JPH0694419B2 - 低温殺菌されたヒトーフィブリノーゲンの製造方法 - Google Patents

低温殺菌されたヒトーフィブリノーゲンの製造方法

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JPH0694419B2 JP58149738A JP14973883A JPH0694419B2 JP H0694419 B2 JPH0694419 B2 JP H0694419B2 JP 58149738 A JP58149738 A JP 58149738A JP 14973883 A JP14973883 A JP 14973883A JP H0694419 B2 JPH0694419 B2 JP H0694419B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は低温殺菌されたヒト−フイブリノーゲン(以下
「HF」と略記する)の製造方法に関する。
HFはいわゆる凝固系列の末期に存在する非常に重要な凝
固因子である。HFは例えば損傷後の凝固系の活性化にお
いてトロンビンによりその可溶性形態から止血および創
傷治癒に主要な寄与をする不溶性のフイブリンに変換さ
れる。このHFは他のすべての凝固因子のうちで唯一の有
効な基質として存在しそしてまた血漿中に最高濃度すな
わち250〜400mg%で存在する凝固因子である。止血およ
び創傷治癒に重要なのでHFは例えば敗血症における播種
状血管内凝固(DIC)のような消費反応において臨床的
に使用される。それと並んで最近フイブリノーゲンはま
た主に外科手術および特に肝臓および脾臓のような軟部
器官に縫合の代りにいわゆる「癒着剤」としてまたは縫
合のパツキングにも使用あれる。
B型肝炎保持者の血漿から取得されるHFは肝炎感染の危
険を包含している。これはいわゆる肝炎捕捉体フラクシ
ヨンと見做される他の高分子状かつ難溶性の蛋白質と連
合して存在する血漿フラクシヨンからそれが取得される
からである。前記した理由からHFはこれまで明白に重要
な適応症にのみ使用された。なぜならすなわち肝炎感染
の危険が絶対の安全生をもつては排除されえなかつたか
らである。これにはこれまでB型肝炎に対してもそして
勿論非A/非B型肝炎に対しても絶対的に信頼しうる試験
が全く存在しなかつたこともあずかつている。
これらの状況から、例えば分別法と後記低温殺菌との組
み合せにより調製されうるような肝炎の危険のないHFの
必要が生じていた。しかしながらHFは加熱に対して不安
定な蛋白質に属するので血漿を58℃(3分間)に加熱す
ることにより脱線維素しうることは血液凝固の分野に属
する専門家すべてに知られている。従つてドイツ特許第
2916711号明細書(米国特許第4,297,344号明細書相当)
に記載されているように第VIII因子を加熱するとフイブ
リノーゲンのない製剤が生ずる。HFは0.05〜0.4%の濃
度においてのみ炭水化物のような既知安定剤により熱的
不活性化から保護されうるというヨーロツパ特許第3520
4号明細書第23/24頁において確認されている所見もこれ
と一致する。
これらの観察および知識を考慮すると、本発明によるHF
が7%までの濃度においてヨーロツパ特許第35204号明
細書に記載のようにHFの大部分が沈殿することなく10時
間以上にわたつて60℃に加熱されうることは全く驚くべ
きことであつた。
本発明方法によれば純度85%のHFをHF1モル当り少なく
とも1グラム原子のカルシウムを含有するpH6〜8の水
溶液中に1〜7%の濃度に溶解させそして安定剤として
糖類(単糖類または寡糖類)およびグリシン好ましくは
蔗糖およびグリシンを添加する。カルシウム、糖類およ
びグリシンは安定化に充分な濃度に添加されそして好都
合な順序ではCa++、糖類例えば蔗糖そしてグリシンがHF
溶液に添加される。かかる溶液は数時間60℃までの温度
に保持され、低温殺菌されうる。
それゆえ本発明は糖類およびグリシンと並んでHF1モル
当り1〜37.8×103グラム原子好ましくは1〜10グラム
原子の濃度のCaイオンの存在下に実施することを特徴と
する水溶液中のHFの低温殺菌法に関する。
溶液100ml当り35〜60gの濃度の蔗糖および0.5〜3モル/
lのグリシンが好ましい。
この溶液を常法により加熱する。少なくとも60℃までそ
して最高100℃で少なくとも10時間そして最高24時間の
加熱が好都合である。
精製されたHF溶液中に場合により存在し濃度が60℃での
加熱期間中にさらに増大しうるフイブリン重合体を加熱
後に場合により好ましくは0.25〜1.5モル/lのグリシン
を用いて沈殿させることにより分離しそしてHFを沈殿剤
濃度例えばグリシン濃度を少なくとも2.2モル/l(2.0〜
2.7モル/l)まで高めることにより上澄み液から取得し
そして同時に安定剤から分離する。
これらの段階により、良好な溶解特性を有する非常に清
潔な、重合体を含まない。低温殺菌された天然のHFが得
られ、これは好ましくは約2%(w/v)のHFを有する注
入溶液としてまたは約10%(w/v)のHFを有する組織癒
着剤として全く幅広く治療上使用されうる。かかる薬剤
も同じく本発明の目的である。
下記例により本発明をさらに詳しく説明する。
例 1.出発物質 第VIII因子濃縮物HSの調製(ドイツ特許第2916711号明
細書参照)に際し得られるような2.7モル/lのグリシン
沈殿のフイブリノーゲン含有残留物500gを37℃に加温か
つ攪拌下に0.15モル/lのNaCl溶液を1250ml中に溶解させ
そして2N NaOHを用いてpH7.5に調整した。溶解後に6%
フイブリノーゲン溶液1700mlが得られた。
2.安定化および低温殺菌 A)前記第1項で得られたフイブリノーゲン溶液1700ml
に5ミリモル/lのCaCl2・2H2O(1250mg)を加えそして溶
解するまで攪拌した。添加されたCaCl2が完全に恒久的
に溶解した後、攪拌および加温下に60%(w/v)の蔗糖
(1700g)を加えた。
蔗糖が完全に溶解した後、1モル/lのグリシン(127.5
g)を加えた。グリシンが完全に溶解した後2N NaOHを用
いてpH値を7.5に調整した。蛋白石様の混濁した非常に
粘稠な溶液が生じこれを続いて水浴中60℃で10時間培養
した。
フイブリン重合体を分離除去し(3)、かつフイブリノ
ーゲンを単離する(4)ために、この加熱されたフイブ
リノーゲン溶液をさらに下記のように処理した。
安定化され、加熱されたフイブリノーゲン溶液2.9lを20
℃に温度調節した後緩衝液(NaCl0.06モル/l,クエン酸
トリナトリウム0.02モル/l)8.7lを用いて1:4の比率で
希釈すると加熱され希釈されたフイブリノーゲン溶液1
1.6lが得られ、これをグリシンを用いて分別沈殿した。
B)前記方法A)はまた比較的高濃度のCa イオン例え
ば1.8モル/lのCaCl2・2H2O(449.8g)を用いても所望の
安定化効果をもつて実施されうる。
3.高分子成分、なかんずくフイブリン−重合体の分離 加熱されそして次に希釈されたフイブリノーゲン溶液に
37℃で86.25g/l(=1.15モル/l)のグリシンを加えた。
溶解後20℃に冷却しそして得られた沈殿をストツク(St
ock)遠心分離器中で分離した。
4.安定剤媒体からのフイブリノーゲンの単離1.15モル/l
のグリシンを含有する前記第3項で得られた上澄み液を
再び37℃に加熱しさらにグリシンを添加して最終濃度2.
2モル/lとなしそしてグリシンが完全に溶解するまで攪
拌(30分間)した。
沈殿を20℃に冷却しそしてストツク遠心分離器で分離し
た。
ヒト−フイブリノーゲンとして静脈注入に使用するには
フイブリノーゲン残留物を0.01モル/lクエン酸トリナト
リウム−0.15モル/lNaCl緩衝液2500ml中に2%の溶液と
なるように溶解させ、同じ緩衝液で透析しそして清澄
過および滅菌過した後容量60ml(HF1g)ずつ充填しそ
して凍結乾燥した。
「フイブリン癒着剤」を調製するには同じ方法で得られ
たフイブリノーゲン残留物をpH7.5の下記塩溶液すなわ
ち NaCl 0.05モル/l クエン酸トリナトリウム 0.005モル/l NaHCO3 0.01モル/l L−アルギニンモノ塩酸塩 0.33% からなる溶液1250ml中に4%に溶解させ、透析(溶解緩
衝液)しそして次に超遠心器で35000gで1時間遠心し
た。清澄過および滅菌過した後容量4mlずつ凍結乾
燥した。
この生成物は再構成しそして第XIII因子およびトロンビ
ンと組み合せると軟部の癒着および脈管縫合のパツキン
グに適当である。
加熱安定性試験 1)出発物質 沈殿およびAl(OH)3吸着処理したヒト−フィブリノーゲ
ン濃縮物(OD280nm=120)を等張のNaCl溶液(480ml)
で1:2.4に希釈し、37℃に加温し、EDTA溶液(200mM)7.
3mlを加え、濾過滅菌し、23℃で48時間、等張NaCl溶液2
0lに対して4回透析した。得られた透析液を出発物質と
して使用した。
2)試料 上記透析液に下記の安定化剤を加えて試料〔I〕〜〔VI
II〕を調製した。
〔I〕透析液50ml+等張NaCl溶液35ml(量調整) 〔II〕透析液50ml+蔗糖50g 〔III〕透析液50ml+蔗糖50g +グリシン75g(1M/l) 〔IV〕透析液50ml+蔗糖50g +グリシン3.75g +2.5MCaCl2500μl(2.5mM) 〔V〕透析液50ml+蔗糖50g +グリシン添加なし +CaCl2(2.5mM) 〔VI〕透析液50ml+等張NaCl溶液35ml 蔗糖添加なし +グリシン3.75g CaCl2添加なし 〔VII〕透析液50ml+等張NaCl溶液35ml 蔗糖添加なし +グリシン3.75g CaCl2(2.5mM) 〔VIII〕透析液50ml+等張NaCl溶液35ml 蔗糖添加なし グリシン添加なし CaCl2(2.5mM) 試料〔I〕〜〔VIII〕をpH7.5に調製し、60℃で10時間
加熱した。
3)結果 1.目視評価 試料〔I〕〜〔III〕および〔VI〕〜〔VIII〕は、かた
く、不透明、白色で完全に変性した。
試料〔V〕はゼラチン化し、強い乳白光を発した。
試料〔IV〕は粒状、澄明、半透明であり乳白光を発し
た。
2.分析評価 試料〔IV〕および〔V〕は、出発物質に比較して添加物
により1.7倍に希釈されている。
4)結論 目視評価および分析データは、フィブリノーゲン濃縮液
の加熱には、蔗糖、グリシンおよびカルシウムの添加が
絶対に必要であることを非常に明瞭に示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ノルベルト・ハイムブルガ− ドイツ連邦共和国デ−−3550マルブルク1 ゾンネンハング10 (72)発明者 ペ−テル・フ−ゲ ドイツ連邦共和国デ−−3551ラ−ンタ−ル −カルデルン・ミユ−レンシユトラ−セ10 (72)発明者 ハンス・マルテイン・プライス ドイツ連邦共和国デ−−3550マルブルク16 アムヴエルトヒエン4 (56)参考文献 特開 昭56−139422(JP,A) 特開 昭57−120524(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糖類およびグリシンとヒトフィブリノーゲ
    ン1モル当り1〜37.8×103グラム原子の濃度のカルシ
    ウムとを含有する水溶液中においてヒトフィブリノーゲ
    ンを加熱することからなる低温殺菌されたヒトフィブリ
    ノーゲンの製造方法。
  2. 【請求項2】糖類が蔗糖であることを特徴とする前記特
    許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】蔗糖が溶液100ml当り35〜60gの濃度で使用
    されることを特徴とする前記特許請求の範囲第2項記載
    の方法。
  4. 【請求項4】グリシンが0.5〜3モル/lの濃度で使用さ
    れることを特徴とする前記特許請求の範囲第1項記載の
    方法。
JP58149738A 1982-08-19 1983-08-18 低温殺菌されたヒトーフィブリノーゲンの製造方法 Expired - Lifetime JPH0694419B2 (ja)

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AU (1) AU587365B2 (ja)
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