JPH07697B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法

Info

Publication number
JPH07697B2
JPH07697B2 JP3578387A JP3578387A JPH07697B2 JP H07697 B2 JPH07697 B2 JP H07697B2 JP 3578387 A JP3578387 A JP 3578387A JP 3578387 A JP3578387 A JP 3578387A JP H07697 B2 JPH07697 B2 JP H07697B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bis
carbonate
aromatic
compounds
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3578387A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63205318A (ja
Inventor
智也 渡辺
昌純 丁野
伸典 福岡
Original Assignee
旭化成工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 旭化成工業株式会社 filed Critical 旭化成工業株式会社
Priority to JP3578387A priority Critical patent/JPH07697B2/ja
Publication of JPS63205318A publication Critical patent/JPS63205318A/ja
Publication of JPH07697B2 publication Critical patent/JPH07697B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は芳香族ポリカーボネートの製造方法の改良に関
するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、芳香
族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステル類の
自己重縮合反応により、高分子量の芳香族ポリカーボネ
ートを工業的に効率よく製造する方法に関するものであ
る。
従来の技術 近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、
透明性などに優れたエンジニアリングプラスチツクスと
して、多くの分野において幅広く用いられている。この
芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種
々の研究が行われ、その中で、芳香族ジヒドロキシ化合
物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロ
パン(以下、ビスフエノールAという)とホスゲンとの
界面重縮合法が工業化されている。
しかしながら、このホスゲンを用いる界面重縮合法にお
いては、(1)有毒なホスゲンを用いなければならない
こと、(2)副生する塩化水素や塩化ナトリウムなどの
含塩素化合物により装置の腐食すること、(3)樹脂中
に混入する塩化ナトリウムなどのポリマー物性に悪影響
を及ぼす不純物の分離が困難なこと、(4)使用する溶
剤が多量であり、その分離、回収に費用がかかることな
ど工業的に実施する場合に多くの問題を伴う。
したがつて、このような問題を解決するために、これま
で、ホスゲンを用いない芳香族ポリカーボネートの製造
方法、例えば、脂肪族ジアルキルカーボネートと芳香族
ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応による方法や
(特開昭57-2334号公報、同60-169444号公報、同60-169
445号公報)、ジアルキルカーボネートと芳香族ジヒド
ロキシ化合物の脂肪族エステルとのエステル交換反応に
よる方法(特開昭59-210938号公報)などが提案されて
いる。しかしながら、これらの方法においては、ホスゲ
ン法における前記問題点は克服されているものの、前者
の方法は反応が遅くて、高分子量体を得るのが困難であ
るなどの欠点を有し、一方、後者の方法は、原料製造時
にケテンのような不安定かつ有毒物質が生成する上に、
工程が煩雑であつて、工業プロセスとして満足しうる方
法とはいえない。
さらに、芳香族ジヒドロキシ化合物をパラジウムなどの
貴金属触媒の存在下、一酸化炭素及び酸素と反応させて
ポリカーボネートを製造する直接法も提案されている
(特開昭53-68744号公報、同53-68745号公報、同53-687
46号公報、同53-68747号公報)。しかしながら、この方
法においても、高価な貴金属を使用する上に、ポリカー
ボネートの重合度が上らないなどの問題があり、工業的
プロセスのレベルには達していない。
また、従来知られている方法であつて、一時工業化され
たプロセスである、いわゆるエステル交換法は、フエノ
ールとホスゲンとから得られるジフエニルカーボネート
を原料として用い、ビスフエノールAと反応させるもの
であるが、ホスゲンを使用することによる毒性や装置の
腐食などの問題は解決されていない。
一方、クロロギ酸フエニル又はクロロギ酸アルキルとビ
スフエノールAのジアルカリ金属塩との反応から得られ
るビスフエノールAのビスフエニル炭酸エステル又はビ
スアルキル炭酸エステルの自己重縮合によるポリカーボ
ネートの製造法についても若干報告されている(特公昭
37-3296号公報、米国特許第2,946,766号明細書)。しか
しながら、これらの方法において、ビスフエノールAの
ビスアルキル炭酸エステル類のみの自己重縮合反応の例
については、ほとんど研究されておらず、ビスフエノー
ルAのビスフエニル炭酸エステルの自己重縮合反応によ
るポリカーボネートの製造の際に、少量のビスフエノー
ルAのビスアルキル炭酸エステルを加えた例が記載され
ているにすぎない。すなわち、ビスフエノールAのビス
アルキル炭酸エステル類そのものの自己重縮合反応特性
などについては、具体的にほとんど知られておらず、む
しろ、ビスフエノールAのビスアリール炭酸エステルの
それと同じであると考えられていた。
さらに加えて、このようなビスフエノールAのビスフエ
ニル炭酸エステルを主成分とするビス炭酸エステル類の
自己重縮合反応において用いられている触媒について
も、問題点が残されていた。すなわち、触媒として、有
機酸又は無機酸のマンガン塩を用いることが提案されて
いるが(特公昭37-3296号公報)、生成物の重合度が低
く、実用的な触媒であるとはいえないし、また、ビスフ
エノールAのナトリウム塩のような塩基性のエステル交
換触媒を用いることも提案されているが(米国特許第2,
946,766号明細書)このような触媒の存在下で生成する
ポリマーは着色しやすいという欠点を有している。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、このような従来のポリカーボネートの製造方
法が有する欠点を克服し、ホスゲンを用いずに品質の良
好な高分子量ポリカーボネートを工業的に効率よく製造
する優れた方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、ホスゲンを用いないで、高分子量のポリ
カーボネートを工業的に効率よく製造する方法について
鋭意研究を重ねた結果、特定の原料を用いて、ある種の
触媒の存在下、かつ反応を阻害するある種の化合物の存
在しない条件下で反応させることにより、前記目的を達
成しうることを見い出し、この知見に基づいて本発明を
完成するに至つた。
すなわち、本発明は、一般式 (式中のR1及びR2はそれぞれ炭素数1〜6の低級アルキ
ル基又はシクロアルキル基であり、それらは同一であつ
てもよいし、たがいに異なつていてもよく、Arは2価の
芳香族基である) で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル
炭酸エステルを自己重縮合させて、芳香族ポリカーボネ
ートを製造するに当り、周期律表のIIB、IIIB、IVA及び
IVB族に属する金属元素及びその化合物の中から選ばれ
た少なくとも1種の触媒の存在下、かつ芳香族ヒドロキ
シル化合物すなわち芳香族性ヒドロキシル基を有する化
合物が実質的に存在しない条件下で、反応させることを
特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供す
るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法における、芳香族ジヒドロキシ化合物のビス
アルキル炭酸エステルの自己重縮合反応は、前記一般式
で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル
炭酸エステルが、ジアルキルカーボネートを脱離しなが
ら重縮合していく反応であつて、理想的には次に示す反
応式で表わされる。
(式中のR1、R2及びArは前記と同じ意味をもち、nは整
数である) このような自己重縮合反応を、芳香族ジヒドロキシ化合
物のビスアリール炭酸エステルを用いる従来の自己重縮
合方法と同じ方法で行う場合、高分子量のポリカーボネ
ートを得ることが困難であることが、本発明者らの研究
により判明した。すなわち、通常の方法で、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とクロロギ酸アルキルエステル又はジア
ルキルカーボネートとの反応によつて得られた芳香族ジ
ヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステル類を原料
として自己重縮合させた場合、同様の方法で得られた芳
香族ジヒドロキシ化合物のビスアリール炭酸エステル類
を原料として自己重縮合させた場合に比べて、高重合度
のポリカーボネートを得ることが困難であつた。
このことは、芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル
炭酸エステル類は、該化合物のビスアリール炭酸エステ
ル類と同様な反応性を示すと考えられていた予想とは全
く異なるものであつた。
そこで、本発明者らは、芳香族ジヒドロキシ化合物のビ
スアルキル炭酸エステル類から、高分子量の芳香族ポリ
カーボネートを得るべく、その自己重縮合反応を詳細に
研究した結果、意外にも、芳香族ヒドロキシル化合物
が、この重縮合反応の阻害因子になつているという、全
く新しい事実を見い出した。この芳香族ヒドロキシル化
合物が、このようなビスアルキル炭酸エステル類の自己
重縮合反応の阻害因子となつているということは、これ
までのビスアリール炭酸エステル類の自己重縮合反応の
場合からは、全く予想できない驚くべきことであつた。
すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアリール炭
酸エステル、例えばビスフエノールAのビスフエニル炭
酸エステルは、芳香族ヒドロキシル化合物であるビスフ
エノールAと反応してポリカーボネートを与えること
は、前記の米国特許第2,946966号明細書から明らかであ
る。この反応は次に示す反応式で表わすことができる。
つまり、芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアリール炭酸
エステル類の場合には、ビスフエノールAのような芳香
族ヒドロキシ化合物は、この重縮合反応になんら悪影響
を及ぼさないばかりか、逆にモノマーとして有効に作用
することが分かつている。
ところで、芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアリール炭
酸エステル、又はビスアルキル炭酸エステルは、通常、
芳香族ジヒドロキシ化合物を原料とし、クロロギ酸アリ
ールエステル、又はクロロギ酸アルキルエステルとの脱
塩化水素を伴う反応か、あるいはジアリールカーボネー
ト、又はジアルキルカーボネートとの脱フエノール、又
は脱アルコールを伴う反応によつて製造されている。こ
のような方法によつて製造された芳香族ジヒドロキシ化
合物のビスアリール炭酸エステル類、又はビスアルキル
炭酸エステル類の中には、通常、少量の芳香族ジヒドロ
キシ化合物及び反応中間体であるモノヒドロキシモノ炭
酸エステルなどの、芳香族ヒドロキシル化合物が混在し
ている。芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアリール炭酸
エステルを主成分とする自己重縮合反応の場合には、前
記したように、このような芳香族ヒドロキシル化合物は
モノマーとして働く。
しかしながら、芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキ
ル炭酸エステルを主成分とする自己重縮合反応の場合に
は、このような芳香族ヒドロキシル化合物は重縮合反応
の阻害剤として働き、高分子量化を抑制することが明ら
かになつた。この理由については明らかでないが、芳香
族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステル類を
用いて高分子量体の芳香族ポリカーボネートを得るため
には、反応中にこのような芳香族ヒドロキシル化合物を
存在させないようにすることが必要である。そのために
は、このような芳香族ヒドロキシル化合物の存在量がで
きるだけ少い重縮合用原料を用いることと、重縮合反応
中に芳香族ヒドロキシル化合物をできるだけ生成させな
いようにすることが重要である。すなわち、水、アルコ
ール類などの活性水素を有する化合物は、反応条件下で
芳香族ヒドロキシル化合物を生成させる可能性があるの
で、このような化合物の存在量ができるだけ少い重縮合
用原料を用いることと、反応中にこのような活性水素を
有する化合物が反応器中に漏れ込まないようにすること
も重要なことである。
例えば、水が反応系中に存在すると、反応条件下で、重
合用原料のアルキルカーボネート基が加水分解されて低
分子の芳香族ヒドロキシル化合物を生成させると考えら
れるだけでなく、重合性末端であるアルキルカーボネー
ト基も加水分解されると考えられる。この場合は、芳香
族ヒドロキシル末端を有するオリゴマーや比較的低分子
量のポリマーが生成すると考えられる。このような、芳
香族ヒドロキシル末端を有するオリゴマーなども、本発
明の重縮合反応には悪影響を及ぼすので、それらの生成
を極力抑制することが肝要である。
このように本発明の特徴の1つは、芳香族ジヒドロキシ
化合物のビスアルキル炭酸エステルの脱ジアルキルカー
ボネートによる自己重縮合を行わせる際に、芳香族ヒド
ロキシル化合物が実質的に存在しない条件下で反応させ
ることによつて、高分子量の芳香族ポリカーボネートを
得ることがはじめて可能になつたことにある。
したがつて、本発明方法を実施する場合、芳香族ヒドロ
キシル化合物が実質的に存在しないような、できるだけ
少ない条件下で行う必要があり、該化合物の存在量が少
なければ少ないほど、容易に高分子量体の芳香族ポリカ
ーボネートが得られ、また、該化合物の存在量によつ
て、所定時間内に到達できる重合度が限定されるので、
必要とする重合度に応じて、許容される量を選ぶことが
できる。一般的には、工業的に有用な芳香族ポリカーボ
ネートの重量平均分子量は6,000〜100,000程度、好まし
くは10,000〜50,000程度であり、このようなポリカーボ
ネートを製造するためには、該芳香族ヒドロキシル化合
物の許容存在量は、そのヒドロキシル基が、製造される
べき芳香族ポリカーボネートの芳香族骨格単位(前記一
般式(I)中の−Ar−)に対して、通常約5モル%以
下、好ましくは約2モル%以下、より好ましくは約1モ
ル%以下の範囲で選ばれる。
本発明は、このように、芳香族ジヒドロキシ化合物のビ
スアルキル炭酸エステルを自己重縮合させる場合、芳香
族ヒドロキシル化合物を実質的に存在させない条件下で
反応させることによつて高分子量体の芳香族ポリカーボ
ネートが製造できることを特徴の1つとしており、さら
にこの特徴に加えて、周期律表のIIB、IIIB、IVA及びIV
B族に属する金属元素及びその化合物の中から選ばれた
1種又は2種以上の触媒の存在下に反応させることによ
つて、その反応速度を高めたことが他の1つの大きな特
徴である。
本発明方法は、この2つの特徴を組み合わせることによ
つて、高分子量体の芳香族ポリカーボネートを容易に製
造できるようにしたものである。
本発明方法において用いられる重合触媒は、周期律表の
IIB、IIIB、IVA及びIVB族に属する金属元素及びその化
合物の中から選ばれる。触媒として用いられる金属化合
物としては、例えばZn(OAc)2,Zn(OBz)2などの亜鉛のカ
ルボン酸塩,ZnF2,ZnCl2,ZnBr2,ZnI2などのハロゲン
化亜鉛、ZnCO3,Zn(NO3)2,ZnSO4,Zn3(PO4)2などの亜
鉛の無機酸塩、(NH4)2〔ZnCl4〕,〔(CH3)4N〕2〔ZnC
l4〕,〔Zn(en)3〕X2,〔Zn(en)〕X2などの亜鉛の錯化
合物、ZnO,ZnSなどの亜鉛の酸化物又は硫化物、Zn(OH)2
などの亜鉛の水酸化物、(C2H5)2Zn,Ph2Zn,C2H5ZnOC2H
5,PhZnCl,PhZnOAc,C4H9ZnOAcなどの有機亜鉛化合物、Zn
(OC2H5)2,Zn(OPh)2などの亜鉛アルコキシド又はアリー
ロキシド、Zn(acac)2,Zn(oxin)2などの亜鉛のキレート
化合物,などの亜鉛の化合物類;Cd(OAc)2,Cd(OBz)2
どのカドミウムのカルボン酸塩、CdF2,CdCl2,CdBr2
どのハロゲン化カドミウム、Cd(CO3)2,Cd(NO3)2,CdSO
4,Cd3(PO4)2などのカドミウムの無機酸塩、K〔CdC
l3〕,〔Cd(en)3〕X2,K2〔Cd(CN)4〕などのカドミウム
の錯化合物、Cd(OH)2などのカドミウムの水酸化物、(C4
H9)2CdPh2Cd,PhCdCl,C4H9CdOAcなどの有機カドミウム化
合物、Cd(OC2H5)2,Cd(OPh)2などのカドミウムのアルコ
キシド又はアリーロキシド、Cd(acac)2,Cd(oxin)2など
のカドミウムのキレート化合物,などのカドニウムの化
合物類;(CH3O)3B,(C2H5O)3B,(C4H9O)3B,(PhO)3Bな
どのホウ酸エステル類、LiBH4,NaBH4,KBH4などの金属
の水素化ホウ素化合物類、(CH3)4NBH4,(C4H9)4NBH4,P
h4NBH4などの水素化ホウ素化合物類、(CH3)4NBPh4,(C4
H9)4NBPh4などのホウ素化合物類、H3BO3,HBO2,H2B4O7
などのホウ酸類、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウムカリ
ウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸テトラアルキルアン
モニウム、ホウ酸テトラアリールアンモニウム、ホウ酸
ナトリウム、ホウ酸カリウムなどのホウ酸塩類などのホ
ウ素の化合物;Al(OAc)3,Al(OBz)3などのアルミニウム
のカルボン酸塩、AlCl3,AlBr3などのアルミニウムのハ
ロゲン化物、Al2(CO3)3,Al(NO3)3,Al2(SO4)3などのア
ルミニウムの無機酸塩、Na3〔AlF6〕,(NH4)3〔AlF6
などのアルミニウムの錯化合物、AlNa(SO4)2,Al(NH4)
(SO4)2などのミヨウバンの無水和物、Al2O3などのアル
ミニウムの酸化物、Al(OH)3などのアルミニウムの水酸
化物、Ph3Alなどの有機アルミニウム化合物、Al(OC
H3)3,Al(OC3H7-i)3,Al(OPh)3などのアルミニウムのア
ルコキシド又はアリーロキシド、Al(acac)3,Al(oxin)3
などのアルミニウムのキレート化合物,などのアルミニ
ウムの化合物類;Ga(OAc)3,Ga(OBz),GaO(OAc),Ga
(OH)(OAc)2などのガリウムのカルボン酸塩、GaF3,GaCl
3などのガリウムのハロゲン化物、Ga2(SO4)3などのガリ
ウムの無機酸塩、KGa(SO4)2,(NH4)〔GaF6〕などのガリ
ウムの錯化合物、Ga2O3などのガリウムの酸化物、Ga(O
H)3などのガリウムの水酸化物、(CH3)3Ga,Ph3Gaなどの
有機ガリウム化合物、Ga(OCH3)3,Ga(OPh)3などのガリ
ウムのアルコキシド又はアリーロキシド、Ga(acac)3
どのガリウムのキレート化合物、などのガリウムの化合
物類;In(OAc)3などのインジウムのカルボン酸塩、In
F3,InCl3などのインジウムのハロゲン化物,In2(C
O3)3,In(NO3)3などのインジウムの無機酸塩、In2O3
どのインジウムの酸化物、(C2H5)3In,Ph3In,Ph2InCl
などの有機インジウム化合物、In(acac)3などのインジ
ウムのキレート化合物,などのインジウムの化合物類;
Ge(OAc)4,Ge(OBz)4などのゲルマニウムのカルボン酸
塩、GeF2,GeF4,GeCl2,GeCl4などのゲルマニウムのハ
ロゲン化物、GeO2などのゲルマニウムの酸化物、Ge(OH)
2,Ge(OH)4などのゲルマニウムの水酸化物、(C2H5)4G
e,Ph4Ge,(C4H9)2GeX2,Ph3GeX,Ph2GeX2,〔(C4H9)2G
eO〕n,〔Ph2GeO〕n,などの有機ゲルマニウム化合物、
Ge(OCH3)4,Ge(OPh)4などのゲルマニウムのアルコキシ
ド又はアリーロキシド、Ge(acac)2Cl2などのゲルマニウ
ムのキレート化合物、K〔GeF3〕,(NH4)2〔GeCl6〕な
どのゲルマニウムの錯化合物,などのゲルマニウムの化
合物類;Sn(OAc)2,Sn(OAc)4,Sn(OBz)2,Sn(OBz)4など
のスズのカルボン酸塩、SnCl2,SnCl4,SnBr4などのス
ズのハロゲン化物,(C4H9)2SnCl2,(C4H9)3SnClなどの
有機スズハライド、(C2H5)4Sn,Ph4Snなどの有機スズ化
合物、(C4H9)2SnO,〔(C4H9)2SnO〕n,〔(C8H17)2SnO〕
n,〔(C4H9)PhSnO〕nなどの有機スズオキシド、(C4H9)2
Sn(OAc)2,ジブチルスズラウレートなどの有機スズのカ
ルボン酸塩、SnO,SnO2などのスズの酸化物、Sn(OH)2,S
n(OH)4などのスズの水酸化物、Sn(OCH3)2,Sn(OCH)3,S
n(OC4H9)4,Sn(OPh)2,Sn(OPh)4(C4H9)2Sn(OCH3)2などのスズ及び有機スズのアルコキシ
ド又はアリーロキシド、SnSO4などのスズの無機酸塩、N
a〔SnF3〕,〔(C2H5)4N〕〔SnCl3〕,Ca〔Sn(OAc)32
などのスズの錯化合物、SnCl2(acac)2などのスズのキレ
ート化合物,などのスズの化合物類;Pb(CAc)2,Pb(OA
c)4,Pb(OBz)2などの鉛のカルボン酸塩、PbCl2,PbC
l4,PbBr2などの鉛のハロゲン化物、PbCO3,2PbCO3・Pb
(OH)2,PbSO4,Pb(SO4)2,Pb(NO3)2などの鉛の無機酸
塩、K2〔PbCl6〕,Na2〔Pb(OH)6〕などの鉛の錯化合
物、PbO,PbO2,Pb3O4などの鉛の酸化物、Pb(OH)2などの
鉛の水酸化物、(C4H9)4Pb、Ph4Pb,(C2H5)3PbCl,Ph3Pb
Cl,(C2H5)2PbCl2,(C2H5)3Pb(OAc)などの有機鉛化合
物、Pb(OCH3)4,Pb(OPh)4,(C4H9)2Pb(OPh)2などの鉛及
び有機鉛のアルコキシド又はアリーロキシド,などの鉛
の化合物類;Ti(OCH3)4,Ti(OC4H9)4,Ti(OPh)4などの
チタンのアルコキシド又はアリーロキシド、TiCl2,TiC
l4,TiF4,TiBr2などのチタンのハロゲン化物、Ti(NO3)
4,Ti2(SO4)3などのチタンの無機酸塩、K2〔TiF6〕,(N
H4)2〔TiCl6〕などのチタンの錯化合物、TiO,TiO2など
のチタンの酸化物、(PhCH2)3TiCl,(PhCH2)2Ti(OC
2H5)2,Ti(π-C5H5)2,TiCl2(π-C5H5)2,Ti(CH3)2
(π-C5H5)2などの有機チタン化合物,TiO(acac)2など
のチタンのキレート化合物,などのチタンの化合物類;
Zr(OAc)4,Zr(OBz)4などのジルコニウムのカルボン酸
塩、ZrF4,ZrCl4,ZrBr4などのジルコニウムのハロゲン
化物、Zr(SO4)2,Zr(NO3)2Oなどのジルコニウムの無機
酸塩、K2〔ZrF6〕,〔(C2H5)2NH22〔ZrCl6〕,〔ZrCl
4(CH3CN)2〕などのジルコニウムの錯化合物、ZrO2など
のジルコニウムの酸化物、Zr(OC4H9)4,Zr(OPh)4などの
ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ZrCl
(CH2Ph)3,Zr(C4H9)4,ZrCl2(CH3)2,〔ZrCl(π-C5H5)
22O,ZrCl2(π-C5H5),Zr(OAc)3(π-C5H5),ZrH
2(π-C5H5)2などの有機ジルコニウム化合物、Zr(acac)
4などのジルコニウムのキレート化合物,などのジルコ
ニウムの化合物類などが挙げられる(ここで、Acはアセ
チル基を、Bzはベンゾイル基を、enはエチレンジアミン
を、Phはフエニル基を、acacはアセチルアセトンを、ox
inは8−キノリノールをπ-C5H5はπ配位したシクロペ
ンタジエニル基を、またXはハロゲン、アルコキシ基、
アリーロキシ基を表わす)。
これらの触媒は1種用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。また、これらの触媒の使用量は、
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エ
ステルに対して、通常0.00001〜10重量%、好ましくは
0.00005〜5重量%の範囲で選ばれる。さらに、これら
の触媒の中で、特に、Zn,Al,Sn,Ti及びそれらの化合物
が好ましく用いられる。
本発明方法において原料として用いることのできる芳香
族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステルは、
一般式 で表わされるものである。
前記式(I)におけるR1びR2は、それぞれ炭素数1〜6
の低級アルキル基又はシクロアルキル基を表わし、例え
ば、メチル、エチル、プロピル(各種)、ブチル(各
種)、アルミ(各種)、ヘキシル(各種)のような低級
アルキル基、シクロプロピル、シクロペンチル、メチル
シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜6の
シクロアルキル基などである。またこれらの低級アルキ
ル基又はシクロアルキル基は、反応に悪影響を及ぼさな
い置換基、例えばハロゲン原子、低級アルコキシ基、ニ
トリル基、エステル基などの置換基を有するものであつ
てもよいし、さらには不飽和結合を有するものであつて
もよい。R1とR2は、同一であつても、異なつていてもよ
いが、原料の調製の容易さなどの点から、同一の方がよ
り好ましい。
Arは芳香族ジヒドロキシ化合物の2価の芳香族残基を表
わすが、このような芳香族基としては例えば、フエニレ
ン(各種)、ナフチレン(各種)、ビフエニレン(各
種)、ピリジレン(各種)、一般式 −Ar1−Z−Ar2− …(IV) で表わされる2価の芳香族基などが挙げられる。ここ
で、Ar1及びAr2は同一であつても、異なつていてもよい
2価の芳香族基であつて、例えば、フエニレン(各
種)、ナフチレン(各種)、ビフエニレン(各種)、ピ
リジレン(各種)などの基を表わす。Zは単なる結合、
又は−O−,−CO−,−S−,−SO2−,−CO2−,−CO
N(R3)−, などの2価の基を表わす(ここでR3、R4,R5,R6は同一
であつても異なつていてもよく、水素、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基を表わし、k
は3〜11の整数を表わし、上式 の水素原子は、低級アルキル基、アリール基、ハロゲン
等で置換されていてもよい。)。
さらには、このような2価の芳香族基(Ar,又はAr1,Ar
2)において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を
及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、フエニル基、フエノキシ
基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニト
ロ基などによつて置換されたものであつてもよい。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭
酸エステルは、いかなる方法で製造されたものであつて
もよく、例えば、相当する芳香族ジヒドロキシ化合物と
ジアルキルカーボネートとの反応や、芳香族ジヒドロキ
シ化合物又はそのアルカリ金属塩とハロゲン化ギ酸アル
キルエステルとの反応などによつて容易に得られる。し
かしながらこのような方法によつて得られた重合原料中
に、芳香族ヒドロキシル化合物が所定量以上残存してい
る場合には、アルカリ水溶液で洗浄することによつて芳
香族ヒドロキシル化合物をアルカリ金属塩として水溶液
中に抽出分離したのち、乾燥するなどの方法によつて、
芳香族ヒドロキシル化合物を所定量以下にすることが必
要である。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル炭
酸エステルとしては、例えばビスメチル炭酸エステルと
して、4−ヒドロキシフエノールのビス(メチルカーボ
ネート)、3−ヒドロキシフエノールのビス(メチルカ
ーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニル)
−ブタンのビス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒ
ドロキシフエニル)−メタンのビス(メチルカーボネー
ト)、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニ
ル)−プロパンのビス(メチルカーボネート)、2,2−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)−プ
ロパンのビス(メチルカーボネート)、ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフエニル)−スルホンのビス
(メチルカーボネート)、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフエニル)−エーテルのビス(メチルカーボ
ネート)、4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノンのビス
(メチルカーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フエニル)−エタンのビス(メチルカーボネート)、1
−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−プ
ロパンのビス(メチルカーボネート)、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフエニル)−シクロヘキサンのビス(メチ
ルカーボネート)、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)−シクロヘキサンのビス(メチルカ
ーボネート)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,5,5′−トリメチルシクロヘキサンのビス(メチル
カーボネート)、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)−3,5,5′−トリメチルシクロヘキサ
ンのビス(メチルカーボネート)1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル−シクロドデカンのビス(メチルカーボ
ネート)、ビス(4−ヒドロキシフエニル)−フエニル
メタンのビス(メチルカーボネート)、ビス(4−ヒド
ロキシフエニル)−ナフチルメタンのビス(メチルカー
ボネート)、ビス(4−ヒドロキシフエニル)−(4−
イソプロピルフエニル)−メタンのビス(メチルカーボ
ネート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−プ
ロパンのビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフエニル)−ブタンのビス(メチルカーボ
ネート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−ヘ
キサンのビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(3,5
−ジクロロ−4−ヒドロキシフエニル)−プロパンのビ
ス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフエニル)−ペンタンのビス(メチルカーボネー
ト)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−ノナン
のビス(メチルカーボネート)、ジフエニル−ビス(4
−ヒドロキシフエニル)−メタンのビス(メチルカーボ
ネート)、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
エニル)−ペンタンのビス(メチルカーボネート)、4,
4−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−ヘプタンのビス
(メチルカーボネート)、1−ナフチル−1,1−ビス
(4−ヒドロキシフエニル)−エタンのビス(メチルカ
ーボネート)、1−フエニル−1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフエニル)−エタンのビス(メチルカーボネー
ト)、2−シクロヘキシル−4−(4−ヒドロキシフエ
ニル)イソプロピルフエノールのビス(メチルカーボネ
ート)、2−メトキシ−4−(4−ヒドロキシフエニ
ル)イソプロピルフエノールのビス(メチルカーボネー
ト)、1,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−エタン
のビス(メチルカーボネート)、2,2−ビス(3−クロ
ロ−4−ヒドロキシフエニル)−プロパンのビス(メチ
ルカーボネート)、2−イソプロピル−4−(4−ヒド
ロキシフエニル)イソプロピルフエノールのビス(メチ
ルカーボネート)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフエニル)−プロパンのビス(メチルカーボネー
ト)、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフエ
ニル)−プロパンのビス(メチルカーボネート)、1,10
−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−デカンのビス(メ
チルカーボネート)、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒド
ロキシフエニル)−メタンのビス(メチルカーボネー
ト)2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフエニ
ル)−プロパンのビス(メチルカーボネート)、1,1−
ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフエニル)−シ
クロヘキサンのビス(メチルカーボネート)、ビス(4
−ヒドロキシフエニル)スルフイドのビス(メチルカー
ボネート)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフエニ
ル)スルフイドのビス(メチルカーボネート)、ビス
(4−ヒドロキシフエニル)スルホキシドのビス(メチ
ルカーボネート)、ビス(4−ヒドロキシフエニル)−
スルホンのビス(メチルカーボネート)、ビス(3−ク
ロロ−4−ヒドロキシフエニル)−スルホンのビス(メ
チルカーボネート)、エチレングリコール−ビス(4−
ヒドロキシフエニル)エーテルのビス(メチルカーボネ
ート)、1,4−ビス(4−ヒドロキシフエニル)−ブタ
ンのビス(メチルカーボネート)、1,4−ビス(4−ヒ
ドロキシフエニルイソプロピル)−ベンゼンのビス(メ
チルカーボネート)、1,4−ビス(3−クロロ−4−ヒ
ドロキシフエニル)−ベンゼンのビス(メチルカーボネ
ート)、ビス(4−ヒドロキシフエニル)エーテルのビ
ス(メチルカーボネート)、1,4−ビス(4−ヒドロキ
シフエノキシ)−ベンゼンのビス(メチルカーボネー
ト)、1,4−ビス(4−ヒドロキシフエニルメチル)−
ベンゼンのビス(メチルカーボネート)、1,4−ビス
(4−ヒドロキシフエニルスルホニル)−ベンゼンのビ
ス(メチルカーボネート)、ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフエニル)−メタンのビス(メチルカーボ
ネート)、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフエ
ニル)−スルフイド、ビス(メチルカーボネート)、3,
3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシベンゾ
フエノンのビス(メチルカーボネート)などが挙げられ
る。
また、前記のビスメチル炭酸エステルのメチル基をエチ
ル基に代えたビスエチル炭酸エステル類、各種プロピル
基に代えたビスプロピル炭酸エステル類、各種ブチル基
に代えたビスブチル炭酸エステル類、各種アミル基に代
えたビスアミル炭酸エステル類、各種ヘキシル基に代え
たビスヘキシル炭酸エステル類などの炭素数2〜6のア
ルキル基を有するものや、シクロペンチル基に代えたビ
スシクロペンチル炭酸エステル、シクロヘキシル基に代
えたビスシクロヘキシル炭酸エステルなどの炭素数3〜
6のシクロアルキル基を有するものも用いることができ
る。
さらには、アルキル基が異なるジアルキル炭酸エステル
類、例えば前記のビスメチル炭酸エステル類において、
一方のメチル基をエチル基、各種プロピル基、各種ブチ
ル基、シクロヘキシル基などのメチル基以外の炭素数2
〜6のアルキル基又はシクロアルキル基で代えた非対称
のジアルキル炭酸エステル類も用いることができる。
これらのビスアルキル炭酸エステル類はそれぞれ単独で
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。また、これらのビスアルキル炭酸エステル類におい
て、芳香族ジヒドロキシ化合物の芳香族残基が異なる2
種以上のビスアルキル炭酸エステル類を用いる場合は、
これらの2種以上の骨格を有する共重合体である芳香族
コポリカーボネートが得られる。
本発明方法において、自己重縮合反応を実施する際の反
応温度及び反応時間については、原料である芳香族ジヒ
ドロキシ化合物のビスアルキル炭酸エステルの種類、使
用する触媒の種類や量、製造するポリカーボネートの所
望重合度の程度、あるいは他の反応条件などによつて異
なるが、通常20〜350℃、好ましくは120〜320℃の範囲
の温度において、通常数分ないし数十時間、好ましくは
10分ないし30時間程度加熱することによつて、自己重縮
合反応が行われる。
また、該自己重縮合反応は、溶媒を用いずに実施しても
よいし、あるいは反応に不溶性で、かつ生成するポリカ
ーボネートに対して溶解力の大きな溶媒、例えば塩化メ
チレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジフエニルメタンなどを用いて実施し
てもよいが、通常は無溶媒で行われる。
さらに、本発明方法において、該自己重縮合反応を行う
際には、反応で生成するジアルキルカーボネートを反応
系外に除去することが重合速度を高める上で好ましく、
そのためには、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸
化炭素などの不活性ガスを反応系中に導入して、生成す
るジアルキルカーボネートを同伴させる方法や、減圧下
に反応を行う方法、及びこれらを併用した方法などが好
ましく用いられる。
該反応を行うに当つて、反応器は回分式でも流通式でも
よい。また、多段の反応器を用いて流通反応を行う場合
には、各反応器ごとに温度変化をつけてもよいし、減圧
下で実施する場合にはその減圧度を変化させて行つても
よい。
発明の効果 芳香族ポリカーボネートの既存の工業的製法であるホス
ゲン法においては、塩化ナトリウムなどの電解質や塩素
を含む副生物が生成し、これらの不純物が必然的に樹脂
中に含まれている。これらの不純物は樹脂物性に悪影響
を及ぼすので、ホスゲン法においては樹脂中のこれらの
含有量を低下させるために、複雑で費用のかかる洗浄や
除去工程を実施しているが、これらの不純物を完全に除
去することは不可能である。
これに対して、本発明方法で得られる芳香族ポリカーボ
ネートには、このような不純物は全く存在しないので、
品質的に優れているだけでなく、当然のことながら、こ
れらを分離する面倒な工程が不要であるため、本発明方
法は工業的に有利である。
また、本発明方法は、該自己重縮合反応を、通常溶媒を
使用せずに実施しうることから、ホスゲン法のように、
大量の溶媒の分離、回収といつた複雑な工程を必要とし
ないため、この点からも工業的に有利な方法といえる。
さらに、いわゆるエステル交換反応や芳香族ジヒドロキ
シ化合物のビスアリール炭酸エステルの自己重縮合反応
の場合には、反応活性を有し、かつ高沸点のフエノール
類やジアリールカーボネートを高温、高真空下で除去し
なければならないが、これに対し、本発明方法は、副生
物が反応活性の低い中性、かつ低沸点の低級ジアルキル
カーボネートであるので、この副生物を反応系外に容易
に除去しうる点からも、工業的に極めて有利である。
実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明はこれらの例によつてなんら限定されるものではな
い。
なお、分子量は重量平均分子量(Mw)の値で示した。ま
た、重合反応装置は、脱酸素及び乾燥に十分留意し、か
つ反応中の酸素や水などの混入をできるだけ少なくする
ように工夫したものを用いた。
さらに、生成物中の芳香族ヒドロキシル基の量の測定
は、NMR分析、IR分析などによつて行い、そのモル%は
−OH/−Ar−)の値を示した。
実施例1 (1) ビスフエノールAのビスメチル炭酸エステル 2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロパン(ビス
フエノールA)228g、ジメチルカーボネート3Kg、ジブ
チルスズオキシド5gをオートクレーブに入れ、反応温度
を160℃まで上げたのち、かきまぜ下に、反応圧力を7Kg
/cm2に保つたままで、乾燥窒素ガスを500Nl/hrの速度で
液中にバルブさせながら、生成するメタノール及び同伴
してくるジメチルカーボネートを留出させた。同時にジ
メチルカーボネートを別のノズルから300g/hrの速度で
オートクレープに供給した。10時間後、冷却し、反応液
を分析した結果、ビスフエノールAの反応率は99.5%
で、ビスフエノールAのビスメチル炭酸エステルが収率
95%、中間体であるビスフエノールAのモノメチル炭酸
エステルが4.5%生成していた。反応液を希アルカリ水
溶液で洗浄することによつて、少量の未反応のビスフエ
ノールA、及びビスフエノールAのモノメチル炭酸エス
テルをほぼ完全に除去した。次いで、ジメチルカーボネ
ート及び水を留去することによつて、芳香族ヒドロキシ
ル基を有する化合物及び水が実質的に存在していないビ
スフエノールAのビスメチル炭酸エステルが得られた。
これをヘキサンで再結晶することによつて触媒を含まな
い高純度のビスフエノールAのビスメチル炭酸エステル
310gを得た。
このものの中に存在する芳香族ヒドロキシル化合物の量
は0.1モル%以下であつた。
(2) ビスフエノールAのポリカーボネートの合成 前記で製造したビスフエノールAのビスメチル炭酸エス
テル34.4g(0.1モル)、ジブチルスズオキシド10mgを、
かきまぜ装置、温度計、圧力計付の反応装置に入れ、こ
れを加熱浴で230〜240℃に加熱した。この間、系内を徐
々に減圧にしていき、最終的には50mmHgに保つた。反応
の進行に伴い、留出してくるジメチルカーボネートは、
ドライアス−アセトン浴で冷却してトラツプした。この
反応の2時間、5時間、7時間後の結果を第1表に示
す。なお、ポリカーボネートの分子量は、メチレンクロ
リド−テトラヒドロフラン溶液のGPC分析によつて測定
した。
得られたビスフエノールAのポリカーボネートは無色透
明であり、もちろん、塩素イオン及び塩素を含む化合物
は存在していなかつた。
比較例1 実施例1の(1)で製造したビスフエノールAのビスメ
チル炭酸エステル34.4g(0.1モル)、ジブチルスズオキ
シド10mgに、芳香族ヒドロキシル基を有する化合物とし
てビスフエノールA0.7g(約3ミリモル)を加えて、実
施例1と同様な方法(220〜230℃、50mmHg)によつて重
合を行つた。その結果を第2表に示す。
この比較例は重合原料中にビスフエノールAが約3モル
% (−OHとして に対して約5.8モル%) 存在するために、重合中、系中に約6モル%のヒドロキ
シル基が存在し、重合度が上がらないことを示してい
る。
実施例2〜4 反応温度、反応圧力を変えた以外は実施例1と同様な方
法によつて、実施例1の(1)で製造したビスフエノー
ルAのビスメチル炭酸エステルの自己縮合反応を5時間
行つた。その結果を第3表に示す。いずれもヒドロキシ
ル基の存在量は0.3モル%以下であつた。
比較例2 比較例1で用いたのと同じ組成の原料を用いて実施例4
と同様な条件下で重合反応を行つたが、生成物の平均分
子量Mwは、3,800にすぎなかつた。なお、ヒドロキシル
基の存在量は約6モル%であつた。
実施例5 (ビスフエノールAのビスエチル炭酸エステル ビスフエノールA228g、ジエチルカーボネート4Kg、ジブ
チルスズラウレート10gをオートクレーブに入れ、実施
例1の(1)と同様な方法で反応を行つた。なお、この
場合はジエチルカーボネートを350g/hrで供給し、反応
圧力は5Kg/cm2に保つて行つた。15時間後、反応を停止
し、反応液を分析した結果、ビスフエノールAの反応率
は99.8%で、ビスフエノールAのビスエチル炭酸エステ
ルが収率96%、中間体であるビスフエノールAのモノエ
チル炭酸エステルが3.8%生成していた。実施例1と同
様な方法により精製することによつて、ビスフエノール
A、及びビスフエノールAのモノエチル炭酸エステルの
合計が0.1モル%以下の高純度のビスフエノールAのビ
スエチル炭酸エステル340gを得た。
(2) ビスフエノールAのポリカーボネートの合成 前記で製造したビスフエノールAのビスエチル炭酸エス
テル37.2g(0.1モル)、酢酸スズ8mgを実施例1で用い
たのと同様な反応装置に入れ、280℃、5mmHgの条件下で
5時間かきまぜながら反応させた結果、平均分子量35,0
00のビスフエノールAのポリカーボネートが、ほぼ定量
的に得られた。なおヒドロキシル基の存在量は0.4モル
%以下であつた。
比較例3、実施例6 実施例5の(1)で製造したビスフエノールAのビスエ
チル炭酸エステル37.2g(0.1モル)、酢酸スズ8mg、及
び芳香族ヒドロキシル基を有する化合物としてビスフエ
ノールAのモノエチル炭酸エステルを所定量添加して、
実施例5と同様な方法によつて重合を行つた。その結果
を第4表に示す。
実施例7〜16 ビスフエノールAの代りに種々の芳香族ジヒドロキシ化
合物を用いて、実施例1の(1)と同様な方法によつ
て、芳香族ヒドロキシル基を有する化合物を実質的に含
まない高純度の対応するビスメチル炭酸エステルを得
た。これらのビスメチル炭酸エステルを原料として、実
施例3と同様な方法によって自己縮合反応を行つた。そ
の結果は第5表に示す。得られた芳香族ポリカーボネー
トは、素原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対応する骨
格構造を有するものであつた。
なお、いずれの場合も、芳香族ヒドロキシル基の存在量
は0.5モル%以下であつた。
実施例17 実施例1の(1)で製造したビスフエノールAのビスメ
チル炭酸エステル34.4g(0.1モル)、酢酸亜鉛5mgを用
い、実施例1と同様な装置を用いて、290℃、20mmHgの
条件下で6時間反応させた結果、平均分子量(Mw)が4
5,000の無色透明なポリカーボネートが定量的に得られ
た。
実施例18〜26 実施例1の(1)で製造したビスフエノールAのビスメ
チル炭酸エステル34.4g、及び各種触媒を用いて実施例1
6と同様な方法によつて、ビスフエノールAのポリカー
ボネートを得た。その結果を第6表に示す。
なお、いずれの場合も、芳香族ヒドロキシル基の量は0.
6モル%以下であった。
実施例27 実施例1の(1)で製造したビスフエノールAのビスメ
チル炭酸エステル34.4g、ブチルスズトリメトキシド5mg
を用い、200〜240℃で3時間、250〜280℃で5時間かき
まぜながら反応させた。この例では減圧にする代りに、
脱酸素し、250〜260℃に加熱した乾燥アルゴンを10Nl/h
rで導入した。得られたビスフエノールAのポリカーボ
ネートの平均分子量(Mw)は31,000であつた。重合後の
芳香族ヒドロキシル基の存在量は0.5モル%以下であつ
た。
実施例28 実施例1の(1)で製造したビスフエノールAのビスメ
チル炭酸エステル17.2g、実施例15で使用したビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフエニル)スルホン21.1
g、ジブチルスズジメトキシド10mgを用いて、280℃、10
mmHgの条件下で5時間反応させた結果、平均分子量(M
w)が約32,000で、(A)及び(B)がほぼ1対1の成
分から成るランダムなコポリカーボネートが得られた。
なお、いずれの場合も、芳香族ヒドロキシル基の量は0.
6モル%以下であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中のR1及びR2はそれぞれ炭素数1〜6の低級アルキ
    ル基又はシクロアルキル基であり、それらは同一であつ
    てもよいし、たがいに異なつていてもよく、Arは2価の
    芳香族基である) で表わされる芳香族ジヒドロキシ化合物のビスアルキル
    炭酸エステルを自己重縮合させて、芳香族ポリカーボネ
    ートを製造するに当り、周期律表のIIB、IIIB、IVA及び
    IVB族に属する金属元素及びその化合物の中から選ばれ
    た少なくとも1種の触媒の存在下、かつ芳香族ヒドロキ
    シル化合物が実質的に存在しない条件下で、反応させる
    ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】触媒がZn、Al、Sn、Ti及びこれらの化合物
    の中から選ばれた少なくとも1種である特許請求の範囲
    第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】芳香族ヒドロキシル基を含む化合物又は反
    応条件下で芳香族ヒドロキシル基を生成する化合物が実
    質的に存在しない原料を用いて重縮合反応させる特許請
    求の範囲第1項又は第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】一般式(I)におけるR1及びR2がメチル基
    又はエチル基である特許請求の範囲第1項、第2項又は
    第3項記載の方法。
  5. 【請求項5】芳香族ジヒドロキシ化合物が2,2−ビス
    (4−ヒドロキシフエニル)プロパンである特許請求の
    範囲第1項、第2項、第3項又は第4項記載の方法。
JP3578387A 1987-02-20 1987-02-20 芳香族ポリカーボネートの製造方法 Expired - Lifetime JPH07697B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3578387A JPH07697B2 (ja) 1987-02-20 1987-02-20 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3578387A JPH07697B2 (ja) 1987-02-20 1987-02-20 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63205318A JPS63205318A (ja) 1988-08-24
JPH07697B2 true JPH07697B2 (ja) 1995-01-11

Family

ID=12451498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3578387A Expired - Lifetime JPH07697B2 (ja) 1987-02-20 1987-02-20 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07697B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03160021A (ja) * 1989-11-17 1991-07-10 Daicel Chem Ind Ltd ポリカーボネートの製造法
US5807964A (en) * 1997-03-17 1998-09-15 General Electric Company Process for the preparation of polycarbonates
WO2013147094A1 (ja) * 2012-03-30 2013-10-03 三菱化学株式会社 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63205318A (ja) 1988-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1294793B9 (en) Method for preparing high molecular weight polycarbonate
US5151491A (en) Catalytic melt condensation preparation of polycarbonate
JPH0794546B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法及びそれによって得られた結晶性芳香族ポリカーボネート粉体
JP3724905B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH04285632A (ja) 溶媒を含まないポリカーボネートの製造のための方法
EP1307421B1 (en) Process for the synthesis of diaryl esters of dicarboxylic acids
JPH07697B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
EP1268605B1 (en) Salts of non-volatile acids as polymerization catalysts
JPH0699551B2 (ja) 芳香族ポリカ−ボネ−トの製造法
JPH0699553B2 (ja) 芳香族ポリカ−ボネ−トの製法
US6300460B1 (en) Mixed dialkali metal salts of sulfuric acid containing at least one cesium equivalent as polymerization catalysts
JPH0826142B2 (ja) ポリカーボネートの製造法
US5854374A (en) Phosphonium borohydride compound and process for producing polycarbonate using said compound
JP3959572B2 (ja) 芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂
JP3188062B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートおよびその製造方法
KR100576223B1 (ko) 폴리카보네이트 수지의 제조방법
JP3341457B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP4149602B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体と、その製造方法
JP3302431B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH1067850A (ja) ポリカーボネートの製造方法
KR100529366B1 (ko) 폴리카보네이트 수지의 제조방법
JP3160113B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2006504782A (ja) 1,1−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−メチルフェニル)シクロヘキサンの精製方法及びそれからポリカーボネートを製造する方法
JP2680678B2 (ja) ポリカーボネートの製造法
JPH06329785A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法