JPH0692427A - パレット搬送式コンベア - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ローラとレールの形状を工夫し、簡素かつ安
価な構成で搬送物に加わる衝撃を低減しつつ運搬速度を
連続的に変化させる。 【構成】 中心軸１aを介してチェーン２に対して回転
自在に連結された複数のローラ１の下部をレール４に当
接させ、頂部１dにパレット５を介して搬送物６を載
せ、チェーン２のレール４に沿う方向の移動で運搬を行
なうパレット搬送式コンベア。各ローラ１を、略そろば
ん玉形状に形成する一方、レール４を、ローラ１の両円
錐面１b,１cに接触する形状に形成して、搬送物の運搬
速度を連続的に変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数のローラをチェー
ンで連結し、このチェーンの移動によりローラを回転さ
せつつ、ローラ上に載置した物を運搬するパレット搬送
式コンベアに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のパレット搬送式コンベアは、工
場の組立ラインにおける半製品の運搬などに多用されて
おり、従来、一例として図５に示すようなものが知られ
ている。このコンベアは、複数の円板状のローラ３１,
３１,…の両側に突設した中心軸３１aを、夫々中間点に
ヒンジ３３cをもつチェーン要素３３の両端穴３３a,３
３bに順次回転自在に嵌合,連結し、各ローラ３１の下端
をレール３４に当接させる一方、各ローラ３１の上端に
図示しない搬送物を載せる板状のパレット３５を載置
し、上記チェーン要素３３の連続からなるチェーン３２
を、図示しないスプケットを介してモータにてレール３
４に沿って駆動して、上記搬送物を運搬するようになっ
ている。なお、レール３４は、コ字状断面をもつコンベ
アフレーム３７に嵌め込まれている。そして、パレット
３５つまり搬送物の移動速度Ｖpは、チェーン３２の移
動速度Ｖcとローラ３１のパレット３５との接点におけ
る周速度のベクトル和で、後者は前者Ｖcと等しいの
で、Ｖp＝２Ｖc、即ち搬送物の移動速度Ｖpはチェーン
の移動速度Ｖcの２倍になる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】さて、工場の組立ライ
ンでは、作業に要する時間がその種類によりまちまちな
ので、作業所要時間に応じて半製品つまりコンベアを急
速,緩慢自在に駆動しなければならない。ところが、上
記従来のコンベアでは、半製品の移動速度がチェーン３
２の移動速度の２倍に定まっている為、急速,緩慢自在
な駆動を実現するにはチェーンを駆動するモータの回転
速度を変化させざるを得ず、そうすると、モータの制御
が複雑になって、コンベアが高価になるという欠点があ
る。また、モータの回転速度の変化は、パレットの２倍
に増幅された移動速度変化となるため、パレット上の半
製品に大きな衝撃を与えるという欠点がある。さらに、
モータの回転速度をプログラム等で制御する方法では、
実際の組立ラインにおいて運搬速度がどの程度に設定さ
れているかを、視覚的に容易に把握することができな
い。

【０００４】そこで、本発明の目的は、モータの回転速
度の制御によらず、ローラとこれに接するレールの形状
を工夫することにより、簡素かつ安価な構成でもって搬
送物に加わる衝撃を低減しつつ運搬速度を連続的に変化
しうるパレット搬送式コンベアを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項１に記載のパレット搬送式コンベア
は、複数のローラを各中心軸を介してチェーンに対して
回転自在に連結し、各ローラの下部をレールに当接さ
せ、各ローラの頂部に直接またはパレットを介して搬送
物を載置して、上記チェーンをレールに沿って移動させ
て運搬を行なうものにおいて、上記ローラを、略そろば
ん玉形状に形成し、上記レールを、上記ローラの両円錐
面に接触する形状に形成して、搬送物の運搬速度が連続
的に変化するようにしたこと特徴とする。また、本発明
の請求項２に記載のパレット搬送式コンベアは、複数の
ローラを各中心軸を介してチェーンに対して回転自在に
連結し、各ローラの下部をレールに当接させ、各ローラ
の頂部に直接またはパレットを介して搬送物を載置し
て、上記チェーンをレールに沿って移動させて運搬を行
なうものにおいて、上記ローラを、略つづみ形状に形成
し、上記レールを、上記ローラの両円錐面に接触する形
状に形成して、搬送物の運搬速度が連続的に変化するよ
うにしたこと特徴とする。

【０００６】

【作用】請求項１のパレット搬送式コンベアにおいて、
チェーンに中心軸を連結され、略そろばん玉形状をもつ
一連のローラは、下側左右の円錐面の対称位置にレール
が当接し、上側頂部にパレットまたは搬送物が載せられ
ている。パレットつまり搬送物の移動速度は、チェーン
の移動速度と、ローラのパレットとの接点での周速度の
ベクトル和であり、ローラのレールとの当接点での周速
度がチェーンの移動速度に等しい。従って、図３に示す
ように、チェーンの移動速度をＶc,ローラの中心軸から
パレットとの接点までの半径をＡ,ローラの中心軸から
レールとの接点までの距離をＢとすると、パレットの移
動速度Ｖpは、次式で与えられる。 Ｖp＝Ｖc(１＋Ａ／Ｂ) 従って、レールがローラの下側頂部に当接すれば(Ｂ＝
Ａ),Ｖp＝２Ｖcなる運搬速度が、レールが広幅になって
ローラの略両側部に当接すれば(Ｂ→０),非常に速い運
搬速度(Ｖp→∞)が夫々得られ、レールの断面形状を任
意に変化させることにより、一定のチェーン移動速度下
で所望の運搬速度を得ることができる。

【０００７】請求項２のパレット搬送式コンベアにおい
て、チェーンに中心軸を連結され、略つづみ形状をもつ
一連のローラは、下側左右の円錐面の対称位置にレール
が当接し、上側頂部にパレットまたは搬送物が載せられ
ている。パレットつまり搬送物の移動速度は、請求項１
の場合と同様に、チェーンの移動速度と、ローラのパレ
ットとの接点での周速度のベクトル和であり、ローラの
レールとの当接点での周速度がチェーンの移動速度に等
しい。従って、図４に示すように、チェーンの移動速度
をＶc,ローラの中心軸からパレットとの接点までの半径
をＡ,ローラの中心軸からレールとの接点までの距離を
Ｂとすると、パレットの移動速度Ｖpは、同じ式で与え
られる。 Ｖp＝Ｖc(１＋Ａ／Ｂ) 従って、レールがローラ中央の最小径をなす平行部(例
えば、Ｂ＝Ａ／４)に当接すれば,Ｖp＝５Ｖcなる速い運
搬速度が、レールが広幅になってローラの略両側部に当
接すれば(Ｂ→Ａ),Ｖp＝２Ｖcなる運搬速度が夫々得ら
れ、レールの断面形状を任意に変化させることにより、
一定のチェーン移動速度下で所望の運搬速度を得ること
ができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を図示の実施例により詳細に説
明する。図１,図２は、請求項１に記載のパレット搬送
式コンベアの一例を示す正面断面図,側面図である。こ
のコンベアは、略そろばん玉の形状を有する複数のロー
ラ１,１…の両側に突設した中心軸１aを、夫々、中間点
にヒンジ３cをもつチェーン要素３の両端穴３a,３bに回
転自在に順次嵌合して連結し、各ローラ１の下部両側の
円錐面１b,１cを、コ字状の断面形状を有するレール４
に当接させる一方、各ローラ１の頂部つまり最大径をな
す中央の平行部１dにパレット５を載置し、このパレッ
ト５に搬送物６を載せている。

【０００９】上記レール４は、図２の断面変化部４aに
おいて、コ字状の断面の対向壁の間隔と高さが漸減し
て、ローラ下端の平行部１dに接する矩形形状(図１の二
点鎖線参照)に変化する。そして、上記チェーン要素３
の連続からなるチェーン２を、図示しないスプロケット
を介してモータにてレール４に沿って矢印Ｖc（図２参
照)の如く駆動して、搬送物６をパレット５と共に駆動
方向に矢印Ｖpの如く運搬するようになっている。な
お、１対のレール４は、ローラ１の動きを案内する１対
のコ字状のフレーム７(図１参照)に嵌合,固定されて、
工場などの床Ｆ上に敷設される。上記ローラ１の左右両
側の円錐面１b,１cは、中心軸１aの中点でこれに直交す
る平面に関して互いに対称をなすと共に、両側に向かっ
て次第に小径をなしている。また、上記レール４も、上
記平面と同一の対称平面を有し、ローラ１の両円錐面１
b,１cの対称位置または中央の平行部１dに接して(図１
の二点鎖線参照)、ローラ１の中心軸１aを常に床面Ｆか
ら一定高さ隔たった水平面内に維持する。

【００１０】上記構成のパレット搬送式コンベアの作用
は、次のとおりである。パレット５つまり搬送物６の移
動速度Ｖpは、図３に示すように、チェーン２の移動速
度Ｖcと、ローラ１のパレット５との接点での周速度の
ベクトル和であり、ローラ１のレール４との当接点での
周速度がチェーン２の移動速度Ｖcに等しい。従って、
ローラ１の中心軸１aからパレット５との接点までの半
径をＡ,上記中心軸１aからレール４との接点までの距離
をＢとすると、パレットの移動速度Ｖpは、次式で与え
られる。 Ｖp＝Ｖc(１＋Ａ／Ｂ) したがって、レール４が矩形断面となってローラ１の中
央平行部１dに当接すれば、Ｂ＝Ａとなって、Ｖp＝２Ｖ
cなる運搬速度が、レール４が図３の如きコ字状となっ
てローラ１の両円錐面１b,１cに当接すれば、図３より
略Ｂ＝０.７Ａなので、Ｖp＝２.４Ｖcなる運搬速度が夫
々得られる。即ち、チェーン２を一定速度Ｖcで図２の
矢印の方向に移動させると、パレット５がレール４の断
面変化部４aに達するまでは２Ｖcの速度で、断面変化部
４aを越えれば２.４Ｖcの速度で夫々搬送物６が運搬さ
れることになる。また、レール４の断面形状を所定の区
間内において所定の変化率で変化させれば、一定のチェ
ーン移動速度Ｖcの下で、上式で与えられる所望の運搬
速度Ｖpを得たり、運搬速度を連続的に変化させたりす
ることができる。

【００１１】このように、ローラ１,レール４の形状を
夫々そろばん玉状,幅が変化するコ字状とすることによ
り、チェーン２を駆動するモータの回転速度を一定にし
たまま、緩急任意な運搬速度を得ることができるので、
モータの回転速度制御の場合に比して、簡素かつ安価な
構成により搬送物に加わる衝撃を低減できる。また、レ
ール４の幅により、おおよその運搬速度を視覚的に容易
に把握することができる。

【００１２】図４は、請求項２に記載のパレット搬送式
コンベアの一実施例を示しており、このコンベアは、ロ
ーラおよびレールの形状が異なる点を除いて図１で述べ
たものと同じ構成であるから、同じ部材には同一番号を
付して説明を省略する。上記ローラ１１は、最小径をな
す中央の平行部１１eから両側に向かって対称に次第に
大径となる円錐面１１b,１１cを有する略つづみ形状に
形成され、上記レール１４は、ローラ１１の上記円錐面
１１b,１１cの対称位置または上記平行部１１eに接して
(図４の二点鎖線参照)、ローラ１１の中心軸１１aを常
に床面Ｆから一定高さ隔たった水平面内に維持するよう
な矩形形状に形成されている。

【００１３】このコンベアの作用は、次のとおりであ
る。パレット５つまり搬送物６の移動速度Ｖpは、図３
で述べたと同様に、チェーン２の移動速度Ｖcと、ロー
ラ１１のパレット５との接点での周速度のベクトル和で
あり、ローラ１１のレール１４との当接点での周速度が
チェーン２の移動速度Ｖcに等しい。従って、図４に示
すように、ローラ１１の中心軸１１aからパレット５と
の接点までの半径をＡ,上記中心軸１aからレール４との
接点までの距離をＢとすると、パレットの移動速度Ｖp
は、次式で与えられる。 Ｖp＝Ｖc(１＋Ａ／Ｂ） 従って、レール１４がローラ１１の中央の最小径をなす
平行部１１ｅ（図４の例では、略Ｂ＝Ａ／４)に当接す
れば(図中の二点鎖線参照),Ｖp＝５Ｖcなる速い運搬速
度が、レールが広幅になってローラ１１の両端部に当接
すれば(Ｂ＝Ａ),Ｖp＝２Ｖcなる運搬速度が夫々得られ
る。つまり、レール１４の断面形状を所定の区間内にお
いて所定の変化率で変化させれば、一定のチェーン移動
速度の下で、上式で与えられる所望の運搬速度Ｖpを得
たり、運搬速度を連続的に変化させたりすることができ
る。

【００１４】このように、ローラ１１,レール１４の形
状を夫々つづみ状,幅が変化する矩形状とすることによ
り、チェーン２を駆動するモータの回転速度を一定にし
たまま、緩急任意な運搬速度を得ることができるので、
モータの回転速度制御の場合に比して、簡素かつ安価な
構成により搬送物に加わる衝撃を低減できる。また、レ
ール１４の幅により、おおよその運搬速度を視覚的に容
易に把握することができる。

【００１５】上記実施例では、レール４,１４を、ロー
ラ１,１１の動きを案内するコ字状のフレーム７,７に嵌
合,固定しているので、ローラ１,１１がレール４,１４
から外れることなく円滑に移動し、床Ｆ等に敷設する際
の補強が図れるという利点がある。なお、上記実施例で
は、ローラ１,１１の上にパレット５を介して搬送物６
を載せたが、搬送物が板状体であれば、ローラ１,１１
に直接載置することもできる。

【００１６】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
パレット搬送式コンベアは、中心軸を介してチェーンに
対して回転自在に連結された複数のローラの下部をレー
ルに当接させ、頂部に直接またはパレットを介して搬送
物を載せ、チェーンの移動で運搬を行なうものにおい
て、上記ローラを、略そろばん玉またはつづみ形状に形
成する一方、上記レールを、上記ローラの両円錐面に接
触する形状に形成して、搬送物の運搬速度を連続的に変
化させるようにしたので、チェーンを駆動するモータの
速度を複雑で高価な装置により制御せずとも、簡素かつ
安価な構成により搬送物への衝撃を低減しつつ、運搬速
度を連続的に変化させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のパレット搬送式コンベアの一実施例
を示す正面断面図である。

【図２】 上記実施例の側面図である。

【図３】 上記実施例でのパレットの移動速度を説明す
る正面図,側面図である。

【図４】 本発明のパレット搬送式コンベアの他の実施
例を示す正面断面図である。

【図５】 従来のパレット搬送式コンベアを示す側面
図,正面断面図である。

【符号の説明】

１,１１…ローラ、１a,１１a…中心軸、１b,１c,１１b,
１１c…両円錐面、２…チェーン、３…チェーン要素、
４,１４…レール、４a…断面変化部、５…パレット、６
…搬送物。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のローラを各中心軸を介してチェー
   ンに対して回転自在に連結し、各ローラの下部をレール
   に当接させ、各ローラの頂部に直接またはパレットを介
   して搬送物を載置して、上記チェーンをレールに沿って
   移動させて運搬を行なうパレット搬送式コンベアにおい
   て、 上記ローラを、略そろばん玉形状に形成し、上記レール
   を、上記ローラの両円錐面に接触する形状に形成して、
   搬送物の運搬速度が連続的に変化するようにしたこと特
   徴とするパレット搬送式コンベア。
2. 【請求項２】 複数のローラを各中心軸を介してチェー
   ンに対して回転自在に連結し、各ローラの下部をレール
   に当接させ、各ローラの頂部に直接またはパレットを介
   して搬送物を載置して、上記チェーンをレールに沿って
   移動させて運搬を行なうパレット搬送式コンベアにおい
   て、 上記ローラを、略つづみ形状に形成し、上記レールを、
   上記ローラの両円錐面に接触する形状に形成して、搬送
   物の運搬速度が連続的に変化するようにしたこと特徴と
   するパレット搬送式コンベア。