JPH0623727U - ゲートカット装置のチャック部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲートカット装置に用いるチャック部材とし
て、ワークスプル部の寸法形状に拘らず、テーパ付のス
プル部を確実かつ安定に掴むことができるようにしたチ
ャック部構造を提供する。 【構成】 ゲートカット装置上で成形機より取り出され
たワークのスプル部を掴んで移動、回転動作するための
チャック部材であって、少なくともワークＷのスプル部
Ｓを掴むチャック爪の部分が該スプル部Ｓのテーパに沿
って弾性変形可能なゴム等の弾性変形体１３で形成され
たものからなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プラスチック成形品のゲートカット作業を行うゲートカット装置に 搭載されるチャック部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

射出成形機で成形されるプラスチック成形品は、ランナやスプルが付着したま まの状態で取り出されるため、成形後、ゲートをカットして製品部分をランナか ら切り離さなければならないのが普通であるが、最近では省力化の目的により、 成形機から取り出されたランナ付成形品から製品部分を自動的に切り落とす各種 のゲートカット装置が提案され、普及しつつある。

【０００３】 一般にゲートカット装置は、架台上に、成形機から取り出されたランナ付成形 品を掴んで移動、回転動作するためのチャック部材と、該チャック部材で所定の 切断位置に搬入されたランナ付成形品のゲート部分をカットするカッター等を配 置して構成される。

【０００４】 上記ゲートカット装置に搭載されるチャック部材（チャック爪）６によるワー クＷのチャッキングの概要が図６に示されている。チャック爪６には、構造簡易 でかつワークＷのスプル部Ｓをスプル径の大小によらず的確に掴めることから、 チャック面にＶ溝６ａを設けた二つ爪タイプのものを使用するのが普通となって いる。一方、ワークＷのランナ部Ｒから突出されるスプル部Ｓには、型開時にお けるワーク取出しの必要から長手方向に先細となるテーパが付されているのが通 例である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このテーパ付のスプル部Ｓを上記二つ爪からなるＶ溝付のチャック 爪６、６で掴んだときには、図７の（Ａ）（Ｂ）に示すように、チャック爪６、 ６がスプル部Ｓの外周をその先端部の内周４点で当接される点当たりの状態で掴 むことになるため、ワークＷの姿勢保持が不安定となり、チャック爪６、６の移 動、回転動作に伴ってスプル部Ｓの掴持部位が滑ってワークＷが変位したり、著 しくは脱落する危険がある。

【０００６】 そこで、各チャック爪６の内面Ｖ溝６ａにスプル部Ｓに対応するテーパを付け ることも考えられるが、ワークＷのスプル部Ｓは成形品によってその寸法、形状 が区々であるので、有効な対策となり得ない。

【０００７】 本考案は、上述したゲートカット装置に用いるチャック部材として、ワークス プル部の寸法形状に拘らず、テーパ付のスプル部を確実かつ安定に掴むことがで きるように改良工夫されたチャック部構造を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案に基づくチャック部構造は、ゲートカット装置上で成形機より取り出さ れたワークのスプル部を掴んで移動、回転動作するためのチャック部材であって 、少なくともワークのスプル部を掴むチャック爪の部分が該スプル部のテーパに 沿って弾性変形可能な弾性変形体で形成されたものからなっている。

【０００９】

【作用】

このチャック部構造では、ワークのスプル部を掴むチャック爪の一部又は全部 がスプル部のテーパに沿って弾性変形可能な弾性変形体で形成されているため、 スプル部の外周をその長手方向で線乃至面当たりの状態で安定に掴むことができ る。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図示して説明する。 図５は本考案に係るチャック部材を設けて構成されるゲートカット装置の概要 を図示している。そこで先ず、図５を参照して、ゲートカット装置の全体構成に ついて説明する。

【００１１】 このゲートカット装置は、架台１の上に、片側で位置決めガイド２を設けたガ イド支持板３と、ゲートカッターをなすエアニッパ４を取り付けたカッター支持 板５とを配置し、反対側にゲートカット装置上で直交Ｘ、Ｙ２軸とＹ軸と平行な １軸回り（θ軸）に移動、回転動作されるチャック部材（チャック爪）６を配置 して構成されている。この装置では、図示しない取出機によってランナ付成形品 （以下、ワークという）が所定の受渡位置まで搬入されると、チャック部材６が そのスプル部を掴んでワーク（図示せず）を受け取り、まずワークを対向位置の ガイド支持板３に設けられている位置決めガイド２に当接させて掴持姿勢を矯正 し、次いで、ワークをカッター支持板５の前面の切断位置へ移送し、必要に応じ ワークを回転しながらエアニッパ４により製品部分をゲートカットする移動、回 転を組み合わせた一連のサイクル動作を実行し、ワークのゲートカット作業が自 動で連続的に行えるものとなっている。

【００１２】 なお、図５において、８は架台１上に設置されてチャック部材６をＸ軸方向に 直進動作するロッドレスのＸ軸エアシリンダ、９はＸ軸エアシリンダ８の上に取 り付けられてチャック部材６をＹ軸方向に直進動作するＹ軸エアシリンダ、１０ はＹ軸エアシリンダ９の上に取り付けられてチャック部材６をθ軸方向に回転さ せるステップハイロータを示し、このステップハイロータ１０に支持されたチャ ック用アクチェータ７にチャック部材６が装着されている。その他、１１はフレ キシブルホルダ１２でワーク搬入位置に臨設されるワーク検出センサを示す。

【実施例１】 次いで、上記ゲートカット装置に搭載されるチャック部材６の実施例について 説明する。図１は第１実施例を示す。この実施例では、チャック爪６、６の各チ ャック面に形成されるＶ溝６ａの先端部にゴムシートのような弾性部材１３を張 り付けている。かかる弾性部材１３をチャック面に張り付けたものであれば、図 １の（Ａ）（Ｂ）に示すように、チャック爪６、６によりワークＷのスプル部Ｓ を上下に掴んだときには、各弾性部材１３がスプル部Ｓのテーパに沿って弾性変 形し、この弾性部材１３、１３を介してスプル部Ｓの外周面を上下両側から長手 方向で面当たりの状態で掴むことができるため、スプル部Ｓをしっかりと拘束で き、しかも弾性部材１３、１３による摩擦制動効果も得られるものとなる。従っ て、チャック爪６、６の移動、回転動作に伴ってワークＷに変位等を起こす心配 がない。

【００１３】

【実施例２】 図２は本考案の第２実施例を示す。この実施例は、ワークＷのスプル部Ｓを掴 むチャック爪１４、１４全体を板バネの弾性部材で形成したものを示す。即ち、 各チャック爪１４は、図示しないチャック用アクチェータ７に装着される外側の 爪ホルダ１５の先端部から軸心に向かう傾斜姿勢で内向きに引き込まれ、かつ外 向きに屈折された内方端が先端フリーの状態で取り付けられている。かかるチャ ック爪１４、１４を用いたものでは、図２（Ａ）に矢印で示すように爪ホルダ１ ５、１５をチャック動作して、ワークＷのスプル部Ｓを掴むと、各チャック爪１ ４がスプル部Ｓのテーパに沿って弾性変形（図示二点鎖線）し、その外周面を長 手方向で線当たりの状態で掴むことができる。なお、このタイプのものは、図２ （Ｂ）に示すように、三つ爪チャックの場合には特に好適なものとなる。

【００１４】

【実施例３】 図３は本考案の第３実施例を示す。この実施例では、各チャック爪１６を先端 部１６Ａと基端部１６Ｂとに分割し、両者を板バネ１７により連結して、先端フ リーの先端部１６Ａが板バネ１７により弾性拡開変形可能に支持される構造とな っている。この分割チャック方式では、弾性変形体をなす先端部１６Ａによりワ ークＷのスプル部Ｓを掴むと、該先端部１６Ａが、図３に二点鎖線で示される待 機姿勢からスプル部Ｓのテーパに沿う拡開姿勢（同図実線）に弾性変形し、その 外周面を長手方向で線当たりの状態で掴むことができる。なお、スプル部Ｓが長 尺の場合には、図示の如く、先端部１６Ａと基端部１６Ｂの双方で同時に掴持す ることができ、より安定性が増す。

【００１５】

【実施例４】 図４は本考案の第４実施例を示す。この実施例は、上記第３実施例の変形例に 相当するもので、チャック爪１８全体を板バネ１９を介してチャック用アクチェ ータ７側の爪ホルダ２０に連結支持させるようにしたものである。なお、第３及 び第４実施例のものには、Ｖ溝が図示されていないが、二つ爪チャックの場合に はチャック面にそれぞれＶ溝を形成するのが好ましい。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように、本考案に係るゲートカット装置のチャック部構造では、少なく とも成形品のスプル部を掴むチャック爪の部分が該スプル部のテーパに沿って弾 性変形可能な弾性変形体で形成されているので、スプル部のチャック時にはスプ ル部の外周を安定に掴むことができる長手方向での線乃至面当たり状態でのチャ ッキングが行われ、これによりチャック爪の移動、回転動作に伴ってワークが変 位、脱落し易いという問題を的確に解消することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例を示し、（Ａ）はチャック部材の縦
断面図、（Ｂ）はチャック部の横断面図である。

【図２】第２実施例を示し、（Ａ）はチャック部材の縦
断面図、（Ｂ）はチャック部材が三つ爪である場合のチ
ャック部の横断面図である。

【図３】第３実施例を示すチャック部材の縦断面図であ
る。

【図４】第４実施例を示すチャック部材の縦断面図であ
る。

【図５】本考案が適用されるゲートカット装置の概要を
示す斜視図である。

【図６】チャック部材によるワークスプル部のチャック
状態を示す斜視図である。

【図７】従来例を示し、（Ａ）はチャック部材の縦断面
図、（Ｂ）はチャック部の横断面図である。

【符号の説明】 １ 架台 ２ 位置決めガイド ３ ガイド支持板 ４ エアニッパ ５ カッター支持板 ６ チャック爪（チャック部材） ６ａ Ｖ溝 ７ チャック用アクチェータ ８ Ｘ軸エアシリンダ ９ Ｙ軸エアシリンダ １０ ステップハイロータ １２ フレキシブルホルダ １３ 弾性部材（ゴムシート） １４ チャック爪（板バネ） １５ 爪ホルダ １６ チャック爪 １６Ａ 先端部 １６Ｂ 基端部 １７ 板バネ １８ チャック爪 １９ 板バネ ２０ 爪ホルダ Ｗ ワーク（成形品） Ｓ スプル部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゲートカット装置上で成形機より取り出
   された成形品のスプル部を掴んで移動、回転動作するた
   めのチャック部材であって、少なくとも成形品のスプル
   部を掴むチャック爪の部分が該スプル部のテーパに沿っ
   て弾性変形可能な弾性変形体で形成されたことを特徴と
   するゲートカット装置のチャック部構造。