JPH0699553B2 - 芳香族ポリカ−ボネ−トの製法 - Google Patents

芳香族ポリカ−ボネ−トの製法

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JPH0699553B2
JPH0699553B2 JP15909987A JP15909987A JPH0699553B2 JP H0699553 B2 JPH0699553 B2 JP H0699553B2 JP 15909987 A JP15909987 A JP 15909987A JP 15909987 A JP15909987 A JP 15909987A JP H0699553 B2 JPH0699553 B2 JP H0699553B2
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伸典 福岡
智也 渡辺
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は芳香族ポリカーボネートの製法の改良に関する
ものである。さらに詳しくいえば、本発明は、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステル類の自己
重縮合反応により、高分子量の芳香族ポリカーボネート
を工業的に効率よく製造する方法に関するものである。
従来の技術 近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、
透明性などに優れたエンジニアリングプラスチツクスと
して、多くの分野において幅広く用いられている。この
芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種
々の研究が行われ、その中で、芳香族ジヒドロキシ化合
物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロ
パン(以下、ビスフエノールAという)とホスゲンとの
界面重縮合法が工業化されている。
しかしながら、このホスゲンを用いる界面重縮合法にお
いては、(1)有毒なホスゲンを用いなければならない
こと、(2)副生する塩化水素や塩化ナトリウムなどの
含塩素化合物により装置が腐食すること、(3)樹脂中
に混入する塩化ナトリウムなどのポリマー物性に悪影響
を及ぼす不純物の分離が困難なことなど、工業的に実施
する場合に多くの問題を伴う。
したがつて、このような問題を解決するために、これま
で、ホスゲンを用いない芳香族ポリカーボネートの製造
方法、例えば、脂肪族ジアルキルカーボネートと芳香族
ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応による方法や
(特開昭57−2334号公報、同60−169444号公報、同60−
169445号公報)、ジアルキルカーボネートと芳香族ジヒ
ドロキシ化合物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応
による方法(特開昭59−210938号公報)などが提案され
ている。しかしながら、これらの方法においては、ホス
ゲン法における前記問題点は克服されているものの、前
者の方法は反応が遅くて、高分子量体を得るのが困難て
あるなどの欠点を有し、一方、後者の方法は、原料製造
時にケテンのような不安定かつ有毒物質が生成する上
に、工程が煩雑であつて、工業プロセスとして満足しう
る方法とはいえない。
さらに、芳香族ジヒドロキシ化合物をパラジウムなどの
貴金属触媒の存在下、一酸化炭素及び酸素と反応させて
ポリカーボネートを製造する直接法を提案されている
(特開昭53−68744号公報、同53−68745号公報、同53−
68746号公報、同53−68747号公報)。しかしながら、こ
の方法においても、高価な貴金属を使用する上に、重合
度を上げることが困難であり、かつポリマーからの触媒
や助触媒の分離が面倒であるなどの問題があり、工業的
プロセスとして有利な方法とはいえない。
また、従来知られている方法であつて、一時工業化され
たプロセスである、いわゆるエステル交換法は、フエノ
ールとホスゲンとから得られるジフエニルカーボネート
を原料として用い、ビスフエノールAと反応させるもの
であるが、ホスゲンを使用することによる毒性や装置の
腐食などの問題は解決されていない上に、重合の後半に
おいて、高粘度のポリカーボネート溶融体の中から、高
沸点でかつ逆反応性の高いフエノールを留去していかな
ければ、重合度が上がらないことから、通常280〜300℃
の高温で、かつ1mmHg以下の高真空下で長時間反応させ
る必要があり、したがつて、装置的にも高価なものが必
要であるばかりでなく、製品のポリカーボネートも着色
を免れないなどの欠点を有していた。
一方、クロロギ酸フエニル又はクロロギ酸アルキルとビ
スフエノールAのジアルカリ金属塩との反応から得られ
るビスフエノールAのビスフエニル炭酸エステル又はビ
スアルキル炭酸エステルの自己重縮合によるポリカーボ
ネートの製造法ついても若干報告されている(特公昭37
−3296号公報、米国特許第2,946,766号明細書)。しか
しながら、これらの方法において、ビスフエノールAの
ビスアルキル炭酸エステル類のみの自己重縮合反応の例
については、ほとんど研究されておらず、ただビスフエ
ノールAのビスフエニル炭酸エステルの自己重縮合反応
によるポリカーボネートの製造の際に、少量のビスフエ
ノールAのビスアルキル炭酸エステルを加えた例がある
にすぎない。この場合、少量存在しているビスフエノー
ルAのビスアルキル炭酸エステル類そのものが重縮合に
関与しているかは全く不明である。さらにビスフエノー
ルAのビスフエニル炭酸エステルの場合には自己重縮合
反応によつてポリカーボネートが得られるが、ビスアル
キル炭酸エステルの場合には、ポリカーボネートが得ら
れないということも知られている(米国特許第4,350,80
5号明細書)。この場合、ビスフエノールAのビスアル
キル炭酸エステルのみでは高分子量化できないために、
反応性のよい芳香族ジカルボン酸ジエステルを共存させ
ることによつて、エステル結合で高分子量化させる試み
がなされているが、このようにすれば当然、ポリカーボ
ネートではなくて、エステル結合を含むポリエステル‐
カーボネートを生成する。
一方、ビスフエノールAのビスフエニル炭酸エステルの
自己重縮合反応によつてポリカーボネートは得られてい
るが、この方法もビスフエノールAとジフエニルカーボ
ネートとの反応によるいわゆるエステル交換法と同様
に、高温溶融重合法で実施されている。この場合には、
フエノールよりさらに沸点の高いジフエニルカーボネー
トを留去しなければならないことから、高温下、高真空
下で、より長時間反応させる必要があり、工業的に実施
するには、エステル交換法よりもさらに問題がある。
芳香族ポリカーボネート類は、他の熱可塑性樹脂に比べ
て一般的にその溶融粘度が高いことが知られている。し
たがつて、いずれの方法にしても溶融法で芳香族ポリカ
ーボネートを製造するためには、特に重合後期におい
て、高粘度流体を効果的にかきまぜることができる上
に、300℃以上の高温で1mmHg以下の高真空度が保持でき
るような高価な設備が必要である。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、このような従来のポリカーボネートの製造方
法が有する欠点を克服し、ホスゲンを用いずに品質の良
好な高分子量ポリカーボネートを工業的に効率よく製造
する優れた方法を提供することの目的としてなされたも
のである。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、ホスゲンを用いないで高分子量のポリカ
ーボネートを工業的に効率よく製造する方法について鋭
意研究を重ね、先に特定の原料を用いて、まず予備重合
によりプレポリマーを調製し、次いでこのプレポリマー
をさらに固相重合させることにより、前記目的を達成し
うるという全く新しい事実を見出したが、さらに検討を
進めた結果、本発明を完成するに至つた。
すなわち、本発明は、一般式 (式中のR1及びR2は炭素数1〜10のアルキル基又はシク
ロアルキル基であり、それらは同一であつてもよいし、
たがいに異なつていてもよく、Arは2価の芳香族基であ
る) で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル
炭酸エステルを自己重縮合させて、芳香族ポリカーボネ
ートを製造するに当り、 (a) 該芳香族ヒドロキシ化合物のヒズアルキル炭酸
エステルを加熱下に、溶融状態で予備重合し、プレポリ
マーを調製する予備重合工程, (b) 該プレポリマーを加熱下に結晶化させる加熱結
晶化工程、及び (c) (b)工程で得られた結晶化プレポリマーを、
さらに重合度を上げるために固相重合させる固相重合工
程 を順次実施することを特徴とする芳香族ポリカーボネー
トの製法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
ところで、縮合系ポリマーであるポリヘキサメチレンア
ジパミドやポリエチレンテレフタレートなどは、固相状
態で、減圧下又は乾燥窒素などの流通下に加熱すること
によつて、重合度を高めることが可能であることは知ら
れている。この場合は、固体ポリマー中で、末端カルボ
キシル基が近くに存在する末端アミノ基又は末端ヒドロ
キシル基と反応して、脱水縮合反応が進行しているもの
と思われる。このように縮合系ポリマーを固相重合で効
果的に高重合度化させうるのは、脱離すべき化合物が、
例えば、水のように、分子量が低く、かつ固体のポリマ
ー中を容易に移動して気体とし系外に除去されうるもの
の場合のみである。
一方、芳香族ポリカーボネートを製造する一般的な方法
であるホスゲン法においては、酸結合剤としての塩基化
合物が必要なことと、脱離すべきものが塩(これは、通
常、塩化ナトリウムのように、無溶媒では固体である)
であることなどのため、この方法を固相で実施すること
は本質的に不可能である。
さらに、前記のビスフエノールAのビスフエニル炭酸エ
ステル及びビスアルキル炭酸エステルの自己重縮合反応
においては(特公昭37−3296号公報、米国特許第2,946,
766号明細書)、高真空下での高温溶融法により実施さ
れていて、固相重合の可能性についてはなんら示唆され
ていないことはもちろんのことである。
これに対し、本発明者らが種々検討した結果、末端にア
ルキルカーボネート基を有する芳香族ポリカーボネート
のプレポリマーを固相重合させる方法を開発した。とこ
ろで、一般的に固相重合が可能になるためには、重合が
進行する温度で、プレポリマーが溶融したり、融着しな
いことが必要である上に、しかも、固相重合は、固相中
での物質の移動及び反応を起こす必要があるが、一般的
に反応速度は、それほど大きくないので、できるだけ、
反応温度を上げて反応速度を速くする必要があり、それ
はプレポリマーの溶融温度を高くしなければならない。
本発明者らは、該プレポリマーの溶融温度を高めるため
の方法について、種々検討を重ね、プレポリマーを加熱
結晶化させることにより、その溶融温度を容易に高めう
ることを見い出した。この加熱結晶化法によるプレポリ
マーを固相重合させることによつて、容易に高分子量の
芳香族ポリカーボネートが得られる。
本発明の方法において原料として用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステルは、一般式 (式中のR1、R2及びArは前記と同じ意味をもつ) で表わされるものである。
前記式(I)におけるR1及びR2としては、例えばメチ
ル、エチル、プロピル(各種)、ブチル(各種)、アミ
ル(各種)、ヘキシル(各種)、ヘプチル(各種)、オ
クチル(各種)、ノニル(各種)、デシル(各種)など
の炭素数1〜10のアルキル基;シクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シク
ロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、
シクロオクチルなどのシクロアルキル基が挙げられる。
またこれらのアルキル基又はシクロアルキル基は、反応
に悪影響を及ぼさない置換基、例えばハロゲン原子、低
級アルコキシ基、ニトリル基、エステル基などの置換基
を有するものであつてもよいし、さらには不飽和結合を
有するものであつてもよい。R1とR2は、同一であつて
も、異なつていてもよいが、原料の調製の容易さなどの
点から、同一の方がより好ましい。
Arは芳香族ジヒドロキシ化合物の2価の芳香族残基を表
わすが、このような芳香族基としては、例えばフエニレ
ン(各種)、ナフチレン(各種)、ビフエニレン(各
種)、ピリジレン(各種)、及び一般式 −Ar1−Z−Ar2− ………(II) で表わされる2価の芳香族基などが挙げられる。ここで
Ar1及びAr2は同一であつても、異なつていてもよい2価
の芳香族基であつて、例えば、フエニレン(各種)、ナ
フチレン(各種)、ビフエニレン(各種)、ピリジレン
(各種)などの基を表わす。Zは単なる結合、又は−O
−,−CO−,−S−,−SO2,−CO2−,−CON(R3)−, などの2価の基を表わす。(ここでR3,R4,R5,R6は同一
であつても異なつていてもよく、水素、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基を表わし、k
は3〜11の整数を表わし、上式 の水素原子は、低級アルキル基、アリール基、ハロゲル
等で置換されていてもよい。) さらには、このような2価の芳香族基(Ar,又はAr1,A
r2)において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を
及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、フエニル基、フエノキシ
基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニト
ロ基などによつて置換されたものであつてもよい。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭
酸エステルはいかなる方法で製造されたものであつても
よく、例えば、相当する芳香族ジヒドロキシ化合物とジ
アルキルカーボネートとの反応や、芳香族ジヒドロキシ
化合物又はそのアルカリ金属塩とハロゲン化ギ酸アルキ
ルエステムとの反応などによつて容易に得られる。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭
酸エステルとしては、例えばビスメチル炭酸エステルと
して、4−ヒドロキシフエノールのビス(メチルカーボ
ネート)、3−ヒドロキシフエノールのビス(メチルカ
ーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニル)
−ブタンのビス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒ
ドロキシフエニル)−メタンのビス(メチルカーボネー
ト)、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニ
ル)−プロパンのビス(メチルカーボネート)、2,2−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)−プ
ロパンのビス(メチルカーボネート)、ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフエニル)−スルホンのビス
(メチルカーボネート)、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフエニル)−エーテルのビス(メチルカーボ
ネート)、4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノンのビス
(メチルカーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フエニル)−エタンのビス(メチルカーボネート)、1
−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−プ
ロパンのビス(メチルカーボネート)、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフエニル)−シクロヘキサンのビス(メチ
ルカーボネート)、1,1-ビス(3,5-ジメチル‐4-ヒドロ
キシフェニル)‐シクロヘキサンのビス(メチルカーボ
ネート、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)‐3,5,5′
‐トリメチルシクロヘキサンのビス(メチルカーボネー
ト)、1,1-ビス(3,5-ジメチル‐4-ヒドロキシフェニ
ル)‐3,5,5′‐トリメチルシクロヘキサンのビス(メ
チルカーボネート)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル
‐シクロドデカンのビス(メチルカーボネート)、ビス
(4−ヒドロキシフエニル)−フエニルメタンのビス
(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒドロキシフエニ
ル)−ナフチルメタンのビス(メチルカーボネート)、
ビス(4−ヒドロキシフエニル)−(4−イソプロピル
フエニル)−メタンのビス(メチルカーボネート)、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−プロパンのビス
(メチルカーボネート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フエニル)−ブタンのビス(メチルカーボネート)、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−ヘキサンのビス
(メチルカーボネート)、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−
4−ヒドロキシフエニル−プロパンのビス(メチルカー
ボネート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−
ペンタンのビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフエニル)−ノナンのビス(メチルカ
ーボネート)、ジフエニル−ビス(4−ヒドロキシフエ
ニル)−メタンのビス(メチルカーボネート)、4−メ
チル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−ペンタ
ンのビス(メチルカーボネート)、4,4−ビス(4−ヒ
ドロキシフエニル)−ヘプタンのビス(メチルカーボネ
ート)、1−ナフチル−1,1−ビス(−ヒドロキシフエ
ニル)−エタンのビス(メチルカーボネート)、1−フ
エニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−エタ
ンのビス(メチルカーボネート)、2−シクロヘキシル
−4−(4−ヒドロキシフエニル)イソプロピルフエノ
ールのビス(メチルカーボネート)、2−メトキシ−4
−(4−ヒドロキシフエニル)イソプロピルフエノール
のビス(メチルカーボネート)、1,2−ビス(4−ヒド
ロキシフエニル)−エタンのビス(メチルカーボネー
ト)、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフエニ
ル)−プロパンのビス(メチルカーボネート)、2−イ
ソプロピル−4−(4−ヒドロキシフエニル)イソプロ
ピルフエノールのビス(メチルカーボネート)、2,2−
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフエニル)−プロパ
ンのビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(3−フ
ルオロ−4−ヒドロキシフエニル)−プロパンのビス
(メチルカーボネート)、1,10−ビス(4−ヒドロキシ
フエニル)−デカンのビス(メチルカーボネート)、ビ
ス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフエニル)−メタ
ンのビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(3,5−ジ
ブロモ−4−ヒドロキシフエニル)−プロパンのビス
(メチルカーボネート)、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−
4−ヒドロキシフエニル)−シクロヘキサンのビス(メ
チルカーボネート)、ビス(4−ヒドロキシフエニル)
スルフイドのビス(メチルカーボネート)、ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフエニル)スルフイドのビス
(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒドロキシフエニ
ル)スルホキシドのビス(メチルカーボネート)、ビス
(4−ヒドロキシフエニル)−スルホンのビス(メチル
カーボネート)、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフ
エニル)−スルホンのビス(メチルカーボネート)、エ
チレングリコール−ビス(4−ヒドロキシフエニル)エ
ーテルのビス(メチルカーボネート)、1,4−ビス(4
−ヒドロキシフエニル)−ブタンのビス(メチルカーボ
ネート)、1,4−ビス(4−ヒドロキシフエニルイソプ
ロピル)−ベンゼンのビス(メチルカーボネート)、1,
4−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフエニル)−ベ
ンゼンのビス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒド
ロキシフエニル)エーテルのビス(メチルカーボネー
ト)、1,4−ビス(4−ヒドロキシフエノキシ)−ベン
ゼンのビス(メチルカーボネート)、1,4−ビス(4−
ヒドロキシフエニルメチル)−ベンゼンのビス(メチル
カーボネート)、1,4−ビス(4−ヒドロキシフエニル
スルホニル)−ベンゼンのビス(メチルカーボネー
ト)、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニ
ル)−メタンのビス(メチルカーボネート)、ビス(3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)−スルフイド
のビス(メチルカーボネート)、3,3′,5,5′−テトラ
メチル−4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノンのビス
(メチルカーボネート)などがあげられる。
また、前記のビスメチル炭酸エステルのメチル基をエチ
ル基に代えたビスエチル炭酸エステル類、各種プロピル
基に代えたビスプロピル炭酸エステル類、各種ブチル基
に代えたビスブチル炭酸エステル類、各種アミル基に代
えたビスアミル炭酸エステル類、各種ヘキシル基に代え
たビスヘキシル炭酸エステル類、各種ヘプチル基に代え
たビスヘプチル炭酸エステル類、各種オクチル基に代え
たビスオクチル炭酸エステル類、各種ノニル基に代えた
ビスノニル炭酸エステル類、各種デシル基に代えたビス
デシル炭酸エステル類、シクロプロピル基に代えたビス
シクロプロピル炭酸エステル、シクロブチル基に代えた
ビスシクロブチル炭酸エステル、シクロペンチル基に代
えたビスシクロペンチル炭酸エステル、シクロヘキシル
基に代えたビスシクロヘキシル炭酸エステルなども用い
ることができる。
さらには、アルキル基が異なるジアルキル炭酸エステル
類、例えば前記のビスメチル炭酸エステル類において、
一方のメチル基をエチル基、各種プロピル基、各種ブチ
ル基、シクロヘキシル基などのメチル基以外の炭素数2
〜10のアルキル基又はシクロアルキル基で代えた非対称
のジアルキル炭酸エステル類も用いることができる。
これらのビスアルキル炭酸エステル類は、それぞれ単独
で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。また、これらのビスアルキル炭酸エステル類におい
て、芳香族ジヒドロキシ化合物の芳香族残基が異なる2
種以上のビスアルキル炭酸エステル類を用いる場合は、
これらの2種以上の骨格を有する共重合体である芳香族
コポリカーボネートが得られる。
本発明方法においては、予備重合工程で得られたプレポ
リマーを加熱結晶化させたのち、固相重合させるが、該
予備重合工程においては、芳香族ジヒドロキシ化合物の
ビスアルキル炭酸エステルを加熱下に処理することによ
つて、ジアルキルカーボネートを脱離させながら、プレ
ポリマーを調製する。この予備重合工程で製造されるプ
レポリマーの重量平均分子量は、1,000〜15,000が好ま
しく、より好ましくは2,000〜12,000の範囲である。こ
のプレポリマーの重量平均分子量が、1,000よりも小さ
いと固相重合の反応時間が長くなり好ましくなく、ま
た、15,000よりも大きくする必要もない。通常、この予
備重合反応は、溶融状態で実施されるのが好ましい。こ
のような分子量の範囲のプレポリマーは、その溶融粘度
がそれほど高くならないため、工業的に実施することは
容易である。
もちろん、この予備重合反応を実施する場合、反応に不
活性な溶媒、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,
2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベ
ンゼン、テトラヒドロフラン、ジフエニルメタンなどを
用いてもよいが、通常は無溶媒かつ溶融状態で実施され
る。
この予備重合工程を実施する際の反応温度及び反応時間
は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキ
ル炭酸エステルの種類や、必要に応じて用いられる触媒
の種類や量、得られるプレポリマーの必要重合度、ある
いは他の反応条件などによつて異なるが、通常50〜350
℃、好ましくは100〜320℃の温度範囲で、通常、1分〜
数十時間、好ましくは数分〜数時間の範囲で選ばれる。
また、この予備重合反応は、生成してくるジアルキルカ
ーボネートを反応系外に除去することによつてその速度
が高められるので、効果的なかきまぜを行うと同時に、
窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガ
スや低級炭化水素ガスなどを導入して、生成してくるジ
アルキルカーボネートをこれらのガスに同伴させて除去
する方法や、、減圧下に反応を行う方法、及びこれらを
併用した方法などが好ましく用いられる。
このような予備重合反応を実施する際、芳香族ヒドロキ
シ化合物が実質的に存在しないような条件下で行うこと
が好ましい。これは、芳香族ヒドロキシ化合物が多量に
存在すると、本発明のような芳香族ジヒドロキシ化合物
のビスアルキル炭酸エステルの自己重縮合反応の阻害因
子になつていることが判明したからである。この新しい
事実に基づく重縮合法による高分子量体の芳香族ポリカ
ーボネートの製造法については、別に出願した。もちろ
ん、比較的低分子量のプレポリマーを製造する場合に
は、このような芳香族ヒドロキシ化合物が、かなりの量
存在していてもよいが、比較的高分子量のプレポリマー
を製造する場合には、このような芳香族ヒドロキシ化合
物を実質的に存在させないで実施することが好ましい。
さらに、このような芳香族ヒドロキシ化合物が存在した
場合、生成するプレポリマーには、その末端がアルキル
カーボネート基だけでなく、ヒドロキシル基になつてい
るものが含まれ、このようなヒドロキシル基末端を有す
るプレポリマーは、次の工程での固相重合反応において
も重合速度が遅く、高分子量体の芳香族ポリカーボネー
トを得にくくする傾向がある。
該芳香族ヒドロキシ化合物が、芳香族ジヒドロキシ化合
物のビスアルキル炭酸エステル類を自己重縮合させる場
合に、どのような理由で重縮合を阻害しているかは、明
らかではないが、本発明方法によつて高分子量体の芳香
族ポリカーボネートを容易に製造するためには、予備重
合反応及び次の工程で実施される固相重合反応のいずれ
の反応段階においても、反応系中にこのような芳香族ヒ
ドロキシ化合物をできるだけ存在させないようにするこ
とが好ましい。
そのためには、このような芳香族ヒドロキシ化合物の存
在量ができるだけ少ない重縮合用原料を用いることと、
予備重合反応及び次の工程で実施される固相重合反応の
いずれの反応段階においても、このような芳香族ヒドロ
キシ化合物をできるだけ生成させないようにすることが
好ましい。すなわち水、アルコール類などの活性水素を
有する化合物は、反応条件下で芳香族ヒドロキシ化合物
を生成させる可能性があるので、このような活性水素を
有する化合物の存在量ができるだけ少ない重縮合用原料
を用いることと、反応中にこのような活性水素を有する
化合物が反応器中に入れないようにすることも好ましい
方法である。このように本発明の方法を実施するに当つ
ては、芳香族ヒドロキシ化合物の存在量ができるだけ少
なくするようにすることが好ましいが、通常、そのヒド
ロキシル基が、製造されるべき芳香族ポリカーボネート
の芳香族骨格単位(式(I)中の−Ar−)に対して、約
5モル%以下、好ましくは約2モル%以下、より好まし
くは約1モル%以下である状態で実施されるのが望まし
い。また、この予備重合工程で製造されるプレポリマー
の末端基は、大部分がアルキルカーボネート基 であることが好ましい。
前記予備重合反応において、重合速度を速めるために重
合触媒を使用することも好ましい方法である。このよう
な重合触媒としては、この分野で用いられている重縮合
触媒であれば特に制限はないが、周期律表のIIB,IIIB,I
VA,及びIVB族に属する金属元素やそれらの化合物が好ま
しく用いられる。触媒として用いられる金属の化合物と
しては、例えば、Zn(OAc)2,Zn(OBz)などの亜鉛の
カルボン酸塩、ZnF2,ZnCl2,ZnBr2,ZnI2などのハロゲン
化亜鉛、ZnCO3,Zn(NO32,ZnSO4,Zn3(PO4などの
亜鉛の無機酸塩、(NH4〔ZnCl4〕,〔(CH34N〕
〔ZnCl4〕,〔Zn(en)〕X2,〔Zn(en)〕X2などの
亜鉛の錯化合物、ZnO,ZnSなどの亜鉛の酸化物又は硫化
物、Zn(OH)などの亜鉛の水酸化物、(C2H52Zn,Ph
2Zn,C2H5ZnOC2H5,PhZnCl,PhZnOAc,C4H9ZnOAcなどの有機
亜鉛化合物、Zn(OC2H52,Zn(OPh)などの亜鉛のア
ルコキシド又はアリーロキシド、Zn(acac)2,Zn(oxi
n)などの亜鉛のキレート化合物,などの亜鉛の化合
物類;Cd(OAc)2,Cd(OBz)などのカドミウムのカル
ボン酸塩、CdF2,CdCl2,CdBr2などのハロゲン化カドミウ
ム、Cd(CO32,Cd(NO32,CdSO4,Cd3(PO4などの
カドミウムの無機酸塩、K〔CdCl3〕,〔Cd(en)〕X
2,K2〔Cd(CN)〕などのカドミウムの錯化合物、Cd
(OH)などのカドミウムの水酸化物、(C4H92CdPh2
Cd,PhCdCl,C4H9CdOAcなどの有機カドミウム化合物、Cd
(OC2H52,Cd(OPh)などのカドミウムのアルコキシ
ド又はアリーロキシド、Cd(acac)2,Cd(oxin)など
のカドミウムのキレート化合物,などのカドニウムの化
合物類;(CH3O)3B,(C2H5O)3B,(C4H9O)3B,(PhO)
3Bなどのホウ酸エステル類、LiBH4,NaBH4,KBH4などの金
属の水素化ホウ素化合物類、(CH34NBH4,(C4H94NB
H4,Ph4NBH4などの水素化ホウ素化合物類、(CH34NBPh
4,(C4H94NBPh4などのホウ素化合物類、H3BO3,HBO2,H
2B4O7などのホウ酸類、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウ
ムカリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸テトラアルキ
ルアンモニウム、ホウ酸テトラアリールアンモニウム、
ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなどのホウ酸塩類な
どのホウ素の化合物類;Al(OAc)3,Al(OBz)などの
アルミニウムのカルボン酸塩、AlCl3,AlBr3などのアル
ミニウムのハロゲン化物、Al2(CO33,Al(NO33,Al2
(SO4などのアルミニウムの無機酸塩、Na3〔Al
F6〕,(NH4〔AlF6〕などのアルミニウムの錯化合
物、AlNa(SO42,Al(NH4)(SO4などのミヨウバ
ン無水和物、Al2O3などのアルミニウムの酸化物、Al(O
H)などのアルミニウムの水酸化物、Ph3Alなどの有機
アルミニウム化合物、Al(OCH33, Al(OC3H7−i)3,Al(OPh)などのアルミニウムのア
ルコキシド又はアリーロキシド、Al(acac)3,Al(oxi
n)などのアルミニウムのキレート化合物,などのア
ルミニウムの化合物類;Ga(OAc)3,Ga(OBz),GaO(OA
c),Ga(OH)(OAc)などのガリウムのカルボン酸
塩、GaF3,GaCl3などのガリウムのハロゲン化物、Ga2(S
o4などのガリウムの無機酸塩、KGa(SO42,(N
H4)〔GaF6〕などのガリウムの錯化合物、Ga2O3などの
ガリウムの酸化物、Ga(OH3)などのガリウムの水酸化
物、(CH33Ga,Ph3Gaなどの有機ガリウム化合物、Ga
(OCH33,Ga(OPh)などのガリウムのアルコキシド
又はアリーロキシド、Ga(acac)などのガリウムのキ
レート化合物,などのガリウムの化合物類;In(OAc)
などのインジウムのカルボ酸塩、InF3,InCl3などのイン
ジウムのハロゲン化物、In2(CO33,In(NO3など
のインジウムの無機酸塩、In2O3などのインジウムの酸
化物、(C2H53In,Ph3In,Ph2InClなどの有機インジウ
ム化合物、In(acac)などのインジウムのキレート化
合物,などのインジウムの化合物類;Ge(OAc)4,Ge(OB
z)などのゲルマニウムのカルボン酸塩、GeF2,GeF4,G
eCl2,GeCl4などのゲルマニウムのハロゲン化物、GeO2
どのゲルマニウムの酸化物、Ge(OH)2,Ge(OH)など
のゲルマニウムの水酸化物、(C2H54Ge,Ph4Ge,(C
4H92GeX2,Ph3GeX,Ph2GeX2,〔(C4H92GeO〕n,〔Ph2G
eO〕nなどの有機ゲルマニウム化合物、Ge(OCH34,Ge
(OPh)などのゲルマニウムのアルコキシド又はアリ
ーロキシド、Ge(acac)2Cl2などのゲルマニウムのキレ
ート化合物、K〔GeFe3〕,(NH4〔GeCl6〕などの
ゲルマニウムの錯化合物,などのゲルマニウムの化合物
類;Sn(OAc)2,Sn(OAc)4,Sn(OBz)2,Sn(OBz)
どのスズのカルボン酸塩、SnCl2,SnCl4,SnBr4などのス
ズのハロゲン化物、(C4H92SnCl2,(C4H93SnClなど
の有機スズハライド、(C2H54Sn,Ph4Snなどの有機ス
ズ化合物、(C4H92SnO,〔(C4H92SnO〕n,〔(C
8H172SnO〕n,〔(C4H9)PhSnO〕nなどの有機スズオ
キシド、(C4H92Sn(OAc)2,ジブチルスズラウレート
などの有機スズのカルボン酸塩、SnO,SnO2などのスズの
酸化物、Sn(OH)2,Sn(OH)などのスズの水酸化物、
Sn(OCH32,Sn(OCH)3,Sn(OC4H94,Sn(OPh)2,Sn
(OPh)4, (C4H92Sn(OCH3などのスズ及び有機スズのアル
コキシド又はアリーロキシド、SnSO4などのスズの無機
酸塩、Na〔SnF3〕,〔(C2H54N〕〔SnCl3〕,Ca〔Sn
(OAc)などのスズの錯化合物、SnCl2(acac)
などのスズのキレート化合物,などのスズの化合物類;P
b(OAc)2,Pb(OAc)4,Pb(OBz)などの鉛のカルボン
酸塩、PbCl2,PbCl4,PbBr2などの鉛のハロゲン化物、PbC
O3,2PbCO3・Pb(OH)2,PbSO4,Pb(SO42,Pb(NO3
などの鉛の無機酸塩、K2〔PbCl6〕,Na2〔Pb(OH)
などの鉛の錯化合物、PbO,PbO2,Pb3O4などの鉛の酸化
物,Pb(OH)などの鉛の水酸化物、(C4H94Pb,Ph4P
b,(O2H53PbCl,Ph3PbCl,(C2H52PbCl2,(C2H53Pb
(OAc)などの有機鉛化合物、Pb(OCH34,Pb(OPh)4,
(C4H92Pb(OPh)などの鉛及び有機鉛のアルコキシ
ド又はアリーロキシド,などの鉛の化合物類;Ti(OC
H34,Ti(OC4H94,Ti(OPh)などのチタンのアルコ
キシド又はアリーロキシド、TiCl2,TiCl4,TiF4,TiBr2
どのチタンのハロゲ化物、Ti(NO34,Ti2(SO4
どのチタンの無機酸塩、K2〔TiF6〕,(NH4〔TiC
l6〕などのチタンの錯化合物、TiO,TiO2などのチタンの
酸化物、(PhCH23TiCl,(PhCH22Ti(OC2H52,Ti
(π‐C5H52,TiCl2(π‐C5H52,Ti(CH3・(π
‐C5H5などの有機チタン化合物、TiO(acac)
どのチタンのキレート化合物,などのチタンの化合物
類;Zr(OAc)4,Zr(OBz)などのジルコニウムのカル
ボン酸塩、ZrF4,ZrCl4,ZrBr4などのジウコニウムのハロ
ゲン化物、Zr(SO42,Zr(NO32Oなどのジルコニウム
の無機酸塩、K2〔ZrF6〕,〔(C2H52NH2〔ZrC
l6〕,〔ZrCl4(CH3CN)〕などのジルコニウムの錯化
合物、ZrO2などのジルコニウムの酸化物、Zr(OC
4H94,Zr(OPh)などのジルコニウムのアルコキシド
又はアリーロキシド、ZrCl(CH2Ph)3,Zr(C4H94,ZrC
l2(CH32,〔ZrCl(π‐C5H52O,ZrCl2(π‐C5H
5),Zr(OAc)(π‐C5H5),ZrH2(π‐C5H5など
の有機ジルコニウム化合物、Zr(acac)などのジルコ
ニウムのキレート化合物,などのジルコニウムの化合物
類などが挙げられる(ここで、Acはアセチル基を、Bzは
ベンゾイル基を、enはエチレンジアミンを、Phはフエニ
ル基を、acacはアセチルアセトンを、oxinは8−キノリ
ノールを、π‐C5H5はπ配位したシクロペンタジエニル
基を、またXはハロゲン、アルコキシ基、アリーロキシ
基を表わす)。
これらの触媒は1種用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。また、これらの触媒の使用量は、
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エ
ステルに対して、通常0.00001〜10重量%、好ましくは
約0.00005〜5重量%の範囲で選ばれる。さらに、これ
らの触媒の中で、特に、Zn,Al,Sn,Ti及びそれらの化合
物が好ましく用いられる。
このような予備重合工程を実施することによつて、芳香
族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステルか
ら、重量平均分子量が1,000〜15,000のプレポリマーが
容易に得られる。
該予備重合反応の好ましい実施態様においては、溶媒を
用いないで溶融状態で行なわれるが、このようにして得
られたプレポリマーを室温付近までそのまま冷却したも
のは、一般的に結晶化度の低い結晶質状態のものが多
い。しかし、次の固相重合工程においては、固相を保て
るかぎり、できるだけ高温度で反応を実施することが反
応速度を高める上で好ましく、したがつて、該プレポリ
マーの結晶化度を高めておくことは、その融点までの温
度で固相重合反応を実施しうる点から、特に好ましい。
このようなプレポリマーの結晶化度を高める容易な方法
として溶媒処理法を先に提案したが、本発明において
は、より容易な加熱結晶化法が用いられる。
この加熱結晶法においては、該プレポリマーを、目的と
する芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上で、
かつ該プレポリマーが溶融し始める温度未満の範囲の温
度において加熱することによつて、結晶化させたり、あ
るいはその結晶化度が高められる。このような方法は、
単にプレポリマーを加熱下で保持するのみで、結晶化さ
せたり、あるいはその結晶化度を高めることができるの
で、極めて容易に工業的に実施しうる。このような簡単
な方法によつて、アルキルカーボネート末端基を有する
プレポリマーの溶融温度が高められることは、これまで
全く知られておらず、予想外のことであつた。
この加熱結晶化を行う温度Tc(℃)については、前記し
たように、目的とする芳香族ポリカーボネートのガラス
転移温度以上で、かつ該プレポリマーの溶融温度Tm
(℃)未満の範囲であればよく特に制限はないが、低い
温度ではプレポリマーの結晶化速度が遅いので、特に好
ましい加熱結晶化温度Tc(℃)は、式 Tm−50≦Tc<Tm ………(III) で示される範囲で選ばれる。
このプレポリマーの加熱結晶化は、前記範囲におけるあ
る温度を一定に保持して実施してもよいし、温度を連続
的又は不連続的に変化させながら実施してもよく、ま
た、これらを組み合わせた方法で実施することもでき
る。温度を変化させながら実施する方法としては、加熱
結晶化の進行に伴つて、一般にプレポリマーの溶融温度
が上昇していくので、この上昇速度と同じような速度で
温度を上昇させながら加熱結晶化させる方法が特に好ま
しい。
このように温度を変化させながら加熱結晶化させる方法
は、一定の温度下での加熱結晶化法に比べて、プレポリ
マーの結晶化速度が速く、かつその溶融温度をより高め
ることができる。
このようにして、加熱結晶化処理されたプレポリマー
が、処理前のプレポリマーに比べて結晶化度が高められ
ていることは、X線回折によつて確認することができ
る。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフエ
ノールAを用いたビスメチル炭酸エステルの予備重合に
よつて得られたプレポリマーは非晶性であつてX線回折
パターンには結晶性を示すピークは認められないが、加
熱結晶化処理後のプレポリマーのX線回折パターンに
は、2θ=約17度を主ピークとする結晶性パターンが出
現しており、結晶化度の増加に伴い、それらのピークの
強度が増大している。
このように、加熱結晶化工程によつて、プレポリマーは
結晶化したり、あるいはさらに結晶化度が高められる。
この工程におけるプレポリマーの結晶化の度合は、原料
として用いる芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル
炭酸エステルの種類や、プレポリマーの重合度や、加熱
温度、加熱速度などの加熱結晶化条件などによつて異な
るが、そのプレポリマーを最も高結晶化させた場合を基
準にして、通常この基準値に対して5%以上、好ましく
は10%以上である。このような結晶化の度合はプレポリ
マーのX線回折から求めることができる。
このようにして得られた結晶化したプレポリマーや結晶
化度の高められたプレポリマーを、その溶融温度より低
い温度で固相状態に保ちながら固相縮合させることによ
つて、容易に高分子量の芳香族ポリカーボネートにする
ことができる。
この固相重合工程においては、プレポリマーのアルキル
カーボネート末端基がジアルキルカーボネートの脱離を
伴いながら自己縮合することによつて、重合度が上昇し
ているものと考えられる。したがつて、副生するジアル
キルカーボネートなどの低沸点成分を系外に抜き出すこ
とによつて、その反応が促進される。そのためには、窒
素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガス
や、低級炭化水素ガスなどを導入して、ジアルキルカー
ボネートをこれらのガスに同伴させて除去する方法や、
減圧下に反応を行う方法、及びこれらを併用した方法な
どが好ましく用いられる。また、同伴用のガスを導入す
る場合には、これらのガスを、反応温度付近の温度に加
熱しておくことが好ましい。
この固相重合反応を実施する場合のプレポリマーの形状
については特に制限はないが、大きな塊状のものは反応
速度が遅くかつ取扱いが面倒であるなどの点から好まし
くなく、ペレツト状、ビーズ状、顆粒状、粉末状などの
形状のものが好適である。また、加熱結晶化後の固体状
のプレポリマーを適当な大きさに破砕したものも好まし
く用いられる。
該固相重合反応を実施する際の反応温度Tp(℃)及び反
応時間については、プレポリマーの種類(化学構造、分
子量など)や形状、プレポリマー中の触媒の有無や種類
や量、必要に応じて追加される触媒の種類や量、プレポ
リマーの結晶化の度合や溶融温度Tm(℃)の違い、目的
とする芳香族ポリカーボネートの必要重合度、あるいは
他の反応などによつて異なるが、通常目的とする芳香族
ポリカーボネートのガラス転移温度以上で、かつ固相重
合中のプレポリマーが溶融しないで固相状態を保つ範囲
の温度、好ましくは、式 Tm−50≦Tp<Tm ………(IV) で示される範囲の温度において、数分ないし数十時間、
好ましくは0.1〜50時間程度加熱することにより、固相
重合反応が行われる。
このような温度範囲としては、例えばビスフエノールA
のポリカーボネートを製造する場合には、約150〜約260
℃が好ましい。
該固相重合反応は触媒なしでも進行させることができる
が、反応速度を高める目的で触媒を使用することもでき
る。前記予備重合工程で触媒を使用したならば、通常、
生成するプレポリマー中に触媒が残存するので、新たに
触媒を加える必要もないが、何らかの理由で触媒が除去
されたり、活性が低下している場合もあるので、その際
には必要に応じて、適当な触媒を加えることもできる。
この場合、液状又は気相状態にした触媒成分をプレポリ
マーに加えることも好ましい方法である。このような触
媒成分としては、予備重合工程で用いることのできる前
記のようなものを挙げることができる。
このような固相重合工程を実施することによつて、プレ
ポリマーの重合度を上げることができる。一般的に工業
的に有用な芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量
は、6,000〜100,000程度であり、好ましくは10,000〜5
0,000程度、より好ましくは15,000〜40,000程度である
が、本発明のプレポリマーの固相重合法によつて、この
ような重合度のポリカーボネートが容易に得られる。
本発明方法を実施するにおいては、このようにプレポリ
マーの加熱結晶化を行い、この結晶化プレポリマーをそ
のまま固相重縮合させる方法でもよいし、加熱結晶化工
程では、プレポリマーの結晶化の度合を比較的低く抑え
た結晶化プレポリマー(前記の結晶化の度合を示す基準
値に対して、例えば5〜25%程度の結晶化の度合)を調
製し、このプレポリマーの結晶化度を向上させながら、
固相重縮合を行うことも好ましい方法である。後者の方
法によれば、加熱による結晶化度の向上及び溶融温度の
向上を伴ないながら、プレポリマーのアルキルカーボネ
ート末端基がジアルキルカーボネートを脱離させながら
固相で自己縮合して重合度が上昇しているものと考えら
れる。
結晶化プレポリマーの結晶化度を向上させながら固相重
縮合を行う場合、その温度は、目的とする芳香族ポリカ
ーボネートのガラス転移温度以上で、かつ該プレポリマ
ーの溶融温度より低い範囲の温度であればよく、特に制
限はないが、好ましくは、前記式(M)で表わされる範
囲で選ばれる。
プレポリマーの加熱により結晶化を増進させながら固相
重合を行う場合、前記範囲内のある温度に一定に保つて
実施してもよいし、温度を連続的に又は不連続的に変化
させながら実施してもよく、またこれらを組み合わせた
方法で実施することもできる。温度を変化させながら実
施する方法としては、加熱による結晶化増進に伴うプレ
ポリマーの溶融温度の上昇に従つて、加熱温度を上昇さ
せながら、結晶化増進と固相重合を行う方法が特に好ま
しい。この場合、プレポリマーが、目的とする芳香族ポ
リカーボネートの所定の重合度に達するまでの固相重合
速度が、加熱結晶化に伴う固相重合途中のプレポリマー
の溶融温度の上昇速度に比べて小さくなければ、プレポ
リマーを溶融させないようにしながら加熱温度を上昇さ
せるだけで、所定の重合度の芳香族ポリカーボネートが
得られる。一方、固相重合速度が溶融温度の上昇速度に
比べて小さい場合は、重合途中のプレポリマーの溶融温
度が上限を有していることもあつて、この溶融温度が上
限に達するまでは、加熱温度を上昇させながら行い、上
限に達したならば、溶融させないようなできるだけ高い
温度で固相重合を続けることが好ましい。
加熱によつてプレポリマーの結晶化を増進させながら固
相重合を行う場合の温度範囲は前記のとおりであるが、
例えばビスフエノールAのポリカーボネートを製造する
場合には、約150〜約260℃の範囲が好ましい。
加熱によつて結晶化を増進させながら固相重合を行う場
合のプレポリマーの形状についても特に制限はないが、
大きな塊状のものは、固相重合の反応速度が遅く、か
つ、取扱いが面倒であるなどの点から好ましくなく、ペ
レツト状、ビーズ状、顆粒状、粉末状などの形状のもの
が好適である。また加熱結晶化後の固体状のプレポリマ
ーを適当な大きさに破砕したものも好ましく用いられ
る。
加熱によつて結晶化を増進させながら固相重合を実施す
る際の反応時間についても、プレポリマーの種類(化学
構造、分子量など)や形状、プレポリマー中の触媒の有
無や量、必要に応じて追加される触媒の種類や量、目的
とする芳香族ポリカーボネートの必要重合度、加熱温度
及び加熱方法、あるいは他の反応条件などによつて異な
るが、通常、数分ないし数十時間、好ましくは0.1〜50
時間程度である。
本発明におけるプレポリマーの加熱結晶化及び固相重合
は、少量の溶媒の存在下に実施してもよいが、実質的に
溶媒の不存在下に行うことがより好ましい。
このように本発明方法では、予備重合工程、加熱結晶化
及び固相重合工程のいずれにおいても溶媒を使用しない
ことが好ましい。溶媒を使用しないことは工業的に有利
である。
本発明を実施するに当つて、使用される反応装置の形式
は、予備重合、加熱結晶化及び固相重合のいずれの工程
においても、回分式、流通式、及びこれらを併用した方
式のものなど、いずれの方法のものであつてもよい。
また予備重合工程では低分子量のプレポリマーを製造す
るだけであるので、いわゆるエステル交換法などの高温
溶融重合で必要とされるような高粘度流体用の高価な反
応装置は不要である。さらに、加熱結晶化工程ではプレ
ポリマーを単に加熱できればよいし、固相重合工程で
は、実質的にプレポリマーを加熱でき、副生するジアル
キルカーボネートを除去できるような装置であれば重合
が可能である。
このように本発明方法は特別な工夫を要しない簡単な装
置で実施することができ、工業的に非常に有利である。
また、本発明方法では、芳香族ポリカーボネートの分子
量分布が小さいものから、大きいものまで比較的自由に
製造できる。これは、例えば分子量分布の小さいプレポ
リマーを用いれば、分子量分布の小さい芳香族ポリカー
ボネートが得られ、分子量分布の広いプレポリマーを用
いれば分子量分布の広い芳香族ポリカーボネートが得ら
れるからである。このことは本発明の大きな特徴の1つ
である。分子量分布を表わす尺度としては通常、重量平
均分子量(MW)と数平均分子量(MN)との比MW/MNの値
が用いられており、縮合系ポリマーの場合、この値が2
のときが理論的に最も小さい分子量分布とされている。
分子量分布の小さいポリマーは優れた特徴を持つことは
予測されているが、実際的にはMW/MNの値が2.5以下、特
に2.4以下のポリマーを製造することは困難である。既
存の方法で得られる芳香族ポリカーボネート、例えばビ
スフエノールAのポリカーボネートの場合、エステル交
換法では通常、MW/MN>2.6であり、ホスゲン法でも、こ
の値は2.4〜3.5であり、通常は2.5〜3.2の範囲である。
これに対し、本発明方法では、MW/MN=2.2〜2.5の芳香
族ポリカーボネートが容易に得られる。このことは、プ
レポリマーのように比較的低分子量体では、分子量分布
の小さいものが容易に得られることに起因していると考
えられる。
発明の効果 芳香族ポリカーボネートの既存の工業的製法であるホス
ゲン法においては、塩化ナトリウムなどの電解質や塩素
を含む副生物が生成し、これらの不純物が必然的に樹脂
中に含まれている。また、溶媒として大量に用いている
塩化メチレンなどの含塩素化合物も樹脂中に残存してい
る。これらの不純物は樹脂物性に悪影響を及ぼすので、
ホスゲン法においては樹脂中のこれらの含有量を低下さ
せるために、複雑で費用のかかる洗浄や除去工程を実施
しているが、これらの不純物を完全に除去することは可
能である。
これに対して、本発明方法で得られる芳香族ポリカーボ
ネートには、このような不純物は全く存在しないので、
品質的に優れているだけでなく、当然のことながら、こ
れらを分離する面倒な工程が不要であるため、本発明方
法は工業的に有利である。
また、いわゆるエステル交換反応や芳香族ジヒドロキシ
化合物のビスアリール炭酸エステルの自己重縮合反応の
場合には、反応活性を有し、かつ高沸点のフエノール類
やジアリールカーボネートを高温、高真空下で除去しな
ければならないが、これに対し、本発明方法は、副生物
が反応活性の低い中性、かつ低沸点の低級ジアルキルカ
ーボネートであるので、この副生物を反応系外に容易に
除去しうる点からも、工業的に極めて有利である。
さらに、いわゆるエステル交換法では300℃付近の高温
下で、高粘度物を1mmHg以下の高真空下で長時間反応さ
せる必要があるため、ポリマーの熱分解や微量の酸素の
ために、生成するポリカーボネートが着色しやすいとい
う欠点があつたが、本発明方法では着色のない優れたポ
リマーが得られる。
実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明はこれらの例によつてなんら限定されるものではな
い。
なお、分子量はGPCで測定した重量平均分子量(MW)の
値で示した。また、予備重合反応装置、加熱結晶化及び
固相重合反応装置のいずれも、脱酸素及び乾燥に十分留
意し、かつ反応中に酸素や水などの混入をできるだけ少
なくするように工夫したものを用いた。
また、原料中の芳香族ヒドロキシ化合物の存在量は、い
ずれの場合も0.1モル%以下であり、加熱結晶化直後の
プレポリマーの結晶化の度合は、いずれの場合も前記の
基準に対して10%以上であつた。
実施例1 かきまぜ装置、温度計、ガス導入口及びガス留出口付の
フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プ
ロパン(以下、ビスフエノールAという)のビスメチル
炭酸エステル(芳香族ヒドロキシ化合物の存在量は0.1
モル%以下で、よく乾燥されたもの)300g、酢酸亜鉛6m
gを入れ、乾燥窒素ガス60Nl/hrを導入しながら、280℃
でかきまぜながら反応させることによつて予備重合を行
つた。この際、副生してくるジメチルカーボネートは冷
却トラツプで捕集した。8時間後、得られた無色透明の
プレポリマーを180℃で2時間静置する方法で加熱結晶
化させることによつて、白色不透明の結晶性プレポリマ
ーが得られた。このプレポリマーの重量平均分子量
(MW)は4,800で数平均分子量(MN)は2,700であつた。
予備重合直後の非晶性プレポリマーのX線回折パターン
を第1図に、加熱結晶化後のプレポリマーのX線回折パ
ターンを第2図に示す。第2図においては、第1図では
見られない2θ=約17度のところに結晶性を示すピーク
が観察される。
予備重合直後のプレポリマーは200℃でも溶融したが、
この結晶性プレポリマーは220℃で一部溶融する程度で
あつた。
この結晶性プレポリマーを粉砕し、その200gをジヤケツ
ト付ガラス管製の固相重合装置に入れた。この固相重合
反応装置は下部より加熱ガスを導入できるものであり、
上部にはガス出口が設けられてあり、ジヤケツトには熱
媒が流されている。導入ガス(乾燥窒素、100Nl/hr)及
び熱媒の温度を210℃から240℃まで5℃/hrで昇温し、
次いで240℃で30時間保持することによつて、加熱結晶
化と固相重合を行つた。240℃に達した段階でのプレポ
リマーは、その結晶化度がさらに高められていることは
第3図に示す2θ=約17度のピークが強くなつてきてい
ることから確認された。また、この昇温加熱後のプレポ
リマーは240℃でも溶融しなかつた。
このようにして得られたビスフエノールAのポリカーボ
ネートは、MW=25,000,MN=11,000であり、MW/MN=2.27
であり、板状に溶融成形したものは無色透明であつた。
実施例2 実施例1で用いたのと同じビスフエノールAのビスメチ
ル炭酸エステル300g、酢酸スズ3mgを用い、実施例1と
同様な方法で予備重合を行いMW=5,400の非晶性プレポ
リマーを得た。このプレポリマーを粉砕し、実施例1で
用いたのと同様な固相重合装置に入れ、180℃で1時
間、180〜240℃まで10℃/hrの昇温を行う以外は、実施
例1と同様な方法で加熱結晶化と固相重合を行つた結
果、MW=228,000,MN=12,000,MW/MN=2.33のビスフエノ
ールAのポリカーボネートが得られた。
実施例3 ビスフエノールAのビスエチル炭酸エステル370g、ジブ
チルスズジメトキシド50mgを用い、50mmHgの減圧下、28
0℃で4時間予備重合を行い、MW=7000の非晶性プレポ
リマーを得た。このプレポリマーを180℃で2時間保持
し、結晶化させ、次いで粉砕した。実施例1で用いたの
と同様な固相重合装置(ただし、かきまぜ装置付)を用
い、かきまぜ、乾燥加熱窒素20Nl/hrを導入しながら、
加熱による結晶化の増進と固相重合を行つた。導入ガス
及び熱媒の温度を210〜245℃まで5℃/hrで昇温し、次
いで245℃で18時間保持した結果、MW=33,000のビスフ
エノールAのポリカーボネートを得た。
実施例4 実施例1で用いたのと同じビスフエノールAのビスメチ
ル炭酸エステル300g、ジフエニルスズジメトキシド0.1g
を用い240℃,50mmHgで1時間、250℃,20mmHgで3時間か
きまぜながら反応させることによつて、MW=5,500の非
晶性のプレポリマーを得た。このプレポリマーを180℃
で2時間保持し結晶化させたのち、粉砕し、実施例3で
用いたのと同様な固相重合装置に入れた。かきまぜなが
ら、200mmHgの減圧下、乾燥加熱窒素を少量ずつ導入す
ることによつて、加熱による結晶化の増進と固相重合を
行つた。導入ガス及び熱媒の温度を210〜245℃まで5℃
/hrで昇温し、次いで245℃で15時間保持した結果、MW
31,000のビスフエノールAのポリカーボネートが得られ
た。またMW/MN=2.4であつた。
実施例5〜11 ビスフエノールAのビスメチル炭酸エステルの代りに種
々の芳香族ジヒドロキシ化合物のビスメチル炭酸エステ
ル(300g)を用いた以外は、実施例3と全く同様な方法
により加熱結晶化及び固相重合を行つた結果を第1表に
示す。
実施例12〜17 実施例1で用いたのと同じビスフエノールAのビスメチ
ル炭酸エステル34.4g、各種触媒を用いて実施例1と同
様な方法によつて、予備重合(280℃,4時間)、加熱結
晶化及び固相重合を行つた結果を第2表に示す。ただ
し、180℃で2時間静置後、結晶化したプレポリマーを
粉砕し、固相重合装置に入れ、乾燥加熱窒素を10Nl/hr
で導入することによつて、加熱結晶化と固相重合を行つ
た。加熱温度は210〜240℃まで5℃/hrで昇温したの
ち、240℃で20時間保持された。
実施例18 ビスフエノールAのビスシクロヘキシル炭酸エステル48
g、酢酸スズ15mgを用い、280℃、50mmHgの条件でかきま
ぜながら4時間反応させた結果、MW=9,000の非晶性の
プレポリマーが得られた。これを180℃で4時間静置す
ることで加熱結晶化を行い、次いで粉砕した結晶性プレ
ポリマーを内径20mmφのステンレス製管から成るジヤケ
ツト付固相重合装置に入れ、下部から210〜215℃に加熱
した乾燥窒素を20Nl/hrで導入した。またジヤケツトに
も210〜215℃に加熱した熱媒を循環させた。5時間後、
窒素及び熱媒の温度を225〜230℃にあげ5時間、次いで
240〜245℃で5時間、加熱結晶化及び固相重合を行つた
結果、MW=30,000のビスフエノールAのポリカーボネー
トが得られた。
実施例19 ビスフエノールAのビスメチル炭酸エステル17.2g、4,
4′−ジヒドロキシジフエニルケトンのビスメチル炭酸
エステル16.5g、ジフエニルスズジメトキシド10mgを用
いて、実施例18と同様な方法により、予備重合を行つた
結果、MW=5,700のプレポリマーが得られた。このプレ
ポリマーの加熱結晶化及び固相重合を実施例18の方法と
同様な方法で行つた結果、MWが30,000で、次の(A)及
び(B)の2つの単位をほぼ1対1で含有するランダム
コポリカーボネートが得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図及び第3図は、それぞれ本発明の実施例
の各段階におけるプレポリマーの結晶化度を示すX線回
折パターンである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中のR1及びR2は炭素数1〜10のアルキル基又はシク
    ロアルキル基であり、それらは同一であつてもよいし、
    たがいに異なつていてもよく、Arは2価の芳香族基であ
    る) で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル
    炭酸エステルを自己重縮合させて、芳香族ポリカーボネ
    ートを製造するに当り、 (a) 該芳香族ヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸
    エステルを加熱下に、溶融状態で予備重合し、プレポリ
    マーを調製する予備重合工程, (b) 該プレポリマーを加熱下に結晶化させる加熱結
    晶化工程、及び (c) (b)工程で得られた結晶化プレポリマーを、
    さらに重合度を上げるために固相重合させる固相重合工
    程 を順次実施することを特徴とする芳香族ポリカーボネー
    トの製法。
  2. 【請求項2】加熱結晶化前のプレポリマーの重量平均分
    子量が1,000〜15,000である特許請求の範囲第1項記載
    の製法。
  3. 【請求項3】加熱結晶化前のプレポリマーの重量平均分
    子量が2,000〜12,000である特許請求の範囲第2項記載
    の製法。
  4. 【請求項4】(b)工程において、加熱結晶化温度Tc
    (℃)を、プレポリマーの溶融温度Tm(℃)との間に、
    式 Tm−50≦Tc<Tm の関係を保ちながら結晶化させる特許請求の範囲第1項
    ないし第3項のいずれかに記載の製法。
  5. 【請求項5】(c)工程において、結晶化プレポリマー
    の結晶化度を向上させながら固相重合を行う特許請求の
    範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の製法。
  6. 【請求項6】(c)工程において、固相重合温度Tp
    (℃)を、プレポリマーの溶融温度Tm(℃)との間に、
    式 Tm−50≦Tp<Tm の関係を保ちながら固相重合させる特許請求の範囲第1
    項ないし第5項のいずれかに記載の製法。
  7. 【請求項7】プレポリマーの溶融温度の上昇に伴つて、
    加熱温度を上昇させながら実施する特許請求の範囲第4
    項又は第6項記載の製法。
  8. 【請求項8】実質上溶媒の不存在下に実施する特許請求
    の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の製法。
  9. 【請求項9】一般式(I)におけるR1及びR2がメチル基
    又はエチル基である特許請求の範囲第1項ないし第8項
    のいずれかに記載の製法。
  10. 【請求項10】芳香族ジヒドロキシ化合物が2,2−ビス
    (4−ヒドロキシフエニル)プロパンである特許請求の
    範囲第1項ないし第9項のいずれかに記載の製法。
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