JPH0686915U - ゲートカット装置のチャック部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲートカット装置に用いるチャック部材とし
て、ワークスプル部の寸法形状に拘らず、テーパ付のス
プル部を確実にしっかりと掴むことができるようにした
チャック部構造を提供する。 【構成】 ゲートカット装置上で成形機より取り出され
たワークのスプル部を掴んで移動、回転動作するための
チャック部材であって、ワークＷのスプル部Ｓを掴むチ
ャック爪１４の部分が弾性部材１６を介してチャック本
体１３に前後、左右方向で傾動可能に取り付けられると
共に、チャック爪１４のチャック面１４ａにスプル部Ｓ
に食い込む凹凸１８、１９を設けた構造のものからな
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プラスチック成形品のゲートカット作業を行うゲートカット装置に 搭載されるチャック部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

射出成形機で成形されるプラスチック成形品は、ランナやスプルが付着したま まの状態で取り出されるため、成形後、ゲートをカットして製品部分をランナか ら切り離さなければならないのが普通であるが、最近では省力化の目的により、 成形機から取り出されたランナ付成形品から製品部分を自動的に切り落とす各種 のゲートカット装置が提案され、普及しつつある。

【０００３】 一般にゲートカット装置は、架台上に、成形機から取り出されたランナ付成形 品を掴んで移動、回転動作するためのチャック部材と、該チャック部材で所定の 切断位置に搬入されたランナ付成形品のゲート部分をカットするカッター等を配 置して構成される。

【０００４】 上記ゲートカット装置に搭載されるチャック部材（チャック爪）６によるワー クＷのチャッキングの概要が図９に示されている。チャック爪６には、構造簡易 でかつワークＷのスプル部Ｓをスプル径の大小によらず的確に掴めることから、 チャック面にＶ溝６ａを設けた二つ爪タイプのものを使用するのが普通となって いる。一方、ワークＷのランナ部Ｒから突出されるスプル部Ｓには、型開時にお けるワーク取出しの必要から長手方向に先細となるテーパが付されているのが通 例である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このテーパ付のスプル部Ｓを上記二つ爪からなるＶ溝付のチャック 爪６、６で掴んだときには、図１０の（Ａ）（Ｂ）に示すように、チャック爪６ 、６がスプル部Ｓの外周をその先端部の内周４点で当接される点当たりの状態で 掴むことになるため、ワークＷの姿勢保持が不安定となり、チャック爪６、６の 移動、回転動作に伴ってスプル部Ｓの掴持部位が滑ってワークＷが変位したり、 脱落したりする危険がある。

【０００６】 そこで、各チャック爪６の内面Ｖ溝６ａにスプル部Ｓに対応するテーパを付け ることも考えられるが、ワークＷのスプル部Ｓは成形品によってその寸法、形状 が区々であるので、有効な対策となり得ない。

【０００７】 本考案は、このような現状の問題点に鑑みて、ゲートカット装置に搭載される チャック部材として、ワークスプル部の寸法形状に拘らず、テーパ付の樹脂製ス プル部を確実に、具体的にはスプル部を把持してワークを振り回してもズレない くらいにしっかりと掴むことができるように改良されたチャック部構造を提供す るものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案では、上記の目的を達成するための手段として、ゲートカット装置上で 成形機より取り出されたワークのスプル部を掴んで移動、回転動作するためのチ ャック部材に、次の三つの改良されたチャック部構造を案出している。 即ち、第一の手段は、ワークのスプル部を掴むチャック爪の部分が弾性部材を 介してチャック本体に前後、左右方向で傾動可能に取り付けられると共に、チャ ック爪のチャック面にスプル部に食い込む凹凸を設けた構造のものである。 また、第二の手段は、ワークのスプル部を掴むチャック部材のチャック面にス プル部に食い込むスパイク状の突起を設けた構造のものである。 さらに、第三の手段は、ワークのスプル部を掴むチャック部材のチャック面に 矩形溝を設けた構造のものからなっている。

【０００９】

【作用】

まず、第一の手段によれば、チャック部材によりワークのスプル部を掴んだと きには、スプル部を掴むチャック爪の部分がチャック本体に弾性部材を介して前 後、左右方向で傾動可能に取り付けられているため、チャック爪のチャック面が スプル部の外周に沿って密着する働きが得られ、同時にチャック面に設けた凹凸 がワークのスプル部に食い込んで強固に掴持することが可能となる。 また、第二の手段によれば、チャック部材のチャック面に設けたスパイク状の 突起をワークのスプル部に食い込ませてしっかりと掴持することができる。 さらに、第三の手段によれば、チャック部材のチャック面に設けた矩形溝のエ ッジをワークのスプル部に食い込ませてしっかりと掴持することができる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図示して説明する。 そこで先ず、図８に本考案に係るチャック部材が搭載されるゲートカット装置 の一例を図示して、その概要を簡単に説明する。

【００１１】 このゲートカット装置は、架台１の上に、片側で位置決めガイド２を設けたガ イド支持板３と、ゲートカッターをなすエアニッパ４を取り付けたカッター支持 板５とを配置し、反対側にゲートカット装置上で直交Ｘ、Ｙ２軸とＹ軸と平行な １軸回り（θ軸）に移動、回転動作されるチャック部材（チャック爪）６を配置 して構成されている。この装置では、図示しない取出機によってワークが所定の 受渡位置まで搬入されると、チャック部材６がそのスプル部を掴んでワーク（図 示せず）を受け取り、まずワークを対向位置のガイド支持板３に設けられている 位置決めガイド２に当接させて掴持姿勢を矯正し、次いで、ワークをカッター支 持板５の前面の切断位置へ移送し、必要に応じワークを回転しながらエアニッパ ４により製品部分をゲートカットする移動、回転を組み合わせた一連のサイクル 動作を実行し、ワークのゲートカット作業が自動で連続的に行えるものとなって いる。

【００１２】 その他、図８において、８は架台１上に設置されてチャック部材６をＸ軸方向 に直進動作するロッドレスのＸ軸エアシリンダ、９はＸ軸エアシリンダ８の上に 取り付けられてチャック部材６をＹ軸方向に直進動作するＹ軸エアシリンダ、１ ０はＹ軸エアシリンダ９の上に取り付けられてチャック部材６をθ軸方向に回転 させるステップハイロータを示し、このステップハイロータ１０に支持されたチ ャック用アクチェータ７の上下一対をなす作動爪にチャック部材６が装着されて いる。１１はフレキシブルホルダ１２でワーク搬入位置に臨設されるワーク検出 センサを示す。

【００１３】 次いで、上記ゲートカット装置に搭載されるチャック部材６の各実施例につい て説明する。

【００１４】

【実施例１】 図１は、前記第一の手段に対応する本考案の第１実施例を示している。このチ ャック部構造では、上記チャック用アクチェータ７の作動爪７ａに装着される上 下一対のチャック部材６が、次のように改良されている。

【００１５】 チャック部材６は、アクチェータ作動爪７ａに止具１５を打って固定されるチ ャック本体（フィンガー）１３と、ワークＷのスプル部Ｓを直接掴むチャック爪 １４の部分とが別体品で形成され、チャック爪１４の部分がホルダ部材をなすチ ャック本体１３の先端部の内側にゴムのような弾性部材１６を介して前後、左右 方向で傾動可能に取り付けられるようになっている。

【００１６】 詳述すると、チャック本体１３は、その先端部が内面側に口狭の開口部１３ａ を有する正面視角型の中空枠体で形成されており、一方、チャック爪１４は、内 方端と外方端の両側に鍔状の突出部１４Ａ、１４Ｂを有する正面視ほぼＩ型の部 材で形成されている。このチャック爪１４は、開口部１３ａを通してチャック本 体１３の内空部に挿入され、その外方端突出部１４Ｂが開口部１３ａの両側に脱 出不能に係止されると共に、チャック本体１３の内空部に装填されてチャック爪 １４とチャック本体１３とに挾み込まれる弾性部材１６の変形を介して前後、左 右方向で傾動し、ワークスプル部Ｓの外周面に沿って自在に姿勢変更できるよう に取り付けられている。１７は、チャック爪１４を傾動可能な状態に保って弾性 部材１６と結合するための止めねじを示す。なお、チャック本体１３に内装され る弾性部材１６の両側には、変形のための適当な逃げスペースが付与される。

【００１７】 また、チャック爪１４の内方端に設けられた突出部１４Ａのチャック面には、 Ｖ溝１４ａが設けられていると共に、Ｖ溝１４ａの表面は、図１（Ｃ）に拡大示 する如く、階段状の凹凸面１８に仕上げられ、更に図１（Ｄ）に示す如く、長手 方向には間欠的に細かなＶ溝の筋１９が凹凸面１８と直交方向に刻まれている。 これらの凹凸１８、１９はワークＷのスプル部Ｓに食い込ませるために設けたも のであるが、凹凸の形式は必ずしも例示のものに限らず、より単純にはローレッ ト様のものであってもよい。

【００１８】 上記の如く改良されたチャック部構造の作用が、図２と図３に示されている。

【００１９】 このチャック部材６（１３、１４、１６）によりワークＷのスプル部Ｓを掴ん だときには、図２に示すように、スプル部Ｓを直接掴むチャック爪１４の部分が チャック本体１３に弾性部材１６を介して前後方向で傾動可能に取り付けられて いるため、チャック爪１４のチャック面１４ａがスプル部Ｓの軸方向のテーパに 沿って密着する働きが得られるものとなる。同時に、その際には、チャック面の Ｖ溝１４ａに設けた凹凸１８、１９がワークＷのスプル部Ｓに微視的に食い込む ことにもなる。従って、この改良された構造を採用すれば、ワークスプル部Ｓの 形状、寸法の変化によらず、スプル部Ｓを確実、強固に掴持することができるも のとなる。

【００２０】 また、この構造のもう一つの利点は、チャック爪１４の部分がチャック本体１ ３に弾性部材１６を介して左右方向でも傾動可能に取り付けられているため、チ ャッキング時において、チャックセンタとワークＷのスプルセンタが少しずれて いても、図３に二点鎖線で示すように、チャック爪１４のＶ溝形状にならって自 動的にワークＷのセンタリングチャックが行われることが挙げられる。

【００２１】 上述した第１実施例の変形例として、チャック爪１４と弾性部材１６とを一体 化して、全体をゴムのような可撓性を有する高摩擦係数部材で形成することも可 能である。

【００２２】

【実施例２】 図４は、前記第二の手段に対応する本考案の第２実施例を示している。 このチャック部構造では、従来と同じくＶ溝６ａを設けた上下一対のチャック 部材６のチャック面に、その溝底でワークＷのスプル部Ｓに食い込むスパイク状 の突起２０を複数箇所設けている。この場合、各突起２０は、チャック部材６に 貫設されて、その外面側に螺着したナット２１のねじ廻し操作で溝底からの突出 高を自在に調整し得るように取り付けられている。

【００２３】 このように改良されたチャック部構造であれば、図５に示すように、ワークＷ のスプル部Ｓをチャック部材６のＶ溝６ａでチャックすると同時に、チャック面 の溝底で長手方向の複数箇所で設けたスパイク状の突起２０がワークＷのスプル 部Ｓに食い込んでしっかりと掴持することができる。

【００２４】

【実施例３】 図６は前記第三の手段に対応する本考案の第３実施例を示している。 このチャック部構造では、チャック部材６のチャック面に設ける溝を従来のＶ 溝６ａに代えて、矩形溝６ｂに形成するようにしている。

【００２５】 このように改良されたチャック部構造であれば、ワークスプル部Ｓの径やテー パにバラツキがあっても、図７に示すように、矩形溝６ｂのエッジをワークＷの スプル部Ｓに軸方向の部分で機械的に食い込ませることによって、しっかりと掴 持することができる。

【００２６】 なお、この第３実施例と上記第２実施例の改良構造とを組み合せて採用するこ とも可能である。

【００２７】

【考案の効果】

以上のように、本考案によると、第一の手段によれば、主としてチャック部材 のチャック爪の部分がワークのスプル部の形状にならって密着する作用に基づい て、また第二、第三の手段によれば、チャック面に設けた突起やエッジがスプル 部に機械的に食い込む作用に基づいて、いずれの場合もワークスプル部のチャッ キングが確実に強固に行える改善効果が得られるものとなる。従って、この改良 されたいずれかのチャック部構造を採用すれば、チャック部材の移動、回転動作 に伴ってワークが変位、脱落し易いという問題を的確に解消することができるも のとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例を示し、（Ａ）はチャック部材の半
部断面側面図、（Ｂ）は同正面図、（Ｃ）は正面部分拡
大図、（Ｄ）は（Ｃ）のＣーＣ線矢視断面図である。

【図２】第１実施例の作用を示すチャック部材の縦断面
図である。

【図３】第１実施例の作用を示すチャック部材の横断面
図である。

【図４】第２実施例を示すチャック部材の斜視図であ
る。

【図５】第２実施例の作用を示すチャック部材の縦断面
図である。

【図６】第３実施例を示すチャック部材の斜視図であ
る。

【図７】第３実施例の作用を示すチャック部材の横断面
図である。

【図８】本考案が適用されるゲートカット装置の概要を
示す斜視図である。

【図９】チャック部材によるワークスプル部のチャック
状態を示す斜視図である。

【図１０】従来例を示し、（Ａ）はチャック部材の縦断
面図、（Ｂ）はチャック部材の横断面図である。

【符号の説明】

１ 架台 ２ 位置決めガイド ３ ガイド支持板 ４ エアニッパ ５ カッター支持板 ６ チャック爪（チャック部材） ６ａ Ｖ溝（チャック面） ６ｂ 矩形溝（チャック面） ７ チャック用アクチェータ ７ａ 作動爪 ８ Ｘ軸エアシリンダ ９ Ｙ軸エアシリンダ １０ ステップハイロータ １２ フレキシブルホルダ １３ チャック本体 １４ チャック爪 １４ａ Ｖ溝（チャック面） １５ 止具 １６ 弾性部材 １７ 止めねじ １８ 凹凸面 １９ 筋 ２０ 突起 ２１ ナット Ｗ ワーク（成形品） Ｓ スプル部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゲートカット装置上で成形機より取り出
   された成形品のスプル部を掴んで移動、回転動作するた
   めのチャック部材であって、成形品のスプル部を掴むチ
   ャック爪の部分が弾性部材を介してチャック本体に前
   後、左右方向で傾動可能に取り付けられると共に、チャ
   ック爪のチャック面にスプル部に食い込む凹凸を設けた
   ことを特徴とするゲートカット装置のチャック部構造。
2. 【請求項２】 ゲートカット装置上で成形機より取り出
   された成形品のスプル部を掴んで移動、回転動作するた
   めのチャック部材であって、チャック面にスプル部に食
   い込むスパイク状の突起を設けたことを特徴とするゲー
   トカット装置のチャック部構造。
3. 【請求項３】 ゲートカット装置上で成形機より取り出
   された成形品のスプル部を掴んで移動、回転動作するた
   めのチャック部材であって、チャック面に矩形溝を設け
   たことを特徴とするゲートカット装置のチャック部構
   造。