JP2011235412A - クランプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークに対する加工の自由度、及びワークの形状に対する対応の自由度を向上できるクランプ装置を提供すること。
【解決手段】ワークを固定するクランプ装置1であって、ワークを囲繞可能な枠体11と、枠体11の内面に配置され、内方に向けて突出する複数の突起部123を有する第1把持部12と、枠体11における第1把持部12が配置された内面に対向する内面に配置され内方に向けて突出する複数の突起部133を有する第2把持部13と、第1把持部12と第2把持部13とを互いに接近する方向又は離間する方向に進退させる把持部駆動部14と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、クランプ装置に関する。
従来、車両のエンジンを構成するシリンダヘッドやシリンダブロック等のワークは、治具パレットに設けられたアームクランプやホールクランプ等のクランプ装置によってこの治具パレットに固定されて加工される。即ち、ワークを加工する場合には、まず、ワークを、このワークの加工面が上面となるように治具パレット上に載置した状態でクランプ装置により治具パレットに固定する。次いで、NC装置等の加工装置によりワークの加工面に所定の加工を施す(例えば、特許文献1参照)。
特許第3064043号公報
ところで、以上の技術では、ワークを治具パレットに固定した状態でワークの上面に加工を施す。そのため、例えば、ワークの第1の面及びこの第1の面と反対側に位置する第2の面の二つの面に加工面が存在する場合には、以下のようにして加工を行う。
まず、第1の面が上面となるようにワークを治具パレットに載置した状態でクランプ装置によりワークを治具パレットに固定して第1の面に加工を施す。次いで、第2の面が上面となるようにワークを治具パレットに載置しなおして、再びクランプ装置によりワークを治具パレットに固定し、第2の面に加工を施す。
このように、以上の技術では、ワークの二つの加工面に加工を施す場合には、治具パレットにワークを載置しなおす工程が必要であった。また、以上の技術では、ワークの大きさや形状に応じて治具パレット上における好適なクランプ装置の配置が異なるため、ワークの大きさや形状に合わせた専用のクランプ装置の配置の治具パレットを用いる必要があった。つまり、従来のクランプ装置では、ワークに対する加工の自由度やワークの形状に対する対応の自由度が低かった。
従って、本発明は、ワークに対する加工の自由度、及びワークの形状に対する対応の自由度を向上できるクランプ装置を提供することを目的とする。
本発明は、ワークを固定するクランプ装置であって、前記ワークを囲繞可能な枠体と、前記枠体の内面に配置され、内方に向けて突出する複数の突起部を有する第1把持部と、前記枠体における前記第1把持部が配置された内面に対向する内面に配置され内方に向けて突出する複数の突起部を有する第2把持部と、前記第1把持部と前記第2把持部とを互いに接近する方向又は離間する方向に進退させる把持部駆動部と、を備えるクランプ装置に関する。
また、前記ワークは、少なくとも一の加工面と、該加工面に対して略垂直に延びる第1把持面、及び前記加工面に対して略垂直に、かつ、前記第1把持面に対して略平行に延びる第2把持面を含む周面と、を備え、前記枠体は、前記ワークの周面を囲繞し、前記第1把持部は、前記第1把持面に対向して配置され、前記第2把持部は、前記第2把持面に対向して配置されることが好ましい。
また、クランプ装置は、前記枠体に連結され、前記加工面が水平方向に沿う水平状態と、該加工面が鉛直方向に沿う鉛直状態とを変更可能に、前記枠体を回転駆動させる枠体駆動部を更に備えることが好ましい。
また、前記ワークは、前記加工面に設けられた複数の基準部を備え、クランプ装置は、前記加工面に対して進退して前記複数の基準部に接触可能なプローブ部と、前記プローブ部と前記複数の基準部との接触位置に基づいて該複数の基準部それぞれの位置情報を取得する位置情報取得部と、を更に備えることが好ましい。
また、クランプ装置は、前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記加工面の面方向を検出する面方向検出部と、前記面方向検出部により検出された前記面方向に基づいて前記加工面の面方向を補正する加工面補正部と、を備えることが好ましい。
また、クランプ装置は、前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記加工面における加工基準位置を検出する基準位置検出部と、前記基準位置検出部により検出された前記加工基準位置に基づいて前記加工面に加工を施すワーク加工装置における加工開始位置を調整する位置調整部と、を更に備えることが好ましい。
また、クランプ装置は、前記第1把持部及び第2把持部に向けて洗浄液を噴射する洗浄部、を更に備えることが好ましい。
また、前記第1把持部と前記第2把持部とは、前記ワークに対して非対称に配置されることが好ましい。
また、本発明は、複数の突起部を有し該複数の突起部によりワークを押圧して固定するクランプ装置用のグリッパに関する。
本発明のクランプ装置によれば、ワークに対する加工の自由度、及びワークの形状に対する対応の自由度を向上できる。
本発明のクランプ装置の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示すクランプ装置によりワークをクランプした状態を示す図である。 クランプ装置本体を水平状態に配置した状態のクランプ装置を示す平面図である。 第1把持部を示す図である。 第2把持部を示す図である。 クランプ装置によりクランプされるワークの一例としてのシリンダヘッドを第1加工面側から視た図である。 図6に示すシリンダヘッドを第1把持面側から視た図である。 図6に示すシリンダヘッドを第2把持面側から視た図である。 制御装置の構成を示す機能ブロック図である。 図1に示すクランプ装置によりクランプしたシリンダヘッドの加工面の面方向を測定する状態を示す図である。 加工面の面方向を補正する状態を示す図である。 加工面の面方向が補正されたシリンダヘッドの加工基準位置を検出する状態を示す図である。 加工基準位置が検出されたシリンダヘッドの加工面に加工装置による加工を施す状態を示す図である。 シリンダヘッドの他の形態を示す図である。
以下、本発明のクランプ装置1の好ましい一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
本実施形態のクランプ装置1は、図1及び図2に示すように、車両のエンジンを構成するシリンダヘッドやシリンダブロック等のワークにNC装置等のワーク加工装置60による加工を施す場合に用いられる。このクランプ装置1は、車両の製造ラインにおいて、ワーク加工装置60に対向して配置される。
クランプ装置1は、図1〜図3に示すように、ワークとしてのシリンダヘッドWをクランプするクランプ装置本体10と、このクランプ装置本体10を所定の回転軸を中心に回転駆動させる枠体駆動部としてのクランプ支持装置20と、クランプ装置本体10を洗浄する洗浄部としての洗浄装置30(図3参照)と、クランプ装置本体10にクランプされたワークWの位置情報を検知するプローブ部40と、これらクランプ装置本体10、クランプ支持装置20、洗浄装置30及びプローブ部40の動作を制御する制御装置50(図2及び図3参照)と、備える。
クランプ装置本体10は、図1〜図3に示すように、枠体11と、この枠体11の内面に配置される第1把持部12と、枠体11における第1把持部12と対向する内面に配置される第2把持部13と、第2把持部13を駆動させる把持部駆動部14と、を備える。
枠体11は、金属部材により矩形形状に構成される。
第1把持部12は、図4に示すように、枠体11の内面に取り付けられる基部121と、この基部121に取り付けられる複数のグリッパ122と、を備える。基部121は、板状に構成され、枠体11の一の内面の略中央部に配置される。グリッパ122は、基部121における枠体11の内方を向く面に、互いに離間して少なくとも3箇所配置される。
複数のグリッパ122は、それぞれ、金属部材により構成され先端が尖った複数の突起部123を有して構成される。これら複数のグリッパ122は、複数の突起部123の先端側が枠体11の内方に向いて配置される。
第2把持部13は、図5に示すように、枠体11の内面側に配置される第1基部131と、この第1基部131における枠体11の内方を向く面に固定される第2基部134と、この第2基部134に取り付けられる複数のグリッパ132と、を備える。第1基部131は、この第1基部131が配置される枠体11の内面の長手方向の長さと略等しい長さを有する板状に構成される。第2基部134は、第1基部131の略中央部に配置される。グリッパ132は、第2基部134における枠体11の内方を向く面に、互いに離間して少なくとも3箇所配置される。
複数のグリッパ132は、それぞれ、金属部材により構成され先端が尖った複数の突起部133を有して構成される。これら複数のグリッパ132は、複数の突起部133の先端側が枠体11の内方に向いて配置される。
これら第2把持部13の複数のグリッパ132は、第1把持部12の複数のグリッパ122と非対称の位置(第1把持部12と第2把持部13との対向方向において一致しない位置)に配置される。
第1把持部12の複数の突起部123それぞれの高さ、及び第2把持部13の複数の突起部133それぞれの高さは、クランプ装置1によりクランプするワークWを好適に把持しつつこのワークWに形成されるクランプ痕を小さくする観点から、適宜最適値に設定する。
把持部駆動部14は、図1〜図3に示すように、第2把持部13を支持する一対の支持部材141と、第2把持部13に連結されるピストン142と、枠体11に連結されてピストン142を摺動可能に収容するシリンダ143と、を備える。
一対の支持部材141は、枠体11における第1把持部12及び第2把持部13が配置されていない内面に沿って配置される。一対の支持部材141は、第2把持部13の第1基部131の長手方向の両端部近傍を挿通しており、第2把持部13を摺動可能に支持する。
ピストン142は、軸方向が一対の支持部材141と略平行となるように配置される。このピストン142の先端側は、第2把持部13の第1基部131におけるグリッパ132が取り付けられた面と反対側の面に連結される。ピストン142の基端側は、枠体11に設けられた貫通穴(図示せず)を挿通してシリンダ143に収容される。
シリンダ143は、枠体11の外面側に連結される。
以上の把持部駆動部14によれば、後述の制御装置50の制御によりシリンダ143内に流体が供給されると、ピストン142は前進する。これにより、第2把持部13は、第1把持部12に接近する。
一方、制御装置50の制御によりシリンダ143内から流体が排出されると、ピストン142は後退する。これにより、第2把持部13は、第1把持部12から離間する。
図6は、クランプ装置本体10によりクランプされるワークの一例としてのシリンダヘッドWを第1加工面71側から視た図である。図7Aは、シリンダヘッドWを第1把持面73側から視た図であり、図7Bは、シリンダヘッドWを第2把持面74側から視た図である。
本実施形態のクランプ装置本体10は、ワークとしてのシリンダヘッドWをクランプする場合に用いられる。
シリンダヘッドWは、図1、図6〜図7Bに示すように、厚さの薄い箱状に構成されており、加工面としての第1加工面71及び第2加工面72と、第1加工面71及び第2加工面72に対して略垂直に延びる第1把持面73と、第1加工面71及び第2加工面72に対して略垂直に、かつ、第1把持面73に対して略平行に延びる第2把持面74を含む周面と、を備える。
このシリンダヘッドWは、図1〜図3に示すように、周面が枠体11に囲繞されるように配置される。また、シリンダヘッドWは、図2に示すように、第1把持面73が第1把持部12に対向し、第2把持面74が第2把持部13に対向するように配置される。そして、この状態で、シリンダヘッドWはクランプ装置本体10にクランプされる。
第1加工面71及び第2加工面72は、箱状のシリンダヘッドWにおける面積の広い2つの面を構成する。第1加工面71には、図6に示すように、基準部としての3つの基準座75及び3つの基準穴76が形成される。
3つの基準座75は、第1加工面71の周縁近傍に互いに離間して設けられる。これら3つの基準座75は、第1加工面71において、他の部分よりもわずかに突出して形成される。これら3つの基準座75は、クランプ装置本体10にクランプされたシリンダヘッドWにおける第1加工面71の面方向を測定する場合に用いられる。
3つの基準穴76も、第1加工面71の周縁近傍に互いに離間して設けられる。これら3つの基準穴76は、いずれも、鋳造により成形されるシリンダヘッドWにおける鋳造穴として構成される。これら3つの基準穴76は、ワーク加工装置60によりシリンダヘッドWの第1加工面71に機械加工を施す場合における加工基準位置を検出するときに用いられる。
第2加工面72にも、第1加工面71と同様に、3つの基準座及び3つの基準穴(いずれも図示せず)が形成される。
第1把持面73及び第2把持面74は、図2に示すように、シリンダヘッドWの周面のうち、第1加工面71及び第2加工面72の長手方向の両端側にそれぞれ位置する面により構成される。
第1把持面73における第1把持部12の3つのグリッパ122に対応する位置には、図7Aに示すように、それぞれ、平面部731が形成されている。
第2把持面74における第2把持部13の3つのグリッパ132に対応する位置には、図7Bに示すように、それぞれ、平面部741が形成されている。
クランプ支持装置20は、図1及び図2に示すように、クランプ装置本体10を支持する第1テーブル21と、この第1テーブル21を、第1テーブル21の上面に直交する第1軸Bを中心に回転可能に支持する第2テーブル22と、この第2テーブル22を、第1軸Bに直交すると共に水平方向に延びる第2軸Aを中心に回転可能に支持する本体部23と、を備える。
第1テーブル21は、円板状に構成される。この第1テーブル21の上面には、枠体11における第1把持部12が設けられた内面に対応する外面が固定される。
第2テーブル22は、第1テーブル21を、第1軸Bを中心に回動可能に支持する第1支持部221と、この第1支持部221における第2軸Aの延びる方向の両端から第1軸Bの延びる方向に屈曲する一対の第2支持部222と、を備える。
本体部23は、クランプ装置1の土台を構成する。この本体部23は、一対の第2支持部222の先端側において第2テーブル22を支持し、この第2テーブル22を、第2軸Aを中心に回転可能としている。
以上のクランプ支持装置20によれば、第1テーブル21にクランプ装置本体10を取り付けた状態で、第1テーブル21を、第1軸Bを中心に回転させ、また、第2テーブル22を、第2軸Aを中心に回転させることで、クランプ装置本体10を所望の姿勢に配置できる。例えば、クランプ装置本体10を、枠体11が水平方向に沿う水平状態(図3参照)や、枠体11が鉛直方向に沿う鉛直状態(図2参照)に位置させられる。
洗浄装置30は、図3に示すように、クランプ装置本体10及びクランプ支持装置20から離間して配置される複数の第1洗浄液噴射部31と、第1把持部12に設けられる第2洗浄液噴射部32と、を備える。
複数の第1洗浄液噴射部31は、クランプ装置本体10の水平状態において、複数のグリッパ122,132それぞれに対応する位置に配置される。これら複数の第1洗浄液噴射部31からは、それぞれ、対応するグリッパ122,132に向けて洗浄液が噴射される。これにより、グリッパ122,132の複数の突起部123,133に付着した金属粉等の異物が除去される。
第2洗浄液噴射部32は、図4に示すように、第1把持部12の基部121におけるグリッパ122の近傍に配置される。第2洗浄液噴射部32からは、対向して配置される第2把持部13の複数のグリッパ132に向けて洗浄液が噴射される。これにより、グリッパ132の複数の突起部133に付着した異物が除去される。
プローブ部40は、図1に示すように、クランプ装置本体10におけるワーク加工装置60側に、クランプ装置本体10から離間して配置される。このプローブ部40は、先端側にタッチセンサ(図示せず)が設けられたプローブ本体41と、このプローブ本体41をクランプ装置本体10に対して進退させるプローブ駆動部42と、を備える。
以上のプローブ部40によれば、制御装置50によりプローブ駆動部42を駆動させることで、プローブ本体41を、クランプ装置本体10にクランプされたシリンダヘッドWに向けて前進させられる。また、プローブ本体41の先端側に設けられたタッチセンサにより、プローブ本体41とシリンダヘッドWとの接触を検知できる。
制御装置50は、クランプ装置本体10、クランプ支持装置20、洗浄装置30及びプローブ部40、及びワーク加工装置60の動作を制御する。この制御装置50は、各機能の処理を行うCPU(Central Processing Unit)や、データを記憶するテーブルや各機能を実行するプログラムを記憶するメモリ等を含んで構成される。
具体的には、制御装置50は、クランプ装置本体10によりシリンダヘッドWをクランプする場合には、クランプ装置本体10を水平状態に位置させて枠体11の内部にシリンダヘッドWを配置した状態で、把持部駆動部14を駆動させて、第1把持部12と第2把持部13とを接近させる。これにより、グリッパ122及びグリッパ132によりシリンダヘッドWをクランプする。また、制御装置50は、ワークWへの加工が施された後には、クランプ装置本体10を水平状態に位置させた状態で、第1把持部12と第2把持部13とを離間させることにより、クランプ装置本体10によるシリンダヘッドWのクランプを解除(アンクランプ)する。
また、制御装置50は、第1テーブル21にクランプ装置本体10を取り付けた状態で、第1テーブル21を、第1軸Bを中心に回転させ、また、第2テーブル22を、第2軸Aを中心に回転させることで、クランプ装置本体10の姿勢を、枠体11が水平方向に沿う水平状態(図3参照)と、枠体11が鉛直方向に沿う鉛直状態(図2参照)との間で変更させる。
また、制御装置50は、シリンダヘッドWをクランプしていないクランプ装置本体10を水平状態に位置させた状態で、複数の第1洗浄液噴射部31から、それぞれ、対応するグリッパ122,132に向けて洗浄液を噴射させる。また、第2洗浄液噴射部32から、第2把持部13の複数のグリッパ132に向けて洗浄液を噴射させる。
また、制御装置50は、クランプ装置本体10にクランプされたシリンダヘッドWの加工面の面方向の補正、及び加工面に加工を施す場合における加工基準位置の調整を行う。より詳細には、図8に示すように、制御装置50は、シリンダヘッドWの加工面の面方向の補正、及び加工面に加工を施す場合における加工基準位置の調整を行うための構成として、位置情報取得部51と、面方向検出部52と、加工面補正部53と、基準位置検出部54と、位置調整部55と、を備える。
位置情報取得部51は、プローブ部40と複数の基準部(基準座75又は基準穴76)との接触位置に基づいて、これら複数の基準部(基準座75又は基準穴76)の位置情報を取得する。
面方向検出部52は、位置情報取得部51により取得された複数の基準部(基準座75)の位置情報に基づいてシリンダヘッドWの加工面の面方向を検出する。
加工面補正部53は、面方向検出部52により検出されたシリンダヘッドWの加工面の面方向に基づいて加工面の面方向を補正する。
基準位置検出部54は、位置情報取得部51により取得された複数の基準部(基準穴76)の位置情報に基づいてシリンダヘッドWの加工面における加工基準位置を検出する。
位置調整部55は、基準位置検出部54により検出された加工基準位置に基づいてワーク加工装置60における加工開始位置を調整する。
次に、シリンダヘッドWの加工面の面方向の補正、及び加工面に加工を施す場合における加工基準位置の調整を行う場合のクランプ装置1の具体的な動作について、図9A〜図9Dを参照しながら説明する。図9Aは、クランプ装置本体10によりクランプしたシリンダヘッドWの第1加工面71の面方向を測定する状態を示す図である。図9Bは、第1加工面71の面方向を補正する状態を示す図である。図9Cは、第1加工面71の面方向が補正されたシリンダヘッドWの加工基準位置を検出する状態を示す図である。図9Dは、加工基準位置が検出されたシリンダヘッドWの第1加工面71にワーク加工装置60による加工を施す状態を示す図である。
制御装置50は、まず、シリンダヘッドWをクランプした状態のクランプ装置本体10を鉛直状態に、かつ、第1加工面71がワーク加工装置60に対向する位置に位置させる。次いで、制御装置50は、図9Aに示すように、プローブ駆動部42を駆動させてプローブ本体41を、基準座75のうちの一つの基準座75に向けて前進させる。
次いで、プローブ本体41の先端と基準座75との接触がタッチセンサにより検知されると、位置情報取得部51は、プローブ本体41と基準座75との接触位置に基づいて、基準座75の位置情報(座標)を取得する。制御装置50は、同様の動作を基準座75それぞれについて行い、位置情報取得部51は、基準座75それぞれの位置情報を取得する。
次いで、面方向検出部52は、位置情報取得部51により取得された基準座75それぞれの位置情報に基づいて第1加工面71の面方向を検出する。
加工面補正部53は、面方向検出部52により検出された第1加工面71の面方向に関する情報と、制御装置50に予め記憶された好適な第1加工面71の面方向に関する情報と、に基づいて第1加工面71の面方向を補正する。
即ち、本実施形態では、クランプ装置本体10において、シリンダヘッドWを、第1把持部12及び第2把持部13により2方向から把持してクランプするため、クランプ後のシリンダヘッドWの第1加工面71にわずかな歪み等が発生する。そこで、本実施形態では、加工面補正部53は、図9Bに示すように、面方向検出部52により検出された第1加工面71の面方向が、制御装置50に予め記憶された好適な第1加工面71の面方向に一致するようにクランプ支持装置20を駆動させて第1加工面71の面方向を補正する。
次いで、制御装置50は、加工基準位置の調整を行う。制御装置50は、図9Cに示すように、プローブ駆動部42を駆動させてプローブ本体41を、基準穴76のうちの一つの基準穴76に向けて前進させる。
次いで、プローブ本体41の先端と基準穴76との接触がタッチセンサにより検知されると、位置情報取得部51は、プローブ本体41と基準穴76との接触位置に基づいて、基準穴76の位置情報(座標)を取得する。制御装置50は、同様の動作を基準穴76それぞれについて行い、位置情報取得部51は、基準穴76それぞれの位置情報を取得する。
次いで、基準位置検出部54は、位置情報取得部51により取得された基準穴76それぞれの位置情報に基づいてシリンダヘッドWの第1加工面71における加工基準位置を検出する。より具体的には、基準位置検出部54は、位置情報取得部51により取得された基準穴76それぞれの座標、及び制御装置50に予め記憶されている基準穴76の位置と加工基準位置の位置との関係から、クランプ装置本体10によりクランプされたシリンダヘッドWの第1加工面71においてワーク加工装置60による加工を開始する加工基準位置の座標を特定する。
次いで、位置調整部55は、図9Dに示すように、基準位置検出部54により検出された第1加工面71の加工基準位置に基づいて、ワーク加工装置60における加工開始位置を調整する。より具体的には、位置調整部55は、基準位置検出部54により検出された加工基準位置の座標に、ワーク加工装置60における加工部の座標を一致させる。
このようにして、制御装置50は、シリンダヘッドWの第1加工面71の面方向の補正、及び第1加工面71の加工基準位置の調整を行った後、第1加工面71に所定の加工を施す。
尚、制御装置50は、ワーク加工装置60による第1加工面71に対する加工が完了すると、クランプ支持装置20の第1テーブル21を、第1軸Bを中心に180度回転させて、第2加工面72をワーク加工装置60に対向させる。そして、制御装置50は、第2加工面72の面方向の補正、及び第2加工面72における加工基準位置の調整を、上述と同様の手順にて行った後、ワーク加工装置60により第2加工面72に所定の加工を施す。
以上説明した本実施形態のクランプ装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)クランプ装置1を、枠体11と、複数の突起部123を有する第1把持部12と、この第1把持部12に対向して配置され複数の突起部133を有する第2把持部13と、を含んで構成した。これにより、シリンダヘッドWを、第1把持面73及び第2把持面74の2箇所で把持してクランプできるので、第1加工面71及び第2加工面72の双方を、治具パレット等により塞ぐことがない。よって、シリンダヘッドWに対する加工の自由度を向上でき、シリンダヘッドWの2つの加工面を同時又は連続して加工することができるようになる。
(2)第1把持部12と第2把持部13とを対向配置させると共に、第2把持部13を第1把持部12に接近する方向又は第1把持部12から離間する方向に進退させる把持部駆動部14を設けた。これにより、第1把持部12と第2把持部13とを接近させることでシリンダヘッドWを把持するので、シリンダヘッドWの大きさや形状に応じて第1把持部12と第2把持部13との間の距離を調整することで、例えば、図10に示すように、種々の大きさや形状のシリンダヘッドWa,Wb,Wcに対応できる。よって、シリンダヘッドWの形状に対する対応の自由度を向上でき、多種類のワークを加工するためのフレキシブル生産が可能な汎用設備が実現できる。
(3)第1把持部12を、複数の突起部123を含んで構成し、第2把持部13を、複数の突起部133を含んで構成した。よって、第1把持部12及び第2把持部13によるシリンダヘッドWの把持力を向上できるので、クランプ装置本体10によるシリンダヘッドWのクランプ状態における安定性を向上できる。
(4)クランプ装置1を、クランプ装置本体10を水平状態と鉛直状態との間で変更可能に回転駆動させるクランプ支持装置20を含んで構成した。これにより、クランプ装置本体10を水平状態に位置させてシリンダヘッドWをクランプさせ、このクランプ装置本体10を鉛直状態に位置させて第1加工面71及び第2加工面72に加工を施せる。よって、ワーク加工装置60により第1加工面71に加工を施した後、クランプ装置本体10を、鉛直方向に延びる第1軸Bを中心に180度回転させることで、同じワーク加工装置60により容易に第2加工面72に加工を施せるので、車両の製造ラインにおける設備のレイアウトを効率化できる。また、シリンダヘッドWの加工に要する時間を短縮できる。
(5)本実施形態では、クランプ装置本体10において、シリンダヘッドWを、第1把持部12及び第2把持部13により2方向から把持してクランプするため、クランプ後のシリンダヘッドWの第1加工面71にわずかな歪み等が発生する。そこで、加工面補正部53に、面方向検出部52により検出された第1加工面71の面方向が、制御装置50に予め記憶された好適な第1加工面71の面方向に一致するようにクランプ支持装置20を駆動させて第1加工面71の面方向を補正させた。よって、クランプ装置本体10のクランプによりシリンダヘッドWの第1加工面71に生じる歪み等を補正した状態で第1加工面71に加工を施せるので、ワーク加工装置60による加工の精度を向上できる。
(6)基準位置検出部54に、位置情報取得部51により取得された基準穴76それぞれの座標、及び制御装置50に予め記憶されている基準穴76の位置と加工基準位置の位置との関係から、クランプ装置本体10によりクランプされたシリンダヘッドWの第1加工面71においてワーク加工装置60による加工を開始する加工基準位置の座標を特定させ、位置調整部55に、基準位置検出部54により検出された加工基準位置の座標に、ワーク加工装置60における加工部の座標を一致させた。よって、ワーク加工装置60による加工の精度をより向上できる。
(7)クランプ装置1を、第1洗浄液噴射部31及び第2洗浄液噴射部32を有して構成される洗浄装置を含んで構成した。これにより、第1洗浄液噴射部31及び第2洗浄液噴射部33からグリッパ122,132に洗浄液を噴射することで、グリッパ122,132の複数の突起部123,133に付着した金属粉等の異物を除去できる。よって、グリッパ122,132によるシリンダヘッドWの把持力の低下を防げる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態では、本発明を、ワークとしてのシリンダヘッドWをクランプするクランプ装置1に適用したが、これに限らない。即ち、本発明を、ワークとしてのシリンダブロックやクランクケースをクランプするクランプ装置に適用してもよい。
1 クランプ装置
10 クランプ装置本体
11 枠体
12 第1把持部
13 第2把持部
14 把持部駆動部
20 クランプ支持装置(枠体駆動部)
30 洗浄装置
40 プローブ部
50 制御装置
51 位置情報取得部
52 面方向検出部
53 加工面補正部
54 基準位置検出部
55 位置調整部
60 加工装置
71 第1加工面(加工面)
72 第2加工面(加工面)
73 第1把持面
74 第2把持面
75 基準座(基準部)
76 基準穴(基準部)
122、132 グリッパ
123、133 突起部

Claims (9)

  1. ワークを固定するクランプ装置であって、
    前記ワークを囲繞可能な枠体と、
    前記枠体の内面に配置され、内方に向けて突出する複数の突起部を有する第1把持部と、
    前記枠体における前記第1把持部が配置された内面に対向する内面に配置され内方に向けて突出する複数の突起部を有する第2把持部と、
    前記第1把持部と前記第2把持部とを互いに接近する方向又は離間する方向に進退させる把持部駆動部と、を備えるクランプ装置。
  2. 前記ワークは、少なくとも一の加工面と、該加工面に対して略垂直に延びる第1把持面、及び前記加工面に対して略垂直に、かつ、前記第1把持面に対して略平行に延びる第2把持面を含む周面と、を備え、
    前記枠体は、前記ワークの周面を囲繞し、
    前記第1把持部は、前記第1把持面に対向して配置され、
    前記第2把持部は、前記第2把持面に対向して配置される請求項1に記載のクランプ装置。
  3. 前記枠体に連結され、前記加工面が水平方向に沿う水平状態と、該加工面が鉛直方向に沿う鉛直状態とを変更可能に、前記枠体を回転駆動させる枠体駆動部を更に備える請求項2に記載のクランプ装置。
  4. 前記ワークは、前記加工面に設けられた複数の基準部を備え、
    前記加工面に対して進退して前記複数の基準部に接触可能なプローブ部と、
    前記プローブ部と前記複数の基準部との接触位置に基づいて該複数の基準部それぞれの位置情報を取得する位置情報取得部と、を更に備える請求項2又は3に記載のクランプ装置。
  5. 前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記加工面の面方向を検出する面方向検出部と、
    前記面方向検出部により検出された前記面方向に基づいて前記加工面の面方向を補正する加工面補正部と、を備える請求項4に記載のクランプ装置。
  6. 前記位置情報取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記加工面における加工基準位置を検出する基準位置検出部と、
    前記基準位置検出部により検出された前記加工基準位置に基づいて前記加工面に加工を施すワーク加工装置における加工開始位置を調整する位置調整部と、を更に備える請求項4又は5に記載のクランプ装置。
  7. 前記第1把持部及び第2把持部に向けて洗浄液を噴射する洗浄部を更に備える請求項1〜6のいずれかに記載のクランプ装置。
  8. 前記第1把持部と前記第2把持部とは、前記ワークに対して非対称に配置される請求項1〜7のいずれかに記載のクランプ装置。
  9. 複数の突起部を有し該複数の突起部によりワークを押圧して固定するクランプ装置用のグリッパ。
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