JPH07113025A - オレフィン系熱可塑性エラストマー - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー

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JPH07113025A
JPH07113025A JP9677294A JP9677294A JPH07113025A JP H07113025 A JPH07113025 A JP H07113025A JP 9677294 A JP9677294 A JP 9677294A JP 9677294 A JP9677294 A JP 9677294A JP H07113025 A JPH07113025 A JP H07113025A
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JP
Japan
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weight
thermoplastic elastomer
peroxide
olefin
parts
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JP9677294A
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English (en)
Inventor
Yuichi Ito
藤 雄 一 伊
Akira Uchiyama
山 晃 内
Kyoko Kobayashi
林 恭 子 小
Masaharu Murakami
上 正 治 村
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】結晶性ポリオレフィン樹脂と、オレフィン系ゴ
ムとを特定の割合で含有している混合物を、有機ペルオ
キシドの存在下で動的に熱処理して得られる部分的に架
橋された熱可塑性エラストマーであって、この有機ペル
オキシドが、分子中に1個または2個のパーオキサイド
結合を有し、かつ、分子量を1分子中のパーオキサイド
結合の数で割った値が200以下の飽和脂肪族化合物で
あることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー。 【効果】上記のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、
耐フォギング性に優れるとともに、軽量でリサイクルが
容易であり、焼却しても有害なガスが発生することがな
く、しかも、比較的安全に製造することができる。した
がって、このような効果を有する熱可塑性エラストマー
は、特に耐フォギング性が要求される自動車内装材など
の用途に利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、オレフィン系熱可塑性エ
ラストマーに関し、さらに詳しくは、フォギング性の極
めて低い、すなわち耐フォギング性に優れるオレフィン
系熱可塑性エラストマーに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】自動車の内装材には,様々な高分
子材料が用いられている。その中でも、軟質塩化ビニル
樹脂、あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマー、特
に耐熱性の優れる架橋タイプのオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーが多く用いられている。
【0003】しかしながら、軟質塩化ビニル樹脂を用い
た自動車内装材は、特に夏季の炎天下では駐車中の車内
の温度が上昇するため、軟質塩化ビニル樹脂に多く含ま
れている可塑剤が昇華して窓ガラスに付着し、窓ガラス
を曇らせる(フォギング)という問題がある。
【0004】一方、架橋タイプのオレフィン系熱可塑性
エラストマーを用いた自動車内装材は、軟質塩化ビニル
樹脂を用いた自動車内装材に比べ、軽量であること、リ
サイクルが容易であること、さらには焼却しても塩化ビ
ニル樹脂のように有害なガスを発生しないなどの優れた
特徴を有している。また、架橋タイプのオレフィン系熱
可塑性エラストマーは、軟質塩化ビニル樹脂のように低
分子量の可塑剤を必要としないためフォギング性が低い
という特徴を有する。
【0005】しかしながら、架橋タイプのオレフィン系
熱可塑性エラストマーを用いた自動車内装部品であって
も、熱可塑性エラストマー中に微量に含まれる有機ペル
オキシド等の架橋剤やその反応物がフォギングの原因に
なっているのが現状である。
【0006】そこで、本発明者らは、オレフィン系熱可
塑性エラストマーの上記のような問題を解決すべく鋭意
研究し、特定の有機ペルオキシドを用いてオレフィン系
熱可塑性エラストマーを製造すると、耐フォギング性に
優れる部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラス
トマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、耐フォギング
性に優れるとともに、軽量でリサイクルが容易であり、
焼却しても有害なガスを発生することのない、比較的安
全に製造することができるオレフィン系熱可塑性エラス
トマーを提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーは、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)15〜7
0重量部と、オレフィン系ゴム(B)30〜85重量部
[成分(A)および(B)の合計量は、100重量部と
する]とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下
で動的に熱処理して得られる部分的に架橋された熱可塑
性エラストマーであって、該有機ペルオキシドが、分子
中に1個または2個のパーオキサイド結合を有し、か
つ、分子量を1分子中のパーオキサイド結合の数で割っ
た値が200以下の飽和脂肪族化合物であることを特徴
としている。
【0009】上記有機ペルオキシドとしては、特に2,5-
ジメチル-2,5-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサンが好
ましい。また、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー100重量部中に、1〜20重量部の軟化剤が
配合されていてもよい。
【0010】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るオレフィン系
熱可塑性エラストマーについて具体的に説明する。
【0011】本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラス
トマーは、部分的に架橋されており、結晶性ポリオレフ
ィン樹脂(A)とオレフィン系ゴム(B)とからなる混
合物が、特定の有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処
理されてなる。
【0012】結晶性ポリオレフィン樹脂(A) 本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂(A)と
しては、炭素原子数2〜20のα- オレフィンの単独重
合体または共重合体が挙げられる。
【0013】上記結晶性ポリオレフィン樹脂(A)の具
体的な例としては、以下のような重合体または共重合体
が挙げられる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα- オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα- オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと10モル%以下の他のα- オレフィン
とのランダム共重合体 (8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα
- オレフィンとのランダム共重合体 上記のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレ
ン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-
ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0014】上記の結晶性ポリオレフィン樹脂の中で
も、プロピレン単独重合体、プロピレンと10モル%以
下の他のα- オレフィンとのランダム共重合体、プロピ
レンと30モル%以下の他のα- オレフィンとのブロッ
ク共重合体が特に好ましい。
【0015】上記のような結晶性ポリオレフィン樹脂
(A)は、単独で、あるいは組合わせて用いることがで
きる。結晶性ポリオレフィン樹脂(A)は、メルトフロ
ーレート(MFR;ASTMD 1238、230℃、
荷重2.16kg、以下同じ)が通常0.01〜100
g/10分、好ましくは0.3〜60g/10分の範囲
にある。
【0016】また、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)
は、X線法により求めた結晶化度が通常5〜90%、好
ましくは10〜85%の範囲にある。本発明において
は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)は、結晶性ポリオ
レフィン樹脂(A)およびオレフィン系ゴム(B)の合
計量100重量部に対して、15〜70重量部、好まし
くは20〜60重量部、さらに好ましくは25〜55重
量部の割合で用いられる。
【0017】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)を上記の
ような割合で用いると、耐熱性に優れた成形体を提供し
得る、成形性に優れた熱可塑性エラストマーが得られ
る。オレフィン系ゴム(B) 本発明で用いられるオレフィン系ゴム(B)は、炭素原
子数2〜20のα- オレフィンを主成分とする無定形ラ
ンダムな弾性共重合体である。
【0018】上記の無定形ランダムな弾性共重合体とし
ては、2種以上のα- オレフィンからなる非晶性α- オ
レフィン共重合体、2種以上のα- オレフィンと非共役
ジエンとからなるα- オレフィン・非共役ジエン共重合
体などがある。
【0019】このようなオレフィン系共重合体ゴムの具
体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。 (1)エチレン・α- オレフィン共重合体ゴム[エチレ
ン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜50/
50] (2)エチレン・α- オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム[エチレン/α- オレフィン(モル比)=約90
/10〜50/50] (3)プロピレン・α- オレフィン共重合体ゴム[プロ
ピレン/α- オレフィン(モル比)=約90/10〜5
0/50] (4)ブテン・α- オレフィン共重合体ゴム[ブテン/
α- オレフィン(モル比)=約90/10〜50/5
0] 上記α- オレフィンとしては、具体的には、上記した結
晶性ポリオレフィン樹脂(A)を構成するα- オレフィ
ンの具体的な例と同様のα- オレフィンが挙げることが
できる。
【0020】また、上記非共役ジエンとしては、具体的
には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シク
ロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノ
ルボルネンなどが挙げられる。
【0021】このような非共役ジエンが共重合している
上記(2)のエチレン・α- オレフィン・非共役ジエン
共重合体ゴムのヨウ素価は、25以下が好ましい。上記
(1)〜(4)の共重合体ゴムのムーニー粘度ML1+4
(100℃)は、10〜250であり、特に40〜15
0が好ましい。
【0022】また、本発明においては、このようなオレ
フィン系共重合体ゴムとその他のゴムを組合わせて用い
ることもできる。上記の「その他のゴム」としては、た
とえばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル
ゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(II
R)等のジエン系ゴム、ポリイソブチレンゴムなどが挙
げられる。
【0023】上記のオレフィン系ゴム(B)は、熱可塑
性エラストマー中において、部分架橋状態で存在してい
る。オレフィン系ゴム(B)として、オレフィン系共重
合体ゴムとその他のゴムを組合わせて用いる場合には、
その他のゴムは、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とオ
レフィン系ゴム(B)との合計量100重量部に対し
て、40重量部以下、好ましくは5〜20重量部の割合
で用いられる。
【0024】本発明においては、オレフィン系ゴム
(B)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)およびオレ
フィン系ゴム(B)の合計量100重量部に対して、3
0〜85重量部、好ましくは40〜80重量部、さらに
好ましくは45〜75重量部の割合で用いられる。
【0025】オレフィン系ゴム(B)を上記のような割
合で用いると、耐フォギング性に優れるとともに柔軟性
に優れた成形体を提供し得る熱可塑性エラストマーが得
られる。
【0026】その他の成分 本発明において必要に応じて用いられる軟化剤として
は、通常ゴムに使用される軟化剤が適当であり、具体的
には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラ
フィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール
類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等
の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリ
ン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリ
ン酸等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロン
インデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高
分子;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、
ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マ
イクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまた
はその変性物あるいは水添物、液状チオコールなどが挙
げられる。
【0027】本発明においては、軟化剤は、オレフィン
系熱可塑性エラストマー100重量部中に、1〜20重
量部、好ましくは3〜15重量部の割合で含有させるこ
とができる。
【0028】軟化剤を上記のような割合で用いると、機
械的物性に優れた成形体を提供し得る、成形時の流動性
に優れた熱可塑性エラストマーが得られる。本発明にお
いては、オレフィン系熱可塑性エラストマー中に、必要
に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化
防止剤、充填剤、着色剤、滑剤などの添加剤を、本発明
の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0029】上述したように、本発明に係るオレフィン
系熱可塑性エラストマーは、結晶性ポリオレフィン樹脂
(A)とオレフィン系ゴム(B)と必要に応じて用いら
れる軟化剤とからなる混合物を、特定の有機ペルオキシ
ドの存在下で動的に熱処理して得られる、オレフィン系
ゴム(B)が部分的に架橋された熱可塑性エラストマー
である。
【0030】本発明で用いられる有機ペルオキシドは、
その分子中に1個または2個のパーオキサイド結合を有
し、かつ、分子量を1分子中のパーオキサイド結合の数
で割った値が200以下の飽和脂肪族化合物である。
【0031】上記有機ペルオキシドとしては、具体的に
は、t-ブチルヒドロペルオキシド(分子量90.1,パーオ
キサイド結合の数1)、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒ
ドロペルオキシド(分子量146.2 ,パーオキサイド結合
の数1)、2,5-ジメチルヘキサン-2,5- ジヒドロペルオ
キシド(分子量178.2 ,パーオキサイド結合の数2)等
のヒドロペルオキシド;ジ-t- ブチルペルオキシド(分
子量146.2 ,パーオキサイド結合の数1)等のジアルキ
ルペルオキシド;ジアセチルペルオキシド(分子量118.
1 ,パーオキサイド結合の数1)、ジプロピオニルペル
オキシド(分子量146.1 ,パーオキサイド結合の数
1)、ジイソブチリルペルオキシド(分子量174.2 ,パ
ーオキサイド結合の数1)等のジアシルペルオキシド;
2,2-ジ-t- ブチルペルオキシブタン(分子量234.3 ,パ
ーオキサイド結合の数2)、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-
ブチルペルオキシ)ヘキサン(分子量290.4 ,パーオキ
サイド結合の数2)等のペルオキシケタール;t-ブチル
ペルオキシイソブチレート(分子量160.2 ,パーオキサ
イド結合の数1)、t-ブチルペルオキシアセテート(分
子量132.2 ,パーオキサイド結合の数1)、t-ブチルペ
ルオキシピバレート(分子量174.2 ,パーオキサイド結
合の数1)、ジ(t-ブチルペルオキシ)アジペート(分
子量290.4 ,パーオキサイド結合の数2)等のペルオキ
シエステル;メチルエチルケトンペルオキシド(分子量
136.2 ,パーオキサイド結合の数2)、メチルイソブチ
ルケトンペルオキシド(分子量232.3 ,パーオキサイド
結合の数2)等のケトンペルオキシドなどが挙げられ
る。
【0032】本発明では、これら有機ペルオキシドの中
でも、安全性の点から引火点が40℃以上の有機ペルオ
キシドが好ましく用いられ、50℃以上の有機ペルオキ
シドがより好ましく用いられる。中でも、特に2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサンが好まし
く用いられる。
【0033】本発明においては、有機ペルオキシドは、
結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とオレフィン系ゴム
(B)との合計量100重量部に対して、0.05〜3
重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いられ
る。
【0034】本発明においては、上記有機ペルオキシド
による部分架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシ
ム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N
-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニ
ルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニ
レンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、ある
いはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレ
ートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレート
のような多官能性ビニルモノマーを用いることができ
る。
【0035】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分
である結晶性ポリオレフィン樹脂(A)およびオレフィ
ン系ゴム(B)との相溶性が良好であり、かつ、有機ペ
ルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシド
の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質
で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラス
トマーが得られる。
【0036】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体100重量%に対して、0.1〜2重量%、特に
0.3〜1重量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助
剤もしくは多官能性ビニルモノマーの配合割合が2重量
%を超えると、有機ペルオキシドの配合量が多い場合に
は、架橋反応が速く進行し過ぎるため、得られる熱可塑
性エラストマーは、流動性に劣り、一方、有機ペルオキ
シドの配合量が少ない場合には、架橋助剤および多官能
性ビニルモノマーが、熱可塑性エラストマー中に未反応
のモノマーとして残存し、熱可塑性エラストマーは、加
工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じたりする。
したがって、架橋助剤および多官能性ビニルモノマー
は、過剰に配合すべきではない。
【0037】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。混練装
置としては、従来公知の混練装置、たとえば開放型のミ
キシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出
機、ニーダー、連続ミキサーなどが用いられる。これら
の内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒
素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行なう
ことが好ましい。
【0038】また、混練は、使用する有機ペルオキシド
の半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましい。
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170
〜240℃であり、混練時間は、1〜20分間、好まし
くは3〜10分間である。また、加えられる剪断力は、
剪断速度で通常、10〜100,000sec-1、好ま
しくは100〜10,000sec-1の範囲内で決定さ
れる。
【0039】本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラス
トマーは、たとえば上記のような動的な熱処理により得
られたペレットを、高温雰囲気中で熱処理してペレット
中に残存する有機過酸化物(架橋剤)およびその分解生
成物を揮発させて取り除くことにより得られる。この熱
処理温度は、通常70℃ないしこのペレットの融点未満
の温度範囲である。また、この熱処理に要する時間は、
熱処理温度にもよるが、通常1〜10時間の範囲であ
る。この熱処理は、常圧下または減圧下で行なわれる。
この熱処理を上記のような条件で行なうと、耐フォギン
グ性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーが得ら
れる。
【0040】また、第1ステージ(一次押出部)と、ベ
ント孔を有するベント部と、第2ステージ(二次押出
部)とを有するベント式押出機を用いて本発明に係るオ
レフィン系熱可塑性エラストマーを調製する場合におい
ては、第1ステージで上記の動的熱処理を行なった後
に、ベント部に設けられているベント孔より溶融熱可塑
性エラストマー中に残存する有機過酸化物(架橋剤)お
よびその分解生成物を真空吸引して取り除く。このよう
な工程を経て得られるオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーは、耐フォギング性に優れている。
【0041】本発明においては、上記のようなベント式
押出機を用いて得られたオレフィン系エラストマーのペ
レットに、さらに上記の熱処理を行なうこともできる。
上記のようにして得られるオレフィン系熱可塑性エラス
トマーは、部分的に架橋されている。この「部分的に架
橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量が20
〜99重量%の範囲内にある場合をいい、本発明におい
ては、ゲル含量が40〜98重量%の範囲内にあること
が好ましい。
【0042】[ゲル含量の測定法]試料として熱可塑性
エラストマーのペレット(サイズ:0.5×0.5×
0.5mm)を約100mg秤量し、密閉容器中にてこ
のペレットに対して充分な量である30mlのシクロヘ
キサンに、23℃で48時間浸漬する。
【0043】次に、この試料を濾紙上に取出し、室温で
72時間以上、恒量になるまで乾燥する。この乾燥残渣
の重量からポリマー成分以外のすべてのシクロヘキサン
不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量
およびシクロヘキサン浸漬前の試料中の結晶性ポリオレ
フィン樹脂成分の重量を減じたものを、「補正された最
終重量(Y) 」とする。
【0044】一方、試料中のオレフィン系ゴムの重量、
[すなわち、試料の重量から(1) オレフィン系ゴム以外
のシクロヘキサン可溶性成分(たとえば、鉱油や可塑
剤)および (2)結晶性ポリオレフィン樹脂成分および
(3)ポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊
維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じたもの]
を、「補正された初期重量(X) 」とする。
【0045】ここにゲル含量は、次の式で求められる。 ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Y)]÷
[補正された初期重量(X)]×100
【0046】
【発明の効果】本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーは、結晶性ポリオレフィン樹脂(A)とオレフ
ィン系ゴム(B)とからなる混合物が、特定の有機ペル
オキシドの存在下で動的に熱処理されてなり、部分的に
架橋されているので、耐フォギング性に優れるととも
に、軽量でリサイクルが容易であり、焼却しても有害な
ガスが発生することがなく、しかも、比較的安全に製造
することができる。
【0047】したがって、上記のような効果を有する本
発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーは、特に
耐フォギング性が要求される自動車内装材などの用途に
利用することができる。
【0048】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0049】
【実施例1】ポリプロピレン[メルトフローレート(A
STM D 1238−65T、230℃):13g/1
0分、密度:0.91g/cm3 、結晶化度:72%]
25重量部と、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2
- ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含有量:70モ
ル%、ヨウ素価:12、ムーニー粘度ML1+4 (100
℃ ):120]75重量部とを、バンバリーミキサー
を用いて窒素雰囲気下、180℃で5分間混練した後、
この混練物をロールに通してシート状とし、シートカッ
ターで裁断して角ペレットを製造した。
【0050】この角ペレット100重量部に、ジビニル
ベンゼン(DVB)0.5重量部と、2,5-ジメチル-2,5
-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサン(分子量290.4 、
パーオキサイド結合の数2)0.25重量部を添加して
ヘンシェルミキサーで攪拌混合した。
【0051】次いで、この混合物を、L/D=30、ス
クリュー径50mmの一軸押出機を用いて窒素雰囲気下に
220℃の温度で押出して造粒した後、得られたペレッ
ト(サイズ:3mmφ×3mm)を110℃に保たれた
オーブン中で3時間乾燥し、オレフィン系熱可塑性エラ
ストマーを得た。
【0052】得られたオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーのゲル含量は、上述した方法により求めたところ、9
7重量%であった。次いで、上記のようにして得られた
オレフィン系熱可塑性エラストマーのペレット10g
を、ガラス製シャーレ(直径12cm、高さ3cm)に
入れ、15cm角のガラス板でシャーレの蓋をした。そ
の状態で120℃に保たれた鉄板上に3時間放置した
後、室温で1時間放置し冷却した。そして、耐フォギン
グ性の指標となる蓋のガラス板の光沢度およびヘーズ
を、JIS K 7105に従って測定した。
【0053】その結果を第1表に示す。
【0054】
【比較例1】実施例1において、架橋剤として2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサンの代わり
に1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ
ン(分子量338.5 ,パーオキサイド結合の数2,ベンゼ
ン環を有する)0.3重量部を用いた以外は、実施例1
と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマーのペレ
ットを得た。得られた熱可塑性エラストマーのゲル含量
は97重量%であった。また、実施例1と同様にガラス
板の光沢度およびヘーズを測定した。
【0055】その結果を第1表に示す。
【0056】
【実施例2】実施例1において、ポリプロピレンおよび
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン
共重合体ゴムの配合量をそれぞれ30重量部、40重量
部とし、これらの成分のほかに、プロピレン・エチレン
共重合体ゴム(エチレン含量:40モル%、ムーニー粘
度ML1+4 (100℃):65)20重量部および軟化
剤[鉱物油系プロセスオイル;出光興産社製、PW−3
80]10重量部を配合した以外は、実施例1と同様に
して、オレフィン系熱可塑性エラストマーのペレットを
得た。得られた熱可塑性エラストマーのゲル含量は72
重量%であった。また、実施例1と同様にガラス板の光
沢度およびヘーズを測定した。
【0057】その結果を第1表に示す。
【0058】
【比較例2】実施例2において、架橋剤として2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサンの代わり
に1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ
ン0.3重量部を用いた以外は、実施例2と同様にし
て、オレフィン系熱可塑性エラストマーのペレットを得
た。得られた熱可塑性エラストマーのゲル含量は71重
量%であった。また、実施例1と同様にガラス板の光沢
度およびヘーズを測定した。
【0059】その結果を第1表に示す。
【0060】
【比較例3】実施例1において、架橋剤として2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサンの代わり
に2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシ
ン-3(分子量286.4 、パーオキサイド結合の数2、不飽
和結合の数1)0.25重量部を用いた以外は、実施例
1と同様にして、オレフィン系熱可塑性エラストマーの
ペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマーのゲル
含量は96重量%であった。また、実施例1と同様にガ
ラス板の光沢度およびヘーズを測定した。
【0061】その結果を第1表に示す。
【0062】
【比較例4】実施例1において、架橋剤として2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサンの代わり
にジデカノイルペルオキシド(分子量342.5 、パーオキ
サイド結合の数1)0.6重量部を用いた以外は、実施
例1と同様にして、オレフィン系熱可塑性エラストマー
のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマーのゲ
ル含量は97重量%であった。また、実施例1と同様に
ガラス板の光沢度およびヘーズを測定した。
【0063】その結果を第1表に示す。
【0064】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村 上 正 治 千葉県市原市千種海岸3番地 三井石油化 学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)15〜7
    0重量部と、 オレフィン系ゴム(B)30〜85重量部[成分(A)
    および(B)の合計量は、100重量部とする]とから
    なる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処
    理して得られる部分的に架橋された熱可塑性エラストマ
    ーであって、 該有機ペルオキシドが、 分子中に1個または2個のパーオキサイド結合を有し、
    かつ、分子量を1分子中のパーオキサイド結合の数で割
    った値が200以下の飽和脂肪族化合物であることを特
    徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー。
  2. 【請求項2】前記有機ペルオキシドが、2,5-ジメチル-
    2,5-ジ(t- ブチルペルオキシ)ヘキサンであることを
    特徴とする請求項1に記載のオレフィン系熱可塑性エラ
    ストマー。
  3. 【請求項3】熱可塑性エラストマー100重量部中に、
    1〜20重量部の軟化剤を含んでいることを特徴とする
    請求項1または2に記載のオレフィン系熱可塑性エラス
    トマー。
JP9677294A 1993-08-26 1994-05-10 オレフィン系熱可塑性エラストマー Pending JPH07113025A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6723794B2 (en) 1995-06-29 2004-04-20 Mitsui Chemicals, Inc. Olefin thermoplastic elastomer composition comprising crystalline polyolefin resin and ethylene/α-olefin/nonconjugated polyene copolymer rubber
JP2008150618A (ja) * 2008-02-12 2008-07-03 Mitsui Chemicals Inc フォギング性の良好なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物及びそれを成形して得られる自動車内装部品

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6723794B2 (en) 1995-06-29 2004-04-20 Mitsui Chemicals, Inc. Olefin thermoplastic elastomer composition comprising crystalline polyolefin resin and ethylene/α-olefin/nonconjugated polyene copolymer rubber
JP2008150618A (ja) * 2008-02-12 2008-07-03 Mitsui Chemicals Inc フォギング性の良好なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物及びそれを成形して得られる自動車内装部品

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