JPH0691899B2 - 抗血液凝固性高分子材料 - Google Patents

抗血液凝固性高分子材料

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JPH0691899B2
JPH0691899B2 JP61005876A JP587686A JPH0691899B2 JP H0691899 B2 JPH0691899 B2 JP H0691899B2 JP 61005876 A JP61005876 A JP 61005876A JP 587686 A JP587686 A JP 587686A JP H0691899 B2 JPH0691899 B2 JP H0691899B2
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博 稲垣
武明 宮本
啓 伊藤
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【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 この発明は抗血液凝固性高分子材料に関するものであ
り、詳しくはアミノエチルセルロースを主鎖とし、側鎖
に特定のポリペプチドを有することを特徴とする医療用
機器及び部材の形成に用いるのに有用な高分子材料に関
するものである。
(ロ)従来の技術 人工臓器、体外補助装置などをはじめとして各種カテー
テル、カニューレ、チューブ類、注射器、血液保存容器
など多くの医療用機器に種々のプラスチックス材料が使
用されているが、それらの材料が血液と接触した場合、
血液の凝固をひきおこさない材料であることが強く要求
されている。また、人工臓器、人工血管、人工皮膚、縫
合糸など直接人体と長期間接触させるものである場合生
体適合性が必要とされている。しかしながら、適当な物
性を有し、成型加工が可能で、毒性が低く上記の要求を
完全に満足させる材料はまだ見出されていない。
また血液と接触する箇所に使用する高分子材料は、血液
に溶解しないものでなければならず、一般的に水に不溶
性でなければならない。一方、生体適合性の観点から
は、適度の親水性を有することが望ましい。
(ハ)発明が解決しようとする問題点 この発明は上記の状況においてなされたものであって、
本質的に無毒であり天然の繊維形成物質であるセルロー
スに生体構成物質と類似の構造を有するポリペプチドを
組合わせ、適当な疎水性/親水性バランスを有するもの
で前述の要求を満たす高分子になりうると考え鋭意研究
の結果この発明に到達した。
(ニ)問題点を解決するための手段と作用 この発明は高分子物質が、アミノエチルセルロースを主
鎖とし、重合度約6以下のポリγ−ベンジル−L−グル
タメートまたはポリN5−2−ヒドロキシアルキル−L−
グルタミンを側鎖としてグラフト結合して構成され、高
分子物質の重量に対し側鎖の重量比が約5〜30重量%で
あることからなる抗血液凝固性高分子材料を提供するも
のである。
この発明の高分子物質の主鎖を構成するアミノエチルセ
ルロースは、セルロースを常法によってアミノエチル化
して得られるもので、アミノエチル基によるセルロース
のヒドロキシ置換度(以下DSと略称する)は、0.02〜0.
07程度の通常市販されているものでよい。
この発明の高分子物質で側鎖としてポリγ−ベンジル−
L−グルタメートを有するものは次のようにして製造さ
れる。
すなわち上記アミノエチルセルロースとγ−ベンジル−
L−グルタメートのN−カルボン酸無水物(以下γ−BL
G・NCAと略称する)とアミノエチルセルロースを有機溶
媒(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
ド)中、常温下、(10〜30℃)、不活性ガス雰囲気(窒
素ガスなど)で反応させて、メタノールなどの非溶剤内
に注入して沈澱を生成させ、得られた沈澱を濾別しメタ
ノールで洗浄し乾燥することにより得られる(以下cell
−g−PBLGと略称する)。
前記γ−BLG・NCAは求核性試薬の存在で重合することが
知られており〔E.R.Blout,R.H.Karlson,J.Am.chem.Soc.
78941(1956)参照〕、出発原料のアミノエチルセルロ
ースのアミノ基が重合開始点となり、次のような化学反
応によって前記cell−g−PBLBが生成すると考えられ
る。
一方側鎖としてポリN5−2−ヒドロキシアルキル−L−
グルタメートを有するこの発明の高分子物質は、前記の
cell−g−PBLGにアミノ低級アルキルアルコールを反応
させて得らる。アミノ低級アルコールとしては2−アミ
ノメチルアルコール、2−アミノエチルアルコール、3
−アミノプロピルアルコールなどが挙げられる。
上記の反応は、例えば、ジオキサン、ジオキサン/水混
合液などの溶媒中で常温より高い30〜70℃で不活性ガス
(窒素ガスなど)の雰囲気下で、cell−g−PBCGの溶液
にアミノアルコールを攪拌下徐々に添加することによっ
て行われる。
上記化合物は次のような化学反応式によって、cell−g
−PBCGのグラフト部分のベンジルオキシ基をヒドロキシ
アルキルアミド基に変換して生成する考えられる。
上記のこの発明の化合物の、生成した高分子物質におけ
る側鎖部分の重量比率は、5重量%以上30重量%以下の
ものが、抗血液凝固性、溶剤溶解性の点で特に好まし
い。5重量%以下の場合、セルロースそのものと大差な
く、抗血液凝固性に欠ける。また30重量%以上の場合抗
血液凝固性高分子がえられるが塩化リチウムを含有する
ジメチルアセトアミド、トリフルオロ酢酸、ジクロル酢
酸などの特殊な溶剤にしか溶解しないので成型加工性に
欠けるきらいがある。
この発明の高分子材料中の側鎖を構成するポリペプチド
の重合度はせいぜい5〜6以下であって多数の短いポリ
ペプチドすなわちオリゴペプチドがセルロース主鎖にグ
ラフト結合していると考えられる。
cell−g−PBCGはセルロース及びポリ−γ−ベンジル−
L−グルタメートの両方の溶媒であるトリフルオロ酢
酸、塩化リチウムを含有するジメチルアセトアミドに溶
解するほかモノクロル酢酸などに溶解する。但しトリフ
ルオロ酢酸の溶液は長期間保存するとセルロース分子が
エステル化されるので使いにくい。特に側鎖部分の含量
が5〜30重量%の範囲のcell−g−PBLGは蟻酸溶解性を
示す。蟻酸は比較的沸点が低いので蟻酸溶液からコーテ
ィング、フィルム成型、紡糸など成型に利用することが
できる。
一方、cell−g−PHEGもトリフルオロ酢酸、塩化リチウ
ムを含有するジメチルアセトアミドに溶解るすほかジク
ロル酢酸などに溶解する。また、側鎖部分が5〜30重量
%の範囲のcell−g−PHEGは蟻酸に溶解する。したがっ
てcell−g−PBLGと同様に蟻酸液からコーティング、フ
ィルム成型、紡糸など成型に利用できる。
この発明の高分子材料は後記のごとく抗血液凝固性であ
るので医療器具の材料に使用することができる。
また側鎖部分が5〜30重量%の範囲のものはいずれも生
体内に埋めこんだ場合緩徐な生体吸収性を示すことなら
びに異物反応性が極めて低いことを実験により確認され
ている。以上から、この発明の高分子は生体組織の代用
あるいは補強用、例えば人工血管、手術縫合糸などに応
用可能と考えられる。この場合この発明の高分子を体内
に留置しそれが生体に吸収されるまでの間に本来の生体
組織がその個所に再生し安定した状態に回復する機会が
与えられることになる。また、この発明の高分子を材料
医薬と混和し、生体内に設置することにより薬効成分の
徐放用に利用することも可能である。
なお、この発明の高分子材料は、生体に害を及ぼさず
に、加工性などを向上させるための賦形剤を当て化して
用いてもよい。
以下に実施例をあげてこの発明を説明するがこの発明を
限定するものではない。
(ホ)実施例 使用したアミノエチルセルロース(AE−cell) AE−cellは米国Seroa社製市販品を用いた。
N分析値と酸・アルカリ逆滴定法から求めた試料のDS値
はよく一致し、DS=0.05であった。またトリフルオロ酢
酸溶液、20℃の極限粘度は3.90であった。
γ−ベンジル−L−グルタメートのNカルボン酸無水物
(γ−BLG・NCA)の製造 γ−BLG・NCAはγ−ベンジル−L−グルタメートからBl
out及びLarlsonの方法〔E.R.Blout and R.H.Karlson;
J.Am.chem.Soc.,78 941(1950)〕の方法で合成した。
117gのγ−ベンジル−L−グルタメートを600mlの無水
ジオキサン中に分散させ60〜65℃でホスゲンをバブリン
グした。2時間後透明淡黄色の溶液を得た。この溶液を
減圧、50℃以下で約200mlになるまで濃縮した。濃縮溶
液に100mlのクロロホルムを加えて希釈し、ゆっくりn
−ヘキサンを加えて結晶を析出させた。結晶をn−ヘキ
サンで洗浄し酢酸エチル/n−ヘキサンで精製し89gのγ
−BLG・NCAを得た。
cell−g−PBLGの製造 前記AE−cellとγ−BLG・NCAの合計量が2gになるように
採取し100mlのジメチルスルホキシドに溶解し窒素雰囲
気下に20℃で48時間反応させた。反応終了後反応液を10
00mlのメタノールに注ぎ、沈澱を回収し乾燥した。
取得生成物はジオキサンで抽出される部分が殆んど認め
られないところからほぼ100%のグラフト重合体と判断
される。第1表に仕込組成比、反応率、分析値を示す。
なお極限粘度はトリフルオロ酢酸20℃での測定値であ
る。
cell−g−PHEGの製造 cell−g−PBLGをLupo−Lotanらの方法〔N.Lupo−Lota
n、A.Yarm、A.Berger、M.Sela;Biopolymers 3 625(196
5)〕に従ってジオキサン中で2−アミノエタノールを5
6℃で24時間反応させグラフト部分をポリ−N−ヒドロ
キシエチルグルタミンに変換しcell−g−PHEGを合成し
た。
抗血液凝固性の試験−1 ポリエステル手術糸(国際規格1−0号)を10cmの長さ
に切断し第2表に示す高分子試料の溶液をコーティング
した。蟻酸溶液及びクロロホルム溶液はそのまま乾燥
し、塩化リチウムを含むジメチルアセトアミド溶液は水
中に浸漬して高分子を再生させ乾燥した。
このようにして得たコーテッド糸を成犬の頚静脈又は大
腿静脈内に挿入し24時間経過後へパリン化して脱血し静
脈を切開し生理食塩水で洗浄した後表面状態を肉眼で観
察し評価した。比較のため試料に加えたポリ−γ−ベン
ジル−L−グルタメート(PBLG)は、Bloutらの方法に
従い、ナトリウムメトオキシドを開始剤としてγ−BLG
・NCAを重合して得たものである。
結果を第2表に示したが、再生セルロースやPBLG自体は
血栓を生成させたが、cell−g−PBLGは血栓を生成しな
かった。
抗血液凝固性の試験−2 グラフト重合体中ポリペプチド含量の比較的低いもの
(30重量%以下)は蟻酸に溶解する。蟻酸溶液を用いて
コーティングを試料を用いておこなった。
試験結果を第3表に示す。この場合もcell−g−PBLGの
とcell−g−PHEGはともに殆んど血栓を生成しないか全
く生成しなかった。
体内吸収性および異物反応性の試験 グラフト重合体溶液を流延乾燥して得た被膜を成犬の背
部筋肉内に植え込み、4週間経過後、試料被膜を周囲組
織とともに切除し、10%ホルマリンで固定し、パラフィ
ン包埋して薄切りした切片をヘマトキシリン・エオキシ
ン染色した後光学顕微鏡で観察した。体内吸収成および
異物反応性は次の基準によった。
吸収度 −;吸収されていない +;25%程度の吸収 ++;50%程度の吸収 +++;75%程度の吸収 ++++;95%以上の吸収 異物反応度 −;細胞が異物として認識しない ±;−と+の中間 +;細胞が異物として認識し、周囲に異物巨細胞や類上
皮細胞が集まっているが、異物を取り囲む細胞の層が10
層以下程度で、異物反応度は軽度なもの ++;+と+++の中間 +++;著名な異物反応で細胞が幾重にも集まり塊を形
成する。
++++;+++より強く、細胞毒として作用し周囲の
細胞が壊死におちいる 結果を第4表に示したが、cell−g−PBLGとcell−g−
PHEGとはいずれも体内吸収性及び異物反応性は良好であ
る。
(ヘ)発明の効果 この発明によれば、抗血液凝固性と生体適合性とを有
し、しかも低毒性で成型加工性に優れた高分子材料が得
られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子物質が、アミノエチルセルロースを
    主鎖とし、重合度約6以下のポリγ−ベンジル−L−グ
    ルタメートまたはポリN5−2−ヒドロキシアルキル−L
    −グルタミンを側鎖としてグラフト結合して構成され、
    高分子物質の重量に対し側鎖の重量比率が約5〜30重量
    %であることからなる抗血液液凝固性高分子材料。
JP61005876A 1986-01-13 1986-01-13 抗血液凝固性高分子材料 Expired - Lifetime JPH0691899B2 (ja)

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