JPH07105868A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部磁界の影響によるコンバーゼンス変化を
抑制する。 【構成】 カラー受像管のインライン型電子銃は３個の
カソード20B,20G,20R が一列配置され、各カソードのカ
ソード素子23は磁性体からなるカソードストラップ25に
より保持されている。さらに、カソードストラップ全体
の体積のうち、両側カソード20B,20R のカソード素子中
心軸を含みカソード配列軸26に垂直な一対の平面27B,27
R で挟まれる領域内に位置する割合が４５％となってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー受像管に係り、
特に、コンバーゼンス特性を改良したインライン型カラ
ー受像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、インライン型カラー受像管は、
図６に示すように、外囲器のパネル1内面に、赤、緑、
青に発光する３色蛍光体層からなる蛍光面7 が設けら
れ、この蛍光面7 に近接対向してシャドウマスク（図示
せず）が配設されている。また、パネル1 にはファンネ
ル2 を介してネック3 が連接しており、このネック3 内
に、同一軸（一般的には水平軸Ｘ）上に配列された３電
子ビーム5B，5G，5Rを放出するインライン型電子銃6 が
内装されている。さらに、ファンネル2 からネック3 に
かけての領域の外側には偏向装置8 が装着されている。
そして、この３電子ビーム5B，5G，5Rを偏向装置4 によ
り偏向、走査して３色蛍光体層に射突させることによ
り、蛍光面7 上にカラー画像を再現している。

【０００３】通常、インライン型電子銃6 は、図７に示
すように、ヒーターが内挿された一列配置の３個のカソ
ード10B,10G,10R を備え、このカソード10B,10G,10R の
蛍光面側に、各カソード10B,10G,10R からの電子ビーム
を制御、集束、加速する複数の電極11を有し、各電極11
が上記３個のカソード10B,10G,10R とともに絶縁支持体
12により一体に固定されている。また、各カソード10B,
10G,10R は、一端部に電子放出部が設けられたカソード
素子を有するカソードスリーブ13と、このカソードスリ
ーブ13の周囲のカソードシリンダー14及びこのカソード
シリンダー14を約半周取巻くようにその外周面に設けら
れた保持部材としてのカソードストラップ15から少なく
とも構成されており、カソードストラップ15の両端が他
の電極とともに絶縁支持体12に一体に固定される構造に
形成されている。通常、電子銃の電極11は非磁性体にて
形成されるが、カソードストラップ15には磁性体が用い
られている。

【０００４】また、偏向装置4 は、一対のサドル型水平
偏向コイルと、一対のサドル型垂直偏向コイルを有し、
水平偏向コイルによりピンクッション型偏向磁界を、垂
直偏向コイルによりバレル型偏向磁界をそれぞれ発生さ
せている。そして、上記インライン型電子銃と非斉一磁
界を発生する偏向装置とを組み合わせることにより、電
子銃から放出される３本の電子ビーム5B,5G,5Rをパネル
1 に形成された蛍光面7 上で一致させる、いわゆるセル
フコンバーゼンスを達成することができる。

【０００５】上述の構造を有するインライン型カラー受
像管によると、３電子ビームのコンバーゼンスを画面全
面にわたって容易に達成させることができ、カラー受像
管の構造を簡略化できるため広く使用されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようなインライン型カラー受像管の場合、電子銃のカソ
ード部分に磁性体が用られているため、外部磁界の影響
を受けるという問題がある。

【０００７】例えば、無磁界環境で調整されたインライ
ン型カラー受像管にパネル側からネックに向かって通過
する直流磁界（0.3 ガウス）を印加した場合について考
える。これは日本における地磁気状態でカラー受像管の
パネルを南に向けて配置した場合に相当する。前述のイ
ンライン型カラー受像管の電子銃のカソード部分をパネ
ル側から見たとき、両側に位置するカソード10B,10R の
中心軸の左右で磁性材料の配置量が異なっている。即
ち、図７（ｂ）に示すように、両側電子ビーム5B，5Rの
中心軸の外側には、カソードシリンダーの半周分及びカ
ソードストラップの一部しかないのに対し、中央電子ビ
ーム5G側には中央カソード10G のカソードシリンダーの
半周分及びカソードストラップのほとんどが存在し、両
側カソード10B,10R のカソード素子中心軸を含みカソー
ド配列軸16に垂直な一対の平面17B,17R （この平面は紙
面に垂直となっている。）で挟まれる領域内に磁性体の
ほとんど全てが位置している。このような場合、図８に
示すように、カラー受像管のパネル側から侵入した地磁
気M1は、中央カソード10G に向かって収束される形にな
る。図中、実線矢印ＩB,ＩG,ＩR は電子ビーム5B，5G，
5Rを電流の向きとして表すものであるが、このとき、中
央カソード10G に向かう地磁気成分が電子ビームに与え
る力は、赤電子ビーム5Rに対しては上向き（図中Ｆ_R で
示す）、青電子ビーム5Bに対しては下向き（図中Ｆ_B で
示す）となり、赤、青で非対称となる。この結果、図９
に示すように、緑画像を中心に赤画像が上へ、青画像が
下へずれるコンバーゼンス変化が発生し、画像品位を劣
化させている。

【０００８】このようなコンバーゼンス変化は、インラ
イン型カラー受像管の調整工程を行った時と異なる向き
にディスプレイモニターを配置した場合や、地磁気条件
の異なる地域で使用した場合に顕著に発生していた。

【０００９】ディスプレイ用のインライン型カラー受像
管の場合は、画像品位として0.3 mm以下のミスコンバー
ゼンス量を要求されるため、上述のようなミスコンバー
ゼンスは深刻な問題となってる。そこで、本願発明は、
上記問題点に鑑み、地磁気の影響によるミスコンバーゼ
ンスを抑制し得るインライン型カラー受像管を提供する
ことを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本願発明は、外囲器のパネル内面に形成された蛍光
面と、この蛍光面に対向し、一列配置された３個のカソ
ード素子と、このカソード素子を保持する磁性体からな
る保持部材と、前記カソード素子の蛍光面側に配置され
る複数の電極から少なくともなる３電子ビームを放出す
るインライン型電子銃を具備するカラー受像管におい
て、前記３個のカソード素子のうち両側に配置されるカ
ソード素子の中心軸を含みカソード素子配列軸に垂直な
一対の平面で挟まれる領域に位置する前記保持部材の比
率が、前記保持部材の全体積の３０〜６５％であること
を特徴とするカラー受像管である。

【００１１】

【作用】本願発明では、一列配置された３個のカソード
素子を保持する磁性体からなる保持部材について着目
し、保持部材のうち両側カソード素子の中心軸を含みカ
ソード配列軸に垂直な一対の平面に挟まれる領域に位置
する部分と、前記領域外に位置する部分との比率を所定
の範囲でバランスさせている。これにより、外囲器のパ
ネル側から進入した地磁気に代表される外部磁界で、カ
ソード近傍で電子ビーム軌道に直角に鎖交する磁界成分
の発生を抑制でき、一対の両側電子ビームを反対方向に
移動させるように働く電磁力の発生を抑制してコンバー
ゼンスのずれを抑制する。

【００１２】

【実施例】以下、図面を用いて本願発明の実施例につい
て説明する。本願発明のカラー受像管の全体構成は図６
に示すものと同様であり、外囲器のパネル1 内面に、
赤、緑、青に発光する３色蛍光体層からなる蛍光面7 が
設けられ、この蛍光面7 に近接対向してシャドウマスク
（図示せず）が配設されている。また、パネル1 にはフ
ァンネル2 を介してネック3 が連接しており、このネッ
ク3 内に、同一軸（一般的には水平軸Ｘ）上に配列され
た３電子ビーム5R，5G，5Bを放出するインライン型電子
銃6 が内装されている。さらに、ファンネル2 からネッ
ク3 にかけての領域の外側には偏向装置4 が装着されて
いる。偏向装置4は、従来と同様、一対のサドル型水平
偏向コイルと、一対のサドル型垂直偏向コイルよりな
り、水平偏向コイルはピンクッション型偏向磁界を発生
し、垂直偏向コイルはバレル型偏向磁界を発生するよう
に構成されている。

【００１３】本実施例の要部であるインライン型電子銃
6 は、図１に示すように、ヒーターが内挿された一列配
置の３個のカソード20B,20G,20R を備え、このカソード
20B,20G,20R の蛍光面側に、各カソード20B,20G,20R か
らの電子ビームを制御、集束、加速する複数の電極21を
有し、各電極21が上記３個のカソード20B,20G,20R とと
もに絶縁支持体22により一体に固定されている。また、
電子銃の電極21は非磁性材料にて形成されている。各カ
ソード20B,20G,20R は、一端部に電子放出部が設けられ
たカソード素子を有するカソードスリーブ23と、このカ
ソードスリーブ23の周囲のカソードシリンダー14及びこ
のカソードシリンダー24を約半周取巻くようにその外周
面に設けられた磁性体からなる保持部材としてのカソー
ドストラップ25B,25G,25R から少なくとも構成されてお
り、カソードストラップ25B,25G,25R の両端が他の電極
とともに絶縁支持体22に一体に固定される構造に形成さ
れている。

【００１４】さらに、中央電子ビームを放出するカソー
ド20G のカソードストラップ25G の幅W1は、両側電子ビ
ームを放出するカソード20B,20R のカソードストラップ
25B,25R の幅W2の５０％の大きさになっている。そし
て、上記構成とすることで、３カソード20B,20G,20R の
カソードストラップの全体積のうちの４５％が、両側カ
ソード20B,20R のカソード素子中心軸を含みカソード素
子配列軸26に垂直な一対の平面27B,27R （この平面は紙
面に垂直となっている。）で挟まれる領域（以下、中央
側領域と称する。）内に位置するようにしている。従来
のカラー受像管では、この比率が７０％以上となってお
り、本実施例は中央側領域に位置する磁性体の比率を大
幅に変更した構成となっている。

【００１５】次に、図２を用いて本実施例の作用につい
て説明する。図５に示す従来のカラー受像管の場合に比
較して、パネル側から進入した地磁気M2で中央カソード
20G側に収束されていた地磁気成分が減少し、電子ビー
ム軌道に直角に鎖交する地磁気の量を大幅に減少させる
ことができる。その結果、両側電子ビームが受ける不要
な電磁力の発生はほとんどなくなる。

【００１６】ここで、カソード部分の中央側領域に位置
する磁性体比率についての検討結果を図３に示す。図３
（ａ）に示すように、板厚、幅とも同じ３つのカソード
ストラップの全てが中央側領域内に位置している場合
を、中央側領域における磁性体の体積比が１００％とし
ている。そして、中央側領域からカソードストラップが
はみ出すか、又は少なくとも１つのカソードストラップ
の板厚や幅を小さくした場合には、中央側領域に位置す
る磁性体の体積比率が小さくなるものとする。図３
（ｂ）は磁性体のうち中央側領域における磁性体の体積
比率と地磁気のカソード配列軸方向成分との関係につい
ての近似モデルによる計算結果を示すものであり、さら
に、コンバーゼンス変化量との関係についての結果が図
３（ｃ）である。図３より、中央側領域における磁性体
の比率が３０〜６５％の範囲で良好な特性となることが
わかり、さらに、４０〜５５％近傍が良好な特性を示す
ことがわかる。そして、上記第１の実施例は図３の結果
に基づいたものである。

【００１７】次に、本願発明の第２の実施例について説
明する。図４に示すように、本実施例では、カソードス
トラップ35B,35G,35R は全てカソードシリンダーに対し
て同方向に取り付けられている。本実施例の場合、中央
側領域における磁性体の体積比は６０％になっている。
これにより、図５に示すように、地磁気のカソード配列
軸方向成分は３電子ビームに対して同方向で略均等にな
る。

【００１８】なお、第２の実施例によると３電子ビーム
に対する電磁力を均等にしてコンバーゼンス変化を同方
向とすることができるが、第１の実施例に比較してコン
バーゼンス変化量は若干大きくなる。上述の実施例と従
来例を比較したデータを表１に示す。表１は、無磁界中
でカラー受像管のコンバーゼンス調整を行った後に、パ
ネル側より０．３ガウスの磁界を加えたときのコンバー
ゼンスの変化を示す。表１に示すように、本願発明によ
ると、コンバーゼンスの変化を抑制できることがわか
る。

【００１９】

【表１】 なお、本願発明は、インライン型電子銃を有するカラー
受像管であれば適用可能であり、カラー受像管の構造は
上記実施例に限定されるものではない。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本願発明によれ
ば、電子銃に用いられる磁性体の影響を緩和し、異なる
地磁気条件下においても安定したコンバーゼンス品位を
達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明によるインライン型カラー受像管の第
１の実施例である電子銃の要部を示す図であり、（ａ）
は、カソード及び近傍の電極を示す模式斜視図であり、
（ｂ）はカソード部分を管軸方向から見た断面図であ
る。

【図２】第１の実施例の作用を説明する図である。

【図３】磁性体の体積比率を説明するための図であり、
（ａ）はカソード近傍のカソードストラップを示す管軸
方向からみた断面図、（ｂ）は中央側領域における磁性
体の体積比率とカソード配列軸方向成分の関係を示す特
性図、（ｃ）は中央側領域における磁性体の体積比率と
コンバーゼンス変化量の関係を示す特性図である。

【図４】本願発明の第２の実施例の要部を示す図であ
る。

【図５】第２の実施例の作用を説明する図である。

【図６】従来のインライン型カラー受像管を示す断面図
である。

【図７】従来の電子銃の要部を示す図であり、（ａ）
は、カソード及び近傍の電極を示す模式斜視図であり、
（ｂ）はカソード部分を管軸方向から見た断面図であ
る。

【図８】図７に示すカラー受像管における地磁気及び電
子ビームの受ける力の状態を示す模式図である。

【図９】図７に示すカラー受像管のミスコンバーゼンス
を示す図である。

【符号の説明】

6 …インライン型電子銃 10B,10G,10R,20B,20G,20R …カソード 13,23 …カソード素子 15,25,35…カソードストラップ 16,26,36…カソード配列軸 17B,17R,27B,27R,37B,37R …カソード素子中心軸を含み
カソード配列軸に垂直な平面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外囲器のパネル内面に形成された蛍光面
   と、この蛍光面に対向し、一列配置された３個のカソー
   ド素子と、このカソード素子を保持する磁性体からなる
   保持部材と、前記カソード素子の蛍光面側に配置される
   複数の電極から少なくともなる３電子ビームを放出する
   インライン型電子銃を具備するカラー受像管において、 前記３個のカソード素子のうち両側に配置されるカソー
   ド素子の中心軸を含みカソード素子配列軸に垂直な一対
   の平面で挟まれる領域に位置する前記保持部材の比率
   が、前記保持部材の全体積の３０〜６５％であることを
   特徴とするカラー受像管。