外周部には試料液を収容した複数の
サンプル容器87を保持し、サンプル容器87が順次供給位
置に移動される。また、内周側には後述の点着用ノズル
91の先端に装着されるノズルチップ88が収容される。
【0048】また、上記サンプル容器87の各試料液をイ
ンキュベータ12に搬送された乾式分析フイルム片1に点
着する点着手段15は、試料液の吸引吐出を行う点着用ノ
ズル91を有し、該点着用ノズル91の先端にはピペット状
の上記ノズルチップ88が着脱自在に装着され、駆動機構
92により上下動および回動可能に移動され、試料液収容
手段14から試料液を吸引し移動して前記移載部材75の上
に保持されている乾式分析フイルム片1に点着する。ま
た、上記点着手段15の点着用ノズル91における先端のノ
ズルチップ88は、試料液の変更に伴って交換される。
【0049】点着された乾式分析フイルム片1は、イン
キュベータ12によりインキュベーションが行われ、この
インキュベータ12の下方に配設された測定手段16(図1
参照)により測定される。この測定手段16は、乾式分析
フイルム片1と試料液中のアナライトとの呈色反応によ
る光学濃度を測定するための測光ヘッド95を有する。上
記測光ヘッド95は所定波長の光を含む測定用照射光を光
透過性の基体2を透過し試薬層3に照射して、反射光を
光検出素子で検出するものであり、測光ヘッド95には光
源96(ランプ)からの光が干渉フィルタ97を介して入射
され、測光ヘッド95内で上記光が試薬層3に照射され
る。前記フィルタ97は、検査項目に対応する複数種類の
ものが円板98に設置され、該円板98をモータ99よって回
転して測定項目に対応する所定の特性のフィルタ97を選
択するように構成されている。
【0050】なお、測光ヘッド95へ測定光を照射するた
めの光学系内に設けられる分光手段としては、前記のよ
うに干渉フィルタ97を用いる代りに、回折格子を用いて
もよい。
【0051】また、試薬層3からの反射光は試薬層3中
で生成された色素量に応じた光情報(具体的には光量)
を担持しており、この光情報を担持した反射光が測光ヘ
ッド95の光検出素子に入射して光電変換され、図示しな
いアンプを介して判定部に送出される。判定部では、入
力された電気信号のレベルに基づき試薬層3中で生成さ
れた色素の光学濃度を判定し、試料液中の所定の生化学
物質の物質の濃度(含有量)または活性値を比色法の原
理により算出する。
【0052】上記生化学分析装置10による測定を説明す
れば、まず、搬送手段13の駆動にともなって吸着パッド
17によってフイルム供給装置11より測定項目に対応する
乾式分析フイルム片1を収容したカートリッジ20の上方
から乾式分析フイルム片1を取り出す。この吸着パッド
17に保持された乾式分析フイルム片1は、保持したまま
点着位置に搬送するとともに展開層4が上に向くように
反転し、この点着位置で点着手段15によって試料液が点
着される。
【0053】この点着は、点着手段15の点着用ノズル91
の先端にノズルチップ88を装着した後、試料液収容手段
14の所定サンプル容器87上に移動させてノズルチップ88
の先端を試料液に浸漬し、該ノズルチップ88内に所定量
の試料液を吸引する。そして、この点着用ノズル91を乾
式分析フイルム片1の中心に移動させ、次いで点着用ノ
ズル91を下動させて、ノズルチップ88から乾式分析フイ
ルム片1の展開層4上に試料液を所定量だけ滴下する。
滴下された試料液は展開拡散され、試薬と混合する。
【0054】点着後の乾式分析フイルム片1は上記吸着
パッド17で保持したまま持ち替えることなくインキュベ
ータ12のセル42に側方から挿入される。その際、インキ
ュベータ12の挿入位置に対応するセル42に対して昇降台
66を上昇作動してシャッター74を開操作するとともに、
セルカバー64とフイルム押え61を上昇させるものであ
る。
【0055】すなわち、インキュベータ12の挿入位置に
空状態のセル42が回転され、昇降台66の上昇によりシャ
ッタ開閉ピン68がシャッター74の作動レバー78に当接し
てこのシャッター74を捩りスプリング79に抗して下方に
回動させて、その閉塞部75を下ディスク45の切欠き部60
から離脱させて、該切欠き部60を開放する。また、上昇
した押上棒67の先端がセルカバー64に当接して、該セル
カバー64をフイルム押え61とともに上昇作動してセル42
を開いて、挿入空間を形成する。
【0056】そして、前記乾式分析フイルム1を保持し
た吸着パッド17を前記切欠き部60を通してインキュベー
タ12の中心方向に移動し、図7に示すように、乾式分析
フイルム1をセル42内に挿入する。その後、吸着パッド
17を下降させて乾式分析フイルム片1の下面を下ディス
ク45の上面に当接させるとともに押上棒67を下降作動し
てセルカバー64を下げ、フイルム押え61によって乾式分
析フイルム片1の四隅を押えて固定する。その際、昇降
台66がある程度下降しても、シャッタ開閉ピン68はその
伸縮スプリング69によって伸長してシャッター74を開放
状態に保持している。
【0057】その後、前記吸着パッド17の吸引力を停止
して乾式分析フイルム1を離し、この吸着パッド17をイ
ンキュベータ12の外部に移動させた後、前記昇降台66を
さらに下降させてシャッタ開閉ピン68を作動レバー78か
ら離してシャッター74を閉作動し、切欠き部60を閉塞部
75によって閉塞する。
【0058】これにより、図6に示すように、セル42内
の乾式分析フイルム片1はフイルム押え61によって所定
位置に固定されるとともに、セルカバー64によって周囲
が密閉されたセル内に保持される。なお、底面の測光窓
59の部分は乾式分析フイルム片1によって閉じて密閉状
態となるものである。
【0059】このインキュベータ12のセル42内で乾式分
析フイルム片1は密閉状態で所定のインキュベーション
により所定温度に加熱されると試薬層3が呈色反応(色
素生成反応)を生起する。そして、呈色反応中の所定時
間毎もしくは所定時間経過後に、この呈色反応により生
じた色素の光学濃度を測定手段16の測光ヘッド95で測定
する。
【0060】次に、図10はフイルム供給装置の他の実
施例を示すものであり、前例のフイルム供給装置11で
は、乾式分析フイルム1を収容したカートリッジ20を、
その取出口29を上方にして格納し、吸着手段17を作動し
て上方から乾式分析フイルム1を吸着保持し、乾式分析
フイルム1を取り出すようにしていたが、本例では、側
方から乾式分析フイルム1を取り出すようにした例であ
る。
【0061】すなわち、本例のフイルム供給装置101
は、円盤状のラック122 が水平軸を中心として回転可能
であり、該ラック122 はカバー125 で覆われて内部が密
閉されるとともに、ラック回転モータ121 によって回転
駆動される。カートリッジ20は前例同様の取出口29(図
3参照)を有し、乾式分析フイルム1が基体2を取出口
29側にして積み重ねた状態で収容し、このカートリッジ
20はラック122 に配設されたカートリッジ収納部122aに
側方から水平状態にリング状に装填されている。上記カ
バー125 の取出位置には、各カートリッジ20から所定の
乾式分析フイルム片1を取り出す際に開く開閉シャッタ
ー(図示せず)が設けられ、該シャッターを通して搬送
手段113 の駆動によって側方から吸着手段17(吸着パッ
ド)が挿入される。
【0062】一方、吸着パッド17は、フイルム供給装置
101 の側方から前記カートリッジ20の乾式分析フイルム
1を吸着するものであり、この吸着パッド17の移動操作
は搬送手段113 によって行うものであり、その搬送にお
いては、吸着パッド17によって吸着保持した乾式分析フ
イルム1を、前例同様に持ち替えることなくインキュベ
ータ12内部のセル42に挿入するものである。この搬送手
段113 の詳細構造は図示していないが、上記吸着パッド
17を保持しているロッド部171 を垂直な方向の軸172 に
よって回転可能に支持するとともに、該回転軸172 を前
後左右動および上下動自在に支持したものであり、それ
らの駆動を図示しない駆動機構によって行うものであ
る。
【0063】まず、上記搬送手段113 は、フイルム供給
装置101 での乾式分析フイルム1の取り出しについて
は、吸着パッド17をフイルム供給装置101 の側方の開口
から左右方向に移動して格納室内に進入し、カートリッ
ジ20内の乾式分析フイルム1を側方から吸着し、下方に
移動してカートリッジ20から乾式分析フイルム1を抜き
取ってから、左右方向に移動して外部に取り出すもので
ある。その後は、この吸着パッド17を上下動および前後
左右動するとともに、吸着保持した乾式分析フイルム1
の展開層4が上に向くように回転作動する。点着後は前
例と同様にインキュベータ12に移動して、そのセル42内
に乾式分析フイルム1を挿入するものである。
【0064】上記のような横方向にカートリッジ20を収
容したフイルム供給装置101 では、前例のものに比べて
平面的な設置スペースが低減するものである。
【0065】さらに、図11ないし図13はインキュベ
ータの変形例を示し、乾式分析フイルム1を上方から点
着面を下方にしてセル内に挿入するものである。これら
の図は概略構成のみ示している。
【0066】本例のインキュベータ102 は、円盤状の本
体140 が駆動モータ141 によって回転自在に支持され、
この本体140 の上面に凹状のセル142 が円周に所定間隔
で配設されている。凹部内には底部に押えスプリング16
2 (図13参照)が縮装され、その上にフイルム押え16
1 が上下摺動自在に配設されて上方に付勢され、このフ
イルム押え161 は乾式分析フイルム1の周縁を支持す
る。
【0067】さらに、上記各セル142 の上部には水平方
向に開閉するシャッター174 (図12参照)が配設され
ている。このシャッター174 は、中央部から内側と外側
に2分割されたスライド板175 を有し、インキュベータ
102 の半径方向に摺動自在に配設され、両側のスライド
板175 が閉じた時には中心部に測光窓59が開口するよう
に両側のスライド板175 に半円形の切欠きが形成されて
いる。また、上記両側のスライド板175 の間には閉方向
に付勢するスプリング176 が介装されている。
【0068】上記インキュベータ101 のフイルム挿入位
置には、上記シャッター174 を開閉操作する開閉操作機
構177 が配設されている。該開閉操作機構177 は、前記
シャッター174 の両側のスライド板175 の端部の係合片
175aに係合する一対の開閉アーム178 と、該開閉アーム
178 を互いに反対方向に開閉操作するピニオン179 を備
えている。上記ピニオン179 は、上記一対の開閉アーム
178 に形成された相対向するラック部178aが噛合され、
このピニオン179 が図示しない駆動モータによって回転
作動され、前記両側のスライド板175 を広げる開駆動
と、狭める閉駆動とを行うように構成されている。
【0069】なお、上記のようなインキュベータ102 に
おいては、測定手段16の測光ヘッド95は本体140 の上面
側に配設され、上方から測定用照射光を前記シャッター
174を介して乾式分析フイルム1の基体2側に照射して
反射光を測定するものである。
【0070】上記インキュベータ102 に対する上方から
の乾式分析フイルム1の挿入を説明すれば、点着位置で
展開層4に試料液が点着された乾式分析フイルム1は、
吸着手段17に保持されたまま上記展開層4が下面となる
ように反転されるとともに、インキュベータ102 の挿入
位置に搬送される。そして、本体140 の回転操作によっ
て空のセル142 が挿入位置に移動されると、開閉駆動機
構177 を駆動して一対の開閉アーム178 をその先端部の
間隔が拡がるように作動するのにともなって、図13
(A) のようにシャッター174 の両側のスライド板175 が
開作動する。その際、フイルム押え161 は上部で止って
いる。この状態で吸着手段17に下向きに保持された点着
後の乾式分析フイルム1が下降されて、図13(B) に示
すように、上記乾式分析フイルム1がフイルム押え161
に当接して押し下げ、その後、前記開閉駆動機構177 を
閉駆動してシャッター174 の両側のスライド板175 を閉
じる。これにより、図13(C) のように乾式分析フイル
ム1は上方に付勢されたフイルム押え161 とシャッター
174 のスライド板175 との間に挾持され、下面側の点着
面は上記シャッター174 によって密閉状態に保持され
る。その後、搬送手段によって吸着手段17を上方に移動
するものである。
【0071】さらに、図14は下方から乾式分析フイル
ムを挿入する方式のインキュベータ112 を示し、図11
におけるインキュベータ102 に対してその本体140 が上
下面が反対となり、開閉駆動機構177 および測光ヘッド
95が下方に配設されたものであり、その機構は同様に構
成されている。そして、点着後の乾式分析フイルム1を
点着面が上方となるように保持した吸着手段17を搬送手
段によって上方に移動して、開作動しているシャッター
174 を通してセル142 内に挿入するものである。
【0072】上記各実施例のように、本発明では、カー
トリッジ20を取出口29が上方もしくは側方となるように
格納したフイルム供給装置11,101から、その乾式分析フ
イルム1を吸着手段17によって上方もしくは側方から吸
着保持してカートリッジ20から抜き取り、フイルム供給
装置11,101から上方もしくは側方に取り出し、その後、
上方から取り出した際には半回転し、側方から取り出し
た際には1/4回転して基体2を下面として点着位置に
移動して、上面に試料液を点着するものである。この点
着後の乾式分析フイルム1は、インキュベータ12,102,1
12に対して上方から挿入する場合には半回転して、側方
および下方から挿入する場合にはそのまま移動し、その
セル42,142内に挿入するものであり、カートリッジ20内
の乾式分析フイルム1を吸着手段17で吸着保持したまま
持ちかえることなく、そのままインキュベータ12,102,1
12に挿入するようにしたものである。
【0073】なお、本実施例は、試料液中の生化学物質
と試薬層との化学反応による光学濃度の変化から生化学
物質の濃度を測定する生化学分析装置について述べた
が、別の分析方法で例えば、電解質の濃度を電位差を用
いて測定する生化学分析装置についても利用できる。
【0074】
【発明の効果】上記のような本発明によれば、カートリ
ッジを取出口が上方または側方になるように配置し、該
カートリッジから乾式分析フイルム片をその基体面を上
方または側方から吸着して取り出した後、試料液が点着
される前までにそのままの吸着保持状態で基体が下面に
なるように回転させ、点着後にはインキュベータに搬送
して内部のセルに挿入するようにしたことにより、簡単
な搬送機構で良好な搬送が行え、信頼性が確保できる。
また、スライド枠を有しない乾式分析フイルム片が使用
でき、寸法の小形化によって生化学分析装置の各装置の
大きさが小さくなりコンパクト化が図れるとともに、ス
ライド枠の排除に伴って分析コストの低減が図れ、処理
能力が向上し、さらに、汚れる部分を少なくして保守が
容易となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る生化学分析装置の概略
構成を示す斜視図
【図2】乾式分析フイルム片の斜視図
【図3】カートリッジを一部切除して示す斜視図
【図4】カートリッジからの乾式分析フイルム片の取出
し操作を示す説明図
【図5】インキュベータの部分断面正面図
【図6】インキュベータのセル部分の断面拡大図
【図7】乾式分析フイルム片の挿入状態を示すインキュ
ベータの要部断面図
【図8】インキュベータのシャッター機構を示す要部底
面図
【図9】インキュベータのシャッター開閉部分の斜視図
【図10】フイルム供給装置の変形例を示す概略斜視図
【図11】インキュベータの変形例を示す概略正面図
【図12】図11のインキュベータの要部正面図
【図13】図11のインキュベータでの乾式分析フイル
ム片の挿入工程を示す断面図
【図14】インキュベータのさらに他の変形例を示す概
略正面図
【符号の説明】
1 乾式分析フイルム片 2 基体 3 試薬層 4 展開層 10 化学分析装置 11,101 フイルム供給装置 12,102,112 インキュベータ 13,113 搬送手段 14 試料液収容手段 15 点着手段 16 測定手段 17 吸着手段(吸着パッド) 20 カートリッジ 22,122 ラック 22a,122a カートリッジ収納部 29 取出口 42 セル 45 下ディスク 59 測光窓 60 切欠き部 61,161 フイルム押え 64 セルカバー 71,171 ロッド部 72,172 軸 74,174 シャッター 95 測光ヘッド

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の上に少なくとも1層の試薬層を設
    けてなる乾式分析フイルム片を、カートリッジに形成さ
    れた取出口側に基体が面するように順次積層して収容
    し、上記カートリッジを取出口が上方または側方になる
    ように配置し、該カートリッジから乾式分析フイルム片
    をその基体面を上方または側方から吸着して取出口から
    取り出した後、試料液が点着される前までに該乾式分析
    フイルム片を吸着したまま基体が下面になるように回転
    させ、基体と反対面に試料液が点着された後の乾式分析
    フイルム片をインキュベータに搬送することを特徴とす
    る乾式分析フイルム片の搬送方法。
  2. 【請求項2】 基体の上に少なくとも1層の試薬層を設
    けてなる乾式分析フイルム片を、取出口側に基体が面す
    るように順次積層して収容したカートリッジと、 乾式分析フイルム片に試料液を点着する点着手段と、 点着後の乾式分析フイルム片を恒温保持するインキュベ
    ータと、 前記取出口が上方または側方になるように配置されたカ
    ートリッジ内の乾式分析フイルム片の基体面を上方また
    は側方から吸着する吸着手段と、 上記吸着手段を移動してカートリッジから乾式分析フイ
    ルム片を取り出した後、試料液が点着される前までに基
    体が下面になるように回転させ、点着後にインキュベー
    タに挿入する搬送手段とを備えたことを特徴とする生化
    学分析装置。
  3. 【請求項3】 前記インキュベータは、吸着手段がイン
    キュベータ内に移動されるときに開き、吸着手段が外部
    にあるときに閉じるシャッターを備え、収容された乾式
    分析フイルム片の点着面側を密閉状態に保持することを
    特徴とする請求項2記載の生化学分析装置。
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