JP3208210B2 - 結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリカーボネー
トの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱
性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプ
ラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いら
れている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法につ
いては、従来種々の研究が行われ、その中で、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物、例えば2,2ービス(4ーヒドロキ
シフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAとい
う)とホスゲンとの界面重縮合法が工業化されている。
【0003】しかしながら、この界面重縮合法において
は、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生
する塩化水素や塩化ナトリウム、及び溶媒として大量に
用いる塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐
食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリ
ウムなどの不純物や残留塩化メチレンの分離が困難なこ
となどの問題があった。
【0004】一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリ
ールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製
造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフ
ェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換する溶融
法が以前から知られている。溶融法は、界面重縮合法と
異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、高温
高真空下で反応させなければならない事から、生成する
ポリカーボネートのカラーが悪く、分岐しやすく、ま
た、高分子量がつくりにくいという問題を有している。
【0005】本発明者らは、塩素化合物などを全く含ま
ない高品質の芳香族ポリカーボネートが、固相重合によ
って製造できる新しい方法を見いだし、先に特許出願し
た(特開平1−158033号公報)。この方法は、末
端ヒドロキシル基と末端アリールカーボネート基を有す
る実質的に非晶状態のポリカーボネートプレポリマーを
結晶化させ、ついで、この結晶ポリカーボネートプレ
ポリマーを固相重合させるものである。
【0006】結晶ポリカーボネートプレポリマー中の
末端ヒドロキシル基と末端アリールカーボネート基の割
合は、固相重合速度や、固相重合で得られる芳香族ポリ
カーボネートの品質をコントロールする上で非常に重要
である。例えば、末端ヒドロキシル基の少ないエンジニ
アリングプラスチックとして好適な芳香族ポリカーボネ
ートを得るためには、結晶ポリカーボネートプレポリ
マー中の末端ヒドロキシル基の割合(OH%)が50%
より少ないことが必要である。しかしながら、結晶
リカーボネートプレポリマーのOH%が少なすぎる場合
には、固相重合に非常に長い時間を要したり、実質的に
分子量が頭打ちになったりする。
【0007】また、特に、非常に分子量の高い重合体を
合成するためには、結晶ポリカーボネートプレポリマ
ーのOH%は、できるだけ50%に近いことが好まし
い。一方、両末端が実質的にヒドロキシル末端になって
いるポリマーは、反応性ポリマーとして好適であるが、
この場合は固相重合により所定の数平均分子量に達した
とき、実質的に両末端がヒドロキシル基となるよう、結
ポリカーボネートプレポリマーのOH%を60%以
上にコントロールしなければならない。
【0008】プレポリマー中のOH%をコントロールす
る方法として、本出願人は、ジヒドロキシジアリール化
合物と、ジアリールカーボネートを溶融下で反応させて
芳香族ポリカーボネートを製造する際、OH%が所望の
値となるように、所定量のジヒドロキシジアリール化合
物またはジアリールカーボネートを追加する方法を先に
開示した(特開平3ー252421号公報)。
【0009】また、特開平4ー285632号公報に
は、両末端がヒドロキシル基のポリカーボネートオリゴ
マーとジアリールカーボネートの混合物、または、両末
端がアリールカーボネート基のポリカーボネートオリゴ
マーとジヒドロキシジアリール化合物の混合物などを、
結晶化して所望のOH%の結晶ポリカーボネートオリ
ゴマーを得、しかるのち固相重合する方法が開示されて
いる。この方法では、両末端がヒドロキシル基だけ、ま
たはアリールカーボネート基だけの特殊なオリゴマーが
必要である。また、結晶化する方法として、(1)オリ
ゴマーの混合物の溶液の濃縮、(2)せん断による結晶
化、(3)結晶化した物質によるドーピング、(4)沈
澱材による沈澱などが開示されている。混合物の溶液か
ら結晶化させる(1)、(3)、(4)などの方法は、
製造したオリゴマーをわざわざ溶解する工程が必要な
上、オリゴマーを溶解するような溶媒は、一般に乾燥の
際完全に留去するのが困難であるというデメリットがあ
る。また、混合物を溶融下で結晶化させる(2)のよう
な方法では、固相重合に有利な固相重合速度の大きいプ
レポリマーを製造することは困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、結晶ポリ
カーボネートプレポリマーのOH%を容易に制御する方
法を提供し、かつ得られたプレポリマーを用いて、所望
の高品質の芳香族ポリカーボネートを有利に固相重合す
る方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、末端ヒド
ロキシル基の割合(OH%)を制御した結晶ポリカー
ボネートプレポリマー、及びそれを用いた芳香族ポリカ
ーボネートの製法について鋭意検討を進めた結果、結晶
芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する際に
結晶化溶媒の中にジヒドロキシジアリール化合物、また
はジアリールカーボネートを含有させる事によって、容
易にその目的を達成できる事を見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0012】すなわち本発明は、 (1) 非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマ
ーを、該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマ
ー1モルに対して0.001〜1.5モルのジヒドロキ
シジアリール化合物と結晶化溶媒からなる溶液、または
該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマー1モ
ルに対して0.001〜1.5モルのジアリールカーボ
ネートと結晶化溶媒からなる溶液で処理することを特徴
とする、結晶芳香族ポリカーボネートプレポリマーの
製造方法、 (2) 非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマ
ーを、該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマ
ー1モルに対して0.001〜1.5モルのジヒドロキ
シジアリール化合物と結晶化溶媒からなる溶液、または
該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマー1モ
ルに対して0.001〜1.5モルのジアリールカーボ
ネートと結晶化溶媒からなる溶液で処理することにより
結晶化芳香族ポリカーボネートプレポリマーを得、次い
で該結晶芳香族ポリカーボネートプレポリマーを固相
重合することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製
造方法を提供するものである。
【0013】本発明の方法によれば、任意のOH%を有
する非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマーか
ら、所望のOH%を有する結晶芳香族ポリカーボネー
トプレポリマーを結晶化と同時に容易に製造することが
可能である。以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で用いられる非晶状態の芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーは、通常、下記化1で示される繰り返し単位
からなっており、その末端基は、通常、芳香族基に直結
したヒドロキシル基(−OH)と、下記化2のアリール
カーボネート基からなっている。
【0014】
【化1】
【0015】(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)
【0016】
【化2】
【0017】(式中、Ar1 は1価の芳香族基を表
す。)本発明のプレポリマーにおいて、ArおよびAr
1 は単一種類のものからなるものであっても良いし、2
種類以上のものからなるものであっても良い。プレポリ
マー中の末端基の存在比率は、プレポリマーの数平均分
子量などによって変化するが、下記数1で表される末端
ヒドロキシル基の割合(OH%)は、通常、5〜95%
の範囲であり、好ましくは10〜90%の範囲である。
【0018】
【数1】
【0019】2価の芳香族基Arは、好ましくは例え
ば、式(1)で示される2価の芳香族基である。 −Ar2 −Y−Ar3 − ・・・・・・ (1) (式中、Ar2 およびAr3 は、各々独立に炭素数5〜
30を有する2価の炭素環式または複素環式芳香族基を
表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を
表す。)2価の芳香族基Ar2 、Ar3 において、1つ
以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換
基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良
い。
【0020】複素環式芳香族基の好ましい具体例として
は、1ないし複数の環形成窒素原子または酸素原子また
は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。2価
の芳香族基Ar2 、Ar3 は、例えば、置換または非置
換のフェニレン、置換または非置換のビフェニレン、置
換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの
置換基は上述のとおりである。
【0021】2価のアルカン基は、例えば、下記化3で
示される有機基である。
【0022】
【化3】
【0023】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて
個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1
〜6のアルキル基であり、Xは炭素である。)このよう
な2価の芳香族基としては、例えば、下記化4及び化5
で示されるものが挙げられる。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素、
炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコ
キシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基また
はフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、
mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ同一でも異なる
ものであっても良いし、nが2〜4の場合には各R8
それぞれ同一でも異なるものであっても良い。)さら
に、2価の芳香族基Arは、式(2)で示されるもので
あっても良い。
【0027】 −Ar2 −Z−Ar3 − ・・・・・(2) (式中、Ar1 ,Ar2 は前述の通りで、Zは単結合、
または−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO
−、−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を
表す。ただし、R1 は前述のとおりである。)このよう
な2価の芳香族基としては、例えば、下記化6および化
7で示されるものが挙げられる。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述
のとおりである。)本発明のプレポリマーにおいて特に
好ましいのは、ビスフェノールA及び置換ビスフェノー
ルAの残基である下記化8で示される基がAr全体の8
5〜100モル%含んでいる場合である。
【0031】
【化8】
【0032】なお、本発明のプレポリマーは、Ar全体
に対して約0.01〜3モル%の範囲内で、3価の芳香
族基を含んでいても良い。また、前記化2におけるAr
1 は、1価の炭素環式または複素環式芳香族基を表す
が、このAr1 において、1つ以上の水素原子が、反応
に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原
子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のア
ルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シ
アノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって
置換されたものであっても良い。
【0033】1価の芳香族基Ar1 の代表例としては、
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を
挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基
で置換されたものでも良い。好ましいAr1 としては、
例えば、下記化9に示される芳香族基などが挙げられ
る。
【0034】
【化9】
【0035】本発明で用いられる非晶状態の芳香族ポリ
カーボネートプレポリマーは、数平均分子量が通常10
00〜15000のものである。数平均分子量が100
0より小さいものは、固相重合時間が長くなって好まし
くないし、また、固相重合時の融着も起こり易いので好
ましくない。一方、15000より大きくしても固相重
合に特段のメリットを与えない。より好ましい数平均分
子量の範囲は1500〜10000である。さらにより
好ましい範囲は2000から8000である。
【0036】本発明で用いられる非晶状態のポリカーボ
ネートプレポリマーの合成法としては特に限定はなく、
下記の種々の方法で合成される。すなわち、エステル交
換法により、ビスフェノールAなどのビスフェノールと
ジアリールカーボネートの溶融重合により合成する方
法、末端停止剤としてフェノールやt−ブチルフェノー
ル等の芳香族モノヒドロキシ化合物の存在下にビスフェ
ノールとホスゲンとを界面重縮合させて合成する方法、
ビスフェノールとジアリールカーボネートのモル比1:
2の縮合物をあらかじめ合成しておき、これとビスフェ
ノールを溶融重合する方法、界面重縮合においてビスフ
ェノールに対して過剰のホスゲンとフェノールを反応さ
せて得られるフェニルカーボネート末端ポリカーボネー
トオリゴマーに、新たにビスフェノールを加えて溶融重
合する方法等が挙げられる。
【0037】本発明において、非晶状態の芳香族ポリカ
ーボネートプレポリマーを、ジヒドロキシジアリール化
合物と結晶化溶媒からなる溶液、またはジアリールカー
ボネートと結晶化溶媒からなる溶液で処理することによ
り、所望の末端ヒドロキシル基の割合(OH%)を有す
る結晶ポリカーボネートプレポリマーを得ることがで
きる。ジヒドロキシジアリール化合物は、例えば式
(3)、式(4)で表される。
【0038】 HO−Ar2 −Y−Ar3 −OH ・・・・・ (3) HO−Ar2 −Z−Ar3 −OH ・・・・・ (4) Ar2 およびAr3 は、前述のとおりである。ジヒドロ
キシジアリール化合物は、単一種類であっても良いし、
2種類以上組み合わせてもかまわない。
【0039】特に好ましいのは、ビスフェノールAおよ
び置換ビスフェノールAである。ジアリールカーボネー
トは、下記化10で表される。
【0040】
【化10】
【0041】(式中、Ar1 は、前述のとおりであ
る。)ジアリールカーボネートの代表的な例としては、
下記化11で示される置換または非置換のジフェニルカ
ーボネート類を挙げる事ができる。
【0042】
【化11】
【0043】(式中、R9 およびR10は、各々独立に水
素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1
〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10の
シクロアルキル基またはフェニル基を示し、pおよびq
は1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそ
れぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合
には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良
い。)このジフェニルカーボネート類の中でも、未置換
のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、
ジーtーブチルフェニルカーボネートのような低級アル
キル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリー
ルカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造
のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネー
トが好適である。
【0044】これらのジアリールカーボネート類は単独
で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。本発明の結晶化溶媒としては、非晶状態の芳香族ポ
リカーボネートプレポリマーを完全には溶解せず、かつ
非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマーの結晶
化を促進するような溶媒であれば良く、この条件を満た
す、単一溶媒でも混合溶媒でもかまわない。
【0045】単一溶媒の例としては、酢酸エチル等のエ
ステル類;ジエチルエーテル等のエーテル類;アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられる。
また、結晶化の温度条件にもよるが、ヘキサン、オクタ
ン等の炭化水素類;シクロヘキサン等の環式炭化水素類
等も結晶化溶媒として使用できる。このうち、アセトン
は比表面積の大きい結晶芳香族ポリカーボネートプレ
ポリマーを製造できるので、特に好ましい。
【0046】本発明で非晶状態の芳香族ポリカーボネー
トプレポリマーを結晶化するにあたっては、結晶芳香
族ポリカーボネートプレポリマーのOH%を、非晶状態
芳香族ポリカーボネートプレポリマーのOH%より高
くしたい場合にはジヒドロキシジアリール化合物を、ま
た、低くしたい場合にはジアリールカーボネートを含有
する結晶化溶媒が用いられる。
【0047】結晶化溶媒に含有されるジヒドロキシジア
リール化合物およびジアリールカーボネートの量は、非
状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマー1モルに
対して0.001〜1.5モルの範囲が好ましく、さら
に好ましくは0.01〜1モルの範囲である。0.00
1モルより少ない場合には、所望のOH%とするための
効果が小さく、また1.5モルより多い場合には、結晶
芳香族ポリカーボネートプレポリマー中のジヒドロ
キシジアリール化合物およびジアリールカーボネートの
分散が悪くなり、好ましくない。次に、本発明の実施例
および比較例の結果から、芳香族ポリカーボネートの製
造方法に適用する結晶化芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーの末端OH%の制御方法を具体的に説明する。実
施例1、3、6の結果は、結晶化芳香族ポリカーボネー
トプレポリマーの末端OH基/末端フェニルカーボネー
ト基のモル比を25〜40/75〜60にすると、得ら
れた芳香族ポリカーボネートは末端OH基の非常に少な
い、耐熱性に優れた、エンジニアリングプラスチックに
好適なポリマーとなることを示し、実施例2、7および
比較例1、2の結果は、結晶化芳香族ポリカーボネート
プレポリマーの末端OH基/末端フェニルカーボネート
基のモル比が40〜60/60〜40であると、高分子
量の芳香族ポリカーボネートを得るのに都合がよく、実
施例4、5は、結晶化芳香族ポリカーボネートプレポリ
マーの末端OH基/末端フェニルカーボネート基のモル
比を60〜75/40〜25にすると、得られた芳香族
ポリカーボネートは末端OH基の非常に多いものにな
り、反応性ポリマーとして好適なポリマーとなることを
示している。 このことは、得られる芳香族ポリカーボネ
ートを末端OH基の非常に少ないものとしたければ、結
晶化芳香族ポリカーボネートプレポリマーの末端0H基
/末端フェニルカーボネート基のモル比を25〜40/
75〜60の範囲に入るようにすれば良く、厳密にある
特定の値にする必要はなく、もとになる非晶状態の芳香
族ポリカーボネートプレポリマーのOH%に対して相対的
に上げたり下げたりする程度の、許容幅の大きな粗い制
御で良いことを示している。 非晶状態の芳香族ポリカー
ボネートプレポリマーを結晶化芳香族ポリカーボネート
プレポリマーにする際に、ジヒドロキシジアリール化合
物またはジアリール カーボネートを結晶化溶媒にどの程
度添加するかは、結晶化工程の圧力や温度といった反応
条件、混練か撹拌かといった実験装置や用いる化合物に
よって異なることから、一概には決められない。しかし
ながら、上記したように、大きな許容幅を持った粗い制
御で構わないため、この範囲に入るように結晶化芳香族
ポリカーボネートプレポリマーの末端0H基/末端フェ
ニルカーボネート基のモル比を制御すれば充分であり、
反応条件、実験装置、用いる化合物等の条件が決まれ
ば、何点かの実験結果から経験的に容易に決定すること
ができる。
【0048】本発明において、非晶状態の芳香族ポリカ
ーボネートプレポリマーをジヒドロキシジアリール化合
物、またはジアリールカーボネートを含有する結晶化溶
媒で処理する方法に特に制限はないが、通常、非晶状態
芳香族ポリカーボネートプレポリマーを該結晶化溶媒
中で撹はんし、スラリー状態で結晶化させる方法や、非
状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマーと該結晶
化溶媒を混合機や混練機を用いて混合、混練しながら結
晶化する方法等が好ましい。スラリー状態で結晶化する
場合には、ワーリングブレンダー等の高速攪拌羽根を有
する装置や、カッター付き渦巻ポンプを備えた装置等が
用いられる。また、混合機や混練機を用いて結晶化する
場合、一般に混合機、混練機と呼ばれる機器(粉体工業
便覧、日刊工業新聞社、644〜648ページに記載の
機器など)が使用でき、具体例としては、コーンブレン
ダー、リボンブレンダー、ショベルミキサー、パグミキ
サーヘンシェルミキサー、ブラベンダー、2軸混練機な
どが挙げられる。
【0049】この場合、結晶化溶媒で処理される非晶
態の芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、固体状、
溶融状のいずれでもよく、また、その形状は、繊維状、
ストランド状、フィルム状、小粒状等のものが好まし
い。非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマーに
対する結晶化溶媒の量は、通常、該プレポリマーの重量
に対して0.1〜20倍、好ましくは、0.15〜10
倍、さらに好ましくは、0.2〜5倍の範囲である。結
晶化溶媒の量が多すぎる場合には、結晶芳香族ポリカ
ーボネートプレポリマー中のジヒドロキシジアリール
化合物およびジアリールカーボネートの分散が悪くな
り、好ましくない。
【0050】非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーをジヒドロキシジアリール化合物、またはジアリ
ールカーボネートを含有する結晶化溶媒で処理する温度
は、通常−10〜200℃の範囲で選ばれる。非晶状態
芳香族ポリカーボネートプレポリマーをジヒドロキシ
ジアリール化合物、またはジアリールカーボネートを含
有する結晶化溶媒で処理した後、溶媒を除去する方法と
しては、遠心分離や、加圧または真空ろ過、乾燥、及び
これらを組み合わせた方法等が用いられる。ジヒドロキ
シジアリール化合物、またはジアリールカーボネートを
除去せず、溶媒だけを除去できる方法が好ましく、特に
好ましい方法は、乾燥である。
【0051】本発明の結晶芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーは、非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレ
ポリマーを結晶化溶媒で処理することにより、粉末状、
顆粒状等の形状で得ることができる。これら粉末状、顆
粒状の結晶ポリカーボネートプレポリマーは、さらに
公知の方法でペレット状、球状、円柱状等に成形した状
態で得ることもできる。このような、結晶芳香族ポリ
カーボネートプレポリマーの成形体は、固相重合時の固
着現象を防ぐ意味で有利である。
【0052】本発明の結晶芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーの科学的な構造は、通常、先に述べた非晶
態の芳香族ポリカーボネートプレポリマーとジヒドロキ
シジアリール化合物、またはジアリールカーボネートが
混合された構造である。また、結晶化の条件によって
は、非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマーと
ジヒドロキシジアリール化合物、またはジアリールカー
ボネートが部分的にエステル交換し、反応した構造をと
る場合もある。
【0053】本発明の結晶芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーの結晶化度は、X線回折法で測定した値が、
通常10〜50%のものが好ましい。次に本発明の固相
重合による芳香族ポリカーボネートの製造方法に付いて
説明する。本発明の固相重合は、結晶芳香族ポリカー
ボネートプレポリマーを加熱する事によって実施される
が、該固相重合反応を実施する際の反応温度Tp(℃)
及び反応時間については、結晶プレポリマーの種類
(化学構造分子量等)や形状、結晶プレポリマー中の
触媒の有無や種類や量、必要に応じて追加される触媒の
種類や量、結晶プレポリマーの結晶化の度合いや結晶
の溶融温度Tm(℃)の違い、目的とする芳香族ポリカ
ーボネートの必要重合度、あるいは他の反応条件等によ
って異なるが、結晶プレポリマーのガラス転移温度以
上で、かつ固相重合中に結晶プレポリマーが固着しな
いで固相重合を保つ範囲の温度である事が必要である。
【0054】重合の進行とともに、結晶プレポリマー
の融点は一般的に上昇するので、重合の進行とともに、
重合温度を上げて行くのは一つの好ましい方法である。
好ましくは、Tm−50≦Tp<Tm(式中、Tp、お
よびTmは前記の通りである。)で示される範囲の温度
において、1分〜100時間、好ましくは0.1〜50
時間程度加熱する事により、固相重合反応が行われる。
このような温度範囲としては、例えば、ビスフェノール
ーAのポリカーボネートを製造する場合には、約150
〜260℃が好ましく、特に約180〜230℃が好ま
しい。
【0055】固相重合工程においては、重縮合反応によ
って副生してくる芳香族モノヒドロキシ化合物および/
またはジアリールカーボネートを系外に抜き出す事によ
って、その反応が促進される。そのための方法として
は、減圧下に反応を行う方法と、不活性ガスを導入して
上記縮合副生物をこれらのガスを随伴させて除去する方
法、およびこれらを併用した方法が好ましく用いられ
る。
【0056】ここでいう不活性ガスとは、窒素、アルゴ
ン、ヘリウム、二酸化炭素等のいわゆる不活性ガスだけ
でなく、低級炭化水素ガスやアセトンなどの固相重合に
不活性なガスをいう。また、同伴用の不活性ガスを導入
する場合には、これらのガスを反応温度付近に加熱して
おく事が好ましい。本発明の好ましい実施態様として、
上記のようなガスを導入して、ガスの流通下に行う方法
があるが、この際のガス量は、結晶芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマー1g当たり0.1〜50NL/hr
である事が好ましい。
【0057】不活性ガスを導入して固相重合を行う場
合、使用後の不活性ガスは、再使用せずに排出する事も
できるが、コスト高になるので、通常、これらの不活性
ガスは再使用に供される。本発明の固相重合を実施する
際、固相重合装置の形式は、回分式、連続式、およびこ
れらを併用した方式のものなどいずれの方法のものであ
ってもよく、例えば、タンブラー型、キルン型、パドル
ドライヤー型、スクリューコンベアー型、振動型、流動
床型、固定床型、移動床型等が挙げられる。
【0058】本発明の固相重合反応は、触媒を添加しな
くても充分な速度で進行させる事ができ、これがもっと
も好ましい態様であるが、さらに反応速度を高める目的
で触媒を使用する事ができる。しかしながら、このよう
な触媒は、通常の場合、最終製品である芳香族ポリカー
ボネートの中にそのまま残存し、このような残存触媒が
ポリマー物性(例えば、色、耐熱性、耐熱水性、耐侯性
など)に悪影響を及ぼす場合が多いので、触媒の使用量
はできるだけ少ない方が好ましい。
【0059】本発明の結晶芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを製造するときに重合触媒を使用したなら
ば、通常、得られた該プレポリマー中に触媒が残存する
ので、新たに触媒を加える必要もない。しかし、結晶化
処理時に、触媒が除去されたり、活性活性が低下してい
る場合もあるので、その際には、必要に応じて適当な触
媒を加える事もできる。すなわち、液状または気相状態
にした触媒成分を該結晶プレポリマーに加える事もで
きる。
【0060】このような重合触媒としては、この分野で
用いられている重縮合触媒であれば特に制限はないが、
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土
類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水
素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアン
モニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム
塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カル
シウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水
素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属およびア
ルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシ
ド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシ
ド、 LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa
(Arはアリール基)などのアルカリ金属およびアルカ
リ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カ
ルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属およ
びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜
鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ
素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホ
ウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニルなどのホウ素の化
合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキ
ルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニルーエチル
ーエトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマ
ニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシ
ド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化
合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキ
ルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブ
トキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結
合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物
類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛および
有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の
化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム
塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸
化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合
物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンな
どのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコ
キシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;
酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムの
アルコキシドまたはアリーロキシド、ジルコニウムアセ
チルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒
を挙げる事ができる。
【0061】これらの触媒は、1種でもよいし、2種以
上を用いる事もできる。本発明で得られる芳香族ポリカ
ーボネートの数平均分子量は、6000〜200000
の範囲である。高分子量の芳香族ポリカーボネートを固
相重合で製造する為には、結晶芳香族ポリカーボネー
トプレポリマーのOH%を約50%にコントロールする
事が好ましいが、本発明の方法によりその目的を達成で
きる。
【0062】本発明の固相重合により分子量が高められ
ていくにしたがって、通常、ポリマーのOH%は変化す
る。所望の分子量の芳香族ポリカーボネートのOH%を
所望の値にするためには、固相重合に先立つ結晶芳香
族ポリカーボネートプレポリマーのOH%をコントロー
ルする事が必要であるが、本発明の方法によりその目的
を達成する事可能である。
【0063】
【実施例】以下に、実施例を挙げて説明するが、本発明
はこれに限定されるものではない。なお、分子量は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測
定した数平均分子量(以下、Mnと略す)、または重量
平均分子量(以下、Mwと略す)である。
【0064】また、プレポリマーおよび芳香族ポリカー
ボネート中の末端基であるヒドロキシル基とアリールカ
ーボネート基の割合は、高速液体クロマトグラフィーに
よる測定またはA.Horbachらの方法[フェノー
ル性ーOH基の定量方法で、プレポリマーまたはポリマ
ーを酢酸酸性塩化メチレンにに溶解させた後、TiCl
4 を加え、生成した赤色錯体を546nmの波長の光で
比色定量する方法、Makaromol.Chem.、
88、215(1965)]で測定したものである。
【0065】
【実施例1】ビスフェノールーA91.2g、ジフェニ
ルカーボネート90.5gを攪拌装置、ガス導入口、ガ
ス吸引口付きの500mlの三つ口フラスコに入れ、減
圧脱気、乾燥窒素導入を数回繰り返した後、該フラスコ
を190℃の油浴に入れ、内容物を溶融後、減圧脱気、
乾燥窒素導入を行った。ついで浴温を4時間かけて23
0℃に上げ、かき混ぜ下に、乾燥窒素を12Nl/hr
で導入して、生成してくるフェノールを留出させた。1
時間後に、反応系を減圧にし、1〜5mmHgで約15
分間かき混ぜる事によって、フェノールおよびジフェニ
ルカーボネートを留出させた。この結果得られた無色透
明な非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマー1
00gをフラスコより取り出し、粉砕した。このプレポ
リマーのMnは3900、末端ヒドロキシル基と末端フ
ェニルカーボネート基のモル比は42/58であった。
このプレポリマー50gに、ジフェニルカーボネートを
2.5Wt%含有するアセトン22gを含浸させ、混練
して結晶化させた後乾燥し、白色の結晶芳香族ポリカ
ーボネートプレポリマーを得た。非晶状態の芳香族ポリ
カーボネートプレポリマー1モルに対する、アセトン中
のジフェニルカーボネートの量は0.2モルである。こ
の結晶プレポリマーのMnは3300、末端ヒドロキ
シル基と末端フェニルカーボネート基のモル比は35/
65であった。
【0066】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを用いて、撹はん装置、ガス導入口、ガス吸引口
付きの500mlの三つ口フラスコで固相重合を行っ
た。重合条件は、結晶ポリカーボネートプレポリマー
40gに対し窒素を4Nl/hrで供給し、1mmHg
下220℃で行った。重合時間12時間で、Mw290
00、末端ヒドロキシル基と末端フェニルカーボネート
基のモル比は4/96の、末端ヒドロキシル基の少ない
耐熱性の良好な芳香族ポリカーボネートが得られた。
【0067】
【比較例1】結晶化溶媒として、ジフェニルカーボネー
トを含有しないアセトンを用いるほかは、実施例1と全
く同様にして結晶芳香族ポリカーボネートプレポリマ
ーを得た。この結晶プレポリマーのMnは3900、
末端ヒドロキシル基と末端フェニルカーボネート基のモ
ル比は42/58であった。
【0068】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを用いて、重合時間以外は実施例1と全く同様に
固相重合を行った。重合時間7時間で、実施例1と同様
Mw29000の芳香族ポリカーボネートが得られた
が、末端ヒドロキシル基と末端フェニルカーボネート基
のモル比は28/72であり、実施例1より末端ヒドロ
キシル基の割合は高くなった。本比較例は、Mwが29
000で、なおかつ末端ヒドロキシル基の少ない芳香族
ポリカーボネートを得るには、本比較例の結晶芳香族
ポリカーボネートプレポリマーは適さない事を示してい
る。
【0069】
【実施例2】結晶化溶媒として、ビスフェノールーAを
2.1Wt%含有するアセトンを用いるほかは、実施例
1と全く同様にして結晶芳香族ポリカーボネートプレ
ポリマーを得た。非晶状態の芳香族ポリカーボネートプ
レポリマー1モルに対する、アセトン中のビスフェノー
ル−Aの量は0.16モルである。この結晶プレポリ
マーのMnは3400、末端ヒドロキシル基と末端フェ
ニルカーボネート基のモル比は50/50であった。
【0070】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを用いて、実施例1と全く同様に固相重合を行っ
たところ、Mw61000の高分子量の芳香族ポリカー
ボネートが得られた。
【0071】
【比較例2】比較例1と同様の結晶芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマーを用いて、実施例2と全く同様に固
相重合を行ったところ、実施例2より分子量の低いMw
42000の芳香族ポリカーボネートが得られた。
【0072】
【実施例3】結晶化溶媒として、ジフェニルカーボネー
トを0.6Wt%含有するアセトンを用いるほかは、実
施例1と全く同様にして結晶芳香族ポリカーボネート
プレポリマーを得た。非晶状態の芳香族ポリカーボネー
トプレポリマー1モルに対する、アセトン中のジフェニ
ルカーボネートの量は0.05モルである。この結晶
プレポリマーのMnは3800、末端ヒドロキシル基と
末端フェニルカーボネート基のモル比は40/60であ
った。
【0073】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを用いて、重合時間を18時間とする以外は実施
例1と全く同様に固相重合を行ったところ、Mw460
00、末端ヒドロキシル基と末端フェニルカーボネート
基のモル比は6/94の、末端ヒドロキシル基の少ない
芳香族ポリカーボネートが得られた。
【0074】
【実施例4】結晶化溶媒として、ビスフェノール−Aを
10.5Wt%含有するアセトンを用いるほかは、実施
例1と全く同様にして結晶芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを得た。非晶状態の芳香族ポリカーボネート
プレポリマー1モルに対する、アセトン中のビスフェノ
ール−Aの量は0.8モルである。この結晶プレポリ
マーのMnは2300、末端ヒドロキシル基と末端フェ
ニルカーボネート基のモル比は68/32であった。
【0075】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマを用いて、実施例1と全く同様に固相重合を行った
ところ、Mw13000、末端ヒドロキシル基と末端フ
ェニルカーボネート基のモル比は99/1の、実質的に
両末端がヒドロキシル末端の芳香族ポリカーボネートが
得られた。
【0076】
【実施例5】ジフェニルカーボネートを86.9g用い
る以外は、実施例1と全く同様にして、非晶状態の芳香
族ポリカーボネートプレポリマーを製造した。得られた
非晶状態のプレポリマーのMnは4200、末端ヒドロ
キシル基と末端フェニルカーボネート基のモル比は60
/40であった。このプレポリマー50gに、ビスフェ
ノール−Aを2.5Wt%含有するアセトン22gを含
浸させ、混練して結晶化させた後乾燥し、白色の結晶
芳香族ポリカーボネートプレポリマーを得た。非晶状態
芳香族ポリカーボネートプレポリマー1モルに対す
る、アセトン中のビスフェノール−Aの量は0.2モル
である。この結晶プレポリマーのMnは3500、末
端ヒドロキシル基と末端フェニルカーボネート基のモル
比は67/33であった。
【0077】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを用いて、実施例1と全く同様に固相重合を行っ
たところ、Mw31000、末端ヒドロキシル基と末端
フェニルカーボネート基のモル比が97/3の、実質的
に両末端がヒドロキシル末端の芳香族ポリカーボネート
が得られた。
【0078】
【実施例6】ジフェニルカーボネートを100.0g用
いる以外は、実施例1と全く同様にして、非晶状態の
香族ポリカーボネートプレポリマーを製造した。得られ
た非晶状態のプレポリマーのMnは3400、末端ヒド
ロキシル基と末端フェニルカーボネート基のモル比は1
5/85であった。このプレポリマー50gに、ビスフ
ェノール−Aを3.0Wt%含有するアセトン22gを
含浸させ、混練して結晶化させた後乾燥し、白色の結晶
芳香族ポリカーボネートプレポリマーを得た。非晶
態の芳香族ポリカーボネートプレポリマー1モルに対す
る、アセトン中のビスフェノール−Aの量は0.2モル
である。この結晶プレポリマーのMnは2900、末
端ヒドロキシル基と末端フェニルカーボネート基のモル
比は29/71であった。
【0079】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを用いて、実施例1と全く同様に固相重合を行っ
たところ、Mw17000、末端ヒドロキシル基と末端
フェニルカーボネート基のモル比が2/98の、末端ヒ
ドロキシル基の少ない耐熱性の良好な芳香族ポリカーボ
ネートが得られた。
【0080】
【0081】
【0082】
【実施例7】結晶化溶媒として、1,1−ビス−(4−
ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサンを2.9Wt%含有するアセトンを用いるほか
は、実施例1と全く同様にして結晶芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマーを得た。非晶状態の芳香族ポリカー
ボネートプレポリマー1モルに対する、アセトン中の
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンの量は0.16モルであ
る。この結晶プレポリマーのMnは3400、末端ヒ
ドロキシル基と末端フェニルカーボネート基のモル比は
50/50であった。
【0083】この結晶芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを用いて、実施例1と全く同様に固相重合を行っ
たところ、Mw60000の高分子量の芳香族ポリカー
ボネートが得られた。
【0084】
【0085】
【0086】
【発明の効果】本発明の方法により、結晶ポリカーボ
ネートプレポリマーのOH%を容易にコントロールする
事が可能である。この結晶ポリカーボネートプレポリ
マーを用いて固相重合する事により、エンジニアリング
プラスチックとして有用な、末端ヒドロキシル基の少な
い芳香族ポリカーボネートや、ポリマーアロイなどに有
用な、実質的に両末端がヒドロキシル基の芳香族ポリカ
ーボネートを得る事ができる。
【0087】また、本発明の方法により、結晶ポリカ
ーボネートプレポリマーのOH%を50%付近にコント
ロールする事も可能であり、この結晶ポリカーボネー
トプレポリマーを用いて固相重合を行えば、高分子量の
芳香族ポリカーボネートを有利に得ることができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレ
    ポリマーを、該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレ
    ポリマー1モルに対して0.001〜1.5モルのジヒ
    ドロキシジアリール化合物と結晶化溶媒からなる溶液、
    または該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマ
    ー1モルに対して0.001〜1.5モルのジアリール
    カーボネートと結晶化溶媒からなる溶液で処理すること
    を特徴とする、結晶芳香族ポリカーボネートプレポリ
    マーの製造方法。
  2. 【請求項2】 非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレ
    ポリマーを、該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレ
    ポリマー1モルに対して0.001〜1.5モルのジヒ
    ドロキシジアリール化合物と結晶化溶媒からなる溶液、
    または該非晶状態の芳香族ポリカーボネートプレポリマ
    ー1モルに対して0.001〜1.5モルのジアリール
    カーボネートと結晶化溶媒からなる溶液で処理すること
    により結晶化芳香族ポリカーボネートプレポリマーを
    得、次いで該結晶芳香族ポリカーボネートプレポリマ
    ーを固相重合することを特徴とする芳香族ポリカーボネ
    ートの製造方法。
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