JPH0698409B2 - 順送りプレス機の板材リフトアップ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、順送りプレス機の板材リフトアップ装置に関
するものである。

〔従来技術〕

プレス機の１つとして、打抜き型等の加工ステーション
を一列に複数個並べ、これらの加工ステーションに板材
を順次送り込むことにより、板材を複数段の工程で加工
する順送りプレス機がある。

この順送りプレス機では、一般に、板材を帯状に形成
し、この帯状板材をフィードローラ等の送り装置によっ
て各加工ステーションへ送り込んでいる。また、上記板
材は、下型の表面をガイド面とし、上記下型表面と摺接
しながら各加工ステーションに搬送されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上記板材が下型表面上を摺動して搬送される
際、例えば板材に打抜き加工が施されていた場合、加工
部のエッチが、下型におけるパンチ孔のエッヂに引っ掛
かる等して、板材が正常に送られない、いわゆるフィー
ドミスを招来する虞れがあった。

本発明は、上記実状に鑑みて、板材搬送時におけるフィ
ードミスを可及的に抑制し得る順送りプレス機の板材リ
フトアップ装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

そこで本発明では、下型の表面に、板材搬送域を側方か
ら挟んで相対向するリフトブロックを、互いに近接離反
する方向へ移動自在に配設するとともに、上記リフトブ
ロックに該リフトブロックを上記搬送域の中央へ向けて
付勢する付勢手段を設け、さらに上記リフトブロックの
板材搬送域側側面に上方へ行くに従って板材搬送域中央
から離れる方向に傾斜するガイド斜面を形成した。

〔作用〕

上記構成において、上記各リフトブロックのガイド斜面
にそれぞれ側縁を当接させた板材に下向きのプレス力を
加えた際、板材側縁とガイド斜面とのカム作用により各
リフトブロックを板材搬送域側方へ押しやって上記板材
を下型表面に密着させる一方、板材からプレス力を除去
し際、上記付勢手段の付勢力によって近接移動する各リ
フトブロックのガイド斜面と板材側縁とのカム作用によ
り、上記板材を下型表面から離隔させ、上記板材の搬送
時に、板材と下型表面とが摺接しないようにして上記目
的を達成した。

〔実施例〕

以下、本発明を、一実施例を示す図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図ないし第９図は、本発明に関わる板材リフトアッ
プ装置を、Ｅ型鉄芯板製造用の順送りプレス機に適用し
た例を示すものである。

この順送りプレス機Ａにおける下型１には、板材搬送路
の上流側から順に、第１の抜落しステーション２、切離
しステーション３、および第２の抜落しステーション４
が並設されている（第3,6,7,8,9図参照）。また上記第
２の抜落しステーション４のさらに下流側（図中右方
部）にはＥ型鉄芯板送り出し装置10（以下では送り出し
装置10と称する）が配設されている。さらに上記第１の
抜き落しステーション2,切離しステーション3,および第
２の抜落しステーション４と対応する板材搬送路途中に
は板材リフトアップ装置40が配置されている。

上記送り出し装置10は第4,5図に明示するように、上記
下型１に固定されたベースブロック11と、上記下型１の
上面を板材の搬送方向に沿って移動自在に設けられたス
ライディンブブロック12とを有しており、上記ベースブ
ロック11にピン13を介して揺動自在に支承された腕14
と、上記スライディングブロック12にピン15を介して揺
動自在に支承された腕16とをピン17によって互いに揺動
自在に係止することにより、上記ベースブロック11とス
ライディングブロック12とが互いに連結されている。ま
た上記ベースブロック11は上記スライディングブロック
12に向けてストッパ片18が突設されており、さらに上記
ベースブロック11とスライディングブロック12との間に
は引張りばね19が係留されている。また、上記スライデ
ィングブロック12には、第３図の左方に向って一対のロ
ッド20,20が延設されており、その先端部には、それぞ
れ爪部材21,21が配設されている。該爪部材21は第５図
に明示するようにピン22を介してロッド20に揺動自在に
支承されており、また、上記ロッド20との間に介装され
た圧縮ばね23の作用によって、上記爪21は常に図中時計
廻りに回動付勢されている。

上記リフトアップ装置40は、第１図ないし第３図に示す
ように板材の搬送域を挟んで相対向する一対のリフトブ
ロック41,41を有しており、上記両リフトブロック41,41
は、互いに近接もしくは離反する方向へ移動自在に配設
されている。そしてこのリフトブロック41,41は上記第
１の抜落しステーション２の上流部から上記第２の抜落
しステーション４の下流部に亘って延設されている。ま
たリフトブロック41,41は下型１との間に介装された付
勢手段としての圧縮ばね42,42によって互いに近接する
方向、言い換えれば板材搬送域の中央に向けて付勢され
ている。さらに上記リフトブロック41,41における搬送
域中央側の側面、つまり相対向する側部には、上方に行
くに従って上記両リフトブロック41,41の間隔が広くな
るような、言い換えれば搬送域中央から遠ざかるように
傾斜したガイド斜面43,43が形成されている。また、第
１図に明示するように、リフトブロック41,41にはそれ
ぞれストッパ突起44が形成されている一方、下型１には
ストッパ爪45,45が形成されており、上記突起44が上記
爪45に当接することによりリフトブロック41の移動量が
規制されている。

以下では上記リフトアップ装置40の動作態様をＥ型鉄芯
板の製造工程の中で説明する。

第３図に示す如く、先ず板材としての帯状鉄板100をそ
の先端縁部101が上記第２の抜落しステーション４の上
流側開口縁部に位置するよう搬送する。このとき図から
も明らかなように上記帯状鉄板100上にはＥ型鉄芯板E1,
E2,E3,E4,…（以下では単に鉄芯板E1,E2,E3,E4,…と称
する）が順番に材料取りされており、また、鉄芯板E1と
E2とはそれぞれれの切り欠き部のe1とe2とを向かい合わ
せて材料取りされている。さらに上記鉄芯板E1,E2に続
く鉄芯板E3,E4およびさらにこれに続く図示してないな
鉄芯板も、上記鉄芯板E1とE2の如く対を成して材料取り
されている。上記帯状鉄板100を第３図に示す位置に搬
送すると、該帯状鉄板100の先端部に材料取りされた鉄
芯板E1の直下には切離しステーション３が占位し、該切
離しステーション３の上流側に有る第１の抜落しステー
ション２の直下には、上記帯状鉄板100の一方から２番
目に材料取りされた鉄芯板E2が占位する。またこのとき
上記帯状鉄板100は、第１図（ａ）に示す如く、圧縮ば
ね42,42の付勢力により、互いに近接されてUP位置に占
位するリフトブロック41,41の、ガイド斜面43,43に支持
されることによって、下型１の表面1aから離隔してい
る。一方、送り出し装置10におけるスライディングブロ
ック12は、引張りばね19の働きによってストッパ片18と
当接した初期位置（第６図参照）に占位している。

いま上型（図示せず）が下降を開始すると、これに伴っ
て第１図に示すストリッパプレート30が下降し、該スト
リッパプレート30のプレス力（押圧力）によって帯状鉄
板100が押下される。上記帯状鉄板100が下降することに
より、該帯状鉄板100の両側縁102,102とリフトブロック
41,41のガイド斜面43,43とが摺接し、上記側縁102とガ
イド斜面43とのカム作用によって上記リフトブロック4
1,41が板材搬送域側方に押しやられて第１図（ｂ）中実
線で示すDOWN位置に占位し、これに伴い上記帯状鉄板10
0は下型表面1aに密着する。一方、さらに下降を続ける
上型によって、帯状鉄板100における鉄芯板E2が第１の
抜落しステーション２で打ち抜かれて形成され、またこ
の鉄芯板E2は上記第１の抜落しステーション２内へ強制
的に押し込まれる（第７図参照）。一方、帯状鉄板100
から鉄芯板E2を打抜いたことにより、鉄芯板E1とE2とが
切り離され、分離形成された上記鉄芯板E1は上記切離し
ステーション３上に占位している。（第７図）。また上
述した上型の下降中、第6,7,8,9図に示すプレスラム15
0、上記送り出し装置10における腕14と16との連結部を
押下することにより、上記腕部14,16の協働作用によっ
てスライディングブロック12が図中左方へ移行する。上
記スライディングブロック12の移行によりロッド20,20
の先端部が帯状鉄板100の先端縁部101,換言すれば鉄芯
板E1の右方縁部に達すると、爪部材21が、上記鉄芯板E1
の右方部上面E1′（第３図参照）によって第３図中央矢
印Ｒで示す如く圧縮ばね23の付勢力に抗して上方へ押し
上げられる。さらにロッド20,20が左行し、爪部材21が
鉄芯板E1の切り欠き部e1,e1に臨むと、上記爪部材21
は、圧縮ばね23の付勢力によって下方に揺動し、上記切
り欠き部e1,e1に入いり込む（第７図参照）。こののち
プレスラム150が上昇すると、送り出し装置10における
引張りばね19の作用によってスライディングブロック12
が図中右方へ移行する。このとき上記爪部材21と鉄芯板
E1との係合によって、上記鉄芯板E1が切り離しステーシ
ョン３から右方へ送り出される。プレスラム150がさら
に上昇しスライディングブロック12がベースプレート11
のストッパ片18に当接することにより鉄芯E1の送り出し
が停止する。このとき上記鉄芯板E1は第２の抜落しステ
ーション４の直上に占位している（第８図参照）。

一方、プレスラム150の上昇に伴い、ストリッパプレー
ト30が上昇すると、該ストリッパプレート30による帯状
鉄板100および鉄芯板E1へのプレス力（押圧力）が除去
される。これにより、リフトアップ装置40におけるリフ
トブロック41,41が圧縮ばね42で付勢されて互いに近接
移動し、リフトブロック41の移動に伴う帯状鉄板100′
および鉄芯板E1の側縁部とガイド斜面43とのカム作用に
よって、上記帯状鉄芯100′と鉄芯板E1とが上昇し下型
表面1aから離隔する。こののち鉄芯板E1は先に述べたよ
うに送り出し装置10によってリフトブロック41,41上で
搬送される。一方、鉄芯板E1とE2とを切り離したのちの
帯状鉄板100′は、その先端部101′が第１の抜き落しス
テーション２の上流側開口縁部から第２の抜き落しステ
ーション４の上流側開口縁部に達する距離、換言すれば
鉄芯板E3とE4との合計長さ分、図示していないフィード
ローラ等の送り装置によって図中右方へ搬送される（第
７図から第８図）。上記鉄芯板E1および帯状鉄板100′
が搬送される際、上述した如く、リフトブロック41,41
の作用によって下型表面1aから離隔しているためフィー
ドミスが可及的に防止される。こののち、再び上型が下
降を開始すると、先に述べたように帯状鉄板100′はス
トリッパプレートによって押下され、さらに該帯状鉄板
100′はリフティングブロック41,41を押しやって、下型
表面1aに密着する。これに次ぐ上型の下降により、鉄芯
板E4が第１の抜落しステーション２内へ抜き落され、切
り離しステーション３上では鉄芯板E3が分離形成される
（第９図）。また第８図に示す過程で、第２の抜落しス
テーション４の直下に送り込まれた鉄芯板E1は、上型の
下降により上記第２の抜落しステーション４内は強制的
に落し込まれる（第９図）。またプレスラム150が下降
することにより送り出し装置10におけるスライディング
ブロック12が第８図に示す状態から左行し、切り離しス
テーション３上の鉄芯板E3にロッド21,21が係合する
（第９図）。こののち、上型が再び上昇すると、第７図
から第８図へ移行する際と同様にして帯状鉄板および鉄
芯板の搬送が行なわれ、以下、第７図から第９図に示し
た各工程を繰り返すことによりＥ型鉄芯板が連続的に製
造される。上記第１の抜落しステーション２および第２
の抜落しステーション４で製造された複数枚の鉄芯板
は、載置台2aおよび4a上で積層され、かつ互いにかしめ
結合されて一体に組み上げられる。上記第１の抜落しス
テーション２内および第２の抜落しステーション４内
で、それぞれ所定枚数の鉄芯板が積層されると、図示し
ていない搬出装置によって、上記鉄芯板は下型１の外部
へ搬出される。第10図は上述した工程によって製造され
たＥ型積層鉄芯200を示すものであり、この積層鉄芯200
は各鉄芯板を５ケ所のかしめ部200a,200b,200c,200d,20
0eを介して互いに積層結合している。上記第１の抜落し
ステーション2,第２抜落しステーション４共、下型１に
設けられ、上記各ステーション2,4に落し込まれた鉄芯
板を下型１内に堆積する装置および両鉄芯板を搬出する
搬出装置は、共に同一の構成および動作態様を示す装置
が用いられている。

なお、本例では、Ｅ型鉄芯板製造用の順送りプレス機
に、本発明に関わる板材リフトアップ装置を用いた例を
示したが、種々の形状の製品を作るための順送りプレス
機に、本発明を有効に適用し得ることは言うまでもな
い。

〔発明の効果〕

以上、詳述した如く、本発明に関わる順送りプレス機の
板材リフトアップ装置によれば、板材にプレス力が加わ
っていないとき、板材を側方から挟むように近接移動す
るリフトブロックのガイド斜面と、上記板材の側縁との
カム作用によって上記板材を上昇させて下型表面から離
隔させるようにしたので、この状態において板材を搬送
することにより、板材と下型表面とが摺接することがな
くなり、この結果、板材、下型間の引掛かり等に起因す
る板材のフィードミスを可及的に防止することが可能と
なった。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ），（ｂ）は本発明に関わる板材リフトアッ
プ装置の構造および動作態様を示す要部断面図であり、
第２図は板材リフトアップ装置の要部斜視図、第３図は
Ｅ型鉄芯板を製造する順送りプレス機の概念的な平面
図、第４図は鉄芯板送り出し装置の全体斜視図、第５図
は爪部材周辺を示す鉄芯板送り出し装置の要部断面図で
あり、第６図、第７図，第８図、および第９図はプレス
機の動作態様を示した概念的な断面側面図、第10図はＥ
型積層鉄芯の全体斜視図である。 Ａ……順送りプレス機、１……下型、1a……下型表面、
30……ストリッパプレート、40……板材リフトアップ装
置、41……リフトブロック、42……圧縮ばね、43……ガ
イド斜面、100……帯状鉄板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下型の表面に、板材搬送域を側方から挟ん
   で相対向するリフトブロックを、互いに近接離反する方
   向へ移動自在に配設するとともに、上記リフトブロック
   に該リフトブロックを上記搬送域の中央へ向けて付勢す
   る付勢手段を設け、さらに上記リフトブロックの板材搬
   送域側側面に上方へ行くに従って板材搬送域中央から離
   れる方向に傾斜するガイド斜面を形成し、上記各リフト
   ブロックのガイド斜面にそれぞれ側縁を当接させた板材
   に下向きのプレス力を加えた際、板材側縁とガイド斜面
   とのカム作用により各リフトブロックを板材搬送域側方
   へ押しやって上記板材を下型表面に密着させる一方、板
   材からプレス力を除去した際、上記付勢手段の付勢力に
   よって近接移動する各リフトブロックのガイド斜面と板
   材側縁とのカム作用により、上記板材を下型表面から離
   隔させるようにしたことを特徴とする順送りプレス機の
   板材リフトアップ装置。