JPH0693385A - シャドウマスク材 - Google Patents

シャドウマスク材

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JPH0693385A
JPH0693385A JP24322092A JP24322092A JPH0693385A JP H0693385 A JPH0693385 A JP H0693385A JP 24322092 A JP24322092 A JP 24322092A JP 24322092 A JP24322092 A JP 24322092A JP H0693385 A JPH0693385 A JP H0693385A
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普三 菅井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れたプレス成形性および形状凍結性を有す
るシャドウマスク材を再現性よく提供する。 【構成】 Niを30重量%〜45重量%、Siを0.05重量%〜
0.2重量%、Mnを0.10重量%〜 0.5重量%含有し、残部
が実質的にFeからなるシャドウマスク材である。この F
e-Ni系合金中の不純物としての V、Nb、Ta、Cr、Mo、
W、Ti、Alおよび Bの各元素の含有量は、それぞれ0.01
重量%以下とされており、これによって窒化物や炭化物
からなる析出物の量を低減している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー用陰極線管(以
下、C−CRTと記す)に使用されるシャドウマスク材
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、C−CRTでは、電子銃から射
出された電子ビ―ムを、多数の開孔が形成されたシャド
ウマスクによって選択的に通過させ、ガラス外囲器内面
に形成された蛍光体層の所定位置に電子ビ―ムを衝突さ
せることによって、カラ―映像を再現している。
【0003】この際、射出された電子ビームは、その全
てが開孔内を通過するわけではない。開孔を通過する電
子ビームは、全体の約 1/3以下であり、残りの電子ビー
ムはシャドウマスクを直撃して、これを加熱する。その
結果、シャドウマスクが熱膨脹を起こすと、開孔の位置
が設計基準からずれて変位し、蛍光面における色ずれ現
象を招くこととなる。そのため、最近では、従来からの
低炭素リムド冷延鋼や低炭素アルミキルド冷延鋼等の鋼
材に代えて、低熱膨脹特性を備えた Fe-Ni系合金、例え
ば36wt%Ni-Fe合金(アンバー合金)がシャドウマスク素
材として多用されつつある。
【0004】このような Fe-Ni系合金を用いたシャドウ
マスクは、例えば以下のようにして製造されている。す
なわち、まず所定の合金組成に調整された合金成分を溶
解、鋳造し、この鋳造素材を中間板厚まで熱間圧延す
る。次いで、この熱間圧延材に対して所望の板厚となる
まで、冷間圧延および焼鈍を繰り返し行って、シャドウ
マスク用原板とする。次に、上記シャドウマスク用原板
に電子ビーム透過孔をエッチング等によって所定のマト
リックス状に穿設する。この後、プレス成形性を向上さ
せるために、真空中にて 750℃〜1000℃程度の温度で焼
鈍した後、所望のシャドウマスク形状となるように温間
でプレス成形し、さらに電子ビ―ムが衝突した際の反射
防止等を目的として酸化膜(黒化膜)を形成して、目的
とするシャドウマスクとして得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、C−CRT
の大型化や高品位化に伴って、画像の高精細化や高品質
化がより強く求められている。特にディスプレー用等の
産業用C−CRTでは、画像の高精細化が必須となって
いる。このようなC−CRTに対する要求特性の向上に
伴って、当然ながらシャドウマスクに対する要求特性、
例えば形状精度等はより厳しくなってきている。
【0006】しかしながら、上述したような従来の Fe-
Ni系合金を用いたシャドウマスクでは、上記した形状精
度等の要求を十分に満足することができないという問題
があった。例えば、従来の Fe-Ni系合金を用いたシャド
ウマスクは、プレス成形性が十分ではないために、プレ
ス後の形状精度が低く、またプレス後に変形が生じてし
まう等、いわゆる形状凍結性が低いという問題を有して
いた。
【0007】このようなことから、高精細な画像が求め
られるC−CRTに対して十分に対応することが可能
な、プレス成形性および形状凍結性を有するシャドウマ
スク材の開発が望まれていた。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、優れたプレス成形性および形状凍結
性を有するシャドウマスク材を提供することを目的とし
ている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のシャドウマスク
材は、Niを30重量%〜45重量%、Siを0.05重量%〜0.2
重量%、Mnを 0.1重量%〜 0.5重量%含有し、残部が実
質的にFeからなるシャドウマスク材であって、 V、Nb、
Ta、Cr、Mo、 W、Ti、Alおよび Bの各元素の含有量がそ
れぞれ0.01重量%以下であることを特徴としている。
【0010】すなわち、本発明のシャドウマスク材は、
Niを30重量%〜45重量%、Siを0.05重量%〜 0.2重量
%、Mnを 0.1重量%〜 0.5重量%の範囲で含む Fe-Ni系
合金からなるものであり、この Fe-Ni系合金中の不純物
としての V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Ti、Alおよび Bの各
元素の含有量をそれぞれ0.01重量%以下に規定したもの
である。なお、Niの含有量が上記範囲から外れると、い
ずれも熱膨張係数の増大を招き、シャドウマスクとして
の性能低下を招いてしまう。
【0011】ここで、シャドウマスク材として用いる F
e-Ni系合金中には、溶解素材、フラックス、炉材、焼鈍
工程等における雰囲気等から、不純物として窒素および
炭素が不可避的に含まれる。これら窒素や炭素が含まれ
た状態で、不純物として上記した各元素、すなわち V、
Nb、Ta、Cr、Mo、 W、Ti、Alおよび Bが存在している
と、これらの元素が窒化物や炭化物として析出する。こ
のように、窒化物や炭化物が析出すると、析出硬化によ
って Fe-Ni系合金の耐力が上昇してしまう。また、析出
物によって母合金の結晶成長が妨げられ、これによって
も Fe-Ni系合金の耐力が上昇してしまう。この耐力の上
昇は、直接的にプレス成形性や形状凍結性に悪影響を及
ぼすものである。
【0012】本発明は、上記したような知見を得ること
によって成されたものであり、窒化物や炭化物となりや
すい、 V、Nb、Ta、Cr、Mo、 W、Ti、Alおよび Bの各元
素の含有量を、それぞれ0.01重量%以下とすることによ
って、窒化物や炭化物の析出量を低減させたものであ
る。これによって、 Fe-Ni系合金の耐力が例えば 25kg/
mm2 以下程度と低下し、 Fe-Ni系合金のプレス成形性や
形状凍結性を改善することが可能となる。
【0013】上記した各元素のうち、 B、Nb、Ti、 V、
MoおよびCrは、それぞれ炭化物化容易元素であり、また
V、Cr、Nb、Ta、 W、Mo、TiおよびAlは、それぞれ窒化
物化容易元素である。上記した各元素の含有量が0.01重
量%を超えると、窒化物や炭化物による析出量が増大
し、析出硬化および結晶粒度の微細化によって、 25kg/
mm2 程度を超えるような耐力を有することとなり、シャ
ドウマスクとしてのプレス成形性や形状凍結性が低下す
る。
【0014】また、本発明のシャドウマスク材において
は、上記した炭化物化容易元素や窒化物化容易元素の含
有量を低下させると共に、窒素および炭素自体の含有量
の低減を図ることが好ましい。これによって、窒化物や
炭化物の析出量を低減することができることは当然であ
るが、窒素および炭素自体も母合金の結晶成長を妨げる
ため、窒素および炭素の含有量を低下させることによっ
て、耐力の上昇をより抑制することが可能となる。これ
ら窒素および炭素の含有濃度は、窒素は 30ppm以下、炭
素は 50ppm以下とすることが好ましい。
【0015】本発明のシャドウマスク材は、例えば以下
のようにして製造される。すなわち、まず所定の合金組
成に調整された Fe-Ni系合金成分を溶解、鋳造し、この
鋳造材を中間板厚まで熱間圧延する。次いで、この熱間
圧延材に対して、所望の板厚となるまで、冷間圧延と焼
鈍とを繰り返し施す。この際、窒素含有量および炭素含
有量の低減は、溶解時に真空脱ガス(VOD法)や減圧
中でアルゴン酸素混合ガスを導入する(AOD法)等に
より行われる。また、さらに炭素含有量の低減は、水蒸
気を含む水素雰囲気中で焼鈍を行う等によって、炭素を
酸化炭素として除去することにより達成することもでき
る。
【0016】この後、上記所望の板厚とされた冷間圧延
材に、電子ビーム透過孔となる貫通孔を、エッチング処
理等によって所望のマトリックス状に形成し、次いでこ
の貫通孔が形成された板材を所望のシャドウマスク形状
に温間でプレス成形して、所望とするシャドウマスクが
得られる。
【0017】
【作用】本発明のシャドウマスク材においては、炭化物
化容易元素あるいは窒化物化容易元素である V、Nb、T
a、Cr、Mo、 W、Ti、Alおよび Bの各元素の含有量をそ
れぞれ0.01重量%以下としているため、母合金中の析出
物としての窒化物や炭化物の減少が図れる。これによ
り、析出硬化や結晶粒度の微細化を防止することが可能
となるため、耐力を低下させることができる。よって、
プレス成形性や形状凍結性の改善を図ることが可能とな
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0019】実施例1〜8 まず、Niを36重量%、Mnを0.25重量%、Siを0.05重量%
含み、残部が実質的にFeからなる合金成分を、鋳造条件
を代えて、複数溶解、鋳造し、それぞれ50mm×150mm×
Lの鋳造材を得た。これら鋳造材の含有成分の分析結果
を表1に示す。なお、表中の比較例は、不純物濃度を本
発明の範囲外としたものである。
【0020】
【表1】 次に、表1に示した合金組成を有する各鋳造材を、それ
ぞれホットロールを通して、1100℃の温度で板厚が 3mm
となるように熱間圧延した。次いで、得られた各熱間圧
延材に対して、コールドロールによる冷間圧延と焼鈍と
を 2回繰り返し施すことによって、厚さ0.25mmの板材を
それぞれ得た。
【0021】ここで、冷間圧延後の焼鈍工程は、それぞ
れ表2に示す条件下で行った。また、各板材の炭素濃度
および窒素濃度と耐力とをそれぞれ測定した。それらの
結果も併せて表2に示す。なお耐力は、JIS 13号 B試験
片を打ち抜き、通常の引張り試験での0.2%変形時の値と
して求めた。
【0022】上記実施例および比較例によって得た各シ
ャドウマスク材を用いて、以下に示す要領でプレス成形
性と形状凍結性とを評価した。まず、各シャドウマスク
材に対し、エッチング処理によって所定のマトリックス
状の電子ビーム透過孔を形成し、次いでドライ水素雰囲
気中にて 900℃×60分の条件で焼鈍を行った後、所定の
マスク形状となるように、それぞれ 150℃の温度でプレ
ス成形を行った。このプレス成形の際に、プレス成形性
と形状凍結性とを評価した。それらの結果を表1に示
す。
【0023】なお、プレス成形性および形状凍結性は、
それぞれの実施例に対して 100個のサンプルを用いて評
価し、プレス成形性は成型金型通りに成形されているか
どうか(良品率%)を、また形状凍結性は成形後の変形
(辺落ち不良発生率%)を評価した。
【0024】
【表2】 表2から明らかなように、各実施例によって得られたシ
ャドウマスク材は、それぞれ適度な耐力を有することか
ら、良好なプレス成形性と形状凍結性が得られている。
これに対して各比較例によるシャドウマスク材は、耐力
が高いことからプレス成形性が悪く、かつ成形後に約 4
〜 7%の辺落不良が発生する等、形状凍結性に劣るもの
であった。
【0025】
【発明の効果】以上の説明したように本発明によれば、
優れたプレス成形性および形状凍結性を有するシャドウ
マスク材を再現性よく得ることができる。よって、C−
CRTの高品位化に十分に対応することが可能なシャド
ウマスク材を提供することが可能となる。
【0026】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Niを30重量%〜45重量%、Siを0.05重量
    %〜 0.2重量%、Mnを 0.1重量%〜 0.5重量%含有し、
    残部が実質的にFeからなるシャドウマスク材であって、
    V、Nb、Ta、Cr、Mo、 W、Ti、Alおよび Bの各元素の含
    有量がそれぞれ0.01重量%以下であることを特徴とする
    シャドウマスク材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシャドウマスク材におい
    て、 窒素の含有濃度が 30ppm以下であることを特徴とするシ
    ャドウマスク材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のシャドウマスク材におい
    て、 炭素の含有濃度が 50ppm以下であることを特徴とするシ
    ャドウマスク材。
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