JPH07128340A - 乾式分析フイルムの保管装置 - Google Patents

乾式分析フイルムの保管装置

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JPH07128340A
JPH07128340A JP27813793A JP27813793A JPH07128340A JP H07128340 A JPH07128340 A JP H07128340A JP 27813793 A JP27813793 A JP 27813793A JP 27813793 A JP27813793 A JP 27813793A JP H07128340 A JPH07128340 A JP H07128340A
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JP
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humidity
film
salt
dry analysis
aqueous solution
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Application number
JP27813793A
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English (en)
Inventor
Masaaki Terajima
正明 寺嶋
Yoshio Saito
義雄 斎藤
Osamu Seshimoto
修 瀬志本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生化学分析装置における乾式分析フイルムの
保管装置の湿度を簡易な構成によって低湿度に維持す
る。 【構成】 乾式分析フイルム1を実質的に密閉状態で収
容する保管装置111 の格納室111aに、塩化リチウムまた
は酢酸カリウム等の所定濃度の塩水溶液を含有し、この
格納室111aの湿度を塩水溶液の濃度に対応した湿度に保
つ湿度調節部材126 を配設し、前記塩水溶液の塩が、温
度25℃での実質的な平衡状態において塩の飽和溶解度の
水溶液に接している空気の相対湿度を3%〜30%の範囲
の低湿度に保つことができる塩で構成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液、尿等の試料液に
含まれる所定の生化学物質との化学反応、生化学反応ま
たは免疫反応等により光学濃度変化を生じる試薬層を有
する乾式分析フイルムを保管する生化学分析装置のフイ
ルムサプライヤ等の保管装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、試料液の小滴を点着供給するだけ
でこの試料液中に含まれている特定の化学成分の含有量
またはその活性値、あるいは有形成分の含有量を定量分
析することのできる乾式の一体型多層分析フイルム(多
層分析要素、多層分析素子とも称される)が開発され実
用化されている。また、濾紙タイプの試験片やそれを改
良した単層または多層の試験片も提案され、一部は実用
されている。
【0003】このような乾式分析フイルムを用いて試料
液中の化学成分等の定量的な分析を行うには、試料液を
乾式分析フイルムに展開層を有するものでは展開層に、
展開層を有しないものでは直接試薬層に点着させた後、
これをインキュベータ(恒温器)内で所定時間恒温保持
(インキュベーション)して呈色反応(色素生成反応ま
たは指示薬色素の変色反応)させ、次いで試料液中の所
定の生化学物質と乾式分析フイルムに含まれる試薬との
組み合わせにより予め選定された波長を含む測定用照射
光をこの化学分析スライドに照射してその光学濃度を測
定し、この光学濃度から、あらかじめ求めておいた光学
濃度と所定の生化学物質の物質濃度との対応を表わす検
量線を用いて該試料液中の所定の生化学物質の物質濃度
(含有量)または活性値を求めるものである。
【0004】ところで、前記一体型多層式の乾式分析フ
イルムは、有機ポリマーからなる支持体の上に試薬を含
有した試薬層を少なくとも1層、さらに好ましくは試薬
層の上側に展開層を設けた構成を有するものであり、正
方形、矩形などの所定の形状の乾式分析フイルム片に形
成される。そして自動操作のために、上記乾式分析フイ
ルム片を有機ポリマー製のマウントによって挾持した化
学分析スライドとして実用化されている。また、本件発
明者らは、上記マウントを有しない乾式分析フイルム片
を直接カートリッジに装填し、このカートリッジを生化
学分析装置の保管装置(フイルムサプライヤ)に格納
し、順次取り出して測定を行う技術を提案している。
【0005】そして、上記乾式分析フイルムの保管にお
いては、その性能を一定に保って測定精度を確保するた
めには、フイルムサプライヤ等の保管部分での湿度を一
定範囲に調整維持する必要がある。
【0006】すなわち、前記乾式分析フイルムは、測定
項目に対応して酵素、抗体などの生化学素材を含み、こ
れらの素材が変性しないようにするには、一般的には低
湿度で保管する方が反応が開始されないことから好まし
いものである。しかし、ある種の乾式分析フイルム、例
えば、総蛋白(TP)、高比重リポ蛋白−コレステロー
ル(HDL−C)、アルブミン(ALB)測定用のもの
では、比較的低湿度に保持する必要はあるが、保管雰囲
気の湿度が0%RH(絶乾状態)あるいはこの近傍の湿度
になると、膜物性等の変化によりそれらの性能が著しく
変化をきたして、所期の測定機能が得られなくなる問題
を有する。つまり、単純に多量の吸湿剤を配設すること
は、保管湿度が0%RH近傍に低下して劣化を招く恐れが
ある。
【0007】そこで、例えば、実開平5−33048 号公報
(米国特許第5,043,143 号明細書)に開示されているよ
うに、前記乾式分析フイルム(試験エレメント)を保管
する格納室に連通して、水を含浸させたスポンジによる
水添加手段を収容した第1隔室と、乾燥剤による水除去
手段を収容した第2隔室とを設け、この両隔室と格納室
との連通を選択的に開閉して湿度調整を行う技術が知ら
れている。すなわち、格納室に設けた湿度センサの信号
に基づく制御手段の制御によって、湿度が低い場合には
第1隔室との連通を開いて加湿を行い、湿度が高くなる
と第2隔室との連通を開いて除湿を行い、所定の湿度に
維持せんとするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかして、前記先行技
術のような格納室の湿度管理では、水添加手段用の第1
隔室と水除去手段用の第2隔室との2つの隔室を格納室
とは別途に形成し、それらを検出湿度に応じて開閉制御
するための制御システムと機構とを必要とし、構成が複
雑でコスト面でも不利となる。
【0009】また、前記先行技術では、加湿作動時には
急激な湿度変動をもたらし、安定した湿度の調整が困難
となる。特に、乾式分析フイルムを収容した格納室内の
湿度を0%を越えた比較的低い湿度(例えば30%RH以
下)に維持することは、微細な制御を必要とし、安定し
た湿度維持が得られず、収容保管している乾式分析フイ
ルムの性能が劣化して測定精度が低下する恐れを有す
る。
【0010】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、生化学分析用の乾式分析フイルムを収容した格納室
の湿度を簡易な構造でかつ容易に所定の湿度範囲に維持
するようにした乾式分析フイルムの保管装置を提供する
ことを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の乾式分析フイルムの保管装置は、乾式分析フイ
ルムを実質的に密閉状態で収容する格納室を有し、該格
納室に、所定濃度の塩水溶液を含有し、この格納室の湿
度を塩水溶液の濃度に対応した湿度に保つ湿度調節部材
を配設し、前記塩水溶液の塩が、温度25℃での実質的な
平衡状態において塩の飽和溶解度の水溶液に接している
空気の相対湿度を3%〜30%の範囲の低湿度に保つこと
ができる塩であることを特徴とするものである。
【0012】また、保管湿度範囲は上記3%〜30%RHの
範囲の内、好ましくは約5〜25%RHの範囲である。上記
湿度範囲に保持できる前記塩水溶液の塩の具体例として
は、塩化リチウムLiClまたは酢酸カリウムCH3
OOKがある。
【0013】一方、前記湿度調節部材としては、塩水溶
液を、海綿、吸水性多孔質ポリマー、濾紙、カット綿、
不織布等の多孔質媒体に含浸させた状態で格納室に配設
するのが好適である。さらに、好ましくは、前記湿度調
節部材を、前記塩の飽和溶解度の水溶液を多孔質媒体に
含浸させ、前記塩の固体と共存させるように構成してな
る。
【0014】
【作用】本発明の乾式分析フイルムの保管装置では、乾
式分析フイルムを収容した格納室に所定濃度の塩水溶液
を含有する湿度調節部材を配設し、この塩水溶液の特性
に対応して格納室の湿度が一定値以下とならない所定の
低湿度に調整され、換言すれば、湿度調節部材の設置初
期もしくは、乾式分析フイルムの格納または取出しに応
じた湿度の変動時から所定時間が経過し、その塩水溶液
の除湿と加湿とが平衡状態になると、この格納室内部の
相対湿度は温度25℃において3%より高く30%より低い
範囲の所望の低湿度に調整される。
【0015】その際、塩水溶液は水分の吸収に伴う水分
量の変動によりその濃度が変化すると平衡状態も変化す
ることになり、飽和溶解度の塩水溶液から濃度が低くな
ると、格納室の相対湿度は飽和溶解度の塩水溶液での平
衡湿度より高くなる傾向を有し、塩水溶液の濃度に対応
した湿度を保持する。
【0016】また、上記湿度調節部材としては、塩水溶
液を、海綿、吸水性多孔質ポリマー、濾紙、カット綿、
不織布等の多孔質媒体に含浸させた状態で格納室に配設
するのが取扱いも容易に行える。
【0017】一方、前記湿度調節部材を、塩の飽和溶解
度の水溶液を多孔質媒体に含浸させ、これを塩の固体と
共存させるように構成したものでは、水分を吸収しても
固体塩が溶解することで飽和溶解度を維持して、同一平
衡状態となって一定湿度を長期間保持することになる。
【0018】そして、乾式分析フイルムを湿度が0%RH
近傍とならないように保持して、性能を一定範囲に納め
ることができ、また、低湿度側の一定範囲に湿度調整す
ることで、不可逆な変化による乾式分析フイルムの寿命
の短縮を防ぐことができ、塩水溶液の濃度変化などによ
って保管湿度範囲が設定範囲を越える場合には、湿度調
節部材を交換することによって所定の湿度範囲を維持す
ることができるものである。
【0019】また、前記湿度調節部材の塩水溶液の塩と
して塩化リチウムを適用した場合には、その保管湿度範
囲としては約11%〜約20%RHが好適であり、飽和溶解度
の塩水溶液では25℃の平衡状態で10.8%RHの湿度を保持
する。さらに、上記塩として酢酸カリウムを適用した場
合には、その保管湿度範囲としては約20%〜約30%RHが
好適であり、飽和溶解度の塩水溶液では25℃の平衡状態
で20.0%RHの湿度を保持する。
【0020】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を
説明する。まず、図1は本発明の一実施例の保管装置を
備えた生化学分析装置の概略構成を示す斜視図である。
【0021】生化学分析装置10は、未使用のほぼ正方形
状または矩形状の乾式分析フイルム1(乾式分析フイル
ム片)を収容したカートリッジ20を格納しているフイル
ム保管装置11(フイルムサプライヤ)と、上記フイルム
保管装置11の側方に配設され乾式分析フイルム1を所定
時間恒温保持するインキュベータ12と、前記フイルム保
管装置11からインキュベータ12に乾式分析フイルム1を
搬送するフイルム搬送手段13と、たとえば血清,尿等の
複数の試料液を収容する試料液収容手段14(サンプラ)
と、試料液収容手段14の試料液をフイルム搬送手段13に
よってインキュベータ12に搬送するまでの間に乾式分析
フイルム1に点着する点着手段15と、インキュベータ12
の下方に配設された測定手段16とを備えている。
【0022】上記乾式分析フイルム1は図2に示すよう
に、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリスチ
レン等の有機ポリマシート等のプラスチックシートから
なる光透過性の支持体2上に試薬層3を塗布または接着
等により設け、この上に展開層4をラミネート法等によ
り積層したフイルム片(チップ)であり、従来の化学分
析スライドにおけるマウントに相当するものは有してい
ない。
【0023】上記試薬層3はゼラチン等の親水性ポリマ
バインダまたは多孔性層の中にアナライトに選択的に反
応する検出試薬および発色反応に必要な試薬(化学分析
試薬または免疫分析試薬)成分が含まれる少なくとも1
つの層で構成されている。
【0024】また、上記展開層4は外部との間でコスレ
に強い材料例えばポリエステル等の合成繊維からなる織
物布地や編み物布地、天然繊維と合成繊維との混紡によ
る織物布地、編み物布地、不織布等もしくは紙から構成
されて保護層として機能するとともに、この展開層4上
に点着された試料液を試薬層3上に一様に供給し得るよ
うに展延する。
【0025】この乾式分析フイルム1は常湿状態では、
図2(A) に示すように平面に近い形状に形成される。し
かしながら、乾式分析フイルム1は保管時においては化
学反応または免疫反応を進行させないように低湿度(乾
燥)環境下(たとえば相対湿度が3%〜30%RH)に配設
されるため、図2(B) または図2(C) に示すような展開
層4を内側にして湾曲したカール形状となる性質を有す
る。
【0026】この乾式分析フイルム1は測定項目別に図
3に示すようなカートリッジ20内に収容される。該カー
トリッジ20は、内部に多数の乾式分析フイルム1を光透
過性支持体2を下にして積み重ねた状態で収容して、前
記図1のように、フイルム保管装置11の円盤状に形成さ
れた架体22に配設された内周側もしくは外周側のカート
リッジ収容部22a に複数並列に装填されている。上記架
体22は基部24に回転可能に支持され、基部24に設置され
た図示しないサプライヤモータによって回転駆動され、
所定のカートリッジ収容部22a がフイルム搬送手段13に
対応する取出位置に停止するように制御される。
【0027】そして、上記架体22の外周部分にはカバー
25が配設されて内部が密閉された格納室11a となり、上
面に配設された開閉蓋を有する挿入口25a から、前記カ
ートリッジ20の挿入、取出しを行うように設けられてい
る。また、上記架体22の中心部分には調湿剤収容部27が
設けられ、該調湿剤収容部27は隔壁が上記格納室11aと
通気性を有し、その内部にはカバー25上面の中心部に形
成された開閉蓋を有する投入口25b から塩化リチウムL
iClまたは酢酸カリウムCH3 COOK等の塩による
所定濃度の塩水溶液を含有する湿度調節部材(図示せ
ず)が装填され、乾式分析フイルム1を収容する格納室
11a が低湿度に調整される。
【0028】上記湿度調節部材は、その塩水溶液の塩
は、温度25℃での実質的な平衡状態において塩の飽和溶
解度の水溶液に接している空気の相対湿度を3%〜30%
の範囲の低湿度に保つことができるものを適用する。そ
して、要求される調整湿度に対応して所定濃度に調節さ
れた塩水溶液、例えば、塩化リチウムの塩水溶液、また
は、酢酸カリウムの塩水溶液を、海綿、吸水性多孔質ポ
リマー、濾紙、カット綿、不織布等の多孔質媒体に含浸
させた湿潤状態とし、これを上部が開放した容器に収容
して調湿剤収容部27に配設するものである。また、後述
のように、前記湿度調節部材を、前記塩の飽和溶解度の
水溶液を多孔質媒体に含浸させるとともに、前記塩の固
体と共存させて構成し、同様に調湿剤収容部27に配設す
るものである。
【0029】その際、例えば、塩化リチウムの塩水溶液
を適用すると、約11%〜約20%RH(25℃)の湿度範囲に
調整でき、酢酸カリウムの塩水溶液を適用すると、約20
%〜約30%RH(25℃)の湿度範囲に調整できる。
【0030】上記塩化リチウムまたは酢酸カリウムの塩
水溶液の濃度と調整湿度との関係は、塩水溶液の濃度が
飽和濃度(飽和溶解度における濃度)に近付くほど調整
湿度は低くなり、固相と液相が共存状態となった飽和塩
水溶液では、ほぼ一定の湿度、例えば、塩化リチウムの
飽和塩水溶液で10.8%RH(25℃)の湿度、酢酸カリウム
の飽和塩水溶液で20.0%RH(25℃)の湿度に維持され
る。塩化リチウムの塩水溶液の濃度と湿度との関係を求
めた実験例の結果を下記表に示す。
【0031】この実験例は、密閉容器内に濃度調整した
塩化リチウム水溶液を挿入するとともに湿度センサを設
置し、この密閉容器を恒温槽に入れて25℃に保持し、平
衡状態となった時の湿度を測定したものである。この濃
度−湿度特性に基づき、保管する乾式分析フイルムの種
類に対応した要求保管湿度に相当する塩水溶液の濃度を
設定するものである。
【0032】なお、上記塩化リチウム水溶液の濃度調整
は、次の手順で作成した。まず、固相と液相が共存状態
となっている塩化リチウム飽和水溶液を作り、この塩化
リチウム飽和水溶液を蒸留水で所定の割合の重量比で希
釈して各相対濃度の水溶液を作成する。
【0033】
【表】
【0034】一方、フイルム保管装置11におけるカバー
25の下面の取出位置には、各カートリッジ20から所定の
乾式分析フイルム1を取り出す際に開く開閉シャッター
(図示せず)が設けられ、該シャッターを通して挿入さ
れたフイルム搬送手段13の取出用吸盤70によってカート
リッジ20の最下段の乾式分析フイルム1が外部に取り出
される。
【0035】ここで、上記乾式分析フイルム1を収容す
るカートリッジ20の詳細は、図3(A) および図3(B) に
示すように、角筒状の箱体21と、その内部の上面20a 側
に配設されたバネ部材30と押え部材31を備えている。ま
た、この箱体21の一側面20bの最下部付近には乾式分析
フイルム1の最下部のものを1枚だけ取出可能な第1の
開口部20c が形成され、底面20d には上記フイルム1を
吸引保持する取出用吸盤70(サクションカップ)が進入
する略U字型の第2の開口部20e が形成されている。
【0036】さらに、上記箱体21の他側面20f には、収
容した乾式分析フイルム1の特性等を表わす情報を有す
る磁気ストライプ20g が付設されており、また上記側面
20bおよびこれに対向する側面にはこのカートリッジ20
を前記カートリッジ収容部22a に保持せしめかつカート
リッジ挿入方向の誤認防止を図るためのリブ20h が突設
されている。
【0037】次に図1におけるインキュベータ12は、円
盤状の本体40が中心下部の回転駆動機構41によって回転
自在に支持され、上記本体40の円周上には所定間隔で前
記乾式分析フイルム1を収容するセル42が複数配設さ
れ、このセル42内で乾式分析フイルム1がインキュベー
ションされる。
【0038】このインキュベータ12の本体40は下部の上
面が平坦な金属製の下ディスク45と、該下ディスク45上
に配設された図示しない金属製の上ディスクを有し、上
ディスクは外周部分が上方に環状に膨出して形成され、
外周下端部と下ディスク45の上面との間にはセル42の側
方開口部42a を形成する隙間が形成されている。上記本
体40内にはヒータが内蔵され、乾式分析フイルム1が所
定温度(たとえば37℃)に加熱保持される。
【0039】また、図示していないが、上記下ディスク
45にはセル42の形成位置に対応して所定間隔で測光窓が
開口され、該セル42には挿入された乾式分析フイルム1
を所定位置に固定するフイルム押えが配設され、また、
測定位置における本体40の下方には、測定手段16の測光
ヘッド95が配設されている。
【0040】前記フイルム保管装置11からインキュベー
タ12に乾式分析フイルム1を搬送する搬送手段13は、前
記カートリッジ20から乾式分析フイルム1を取り出す取
出用吸盤70と、この取出用吸盤70に保持されている乾式
分析フイルム1を、展開層4が上面となっている状態の
まま下方から保持して受け取るとともにインキュベータ
12のセル42に側方開口部から挿入する馬蹄形の移載部材
73と、インキュベータ12のセル42内で上記移載部材73に
保持されている乾式分析フイルム1をセル42の下方から
出没して保持する保持用吸盤76とを備えている。
【0041】前記取出用吸盤70は、図示しない移動機構
によって前後動および昇降動自在に設けられ、乾式分析
フイルム1をカートリッジ外部に引き出し、点着位置ま
で搬送する。さらに、保持用吸盤76は、図示しない駆動
機構によって昇降移動可能に設けられ、前記インキュベ
ータ12のセル42の底面に開口された測光窓から該セル42
内に出没移動する。
【0042】一方、前記インキュベータ12のフイルム排
出位置にはフイルム排出手段17が配設され、セル42内の
測定後の乾式分析フイルム1を吸着して持ち上げる排出
用吸盤81と、該排出用吸盤81で持ち上げられた乾式分析
フイルム1を受け取りインキュベータ12の外方に搬出す
るフイルム取出用の馬蹄形の移載部材82と、この移載部
材82によって取り出された乾式分析フイルム1を受け取
って廃却箱84に廃棄する廃却用吸盤83とによって構成さ
れている。
【0043】前記試料液収容手段14は、回転駆動機構86
によって回転操作される回転テーブル85を備え、該回転
テーブル85の外周部には試料液を収容した複数のサンプ
ル容器87を保持し、サンプル容器87が順次供給位置に移
動される。また、内周側には後述の点着用ノズル91の先
端に装着されるノズルチップ88が収容される。
【0044】また、上記サンプル容器87の各試料液をイ
ンキュベータ12に搬送された乾式分析フイルム1に点着
する点着手段15は、試料液の吸引吐出を行う点着用ノズ
ル91を有し、該点着用ノズル91の先端にはピペット状の
上記ノズルチップ88が着脱自在に装着され、駆動機構92
により上下動および回動可能に移動され、試料液収容手
段14から試料液を吸引し移動して前記移載部材73の上に
保持されている乾式分析フイルム1に点着する。また、
上記点着手段15の点着用ノズル91における先端のノズル
チップ88は、試料液の変更に伴って交換される。
【0045】点着された乾式分析フイルム1は、インキ
ュベータ12によりインキュベーションが行われ、このイ
ンキュベータ12の下方に配設された測定手段16により測
定される。この測定手段16は、乾式分析フイルム1と試
料液中のアナライトとの呈色反応による光学濃度を測定
するための測光ヘッド95を有する。上記測光ヘッド95は
所定波長の光を含む測定用照射光を光透過性の支持体2
を透過し試薬層3に照射して、反射光を光検出素子で検
出するものであり、測光ヘッド95には光源96(ランプ)
からの光が干渉フィルタ97を介して入射され、測光ヘッ
ド95内で上記光が試薬層3に照射される。前記フィルタ
97は、検査項目に対応する複数種類のものが円板98に設
置され、該円板98をモータ99よって回転して測定項目に
対応する所定の特性のフィルタ97を選択するように構成
されている。
【0046】なお、測光ヘッド95へ測定光を照射するた
めの光学系内に設けられる分光手段としては、前記のよ
うに干渉フィルタ97を用いる代りに、回折格子を用いて
もよい。
【0047】また、試薬層3からの反射光は試薬層3中
で生成された色素量に応じた光情報(具体的には光量)
を担持しており、この光情報を担持した反射光が測光ヘ
ッド95の光検出素子に入射して光電変換され、アンプを
介して判定部に送出される。判定部では、入力された電
気信号のレベルに基づき試薬層3中で生成された色素の
光学濃度を判定し、試料液中の所定の生化学物質の物質
の濃度(含有量)または活性値を比色法の原理により算
出する。
【0048】上記生化学分析装置10による測定を説明す
れば、まず、搬送手段13の取出用吸盤70によってフイル
ム保管装置11より測定項目に対応するカートリッジ20か
ら所定湿度に保管されている乾式分析フイルム1を取り
出す。この取出用吸盤70に保持された乾式分析フイルム
1は、そのまま試薬層3を上側にして移載部材73に移し
替えられてその試薬層3に試料液が点着される。
【0049】この点着は、点着手段15の点着用ノズル91
の先端にノズルチップ88を装着した後、試料液収容手段
14の所定サンプル容器87上に移動させてノズルチップ88
の先端を試料液に浸漬し、該ノズルチップ88内に所定量
の試料液を吸引する。そして、この点着用ノズル91を移
載部材73上の乾式分析フイルム1上の中心に移動させ、
次いで点着用ノズル91を下動させて、ノズルチップ88か
ら乾式分析フイルム1の試薬層3上に試料液を所定量だ
け滴下する。滴下された試料液は展開拡散され、試薬と
混合する。
【0050】点着後の乾式分析フイルム1は移載部材73
の搬送によって、インキュベータセル42に側方開口部42
a から挿入される。インキュベータセル42内で乾式分析
フイルム1は密閉状態で所定のインキュベーションによ
り所定温度に加熱されると試薬層3が呈色反応(色素生
成反応)を生起する。そして、呈色反応中の所定時間毎
もしくは所定時間経過後に、この呈色反応により生じた
色素の光学濃度を測定手段16の測光ヘッド95で測定す
る。
【0051】次に、図4〜図5にはカートリッジ20を1
列のリング状に格納するフイルム保管装置111 の具体的
構成を示している。
【0052】図示したフイルム保管装置111 は、前述し
たフイルム保管装置11と基本的な構成は略同じで、基部
124 に回転可能に支持された円盤状の架体122 を備え、
該架体122 はその外周面に1列に配設されたカートリッ
ジ収納部122aを有し、各カートリッジ収納部122aには上
述のカートリッジ20がそれぞれ装填される。
【0053】そして、上記基部124 の上部にはカバー12
5 が配設されて内部の格納室111aが密閉され、その上面
に配設された開閉蓋を有する挿入口125aから、上記カー
トリッジ20の挿入、取り出しを行うようになっている。
なお、このカバー125 は基部124 からの取り外しが可能
に構成されており、何らかのトラブルがフイルム保管装
置111 に発生して、一時的にカートリッジ20を他所に移
し替える必要が生じた際には、カバー125 を取り外すこ
とにより素早くカートリッジ20を取り出せるようになっ
ている。
【0054】また、上記格納室111aの中心部分には調湿
剤収容部127 が設けられ、該調湿剤収容部127 にはカバ
ー125 上面の中心部に形成された開閉蓋を有する投入口
125bから前記と同様の塩化リチウムまたは酢酸カリウム
等の所定濃度の塩水溶液を含有する湿度調節部材126 が
装填され、格納室111aの内部が低湿度に保たれる。この
湿度調節部材126 は、上記塩水溶液が、吸水性多孔質ポ
リマー等の多孔質媒体に含浸されたものなどが、上面の
開放した容器132 に収容され、調湿剤収容部127 に装填
されている。
【0055】さらに、基部124 の下面には、各カートリ
ッジ20から所定の乾式分析フイルム1を取り出すための
取出口123 と、該取出口123 を開閉する開閉シャッタ12
8 が設けられている。この開閉シャッタ128 は、バネ12
9 により取出口123 を閉じる方向に付勢されており、所
定の乾式分析フイルム1を取り出す際には、シャッタモ
ータ130 によって回転駆動されるカム131 により押圧さ
れて上記取出口123 を開くように構成されている。ま
た、上記架体122 の外周面下部には、架体モータ121 の
回転ギヤ121aと噛合する歯部122bが形成されており、架
体122 はこの架体モータ121 によって回転駆動され、所
定のカートリッジ収納部122aが上記取出口123 の位置に
停止するように制御される。
【0056】前記湿度調節部材126 の構成例を以下に具
体的に説明する。各構成例は、飽和塩水溶液と固相とを
共存させている例である。
【0057】構成例1 15cm幅の長繊維セルロース不織布(商品名ベンリーゼ;
旭化成株式会社製)を直径8mmの棒に巻き付けながら、
塩化リチウム粉末を不織布の間に均一に約10g挟み込
み、巻き付けた不織布の径が5cmの状態で上中下3か所
を糸で巻いて固定することにより、塩化リチウム粉末を
挟み込んだφ5cm×15cmの不織布の円柱を形成した。そ
して、シャーレに300mL の飽和塩化リチウム水溶液を入
れ、前記円柱を液に浸し、不織布に飽和塩化リチウム水
溶液を含浸させた。これをフイルム保管装置111 の内部
に置いたシャーレに放置したところ、内部を1か月間、
温度25℃で、湿度11%RHに保つことができた。なお、外
環境は、温度25℃、湿度約50%RHであった。
【0058】構成例2 15cm幅の長繊維セルロース不織布(ベンリーゼ)を直径
8mmの棒に巻き付け、巻き付けた不織布の径が5cmの状
態で上中下3か所を糸で巻いて固定した。中心の棒を引
き抜き、その穴にφ8mm×15cmの塩化リチウムのペレッ
ト(重量約8g)を挿入した。この塩化リチウムのペレ
ットは、外径φ5cm、内径φ8mm×30cmの金属製の円柱
容器に塩化リチウムの粉末を入れ、外径φ7.5mm ×30cm
の金属製の棒で圧縮して作成した。これにより、中心部
に塩化リチウムの心棒を持つφ5cm×15cmの不織布の円
柱を形成した。そして、シャーレに300mL の飽和塩化リ
チウム水溶液を入れ、前記円柱を液に浸し、不織布に飽
和塩化リチウム水溶液を含浸させた。これをフイルム保
管装置111 の内部に置いたシャーレに放置したところ、
内部を1か月間、温度25℃で、湿度11%RHに保つことが
できた。なお、外環境は、温度25℃、湿度約50%RHであ
った。
【0059】構成例3 15cm幅の長繊維セルロース不織布(ベンリーゼ)を直径
8mmの棒に巻き付け、巻き付けた不織布の径が5cmの状
態で上中下3か所を糸で巻いて固定し、φ5cm×15cmの
不織布の円柱を形成した。そして、シャーレに300mL の
飽和塩化リチウム水溶液を入れ、前記円柱を液に浸し、
不織布に飽和塩化リチウム水溶液を含浸させた。フイル
ム保管装置111 の内部に置いたガラスの容器に深さ3cm
になるまで固形塩化リチウムを入れ、その上に前記の飽
和塩化リチウム水溶液を含浸させた不織布円柱を放置し
たところ、内部を1か月間、温度25℃で、湿度11%RHに
保つことができた。なお、外環境は、温度25℃、湿度約
50%RHであった。
【0060】構成例4 酢酸カリウム飽和水溶液と固形酢酸カリウムを用いて、
前記構成例1〜3と同様の手順で湿度調整試験を行った
ところ、フイルム保管装置111 の内部を1か月間、温度
25℃で、湿度20%RHに保つことができた。なお、外環境
は、温度25℃、湿度約50%RHであった。
【0061】上記実施例によれば、湿度調節部材に含有
させる塩化リチウム、酢酸カリウム等の塩の選択および
その濃度設定により、格納室の湿度を0%(絶乾状態)
でない低湿度(3%〜30%RH)に安定して維持すること
ができ、内部に収容保管している乾式分析フイルム1を
その性能を劣化させることなく良好な状態に保管するこ
とができるものである。
【0062】また、長時間経過後には乾式分析フイルム
1の供給に伴う格納室の開閉に応じて、外部からの水分
の流入もしくは外部への水分の放出があり、これに応じ
て塩水溶液濃度が変化すると平衡状態の格納室の湿度が
変動するが、所定時間の経過毎にもしくは湿度状態を検
出して、湿度調節部材を交換して湿度範囲を維持するの
が好ましい。さらに、塩の飽和溶解度の水溶液と塩の固
体とを共存させているものでは、飽和溶解度が持続され
て略一定の湿度を維持するものであり、その交換時期の
湿度変動を抑制すると、さらに長期間の一定湿度保持が
可能となるが、許容湿度範囲に応じて交換時の湿度を設
定するものである。
【0063】なお、上記実施例では塩化リチウムまたは
酢酸カリウムの所定濃度の塩水溶液を多孔質媒体に含浸
させて取扱いを容易にしているが、固定式の生化学分析
装置の場合には上記塩水溶液をそのままフイルム保管装
置に配置するようにしてもよい。
【0064】また、本発明のフイルム保管装置に収容可
能な乾式分析フイルムとしては、前記実施例に記載した
ようなマウントを有しない乾式分析フイルム片の他、マ
ウントを有するスライドタイプの乾式分析フイルム、濾
紙タイプの乾式分析フイルム等のものが適用可能であ
る。
【0065】さらに、フイルム保管装置としては、実施
例のように生化学分析装置に設置し測定に対応して順次
乾式分析フイルムが取り出されるものの他、生化学分析
装置とは別途に乾式分析フイルムのみを保管するもので
あってもよい。
【0066】
【発明の実施態様項】
(1) 生化学分析装置に組み込まれており、乾式分析フ
イルムを実質的に密閉状態で収容する格納室を有する乾
式分析フイルムを保管する装置であって、前記格納室
に、所定濃度の塩水溶液を含有し、この格納室の湿度を
塩水溶液の濃度に対応した湿度に保つ湿度調節部材を配
設し、前記塩水溶液の塩が、温度25℃での実質的な平衡
状態において塩の飽和溶解度の水溶液に接している空気
の相対湿度を3%〜30%の範囲の低湿度に保つことがで
きる塩であることを特徴とする乾式分析フイルムの保管
装置。
【0067】(2) 前記湿度調節部材が、塩水溶液を、
海綿、吸水性多孔質ポリマー、濾紙、カット綿、不織布
等の多孔質媒体に含浸させてなるものである実施態様項
1に記載の乾式分析フイルムの保管装置。
【0068】(3) 前記湿度調節部材が、前記塩の飽和
溶解度の水溶液を多孔質媒体に含浸させ、前記塩の固体
と共存させてなることを特徴とする実施態様項2に記載
の乾式分析フイルムの保管装置。
【0069】(4) 前記塩が、塩化リチウムまたは酢酸
カリウムであることを特徴とする実施態様項1乃至3い
ずれかに記載の乾式分析フイルムの保管装置。
【0070】
【発明の効果】本発明の乾式分析フイルムの保管装置に
よれば、乾式分析フイルムを収容した格納室に塩水溶液
を含有する湿度調節部材を配設したことにより、この塩
水溶液の種類に対応して格納室の湿度が一定値以下とな
らない湿度範囲に、簡易な構成によって安定して調整す
ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の保管装置を備えた生化学分
析装置の概略を示す斜視図
【図2】乾式分析フイルムの概略を示す斜視図
【図3】乾式分析フイルムを収納したカートリッジを一
部破断して示す斜視図
【図4】フイルム保管装置の概略構成を示す縦断面図
【図5】図4に示すフイルム保管装置を一部破断して示
す底面図
【符号の説明】 1 乾式分析フイルム 10 生化学分析装置 11,111 フイルム保管装置 11a,111a 格納室 12 インキュベータ 13 フイルム搬送手段 14 試料液収容手段 15 点着手段 16 測定手段 20 カートリッジ 22,122 架体 22a,122a カートリッジ収納部 24,124 基部 25,125 カバー 27,127 調湿剤収容部 113 フイルム取出手段 121 架体モータ 126 湿度調節部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生化学分析装置に組み込まれており、乾
    式分析フイルムを実質的に密閉状態で収容する格納室を
    有する乾式分析フイルムを保管する装置であって、前記
    格納室に、所定濃度の塩水溶液を含有し、この格納室の
    湿度を塩水溶液の濃度に対応した湿度に保つ湿度調節部
    材を配設し、前記塩水溶液の塩が、温度25℃での実質的
    な平衡状態において塩の飽和溶解度の水溶液に接してい
    る空気の相対湿度を3%〜30%の範囲の低湿度に保つこ
    とができる塩であることを特徴とする乾式分析フイルム
    の保管装置。
JP27813793A 1993-11-08 1993-11-08 乾式分析フイルムの保管装置 Withdrawn JPH07128340A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000065841A (ja) * 1998-08-26 2000-03-03 Fuji Photo Film Co Ltd 生化学分析装置の試薬庫
JP2008096201A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Sysmex Corp 分析装置
JP2012189465A (ja) * 2011-03-11 2012-10-04 Hitachi High-Technologies Corp 自動分析装置
CN103604484A (zh) * 2013-10-29 2014-02-26 北京利德曼生化股份有限公司 用于全自动生化分析仪反应盘的液位探测装置

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