JPH07101434A - 樹脂組成物及び容器 - Google Patents

樹脂組成物及び容器

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Publication number
JPH07101434A
JPH07101434A JP5250792A JP25079293A JPH07101434A JP H07101434 A JPH07101434 A JP H07101434A JP 5250792 A JP5250792 A JP 5250792A JP 25079293 A JP25079293 A JP 25079293A JP H07101434 A JPH07101434 A JP H07101434A
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JP
Japan
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polyester resin
resin
container
resin composition
weight
Prior art date
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Pending
Application number
JP5250792A
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English (en)
Inventor
Kyoichi Kato
恭一 加藤
Hiroaki Iwasaki
裕明 岩崎
Shoji Otani
庄治 大谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Publication of JPH07101434A publication Critical patent/JPH07101434A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Tgが40℃以下である低融点ポリエステル
樹脂の経時的な機械的強度の低下を抑え、また表面滑り
性及び離型性が改善された、特に油分、香気成分、薬効
成分及び水分を含む内容物の保存用容器の形成材料等と
して好適である樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用い
て形成される層間接着性に優れた容器を提供すること。 【構成】 ガラス転移点温度(Tg)が40℃以下であ
るポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移点温度(T
g)が50℃以上である非晶性ないしは低結晶性のポリ
エステル樹脂(B)との混合物からなり、且つ該混合物
に無機充填剤を分散させたことを特徴とする樹脂組成
物、及び該樹脂組成物を少なくとも最内層樹脂素材とし
て用いたことを特徴とする容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、スキンケア、
ヘアケア、その他の化粧品又は食品等を充填する容器の
構成材料として好適な樹脂組成物、及び該樹脂組成物を
用いて形成された容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
単層用あるいは多層用の中空状容器の構成材料として
は、押し出し加工性が良く、成形した容器のピンチオフ
部の接着性が良いポリオレフィン系樹脂が広く用いられ
ている。また、チューブ状容器等の軟包装材料の少なく
とも内層部の構成材料としては、押し出し加工性が良
く、また、ヒートシール性が良いポリオレフィン系樹脂
が用いられている。尚、このようなポリオレフィン系樹
脂としては、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ランダムポリプロ
ピレン、ブロックポリプロピレン等がある。しかし、上
述のポリオレフィン系樹脂は、ガスバリアー性や耐油
性、保香性に劣るという問題がある。
【0003】そこで、上記問題を解決するために種々の
提案がなされている。例えば、特公昭51−43074
号公報、特公昭56−23792号公報、特公昭57−
15532号公報、特開昭60−49939号公報に
は、ポリオレフィン系樹脂で容器の最内層及び最外層を
形成し、その間の中間層として、例えばエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体やナイロン等のバリヤー性樹脂層
を設け、外界からの酸素ガスの侵入、それに伴う内容物
の酸化を防止し、更には、油分の浸透や香気成分の浸透
・拡散を防止するという技術が提案されている。尚、こ
のような提案の多層構造の容器においても、その最内層
材料はピンチオフ接着性やヒートシール性の観点からポ
リオレフィン系樹脂が用いられている。
【0004】しかしながら、上記提案における容器の内
容物が、例えば、スキンケア、ヘアケア、その他の化粧
品、あるいは食品等のように、各種動植物性の油脂、そ
のエステル交換誘導体、イソパラフィン、シリコーン油
等の合成油等の油成分を含有する場合には、これらの油
成分が容器の構成材料であるポリオレフィン系樹脂に浸
透する。このため、容器がポリオレフィン系樹脂単層の
場合には、容器表面への油分の滲みだし現象が生じ、ま
た、バリヤー性樹脂が中間層に設けられている多層型の
容器にあっても、最内層のポリオレフィン系樹脂が油分
を吸収して膨潤し、バイメタル効果によって変形する等
の現象が起きてしまう。又、最内層樹脂が、ポリオレフ
ィン系樹脂であるために起こる香気成分、ビタミンE等
の吸着や特有のオレフィン臭の内容物への移行について
は、全く改善されてない。特に、内容物には50〜60
%、多い場合には80〜90%もの油成分が配合されて
いることも有り、このような場合には上述の欠陥は甚だ
著しい。
【0005】さらに、最近においては、嗜好性等の理由
から、メントール系、ミント系等の各種フレーバー、そ
の他香料、ビタミンEや各種エキス等が内容物に配合さ
れていることが多くなり、これらの成分も容器の内層材
料への浸透・透過或いは吸着といった現象が生じ、これ
らの有効成分が減少するため、配合効果が低下してしま
い、期待された効果が喪失するという問題がある。そこ
で、このような問題を解決するため、種々提案がなされ
ている。例えば、特公昭60−26008号公報や特開
平2−219646号公報には、チューブ状容器の最内
層にエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いること
が提案されており、特開昭51−84877号公報、特
開昭51−92880号公報、特開昭62−53817
号公報及び特公昭63−50260号公報には、ナイロ
ンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂を容器の最内
層として用いることが提案されている。
【0006】しかしながら、上述の提案では、最内層の
材料が、油分等に対する遮断効果は有するものの、ピン
チオフ接着性やヒートシール性に劣り、決して実用性に
おいて満足できるものではない。さらには、エチレン−
ビニルアルコール共重合体、ナイロン、ポリエチレンテ
レフタレート等の樹脂を容器の内層材料として用いた場
合には、容器自体がゴワゴワした硬い感触のものとなっ
てしまい、ポリオレフィン系樹脂特有の柔軟なスクイズ
性や絞り出し性が期待できず、容器としての価値がそれ
だけで半減してしまう。即ち、プラスチック容器の良さ
は、ガラス瓶や陶器製容器に比べて軽く、割れにくいこ
との他、ボトルをスクイズすること、あるいはチューブ
を絞り出すことによって簡単に内容物を取り出せるとい
う特徴があるが、このような特徴が半減してしまうので
ある。
【0007】また、ナイロンやポリエチレンテレフタレ
ート等の樹脂とポリオレフィン系樹脂とを積層して容器
を形成するには、それぞれの最適加工温度が異なるため
に、成形自体が困難であり、また無理に成形しても収縮
率の差等から変形した容器になる等の問題もある。
【0008】そこで、そのような問題点を解決するた
め、特開平2−19033号公報及び特開平3−963
46号公報において、脂肪族変性ポリエステルあるいは
低融点ポリエステルを最内層に用い、油分に対する遮断
効果のみならず、ヒートシール性、香気成分の浸透、透
過、吸着を防ぎ、さらには、柔軟性も付与した容器が提
案されている。
【0009】しかしながら、上記の低融点ポリエステル
及び脂肪族系ポリエステル、更にはスルホン酸基等の極
性基含有ポリエステル樹脂は、ヒートシール性等には優
れるものの、一般に加水分解に対する抵抗性が低く、室
温中でも機械的強度等の物性の低下、さらには結晶化の
進行による脆性化を免れない。例えば、最内層にTgが
40℃以下である低融点ポリエステルを含む樹脂組成物
を使用したチューブ状容器を成形し、内容物としてクリ
ーム等を充填、40℃、75%RH条件下に保存した場
合、約3ヶ月程度で保存前に150kgfあったヒートシ
ール強度が50kgf以下まで低下してくる。
【0010】このように、上記低融点ポリエステル樹脂
等は、特に高温高湿下では、加水分解による機械的強度
の経時的低下を抑えることができず、内容物を保護する
には満足のいくものではない。実際に夏期の高温下、梅
雨時の高湿下においてはその現象は顕著にみられる。
【0011】また、最内層にTgが40℃以下である低
融点ポリエステルを使用した容器、特にチューブに関し
ては、成形時に樹脂を乾燥する際、Tgが低いためペレ
ットの融着を起こしたり、ヘッド成形時マンドレルにパ
イプを差し込む際に最内層の滑り性が悪いため生産性が
悪い、また、射出成形等では、離型性が悪く、取り出し
時に成形物の変形や肌荒れを生じてしまうなどの問題が
ある。特に比較的高温で取り出す場合には、この現象が
著しい。この問題を解決するために、金型表面にコーテ
ィングを施すなどの対策がとられているが満足のいくも
のではない。
【0012】従って、本発明の目的は、Tgが40℃以
下である低融点ポリエステル樹脂の経時的な機械的強度
の低下を抑え、また表面滑り性及び離型性が改善され
た、特に油分、香気成分、薬効成分及び水分を含む内容
物の保存用容器の形成材料等として好適である樹脂組成
物、並びに該樹脂組成物を用いて形成される層間接着性
に優れた容器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、ガラス転移点温
度(Tg)が40℃以下であるポリエステル樹脂(A)
を含む混合物に無機充填剤を分散させることにより、上
記目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに
至った。
【0014】即ち、本発明は、ガラス転移点温度(T
g)が40℃以下であるポリエステル樹脂(A)と、ガ
ラス転移点温度(Tg)が50℃以上である非晶性ない
しは低結晶性のポリエステル樹脂(B)との混合物から
なり、且つ該混合物に、ポリエステル樹脂(A)100
重量部に対して0.1〜5重量部無機充填剤を分散させ
たことを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
【0015】また本発明は、上記樹脂組成物を少なくと
も最内層樹脂素材として用いたことを特徴とする容器を
提供するものである。
【0016】以下、本発明の樹脂組成物について詳述す
る。本発明の樹脂組成物は、特定のポリエステル樹脂
(A)と特定のポリエステル樹脂(B)との混合物から
なり、且つ該混合物に無機充填剤を分散させたことを特
徴とする。
【0017】本発明において用いる上記の特定のポリエ
ステル樹脂(A)は、ガラス転移点温度(以下、「T
g」という)が40℃以下、好ましくは30℃以下、よ
り好ましくは20℃以下のポリエステル樹脂(以下、
「ポリエステル樹脂(A)」と称す)である。上記ポリ
エステル樹脂(A)のTgが40℃より高いと、柔軟性
が低下し、そのようなポリエステル樹脂(A)を含む樹
脂組成物を用いて成形した容器は硬い感触を示し、スク
イズ性や絞り出し性に劣る。また、上記ポリエステル樹
脂(A)の平均分子量は、10000〜1000000
の範囲であるのが好ましい。
【0018】上記ポリエステル樹脂(A)としては、ジ
カルボン酸成分とグリコール成分とを反応させて得られ
るポリエステル等を好ましく挙げることができる。上記
ジカルボン酸成分としては、アジピン酸、スベリン酸、
セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、
ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸及びその一部にスルホン酸基を導入したもの
や、これらの誘導体等を好ましく挙げることができ、使
用に際しては単独もしくは混合物として用いることがで
きる。また、上記グリコール成分としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングルコール、シクロヘキサンジ
メタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール
等を好ましく挙げることができ、使用に際しては単独も
しくは混合物として用いることができる。
【0019】また、本発明において用いる上記の特定の
ポリエステル樹脂(B)は、Tgが50℃以上、より好
ましくは60℃以上の非結晶性ないしは低結晶性のポリ
エステル樹脂(以下、「ポリエステル樹脂(B)」と称
す)である。上記ポリエステル樹脂(B)のTgが50
℃よりも低いと、室温においても粘性的性質が強く、そ
のようなポリエステル樹脂(B)をブレンドして得られ
る樹脂組成物を用いて成形した容器は変形を起こしやす
く、また、べとつき感を生じたりする。また、上記ポリ
エステル樹脂(B)の平均分子量は、10000〜10
00000の範囲であるのが好ましい。
【0020】また、上記ポリエステル樹脂(B)として
は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる樹脂
等を好ましく挙げることができる。上記カルボン酸成分
としては、テレフタル酸、イソフタル酸や各々の誘導体
等を好ましく挙げることができ、使用に際しては単独も
しくは混合物として用いることができる。特に、上記ジ
カルボン酸成分としては、テレフタル酸及び/又はイソ
フタル酸を好ましく用いることができる。また、上記グ
リコール成分としては、エチレングリコール及び/又は
シクロヘキサンジメタノール等を好ましく用いることが
できる。
【0021】尚、上記ポリエステル樹脂(B)において
は、上述の成分の他にTgが50℃を下まわらない範囲
で他の成分が用いられても差し支えない。
【0022】また、上記ポリエステル樹脂(B)とし
て、2種以上の樹脂がブレンドされた樹脂組成物を用い
ることもできる。
【0023】上記ポリエステル樹脂(A)と上記ポリエ
ステル樹脂(B)との混合物における両者の配合割合
は、上記ポリエステル樹脂(A)好ましくは5〜90重
量部、更に好ましくは20〜80重量部、最も好ましく
は30〜70重量部に対して、上記ポリエステル樹脂
(B)好ましくは95〜10重量部、更に好ましくは8
0〜20重量部、最も好ましくは70〜30重量部とす
るのが望ましい。
【0024】また、上記混合物には、上記ポリエステル
樹脂(A)、上記ポリエステル樹脂(B)に加えて、更
に、スルホン酸基含有ポリエステル樹脂等を混合するこ
ともできる。
【0025】本発明において上記混合物に分散される上
記無機充填剤としては、タルク、CaCO3 、Fe2
3 及びAl2 3 等からなる群より選ばれた1種以上を
好ましく用いることができ、中でも特にタルクが好まし
く用いられる。
【0026】上記無機充填剤の平均粒子径は、好ましく
は15μm以下、より好ましくは10μm以下である。
上記タルクの平均粒子径が15μmを超えると、結晶化
の促進効果がほとんど無く、ポリエステル樹脂の加水分
解を抑制する効果が無くなるので好ましくない。
【0027】上記無機充填剤の上記混合物に対する添加
割合は、上記ポリエステル樹脂(A)100重量部に対
して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量
部、更に好ましくは0.5〜2重量部である。上記添加
割合が5重量部を超えると、ポリエステル樹脂中に均一
に分散させることが困難になり、また、0.1重量部未
満であると、結晶化の促進効果がほとんど無く、また表
面滑り性及び離型性の効果がない。
【0028】上記混合物に上記無機充填剤を分散させる
には、両者を均一に分散・混合せしめる方法であれば、
いかなる方法でもよく、例えば、溶融状態の上記混合物
中に無機充填剤を分散せしめる方法等が用いられる。
【0029】具体的には、2軸混練機を用い、上記混合
物と無機充填剤とを別々のフィーダーで所定の配合比と
なるように混練機に供給する方法、あるいは、予め上記
混合物と無機充填剤とを混合したものを混練機に供給す
る方法等が挙げられる。好ましくは、予めポリエステル
樹脂(A)に無機充填剤を所定の配合比となるように混
練機を用いブレンドしてペレットとし、得られたペレッ
トとポリエステル樹脂(B)とをさらに所定の配合比と
なるように混合する2段階混練方法が望ましい。また、
その際の、混練条件は、通常、シリンダー温度150〜
250℃、回転数50〜100rpmの範囲で行われ
る。また、先に上記混合物だけを混練機を用いブレンド
してペレットとし、得られたペレットを乾燥する際に無
機充填剤をペレットにまぶす方法等も挙げられる。
【0030】また、本発明の樹脂組成物は、上記混合物
が、上記ポリエステル樹脂(A)からなる相と上記ポリ
エステル樹脂(B)からなる相とに分離しており、且つ
上記無機充填剤が上記ポリエステル樹脂(A)からなる
相に分散されているのが好ましい。
【0031】また、本発明の樹脂組成物は、上記樹脂組
成物の動的粘弾性測定におけるtanδの温度依存性に、
少なくとも2つのピークがあることが好ましい。このよ
うに、動的粘弾性測定におけるtanδの温度依存性に
少なくとも2つのピークがある樹脂組成物は、上記ポリ
エステル樹脂(A)と上記ポリエステル樹脂(B)とが
互いに相溶しておらず、上記ポリエステル樹脂(A)か
らなる相と上記ポリエステル樹脂(B)からなる相とに
相分離しているものと考えられる。
【0032】更に、上記2つのピークが、上記ポリエス
テル樹脂(A)単独の動的粘弾性測定におけるtan δの
温度依存性において現れる最も低温度側にあるピークの
位置よりも高い温度側にあり、且つ上記ポリエステル樹
脂(B)単独の動的粘弾性測定におけるtan δの温度依
存性において現れる最も高温度側にあるピークの位置よ
りも低い温度側にあることが好ましい。
【0033】更にまた、上記2つのピークの一方は、室
温よりも低い温度側にあり、他方は、室温よりも高い温
度側にあることが好ましい。
【0034】ブレンドする前のポリエステル樹脂(A)
及び(B)の単独のtanδの温度依存性は、それぞれ
のTgに起因する温度にピークが存在する。上記2つの
ピークのうち、高温側に存在するピークは、ポリエステ
ル樹脂(B)のTgに起因するものであるが、Tgが低
いポリエステル樹脂(A)とブレンドしたことによって
やや低い温度側にシフトしたものである。また、低い温
度側に存在するピークは、ポリエステル樹脂(A)のT
gに起因するものであるが、Tgが高いポリエステル樹
脂(B)とブレンドしたことによってやや高温度側にシ
フトしたものである。
【0035】上記2つのピークの位置が、それぞれの樹
脂単独のピークの位置からシフトするのは、上記ポリエ
ステル樹脂(A)と上記ポリエステル樹脂(B)との間
で多少のエステル交換反応が起こっているためであると
考えられる。樹脂組成物のtanδの温度依存性のピー
クが1つである場合には、Tgが高い樹脂とTgが低い
樹脂とが完全に相溶している状態であり、各々の構成成
分から合成した共重合体と同じ物性となる。そのため、
tanδピークが室温以上であれば、室温において柔軟
性に劣り、そのピークが室温以下であれば室温付近で容
易に変形されやすく、べたつき感も生じるので好ましく
ない。また、一般にTgが室温以下のポリエステル樹脂
は溶融粘度が低く、成形加工性が不良となる。
【0036】また、樹脂組成物のtanδ温度依存性の
ピークが2つ以上存在しても、全て室温以上であれば、
上述のtanδピークが1つで且つ室温以上である場合
と同様に室温付近において柔軟性に劣り、特にスクイズ
性が要求される容器に用いた場合には、ゴワゴワした感
触を呈する。また、全て室温以下であれば、上述のピー
クが1つで且つ室温以下である場合と同様に室温で容易
に変形されやすく、べたつき感が生じたり、成形性不良
となるので好ましくない。
【0037】このように、上記ポリエステル樹脂(A)
からなる相と上記ポリエステル樹脂(B)からなる相と
が分離していることにより、互いの特性が補い合わさ
れ、成形加工性が良く、そして室温に於いて、適度な柔
軟性を示し、べとつき感はなく、また適度な弾性も示す
ため塑性変形を起こしにくく、しかも溶融接着性に優れ
ているためにピンチオフ接着性やヒートシール性が良好
な容器を形成することができる。
【0038】また、本発明の樹脂組成物は、上述の如
く、特に、上記のポリエステル樹脂(A)からなる相に
無機充填剤が分散されていることが好ましい。これによ
り、無機充填剤が造核剤として作用し、成形直後のポリ
エステル樹脂(A)の結晶化を促進することができる。
その結果、保存時水分子が進入する非晶部分の割合を低
下させ、また侵入した水分子も無機充填剤がトラップす
ることによりポリエステル樹脂の加水分解が抑制され
る。また加水分解が生じた際にも無機充填剤の補強充填
効果により、高温高湿下保存時に生じるポリエステル樹
脂の経時的な機械的強度の低下を抑えることができる。
また、成形直後のポリエステル樹脂の結晶化を促進する
ので、射出成形等における金型内での樹脂の固化が急速
に進行し、金型からの離型性が改善される。また表面滑
り性にも優れ、特に油分、香気成分、薬効成分及び水分
を含む内容物の保存用容器の形成材料として使用でき
る。
【0039】本発明においては、通常の使用範囲内で帯
電防止剤、着色剤その他上述の成分以外の他の成分が、
少量用いられても差し支えない。
【0040】本発明の樹脂組成物は、良好な成形加工性
を示し、耐油性、柔軟性、さらには溶融接着性、耐加水
分解性に優れ、該樹脂組成物を用いて形成した容器は、
上述の性能を内容物の保存初期から、夏期の高温下、梅
雨時の多湿下での長期の保存において維持できる。
【0041】上記内容物としては、例えば大豆油、綿実
油、トウモロコシ油、ゴマ油、ナタネ油、オリーブ油、
ツバキ油、ヒマシ油、パーム油、ヤシ油等の植物性油
脂、イワシ油、鯨油、骨油、牛脂、豚脂、羊脂、馬脂、
バター脂等の動物性油脂、前記の油脂を加水分解して得
られるカプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン
酸、リノール酸、ステアリン酸等の炭素数4〜30の有
機酸、モノグリセライド、ジグリセライド誘導体、合成
有機酸、流動パラフィン、灯油、ケロシン、ナフサ、リ
グロイン、セテン、オクテン、セタン、オクタン、デカ
ン、オクタデカン等の炭化水素類、オクチルラウレー
ト、ジオクチルフタレート、ブチルラウリルフタレー
ト、ジブチルフタレート、2−エチルヘキシルラウレー
ト、イソプロピルパルミテート等のエステル油類、オク
チルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコ
ール、2−エチルヘキシルアルコール、ゲルベアアルコ
ール等の炭素数4〜30の直鎖または分岐アルコール、
その他鉱油、ラノリン、ワセリン、ミツロウ、ポリプロ
ピレングリコール等の油性成分、各種シリコーンオイ
ル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソ
ルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジオレエ
ート、プロピレングリコールモノラウレート、グリセリ
ルモノステアレート、プロピレングリコールモノステア
レート、エチレングリコールモノステアレート、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプ
ロピレンアルキルエーテル等の界面活性剤、特に油性が
強いHLBが15以下の非イオン系界面活性剤、メント
ール系、ミント系等の各種フレーバー、その他香料、ビ
タミンEや各種エキス等が挙げられる。さらに、内容物
がW/O型エマルジョンやO/W型エマルジョンにおい
て、水分が何%含まれていても差し支えない。
【0042】次いで、本発明の容器について説明する。
本発明の容器は、上記樹脂組成物を少なくとも最内層樹
脂素材として用いたことを特徴とする。即ち、本発明の
容器は、上記樹脂組成物のみを用いて単層型、あるい
は、多層型の容器として、少なくともその最内層を形成
する樹脂素材として上記樹脂組成物を用いたものであ
る。
【0043】また、上述のように多層型の容器とする場
合には、更にスルホン酸基含有ポリエステルを含有する
樹脂組成物を用いるのが好ましい。上記スルホン酸基含
有ポリエステルを含有する樹脂組成物は、ポリオレフィ
ン系樹脂等と組み合わせる場合に、ポリエステル樹脂に
対する接着性が低い接着層と、上記樹脂組成物との接着
性を改善することができる。
【0044】また、上述のように多層型の容器とする場
合には、上記最内層樹脂に隣合う樹脂層(接着層)とし
てポリアミド樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂等の極性樹脂を用いるのが好ましい。特に、上記ス
ルホン酸基含有ポリエステルを含有する樹脂組成物と、
上記極性樹脂を用いた接着層とを組み合わせた場合に
は、樹脂組成物の中にエステル基よりも極性の大きいス
ルホン酸基が導入されているので、極性樹脂との相互作
用が強化され、接着性がより向上する。
【0045】多層型の容器とする場合の層構成として
は、例えば下記に示すような2種2層、3種3層、4種
5層等が考えられるが、最内層樹脂素材として上記樹脂
組成物が用いられておれば、どのような層構成でも良
い。 2種2層;(最外層)ポリオレフィン系樹脂と接着性樹
脂のブレンド組成物/上記樹脂組成物(最内層) 3種3層;(最外層)ポリオレフィン系樹脂/中間層樹
脂(接着層)/上記樹脂組成物(最内層) 4種5層;(最外層)ポリオレフィン系樹脂/中間層樹
脂(接着層)/ガスバリヤー樹脂/中間層樹脂(接着
層)/上記樹脂組成物(最内層) ここで、上記樹脂組成物には、前述のようにスルホン酸
基含有ポリエステルを含有させ、中間層(接着層)とし
て、ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等
の極性樹脂を用いると、層間の接着性がより良好とな
る。
【0046】上記ポリオレフィン系樹脂としては、低密
度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレ
ン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、
ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダ
ムポリプロピレン等が挙げられる。上記ガスバリヤー性
樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、
MXナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリ
デン等が挙げられる。
【0047】本発明の容器としては、具体的には、例え
ば、押し出しブロー成形法により成形される中空状容
器、アルミニウム箔、紙、樹脂等とのラミネートシート
としたチューブ状容器、パウチ、ピロー包装等が挙げら
れる。
【0048】本発明の容器は、スキンケア、ヘアケア、
その他化粧品あるいは食品等のように各種動植物性油
脂、そのエステル交換誘導体、イソパラフィン、シリコ
ーン油等の合成油を始めとする油成分を含有するもの、
嗜好性等の理由から、メントール系、ミント系等の各種
フレーバー、その他香料、ビタミンEや各種エキス等が
配合されているものの容器として好適である。具体的に
は、シャンプー、リンス、ベビーオイル、エモリエント
ローション、モイスチャーローション、マッサージロー
ション、クレンジングローション等の各種スキンローシ
ョン、化粧下クリーム、バニシングクリーム、エモリエ
ントクリーム等のスキンクリーム、シェービングクリー
ム、ヘアリムーバー、枝毛コートクリーム、整髪用オイ
ル等の化粧品、香料品分野、歯磨き、調理油、サラダ
油、イタリアンドレッシング、フレンチドレッシング等
の油性ドレッシング類やマヨネーズ、または床用ワック
ス等の住居用製品等の容器として用いることができる
が、これに限定されるものではない。
【0049】尚、本発明における、ガラス転移温度(T
g)は、240℃で溶融した後20℃まで急冷したサン
プルを示差走査型熱量計(セイコー電子工業社製の「D
SC−220型」を使用)によって融点より30℃高い
温度で10分間保持し、その後ガラス転移温度よりも5
0℃低い温度まで急冷して約10分間保持した後、20
℃/minの昇温速度で測定したものである。結晶性
は、融点よりも30℃高い温度で10分間保持した後、
融点よりも50℃低い温度まで急冷して約10分間保持
し、10℃/minの昇温速度で結晶融解に基づくピー
クを測定して、ピーク面積が20mJ/g以下のものを
低結晶性の樹脂、5mJ/g以下のものを非結晶性の樹
脂とした。また、動的粘弾性の測定は、240℃で融解
した後、20℃まで急冷したサンプルを動的粘弾性測定
装置(レオメトリック社製の「RSA−II型」を使用)
によって周波数1Hz、歪み0.1%、測定温度−10
0〜140℃(3℃毎、温度保持時間1分)で測定した
ものである。
【0050】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。
【0051】〔実施例1〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
7:29:24:100)からなるTgが1.0℃のポ
リエステル樹脂(A)50重量部と、テレフタル酸−エ
チレングリコール−シクロヘキサンジメタノール(モル
比は100:72:28)からなるTgが81℃の非結
晶性ポリエステル樹脂(B)50重量部との混合物に、
上記のポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、
平均粒子径が2μmであるタルク1.0重量部を分散し
て本発明の樹脂組成物を得た。
【0052】尚、上記分散は、二軸押出機(東洋精機製
作所製、商品名、「ラボ・プラストミル」:基本装置:
30−150形、測定ヘッド:2D25−S形、スクリ
ュー異方向外回り多条スクリュー)を用い、予めポリエ
ステル樹脂(A),(B)及びタルクを混合したものを
混練機に供給し、シリンダー設定温度160〜220
℃、スクリュー回転数80rpm、混練時間30秒の条
件で混練り押し出すことにより行った。更に、押し出さ
れたストランド状の樹脂組成物を直ちに水槽で冷却し、
ペレタイザーによってカットしてペレット状にし、60
℃で一昼夜真空乾燥した。そして、このペレット状の樹
脂組成物を200℃でプレスし、20℃に急冷してシー
ト状になし、これを適宜切り取って動的粘弾性の測定を
行った。
【0053】上記の動的粘弾性の測定により、上記ポリ
エステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)の単独
のtanδは、各々9℃と85℃付近に単一のピークを
示すが、上記樹脂組成物のtanδは、ポリエステル樹
脂(A)に起因する20℃付近のピークと、ポリエステ
ル樹脂(B)に起因する61℃付近のピークとの2つの
ピークが存在することが判った。また上記樹脂組成物
を、通常の方法で染色して透過型電子顕微鏡で観察した
結果、この樹脂組成物は海島構造をしており、ポリエス
テル樹脂(A)からなる相と、ポリエステル樹脂(B)
からなる相とに相分離しているものであることが判っ
た。また、ポリエステル樹脂(A)からなる相中にタル
クの分散が見られた。
【0054】〔実施例2〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
3:21:36:100)からなるTgが−18.6℃
のポリエステル樹脂(A)50重量部と、テレフタル酸
−エチレングリコール−シクロヘキサンジメタノール
(モル比は100:72:28)からなるTgが81℃
の非結晶性ポリエステル樹脂(B)50重量部との混合
物に、ポリエステル樹脂(A)に対して、平均粒子径が
2μmであるタルク1.0重量部を、実施例1と同様に
分散して本発明の樹脂組成物を得た。
【0055】得られた樹脂組成物について、実施例1と
同様にして、動的粘弾性の測定を行った。その結果、上
記ポリエステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)
の単独のtanδは、各々−12℃と85℃付近に単一
のピークを示すが、上記樹脂組成物のtanδは、ポリ
エステル樹脂(A)に起因する−8℃付近のピークと、
ポリエステル樹脂(B)に起因する73℃付近のピーク
との2つのピークが見られた。また上記樹脂組成物を、
通常の方法で染色して透過型電子顕微鏡で観察した結
果、この樹脂組成物は海島構造をしており、ポリエステ
ル樹脂(A)からなる相と、ポリエステル樹脂(B)か
らなる相とに相分離しているものであることが判った。
また、ポリエステル樹脂(A)からなる相中にタルクの
分散が見られた。
【0056】〔実施例3〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
7:29:24:100)からなるTgが1.0℃のポ
リエステル樹脂(A)50重量部と、テレフタル酸−エ
チレングリコール−シクロヘキサンジメタノール(モル
比は100:72:28)からなるTgが81℃の非結
晶性ポリエステル樹脂(B)50重量部との混合物に、
ポリエステル樹脂(A)に対して、平均粒子径が8μm
であるタルク1.0重量部を、実施例1と同様に分散し
て本発明の樹脂組成物を得た。
【0057】〔実施例4〕テレフタル酸−イソフタル酸
−1,4−ブタンジオール−ジエチレングリコール−ポ
リテトラメチレングリコール(モル比は48:22:4
4:30:26)からなるTgが−2℃のポリエステル
樹脂(A)50重量部と、スルホン酸基含有ポリエステ
ル樹脂(旭化成工業(株)製「ハーデックD221
0」、Tg27℃)20重量部と、テレフタル酸−エチ
レングリコール−シクロヘキサンジメタノール(モル比
は100:72:28)からなるTgが81℃の非結晶
性ポリエステル樹脂(B)30重量部との混合物に、ポ
リエステル樹脂(A)に対して、平均粒子径が2μmで
あるタルク1.0重量部を、実施例1と同様に分散して
本発明の樹脂組成物を得た。
【0058】〔実施例5〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
7:29:24:100)からなるTgが1.0℃のポ
リエステル樹脂(A)50重量部と、テレフタル酸−エ
チレングリコール−シクロヘキサンジメタノール(モル
比は100:72:28)からなるTgが81℃の非結
晶性ポリエステル樹脂(B)50重量部とを実施例1に
おける分散と同様にブレンドしてペレットを得た。得ら
れたペレットを乾燥する際、平均粒子径が2μmである
タルクをポリエステル樹脂(A)に対して1.0重量部
となるようにまぶすることにより分散させて本発明の樹
脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を最内層に用い
て、3種3層のチューブ状容器を成形した(成形方法等
については後述する)。このチューブ状容器の最内層に
用いた上記樹脂組成物を、通常の方法で染色して透過型
電子顕微鏡で観察した結果、この樹脂組成物は海島構造
をしており、ポリエステル樹脂(A)からなる相と、ポ
リエステル樹脂(B)からなる相とに相分離しているも
のであることが判った。また、ポリエステル樹脂(A)
からなる相中にタルクの分散が見られた。
【0059】〔実施例6〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
7:29:24:100)からなるTgが1.0℃のポ
リエステル樹脂(A)100重量部に対して、平均粒子
径が2μmであるタルク1.0重量部を分散させてペレ
ットを得た。このペレットを乾燥した後、ポリエステル
樹脂(A)100重量部に対して、テレフタル酸−エチ
レングリコール−シクロヘキサンジメタノール(モル比
は100:72:28)からなるTgが81℃の非結晶
性ポリエステル樹脂(B)100重量部をブレンドして
本発明の樹脂組成物を得た。尚、上記ブレンドは、2軸
押出機を用い、まずポリエステル樹脂(A)とタルクと
をシリンダー設定温度160〜180℃、スクリュー回
転数80rpm、混練時間30秒の条件で混練り押出し
て上記ペレットを得た。次いで、得られたペレットを乾
燥した後、ポリエステル樹脂(B)と、シリンダー設定
温度160〜220℃、スクリュー回転数80rpm、
混練時間30秒の条件で混練り押し出すことにより行っ
た。
【0060】〔比較例1〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
7:29:24:100)からなるTgが1.0℃のポ
リエステル樹脂(A)50重量部と、テレフタル酸−エ
チレングリコール−シクロヘキサンジメタノール(モル
比は100:72:28)からなるTgが81℃の非結
晶性ポリエステル樹脂(B)50重量部とを実施例1に
おける分散と同様にブレンドして樹脂組成物を得た。
【0061】〔比較例2〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
3:21:36:100)からなるTgが−18.6℃
のポリエステル樹脂(A)50重量部と、テレフタル酸
−エチレングリコール−シクロヘキサンジメタノール
(モル比は100:72:28)からなるTgが81℃
の非結晶性ポリエステル樹脂(B)50重量部とを実施
例1における分散と同様にブレンドして樹脂組成物を得
た。
【0062】〔比較例3〕テレフタル酸−イソフタル酸
−アジピン酸−1,4−ブタンジオール(モル比は4
7:29:24:100)からなるTgが1.0℃のポ
リエステル樹脂(A)50重量部と、テレフタル酸−エ
チレングリコール−シクロヘキサンジメタノール(モル
比は100:72:28)からなるTgが81℃の非結
晶性ポリエステル樹脂(B)50重量部との混合物であ
るポリエステル樹脂組成物に、ポリエステル樹脂(A)
に対して、平均粒子径が2μmであるタルク0.05重
量部を、実施例1における分散と同様にブレンドして樹
脂組成物を得た。
【0063】上記実施例1、2及び比較例1、2で得ら
れた樹脂組成物について、結晶化時間t1/2 を下記に示
すように試験、評価した。
【0064】結晶化時間(t1/2):200℃で溶融させ
た後、20℃まで急冷したプレスシートから試験片(1
5×15×0.1mm)を切りだし、これを結晶化速度測
定器((株)コタキ製作所製、商品名「MK−801
形」)により、溶融温度200℃、溶融時間3min、
結晶化温度60℃の条件で測定した。結果を下記〔表
1〕に示す。
【0065】次に、上記各実施例1〜6及び比較例1〜
3で得られた樹脂組成物をそれぞれ最内層に用いて、最
外層に低密度PE〔三井石油化学工業(株)製、商品名
「ミラソン50」〕、中間層にエチレン−酢酸ビニル共
重合体を用いた3種3層のチューブ状容器を成形した。
【0066】尚、成形は、内部冷却マンドレル方式の共
押出しチューブ成形機〔(株)マックインターナショナ
ルアソシエイツ製、商品名「MAC−EX38−24−
2」〕を用い、各樹脂の押出機シリンダー温度を160
〜200℃として押出し、直径30mmの3種3層のパイ
プ状成形物を得た。得られたパイプ状成形物の厚みは、
最外層が350μm、中間層が50μm、最内層が50
μmであった。更に、このパイプ状成形物を120mmの
長さにカットし、さらに縦型射出成形機にて上記樹脂組
成物を射出することにより、ねじ部付きのヘッドを成形
し、それと同時にパイプに融着させ約60mlの容量のチ
ューブ状容器とした。
【0067】得られたチューブ状容器について、機械的
強度の経時変化を下記に示すように試験、評価した。そ
の結果を下記〔表1〕に示す。 〔試験方法〕得られたチューブ状容器に水を充填し、ヒ
ートシールした後、温度40℃、湿度75%の恒温恒湿
槽中で6ヶ月間保存した。この際、1ヶ月毎にサンプル
を取り出し、20℃の恒温室で一昼夜保存し、テンシロ
ン〔(株)オリエンテック製商品名「RTA−50
0」〕を用いて、圧縮スピード20mm/min でヒートシ
ール強度の経時変化を調べた。
【0068】
【表1】
【0069】また、上記実施例1〜6並びに比較例1及
び2で得られた樹脂組成物についてペレット乾燥時の融
着状態、チューブヘッド射出成形時の離型性について評
価した。結果を下記〔表2〕に示す。
【0070】
【表2】
【0071】上記〔表1〕、〔表2〕から明らかなよう
に、本発明の樹脂組成物は、恒温恒湿下に長期間保存後
も高いヒートシール強度を示し、低融点ポリエステル樹
脂の経時的な機械的強度の低下を抑えるのに優れてお
り、且つ、乾燥時のペレットの融着防止、離型性に好適
なものであることが判る。
【0072】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、Tgが40℃以
下である低融点ポリエステル樹脂の経時的な機械的強度
の低下を抑え、また表面滑り性及び離型性が改善されて
おり、特に油分、香気成分、薬効成分及び水分を含む内
容物の保存用容器の形成材料等として好適なものであ
る。また、本発明の容器は、層間接着性に優れたもので
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移点温度(Tg)が40℃以下
    であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移点温度
    (Tg)が50℃以上である非晶性ないしは低結晶性の
    ポリエステル樹脂(B)との混合物からなり、且つ該混
    合物に、ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して
    0.1〜5重量部無機充填剤を分散させたことを特徴と
    する樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記混合物が、上記ポリエステル樹脂
    (A)からなる相と上記ポリエステル樹脂(B)からな
    る相とに分離しており、且つ上記無機充填剤が少なくと
    も上記ポリエステル樹脂(A)からなる相に分散されて
    いることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 上記無機充填剤が、タルク、CaC
    3 、Fe2 3 及びAl2 3 からなる群より選ばれ
    た1種以上であることを特徴とする請求項1記載の樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の樹脂組成物を少なくとも
    最内層樹脂素材として用いたことを特徴とする容器
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