JP5248134B2 - 熱可塑性エラストマーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶性樹脂および架橋されたゴムからなる熱可塑性エラストマーの製造方法に関する。
自動車や建材のシール部品等といった柔軟でゴム弾性が求められる用途に、加硫ゴムが従来より広く使用されている。一方、架橋されたゴムと結晶性樹脂からなる熱可塑性エラストマーは、成形プロセス簡略化によるコスト優位性やマテリアルリサイクル可能であるといった点により、加硫ゴムの代替材として以前より脚光を浴びている。
このような熱可塑性エラストマーは、結晶性樹脂のマトリックス(海相)中に架橋されたゴムが島状に分散された海島構造を有しており、一般的には結晶性樹脂、架橋されていないゴムおよび架橋剤等を押出機やバンバリーミキサーのような混練機に投入し、これらを溶融状態で混合・分散させながらゴムを架橋させる製法により得られる。
しかしながら、このような結晶性樹脂と架橋されていないゴムの分散と架橋を同時に進行させる従来からの製法においては、結晶性樹脂と架橋されていないゴムが十分に分散されないうちにゴムの架橋が進行し、100μm以上の目視可能な粗大ゴムゲル物が生成するため、これが原因となって押出成形や射出成形等の後工程で製品表面を悪化させるブツといった現象を引き起こす。
特に加硫ゴム代替の用途に熱可塑性エラストマーが用いられる場合、加硫ゴムに匹敵する柔軟性と高いゴム弾性が求められる。柔軟性を満足させるには、結晶性樹脂に対してゴムの比率を大幅に多くする必要があり、又、高いゴム弾性を満足させるには高いゴムの架橋度を実現させねばならない。結晶性樹脂に対してゴムの比率が高い状態である程、結晶性樹脂中へゴムの微分散しにくくなり、前述の粗大ゴムゲル物が生成しやすくなる。又、高いゴム架橋度を得るためには、架橋剤をより多く添加する必要があり、その結果架橋反応速度が増大するため、ゴムゲル物の生成が起こりやすくなる。
従って、加硫ゴム代替用途における熱可塑性エラストマーは、粗大ゴムゲル物の改良が品質上の課題である。
このような問題を回避するため先行技術文献1では、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムとポリオレフィン樹脂とを予め溶融状態でブレンドさせエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム中にポリオレフィン樹脂が平均分散粒子径3μm以下で分散しているゴム配合物を予め得た後、架橋剤の存在下で動的に熱処理することにより、ポリオレフィン樹脂からなるマ卜リックス相(海相)中に、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの架橋粒子が分散相(島相)として分散している海島構造を有する熱可塑性エラストマーの製造方法が開示されている。
しかしながら、この製造方法においては、動的な熱処理を行う前後で、海相:ゴム/島層:樹脂の状態から、海相:樹脂/島層:架橋ゴムへと相の入れ替え(転換)が発生する。この相転換の途中ではエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの100μm以上の目視可能な粗大オレフィン系ゴムゲル物が生成する可能性がある。特にゴム弾性を高める目的で架橋剤量を多くしたり、反応温度を高めたりすると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが急激に架橋反応を起こしやすくなり、その結果、100μm以上の目視可能な粗大オレフィン系ゴムゲル物の生成を抑制することが困難となり、容易で安定した製法を得るには至っていなかった。
又、先行技術文献2においては、100℃ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が170〜350であるオレフィン系共重合体ゴム100重量部に鉱物油系軟化剤20〜150重量部が添加された油展オレフィン系共重合体ゴム40〜95重量%と、オレフィン系プラスチック5〜60重量%からなる混合物を、有機過酸化物等により部分架橋してなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製法が開示されている。
この製法においても、加硫ゴムを代替するような柔軟な材料を得るには、油展オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プラスチックからなる混合物は、柔軟成分である油展オレフィン系共重合体ゴムが主成分となり、部分架橋する前の混合物は海相:ゴム/島層:樹脂の状態を呈する。従って、この製法においても部分架橋する工程において、海相:樹脂/島層:架橋ゴムへの相転換が発生するため、相の転換をスムースに行わせるためのシビアな製造条件管理が必要となり、容易で安定した製法とは言い難いものであった。
特開平11−335501公報 特公平7−103274公報
本発明の課題は、上記のような従来技術での問題点を解決することを目的とする。更に詳しくは、製品表面のブツによる外観不良がなく表面肌が滑らかで、成形加工性の良好な、加硫ゴム代替を可能とする、結晶性樹脂と架橋されたゴムとからなる柔軟な熱可塑性エラストマーの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、結晶性樹脂(A)、及び結晶性樹脂(A)との極限粘度の比が下記式(1)を満たす架橋されていないゴム(B)が溶融状態でブレンドされ、架橋されていないゴム(B)が結晶性樹脂(A)中に平均粒径10μm以下の大きさで島状に分散したモルフォロジーを持つブレンド物(C−1)、あるいは結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)が共連続なモルフォロジーを持つブレンド物(C−2)有機過酸化物からなる架橋剤(D)の存在下で動的に熱処理する工程で、ブレンド物((C−1)または(C−2))と有機過酸化物との混合物の温度が有機過酸化物の1分半減期温度より20℃低い温度に達した時点から30秒以内に、全架橋反応の70%以上を進行させることにより製造される、結晶性樹脂(A’)中に架橋されたゴム(B’)が平均粒径10μm以下の大きさで島状に分散したモルフォロジーを持つ熱可塑性エラストマーの製造方法である。
0.66≦[η] /[η] ≦1.5 (1)
ここで、[η] は結晶性樹脂(A)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度を、[η] は架橋されていないゴム(B)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度をそれぞれ示す。
前記、ブレンド物(C−1)あるいは(C−2)は、結晶性樹脂(A)10〜60重量部に対し、架橋されていないゴム(B)は90〜40重量部(A+B=100重量部)が溶融状態でブレンドされていることが望ましい。
前記結晶性樹脂(A)の総重量を100重量%とした際に、50重量%以上がプロピレンホモポリマー或いはプロピレンとエチレン又は炭素数が4以上20以下のα−オレフィンとのコポリマーより選ばれる少なくとも1種以上であること、又は50重量%以上がブテン−1ホモポリマー或いはブテン−1とエチレン、プロピレン、又は炭素数が5以上20以下のα−オレフィンとのコポリマーより選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記架橋されていないゴム(B)は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムあるいはエチレン・α−オレフィン−非共役ポリエン系共重合ゴムが好ましい。
前記結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)のブレンド物(C)には、その100重量部に対し、軟化剤(E)を1〜300重量部含んでいてもよい。
前記動的に熱処理された熱可塑性エラストマーが、結晶性樹脂(A’)10〜60重量部と架橋された(B’)90〜40重量部よりなり、さらに(A’)+(B’)=100重量部に対し、軟化剤(E)を5〜300重量部含んでいてもよい。
前記動的な熱処理は、押出機内で行われることが望ましい。
本発明は、前記した特定の製法により熱可塑性エラストマー組成物を得るので、従来より使用される加硫ゴムと同様な柔軟でゴム弾性に富む製品を、押出成形や射出成形のみの簡略化された成形プロセスによって、成形体表面にブツのような突起がなく滑らかで、かつマテリアルリサイクル可能な熱可塑性エラストマー組成物が得られる効果を有する。
以下、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた成形体について具体的に説明する。
結晶性樹脂
本発明の熱可塑性エラストマー使用される結晶性樹脂としては、炭素原子数が3 〜 20 のα−オレフィンの含有量が50〜100モル%である単独重合体、あるいは共重合体を挙げることができるが、プロピレンホモポリマーまたはプロピレン・α−オレフィン共重合体、或いはブテン−1ホモポリマーまたはブテン−1・α−オレフィン共重合体の何れかが主体であることが好ましい。
結晶性樹脂(A)の極限粘度[η]aは0.5から6.0dl/gであることが望ましく、0.6から5.0dl/gであることがより望ましい。0.5dl/g未満では、分子量が極端に低いため得られた熱可塑性エラストマーの機械物性を悪化させる。又、6.0dl/gより大きい場合、溶融時の粘度が極端に高くなり、取り扱いが困難となる。
尚、結晶性樹脂(A)がポリオレフィン系樹脂の場合は、135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度を適用する。
エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム
本発明の熱可塑性エラストマーに使用される架橋されていないゴムとしては、エチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合ゴム)、またはエチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体(エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴム)が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合ゴムとしては、エチレンとα−オレフィンに由来する構造単位のモル比(エチレン/α−オレフィン)は50/50〜85/15、好ましくは55/45〜80/20の範囲にあるのが望ましい。エチレンのモル比が50以下では、動的な熱処理時に分解反応が架橋反応より先行し、期待される架橋構造が得られにくくなる。また85以上ではゴムが固くなり、得られる熱可塑性エラストマーの柔軟性が極端に低下する。
α−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20、好ましくは3〜10 である。具体的なものとしてはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどがあげられる。これらの中ではプロピレン、1−ブテンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴムを製造する際の非共役ポリエンとしては、環状あるいは鎖状の非共役ポリエンが用いられる。環状非共役ポリエンとしては、たとえば5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙げられる。
また、鎖状の非共役ポリエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエンなどが挙げられる。中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンが好ましく使用できる。
これらの非共役ポリエンは、単独あるいは2種以上混合して用いられ、その共重合量は、ヨウ素価表示で3〜50 、好ましくは5〜45、より好ましくは8〜40であることが望ましい。ヨウ素価が3以下では、期待される架橋構造が得られにくく、又、50以上では架橋効率の向上が鈍くなり、又、極端にコストが増すため、現実的ではない。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴムは、「ポリマー製造プロセス( ( 株) 工業調査会発行)」、309〜330頁などに記載されている従来公知の方法により調製することができる。
前記ブレンド物(C−1あるいはC−2)中において、結晶性樹脂(A)は架橋されていないゴム(B)90〜40重量部に対し、10〜60重量部((A)+(B)=100重量部)の範囲にあることが好ましい。結晶性樹脂(A)が10重量部より少ないと、架橋されていないゴム(B)が十分に分散することができなくなり、又、50重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマーの柔軟性が著しく阻害され、架橋ゴムが使用される用途での硬度領域を逸脱してしまう。
本発明の製造方法により得られる熱可塑性エラストマー中においては、架橋されたゴムが結晶樹脂マトリックス中に島状に分散しており、その平均分散粒径は10μm以下であることが好ましく、7μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。ゴムの平均分散粒子系が10μmを超えると、得られた製品表面で目視可能な100μm程度以上の巨大なゴム架橋物が生成する確率が統計的に増し、表面外観トラブルに発生しやすくなる。
架橋されていないゴム(B)の極限粘度[η]は、0.6〜6.0dl/gが好ましく、0.8〜5.0dl/gがより好ましい。0.6dl/g未満では分子量が極端に低いため、得られた熱可塑性エラストマーの機械物性を悪化させる。又、6.0dl/gより大きい場合、分散混練時や動的な熱処理におけるゴム(B)の粘度が極端に高くなり、取り扱いが困難となる。
尚、架橋されていないゴム(B)がエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合ゴムの場合は、135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度を適用する。
前記結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)の極限粘度の比は、式(1)を満た、式(2)を満たすことがさらに望ましい。
0.66≦[η]a/[η]b≦1.5 (1)
0.75≦[η]a/[η]b≦1.33 (2)
ここで、[η]aは結晶性樹脂(A)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度を、[η]bは架橋されていないゴム(B)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度をそれぞれ示す。
[η]a/[η]bがこれらの範囲にあることにより、結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)のブレンド物中において、結晶性樹脂(A)の海相中にゴム(B)の島相が分散する海島構造、もしくは結晶性樹脂(A)とゴム(B)が共連続な構造をとることが可能となる。
[η]a/[η]bが0.66に満たない場合は、結晶性樹脂(A)とのブレンド物にした際に、架橋されていないゴム(B)が海相を形成し、粗大架橋ゴムゲル物の生成を抑制することが難しくなる。又、この値が1.5より大きくなると、結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)の溶融状態でのブレンド時に、均一微細な分散が困難となる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・オレフィン系ゴム(SEBS)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、シリコンゴムなどを併用することが可能である。
架橋剤
本発明に用いられる熱可塑性エラストマーは、前述の通り、結晶性樹脂と架橋されていないゴムを架橋剤の存在下動的に熱処理され架橋される。用いられる架橋剤としては、フェノール樹脂系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、マレイミド系架橋剤、シアヌレート系架橋剤、硫黄系架橋剤、アクリレート系架橋剤、ジオキシム系架橋剤等が使用出来るが、これらの内有機過酸化物が好ましい。架橋剤が有機過酸化物である場合、プロピレンホモポリマーまたはプロピレン・α−オレフィン共重合体、或いはブテン−1ホモポリマーまたはブテン−1・α−オレフィン共重合体の何れかが主体である結晶性ポリオレフィン樹脂を分解させ、分子量を低下させる為、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーの溶融時流動性が向上する為有利である。
有機過酸化物の具体例を、以下に挙げる。尚、カッコ内は各有機過酸化物の1分半減期温度を示す(単位:℃。出典:日油株式会社 有機過酸化物カタログ第10版)。ジクミルペルオキシド(175.2)、ジ−tert−ブチルペルオキシド(185.9)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン(179.8)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(194.3)、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(175.4)、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(168.0)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート(172.5)、ジベンゾイルペルオキシド(130.0)、tert−ブチルペルオキシベンゾエート(160.3)、tert−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネートZ(161.4)、ジラウロイルペルオキシド(116.4)、tert−ブチルクミルペルオキシド(173.3)などが挙げられるが、これらに限定されるもではない。
結晶性樹脂(A)として、プロピレンホモポリマーまたはプロピレン・α−オレフィン共重合体、或いはブテン−1ホモポリマーまたはブテン−1・α−オレフィン共重合体の何れかが主体で用いられる場合には、ゴム(B)の架橋反応が活発に行われる温度がこれら結晶性樹脂(A)の融点以上である必要があり、1分半減期温度が少なくとも使用される結晶性樹脂(A)の融点以上である必要がある。このような観点と、低臭気性、低着色性及びスコーチ安定性を勘案すると、有機過酸化物のこれらの内では、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3 、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましい。
本発明において上記有機過酸化物は、被架橋処理物全体に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.07〜7重量%、より好ましくは0.1〜5 重量% の割合で用いるのが好ましい。
本発明においては、ブレンド物((C−1)または(C−2))の動的な熱処理に際し、本発明の目的を損なわない範囲で、硫黄、ジオキシム類、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に本発明においては、ジビニルベンゼン、シアヌレート系化合物、マレイミド系化合物が好ましい。
本発明においては、上記のような架橋助剤もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理物全体に対して、0.05 〜10 重量% 、好ましくは0 .07 〜 7 重量% 、より好ましくは0 . 5 〜 5 重量% の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多官能性ビニルモノマーの配合割合が上記範囲にあると、引張クリープにおける伸び率が小さく100%伸び時の引張応力M100が大きく、さらに成形性の良好な発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られ、所望される形状及び表面平滑性に優れた成形体が得られる。
前記ブレンド物((C−1)または(C−2))の調製は、高いせん断力を与えることのできる混練装置で行うのが好ましい。具体的には、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー等)、1軸または2軸押出機などの混練装置を用いて行うことができるが、2軸押出機により混練してブレンド物(C−1またはC−2)を調製するのが好ましい。又、せん断力の強弱や、混練時間、混練温度および混練後の冷却温度と時間を調整することにより、得られるブレンド物((C−1)または(C−2))の構造(モルフォロジー)を、本願発明に示すような理想的な構造に制御することが可能となる。
本発明において、前記動的な熱処理は、前記ブレンド物((C−1)または(C−2))を架橋剤(D)の存在下で、せん弾力を加えながら、材料の自己発熱と外部から熱により徐々に温度が上昇しながら、架橋していないゴム(B)を架橋反応させることであり、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー等)、単軸または2軸押出機などの混練装置を用いて行うことができるが、生産性、経済性の面から押出機で行うことが好ましい。
上記押出機の種類としては、単軸、平行2軸、コニカル2軸といったスクリュー本数や形状の違い、同方向2軸、異方向2軸といった回転方向の違いおよび、完全噛合い型2軸、非噛合い型2軸といった噛み合い状態の違いがあるが、これらの中で平行2軸押出機が好ましく、同方向平行2軸押出機がより好ましく、完全噛合い型同方向平行2軸押出機が最も好ましい。
本発明において、前記結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)のブレンド物((C−1)または(C−2))を、架橋剤(D)として有機過酸化物の存在下で動的に熱処理する場合、ブレンド物((C−1)または(C−2))と架橋剤(D)の混合物の温度が、有機過酸化物の1分半減期温度より20℃低い温度に達した時点から30秒以内に、全架橋反応の70%以上を進行させる。
このように急激に架橋反応を進行させることで、ブレンド物((C−1)または(C−2))中で、予め形成されている結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)の微細な分散構造を大きく阻害するとなく、熱可塑性エラストマーを得ることが可能となる。上記よりも架橋反応が遅い場合、ゴム(B)の架橋反応による分子量増加が遅くなり、動的な熱処理中にゴム(B)どうしの合一が活発に生じ、引いては巨大なゴム架橋ゲル物や、架橋ゴム粒子の凝集体が形成し、押出成形や射出成形等成形加工後の製品表面での外観不良の原因となる。
本発明において、得られる熱可塑性エラストマーの柔軟性を付与する目的で、結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)のブレンド物(C)100重量部に対し、軟化剤(E)を1〜300重量部を含ませることが可能である。又、ブレンド物(C)を動的に熱処理する際に、軟化剤(E)を添加することも可能である。動的に熱処理する際の軟化剤(E)の添加量は、結晶性樹脂(A’)5〜60重量部と架橋された(B’)95〜40重量部よりなるA’+B’=100重量部に対し、5〜300重量部であることが望ましい。
上記軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤が好適であり、具体的にはプロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまたはその変性物あるいは水添物、液状チオグリコールなどがあげられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例、参考例および比較例で得られたブレンド物(C−1)の島相平均粒子径、熱可塑性エラストマー組成物の島相平均粒子径、有効網目鎖濃度νの測定は次の方法により行った。
(1)島相平均粒子径の測定
試験検体の切片をルテニウム酸で染色処理した後、透過型電子顕微鏡で相構造を観察し、分散相の少なくとも10個以上の粒子径を測定し、算術平均した。分散相粒子が偏平している場合は、長径と短径を測定し、平均値をその粒子の粒径とした。
(2)有効網目鎖濃度の測定
サンプルを厚み2±0.05mmのプレス成形したシートから20mm×20mm×2mmの試験片を打ち抜き、JIS K6258に準拠し、37℃のトルエン50cm3中に72時間浸漬し膨潤させ、平衡膨潤を利用した下記Flory−Rehnerの式(3)から求めた。
F l o r y − R e h n e r の式
有効網目鎖濃度ν(モル/cm
={V+ln(1−V)+μV }/−V(V 1/3−V/2) (3)
ここで、
: 膨潤した熱可塑性エラストマー組成物中における純ゴムの容積分率
μ: ゴム− 溶剤間の相互作用定数で0.49
:トルエンの分子容108.15cm
は式(4)により求めた。
=Vr/(Vr+Vs) (4)
ここで、Vr:試験片中の純ゴム容量(cm)、Vs:試験片に吸収された溶剤の容量(cm
なお、試験片中の純ゴム容量が不明の場合は、以下の方法で実測した。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を210℃でプレス成形し、200μm〜300μmのフィルムを作製し、これを3mm〜5mm角の細片に切り、約5gを精秤後、抽出溶媒であるメチルエチルケトンを用い、抽出時間12時間以上でソックスレー抽出を行ない軟化剤を抽出した。
次いで抽出残を100mlの熱キシレンに入れ、撹拌しながら3時間加熱後、熱いうちに精秤した325メッシュのステンレススチール製の金網を用いて濾過し、金網に残った濾過残の乾燥重量を架橋したゴム重量とした。 抽出残中にフィラーが含まれている場合は、熱天秤TGAを用いて窒素雰囲気で850℃まで昇温後、雰囲気を空気に切り替え、19分間保持し減少重量を求めゴム重量とした。
一方、熱キシレン抽出液を室温に戻し5 時間以上放置後、325メッシュのステンレススチール製の金網を用いて濾過し、濾液の溶媒を完全に蒸発させた後の重量を非架橋のゴム重量とし、架橋したゴム重量と非架橋のゴム重量を合算し、これをゴムの比重で除し、試験片中の純ゴム容量を求めた。
実施例において用いた原料を以下に記す。
《結晶性樹脂(A)》
(A−1)プロピレンホモポリマー [η]=2.4dl/g、形態:ペレット
(A−2)プロピレンホモポリマー [η]=2.4dl/g、形態:パウダー
(A−3)プロピレンホモポリマー [η]=3.6dl/g、形態:ペレット
(A−4)プロピレンホモポリマー [η]=1.2dl/g、形態:ペレット
(A−5)プロピレンブロックコポリマー[η]=2.6dl/g、形態:ペレット、ゴム含量:7wt%
(A−6)ブテン1ホモポリマー [η]=2.7dl/g、形態:ペレット
《架橋されていないゴム(B)》
(B−1)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム:エチレン含量=60wt%、ヨウ素価=22、[η]=2.2dl/g
(B−2)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム:エチレン含量=68wt%、ヨウ素価=22、[η]=2.6dl/g
(B−3)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム:エチレン含量=62wt%、ヨウ素価=22、[η]=3.5dl/g
(B−4)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム:エチレン含量=55wt%、ヨウ素価=22、[η]=1.0dl/g
(B−5)エチレン・プロピレン共重合ゴム:エチレン含量=55wt%、ヨウ素価=0、[η]=2.5dl/g
《架橋剤(D)》
(D−1)1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(1分半減期温度:175.4℃)
(D−2)2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(1分半減期温度:194.3)
《軟化剤(E)》
(E−1)パラフィン系プロセスオイル:出光興産(株)製、ダイナプロセスオイルPW−90、商標
《架橋助剤(F)》
(F−1)トリアリルイソシアヌレート
[参考例1]
結晶性樹脂としてプロピレンホモポリマー(A−1)30重量部と、架橋されていないゴムとしてエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(B−1)70重量部を、予め内容量17.7Lのバンバリーミキサーで材料温度200℃になるまで溶融混合し、得られた材料の塊を14インチのミキシングロールにて厚み約3mmのシートを得た後、5mm角に切断し、角形状のブレンド物(C−1)のペレットを得た。得られたペレットを透過型電子顕微鏡で観察したところ、架橋されていないゴムが島相を形成し、その分散粒径は2μmであった。
得られたペレット100重量部に対し、架橋剤として有機過酸化物(D−1)0.5重量部と架橋助剤(F−1)0.3重量部とをヘンシェルミキサーで充分混合し、2軸押出機[スクリュー径30mm、L/D=25、同方向回転、完全噛合い型、シリンダー数:6個、シリンダー温度:C1〜C2 140℃、C3〜C4 180℃、C5〜C6 220℃、ダイス温度:220℃、スクリュー回転数:300rpm、押出量:15kg/h]にて、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル(E−1)20重量部をシリンダーに注入しながら動的な熱処理を行い、ストランドカットにて熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
結果は表3に示すとおりである。
得られた熱可塑性エラストマーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、架橋されたゴムが島相を形成し、その平均分散粒径は1.5μmであった。
次に得られた熱可塑性エラストマーを用いて、40mmφの単軸押出機により220℃の温度で押出成形して、幅50mm、厚さ3mmのベルト状成形体を得た。得られた成形体の表面は非常に滑らかで、目視で確認できる200μm以上の大きさのブツは、0個/mであった。
参考例2]
参考例1と同様にバンバリーミキサーでの溶融混合を行い、材料温度を250℃になるまで溶融混合してブレンド物(C−2)を得、その後は参考例1と同様に熱可塑性エラストマーまでを得た。得られたブレンド物(C−2)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、結晶性樹脂(A−1)と架橋されていないゴム(B−1)が共連続な構造を呈していた。又、得られた熱可塑性エラストマーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、架橋されたゴムが島相を形成し、その平均分散粒径は2μmであった。又、単軸押出機によるベルト状成形体の表面は非常に滑らかで、目視で確認できる200μm以上の大きさのブツは1個/mであった。
参考例3〜12]
表3に示す内容でブレンド物(C)を得、次いで参考例1と同様に動的な熱処理を行い、得られた熱可塑性エラストマーの島相平均分散径と押出成形体の表面状態及びブツを計数した。結果は表1に示す通り、押出成形体の表面状態が良好で、ブツも少なかった。
[比較例1]
結晶性樹脂にパウダー状のプロピレンホモポリマー(A−2)を用いて参考例1と同様に溶融混練を行った。パウダー状のプロピレンホモポリマーA−2の融点以下である145℃まで混練し、得られたブレンド物(C)を透過型電子顕微鏡で観察したところ、結晶性樹脂(A−1)が島相を形成し、その平均分散粒径は25μmであった。次にこのブレンド物(C)を用いて参考例1と同様に熱可塑性エラストマーを得たところ、透過型電子顕微鏡での島相ゴムの平均分散粒径は15μmで、押出成形された成形体の表面は鮫肌上に荒れ、ブツは50個/mであった。
[比較例2〜9]
表4に示す内容でブレンド物(C)を得、次いで参考例1と同様に動的な熱処理を行い、得られた熱可塑性エラストマーの島相平均分散径と押出成形体の表面状態及びブツを計数した。結果は表4に示す通り、得られた熱可塑性エラストマー中の島相の平均粒径は10μmより大きく、押出成形体の表面状態は鮫肌状を呈し、ブツも多かった。
[実施例13]
結晶性樹脂(A−1)30重量部と、架橋されていないゴム(B−1)70重量部を、参考例1と同様な角形状のブレンド物(C−1)のペレットを得た。
次に得られたペレット100重量部に対し、架橋剤として有機過酸化物(D−1)0.5重量部と架橋助剤(F−1)0.3重量部とをヘンシェルミキサーで充分混合し、2軸押出機[スクリュー径30mm、L/D=40、同方向回転、完全噛合い型、シリンダー数:10個]を用い、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル(E−1)20重量部をC9部で注入しながら動的な熱処理を行った。その際、C3とC8双方にベント口と樹脂温計を設け、C3部の樹脂温が架橋剤として使用した有機過酸化物(D−1)の1分半減期温度(175.4℃)より20±1℃低い温度となるように温度設定を調整し、また、C3からC8間を材料が通過する時間をカラーマスターバッチを用いて計測し、それが30±1秒となるようにスクリュー回転数と材料のフィード量を調整しながら、表4に示す通り動的な熱処理を行い、ストランドカットにて熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
又、動的な熱処理の際、C3およびC8に設けられたベント口より処理中の材料を採取し、即座に氷水に浸して反応を停止させた後、乾燥させ処理中サンプルを得た。C3部で採取されたサンプル、C8部で採取されたサンプルおよびペレット状熱可塑性エラストマーの有効網目鎖濃度それぞれν1、ν2、ν3を前記の方法で測定し、式5により反応進行度を算出したところ、77%であった。
反応進行度(%)=(ν2−ν1)/ν3*100 (5)
ここで、
ν1:C3部で採取されたサンプルの有効網目鎖濃度(×10−4mol/cm
ν2:C8部で採取されたサンプルの有効網目鎖濃度(×10−4mol/cm
ν3:ペレット状熱可塑性エラストマーの有効網目鎖濃度(×10−4mol/cm
を示す。
得られた熱可塑性エラストマーを透過型電子顕微鏡で観察したところ、架橋されたゴムが島相を形成し、その平均分散粒径は1.5μmであった。
又、得られた熱可塑性エラストマーを用いて、40mmφの単軸押出機により220℃の温度で押出成形して、幅50mm、厚さ3mmのベルト状成形体を得た。得られた成形体の表面は非常に滑らかで、目視で確認できる200μm以上の大きさのブツは、0個/mであった。
[実施例14]
実施例13と同様にバンバリーミキサーでの溶融混合を行い、材料温度を250℃になるまで溶融混合して、結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)が共連続構造であるブレンド物(C−2)を得、その後は実施例13と同様に表5に示される条件で、熱可塑性エラストマーまでを得た。動的な熱処理の際の反応進行度は76%で、押出成形体の表面は非常に滑らかでブツは2個/mであった。
[実施例15〜実施例21、参考例22]
表5に示す組成、条件にて、その他は実施例13と同様に熱可塑性エラストマーを得、押出成形を行った。動的な熱処理における反応進行度はいずれも70%以上であり、押出成形体の表面状態は良好で、ブツも少なかった。
[比較例10〜13]
表6に示す組成、条件にて、その他は実施例13と同様に熱可塑性エラストマーを得、押出成形を行った。動的な熱処理の際のC4〜8の温度を低くした為、反応進行度はいずれも70%未満と低く、押出成形体の表面状態は不良で、ブツも多かった。


本発明によれば、表面肌がきれいで成形性に優れ、加硫ゴムを代替しうる柔軟でゴム弾性に富み、簡略化されたプロセスにより成形加工とリサイクルが可能な熱可塑性エラストマー組成物が得られ、この熱可塑性エラストマーを用いた柔軟でゴム弾性に富む成形体、具体的には自動車シール部品、自動車内装部品、自動車内装表皮、自動車外装部品、建築用シール部品、電線被覆材、壁紙等を提供することができる。

Claims (9)

  1. 結晶性樹脂(A)、及び結晶性樹脂(A)との極限粘度の比が下記式(1)を満たす架橋されていないゴム(B)が溶融状態でブレンドされ、架橋されていないゴム(B)が結晶性樹脂(A)中に平均粒径10μm以下の大きさで島状に分散したモルフォロジーを持つブレンド物(C−1)有機過酸化物からなる架橋剤(D)の存在下で動的に熱処理する工程で、ブレンド物(C−1)と有機過酸化物との混合物の温度が有機過酸化物の1分半減期温度より20℃低い温度に達した時点から30秒以内に、全架橋反応の70%以上を進行させることにより製造される、結晶性樹脂(A’)中に架橋されたゴム(B’)が平均粒径10μm以下の大きさで島状に分散したモルフォロジーを持つ熱可塑性エラストマーの製造方法。
    0.66≦[η] /[η] ≦1.5 (1)
    ここで、[η] は結晶性樹脂(A)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度を、[η] は架橋されていないゴム(B)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度をそれぞれ示す。
  2. 結晶性樹脂(A)、及び結晶性樹脂(A)との極限粘度の比が下記式(1)を満たす架橋されていないゴム(B)が溶融状態でブレンドされ、結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)が共連続なモルフォロジーを持つブレンド物(C−2)有機過酸化物からなる架橋剤(D)の存在下で動的に熱処理する工程で、ブレンド物(C−2)と有機過酸化物との混合物の温度が有機過酸化物の1分半減期温度より20℃低い温度に達した時点から30秒以内に、全架橋反応の70%以上を進行させることにより製造される、結晶性樹脂(A’)中に架橋されたゴム(B’)が平均粒径10μm以下の大きさで島状に分散したモルフォロジーを持つ熱可塑性エラストマーの製造方法。
    0.66≦[η] /[η] ≦1.5 (1)
    ここで、[η] は結晶性樹脂(A)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度を、[η] は架橋されていないゴム(B)の135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度をそれぞれ示す。
  3. 結晶性樹脂(A)10〜60重量部に対し、架橋されていないゴム(B)90〜40重量部(A+B=100重量部)が溶融状態でブレンドされたブレンド物((C−1)あるいは(C−2))を用いる請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  4. 結晶性樹脂(A)の総重量を100重量%とした際に、50重量%以上がプロピレンホモポリマー或いはプロピレンと炭素数が2又は4以上20以下のα−オレフィンとのコポリマーより選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  5. 結晶性樹脂(A)の総重量を100重量%とした際に、50重量%以上がブテン−1ホモポリマー或いはブテン−1と炭素数が2、3又は5以上20以下のα−オレフィンとのコポリマーより選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  6. 架橋されていないゴム(B)がエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムあるいはエチレン・α−オレフィン−非共役ポリエン系共重合ゴムより選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  7. 結晶性樹脂(A)と架橋されていないゴム(B)のブレンド物(C)100重量部に対し、軟化剤(E)を1〜300重量部含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  8. 動的に熱処理された熱可塑性エラストマーが、結晶性樹脂(A’)10〜60重量部と架橋されたゴム(B’)90〜40重量部よりなり、さらにA’+B’=100重量部に対し、軟化剤(E)を5〜300重量部含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  9. 動的な熱処理が押出機内で行われることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
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