JPH069929A - オルガノシリコーン組成物 - Google Patents

オルガノシリコーン組成物

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JPH069929A
JPH069929A JP5038714A JP3871493A JPH069929A JP H069929 A JPH069929 A JP H069929A JP 5038714 A JP5038714 A JP 5038714A JP 3871493 A JP3871493 A JP 3871493A JP H069929 A JPH069929 A JP H069929A
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ディー.ボールドマン ラリー
Kurt C Melancon
シー.メランコン カート
Phat T Pham
ティー.ファム ファット
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Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は剥離層を形成するためのシリコーン
組成物についてであり、またこの組成物の層を有する支
持体に関する。 【構成】 本発明のシリコーン組成物はヒドロシリル化
反応(hydrosilation reactio
n)によって硬化するものであって、(a)珪素原子に
結合した少なくとも2個のエチレン性不飽和炭化水素基
を有するオルガノポリシロキサン、(b)オルガノ水素
化ポリシロキサン架橋剤(c)ヒドロシリル化触媒及び
(d)4から12個の炭素原子である複数のエチレン性
不飽和基を含む約1から75重量%のシリコーン成分
で、このシリコーン成分の中でT−単位はシロキサン単
位の全数の約25から90モル%を含有する組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は剥離層を製造するための
シリコーン組成物に関し、またこの組成物の層を有する
基材に関する。特に、本発明はヒドロシリル化反応(h
ydrosilation reaction)によっ
て硬化できる溶剤を含まないシリコーン組成物に関し、
更にこの組成物から得られた剥離塗料は改善された硬化
速度、改善された剥離及び改善された支持体への被着の
組み合せに関与するシリコーン成分を含有していること
に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコーン組成物は、支持体に粘着しな
い接着材料として使用されている。このようなシリコー
ン組成物は一般にエチレン性不飽和オルガノシロキサ
ン、オルガノ水素化シロキサン及びヒドロシリル化反応
における硬化の触媒との混合物を含んでいる。このシリ
コン組成物を有する支持体は、このシリコン組成物を硬
化するに要する加熱に対して不安定であり、またシリコ
ン組成物は十分に支持体に被着することができないの
で、このような多くのシリコーン組成物は使用すること
ができない。
【0003】米国特許第4,609,574号には、高
温においてより急速に又は低温において遅く硬化する硬
化性シリコン塗料組成物が開示されている。この組成物
は、(A)全有機基の90から99.5%はメチル基で
ありそして全有機基の0.5から10%はビニル基又は
式−R(CH2 m CH=CH2 であり、(ここでRは
(CH2 n 若しくは(CH2 p CH=CH−を表わ
し、mは1,2若しくは3の整数を表わし、nは3若し
くは6の整数を表わし、そしてpは3,4若しくは5の
整数を表す。)、但し少なくとも50モル%の不飽和基
は高級アルケニル基であり、(B)効果量のヒドロシリ
ル化金属触媒、(C)(A)と相溶性のメチル水素化シ
ロキサン架橋剤であって、そして1分子について少なく
と平均3個の珪素に結合した水素原子を有し、そして
(D)ヒドロシリル化金属触媒の効果量の抑制剤を含有
し、そしてこの組成物は組成物中の各不飽和基に対して
0.8から1.5個の珪素に結合した水素原子を含んで
いる。ポリジオルガノシロキサンは、例えばSiO2
びRSiO3/2 の如き非線状シロキサン単位を微量含む
ことができることも併せて開示している。
【0004】米国特許第4,726,964号には、剥
離紙を感圧接着テープに適用して一時式に不用意な貼着
から保護し、ここで剥離紙の剥離塗料中の少量のオルガ
ノポリシロキサンが粘着表面に移行し、接着剤の粘着性
を低下させる原因になることを明らかにしている。更
に、この移行の問題は、次に示す一般式の非線状オルガ
ノ水素化ポリシロキサンを使用してヒドロシリル化によ
って硬化されるシリコーン剥離組成物により解決するこ
とができると述べている。
【化1】 ここでRはお互いに独立して脂肪族の不飽和基を含まな
い置換又は非置換の1価炭化水素基を表わし、そしてm
及びnは正の整数を表わし、但しn/mの比は0.1よ
り大きいが3よりは小さい。シリコン組成物中の脂肪族
不飽和炭化水素1モルについて、珪素原子に直接結合し
た水素原子を0.5から5モルになるような量で、非線
状オルガノ水素化ポリシロキサンを使用する。
【0005】米国特許第4,611,042号には、中
程度の剥離を提供するために樹脂状共重合体成分をシリ
コン組成物中に加えて用いることが開示されている。こ
の成分はキシレンに可溶な共重合体であって、トリメチ
ルシロキシ単位、アルケニルジメチルシロキシ単位及び
SiO2 単位から実質的になり、そしてトリメチルシロ
キシ単位に対するアルケニルジメチルシロキシ単位のモ
ル比は0.02:1から0.5:1であり、そしてSi
2 単位に対しトリメチルシロキシ単位とアルケニルジ
メチルシロキシ単位の和のモル比は0.6:1から1.
2:1である。
【0006】特開昭63−27560号公報(1988
年2月5日発行)には、(1)一般式Rx y 2 SiO
1/2 (Rz 2 SiO2/2 m w SiO3/2 の分子中に
少なくとも2個の基を含むオルガノポリシロキサン、こ
こでRx はビニル基、アリル基若しくはプロペニル基の
如きアルケニル基、を表わし、Ry ,Rz 及びRw は独
立して水素若しくは少なくともRy とRz の80%はメ
チル基であるアルキル基、そしてmは0と300との間
の整数を表わす、(2)珪素に結合した少なくとも2個
の水素原子を含むメチル水素化ポリシロキサン、及び
(3)触媒として白金若しくは白金化合物を含む剥離塗
料を製造するためのシリコーン組成物が、明らかにされ
ている。
【0007】弱い剥離と急速な硬化特性の塗料を提供で
きるシリコーン組成物、そして剥離層から接着層にオル
ガノポリシロキサンの一部を移行することがない塗料を
提供できる非線状シリコーン成分を含むシリコーン組成
物は公知であるが、硬化速度又は塗料の剥離特性を減少
させることなくして、支持体に良好に被着する剥離塗料
を提供できるシリコーン組成物は依然知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヒドロシリ
ル化反応によって硬化でき、T−単位(例えば、RSi
3/2 単位)を有するエチレン性不飽和シリコーン成分
を含むシリコーン組成物を提供するものである。このT
−単位はエチレン性不飽和シリコーン成分において、シ
ロキサン単位の約25から約90モル%を含む。この組
成物は、塗料の硬化速度及び剥離特性をかなり減少させ
ることなく支持体に良好に被着する。
【0009】この組成物は次の成分を含有する。(a)
珪素原子に結合した少なくとも2個のエチレン性不飽和
炭化水素基を有するオルガノポリシロキサン、(b)オ
ルガノ水素化ポリシロキサン架橋剤、(c)効果的量の
ヒロドシリル化触媒、及び(d)4から12個の炭素原
子である複数のエチレン性不飽和基を含む約1から75
重量%のシリコーン成分で、このシリコーン成分の中で
T−単位はシロキサン単位の全数の約25から90モル
%を含む。
【0010】上に述べた成分(d)の重合体は新規であ
る。成分(d)の重合体は好ましくは次に示す一般式を
有する。
【化2】 ここでR1 はいづれも独立して置換又は非置換の1価ヒ
ドロカルビル基を表わし、好ましくは1から18個の炭
素原子を有する脂肪族基、芳香族炭化水素基そしてこれ
らのハロゲン化誘導体基から選ばれ、aは2から10の
値を有する整数を表わし、bは(b+c+d)における
bのモル%であって約10から約75モル%の値を有
し、cは(b+c+d)におけるcのモル%であって約
25から約90モル%の値を有し、そしてdは(b+c
+d)におけるdのモル%であって0から5モル%の値
を有する。
【0011】b:cの割合は好ましくは約3:1から約
1:10の範囲であり、そしてdの値は好ましくは(b
+c)の値の約5%より少ない。R1 は好ましくはメチ
ル基である。成分(a)及び成分(d)における珪素に
結合した基H2 C=CH(CH2 nの全体数に対し、
成分(b)のオルガノ水素化ポリシロキサン中の珪素に
結合した水素原子の数の割合は、約0.5:1.0から
約5.0:1.0若しくはこれ以上、好ましくは約0.
8:1.0から約2.0:1.0の範囲である。組成物
の約1から約75重量%はT−単位を有するオルガノポ
リシロキサンである。好ましくは組成物の約5から約7
5重量%、より好ましくは約5から約50重量%、そし
て最も好ましくは約5から約20重量%はT−単位を有
するオルガノポリシロキサンである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の組成物は、
(a)珪素原子に結合した少なくとも2個のエチレン性
不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサン、
(b)オルガノ水素化ポリシロキサン架橋剤、(c)効
果的量のヒロドシリル化触媒、及び(d)4から12個
の炭素原子である複数のエチレン性不飽和基を含む約1
から75重量%のシリコーン成分で、このシリコーン成
分の中でT−単位はシロキサン単位の全数の約25から
90モル%を含む、ものを含有する。
【0013】この組成物は成分(a),(b),(c)
及び(d)の混合物の早期ゲル化を阻止する抑制剤を任
意に含んでも良い。上述した各成分(a),(b),
(c)及び(d)は2種又はそれ以上の適当な物質の混
合物を含んでも良いことは理解されよう。
【0014】成分(d)の重合体は次に示す一般式を有
するのが好ましい。
【化3】 ここでR1 はいづれも独立して置換又は非置換の1価ヒ
ドロカルビル基を表わし、好ましくは1から18個の炭
素原子を有する脂肪族基、芳香族炭化水素基そしてこれ
らのハロゲン化誘導体基から選ばれ、aは2から10の
値を有する整数を表わし、bは(b+c+d)における
bのモル%であって約10から約75モル%の値を有
し、cは(b+c+d)におけるcのモル%であって約
25から約90モル%の値を有し、そしてdは(b+c
+d)におけるdのモル%であって0から5モル%の値
を有する。好ましくは組成物の約5から約75重量%、
より好ましくは約5から約50重量%、そして最も好ま
しくは約5から約20重量%はT−単位を有するオルガ
ノポリシロキサンである。
【0015】T−単位という用語は実験式の単位、R1
SiO3/2 を表すのに通常用いられる。T−単位は次に
示す構造式を有する。
【化4】 このものは、R1 SiR2 3(ここでR1 は上で述べたと
おりであり、R2 はハロゲン又はアセテート基の如き加
水分解される基を表わす)を有するシリル化合物の如き
3個の加水分解性基を含むシリル化合物において、加水
分解性シリル化合物の加水分解での重合により得られる
シリコーン重合体の中に存在する。少数のT−単位を含
むシリコーン重合体は典型的には分枝しているが、しか
し多数のT−単位を含むシリコーン重合体は典型的には
環状構造であって、高度に架橋しているか、又は加工し
にくいものになっている。
【0016】D−単位という用語は実験式の単位、R1 2
SiO2/2 を表わすのに通常用いられる。D−単位は次
に示す構造式を有する。
【化5】 このものは、式R1 2SiR2 2(R1 及びR2 は上で述べ
たとおりである)を有するシリル化合物の如き2個の加
水分解性基を含むシリル化合物の如き加水分解性基を含
むシリル化合物において、加水分解性シリル化合物の加
水分解での重合により得られるシリコーン重合体の中に
存在する。
【0017】M−単位という用語は実験式の単位、R1 3
Si1/2 を表わすのに通常用いられる。M−単位は次に
示す構造式を有する。
【化6】 このものは、式R1 3SiR2 (R1 及びR2 は上で述べ
たとおりである)を有するシリル化合物の如き1個の加
水分解性基を含むシリル化合物の如き加水分解性基を含
むシリル化合物において、加水分解性シリル化合物の加
水分解での重合により得られるシリコーン重合体の中に
存在する。シリール化合物の加水分解性混合物における
中で、シリール化合物、R1 3SiR2 、は重合体の停止
剤として働き、加水分解性組成物においてこの濃度がよ
り大きいと、組成物の加水分解によって得られるシリコ
ーン重合体の分子量はより小さいものとなる。
【0018】本発明の組成物の成分(d)として使用す
るのに好ましい式(I)のT−単位を含むエチレン性不
飽和オルガノポリシロキサンは、連鎖停止のM−単位、
2C=CH(CH2 a 1 2SiO1/2 及び環形成の
T−単位、R1 SiO3/2 (ここでa及びR1 はすでに
上で述べたものである)を有する重合体を含有する。
【0019】T−単位を含む本発明の組成物でのエチレ
ン性不飽和オルガノポリシロキサンは、各1個のエチレ
ン性不飽和M−単位について0.33から10個のT−
単位及び約0から約5モル%のD−単位を有する共重合
体である。分析結果によると、T−単位を含む成分の構
造は環状であって、そして例えば次に示す構造式を有す
る物質を含む混合物である。
【化7】
【0020】式(I)のT−単位を含むエチレン性不飽
和オルガノポリシロキサンは種々の方法によって製造す
ることができる。例えば、オルガノ水素化ポリシロキサ
ンは、bモルのHR1 2SiR2 ,cモルのR1 SiR2 3
及びdモルのR1 2SiR2 2を加水分解する良く知られた
方法によって式(HR1 2SiO1/2 b (R1 SiO
3/2 c (R1 2SiO2/2 d (ここでR1 ,R2
b,c及びdは上に述べたとおりである)を有する共重
合体を得るようにして製造することができる。オルガノ
水素化ポリシロキサンは触媒の存在下、式H2 C=CH
(CH2 g CH=CH2 のα,ω−ジエン(ここでg
は0から8の値を有する整数)とヒドロシリル化反応を
行って、式(I)のT−単位を含むエチレン不飽和オル
ガノポリシロキサンを製造することができる。
【0021】一方、式(I)のT−単位を含むエチレン
性不飽和オルガノポリシロキサンは、bモルのH2 C=
CH(CH2 a SiR1 22 ,cモルのR1 SiR2 3
及びdモルのR1 2SiR2/2 (ここでa,b,c,d,
1 及びR2 は上に述べたとおりである)の混合物を酸
触媒で共に加水分解して製造することができる。
【0022】本発明の組成物の成分(a)として使用さ
れる有用なエチレン性不飽和オルガノポリシロキサン
は、好ましくは次の式(II)を有する。
【化8】 ここでR1 は珪素原子に結合し、そして置換及び不置換
の1価ヒドロカルビル基から成る群から選ばれ、好まし
くは1から18個の炭素原子を有する脂肪族基、芳香族
炭化水素基及びこれらのハロゲン置換誘導体から選ばれ
たものであり、R 3 は珪素原子に結合し、そして2から
12個の炭素原子を有するエチレン性不飽和の1価脂肪
族炭化水素基を表わし、eは0から2.995、好まし
くは0.5から2を表わし、fは0.005から2.0
を表わし、そしてeとfの和は0.8から3の数に等し
い。
【0023】本発明において好ましいエチレン性不飽和
オルガノポリシロキサンの例(例えば上記の式II)は、
通常は流体であって、必要ということではないが好まし
くは、例えば水素原子が珪素原子に結合したような水素
(silanic hydrogen)を含まない。式
(II)におけるR1 が表わす基には、例えば、メチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、オクチル及
びドデシルの如きアルキル基、シクロベンチル、シクロ
ヘキシル及びシクロヘプチルの如きシクロアルキル基、
フェニル、ナフチル、トリル及びキシリルの如きアリー
ル基、ベンジル、フェニルエチル及びフェニルプロピル
の如きアルアルキル基、クロロメチル、トリフルオロメ
チル、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロプロ
ピル、クロロフェニル、ジブロモフェニル、テトラクロ
ロフェニル及びジフルオロフェニルの如き前に述べたハ
ロゲン化誘導体の基、並びに3−シアノプロピルの如き
シアノアルキル基が含まれる。
【0024】基R1 は好ましくはメチル基である。更に
式(II)はR1 が前に述べた基を組み合せたものである
物質も含まれる。基R3 は2個の炭素原子の間の二重結
合である不飽和のものを表わす。式(II)におけるR3
によって表わされる基の中には、例えば、ビニル、メタ
リール、ブテニル、ペンテニル及びヘキセニルの如きア
ルケニル基が存在する。
【0025】式(II)に含まれるエチレン性不飽和オル
ガノポリシロキサンは公知であって、本願においてすべ
て引用した、例えば、米国特許第3,882,083
号、同第3,344,111号、同第3,436,36
6号及び同第4,609,574号に開示されている。
これらの製造方法及び市場における入手先はまた知られ
ている。
【0026】式(II)に含まれるエチレン性不飽和オル
ガノポリシロキサンは、1,3−ジビニルテトラメチル
ジシロキサン、1,1,3−トリビニルトリメチルジシ
ロキサン、1,1,3,3−テトラビニルジメチルジシ
ロキサンの如き2個の珪素原子を含むもの、又は1分子
について10,000若しくはそれ以上の珪素原子を含
むものがある。式(II)の好ましい化合物は、25℃に
おいて50から20,000cpsの粘度、好ましくは
200から5,000cpsの粘度を有し、ジメチルシ
ロキシ単位及びメチルアルケニルシロキシ単位を含むア
ルケニルジメチルシロキシ末端ブロックポリオルガノシ
ロキサンであり、ここでアルケニル基はビニル基または
5−ヘキセニル基の如き高級アルケニル基である。
【0027】他の式(II)のエチレン性不飽和オルガノ
ポリシロキサンは、メチルビニルシロキサン、〔(CH
2 =CH)(CH3 )(SiO)〕2 若しくはメチルヘ
キセニルシロキサン、〔(CH2 =CH(CH2
4 (CH3 )(SiO)〕2 (zは3から10の整数を
表わす)の如き珪素に結合したビニル基又は環状三量
体、環状四量体若しくは環状五量体の不飽和基を含む環
状物質が包含される。これらの環状物質の中では、テト
ラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサン及び
テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが好
ましい。
【0028】本発明の組成物の成分(b)として使用さ
れる好ましいオルガノ水素化ポリシロキサン架橋剤は、
好ましくは次に示す式を有する。
【化9】 ここでR1 ,e及びfは上で述べたとおりである。R1
は好ましくはメチル基である。
【0029】式(III )によって表わされるオルガノ水
素化ポリシロキサン架橋剤は、通常は液状のオルガノポ
リシロキサンであり、そして必要なことではないが、好
ましくはオレフィン性不飽和は存在せず、珪素に結合し
た水素を含有する。式(III)によって表わされるオル
ガノ水素化ポリシロキサン化合物は公知のものであっ
て、本願において引用した米国特許第3,344,11
1号及び同第3,436,366号に開示されている。
【0030】式(III )のオルガノ水素化ポリシロキサ
ンは、1分子について10,000個まで又はこれ以上
の珪素原子を含む重合体と同様1,3−ジメチルジシロ
キサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを
含む。式(III )のオルガノ水素化ポリシロキサンは、
また式(CH3 SiHO2/2 z (ここでzは3から1
0の整数を示す)を有するメチル水素化シロキサンの環
状重合体の如き環状物質を含む。式(III )のオルガノ
水素化ポリシロキサンは、水素化シロキサン単位(HS
iO3/2 )、メチル水素化シロキサン単位(HSiCH
3 2/2 )、ジメチル水素化シロキサン単位(HSi
(CH3 2 1/2 )、そして二水素化シロキサン単位
(H2 SiO2/2 )を含んでも良い。
【0031】成分(b)の架橋剤は、架橋剤として効果
的に作用するために1分子について平均2個以上のSi
−H基を有していなくてはならない。一般に、本発明の
シリコーン組成物は、成分(a)及び(d)のエチレン
性不飽和オルガノポリシロキサンのエチレン性不飽和結
合各1モルについて、成分(b)のオルガノ水素化ポリ
シロキサン架橋剤中の珪素に結合した水素が約0.5か
ら約5.0モル又はそれ以上、好ましくは約0.8から
約2.0モル含む。
【0032】ヒドロシリル化触媒は、珪素に結合した水
素原子がオレフィン性二重結合を含む化合物に付加反応
を促進する化合物である。本発明の組成物に好ましいヒ
ドロシリル化触媒の例は、コバルト、ロジウム、イリジ
ウム、ニッケル、パラジウム及び白金の如き多くの遷移
元素、並びにこれらの有機金属錯塩が含まれる。
【0033】好ましい触媒は、微粉砕された白金金属の
ような金属である白金、木炭もしくはアルミナの如き微
粉砕されたキャリャー上の白金金属、米国特許第3,1
59,601号に開示されたもののような白金−オレフ
ィン錯体、米国特許第4,603,215号に開示され
たもののような白金−アルキン錯体、米国特許第3,2
20,972号に開示されたもののような塩化白金酸と
アルコール、エーテル、アルデヒド及びこれらの混合物
から成る群から選ばれたものとの反応生成物、並びに米
国特許第3,715,334号に開示されたもののよう
なエタノール溶液中重炭酸ソーダの存在下塩化白金酸と
テトラビニルシクロテトラシロキサンとの反応生成物が
含まれる。特に好ましい触媒は米国特許第3,419,
593号、同第3,775,452号、同第4,28
8,345号及び同第4,421,903号に開示され
たもののような塩化白金酸と不飽和オルガノシリコーン
化合物とで得られた錯体である。
【0034】この種の触媒の一つの特定な例は、塩化白
金酸とsym−ジビニルテトラメチルジシロキサンとの
反応生成物である。他の特に好ましい触媒は、米国特許
第4,705,765号に開示されたもののような水素
化シリコン又は水素化シロキサンと白金(0)又は白金
(II)錯体との反応によって得られたコロイド状ヒドロ
シリル化触媒である。他には、特に好ましい触媒は、米
国特許第4,530,879号、同第4,510,09
4号及び同第4,600,484号に開示された(η4
−1,5−シクロオクタジエン)ジアリール白金と(η
5 −シクロペンタジエニル)トリ脂肪族白金錯体の如き
化学線(actinic radiation)によっ
て活性化されるものである。
【0035】白金触媒は効果的な量、例えばヒドロシリ
ル化反応に触媒作用を呈するに十分な量で存在しなくて
はならない。全組成物100万重量部について白金が1
重量部の程度の量で存在すると、満足すべき結果が達成
される。他方、全組成物1,000重量部について白金
が1から10重量部の十分な量の白金触媒もまた使用さ
れる。しかしながら、一般に全組成物100万重量部に
ついて1から200重量部の効果的量の白金触媒を用い
るのが好ましい。
【0036】ヒドロシリル化触媒を用いることにより、
配合物の可使時間(pot life)を長くするため
のヒドロシリル化防止剤を用いるのが望ましい。ヒドロ
シリル化防止剤は公知であって、アセチレンアルコー
ル、ポリオレフィンシロキサン、ピリジン、アクリロニ
トリル、有機ホスフィン及びホスフィット、不飽和アミ
ド並びにアルキルマレエートから選択することができ
る。
【0037】本発明の組成物の成分は液体であって、す
べてが好ましくは25℃において5,000センチポイ
ズを超えない粘度を有するもので、この組成物は、
(1)珪素原子に結合した少なくとも2個のエチレン性
不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサン、
(2)4から12個の炭素原子を有する複数のエチレン
性不飽和基を含むシリコーン成分が約1から約75重量
%であって、このシリコーン成分には全シリコーン単位
の約25から約90%のT−単位を含み、(3)オルガ
ノ水素化ポリシロキサン架橋剤、(4)使用するときに
は防止剤及び(5)ヒドロシリル化触媒を単に混合する
ことによって得ることができる。
【0038】組成物の意図する目的に応じて、硬化性組
成物の中に種々の添加剤を加えることができ、細断繊
維、粉砕重合体、タルク、粘土、二酸化チタン及びヒュ
ームドシリカの如き充填剤、顔料又は両者を組成物に加
えることができる。可溶性染料、酸化防止剤又は反応条
件のもと白金錯体の触媒活性を阻害しない他の物質も組
成物に添加することができる。
【0039】組成物を混合しそして使用し易いようにす
るために、分散剤又は溶媒として大気圧において150
℃より低い沸点を有する揮発性シンナー溶剤を約99重
量%まで、更に塗料組成物に加えても良い。例えば1,
000センチポイズ又はこれ以上の高粘度のエチレン性
不飽和オルガノポリシロキサンを用いる場合に、揮発性
シンナー溶剤が有利に使用され、そして塗料組成物の粘
度を減少させるのが望ましい。しかしながら、通常の方
法で組成物を塗布する適度の粘度のポリシロキサンであ
る本発明の組成物を得るには、約5%以下の揮発性シン
ナー溶剤、より好ましくは約10%以下の揮発性シンナ
ー溶剤を用いる。
【0040】組成物は、例えば噴霧、浸漬、ナイフ塗
布、流し塗、ロール塗布等の如き任意の好ましい方法に
よって支持体に塗布される。支持体は、例えばアルミニ
ウム若しくは鋼の如き金属である固体物質、紙、木材若
しくは繊維の如き多孔性物質、ポリエステル、ポリアミ
ド若しくはポリオレフィンの如き有機重合体物質、又は
コンクリート若しくはガラスの如き珪質物から得ること
ができる。
【0041】組成物を塗布した後、例えば加熱又は化学
線に照射する如く使用したヒドロシリル化触媒に適した
条件のもとで硬化を行い、次いで任意には加熱を行う。
例えば、触媒が塩化白金酸とsym−ジビニルテトラメ
チルジシロキサンの反応生成物である場合には、組成物
は室温でゆっくり又は加熱により急速に硬化することが
できる。もし触媒が(PhMe2 SiCp)PtMe3
(ここでPhはフェニル基を表わし、Meはメチル基
を、Cpはシクロペンタジエニル基を表わし、そしてP
tは白金原子を表す)の如き(η5 −シクロペンタジエ
ニル)トリ脂肪族白金の錯体であると、組成物は化学線
に照射して硬化することになる。
【0042】例えば、硬化オルガノシリコーン組成物の
表面から、約0.1N/dm幅より低い値から0.4−
6N/dm幅又はこれ以上の高い値の接着剥離レベルに
増大するような、本発明の硬化オルガノシロキサン組成
物の剥離特性を変えたいと望む場合には、剥離変性剤を
組成物に加えることができる。剥離変性剤は公知のもの
であって、本願において引用した、例えば米国特許第
3,527,659号、同第4,123,604号、及
び同第4,611,042号に開示されているトルエン
可溶性MQ樹脂の如き物質が含まれる。
【0043】本発明の硬化オルガノシロキサン組成物の
層は、感圧接着剤テープ及びトランスファーテープの如
きテープ類の剥離層として使用することができる。トラ
ンスファーテープの場合、少なくとも一つの主要な面の
接着剥離の程度が他の主要な面の接着剥離の程度と異な
るように、好ましくは少なくとも約10%異なるよう
に、テープの少なくとも一つの主要な面が準備される。
このような差異のある接着剥離の程度の関係は、二つ以
上の主要な面を有する物品にもまた適用される。本発明
の硬化オルガノシロキサン組成物の層は、一般に低表面
エネルギーの支持体又は剥離塗膜剤として使用すること
ができる。
【0044】本発明の利点は更に次に示す実施例によっ
て説明されるが、そこでの量は重量部を用いて示す。そ
こに示した特定の物質及び使用量は他の条件及び詳細な
記述は、不当に本発明を限定するべきものではない。
【0045】既に説明したように、エチレン性不飽和オ
ルガノポリシロキサンは公知のものであって、そして本
発明の組成物の成分(a)として使用されるエチレン性
不飽和オルガノポリシロキサンは、例えば米国特許第
3,344,111号、同第3,436,366号、同
第3,882,083及び同第4,609,574号に
開示されている公知の方法によって製造された(CH2
=CH)(CH3 2 SiO〔Si(CH3 2 O〕
130 Si(CH3 2 (CH=CH2 )(以後重合体1
という)及び(5−ヘキセニル)(CH3 2 SiO
〔Si(CH3 )(5−ヘキセニル)O〕3 〔Si(C
3 2 O〕150 Si(CH3 2 (5−ヘキセニル)
(以後重合体2という)である。
【0046】更に、オルガノ水素化ポリシロキサン架橋
剤はよく知られたものであり、そして本発明の組成物の
成分(b)として使用されるオルガノ水素化ポリシロキ
サン架橋剤は、例えば、米国特許第3,344,111
号及び同第3,436,366号に開示されている公知
の方法によって製造された、(CH3 3 SiO〔Si
(CH3 )HO〕35Si(CH3 3 (以下架橋剤1と
いう)及び(CH3 3 SiO〔Si(CH3 )HO〕
25〔Si(CH3 2 O〕15Si(CH3 3(以下架
橋剤2という)である。
【0047】本発明の組成物の成分(c)として使用さ
れるヒドロシリル化触媒はまた公知のものであり、次の
如きである。有機白金錯体、〔Ph(CH3 2 SiC
p〕Pt(CH3 3 (以下触媒1という)、ここでの
Phはフェニル基を表わしそしてCpはη5 −シクロペ
ンタジエニル基を表わし、このものは米国特許第4,5
10,094号に開示された方法を用いて製造した。塩
化白金酸と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサンとの反応生成物(以後触媒2とい
う)を含む触媒は、米国特許第4,288,345号に
開示された方法に従って製造した。
【0048】
【実施例】
〔(CH2 =CH)(CH3 2 SiO1/2 b 〔(C
3 )SiO3/2 c(共重合体1)の分離 X−62−1110B(2273g)(信越化学(株)
から入手)としての高被着性シリコン剥離配合剤を、薄
膜蒸発器を使用し0.1mmで225℃の温度において処
理し、揮発性物質を分離した。蒸留物(695g)を
0.3mmで再度蒸留し、そして125℃と160℃の間
の温度で回収した留分の 1H及び29Siの核磁気共鳴
(NMR)分析によると、1:2の割合で(CH2 =C
H)(CH32 SiO1/2 単位及び(CH3 )SiO
3/2 単位を含む共重合体であった。
【0049】〔H(CH3 2 SiO1/2 b 〔(CH
3 )SiO3/2 c (共重合体2)の製造 磁気攪拌器及び温度計と250ml滴下漏斗を有する2l
の三口丸底フラスコに、水(105g)、2−プロパノ
ール(105g)及び濃(37%)塩酸(210g)を
加えた。1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
(50.0g)及びメチルトリメトキシラン(182.
6g)を滴下漏斗に加え、フラスコ及びその内容物は永
浴で0℃の温度に冷却し、そしてシランの混合物を急速
に攪拌しながら2時間に渡って滴下した。
【0050】反応混合物を10℃の温度に暖め、そして
この得られた混合物を10℃から20℃の温度において
1時間攪拌し、次いで室温(23℃)において3時間攪
拌を行った。この混合物は二層に分離した。水性層を除
去した。透明な有機層を分離し、重炭酸ソーダで飽和し
た水溶液で一回洗い、次いで2回水で洗い、そして硫酸
マグネシウムで乾燥した。得られた混合物を濾過し、そ
して濾過物を0.5mm,30℃の温度で3時間揮発性物
質をストリップすると透明で無色の液体(132.8
g,98%収率)が得られた。この生成物について 1
及び29Si核磁気共鳴分析を行うと、1:2.2の割合
でH(CH3 2 SiO1/2 単位及び(CH3 )SiO
3/2 単位を含む共重合体と確認された。
【0051】〔(5−ヘキセニル)(CH3 2 SiO
1/2 b 〔(CH3 )SiO3/2 c (共重体3a−3
f)の製法 磁気攪拌器及び温度計と上部に滴下漏斗のついた還流冷
却器を有する炉で乾燥した1lの三口丸底フラスコに、
アルゴンを通し、次いで1,5−ヘキサジエン(18
3.3g)を加えた。滴下漏斗には事前に得られた生成
物、即ち共重合体2,〔H(CH3 2 SiO1/2 b
〔(CH3 )SiO3/2 c (b:c=1:2.2,1
30.0g)を加えておき、そしてフラスコとその内容
物を60℃の温度に暖めた。シラン共重合体を活発に攪
拌しながら滴下した。同時に、5mlのヘキサンで希釈し
た塩化白金酸と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサンとの反応生成物(触媒2)20
mgを、1時間に1.0mlの割合でシリンジポンプを使用
して加えた。反応の経過は、赤外線吸収スペクトルによ
り2,160cm-1のシランのバンドの消失を観察して監
視した。
【0052】3時間後、反応が完了し、次いで反応混合
物を室温に冷却し、そしてアクリロニトリル(約5ml)
と粘土(Atlasorb−LVM,5g)を加えて白
金触媒を錯体とした。この混合物を室温で2時間攪拌
し、次いで濾過し、そして過剰の1,5−ヘキサジエン
を源圧下で除去すると、透明で無色の液体(172.5
g,98%収率)が得られた。この生成物について 1
及び29Si核磁気共鳴分析を行うと、1:2.2の割合
で(5−ヘキセニル)(CH3 2 SiO1/2 単位及び
(CH3 )SiO3/2 単位を含む共重合体(共重合体
3c)と確認された。
【0053】同様にして、1:0.7の割合で(5−ヘ
キセニル)(CH3 2 SiO1/2単位及びCH3 Si
3/2 単位を含む共重合体(共重合体 3a)、1:
1.2の割合で含む共重合体(共重合体 3b)、1:
4の割合で含む共重合体(共重合体 3d)及び1:1
0の割合で含む共重合体(共重合体 3e)が得られ
た。次に1,5−ヘキサジエンに代えて1,9−デカジ
エンを用いると、1:2.0の割合で(9−デセニル)
(CH3 2 SiO1/2 単位及びCH3 SiO3/2単位
を含む共重合体(共重合体 3f)が得られた。
【0054】例1 ここでの例は、共重合体1及び共重合体3bを含む溶剤
の存在しないシリコーン組成物の硬化速度を説明する。
(CH2 =CH)(CH3 2 Sio〔Si(CH3
2 O〕130 Si(CH32 (CH=CH2 )(共重合
体1,4.91g/meq C=C),(CH33
iO〔Si(CH3 )HO〕35Si(CH3 3 (架橋
剤1,0.064g/meq Si−H),及び共重合
体1(0.189g/meq C=C)又は共重合体3
b(0.160g/meq C=C)のいづれかを用い
て混ぜ合せ、表1に示された共重合体及びSi−H/C
=Cの官能比を有する配合物を調合した。これらの組成
物(配合物)をここではSFS(Solvent−Fr
eeSilicone)と呼ぶことにする。
【0055】(5−ヘキセニル)(CH3 2 SiO
〔Si(CH3 )(5−ヘキセニル)O〕3 〔Si(C
3 2 O〕150 Si(CH3 2 (5−ヘキセニル)
(重合体2,2.52g/meq C=C),(C
3 3 SiO〔Si(CH3 )HO〕25〔Si(CH
3 2 O〕15Si(CH3 3 (架橋剤2,0.110
g/meq Si−H),及び共重合体1又は重合体3
bのいづれかを同様に混ぜ合せ、そしてこれら組成物
(配合物)をここではFCS(Fast−Cure S
ilicone)と呼ぶことにする。共重合体1又は共
重合体3bのいづれをも含まない比較用配合剤を準備し
た。共重合体1又は共重合体3bが存在する場合には、
混合物の20重量%で存在する。
【0056】これら混合物は〔Ph(CH3 2 SiC
p〕Pt(CH3 3 (触媒1)として200ppm の白
金触媒を含み、そして各混合物を室温において“Bla
ckLight”紫外線源で照射し、このゲル化時間を
表1に示した。
【表1】
【0057】表1のデータによると、ビニル官能共重合
体(共重合体1)は実験を行った条件下では両者の配合
物の硬化の速度が顕著に減少した。SFS配合物の5−
ヘキセニル官能共重合体(共重合体3b)の使用は、硬
化の速度を効果的に示さないが、一方FCS配合物の共
重合体3bの使用は、多少ではあるが硬化の速度を減少
させた。
【0058】例2 ここでの例は、共重合体1又は共重合体3cをFCS配
合物に加え、次いでポリプロピレンフィルムにこの得ら
れた混合物を塗布し、そしてこの塗布物を紫外線に照射
し、次いで加熱を行ってその効果を調べた。例1の方法
に従って、重合体2、架橋剤2及び共重合体1又は共重
合体3cのいづれかを用いて混ぜ合せ、表IIに表すよう
に共重合体及びSi−H/C=C官能価の割合を有する
配合物を準備した。これらの混合物は触媒1の形体であ
る200ppm の白金触媒を含む。例えば、重合体2
(2.52g/meq C=C,5.00g)、架橋剤
2(0.110g/meq Si−H,0.22g)及
び触媒1(2.35mg)を混ぜ合せてFCS配合物を準
備し、このものは1.0のSi−H/C=C官能価の割
合を有するが、しかし共重合体1又は共重合体3cはい
づれも含んでいない。
【0059】また、重合体2(2.52g/meq C
=C,5.00g)、架橋剤2(0.110g/meq
Si−H,0.58g)、共重合体1(0.189g
/meq C=C,0.62g)及び触媒1(2.80
mg)を混ぜ合せてFCS配合物を準備し、この物は1.
0のSi−H/C=C官能価の割合と10重量%の共重
合体1を含んでいた。
【0060】最後に、重合体2(2.52g/meq
C=C,5.00g)、架橋剤2(0.96g/meq
Si−H,0.39g)、共重合体 3c,(0.2
95g/meq C=C,0.60g)、及び触媒1
(2.74mg)を混ぜ合せてFCS配合物を準備し、こ
の物は1.0のSi−H/C=C官能価の割合と10重
量%の共重合体3cを含んでいた。いづれの場合にも、
共重合体1又は共重合体3cを用いたときの濃度は、混
合物の重量を基準にして10%であった。
【0061】得られた組成物を1から2g/m2 の塗布
量で二軸配向したポリプロピレンフィルム(50ミクロ
ンの厚さ)にナイフ塗りを行い、紫外線(全照射300
mJ/cm2 を提供できる120ワットの中圧水銀ランプ
を用いUVプロセッサーを通して30m/min で2回通
す)に照射して硬化し、次いで100℃の温度で5分間
空気炉の中を通して加熱した。
【0062】硬化した各シリコーン塗布膜の剥離値は、
次の処理により測定した。本願で引用した米国特許再発
行第24,906号の例5に開示されたイソオクチルア
クリレート(95.5重量%)−アクリル酸(4.5重
量%)の共重合体を含む感圧接着剤のヘプタン−メチル
エチルケトン溶液を、硬化したシリコーン塗布膜に適用
し、そして70℃において5分間空気炉の中を通して乾
燥すると32g/m2重量の乾燥塗布膜が得られた。
【0063】二軸配向したポリエチレンテレフタレート
(PET,38ミクロンの厚さ)のフィルムを接着剤の
表面に押圧して、感圧接着剤テープとシリコーン塗布の
支持体から成るラミネートを作った。ラミネートを2.
5×25cmのストリップに切断した。dm幅について表
IIに示した平均値は、シリコーン塗布支持体から180
℃の角度及び230cm/min の引張り速度で接着剤で接
着したPETフィルム(例えば、感圧接着テープ)を引
き離すのに要する力を測定したものである。
【0064】感圧接着テープの再接着強さは次のように
して測定した。シリコーン塗布面から引き離した感圧接
着テープを、きれいにしたガラス板の表面に適用した。
dm幅について表IIに示した平均値は、180°の角度
及び230cm/min の引張り速度でガラス表面からテー
プを引き離すのに要した力である。シリコーン塗布面と
は接触させなかったテープをきれいなガラス板に適用
し、そしてガラス板からテープを引き離すのに要する力
を測定し、感圧接着テープの比較再接着強さとした。比
較再接着強さは60N/dm幅であった。
【0065】硬化シリコーン塗布膜のポリプロピレンへ
の被着は、100%の相対湿度、室温で6日間放置した
試料を指でこすって定性的に評価した。被着は次に示す
尺度で示した。1は貧弱、2は中程度、3は良好そして
4は優秀である。
【0066】
【表2】
【0067】FCS系についての最善の結果は、Si−
H/C=C官能価の割合が1.0において得られる。こ
のような条件のもとでは、ビニル官能共重合体1は剥離
値が多少増加しながらポリプロピレン支持体に良く被着
している。Si−HC=Cが1.0の割合である5−ヘ
キセニル官能共重合体3cの使用は、しかしながら安定
な剥離(0.5N/dm又はこれ以下)、優秀な再接
着、そして支持体の剥離塗布膜に十分に被着する。
【0068】例3 このでの例は、共重合体3cをFCS配合物に加え、こ
の得られた混合物をポリプロピレンフィルムに塗布し、
そして加熱により塗布膜を硬化する態様を説明する。
【0069】重合体2、架橋剤2、及び共重合体3cを
例2の方法に従って混ぜ合せ、表III に示した配合物を
用意した。各組成物はSi−H/C=C官能価の割合が
1.1になるように準備した。混合物は、フマル酸ジエ
チル(70重量%)とベンジルアルコール(30重量
%)の混合物1.3重量%を防止剤として、そして触媒
2の形態での白金150ppm を触媒としてそれぞれ含有
していた。この組成物を例2に記載したと同様にして塗
布し、100℃の温度において2分間空気炉の中を通し
て加熱して硬化し、そして例2に記載したと同様の方法
で試験を行った。
【0070】
【表3】
【0071】表III のデータによると、有用な剥離及び
再接着は、この特定のシリコーン配合物に少なくとも7
5重量%の共重合体3cを加えることによって達成され
る。支持体えの良好又はより好ましい被着は、少なくと
も5重量%程度の共重合体3cを加えることによって達
成されている。
【0072】例4 ここでの例は、更に共重合体3cをFCS配合物に加
え、次いで得られた混合物をポリプロピレンに塗布し、
そして塗布膜を加熱して硬化する態様を説明する。重合
体2、架橋剤2及び共重合体3cを例2の方法に従って
混ぜ、10重量%の共重合体3cを含み、そして表IVに
示したSi−H/C=C官能価の割合を含む配合物を準
備した。この混合物は、フマル酸ジエチル(70重量
%)とベンジルアルコール(30重量%)との混合物
1.3重量%を防止剤として、そして触媒2の形態での
白金150ppm を触媒としてそれぞれ有していた。この
得られた組成物を例2に記載されたと同じ方法によって
塗布し、110℃の温度において2分間空気炉の中を通
して加熱して硬化し、そしてここでは接着剤の乾燥した
塗布膜が約20g/m2 であった点を除いて、例2に記
載したと同じ方法によって試験を行った。
【0073】
【表4】
【0074】表IVのデータによると、この特定のシリコ
ーン配合物については、好適な剥離性能は約1のSi−
H/C=C官能価の割合において観察された。しかしな
がら、Si−H/C=C官能価の割合は、支持体に塗布
した硬化塗布膜への被着には大きく影響を与えない。
【0075】例5 ここでの例は、共重合体3a,3c,3d,3e及び3
fをFCS配合物に加え、得られた混合物をポリプロピ
レンに塗布し、そして塗布膜を加熱して硬化する態様を
説明する。
【0076】実質的に例2に記載したと同じ方法によ
り、重合体2、架橋剤2及び共重合体添加物3a,3
c,3d,3e又は3fのいづれか一つを混ぜ合せ、1
0重量%の添加物であって、1.1のSi−H/C=C
官能価の割合を有する配合物を準備した。この混合物
は、フマル酸ジエチル(70重量%)とベンジルアルコ
ール(30重量%)の混合物1.3重量%を防止剤とし
て、そして触媒2の形態での白金150ppm を触媒とし
てそれぞれ含有していた。この組成物を例2に記載され
たと同様にして塗布し、100℃の温度において2分間
空気炉の中を通して加熱により硬化し、そして例に記載
されたと同様の方法により試験を行った。
【0077】
【表5】 共重合体添加物における(CH3 )SiO3/2 に対する
(5−ヘキセニル)(CH3 2 SiO1/2 の割合は、
1:0.7から1:10に変えることができ、また5−
ヘキセニル基の他のアルケニル基も使用することができ
ることが、表Vの結果から明らかである。
【0078】例6 ここでの例は、共重合体3cをSFSに加え、得られた
混合物をポリエチレンテレフタレートに塗布し、紫外線
に照射して塗布膜を硬化し、そして加熱する態様を説明
する。
【0079】重合体1(4.91g/meq C=C,
5.0g)、架橋剤1(0.064g/meq Si−
H,0.31g),3c(0.295g/meq C=
C,0.59g)、及び触媒1(2.7mg)の混合物を
準備し、この配合物は10重量%の共重合体添加物3c
及び1.0のSi−H/C=C官能価の割合を有してい
た。Ph及びCpの表示は例1に示したものと同じであ
る。得られた組成物は、例2に記載したと同じ方法に従
って、50ミクロンの厚さの二軸配向されたポリエチレ
ンテレフタレートフィルムに1から2g/m2 の重量で
塗布し、そして120ワット放出する2個の中圧水銀ラ
ンプ(全体量で300mJ/cm2 )の紫外線プロセッサ
ーを通して30m/min の速度で2回通して硬化した。
【0080】紫外線の照射は、100℃において5分間
空気炉の中を通して行った。硬化塗布膜は例2に記載さ
れたと同様の方法によって試験を行い、そして安定な剥
離とフィルム支持体えの優秀な被着が認められた。
【0081】本発明の範囲及び精神から逸脱することな
く、当業者において本発明の種々の改変及び改良は明白
なことであり、そして本発明は本願において述べた説明
のための態様に限定されないことは理解されるべきであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83/05 83/07 LRN 8319−4J (72)発明者 ファット ティー.ファム アメリカ合衆国,55144−1000 ミネソタ, セント.ポール,スリーエム センター

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロシリル化反応(hydrosil
    ation reaction)の手段によって硬化
    し、そして剥離塗料を提供することができ組成物であっ
    て、 (a)珪素原子に結合した少なくとも2個のエチレン性
    不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサン、 (b)オルガノ水素化ポリシロキサン架橋剤、 (c)効果的量のヒロドシリル化触媒、及び (d)4から12個の炭素原子である複数のエチレン性
    不飽和基を含む約1から75重量%のシリコーン成分
    で、このシリコーン成分の中でT−単位(T−uni
    t)はシロキサン単位の全数の約25から90モル%を
    含み、これらを含有する組成物。
  2. 【請求項2】 成分(d)は次の一般式を有する請求項
    1記載の組成物。 〔H2 C=CH(CH2 a 1 2 SiO1/2 b (R
    1 SiO3/2 c (R 1 2 SiO2/2 d ここでR1 はいづれも独立して置換又は非置換の1価ヒ
    ドロカルビル基、 aは2から10の値を有する整数を表わし、 bは(b+c+d)におけるbのモル%であって10か
    ら75モル%の値を有し、 cは(b+c+d)におけるcのモル%であって25か
    ら90モル%の値を有し、そしてdは(b+c+d)に
    おけるdのモル%であって0から5モル%の値を有す
    る。
  3. 【請求項3】 オルガノ水素化ポリシロキサン架橋剤に
    おける珪素に結合した水素原子の数と珪素に結合したH
    2 C=CH(CH2 a の全体の数との割合は、約0.
    5:1.0から約5.0:1.0の範囲である請求項2
    記載の組成物。
  4. 【請求項4】 成分(d)は組成物の約5から約75重
    量%である請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 成分(d)は組成物の約5から約50重
    量%である請求項1記載の組成物。
  6. 【請求項6】 成分(d)は約5から約20重量%であ
    る請求項1記載の組成物。
  7. 【請求項7】 該組成物は組成物の全重量に対して約5
    重量%より多くない揮発性シンナーを含む請求項1記載
    の組成物。
  8. 【請求項8】 該組成物は組成物の全量に対して約99
    重量%まで揮発性シンナーを含む請求項1記載の組成
    物。
  9. 【請求項9】 少なくとも1つの主要な表面は請求項1
    記載の硬化組成物の層を有する支持体を含む物品。
  10. 【請求項10】 少なくとも1つの主要な表面は請求項
    2記載の硬化組成物の層を有する支持体を含む物品。
  11. 【請求項11】 少なくとも1つの主要な表面には請求
    項3記載の硬化組成物の層を有する支持体を含む物品。
  12. 【請求項12】 1つの主要な表面には請求項1記載の
    硬化組成物の層があり、そして他の主要な表面には感圧
    接着剤がある支持体を含む物品。
  13. 【請求項13】 1つの主要な表面には請求項2記載の
    硬化組成物の層があり、そして他の主要な表面には感圧
    接着剤の層がある支持体を含む物品。
  14. 【請求項14】 1つの主要な表面には請求項3の硬化
    組成物の層があり、そして他の主要な表面には感圧性接
    着剤の層がある支持体を含む物品。
  15. 【請求項15】 1つの主要な表面には感圧接着剤の層
    を含む支持体であって、該支持体は請求項1記載の硬化
    組成物の層により形成されたものを含む物品。
  16. 【請求項16】 1つの主要な表面には感圧性接着剤の
    層がある支持体であって、該支持体は請求項2記載の硬
    化組成物の層から形成されたものを含む物品。
  17. 【請求項17】 1つの主要な表面には感圧接着剤の層
    がある支持体であって、該支持体は請求項3記載の硬化
    組成物の層から形成されたものを含む物品。
  18. 【請求項18】 少なくとも2つの主要な表面を含む物
    品であって、その少なくとも1つの主要な表面には請求
    項1の硬化組成物の層を有し、少なくとも該1つの主要
    な表面の接着剤の剥離レベルは他の主要な表面の接着剤
    の剥離レベルと異なる物品。
  19. 【請求項19】 少なくとも2つの主要な表面を含む物
    品であって、その少なくとも1つの主要な表面には請求
    項2の硬化組成物の層を有し、少なくとも該1つの主要
    な表面の接着剤の剥離レベルは他の主要な表面の接着剤
    の剥離レベルと異なる物品。
  20. 【請求項20】 少なくとも2つの主要な表面を含む物
    品であって、その少なくとも1つの主要な表面には請求
    項3の硬化組成物の層を有し、少なくとも該1つの主要
    な表面の接着剤の剥離レベルは他の主要な表面の接着剤
    の剥離レベルと異なる物品。
  21. 【請求項21】 4から12個の炭素原子であるエチレ
    ン性不飽和基を含むシリコーン重合体であって、該重合
    体においてT−単位はシロキサン単位の全体数の約25
    から約90モル%を含有するシリコン重合体。
  22. 【請求項22】 次の一般式を有する請求項21記載の
    重合体。 〔H2 C=CH(CH2 a 1 2 SiO1/2 b (R
    1 SiO3/2 c (R 1 2 SiO2/2 d ここでR1 はいづれも独立して置換又は非置換の1価ヒ
    ドロカルビル基、 aは2から10の値を有する整数を表わし、 bは(b+c+d)におけるbのモル%であって10か
    ら75モル%の値を有し、 cは(b+c+d)におけるcのモル%であって25か
    ら90モル%の値を有し、そしてdは(b+c+d)に
    おけるdのモル%であって0から5モル%の値を有す
    る。
JP5038714A 1992-03-06 1993-02-26 オルガノシリコーン組成物 Pending JPH069929A (ja)

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