JP2859900B2 - カラー受像管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、偏向装置の偏向磁界に起因する偏向収差
を改良し、フォーカス特性を良好にするカラー受像管お
よびその偏向装置に関する。

（従来の技術） 一般に、カラー受像管は、第13図に示すように、パネ
ル（１）およびファンネル（２）からなる外囲器（３）
を有し、そのパネル（１）内面に、青、緑、赤に発光す
る３色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン（５）が形成
され、この蛍光体スクリーン（５）に対向してシャドウ
マスク（４）が配置されている。また、ファンネル
（２）のネック（６）内に３電子ビーム（Ｂ），
（Ｇ），（Ｒ）を放出する電子銃構体（７）が配設さ
れ、この電子銃構体（７）から放出される３電子ビーム
（Ｂ），（Ｇ），（Ｒ）をファンネル（２）のコーン部
（８）とネック（６）との境界部外側に装着された偏向
装置（９）により水平および垂直方向に偏向して、蛍光
体スクリーン（５）を走査することにより、この蛍光体
スクリーン（５）上にカラー画像を表示する構造となっ
ている。

その偏向装置（９）は、第14図に示すように、３電子
ビームを水平方向に偏向する一対の水平偏向コイル（1
0）と、垂直方向に偏向する一対の垂直偏向コイル（1
1）とを有する。

前記カラー受像管において、蛍光体スクリーン（５）
上に正しい画像を表示させるためには、蛍光体スクリー
ン（５）全面にわたり３電子ビーム（Ｂ），（Ｇ），
（Ｒ）を正しく集中させることが必要である。そのた
め、特に電子銃構体（７）をセンタービーム（Ｇ）およ
び一対のサイドビーム（Ｂ），（Ｒ）からなる同一平面
上を通る一列配置の３電子ビーム（Ｂ），（Ｇ），
（Ｒ）を放出するインライン型電子銃構体とし、このイ
ンライン型電子銃構体の特性を生かして、偏向装置
（９）の形成する偏向磁界を特定の非斉一磁界とするこ
とにより、蛍光体スクリーン（５）全面にわたり３電子
ビーム（Ｂ），（Ｇ），（Ｒ）を集中させるようにした
セルフコンバーゼンス方式インライン型カラー受像管が
ある。このセルフコンバーゼンス方式インライン型カラ
ー受像管の偏向磁界としては、たとえば一般的な同一水
平面上を通る一列配置の３電子ビーム（Ｂ），（Ｇ），
（Ｒ）を放出するカラー受像管に対しては、ピンクッシ
ョン形の水平偏向磁界とバレル形の垂直偏向磁界とで構
成されることが知られている。このような磁界にするこ
とにより、同一水平面上を通る一列配置の３電子ビーム
（Ｂ），（Ｇ），（Ｒ）を蛍光体スクリーン（５）上の
一点に集中させることができる。

しかし、前記のように磁界を構成しても、なおインラ
イン型カラー受像管は、画面周辺部においてセンタービ
ーム（Ｇ）とサイドビーム（Ｂ），（Ｒ）とのコンバー
ゼンスがずれるコマ収差が発生する。

このコマ収差を補正するために、電子銃構体に偏向装
置の後部漏洩磁界と結合する磁性体を配置したものが、
特公昭51−26208号および特公昭54−23208号公報に、ま
た、このような偏向装置の後部漏洩磁界と結合する磁性
体を使用することなく、偏向装置に対してその電子銃構
体側に、垂直偏向コイルに流れる偏向電流に同期した電
流を流すことにより、強いピンクッション形磁界を形成
する補助コイルを付加したものが実公昭57−45748号公
報に開示されている。

しかし、このようにカラー受像管を構成しても、なお
蛍光体スクリーン上の電子ビームのスポットは、その偏
向にしたがって歪んだものとなる。すなわち、第15図に
示すように、斉一磁界によって偏向された電子ビームの
スポット（13）は、画面（14）全面にわたりほぼ真円と
なる。しかし、非斉一磁界によって偏向された電子ビー
ムのスポット（13）は第16図に示すように、画面（14）
の水平軸（Ｘ軸）端では水平軸方向を長軸とする横長の
楕円形に歪む。すなわち第17図（Ａ）に示すように、前
記ピンクッション形水平偏向磁界（15）により、各電子
ビーム（Ｂ），（Ｇ），（Ｂ）の上半分が下方に、下半
分が上方に押圧されるローレンツ力を受るためである。
また、画面（14）の垂直軸（Ｙ軸）端では、第17図
（Ｂ）に示すように前記バレル形垂直偏向磁界（16）に
より、各電子ビーム（Ｂ），（Ｇ），（Ｒ）の右半分が
右方に、左半分が左方に押圧されるローレンツ力を受け
て、水平軸方向を長軸とする横長の楕円形に歪む。特に
一対のサイドビーム（Ｂ），（Ｒ）については、ビーム
の左右で受ける力の大きさが異なり、かつ画面の左側の
電子ビーム（Ｂ）と右側の電子ビーム（Ｒ）とでは、受
ける力の方向が逆向きとなるため、垂直軸端における一
対のサイドビーム（Ｂ），（Ｒ）のスポットは、第16図
に（13B），（13R）で示すように互いに交差する方向に
傾く。その結果、この水平または垂直偏向磁界（15），
（16）によるビームスポットの変形や傾きにより、画面
（14）周辺部でのフォーカス特性は著しく劣化する。し
かも、そのフォーカス特性の劣化が電子銃構体の高性能
化を妨げる大きな原因となっている。

そのため、画面（14）周辺部でのフォーカスをよくす
るために、画面（14）中心部でのフォーカスを犠牲にし
て画面（14）中心部および周辺部でのフォーカスの一様
性を重視した妥協的な設計をおこなわざるをえなくして
いる。

さらに、前記実公昭57−45748号公報の補助コイルに
ついては、垂直偏向コイルに流れる偏向電流に同期した
電流を利用するので、つぎのような問題が発生する。す
なわち、電子ビームを垂直軸方向に偏向する場合に水平
軸上の水平方向に発生する磁界により、電子ビームは偏
向装置の電子銃構体側で垂直軸方向に過度の偏向作用を
受け、ファンネルのネック内壁に衝突しやすくなり、画
面上にいわゆるネックシャドウといわれる電子ビームの
到達しない部分（発光しない部分）ができる。また、こ
の補助コイルは、磁性体にコイルを巻き、そのコイルに
電流を流す構造であるため、補正素子として高価となり
低価格化しにくい。さらに、偏向装置は、各セットメー
カーの受像機に応じてインピーダンスを変更して使用さ
れることが多く、そのインピーダンスの相違に応じて偏
向コイルに流れる電流が異なる。したがって、このよう
な偏向装置に対して補助コイルの作用を適正にするため
には、偏向コイルのインピーダンスに合せて補助コイル
の仕様を変更することが必要となり量産向性に欠ける。

（発明が解決しようとする課題） 前記のように、従来より同一水平面上を通る一列配置
の３電子ビームを放出するインライン型電子銃構体を有
し、この３電子ビームをピンクッション形水平偏向磁界
およびバレル形垂直偏向磁界を形成する偏向装置によ
り、蛍光体スクリーン上に集中させるようにしたセルフ
コンバーゼンス方式インライン型カラー受像管がある。
しかし、このカラー受像管は、両面周辺部でセンタービ
ームと一対のサイドビームとのコンバーゼンスがずれる
コマ収差が発生する。このコマ収差を補正するために、
従来、電子銃構体に偏向装置の後部漏洩磁界と結合する
磁性体を配置したものや、偏向装置の電子銃構体側に垂
直偏向電流に同期した電流を流す補助コイルを配置した
ものがあるが、このように構成してもなお蛍光体スクリ
ーン上における電子ビームのスポットは、画面の水平軸
端および垂直軸端で水平軸方向を長軸とする横長の楕円
形に歪み、特に垂直軸端では、一対のサイドビームのス
ポットが互いに交差する方向に傾き、画面周辺部でのフ
ォーカス特性をいちじるしく劣化させる。そして、この
フォーカス特性の劣化が電子銃構体の高性能化を妨げる
大きな原因となり、画面全面でのフォーカス特性の向上
を阻害するなどの問題がある。

この発明は、前記問題点を解決するためになされたも
のであり、偏向装置の偏向磁界に起因する電子ビームの
スポットの歪みすなわち偏向収差を軽減して、画面周辺
部でのフォーカス特性の劣化を防止し、画面全面にわた
り良好なフォーカス特性をもつカラー受像管およびその
偏向装置を得ることを目的とする。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 本発明は、センタービームおよび一対のサイドビーム
からなる同一平面上を通る一列配置の３電子ビームを放
出するインライン型電子銃構体を有し、この電子銃構体
から放出される３電子ビームを、その配列方向に偏向す
る主としてピンクッション形偏向磁界を形成する第１偏
向コイルと前記３電子ビームをその配列方向と直交する
方向に偏向する主としてバレル形偏向磁界を形成する第
２偏向コイルとを有する偏向装置を備えるカラー受像管
およびその偏向装置において、偏向装置と前記３電子ビ
ームを蛍光体スクリーン上に集束する電子銃構体の電子
レンズ部との間の３電子ビームの経路上に、前記偏向装
置の中心軸に対して軸対称で極性を逆向きに前記３電子
ビームの配列方向と同方向及び前記３電子ビームの配列
方向と直交する方向に各々一対の永久磁石を、３電子ビ
ームの配列方向と直交する方向の一対の永久磁石は３電
子ビームの配列方向と同方向の一対の永久磁石に対して
電子銃構体側へ所定間隔を隔て配置し、第２偏向コイル
の形成する偏向磁界による偏向収差を補償するピンクッ
ション形磁界を発生するように個々の永久磁石の発生す
る磁界の強度及び位置を設定したカラー受像管である。

（作 用） 前記のように偏向装置と電子銃構体の電子レンズ部と
の間の３電子ビームの経路上に、第２偏向コイルの形成
する偏向磁界による偏向収差を補償するピンクッション
形磁界を発生するように、偏向装置の中心軸に対し軸対
称で極性を逆向きに前記３電子ビームの配列方向と同方
向及び前記３電子ビームの配列方向と直交する方向に各
々一対の永久磁石を、３電子ビームの配列方向と直交す
る方向の一対の永久磁石は３電子ビームの配列方向と同
方向の一対の永久磁石に対して電子銃構体側へ所定間隔
を隔てて配置すると、３電子ビームの配列方向と直交す
る方向に配置された一対の永久磁石が形成するピンクッ
ション磁界及び隣接永久磁石の磁極間に一対のサイドビ
ームに及ぼす第２偏向コイルのバレル形偏向磁界のロー
レンツ力とは逆向きのローレンツ力を一対のサイドビー
ムに及ぼす磁界が形成され、第２偏向コイルのバレル形
偏向磁界に起因する蛍光面垂直端部における電子ビーム
の楕円化及び一対のサイドビームの傾きを大幅に補正す
ることができるとともに、蛍光面中心部におけるセンタ
ービームと一対のサイドビームとの電子ビームのスポッ
ト形状即ち楕円率の非斉一を補正することができる。

（実施例） 以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説
明する。

実施例１ 第１図にセルフコンバーゼンス方式インライン形カラ
ー受像管の一実施例を示す。このカラー受像管は、パネ
ル（１）およびファンネル（２）からなる外囲器（３）
を有し、そのパネル（１）内側に装着された多数の電子
ビーム通過孔の形成されたシャドウマスク（４）に対向
して、パネル（１）内面に、青、緑、赤に発光する３色
蛍光体層からなる蛍光体スクリーン（５）が形成されて
いる。また、ファンネル（２）のネック（６）内に同一
水平面上を通る一列配置の３電子ビーム（Ｂ），
（Ｇ），（Ｒ）を放出する後述するインライン形電子銃
構体（20）が配設されている。さらに、ファンネル
（２）のコーン部（８）とネック（６）との境界部外側
に、前記電子銃構体（20）から放出された３電子ビーム
（Ｂ），（Ｇ），（Ｒ）を水平および垂直方向に偏向し
て蛍光体スクリーン（５）を走査させる偏向装置（９）
が装着されている。

前記偏向装置（９）は、非斉一磁界により３電子ビー
ム（Ｂ），（Ｇ），（Ｒ）を蛍光体スクリーン（５）上
に集中させるセルフコンバーゼンス方式のものであり、
第２図に示すように、たとえばサドル型に巻回されて、
セパレータ（22）の内側に上下（Ｙ軸方向）対称に装着
された一対の水平偏向コイル（23）（第１図参照）と、
たとえばコア（24）に巻回されて、セパレータ（22）の
外側に装着された一対の垂直偏向コイル（25）とを有す
る。この偏向装置（９）の一対の水平偏向コイル（23）
は、前記電子銃構体（20）から放出された３電子ビーム
を水平方向（Ｘ軸方向）に偏向する主としてピンクッシ
ョン形の偏向磁界を形成し、一対の垂直偏向コイル（2
5）は、３電子ビームをその配列方向と直交する垂直方
向（Ｙ軸方向）に偏向する主としてバレル型の偏向磁界
を形成する。なお、ここでいう主としてピンクッション
形の偏向磁界および主としてバレル型の偏向磁界とは、
それぞれそれらが総合的にピンクッション形偏向磁界お
よびバレル型偏向磁界であることを意味する。

そしてこの例のカラー受像管には、第２図に示すよう
に、偏向装置（９）の電子銃構体側端部（26）に偏向装
置（９）の中心軸（Ｚ）に対して軸対称かつ極性が逆向
きになるように左右方向に一対の永久磁石（27a），（2
7b）が配置されている。さらに、この左右方向一対の永
久磁石（27a），（27b）から電子銃構体側へ所定間隔を
隔てた位置（28）に、上下方向に一対の永久磁石（29
a），（29b）が同じく中心軸（Ｚ）に対して軸対称かつ
極性が逆向きになるように配置されている。このように
配置すると次のような作用効果がある。

すなわち、第３図に示すように、上下方向に配置され
た一対の永久磁石（29a），（29b）は、垂直偏向コイル
の形成するバレル形偏向磁界（30）に対応して強いピン
クッション形磁界（31）を電子ビーム径路上に発生し、
バレル形垂直偏向磁界から電子ビームが受けるローレン
ツ力とは逆に電子ビームスポットを垂直方向を長軸とす
る楕円形に歪ませるローレンツ力を及ぼすとともに、一
対のサイドビームのスポットが傾く現象を補正する。一
方、上下方向一対の永久磁石（29a），（29b）から蛍光
面側へ所定間隔を隔てて左右方向に配置された一対の永
久磁石（27a），（27b）は、第４図に示すようにピンク
ッション形水平偏向磁界（32）と同方向のピンクッショ
ン形磁界（33）を発生する。同時に、上下及び左右方向
各一対の永久磁石（29a），（29b）、（27a），（27b）
は各々極性が逆向きになるように配置されているため、
第５図に示すように、左右方向一対の永久磁石（27
a），（27b）は各々隣接する永久磁石（29a），（29b）
の磁極との間に磁界（34）を所定の管軸方向間隔を介し
て発生する。この磁界（34）は、一対のサイドビーム
（Ｂ），（Ｒ）がバレル形垂直偏向磁界によりそのスポ
ットが傾く方向とは逆のローレンツ力を一対のサドビー
ムに与え、バレル形偏向磁界に起因する一対のサイドビ
ーム（Ｂ），（Ｒ）の蛍光面垂直端部でのスポットの傾
きを大幅に補正する。

ここで、上下及び左右方向各一対の永久磁石（29
a），（29b），（27a），（27b）が全て同一平面上に配
置される場合に各一対の永久磁石（29a），（29b）及び
（27a），（27b）の発生するピンクッション磁界（3
1），（33）が蛍光面中心部におけるビームスポットに
与える作用について述べる。すなわち、第６図に示すよ
うに、上下方向一対の永久磁石（29a），（29b）の発生
するピンクッション形磁界（31）は前記のようにビーム
スポットを垂直方向に長軸をもつ楕円形に歪ませるロー
レンツ力（36），（37）をビームに加え、第７図に示す
ように左右方向一対の永久磁石（27a），（27b）の発生
するピンクッション磁界（33）はビームスポットを水平
方向に長軸をもつ楕円形に歪ませるローレンツ力（3
8），（39）を加える。従って、上下方向一対の永久磁
石（29a）、（29b）及び左右方向一対の永久磁石（27
a），（27b）の磁化強度を適切な強さに設定することに
より蛍光面中心部における３電子ビームのビームスポッ
トを略々真円に近いビームスポットにすることができ
る。しかし、第３図に示すように、センタービームと一
対のサイドビームが同一平面上に一列配置されるインラ
イン型電子銃構体ではセンタービームが管軸中心に位置
するのに対し、一対のサイドビームの中心は管軸中心か
ら離軸しているために、２つのピンクッション形磁界
（31），（33）から受けるローレンツ力の大きさがセン
タービームと一対のサイドビームでは異なる。その結
果、第８図に示すように、一対のサイドビームスポット
が真円となるように、上下及び左右方向各対の永久磁石
（29a），（29b），（27a），（27b）の磁化強度を設定
した場合、センタービームのビームスポットは垂直方向
に長軸をもつ楕円形に歪んだビームスポットとなる。こ
のようなビームスポットの縦長楕円化及びセンタービー
ムと一対のサイドビームとのスポット形状即ち楕円率の
非斉一は蛍光面中心部での解像度劣化をもたらし、カラ
ー受像管のフォーカス品位を不所望に損うものとなる。

しかし、本実施例のように上下方向一対の永久磁石
（29a），（29b）を左右方向一対の永久磁石（27a），
（27b）に対して所定間隔だけ隔てた位置に配置するこ
とにより、前記センタービーム（Ｇ）と一対のサイドビ
ーム（Ｂ），（Ｒ）のビームスポットの楕円率の非斉一
を補正することができる。すなわち、電子ビームは、第
10図に示すように、電子銃構体（20）から射出された
後、発散しながら蛍光面（５）中心部に射突する。従っ
て、上下方向一対の永久磁石（29a），（29b）の発生す
るピンクッション磁界が作用する領域では電子ビーム径
がまだ小さいため、ピンクッション磁界が電子ビームに
加えるローレンツ力が弱く、特にセンタービーム（Ｇ）
のビームスポットが垂直方向に長軸をもつ縦長楕円形に
歪むのを抑えることができる。また、第11図に示すよう
に、一対のサイドビーム（Ｂ），（Ｒ）は蛍光面（５）
中心で１点に集中するように電子銃構体（20）より傾き
をもって射出されるため、左右方向一対の永久磁石（27
a），（27b）の発生するピンクッション磁界が一対のサ
イドビームに作用する領域では一対のサイドビーム
（Ｂ），（Ｒ）はセンタービーム（Ｇ）、即ち管軸
（Ｚ）に近接してゆく。従って、一対のサイドビーム
（Ｂ），（Ｒ）は左右方向一対の永久磁石（27a），（2
7b）により形成されるピンクッション磁界から受けるロ
ーレンツ力が弱い領域を通過するため電子ビームスポッ
トが水平方向に長軸をもつ横長楕円形に歪むのを抑える
ことができる。

従って、上下方向の一対の永久磁石（29a），（29b）
と、左右方向一対の永久磁石（27a），（27b）のなす管
軸方向間隔に応じて各一対の永久磁石の磁化強度を適切
な強さに設定することにより、第９図に示すように蛍光
面中心部における３電子ビームのビームスポットをほぼ
真円に補正することができる。

実施例２ 前記実施例１では、左右方向の一対の永久磁石（27
a），（27b）を偏向装置（９）の電子銃構体側端部に配
置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例
えば第12図に示すように、偏向装置（９）のコア（24）
の近傍部に配置しても良い。この場合、上下及び左右方
向各一対の永久磁石（29a），（29b）及び（27a），（2
7b）を電子ビームがより発散したビーム径の大きい領域
へ、即ちより蛍光面側へ配置できるため蛍光面垂直端部
でのビームスポットの歪みを補正する作用効果がより大
きくなりいっそう望ましい。

〔発明の効果〕

同一平面を通る一列配置の３電子ビームをその配列方
向及びその配列方向と直交する方向に偏向する偏向磁界
を形成する偏向装置の電子銃構体側端部に左右１対、及
び電子銃構体側端部より更に電子銃構体側へ所定間隔を
隔てて上下１対のピンクッション形磁界を発生する永久
磁石を配置すると、この計２対の永久磁石の発生するピ
ンクッション形磁界により、垂直偏向コイルが発生する
バレル形磁界が電子ビームのスポットに及ぼす歪みを補
正して蛍光面垂直軸端部におけるフォーカス性能を向上
させると共に、蛍光面中心部での３電子ビームのビーム
スポットの非斉一性を補正して蛍光面中心部でのフォー
カス性能劣化を改善できるため、よりフォーカス性能の
優れた高解像度、高性能のカラー受像管を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】 第１図乃至第11図はこの発明の実施例を説明するもの
で、第１図は第１実施例であるカラー受像管概略断面
図、第２図は第１図のカラー受像管に装着される偏向装
置及びこの偏向装置に取付けられた２対の永久磁石を示
す斜視図、第３図は２対の永久磁石が発生するピンクッ
ション形磁界が電子ビームスポットに及ぼす作用を説明
するための図、第４図は左右方向一対の永久磁石の発生
するピンクッション形磁界を説明するための図、第５図
は上下及び左右各一対の永久磁石の形成するピンクッシ
ョン形磁界を説明するための図、第６図は上下一対の永
久磁石が発生するピンクッション形磁界が電子ビームス
ポットに及ぼす作用を説明するための図、第７図は左右
一対の永久磁石が発生するピンクッション磁界が電子ビ
ームスポットに及ぼす作用を説明するための図、第８図
は第３図の説明を補足するためのもので、電子ビームス
ポットの形状を示す図、第９図は本発明による２対の永
久磁石の発生するピンクッション形磁界の作用により得
られる電子ビームスポットを説明するための電子ビーム
スポット形状を示す図、第10図は電子ビーム径と上下一
対の永久磁石との位置関係を説明するための図、第11図
は一対のサイドビームと左右一対の永久磁石との位置関
係を説明するための図、第12図は第２の実施例のカラー
受像管の概略断面図、第13図は従来のカラー受像管の概
略断面図、第14図は第13図のカラー受像管に装着される
偏向装置の構成を示す斜視図、第15図は斉一磁界を発生
する偏向装置により偏向された電子ビームスポット形状
の説明図、第16図は非斉一磁界を発生する偏向装置によ
り偏向された電子ビームスポット形状の説明図、第17図
（Ａ）及び第17図（Ｂ）はそれぞれ電子ビームに対する
ピンクッション形水平偏向磁界及びバレル形垂直偏向磁
界の影響を説明するための図である。 ５……蛍光面、９……偏向装置、 20……電子銃構体、24……コア、 25……垂直偏向コイル、 26……偏向装置の電子銃側端部、 27a,27b……左右方向一対の永久磁石、 29a,29b……上下方向一対の永久磁石、 30……バレル形垂直偏向磁界、 B,R……１対のサイドビーム、 Ｇ……センタービーム。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−33800（ＪＰ，Ａ) 実開 昭50−85119（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01J 29/76

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】センタービーム及び一対のサイドビームか
   らなる３電子ビームを形成する電子ビーム形成部及び３
   電子ビームを集束する電子レンズ部を有し、同一平面上
   を通る一列配置の３電子ビームを放出するインライン型
   電子銃構体と、前記３電子ビームをその配列方向に偏向
   する主としてピンクッション形偏向磁界を形成する第１
   偏向コイル及び前記３電子ビームをその配列方向と直交
   する方向に偏向する主としてバレル型偏向磁界を形成す
   る第２偏向コイルを備える偏向装置と、前記第１及び第
   ２偏向コイルの形成する偏向磁界に対応して前記偏向装
   置と前記電子銃構体の電子レンズ部との間の３電子ビー
   ムの経路上に、前記偏向装置の中心軸に対して軸対称で
   極性を逆向きに前記３電子ビーム配列方向と同方向及び
   前記３電子ビームの配列方向と直交する方向に各々一対
   の永久磁石が配置され、かつ前記３電子ビームの配列方
   向と直交する一対の永久磁石は前記３電子ビームの配列
   方向と同方向の永久磁石に対し前記電子銃構体側へ所定
   間隔を隔てて配置され、前記第２偏向コイルの形成する
   偏向磁界による偏向収差を補償するピンクッション形磁
   界を発生するように個々の永久磁石の発生する磁界の強
   度及び位置が設定されていることを特徴とするカラー受
   像管。