JPH0685207B2 - 高ヤング率を有する磁気記録媒体 - Google Patents

高ヤング率を有する磁気記録媒体

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JPH0685207B2
JPH0685207B2 JP61078444A JP7844486A JPH0685207B2 JP H0685207 B2 JPH0685207 B2 JP H0685207B2 JP 61078444 A JP61078444 A JP 61078444A JP 7844486 A JP7844486 A JP 7844486A JP H0685207 B2 JPH0685207 B2 JP H0685207B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は磁気記録媒体に関り、特にビデオ用磁気テープ
に関る。
(発明の背景) 磁気記録の高密度化、無雑音化、長時間化及び磁気記録
機器の高性能化、小型・薄型化が進むにつれて磁気記録
媒体(以後磁気テープと称す)に要求される性能も幅広
く且つ高くなって来ている。
特にビデオの分野では現行のVHS方式、β方式から8ミ
リビデオ、電子カメラへと移行しつつあって、いずれも
更に小型化、高密度化、高精度化が指向されているの
で、例えば磁気テープについて言えば、その電磁変換特
性、テープ膜物性は勿論磁気テープ層表の均質性のよい
即ち膜品位の高い且つテープ変形、癖のない磁気テープ
が要求されている。しかし一方に於てビデオテープの狭
幅・長尺化に伴うテープ薄層化によってテープの靭性は
失われ、ビデオデッキ中での高速送り、高速巻取或はロ
ーデング、アンローデング時のエッジダメージが起り易
くなっている。
即ち従来の磁気テープは一般に全厚12μm以上を有し磁
気テープ走行中ヘッドに張架されて曲げ、圧着、摺擦を
うける際の物理的負荷に耐えるだけのステイフネス(靭
性)を有していたが、前記の要求から8ミリ(狭幅)長
尺テープ(LPタイプテープ)として限られたスペースに
収納するため全厚を12μm以下に薄膜化する必要があ
り、単に薄膜化しただけではテープ靭性に不足を生じ、
ヘッド当り不良から来る出力の落ち、S/Nの劣化を招
く。
磁気テープの靭性は殆どその基体(支持体)に依存し、
靭性はヤング率に表われるので、この点に着目し、長さ
方向のヤング率を700kg/mm2とした二軸延伸のポリエチ
レンテレフタレート(PET)を用いる提案がなされ(特
開昭53-93804号)、実状としてヤング率800〜1000kg/mm
2の支持体が用いられる。
しかしながら、磁性層、バックコート層或は保護層等を
合せた全厚7〜12μmの8ミリビデオ用LPテープでは支
持体に許される厚みは3〜7μmであって、この厚みで
ヤング率800〜1000kg/mm2しかない支持体を用いた磁気
テープではヘッド当りが極端に悪くなり、RFエンベロー
プ形状の矩形性の悪化並びにRF出力、ルミ及びクロマS/
Nの劣化は避けうべくもない。
(発明の目的) 本発明の目的は、テープ靭性が充分で、電磁変換特性の
良好な狭幅長尺磁気テープ、具体的には8ミリビデオ用
LPタイプテープの提供にある。
(発明の構成) 前記した本発明の目的は、非磁性基体の一方の面側に強
磁性金属粉末とバインダーを含む磁性層を設け、該非磁
性基体の他方の面側にバックコート層を設けた磁気記録
媒体に於て、該非磁性基体の厚みが3〜7μmであり、
そのヤング率が長さ方向に1000kg/mm2以上、幅方向に50
0kg/mm2以上であり、前記バックコート層のバインダー
がポリウレタン樹脂とニトロセルロースからなることを
特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
次に本発明を詳しく説明する。
本発明に用いる支持体は、充分に長時間の記録に耐える
8ミリLPタイプテープを前提にするので、その厚みは3
〜7μmの範囲のものが選ばれる。3μm以下は実用上
不要であり、7μm以上であると記録時間に不足を来
す。
一方支持体の厚みを該範囲に設定した場合に上記支持体
を用いた磁気テープがヘッドに張架される際のヘッド当
りは、該支持体のヤング率が長さ方向に於て1000kg/mm2
以上好しくは1300kg/mm2以上、また幅方向に於て500kg/
mm2以上好ましくは700kg/mm2以上である場合に該磁気テ
ープのヘッド当りが保証されることが明かになり本発明
は前記ヤング率範囲を指定するものである。尚その上限
は支持体母材である樹脂組成によって異るが延伸度で規
定すると弾性限界点で示すヤング率以下である。
尚高ヤング率のフィルム状支持体をうる方法として二軸
延伸による配向法が通常用いられるが、二軸延伸によっ
てえられる両方向のヤング率は双曲線的相反性があり、
全面的な延伸が行われる中で、一方を大きくとると他方
はあまり大きくできない関係があり、本発明に使用する
支持体は、その母材樹脂の組成、重合度、三次元構造を
考慮の上、前記したヤング率範囲にもたらす延伸を与え
ることが好ましい。
本発明に係る前記支持体母材樹脂としてポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
尚ポリエチレンテレフタレートの如き通常用いられる樹
脂に於ても、適当な原子、基あるいはモノマー単位を導
入して変性、コポリマー化することにより、或は延伸配
向することによって前記ヤング率範囲のフィルム状支持
体がえられることがある。
また磁気テープ全体としては、磁性層、バックコート層
或は保護層に用いるバインダーを選択することにより、
或は磁性粉を含めたバインダーに分散させたフイラー
類、バインダー硬化剤等の膜物性強化効果を補助的に活
用してヤング率を上げることができる。
本発明に係る磁性層としては、磁性粉、バインダー及び
分散剤、滑面剤等からなる磁性塗料を塗設した分散型磁
性層が用いられる。
磁性材料としては、例えばFe、Ni、Co、Fe−Ni合金、Fe
−Co合金、Fe−Ni−P合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Mn−
Zn合金、Fe−Ni−Zn合金、Fe−Co−Ni−Cr合金、Fe−Co
−Ni−P合金、Co−Ni合金、Co−P合金、Co−Cr合金等
Fe、Ni、Coを主成分とするメタル磁性粉等各種の強磁性
体が挙げられる。これらの金属磁性体に対する添加物と
してはSi、Cu、Zn、Al、P、Mn、Cr等の元素またはこれ
らの化合物が含まれていてもよい。
本発明においては従来の技術を活用して本発明の磁気テ
ープの作成に流用することができる。
本発明に係る磁性層等の磁気テープ構成層に用いられる
バインダーとしては、耐摩耗性のあるポリウレタンが挙
げられる。これは、他の物質に対する接着力が強く、反
復して加わる応力または屈曲に耐えて機械的に強靭であ
り、且つ耐摩耗性、耐候性が良好である。
またポリウレタンの他に、繊維素系樹脂及び塩化ビニル
系共重合体も含有せしめれば、構成層中のフィラーの分
散性が向上してその機械的強度が増大する。但し繊維素
系樹脂及び塩化ビニル系供重合体のみでは層が硬くなり
すぎるが、これは上述のポリウレタンの含有によって防
止できる。
使用可能な繊維素系樹脂には、セルロースエーテル、セ
ルロース無機酸エステル、セルロース有機酸エステル等
が使用できる。上記の塩化ビニル系共重合体は、部分的
に加水分解されていてもよい。塩化ビニル系共重合体と
して、好ましくは、塩化ビニル‐酢酸ビニルを含んだ共
重合体が挙げられる。
またフェノキシ樹脂も使用することができる。フェノキ
シ樹脂は機械的強度が大きく、寸度安定性にすぐれ、耐
熱、耐水、対薬品性よく、接着性がよい等の長所を有す
る。
これらのバインダーは互いに長短相補いさらに相助けて
テープ物性において経時安定性を著しく高めることがで
きる。
さらに前記したバインダーの他、一般に磁気テープに使
用される樹脂、或は親水基等による各種変性樹脂、或は
挙動に特徴のある熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型
樹脂、電子線照射硬化型樹脂との混合物が使用されても
よい。
本発明に用いるバックコート層のバインダーには、ポリ
ウレタン樹脂とニトロセルロースとの組み合わせを用い
る。ポリウレタン樹脂とニトロセルロースとの混合重合
比は、ポリウレタンを分子として9/1〜2/8であり、好ま
しくは2/8〜3/7である。
本発明においては、前記バインダーに対し硬化剤として
ポリイソシアネートが含有させることができる。
使用できる芳香族ポリイソシアネートは、例えばトリレ
ンジイソシアネート(TDI)等及びこれらポリイソシア
ネートと活性水素化合物との付加体などがあり、平均分
子量としては100〜3,000の範囲のものが好適である。
また脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート(HMDI)等及びこれらイソシアネー
トと活性水素化合物の付加体等が挙げられる。これらの
樹脂族ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネー
トと活性水素化合物の付加体などの中でも、好ましいの
は分子量が100〜3,000の範囲のものである。脂肪族ポリ
イソシアネートのなかでも非脂環式のポリイソシアネー
ト及びこれら化合物と活性水素化合物の付加体が好まし
い。
前記ポリイソシアネートの前記バインダーに対する添加
量は両者の重量和の0.1〜0.7、特に好ましくは0.15〜0.
5である。
上記構成層を形成するのに使用される塗料には必要に応
じて分散性、滑面剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させ
てもよい。
本発明に係る構成層に使用される分散剤としては、レシ
チン、リン酸エステル、アミン化合物、アルキルサルフ
ェート、脂肪酸アミド、高級アルコール、ポリエチレン
オキサイド、スルホコハク酸、スルホコハク酸エスエ
ル、公知の界面活性剤等及びこれらの塩があり、また、
陰性有機基(例えば−COOH、−PO3H)を有する重合体分
散剤の塩を使用することも出来る。これらの分散剤は1
種類のみで用いても、あるいは2種類以上を併用しても
よい。これらの分散剤はバインダー100重量部に対し1
〜20重量部の範囲で添加される。
また、滑面剤としては、シリコーンオイル、グラファイ
ト、カーボンブラックグラフトポリマー、二硫化モリブ
デン、二硫化タングステン、ラウリン酸、パルミチル
酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン
酸等の脂肪酸とブチルステアート、オクチルパルミテー
ト、オクチルミリテート等の脂肪酸エステル等も使用で
きる。これらの滑面剤はバインダー100重量部に対して
0.02〜20重量部の範囲で添加される。
帯電防止剤としては、カーボンブラックをはじめ、グラ
ファイト、酸化スズ−酸化アンチモン系化合物、酸化チ
タン−酸化スズ−酸化アンチモン系化合物などの導電性
粉末;サポニンなどの天然界面活性剤;アルキレンオキ
サイド系、グリセリン系、グリシドール系などのノニオ
ン界面活性剤;高級アルキルアミン類、第4級アンモニ
ウム塩類、ピリジン、その他の複素環類、ホスホニウム
またはスルホニウム類などのカチオン界面活性剤;カル
ボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エス
テル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸
類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸また
は燐酸エステル類等の両面活性剤などが挙げられる。
本発明に於ては、磁性層及びバックコート層にカーボン
ブラックを添加して導電性及び遮光性を与えてもよい。
カーボンブラックを上記2層に振分けて添加することに
よってカーボンブラックの分散性の難を回避し、充分な
遮光性を付与することができる。
さらに必要に応じ研磨剤を添加することができる。該研
磨剤としては、一般的に使用される材料で溶融アルミ
ナ、炭化ケイ素、酸化クロム、コランダム、人造コラン
ダム、ダンヤモンド、人造ダイヤモンド、ザクロ石、エ
メリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)等が使用され
る。これらの研磨剤は平均粒子径0.05〜5μmの大きさ
のものが使用され、特に好ましくは0.1〜2μmであ
る。これらの研磨剤は結合剤100重量部に対して1〜20
重量部の範囲で添加される。
上記バックコート及び磁性塗料に配合される溶媒あるい
はこの塗料の塗布時の希釈溶媒としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコ
ールセノアセテート等のエステル類;グリコールジメチ
ルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メチレンクロラ
イド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホル
ム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のもの
が使用できる。
また本発明の磁気テープにはバツクコート層あるいは磁
性層の外に接着性を向上させる中間層等の補助層を設け
ても良い。
支持体上に上記層を形成するための塗布方法としては、
エアードクターコート、ブレードコート、エアーナイフ
コート、スクイズコート、含浸コート、リバースロール
コート、トランスファロールコート、グアビアコート、
キスコート、キャストコート、スプレイコート等が利用
できるがこれらに限らない。
(実施例) 本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
同一条件の磁性層及びバックコート層を共通に有し、支
持体の厚み及び長さ方向、幅方向のヤング率の異る磁気
テープを作成しその特性を比較する。
磁性塗料処方: (重量部) Fe系強磁性金属粉 80 ポリウレタン樹脂(ニツポラン2304;日本ポリウレタン
製) 5 フェノキシ樹脂(PKHH:ユニオンカーバイド社製) 2
レシチン 4 α‐酸化アルミニウム(研磨剤) 4 シクロヘキサノン 200 トルエン 30 メチルエチルケトン 30 上記処方による組成物をボールミルで充分に攪拌混合
し、バインダー硬化剤として多官能イソシアネート(コ
ロネートL;日本ポリウレタン製)を3重量部添加均一攪
拌後濾過し、乾燥厚み3μmになるように塗設し、スー
パーカレンダ処理を施した。
バックコート塗料処方: (重量部) カーボンブラック 50 ニトロセルロース(セルノバ、旭化成製) 20 ポリウレタン樹脂(ニツポラン2304;日本ポリウレタン
製) 20 ポリイソンアネート(コレネートL;日本ポリウレタン
製) 10 メチルエチルケトン 200 トルエン 200 上記処方による組成物をボールミルで5時間分散処理
し、前記磁性層を有する支持体裏面に乾燥厚み0.5μm
になるように塗布乾燥しバックコート層を形成した。
前記した広幅の磁気テープ用フィルムを8mmに断裁し、
実施例試料及び比較試料を作成し、8mmビデオテープカ
セットに入れ、特性を測定した。
支持体: 実施例に於る実施試料に於てはポリアミド系樹脂を母材
とし、比較試料に於てはポリエチレンテレフタレートを
母材とし、下記表−1に示した厚み及びヤング率に整え
た支持体を用いた。
尚試料第1群として支持体厚み6.5μmを有する実施試
料1〜3及び比較試料(1)〜(3),第2群として4.
5μmである実施試料4及び5並びに比較試料(4)の
別を設けた。
評価項目: (a)RFエンベロープ形状 1つのビテオヘッドの1トレース中の最大振幅に対する
最小振幅の比(%)で示した。
(b)FR出力、(c)ルミS/N、(d))クロマS/N (b)以降は常法の測定法に従い、且つ基準値は前期試
料とは別に厚さ10μm、ヤング率;長さ方向900kg/m
m2、幅方向400kg/mm2のポリエチレンテレフタレート支
持体に前記同条件に磁性層及びバックコート層を設けた
基準試料Rを作成し、その特性値を±0dBとした。
次に、同一条件の磁性層を共通に有し、バックコート層
のバインダー組成、支持体の厚み及び長さ方向、幅方向
のヤング率の異なる磁気テープを作成しその特性を比較
する。
試料Rのバックコート塗料処方において、ニトロセルロ
ースのかわりに塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコ
ール共重合体(VAGH,ユニオンカーバイド社製)20重量
部を用いた以外は試料Rと同様にし、試料R′を得た。
試料1、2、3において、バックコート塗料処方のニト
ロセルロースのかわりに、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビ
ニルアルコール共重合体(VAGH,ユニオンカーバイド社
製)20重量部を用いた以外は試料1、2、3と同様に
し、試料(1′),(2′),(3′)を得た。結果を
下記表−2に示す。
表−1及び表−2に於て本願の実施試料が優れた特性を
有することは歴然としている。
(発明の効果) 支持体及び磁気テープ全体に拡げてテープ物性としてヤ
ング率を向上させることによりテープ特性を向上させう
ることが示され、今後の磁気テープ性能向上の一方向が
えられた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基体の一方の面側に強磁性金属粉末
    とバインダーを含む磁性層を設け、該非磁性基体の他方
    の面側にバックコート層を設けた磁気記録媒体に於て、
    該非磁性基体の厚みが3〜7μmであり、そのヤング率
    が長さ方向に1000kg/mm2以上、幅方向に500kg/mm2以上
    であり、前記パックコート層のバインダーがポリウレタ
    ン樹脂とニトロセルロースからなることを特徴とする磁
    気記録媒体。
JP61078444A 1986-04-04 1986-04-04 高ヤング率を有する磁気記録媒体 Expired - Lifetime JPH0685207B2 (ja)

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