JP2582051B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2582051B2
JP2582051B2 JP7210173A JP21017395A JP2582051B2 JP 2582051 B2 JP2582051 B2 JP 2582051B2 JP 7210173 A JP7210173 A JP 7210173A JP 21017395 A JP21017395 A JP 21017395A JP 2582051 B2 JP2582051 B2 JP 2582051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体、特
に1.0μm以下の非常に薄い磁性層を有する磁気記録
媒体に関するものである。更に、詳しくは高密度の塗布
型磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープ、コンピューターテープ、ディスクなどとして広
く用いられている。磁気記録媒体は年々高密度化され記
録波長が短くなっており、記録方式もアナログ方式か
ら、ディジタル方式まで検討されている。この高密度化
の要求に対して、磁性層に金属薄膜を用いた磁気記録媒
体が提案されているが、生産性、腐食等の実用信頼性の
点で強磁性粉末を結合剤中に分散して、支持体上に塗布
したいわゆる塗布型の磁気記録媒体が優れる。しかしな
がら、金属薄膜に対して塗布型媒体は磁性物の充填度が
低いために、電磁変換特性が劣る。塗布型磁気記録媒体
としては、強磁性酸化鉄、Co変性強磁性酸化鉄、Cr
2 、強磁性合金粉末等を結合剤中に分散した磁性層を
非磁性支持体に塗設したものが広く用いられる。
【0003】塗布型磁気記録媒体の電磁変換特性の向上
には、強磁性粉末の磁気特性の改良、表面の平滑化など
があり、種々の方法が提案されているが、高密度化に対
しては充分なものではない。また、近年、高密度化と共
に記録波長が短くなる傾向にあり、磁性層の厚さが厚い
と出力が低下する記録時の自己減磁損失、再生時の厚味
損失の問題が大きくなっている。
【0004】このため、磁性層を薄くすることが行われ
ているが、磁性層を約2μm以下に薄くすると磁性層の
表面に非磁性支持体の影響が現れやすくなり、電磁変換
特性やDOの悪化傾向が見られる。このため、特開昭5
7−198536号公報の如く、支持体表面の非磁性の
厚い下塗層を設けてから磁性層を上層として設けるよう
にすれば前記の支持体の表面粗さの影響は解消すること
ができるが、ヘッド磨耗や耐久性が改善されないという
問題があった。これは、従来、非磁性下層として熱硬化
系樹脂を結合剤として用いているので、下層が硬化し、
磁性層とヘッドとの摩擦や他の部材との接触が無緩衝状
態で行われることや、このような下層を有する磁気記録
媒体がやや可撓性に乏しい等のことに起因していると考
えられる。これを解消するために、下層に非硬化系樹脂
を結合剤として用いることが考えられるが、従来の方法
では、下層を塗布乾燥後磁性層を上層として塗布する場
合、下層が上層の塗布液の有機溶剤により膨潤し、上層
の塗布液に乱流を起こさせる等の影響を与え磁性層の表
面性を悪くし、電磁変換特性を低下させる等の問題を生
じる。また、磁性層を薄層化するためには、塗布量を減
らすこととか、もしくは磁性塗布液に溶剤を多量に加え
て濃度を薄くすることが考えられる。前者を取る場合、
塗布量を減らすと塗布後に十分なレベリングの時間がな
く、乾燥が始まるために、塗布欠陥、例えば、スジや刻
印のパターンが残るといった問題が発生し、歩留りが非
常に悪くなる。後者の方法を取った場合、磁性塗布液の
濃度が希薄であると、できあがった塗膜に空隙が多く、
十分な磁性体充填性が得られないこと、また、空隙が多
いために塗膜の強度が不十分であることなど、種々の弊
害をもたらす。特開昭62−154225号公報の発明
ではこのように歩留りが悪いことが大きな問題であっ
た。
【0005】本出願人は、これらの問題を解決する一つ
の手段として、特開昭63−191315号、同63−
187418号の各公報に記載されているような同時重
層塗布方式を用いて下層に非磁性の層を設け、この下層
が湿潤状態の間に強磁性粉末を含有する上層磁性層を設
ける方法を採用することにより、塗布欠陥のない、生産
性に優れ、しかも再生出力、C/N等の電磁変換特性、
走行耐久性を改善できる磁気記録媒体を提案した。
【0006】しかしながら、このような方法を適用して
もなお、下記の問題点を解決することはできなかった。
近年、磁気記録媒体は高密度化、高出力化のためにヘッ
ドとのスペーシングロスを低減するために非常に平滑な
表面性が望まれている。このため、直接表面に出ていな
い下層非磁性層も極力分散性が良く、同時重層塗布した
場合の表面性が平滑である必要性が増している。上述の
ような同時重層塗布技術においては、磁性面を平滑にす
るために下層に用いる粉体を微粒子化して下層非磁性層
の表面性を確保して磁性層の表面性を改善できるのでは
ないかと考えられる。しかしながら、このような微粒子
を使用した場合、この微粒子は凝集しやすく、かえって
下層の表面性を悪化させひいては磁性層の表面性を不良
にするという問題がある。この問題は、磁性層を更に薄
層化させて電磁変換特性を改善しようとしても下層の粉
体の分散性が悪いために磁性層と下層との界面の制御が
困難になり、その界面が乱れ、均一一様な磁性層が得ら
れないという問題もある。即ち、磁性層を薄層化すると
更に下層非磁性層の分散性が同時重層した場合の表面性
に寄与する割合が増してきているが、従来の技術ではこ
れらの適切な解決手段が見出せないという問題がある。
【0007】本発明者らは非磁性支持体、下層非磁性
層、上層磁性層について鋭意検討の結果、適度の粗さ、
厚さと幅方向のヤング率を持った非磁性支持体を用い、
その上に下層非磁性層を設け、該下層非磁性層に含まれ
る非磁性粉末に工夫を加えることにより、一層の分散性
の向上が図れ、上層磁性層の乾燥厚みを0.05〜1.
0μmと薄層にしても、上層磁性層表面の中心線平均粗
さ(Ra)が1〜5.3nmという平滑な表面が得ら
れ、その結果7MHzの出力、C/N比などの電磁変換
特性に優れ、かつ耐久性に優れた磁気記録媒体が得られ
ることを見いだし、本発明に到ったものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電磁変換特
性が良好な磁気記録媒体を提供すること、詳しくは7M
Hz の出力、C/Nなどの電磁変換特性と耐久性に優
れ、かつ表面の平滑さに優れる磁気記録媒体を提供する
ことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性支持体
上に無機質粉末を結合剤に分散した下層非磁性層を設
け、その上に強磁性粉末を結合剤に分散した上層磁性層
を設けた磁気記録媒体において、前記上層磁性層の乾燥
厚みが0.05〜1.0μmであり、前記下層非磁性層
の乾燥厚みが0.5〜10μmであり、前記非磁性支持
体の厚みが4〜80μmであり、前記非磁性支持体の幅
方向のヤング率が470〜2000kg/mm2 であ
り、上層磁性層表面の中心線平均粗さ(Ra)が1〜
5.3nmでああり、上記強磁性粉末は強磁性合金粉末
又は板状六方晶フェライトであって、その粒子長軸長が
0.3μm以下であり、且つ前記下層非磁性層の無機質
粉末がモース硬度3以上の非磁性無機粉末を含む磁気記
録媒体である。
【0010】本発明は、下層非磁性層の無機質粉末の分
散性を改善して下層非磁性層と上層磁性層との界面の制
御を容易にして上層磁性層が中心線平均粗さ(Ra)で
1〜5.3nmという平滑な表面性を確保すると共に電
磁変換特性を改善したものである。そして、本発明は、
乾燥膜厚が0.05〜1.0μmという薄膜の上層磁性
層(以下、単に磁性層または上層とも言う。)を下層非
磁性層(以下、単に非磁性層あるいは下層とも言う。)
に塗布欠陥がなく設けるために下層塗布液に無機酸化物
で被覆された表面層を有する非磁性無機質粉末を使用
し、幅方向のヤング率が470〜2000kg/mm 2 非磁
性支持体上にまず該下層を設け、その上に該上層を塗設
したものである。即ち、本発明は、7MHzの出力、C
/Nなどの電磁変換特性を耐久性に優れ、かつ表面の平
滑さに優れた磁気記録媒体で磁性層の極めて薄い、強磁
性金属薄膜に匹敵する性能を有する磁気記録媒体を提供
するものである。
【0011】本発明において、無機質粉末の表面を無機
酸化物で被覆すると粉体の分散性が改善できた作用の詳
細は不明であるが、この無機質粉末表面に存在する水分
(水酸基)が溶媒と相互作用を生じ、粉体の分散性に影
響を与えているものと考えられる。本発明者は、この水
分量を制御することにより粉体の分散性が改善され、本
発明の磁気記録媒体が得られることを見いだしたもので
ある。
【0012】本発明に使用される非磁性無機質粉末の水
分量は、塗布液調製時において、水分量は、好ましくは
0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量
%に制御することが好ましい。本発明において、無機酸
化物あるいはその層の構造は、単独種でも2種以上の元
素から構成されたものでも酸化物であれば任意であり、
通常、H2 Oを介して重合した構造をとる。但し、それ
ぞれの存在状態は製法により異なる。例えば、Al2
3 は、比較的均一にTiO2 表面上に存在するが、Si
2 は、粒子状に固まって存在している。
【0013】また、目的に応じて共沈させた表面処理層
を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表
層をシリカで処理する構造、その逆の構造を取ることも
できる。また、表面処理層は、目的に応じて多孔質層に
しても構わないが、均質で密である方が一般には好まし
い。その他、無機酸化物としては、ZrO2 、Sb2
3 、ZnO等が挙げられる。
【0014】本発明においては、前記非磁性無機質粉末
は、その全重量に対して無機酸化物、例えば、Al2
3 を1〜21重量%、好ましくは2〜18重量%、Si
2を0.04〜20重量%、好ましくは0.1〜18
重量%、ZrO2 を0.05〜15重量%、好ましくは
0.5〜10重量%被覆することが好ましい。また、上
記無機酸化物の内Al2 3 の比率は、50重量%以上
が好ましい。
【0015】表面処理される無機質粉末としては、金属
酸化物が好ましく、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化
亜鉛、α酸化鉄、ゲータイトが好ましい。又、非磁性無
機質粉末としては、特にルチル型二酸化チタンを主体と
するものであって該無機酸化物を好ましくは5〜30重
量%、特に好ましくは7〜20重量%含むものが望まし
い。
【0016】例えば、非磁性無機質粉末の表面処理層形
成は、非磁性無機質粉末素材を乾式粉砕後、水と分散剤
を加え、湿式粉砕、遠心分離により粗粒分級が行われ
る。その後、微粒スラリーは表面処理槽に移され、ここ
で金属水酸化物の表面被覆が行われる。まず、所定量の
Al、Si、Ti、Zr、Sb、Sn、Znなどの塩類
水溶液を加え、これを中和する酸、またはアルカリを加
えて、生成する含水酸化物で無機質粉末粒子表面を被覆
する。副生する水溶性塩類はデカンテーション、濾過、
洗浄により除去し、最終的にスラリーpHを調節して濾
過し、純水により洗浄する。洗浄済みケーキはスプレー
ドライヤーまたはバンドドライヤーで乾燥される。最後
にこの乾燥物はジェットミルで粉砕され、製品になる。
また、水系ばかりでなくAlCl3 、SiCl4 の蒸気
を非磁性無機質粉末に通じ、その後水蒸気を流入してA
l、Si表面処理を施すことも可能である。
【0017】その他の表面処理法については、「Charac
terization of Powder Surfaces 」, Academic Pressを
参考にすることができる。本発明においては、下層非磁
性層は、上記非磁性無機質粉末でない、未処理の無機質
粉末を含むことができるが、非磁性無機質粉末を無機質
粉末の51〜99.8重量%、好ましくは60〜95重
量%の範囲とすることが望ましい。
【0018】本発明においては、下層非磁性層及び上層
磁性層の塗布液に用いる溶剤はいずれも溶解パラメータ
ーが8〜11であり、20℃での誘電率が15以上であ
る化合物を15重量%以上含むことが好ましい。即ち、
本発明における重層塗布では、上層磁性層と下層非磁性
層との親和性が重要である。通常、磁性層には比較的極
性の強いシクロヘキサノンやメチルエチルケトンのよう
な溶剤が主成分として使用されている。重層塗布した
後、乾燥するまでに上下層間で溶剤はそれぞれが浸透し
てゆく。この結果、上下層の溶剤組成が極端に異なって
いると激しい面荒れが発生するためである。
【0019】本発明において、溶剤とは、単独種の化合
物または複数種の化合物の混合物を包含し、塗布液組成
における有機溶媒化合物の総体を意味する。従って、本
発明においては、該溶剤の溶解パラメーターを8〜11
とするために複数種の化合物を用いた場合、上層と下層
でその化合物の種類が異なっていてもかまわないが、該
溶解パラメーター8〜11とするために現実的には同種
の化合物組成を使用することが極めて好ましい。
【0020】また、該化合物を選択する場合、20℃で
の誘電率が15以上であるものを15重量%以上とする
ことが好ましい。例えば、この値を示す化合物として
は、メチルエチルケトンなどが挙げられる。本発明にお
ける、溶剤組成の例を重量比で挙げると、上層でメチル
エチルケトン:シクロヘキサノン:トルエン:酢酸ブチ
ル=10:5:5:4(溶解パラメーター;9.2)、
下層でメチルエチルケトン:シクロヘキサノン:トルエ
ン:酢酸ブチル=9:5:6:4(溶解パラメーター;
9.2)等が例示される。又、本発明においては、上層
及び下層の溶剤を同種に規定することが好ましいため、
必然的にその分散質である結合剤も上層及び下層でその
化合物種を同じものに規定することが好ましい。
【0021】結合剤組成としては、公知の結合剤から構
成することができ、好ましくは、塩化ビニル系樹脂、ウ
レタン樹脂、及びポリイソシアネートからなる混合系等
が例示されるが詳細は後述する。該結合剤は、−COO
M、−OSO3 M、−SO3 M、−PO(OM1 )(O
2 )、−OPO(OM1 )(OM2 )、−NR4
(ここでM、M1 、M2 は、Li、Na、K、H、−N
4 又はNHR3 を示し、Rはアルキル基もしくはHを
示し、Xはハロゲン原子を示す。)より選ばれた少なく
とも1種の極性基を含むことが無機質粉末の分散性を向
上させる上で好ましい。
【0022】又、下層の結合剤の体積比は、無機質粉末
の体積の2.0〜0.3倍の範囲にあり、上層の結合剤
の体積比は、1.8〜0.5倍であることが無機質粉
末、及び強磁性粉末の分散性を確保すると共に各層の表
面性を確保する上で望ましい。本発明は上層と下層の界
面が平坦で上層磁性層厚味ができるだけ一様であること
が望ましく、そのための手段として本発明は寄与し得る
因子を含むものであるが、更にこれを満足するためには
他の制御因子を選択することが好ましい。
【0023】この界面の変動あるいは乱れを制御するた
めの具体的手段としては、以下の2つが例示される。第
1の手段は、磁性層の磁性塗料と下層非磁性層の各分散
液のチキソトロピー性を互いに近似するように制御する
ことであり、第2の手段は、下層非磁性層と磁性層に含
まれる粉体のサイズ、形状を規定して力学的に上層およ
び下層に混合領域が生じないように制御することであ
る。
【0024】第1の手段の具体的方法としては、各塗布
液が、剪断速度104 sec- 1 での剪断応力A104
と剪断速度10sec- 1 での剪断応力 A10との比
A104 /A10を100≧A104 /A10≧3に調
整することが挙げられる。第2の手段としては、下層非
磁性層と上層磁性層との界面において混合領域が生じな
いようにするため、下層非磁性層に針状非磁性粉末ある
いは鱗片状非磁性粉末を用いることが挙げられる。従来
の粒状の非磁性粉末に比べ、針状の非磁性粉末が整列し
て存在すると未乾燥状態でも強固な塗膜を形成し、上層
磁性層の強磁性粉末が回転しても、その界面で混合を生
じないように制御できる。又、混合領域が生じないよう
にするためのもう1つの手段は下層非磁性層に鱗片状の
非磁性粉末を用いて、いわばタイル状に敷きつめること
であり、上記と同様、上層磁性層の強磁性粉末が回転し
てもその界面で混合が生じないようにできる。
【0025】そしてこれらの調整に係わる因子には、本
発明における因子も含め、例えば、分散される無機質粉
末あるいは磁性粉末に関しては、(1)粒子サイズ(比
表面積、平均粒径等)、(2)構造(吸油量、粒子形態
等)、(3)粉体表面の性質(pH、加熱減量等)、
(4)粒子の吸引力(σS 等) 等、結合剤に関しては、
(1)分子量、(2)官能基の種類等、溶剤に関しては
(1)種類(極性等)、(2)結合剤溶解性、(3)溶
剤処方量等、含水率等が挙げられる。
【0026】また、本発明の磁気記録媒体は、界面にお
ける厚味変動(即ち、該界面の厚み方向における変動
幅)の平均値Δdが磁性層の乾燥厚味平均値dの1/2
以下であることが好ましく、また、磁性層厚味の標準偏
差3σは、0.6μm、好ましくはσが0.2μm以下
である。すなわち3σが0.6μm以下は各セグメント
の97%のものが0.6μm以下に入っていればよいこ
とを意味する。又、3σ≦6d/10であることが好ま
しい。
【0027】これらd、Δd、σは以下のように求めら
れる。磁気記録媒体を長手方向にわたってダイヤモンド
カッターで約0.1μmの厚味に切り出し、透過型電子
顕微鏡で倍率10000〜100000倍、好ましくは
20000〜50000倍で観察し、その写真撮影を行
う(写真のプリントサイズはA4〜A5である)。その
後、上層磁性層、下層非磁性層の強磁性粉末や無機質粉
末の形状差に注目して界面を目視判断して、黒く縁取
り、かつ磁性層表面も同様に黒く縁取りする。まず、Δ
dの求め方について述べる。前述の縁取りをした上層磁
性層と下層非磁性層の界面の山又は谷との距離をΔdと
する。又、標準偏差σの求め方は、前述の如く縁取り
し、その後Zeiss社製画像処理装置IBAS2にて
縁取りした線の間隔の長さを測定する。磁性層厚の測定
は長さ21cmの間隔を100〜300のセグメント化
してその数だけ行い、dを求めた。
【0028】標準偏差σは、各セグメントでの厚味をx
i とすると下記数1で表される。
【0029】
【数1】
【0030】前述のΔdは界面での変動にのみ着目した
ものであるが、平均厚味dの標準偏差σは上層磁性層の
表面粗さの要素と界面での変動の両者を含んだ上層磁性
層の厚味の変動を意味する。この界面の変動は3σが
0.6μm以下であることが好ましい。これにより、磁
性層厚みの一様性を確保すると共に表面粗さRaをRa
≦λ/50、即ちλ/Raを50以上、好ましくは75
以上、更に好ましくは100以上に規制することができ
る。ここで、Raは、光干渉粗さ計を用いて測定した中
心線平均粗さを測定した値をさす。
【0031】更に、最短記録波長λに対してλ/4≦d
≦3λ、好ましくは、λ/4≦d≦2λ(即ち、0.2
5≦d/λ≦2)かつ磁性層の表面粗さRaがRa≦λ
/50の関係にあることが好ましい。これにより再生出
力変動、振幅変調ノイズを防止し、高再生出力、高C/
Nを実現することができる。
【0032】本発明において、最短記録波長λは、磁気
記録媒体の種類により種々異なるが、例えば、8mmメ
タルビデオでは0.7μm、デジタルビデオでは、O.
5μm、デジタルオーディオでは0.67μmが挙げら
れる。該磁性層厚みは、前記の通り実測して求められる
が、蛍光X線で磁性層中に特有に含まれる元素につい
て、既知厚みの磁性層サンプルを測定し、検量線を作成
し、次いで、未知資料のサンプルの厚みを蛍光X線の強
度から求めることもできる。
【0033】又、本発明は、磁性層表面の走査型トンネ
ル顕微鏡(STM)法による2乗平均粗さ Rrms が前
記磁性層の乾燥厚味平均値dとの間に30≦d/Rrms
の関係があることが好ましい。磁性層厚味が薄くなる
と、自己減磁損失が低減して出力向上が図れるはずであ
るが、磁性層厚味低減により押されしろが少なくなるた
めにカレンダー成形性が悪くなり、表面粗さが大きくな
る。自己減磁損失低減による出力向上を図るためには上
式の関係を満たすSTMによる表面粗さが好ましい。
【0034】AFMによるRrms は、10nm以下が好
ましい。3d−MIRAUで測定した光干渉表面粗さR
aは1〜4nm、Rrms は1.3〜6nm、P−V値
(Peak−Valley)値は、80nm以下である
ことが好ましい。磁性層表面の光沢度は、カレンダー処
理後で250〜400%が好ましい。このような表面性
を達成するには、例えば、本発明の条件内で更に以下の
3つの条件の少なくとも1つをも満足することによって
達成できる。 (1)下層非磁性層に含まれる非磁性粉末がモース硬度
3以上の無機質粉末を含み、上層磁性層に含まれる強磁
性粉末が針状の強磁性粉末であり、前記無機質粉末の平
均粒径が針状の強磁性粉末の結晶子サイズの1/2〜4
倍であること。 (2)下層非磁性層に含まれる非磁性粉末がモース硬度
3以上の無機質粉末を含み、上層磁性層に含まれる強磁
性粉末が針状の強磁性粉末であり、前記無機質粉末の平
均粒径が針状の強磁性粉末の長軸長の1/3以下である
こと。 (3)上層磁性層に含まれる強磁性粉末が、磁化容易軸
が平板の垂直方向にある六角板状の強磁性粉末であり、
且つ下層非磁性層に含まれる非磁性粉末が無機質粉末を
含み、その平均粒径が前記上層磁性層に含まれる強磁性
粉末の板径以下であること。
【0035】(1)〜(3)は、上層磁性層の強磁性粉
末と下層非磁性層の無機質粉末のサイズ及び形状を限定
して下層非磁性層の表面性を確保すると共に無機質粉末
は強磁性粉末を力学的に安定して整列させるサイズとし
たものである。また、又、無機質粉末の下層における体
積充填率は好ましくは20〜60%、更に好ましくは2
5〜55%の範囲であることが望ましい。
【0036】また、無機質粉末は、非磁性粉末のうち重
量比率で60%以上含むことが好ましく、無機質粉末と
しては、金属酸化物、アルカリ土類金属塩等であること
が好ましい。また、カーボンブラックを添加することに
より公知の効果(例えば、表面電気抵抗を低減する)を
期待できるので、上記無機質粉末と組み合わせて使用す
ることが好ましいが、カーボンブラックは分散性が非常
に悪いので、カーボンブラックでは十分な電磁変換特性
を確保することができない。良好な分散性を得るために
は重量比率で60%以上を金属酸化物、金属、アルカリ
土類金属塩から選択する必要がある。無機質粉末が非磁
性粉末の重量比率で60%未満、カーボンブラックが非
磁性粉末の40%以上であると分散性が不十分となり所
望の電磁変換特性を得ることができなくなる。
【0037】また、磁性層の厚味が長軸長の5倍以下で
あるとカレンダーによる充填度向上がめざましく、より
電磁変換特性の優れた磁気記録媒体が得られる。以下、
本発明が選択可能な一般的事項について述べる。本発明
に使用できる無機質粉末は、例えば、金属、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物等が挙げられる。具体的にはTiO
2 (ルチル、アナターゼ)、TiOX 、酸化セリウム、
酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2 、Si
2 、Cr2 3 、α−化率90%以上のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータ
イト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化
マグネシウム、窒化硼素、2硫化モリブデン、酸化銅、
MgCO3 、CaCO3 、BaCO3 、SrCO3 、B
aSO4 、炭化珪素、炭化チタンなどが単独または組み
合わせて使用される。これら無機質粉末の形状、サイズ
等は任意であり、これらは必要に応じて異なる無機質粉
末を組み合わせたり、単独の無機質粉末でも粒径分布等
を選択することもできる。
【0038】無機質粉末としては、次のものが好まし
い。タップ密度は0.05〜2g/cc、好ましくは
0.2〜1.5g/cc。含水率は0.1〜5%、好ま
しくは0.2〜3%。pHは2〜11、特に4〜10が
好ましい。比表面積は、1〜100m2 /g、好ましく
は5〜70m2 /g、更に好ましくは7〜50m2 /g
である。結晶子サイズは0.01μm〜2μmが好まし
い。粒子サイズとしては、粒状にあっては、平均粒径
0.1μm以下、好ましくは0.08μm以下であり、
針状にあっては長軸長0.05〜1.0μm、好ましく
は0.06〜0.5μm、針状比3〜30、好ましくは
5〜15の範囲から選択される。DBPを用いた吸油量
は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80m
l/100g、更に好ましくは20〜60ml/100
gである。SA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μm
ol/m2 、更に好ましくは2〜15μmol/m2
ある。粉体表面のラフネスファクターは0.8〜1.5
が好ましく、更に好ましくは0.9〜1.4μmol/
2 である。25℃での水への湿潤熱は200erg/
cm2 〜600erg/cm2 が好ましい。また、この
湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。10
0〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/10
0Åが適当である。水中での等電点のpHは3〜9の間
にあることが好ましい。比重は1〜12、好ましくは3
〜6である。強熱減量は20%以下であることが好まし
い。
【0039】本発明に用いられる無機質粉末の具体的な
例としては、昭和電工社製UA5600、UA560
5、住友化学社製AKP−20、AKP−30、AKP
−50、HIT−55、HIT−100、ZA−G1、
日本化学工業社製G5、G7、S−1、戸田工業社製T
F−100、TF−120、TF−140、R516、
石原産業社製TTO−51B、TTO−55A、TTO
−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−
55S、TTO−55D、FT−1000、FT−20
00、FTL−100、FTL−200、M−1、S−
1、SN−100、R−820、R−830、R−93
0、R−550、CR−50、CR−80、R−68
0、TY−50、チタン工業社製ECT−52、STT
−4D、STT−30D、STT−30、STT−65
C、三菱マテリアル社製T−1、日本触媒社製NS−
O、NS−3Y、NS−8Y、テイカ社製MT−100
S、MT−100T、MT−150W、MT−500
B、MT−600B、MT−100E、堺化学社製FI
NEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、B
F−1L、BF−10P、同和工業社製DEFIC−
Y、DEFIC−R、チタン工業社製Y−LOP及びそ
れを焼成した物である。
【0040】本発明に使用される非磁性無機質粉末とし
ては、特に酸化チタン(特に二酸化チタン)が好まし
い。以下、この酸化チタンの製法を詳しく記す。酸化チ
タンの製法は主に硫酸法と塩素法がある。硫酸法は、イ
ルミナイトの原鉱石を硫酸で蒸留し、Ti、Feなどを
硫酸塩として抽出する。硫酸鉄を晶析分離して除き、残
りの硫酸チタニル溶液を濾過精製後、熱加水分解を行っ
て、含水酸化チタンを沈殿させる。これを濾過洗浄後、
夾雑物質を洗浄除去し、粒径調節剤などを添加した後、
80〜1000℃で焼成すれば粗酸化チタンとなる。ル
チル型とアナターゼ型は加水分解の時に添加される核材
の種類によりわけられる。この粗酸化チタンを粉砕、整
粒、表面処理などを施して作成する。塩素法は原鉱石天
然ルチルや合成ルチルが用いられる。鉱石は高温還元状
態で塩素化され、TiはTiCl4にFeはFeCl2
となり、冷却により固体となった酸化鉄は液体のTiC
4と分離される。得られた粗TiCl4 は精留により
精製した後、核生成剤を添加し、1000℃以上の温度
で酸素と瞬間的に反応させ、粗酸化チタンを得る。この
酸化分解工程で生成した粗酸化チタンに顔料的性質を与
えるための仕上げ方法は硫酸法と同じである。
【0041】また、本発明は下層にカーボンブラックを
使用することができ、公知の効果であるRS (表面電気
抵抗)等を下げることもできる。このカーボンブラック
としてはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用
ブラック、アセチレンブラック、等を用いることができ
る。比表面積は100〜500m2 /g、好ましくは1
50〜400、DBP吸油量は20〜400ml/10
0g、好ましくは30〜200ml/100gである。
平均粒径は5mμ〜80mμ、好ましくは10〜50m
μ、更に好ましくは10〜40mμである。pHは2〜
10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜
1g/ccが好ましい。
【0042】本発明に用いられるカーボンブラックの具
体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEAR
LS 2000、1300、1000、900、80
0、、880、700、VULCAN XC−72、三
菱化成工業社製#3050、#3150、#3250、
#3750、#3950、#2400B、#2300、
#1000、、#970、#950、、#900、#8
50、#650、#40、MA40、MA−600、コ
ロンビアカーボン社製、CONDUCTEX SC、R
AVEN社製8800、8000、7000、575
0、5250、3500、2100、2000、180
0、1500、1255、1250、アクゾー社製ケッ
チェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラッ
クを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化し
て使用しても表面の一部をグラファイト化したものを使
用しても構わない。また、カーボンブラックを非磁性塗
料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわ
ない。これらのカーボンブラックは単独、または組み合
わせて使用することができる。
【0043】本発明で使用できるカーボンブラックは、
例えば(「カーボンブラック便覧」、カーボンブラック
協会編)を参考にすることができる。本発明に使用され
る非磁性有機質粉末は、アクリルスチレン系樹脂粉末、
ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタ
ロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹
脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉
末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂粉
末が使用される。その製法は、特開昭62−18564
号、同60−255827号の各公報に記載されている
ようなものが使用できる。
【0044】これらの非磁性粉末は、通常、結合剤に対
して、重量比率で20〜0.1、体積比率で10〜0.
1の範囲で用いられる。なお、一般の磁気記録媒体にお
いては下塗層を設けることが行われているが、これは支
持体と磁性層等の接着力を向上させるために設けられる
ものであって、厚さも0.5μm以下で本発明の下層非
磁性層とは異なるものである。本発明においても下層と
支持体との接着性を向上させるために下塗層を設けるこ
とが好ましい。
【0045】本発明の磁性層に使用する強磁性粉末とし
ては磁性酸化鉄FeOx(x=1.33〜1.5)、C
o変性FeOx(x=1.33〜1.5)、Feまたは
NiまたはCoを主成分(75%以上)とする強磁性合
金粉末、バリウムフエライト、ストロンチウムフエライ
トなど公知の強磁性粉末が使用できるが、強磁性合金粉
末が更に好ましい。。これらの強磁性粉末には所定の原
子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、C
u、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、
Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、L
a、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、
Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。これらの強
磁性粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性
剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行って
もかまわない。具体的には、特公昭44−14090
号、特公昭45−18372号、特公昭47−2206
2号、特公昭47−22513号、特公昭46−284
66号、特公昭46−38755号、特公昭47−42
86号、特公昭47−12422号、特公昭47−17
284号、特公昭47−18509号、特公昭47−1
8573号、特公昭39−10307号、特公昭48−
39639号、米国特許第3026215号、同303
1341号、同3100194号、同3242005
号、同3389014号などに記載されている。
【0046】上記強磁性粉末の中で強磁性合金粉末につ
いては少量の水酸化物、または酸化物を含んでもよい。
強磁性合金粉末の公知の製造方法により得られたものを
用いることができ、下記の方法をあげることができる。
複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元
性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体
で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方
法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金
属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あ
るいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方
法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得
る方法などである。このようにして得られた強磁性合金
粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬した
のち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有
ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させ
る方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧
を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施
したものでも用いることができる。
【0047】本発明の上層磁性層の強磁性粉末をBET
法による比表面積で表せば25〜80m2 /gであり、
好ましくは40〜70m2 /gである。25m2 /g以
下ではノイズが高くなり、80m2 /g以上では表面性
が得にくく好ましくない。本発明の上層磁性層の強磁性
粉末の結晶子サイズは450〜100Åであり、好まし
くは350〜100Åである。酸化鉄磁性粉末のσS
50emu/g以上、好ましくは70emu/g以上で
あり、強磁性金属粉末の場合は100emu/g以上が
好ましく、更に好ましくは110emu/g〜170e
mu/gである。抗磁力は1100Oe以上、2500
Oe以下が好ましく、更に好ましくは1400Oe以上
2000Oe以下である。強磁性粉末の針状比は18以
下が好ましく、更に好ましくは12以下である。
【0048】強磁性粉末の含水率は0.01〜2%とす
るのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性粉末の含
水率は最適化するのが好ましい。γ酸化鉄のタップ密度
は0.5g/cc以上が好ましく、0.8g/cc以上
がさらに好ましい。合金粉末の場合は、0.2〜0.8
g/ccが好ましく、0.8g/cc以上に使用すると
強磁性粉末の圧密過程で酸化が進みやすく、充分な飽和
磁化( σS ) を得ることが困難になる。0.2cc/g
以下では分散が不十分になりやすい。
【0049】FeOxを用いる場合、2価の鉄の3価の
鉄に対する比は好ましくは0〜20%であり、さらに好
ましくは5〜10%である。また鉄原子に対するコバル
ト原子の量は0〜15%、好ましくは2〜8%である。
強磁性粉末のpHは用いる結合剤との組合せにより最適
化することが好ましい。その範囲は4〜12であるが、
好ましくは6〜10である。強磁性粉末は必要に応じ、
Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を
施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1
〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の
吸着が100mg/m2 以下になり好ましい。強磁性粉
末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無
機イオンを含む場合があるが、500ppm以下であれ
ば特に特性に影響を与えない。
【0050】また、本発明に用いられる強磁性粉末は空
孔が少ないほうが好ましくその値は20容量%以下、さ
らに好ましくは5容量%以下である。また形状について
は先に示した条件を満足するように針状、粒状、米粒
状、板状等から選択される。強磁性粉末のSFD0.6
以下を達成するためには、強磁性粉末のHcの分布を小
さくする必要がある。そのためには、ゲータイトの粒度
分布をよくする、γ−ヘマタイトの焼結を防止する、コ
バルト変性の酸化鉄についてはコバルトの被着速度を従
来より遅くするなどの方法がある。
【0051】本発明にはまた、磁化容易軸が平板の垂直
方向にある六角板状の強磁性粉末として、板状六方晶フ
エライト等が例示され、バリウムフエライト、ストロン
チウムフエライト、鉛フェライト、カルシウムフェライ
トの各置換体、Co置換体等が使用できる。具体的には
マグネトブランバイト型のバリウムフェライト及びスト
ロンチウムフェライト、更に一部スピネル相を含有した
マグネトブランバイト型のバリウムフェライト及びスト
ロンチウムフェライト等が挙げられ、特に好ましいもの
としてはバリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
トの各置換体である。また、抗磁力を制御するために上
記六方晶フェライトにCo−Ti、Co−Ti−Zr、
Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Ir−Zn等の
元素を添加した物を使用することができる。
【0052】バリウムフェライトを用いる場合、板径は
六角板状の粒子の板の幅を意味し、電子顕微鏡を使用し
て測定する。本発明ではこのを板径を0.001〜1μ
mで、板厚を直径の1/2〜1/20とするとよい。比
表面積(SBET )は、1〜60m2 /gが好ましく、比
重は4〜6が好ましい。本発明の下層非磁性層及び上層
磁性層に使用される結合剤としては従来公知の熱可塑系
樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使
用される。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−
100〜150℃、数平均分子量が1000〜2000
00、好ましくは10000〜100000、重合度が
約50〜1000程度のものである。このような例とし
ては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マ
レイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニ
リデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニル
ブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を
構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタ
ン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂ま
たは反応型樹脂としてはフエノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデ
ヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの
混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート
の混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物
等があげられる。
【0053】これらの樹脂については朝倉書店発行の
「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されてい
る。また、公知の電子線硬化型樹脂を下層、または上層
に使用することも可能である。これらの例とその製造方
法については特開昭62−256219号に詳細に記載
されている。
【0054】以上の樹脂は単独または組合せて使用でき
るが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル
酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコー
ル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体
の群から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の
組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組合せた
ものがあげられる。
【0055】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COO
M、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM1
(OM2 )、−OP=O(OM1 )(OM2 )、−NR
4 X(ここで、M、M1 、M2 は、H、Li、Na、
K、−NR4 、−NHR3 を示し、Rはアルキル基もし
くはHを示し、Xはハロゲン原子を示す。)、OH、N
2 、N+ 3 、(Rは炭化水素基)、エポキシ基、S
H、CNなどから選ばれる少なくとも一つ以上の極性基
を共重合または付加反応で導入したものを用いることが
好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル
/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gであ
る。
【0056】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト社製:VAGH、V
YHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、V
YES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、P
KHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業
社製:MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TA
L、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、
MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製:100
0W、DX80、DX81、DX82、DX83、10
0FD、日本ゼオン社製:MR105、MR110、M
R100、400X110A、日本ポリウレタン社製:
ニッポランN2301、N2302、N2304、大日
本インキ社製:パンデックスT−5105、T−R30
80、T−5201、バーノックD−400、D−21
0−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社
製:バイロンUR8200、UR8300、UR860
0、UR5500、UR4300、RV530、RV2
80、大日精化社製:ダイフエラミン4020、502
0、5100、5300、9020、9022、702
0、三菱化成社製:MX5004、三洋化成社製:サン
プレンSP−150、旭化成社製:サランF310、F
210などがあげられる。
【0057】本発明の上層磁性層に用いられる結合剤は
強磁性粉末に対し、5〜50重量%の範囲、好ましくは
10〜35重量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹
脂を用いる場合は、5〜30重量%、ポリウレタン樹脂
を用いる場合は2〜20重量%、ポリイソシアネートは
2〜20重量%の範囲でこれらを組合せて用いるのが好
ましい。
【0058】本発明の下層非磁性層に用いられる結合剤
は、非磁性粉末に対し、合計で5〜50重量%の範囲、
好ましくは10〜35重量%の範囲で用いられる。ま
た、塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、3〜30重量
%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は3〜30重量%、
ポリイソシアネートは0〜20重量%の範囲でこれらを
組合せて用いるのが好ましい。
【0059】本発明において、ポリウレタン樹脂を用い
る場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸び
が100〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg
/cm2 、降伏点は0.05〜10Kg/cm2 が好ま
しい。本発明の磁気記録媒体は基本的には二層からなる
が、三層以上であってもよい。三層以上の構成として
は、上層磁性層を2層以上の複数の磁性層することであ
る。この場合、最上層の磁性層と下層磁性層との関係は
通常の複数の磁性層の考え方が適用できる。例えば、最
上層の磁性層の方が下層磁性層よりも、抗磁力が高く、
平均長軸長や結晶子サイズの小さい強磁性粉末を用いる
などの考え方が適用できる。又、下層非磁性層を複数の
非磁性層で形成してもかまわない。しかし、大きく分類
すれば、上層磁性層、下層非磁性層という構成である。
【0060】従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化
ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネー
ト、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各
樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物
理特性などを必要に応じ下層と上層磁性層とで変えるこ
とはもちろん可能である。本発明に用いるポリイソシア
ネートとしては、トリレンジイソシアネート、4−4′
−ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフ
チレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフエ
ニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、
また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの
生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成し
たポリイソシアネート等を使用することができる。これ
らのイソシアネート類の市販されている商品名として
は、日本ポリウレタン社製:コロネートL、コロネート
HL、コロネート2030、コロネート2031、ミリ
オネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製:タ
ケネートD−102、タケネートD−110N、タケネ
ートD−200、タケネートD−202、住友バイエル
社製:デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモ
ジュールN、デスモジュールHL等があり、これらを単
独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以
上の組合せで下層非磁性層、上層磁性層ともに用いるこ
とができる。
【0061】本発明の上層磁性層に使用されるカーボン
ブラックはゴム用フアーネス、ゴム用サーマル、カラー
用ブラック、アセチレンブラック、等を用いることがで
きる。比表面積は5〜500m2 /g、DBP吸油量は
10〜400ml/100g、粒子径は5mμ〜300
mμ、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タッ
プ密度は0.1〜1g/ccが好ましい。本発明に用い
られるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボッ
ト社製:BLACKPEARLS 2000、130
0、1000、900、800、700、VULCAN
XC−72、旭カーボン社製:♯80、♯60、♯5
5、♯50、♯35、三菱化成工業社製:♯2400
B、♯2300、♯900、♯1000、♯30、♯4
0、♯10B、コンロンビアカーボン社製:CONDU
CTEX SC、RAVEN 150、50,40,1
5などがあげられる。カーボンブラックを分散剤などで
表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表
面の一部をグラフアイト化したものを使用してもかまわ
ない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前
にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらの
カーボンブラックは単独、または組合せで使用すること
ができる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性粉
末に対する量の0.1〜30%で用いることが好まし
い。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低
減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これら
は用いるカーボンブラックにより異なる。従って本発明
に使用されるこれらのカーボンブラックは下層、上層で
その種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電
導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じ
て使い分けることはもちろん可能である。本発明の上層
で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラ
ック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にするこ
とができる。
【0062】本発明の上層磁性層に用いられる研磨剤と
してはα−化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミ
ナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化
鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪
素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化
ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が
単独または組合せで使用される。また、これらの研磨剤
どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したも
の)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外
の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が9
0%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の
粒子サイズは0.01〜2μmが好ましいが、必要に応
じて粒子サイズの異なる研磨剤を組合せたり、単独の研
磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせること
もできる。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は
0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m
2/g、が好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状
は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状
の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。
【0063】本発明に用いられる研磨剤の具体的な例と
しては、住友化学社製:AKP−20,AKP−30,
AKP−50,HIT−50、日本化学工業社製:G
5,G7,S−1、戸田工業社製:TF−100、TF
−140、100ED、140EDなどがあげられる。
本発明に用いられる研磨剤は下層、上層で種類、量およ
び組合せを変え、目的に応じて使い分けることはもちろ
ん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分
散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。
【0064】本発明に使用される、添加剤としては潤滑
効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつ
ものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングス
テン、グラフアイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコ
ーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリ
コーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコー
ル、フッ素含有エステル、ポリオレフイン、ポリグリコ
ール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、
ポリフエニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステ
ルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩
基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していて
もかまわない)、および、これらの金属塩(Li,N
a,K,Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、
二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数
12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24
の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐し
ていてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、
三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不
飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)
とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステル
またはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物
のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜
22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、
などが使用できる。これらの具体例としてはラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘ
ン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ス
テアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリス
チン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒ
ドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタ
ンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレ
ート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、があ
げられる。
【0065】また、アルキレンオキサイド系、グリセリ
ン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオ
キサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミ
ン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダン
トイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニ
ウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スル
フォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、な
どの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、ア
ミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸
エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤
等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界
面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載
されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも
100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応
物、副反応物、分解物、酸化物、等の不純分が含まれて
もかまわない。これらの不純分は30%以下が好まし
く、さらに好ましくは10%以下である。
【0066】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は下層非磁性層、上層磁性層でその種類、量を必
要に応じ使い分けることができる。例えば、下層非磁性
層、上層磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのに
じみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を
用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調
節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加
量を下層非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなど
が考えられ、無論ここに示した例のみに限られるもので
はない。
【0067】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加しても
かまわない、例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合す
る場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添
加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加す
る場合、塗布直前に添加する場合などがある。本発明で
使用されるこれら潤滑剤の商品例としては、日本油脂社
製:NAA−102,NAA−415,NAA−31
2,NAA−160,NAA−180,NAA−17
4,NAA−175,NAA−222,NAA−34,
NAA−35,NAA−171,NAA−122,NA
A−142,NAA−160,NAA−173K,ヒマ
シ硬化脂肪酸,NAA−42,NAA−44,カチオン
SA,カチオンMA,カチオンAB,カチオンBB,ナ
イミーンL−201,ナイミーンL−202,ナイミー
ンS−202,ノニオンE−208,ノニオンP−20
8,ノニオンS−207,ノニオンK−204,ノニオ
ンNS−202,ノニオンNS−210,ノニオンHS
−206,ノニオンL−2,ノニオンS−2,ノニオン
S−4,ノニオンO−2,ノニオンLP−20R,ノニ
オンPP−40R,ノニオンSP−60R,ノニオンO
P−80R,ノニオンOP−85R,ノニオンLT−2
21,ノニオンST−221,ノニオンOT−221,
モノグリMB,ノニオンDS−60,アノンBF,アノ
ンLG,ブチルステアレート,ブチルラウレート,エル
カ酸、関東化学社製:オレイン酸、竹本油脂社製:FA
L−205,FAL−123、新日本理化社製:エヌジ
エルブLO,エヌジョルブIPM,サンソサイザーE4
030、信越化学社製:TA−3,KF−96,KF−
96L,KF−96H,KF410,KF420,KF
965,KF54,KF50,KF56,KF−90
7,KF−851,X−22−819,X−22−82
2,KF−905,KF−700,KF−393,KF
−857,KF−860,KF−865,X−22−9
80,KF−101,KF−102,KF−103,X
−22−3710,X−22−3715,KF−91
0,KF−3935、ライオンアーマー社製:アーマイ
ドP,アーマイドC,アーモスリップCP、ライオン油
脂社製:デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41
G、三洋化成社製:プロフアン2012E,ニューポー
ルPE61,イオネットMS−400,イオネットMO
−200,イオネットDL−200,イオネットDS−
300,イオネットDS−1000,イオネットDO−
200などがあげられる。
【0068】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチ
ルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳
香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,
N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用で
きる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではな
く、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解
物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわな
い。これらの不純分は30重量%以下が好ましく、さら
に好ましくは10重量%以下である。下層に表面張力の
高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い
塗布の安定性をあげる、具体的には上層溶剤組成の算術
平均値が下層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが
肝要である。
【0069】本発明の磁気記録媒体の厚み構成は非磁性
支持体の厚みは4〜80μm、下層非磁性層厚みが0.
5〜10μm、好ましくは1〜5μm、上層磁性層の厚
みは0.05μm以上1.0μm以下、好ましくは0.
05μm以上0.6μm以下、さらに好ましくは0.0
5μm以上、0.3μm以下である。上層と下層を合わ
せた厚みは非磁性支持体の厚みの1/100〜2倍の範
囲で用いられる。また、非磁性支持体と下層の間に密着
性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。これら
の厚みは0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.
5μmである。また、非磁性支持体の磁性層側と反対側
にバックコート層を設けてもかまわない。この厚みは
0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmであ
る。これらの下塗り層、バックコート層は公知のものが
使用できる。
【0070】本発明に用いられる非磁性支持体はポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等
のポリエステル類、ポリオレフイン類、セルローストリ
アセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳
香族ポリアミドなどの公知のフイルムが使用できる。こ
れらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ
処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをおこなっ
ても良い。本発明の目的を達成するには、非磁性支持体
として中心線平均表面粗さが0.03μm以下、好まし
くは0.02μm以下、さらに好ましくは0.01μm
以下のものを使用する必要がある。また、これらの非磁
性支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではな
く、1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。また、
表面の粗さ形状は、必要に応じて支持体に添加されるフ
ィラーの大きさと量により自由にコントロールされるも
のである。これらのフィラーとしては一例としてはC
a、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系
などの有機微粉末が挙げられる。
【0071】また、非磁性支持体のテープ走行方向のF
−5値は、好ましくは5〜50Kg/mm2 、テープ幅
方向のF−5値は、好ましくは3〜30Kg/mm2
あり、テープ長手方向のF−5値がテープ幅方向のF−
5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を
高くする必要があるときはその限りではない。本発明の
非磁性支持体の両方向、特に幅方向のヤング率(弾性
率)は100〜2000Kg/mm2 である。また、テ
ープ走行方向および幅方向の100℃30分での熱収縮
率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以
下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、
さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は両方
向とも5〜100Kg/mm2 が好ましい。
【0072】本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造す
る工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれ
らの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からな
る。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていても
かまわない。本発明に使用する強磁性粉末、結合剤、カ
ーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤な
どすべての原料はどの工程の最初または途中で添加して
もかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分
割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを
混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工
程で分割して投入してもよい。
【0073】本発明の目的を達成するためには、従来の
公知の製造技術を一部の工程として用いることができる
ことはもちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加
圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することによ
り本発明の磁気記録媒体の高いBrを得ることができ
る。連続ニーダまたは加圧ニーダを用いる場合は強磁性
粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤
の30重量%以上が好ましい)および強磁性粉末100
部に対し15〜500部の範囲で混練処理される。これ
らの混練処理の詳細については特開平1−106338
号、特開昭64−79274号に記載されている。ま
た、下層非磁性層液を調製する場合には高比重の分散メ
ディアを用いることが望ましく、ジルコニアビーズ、金
属ビーズが好適である。
【0074】本発明では、特開昭62−212933号
に示されるような同時重層塗布方式を用いることによ
り、より効率的に生産することができる。本発明のよう
な重層構成の磁気記録媒体を塗布する装置、方法の例と
して以下のような構成を提案できる。 1.磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウエット状
態のうちに特公平1−46186号や特開昭60−23
8179号、特開平2−265672号に開示されてい
る支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層
を塗布する。 2.特開昭63−88080号、特開平2−17921
号、特開平2−265672号に開示されているような
塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドに
より上層及び下層をほぼ同時に塗布する。 3.特開平2−174965号に開示されているバック
アップロール付きエキストルージョン塗布装置により上
層及び下層をほぼ同時に塗布する。なお、強磁性粉末の
凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止
するため、特開昭62−95174号や特開平1−23
6968号に開示されているような方法により塗布ヘッ
ド内部の塗布液に剪断を付与することが望ましい。さら
に、塗布液の粘度については、特願平1−312659
号に開示されている数値範囲を満足することが好まし
い。
【0075】本発明では、上記の下層用塗布液を湿潤状
態で重畳して塗布する、所謂ウェット・オン・ウェット
塗布方式によって、非磁性支持体上に設けることが好ま
しい。本発明で下層と上層を設けるに用いるウェット・
オン・ウェット塗布方式とは、初め一層を塗布した後に
湿潤状態で可及的速やかに次の層をその上に塗布する所
謂逐次塗布方法、及び多層同時にエクストルージョン塗
布方式で塗布する方法等をいう。
【0076】ウェット・オン・ウェット塗布方式として
は、特開昭61−139929号公報に示した磁気記録
媒体塗布方法が使用できる。本発明の媒体を得るために
は強力な配向を行う必要がある。1000G(ガウス)
以上のソレノイドと2000G以上のコバルト磁石を併
用することが好ましく、さらには乾燥後の配向性が最も
高くなるように配向前に予め適度の乾燥工程を設けるこ
とが好ましい。また、ディスク媒体として、本発明を適
用する場合はむしろ配向をランダマイズするような配向
法が必要である。
【0077】さらに、カレンダ処理ロールとしてエポキ
シ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐
熱性のあるプラスチックロールを使用する。また、金属
ロール同志で処理することもできる。処理温度は、好ま
しくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であ
る。線圧力は好ましくは200kg/cm、さらに好ま
しくは300kg/cm以上、その速度は20m/分〜
700m/分の範囲である。本発明の効果は80℃以上
の温度で300kg/cm以上の線圧でより一層効果を
上げることができる。
【0078】本発明の磁気記録媒体の上層磁性層の中心
線平均粗さ(Ra)は1〜4nm、好ましくは2〜3.
5nmである。また、磁気記録媒体の反対面のSUS4
20Jに対する摩擦係数は好ましくは0.5以下、さら
に0.3以下、磁性層表面固有抵抗は104 〜1011
ーム/sq、下層を単独で塗布した場合の表面固有抵抗
は104 〜108 オーム/sq、バック層の表面電気抵
抗は103 〜109 オームが好ましい。
【0079】上層の0.5%伸びでの弾性率は走行方
向、幅方向とも好ましくは300〜2000Kg/mm
2 、破断強度は好ましくは2〜30Kg/cm2 、磁気
記録媒体の弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは1
00〜1500Kg/mm2 、残留のびは好ましくは
0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮
率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以
下、もっとも好ましくは0.1%以下である。
【0080】上層、下層が有する空隙率は、ともに好ま
しくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以
下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が
好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い
場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるデータ
記録用磁気記録媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性
は好ましいことが多い。これらの値を目的に応じた適当
な範囲に設定することは容易に実施できることである。
【0081】本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場5
KOeで測定した場合、テープ走行方向の角形比は0.
70以上であり、好ましくは0.80以上さらに好まし
くは0.90以上である。テープ走行方向に直角な二つ
の方向の角型比は走行方向の角型比の80%以下となる
ことが好ましい。磁性層のSFDは0.6以下であるこ
とが好ましい。
【0082】本発明の磁気記録媒体は、下層と上層を有
するが、目的に応じ下層と上層でこれらの物理特性を変
えることができるのは容易に推定されることである。例
えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させる
と同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記
録媒体のヘッドへの当たりを良くするなどである。本発
明の磁気記録媒体は、以下の物性値の範囲が好ましい。
【0083】本発明の磁気記録媒体を引張り試験試験機
で測定したヤング率が400〜5000Kg/mm2
好ましくは、700〜4000Kg/mm2 であり、前
記磁性層のヤング率が400〜5000Kg/mm2
好ましくは700〜4000Kg/mm2 、降伏応力は
3〜20Kg/mm2 、好ましくは3〜15Kg/mm
2 、降伏伸びが0.2〜8%、好ましくは0.4〜5%
であることが望ましい。
【0084】これは、強磁性粉末、結合剤、カーボンブ
ラック、無機質粉末、支持体が係わってくるので、耐久
性に影響する。又、本発明の磁気記録媒体の曲げ剛性
(円環式スティフネス)は全厚が11.5μmより厚い
場合は好ましくは40〜300mg全厚が10.5±1
μmでは好ましくは20〜90mg又全厚が9.5μm
より薄い場合は好ましくは10〜70mgである。
【0085】これは、主として支持体に関連するもので
耐久性を確保する上で重要である。また、本発明磁気記
録媒体の23℃、70%RHで測定したクラック発生伸
度が好ましくは20%以下が望ましい。また、本発明磁
気記録媒体をX線光電子分光装置を用いて測定した前記
磁性層表面のCl/Feスペクトルαが好ましくは0.
3〜0.6、N/Feスペクトルβが好ましくは0.0
3〜0.12である。
【0086】これは、強磁性粉末、無機質粉末及び結合
剤と関連し、耐久性を得る上で重要である。また、本発
明磁気記録媒体を動的粘弾性測定装置を用いて測定した
前記磁性層のガラス転移温度Tg(110Hzで測定し
た動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)が好ましくは
40〜120℃であり、貯蔵弾性率E′(50℃)が好
ましくは0.8×1011〜11×1011dyne/cm
2 であり、損失弾性率E′′(50℃)が好ましくは
0.5×1011〜8×1011dyne/cm2 であるこ
とが望ましい。また損失正接は、0.2以下であること
が好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が出やす
い。これらは、バインダー、カーボンブラック、や溶剤
と関連し、耐久性に関連する重要な特性である。
【0087】また、前記非磁性支持体と前記磁性層との
23℃、70%RHでの8mm幅テープの180°密着
強度が好ましくは10g以上であることが望ましい。ま
た、上層磁性層表面の23℃、70%RHの鋼球磨耗が
好ましくは0.7×10-7〜5×10-73 であること
が望ましい。これは、直接に磁性層表面の磨耗を見るも
ので主に強磁性粉末に関連する耐久性の尺度である。
【0088】又、本発明磁気記録媒体をSEM(電子顕
微鏡)で倍率50000倍で5枚撮影した前記磁性層表
面の研磨剤の目視での数が好ましくは0.1個/μm2
以上であることが望ましい。又、本発明の磁気記録媒体
の上層磁性層端面に存在する研磨剤は5個/100μm
2 以上が好ましい。これらは、磁性層の研磨剤と結合剤
により影響を受け、耐久性に効果を発揮する尺度であ
る。
【0089】また、本発明磁気記録媒体をガスクロマト
グラフィーを用いて測定した前記磁気記録媒体の残留溶
剤が好ましくは50mg/m2 以下であることが望まし
い。又、上層中に含まれる残留溶媒は好ましくは50m
g/m2 以下、さらに好ましくは10mg/m2 以下で
あり、上層に含まれる残留溶媒が下層に含まれる残留溶
媒より少ないほうが好ましい。
【0090】また、本発明磁気記録媒体よりTHFを用
いて抽出された可溶性固形分の磁性層重量に対する比率
であるゾル分率が15%以下であることが望ましい。こ
れは、強磁性粉末と結合剤により影響を受けるもので、
耐久性の尺度となる。
【0091】
【発明の実施の形態】及び
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 以下の処方で上層磁性層用塗布液及び下層非磁性層用塗
布液を調製した。
【0092】実施例1−1 下層非磁性層用塗布液 無機質粉末 TiO2 80部 平均粒径 0.035μm 結晶系 ルチル TiO2 含有量 90重量% 無機質粉末表面処理層 Al2 3 (10重量%) BET法による比表面積 40m2 /g DBP吸油量 27〜38g/100g pH 7 カーボンブラック 20部 平均粒径 16mμ DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2 /g 揮発分 1.5% 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 12部 −N(CH3 3 + Cl- の極性基を5×10-6eq/g含む 組成比 86:13:1 重合度 400 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部 上層磁性層用塗布液 強磁性金属微粉末 組成 Fe/Zn/Ni=92/4/4 100部 Hc 1600Oe BET法による比表面積 60m2 /g 結晶子サイズ 195Å 平均長軸長 0.20μm、針状比 10 飽和磁化( σS ) :130emu/g 表面処理剤:Al2 3 、SiO2 塩化ビニル系共重合体 12部 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有、重合度300 ポリエステルポリウレタン樹脂 3部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 α−アルミナ(平均粒径 0.3μm) 2部 カーボンブラック(平均粒径 0.10μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 60部 上記2つの塗料のそれぞれについて、各成分を連続ニー
ダーで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得
られた分散液にポリイソシアネートを下層非磁性層の塗
布液には1部、上層磁性層の塗布液には3部を加え、さ
らにそれぞれに酢酸ブチル40部を加え、1μmの平均
孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層非磁性層
用及び上層磁性層用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0093】得られた下層非磁性層塗布液を乾燥後の厚
さが2μmになるように更にその直後にその上に上層磁
性層の厚さが0.5μmになるように、厚さ7μmで中
心平均表面粗さが0.01μm、MD方向のヤング率7
50Kg/mm2 、TD方向のヤング率750Kg/m
2 のポリエチレンテレフタレート支持体上に同時重層
塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに3000
ガウスの磁力をもつコバルト磁石と1500ガウスの磁
力をもつソレノイドにより配向させ、乾燥後、金属ロー
ルのみから構成される7段のカレンダーで温度90℃に
て処理を行い、8mmの幅にスリットし、実施例1−1
の8mmビデオテープを製造した。
【0094】また、同様に表1〜2に記載の因子を変更
して試料、実施例1−2〜1−12、比較例1−1〜1
−3を作成し、性能を前述と同様に評価し、その結果を
表1〜2に示した。中心線平均表面粗さ(Ra):三次
元表面粗さ計(小坂研究所製)を用い、カットオフ0.
25mmで測定した。
【0095】電磁変換特性 1.7MHz出力:富士写真フィルム社製FUJIX8
8mmビデオデッキを用いて7MHzの信号を記録
し、この信号を再生したときの7MHz信号再生出力を
オシロスコープで測定した。対照は、富士写真フィルム
社製8ミリテープSAG P6−120である。 2.C/N:富士写真フィルム社製FUJIX8 8m
mビデオデッキを用いて7MHzの信号を記録し、この
信号を再生したときの6MHzで発生するノイズをスペ
クトラムアナライザーで測定し、このノイズに対する再
生信号の比を測定した。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】上表より明らかなとおり、実施例試料は、
無機質粉末表面にAl2 3 、SiO2 、ZrO2 等の
表面処理層を上表に示す通り含むために分散性が改善さ
れ、Raが低く、電磁変換特性が良好である。比較例1
−1は、無機質粉末に表面処理層が含まれないので、分
散性が悪く、Raおよびσが高くなり、電磁変換特性が
劣る。比較例1−2は、磁性層が厚いために電磁変換特
性が悪い。
【0099】実施例2 以下の処方で上層磁性層用塗布液及び下層非磁性層用塗
布液を調製した。 実施例2−1 下層非磁性層用塗布液;実施例2−1と同じ 上層磁性層用塗布液 Co置換バリウムフェライト 100部 BET法による比表面積 35m2 /g 平均粒径 0.06、板状比 5 塩化ビニル系共重合体 9部 −SO3 Na基 1×10-5eq/g含有、重合度300 微粒子研磨剤(Cr2 O、平均粒径 0.3μm) 7部 トルエン 30部 メチルエチルケトン 30部 上記の組成物をニーダーで約1時間混練した後に更に下
記組成物を加えニーダーで約2時間分散を行った。
【0100】 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 平均分子量 35000 メチルエチルケトン 200部 シクロヘキサノン 100部 トルエン 100部 次いで下記カーボンブラック、粗粒子研磨剤を添加、サ
ンドグラインダーにて2000回転、約2時間分散処理
を行った。
【0101】 カーボンブラック(平均粒径 20〜30mμ) 5部 ライオンアクゾ社製ケッチェンブラックEC 粗粒子研磨剤 2部 α−アルミナ(住友化学社製AKP−12、平均粒径 0.5μm) さらに下記組成物を加え、再度サンドグラインダー分散
し、上層磁性層用塗布液を得た。
【0102】 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネートL) 6部 トリデシルステアレート 6部 以上のようにして得られた上層磁性層用塗布液と下層非
磁性層用塗布液を厚さ75μm、MD750Kg/mm
2 、TD方向476Kg/mm2 のヤング率のポリエチ
レンテレフタレート上にまず、下層非磁性層用塗布液
を、次に湿潤状態にある内に上記上層磁性層用塗布液を
塗布し、裏面にも同様に処理した。乾燥膜厚で下層非磁
性層の厚味が2μm、磁性層の厚味が0.5μmとなる
ようにした。その後、カレンダー処理を施して磁気記録
媒体を得た。しかるのちに、この磁気記録媒体を3.5
吋に打ち抜き、ライナーが内側に設置済みの3.5吋カ
ートリッジに入れ、所定の機構部品を付加し、実施例2
−1の3.5吋フロッピーディスクを得た。また、同様
に表3に記載の因子を変更して試料、実施例2−2〜2
−7、比較例2−1を作成し、性能を評価し、その結果
を表3に示した。
【0103】初期2F出力:実施例2−1のサンプルを
100として相対値として算出した。使用ドライブはP
D211(東芝社製)である。
【0104】
【表3】
【0105】上表から、実施例1と同様に実施例試料フ
ロッピーディスクは、無機質粉末表面にAl2 3 、S
iO2 、ZrO2 等の処理層を上表に示す通り含むため
に分散性が改善され、Raが低く、電磁変換特性が良好
である。比較例2−1は、無機質粉末に処理層が含まれ
ないので、分散性が悪く、Raおよびσが高くなり、電
磁変換特性が劣る。
【0106】実施例3 非磁性支持体としてポリエチレンテレフタレート(厚味
10μm、F5値:MD方向20Kg/mm2 、TD方
向14Kg/mm2 、ヤング率:MD方向750Kg/
mm2 、TD方向470Kg/mm2 )又はポリエチレ
ンテレナフタレート(厚味7μm、F5値:MD方向2
2Kg/mm2 、TD方向18Kg/mm2 、ヤング
率:MD方向750Kg/mm2 、TD方向750Kg
/mm2 )を用いた。また、以下の処方でディスパ攪拌
機で12時間攪拌して下塗液を調製した。
【0107】 ポリエステル樹脂(−SO3 Na基含有) 100部 Tg 65℃ Na含量 4600ppm シクロヘキサノン 9900部 得られた下塗液を用いてバーコートにより前記非磁性支
持体上に乾燥厚味0.1μmで塗布した。
【0108】一方、以下の処方で上層磁性層用塗布液及
び下層非磁性層用塗布液を調製した。 上層磁性層用塗布液処方 強磁性粉末:Fe合金粉末(Fe−Co−Ni) 100部 組成;Fe:Co:Ni=92:6:2 焼結防止剤としてAl2 3 を使用 Hc 1600Oe、σS 119emu/g 長軸長 0.13μm,針状比 7 結晶子サイズ 172Å、含水率 0.6重量% 塩化ビニル共重合体 13部 −SO3 Na 8×10-5eq/g、−OH、エポキシ基含有 Tg 71℃、重合度 300、数平均分子量(Mn)12000 重量平均分子量(Mw)38000 ポリウレタン樹脂 5部 −SO3 Na 8×10-5eq/g含有 −OH 8×10-5eq/g含有 Tg 38℃、Mw 50000 αアルミナ(平均粒径0.15μm) 12部 SBET 8.7m2 /g、pH 8.2、含水率 0.06重量% シクロヘキサノン 150部 メチルエチルケトン 150部 上記組成物をサンドミル中で6時間混合分散したのち、
ポリイソシアネート(コロネートL)及びオレイン酸
5部、ステアリン酸7部、ステアリン酸ブチル15部を
加えて上層磁性層用塗布液を得た。
【0109】 下層非磁性層用塗布液処方 TiO2 85部 平均粒径 0.035μm 結晶系 ルチル TiO2 含有量 90%以上 表面処理層 Al2 3 BET 35〜45m2 /g 真比重 4.1 pH 6.5〜8.0 カーボンブラック 5部 平均粒径 16mμ DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 SBET 250m2 /g 着色力 143% 塩化ビニル共重合体 13部 −SO3 Na 8×10-5eq/g、−OH、エポキシ基含有 Tg 71℃、重合度 300、数平均分子量(Mn)12000 重量平均分子量(Mw)38000 ポリウレタン樹脂 5部 −SO3 Na 8×10-5eq/g含有 −OH 8×10-5eq/g含有 Tg 38℃、Mw 50000 シクロヘキサン 100部 メチルエチルケトン 100部 上記組成物をサンドミル中で4時間混合分散したのち、
ポリイソシアネート(コロネートL)5部、オレイン酸
5部、ステアリン酸5部、ステアリン酸ブチル15部を
加えて下層非磁性層用塗布液を得た。
【0110】上記の塗布液をギャップの異なる2つのド
クターを用いて、湿潤状態で塗布したのち、永久磁石3
500ガウス、次いでソレノイド 1600ガウスにて
配向処理後、乾燥した。その後、金属ロールと金属ロー
ルによるスーパーカレンダー処理を温度80℃で行っ
た。塗布厚みは磁性層0.3μm、非磁性層3.0μm
であった。
【0111】次いで以下の処方により塗布液を調製し
た。 BC層処方 カーボンブラック 100部 SBET 220m2 /g 平均粒径 17mμ DBP吸油量 75ml/100g 揮発分 1.5% pH 8.0 嵩密度 15 lbs/ft3 ニトロセルロース RS1/2 100部 ポリエステルポリウレタン 30部 ニッポラン(日本ポリウレタン社製) 分散剤 オレイン酸銅 10部 銅フタロシアニン 10部 硫酸バリウム(沈降性) 5部 メチルエチルケトン 500部 トルエン 500部 上記組成を予備混練し、ロールミルで混練した。次に上
記分散物100重量部に対して、 カーボンブラック 100部 SBET 200m2 /g 平均粒径 200mμ DBP吸油量 36ml/100g pH 8.5 α−Al2 3 (平均粒径 0.2μm) 0.1部 を添加した組成にてサンドグラインダーで分散を行い、
濾過後、上記分散物100重量部に対して以下の組成を
添加し、塗布液を調製した。
【0112】 メチルエチルケトン 120部 ポリイソシアネート 5部 得られた塗布液をバーコーターにより、前記磁性層を設
けた非磁性支持体の反対側に乾燥厚味0.5μmになる
よう塗布した。このようにして得られた原反を8mm幅
に裁断し試料1(PET支持体)及び試料2(PEN支
持体)の8mmビデオテープを作成した。
【0113】得られた8mmビデオテープについて以下
の測定を行い、その測定結果を得た。 (1)TEM(透過型電子顕微鏡) 磁性層の超薄切片を観察した。ダイヤモンドカッターで
媒体を約0.1μm厚味に切り出し、これを透過型電子
顕微鏡で観察し、写真撮影した。撮影した写真の上下層
の界面と磁性層表面を隈取りし、IBASII画像処理装
置で磁性層厚味を測定し、その平均値dと標準偏差σと
を求めた。
【0114】磁性層厚味の平均値dは0.45μmであ
った。実用上は1μm以下、特に好ましくは0.6μm
以下であることがわかった。磁性層厚味変動の標準偏差
σは、0.008μm以下であった。実用上はσは0.
02μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である
ことがわかった。前記磁気テープを延伸して磁性層を支
持体から浮いた状態にし、カッター刃でしごいて磁性層
を剥離した。この剥離した磁性層500mgを1N−N
aOH/メタノール溶液100ml中で2時間環流し、
結合剤を加水分解した。強磁性粉末は比重が大きいため
に底に沈むので上澄み液を除去した。
【0115】次いでデカンテーションにより3回水洗、
その後THFで3回洗浄した。得られた強磁性粉末は5
0℃の真空乾燥機で乾燥した。次に得られた強磁性粉末
をコロジオン中に分散し、TEMを用いて6万倍で観察
した。その結果、強磁性粉末の粒子長軸長0.13μm
であり、針状比は10であった。実用上は粒子長軸長
.3μm以下であることがわかった。又実用上、針状
比は2〜20が必要であり、好ましくは2〜15である
ことがわかった。 (2)AFM(Atomic Force Micro
Scope) 表面粗さRrms を測定した。磁性層表面をDigita
l Instrument社のNanoscopeII
を用い、トンネル電流10nA、バイアス電圧400m
Vで6μm×6μmの範囲を走査した。表面粗さはこの
範囲のRrms を求めた。
【0116】その結果、Rrms は6nmであった。実用
上は10nm以下が必要であり、好ましくは8nm以下
であることがわかった。 (3)表面粗さ計 3d−MIRAUを用いた磁性層表面の表面粗さを測定
した。WYKO社製TOPO3Dを用いてMIRAU法
で約250×250mmの面積のRa、Rrms、Pea
k−Valley値を測定した。測定波長約650nm
にて球面補正、円筒補正を加えている。この方式は光干
渉にて測定する非接触表面粗さ計である。Raは、2.
7nmであった。実用上、Raは1〜4nmであり、好
ましくは2〜3.5nmであることがわかった。Rrms
は3.5nmであった。実用上は1.3〜6nmが好ま
しく、更に好ましくは1.5〜5nmであることがわか
った。P−V値は20〜30nmであった。実用上は8
0nm以下が好ましく、更に好ましくは10〜60nm
であることがわかった。 (4)VSM(振動試料型磁束計) VSMを用いて得られた磁気テープの磁性層の磁気特性
を測定した。東英工業社製の振動試料型磁束計を用いて
Hm 5kOeで測定した。
【0117】その結果、Hcは1620Oe、Hr(9
0°)は1800Oe、Br/Bmは0.82、SFD
は、0.583であった。実用上Hcは1500〜25
00Oeが必要で、好ましくは1600〜2000Oe
であることがわった。Hr(90°)は実用上、100
0〜2800Oeが必要で、好ましくは1200〜25
00Oeであることがわかった。Br/Bmは、実用上
0.75以上が必要で、好ましくは0.8以上であるこ
とがわかった。SFDは実用上0.7以下が必要で、好
ましくは0.6以下であることがわかった。 (5)X線回折 前述の(1)で磁性層より取り出した強磁性粉末を用い
て、X線回折をした。
【0118】磁気テープを直接にX線回折装置にかけ、
(4,4,0)面と(2,2,0)面との回折線の半値
幅の広がりから求めた。その結果、結晶子サイズは18
0Åであることがわかった。実用上好ましくは400Å
以下であり、特に好ましくは100〜300Åであるこ
とがわかった。 (6)引っ張り試験 引っ張り試験機で得られた磁気テープのヤング率、降伏
応力、降伏伸びを測定した。引っ張り試験機(東洋ボー
ルドウィン社製万能引っ張り試験機STM−T−50B
P)を用いて雰囲気23℃、70%RHで引っ張り速度
10%/分で測定した。
【0119】その結果、磁気テープのヤング率はテープ
0.5%伸び弾性率で1200Kg/mm2 、降伏応力
6〜7Kg/mm2 、降伏伸びが0.8%であった。
実用上好ましくはヤング率はテープ0.5%伸び弾性率
で400〜2000Kg/mm2 、特に好ましくはテー
プ0.5%伸び弾性率で500〜1500Kg/mm2
であることがわかった。降伏応力は、実用上好ましくは
3〜20Kg/mm2、特に好ましくは4〜15である
ことがわかった。降伏伸びは実用上好ましくは0.2〜
8%であり、特に好ましくは0.4〜5%であることが
わかった。 (7)曲げ剛性、円環式スティフネス ループスティフネステスタを用いて、幅8mm、長さ5
0mmの試料を円環とし、変位速度約3.5mm/秒で
変位5mmを与えるのに要する力をmgで表す。
【0120】その結果、8mmのp6−120のテープ
では厚さが10.5μmであり、スティフネスは40〜
60mmであった。実用上厚さが10.5±1μmでは
好ましくは、スティフネスは20〜90mgであり、特
に好ましくは30〜70mgであることがわかった。厚
さが11.5μm以上の場合は実用上好ましくは40〜
200mgであることがわかった。厚さが9.5μm以
下の場合は、実用上好ましくは10〜70mgであるこ
とがわかった。 (8)延伸破壊 クラック発生伸度を23℃、70%RHで測定した。
【0121】テープ長さ10cmの試験片の両端を0.
1mm/秒の引っ張り速度で引っ張り、400倍で磁性
層表面を顕微鏡観察して、磁性層表面に5個以上の明ら
かな亀裂が発生した伸度を測定する。その結果、発生伸
度は4%であった。実用上好ましくは20%以下、特に
好ましくは10%以下であることがわかった。 (9)熱収縮率 70℃48時間保存後の磁気テープの熱収縮率を測定し
た。
【0122】70℃の恒温槽に48時間保存し、その前
後の長さの変化を保存前の長さで除して熱収縮率とし
た。その結果、熱収縮率は0.2%であった。実用上好
ましくは0.4%以下であり、特に好ましくは0.1〜
0.3%であることがわかった。 (10)ESCA Cl/FeスペクトルαとN/Feスペクトルβを測定
した。
【0123】α及びβの測定には、X線光電子分光装置
(PERKIN−FLMER社製)を用いた。X線源は
Mgアノードを用い、300Wで測定した。まず、ビデ
オテープの潤滑剤をn−ヘキサンを用いて洗い流した
後、X線光電子分光装置にセットした。X線源と試料と
も距離は1cmとした。試料を真空に排気して5分後か
らCl−2Pスペクトル、N−1SスペクトルとFe−
2P(3/2)スペクトルを10分間積算し測定した。
なお、バスエネルギーは100eVで一定とした。測定
したCl−2PスペクトルとFe−2P(3/2)スぺ
クトルとの積分強度比を計算で求め、αとした。
【0124】又、N−1SスペクトルとFe−2P(3
/2)スぺクトルとの積分強度比を計算で求めβとし
た。その結果αは、0.45であり、βは0.07であ
った。実用上αは好ましくは0.3〜0.6であり、特
に好ましくは0.4〜0.5であることがわかった。実
用上βは好ましくは0.03〜0.12であり、特に好
ましくは0.04〜0.1であることがわかった。 (11)レオバイブロン 110Hzの動的粘弾性を測定した。
【0125】動的粘弾性測定装置(東洋ボールドウィン
社製レオバイブロン)を用い、周波数110Hzでテー
プの粘弾性を測定した。TgはE′′のピーク温度とし
た。この方法はテープの一端から振動を加え他端に伝播
する振動を測定する。その結果、Tgは73℃、E′
(50℃)は4×1010dyne/cm2 、E′′(5
0℃)は1×1011であった。実用上Tgは好ましくは
40〜120℃、特に好ましくは50〜110℃である
ことがわかった。実用上E′(50℃)は0.8×10
11〜11×1011dyne/cm2 であり、特に好まし
くは、1×1011〜9×1011dyne/cm2 である
ことがわかった。実用上E′′(50℃)は好ましくは
0.5×1011〜8×1011dyne/cm2 であり、
特に好ましくは0.7×1011〜5×1011dyne/
cm2 であることがわかった。 (12)密着強度 180°剥離法により支持体と磁性層との密着強度を測
定した。
【0126】8mm幅にスリットしたテープを3M製粘
着テープにはりつけ、23℃、70%RHで180剥離
強度を測定した。得られた結果は50gであった。実用
上好ましくは密着強度は10g以上であり、特に好まし
くは20g以上であることがわかった。 (13)磨耗 磁性層表面の23℃、70%RHの鋼球磨耗を測定し
た。
【0127】プレパラートガラス上に試料をその両端を
接着テープで張り付けて固定し、6.25mmφの鋼球
に荷重50gを加えて摺動させた。その際、20mmの
距離を速度20mm/secで1回走行させた後、新し
い磁性面に鋼球を移動させて同じ操作を20回繰り返し
た。その後、鋼球の摺動面を40倍の顕微鏡で観察し、
その面が円であると仮定して直径を求め、その直径から
磨耗量を計算した。
【0128】得られた結果は、0.7×10-5〜1.1
×10-53 であった。実用上好ましくは0.1〜10
-5〜5×10-53 であり、特に好ましくは0.4×1
-5〜2×10-53 であった。 (14)SEM(Scanning Electron
ic Microscope) SEMで磁性層表面状況を観察した。
【0129】日立製電子顕微鏡S−900にて倍率50
00倍で5枚撮影して表面の研磨剤を測定した。その結
果、研磨剤個数は0.2個/μm2 であった。実用上、
研磨剤個数は0.1個/μm2 以上であり、特に好まし
くは0.12個/μm2 〜0.5個/μm2 であること
がわかった。 (15)GC(ガスクロマトグラフィー) GCで磁気テープの残留溶剤を測定した。
【0130】島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC
−14Aを用いて、20cm2 の試料を120℃まで加
熱して、媒体中の残留溶剤を測定した。その結果、残留
溶剤は8mg/m2 であった。実用上、好ましくは50
mg/m2 以下であり、特に好ましくは20mg/m2
以下であることがわかった。 (16)ゾル分率 磁気テープの磁性層よりTHFにて抽出された可溶固形
分の磁性層重量に対する比率を求めた。その結果ゾル分
率は7%であった。実用上、ゾル分率は好ましくは15
%以下であり、特に好ましくは10%以下であることが
わかった。 (17)BER(Bit Error Rate) コンピューターにてランダム信号を24〜25変換し
た。スクランブルドインターリードにてランダム信号と
し、本テスト信号を記録/再生したデータをPR4復調
して得たデータを、テスト信号としてエラーを検出し
て、そのエラーの比率をBERとする。
【0131】上述の方法、特性を有する8mmビデオテ
ープを現在市販されているテープと比較し、その結果を
表4に示した。
【0132】
【表4】
【0133】尚、評価方法は前記方法もしくは一般的方
法によった。また、判定基準は以下の通りである。 ジッター:○ 0.2μsec未満 × 0.2μsec以上 保存安定性:○ 60℃、90%に2週間保存して表面
に錆がでていないこと。
【0134】× 60℃、90%に2週間保存して表面
に錆がでていること。 走行耐久性:8mmカセットに組み込んで120分の再
生を100回繰り返した。 ○ 5分以上続く目詰まりが1回も発生しない。 × 繰り返し100passで目詰まりが発生する。 スリキズ:スチルモードで10分間走行させた。
【0135】○ 目視で傷が認められない。 × 目視で傷が認められる。
【0136】
【発明の効果】本発明は、磁性層厚味が0.05〜1μ
mと極めて薄い塗布型磁気記録媒体の下層非磁性層の厚
み、支持体の厚み及びヤング率、上層磁性層の中心線平
均粗さを特定することにより、磁性層の表面性が改善で
きると共に耐久性に優れ、しかも金属薄膜型磁気記録媒
体に匹敵する電磁変換特性を発揮できる磁気記録媒体を
提供することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−12650(JP,A) 特開 平5−298653(JP,A) 特開 平5−182173(JP,A) 特開 平5−217149(JP,A) 特開 平4−325917(JP,A) 特開 平5−197946(JP,A) 特開 平7−311932(JP,A) 特開 平7−326037(JP,A) 特開 平7−326038(JP,A) 特開 平5−182177(JP,A) 特開 平4−325915(JP,A) 特開 平5−182178(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に無機質粉末を結合剤に
    分散した下層非磁性層を設け、その上に強磁性粉末を結
    合剤に分散した上層磁性層を設けた磁気記録媒体におい
    て、前記上層磁性層の乾燥厚みが0.05〜1.0μm
    であり、前記下層の乾燥厚みが0.5〜10μmであ
    、前記非磁性支持体の厚みが4〜80μmであり、前
    記非磁性支持体の幅方向のヤング率が470〜2000
    kg/mm2であり、上層磁性層表面の中心線平均粗さ
    (Ra)が1〜5.3nmであり、上記強磁性粉末は強
    磁性合金粉末又は板状六方晶フェライトであって、その
    粒子長軸長が0.3μm以下であり、且つ前記下層非磁
    性層の無機質粉末がモース硬度3以上の非磁性無機粉末
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記非磁性支持体がポリエチレンテレフ
    タレート、ポリエチレンナフタレートおよびアラミドよ
    り選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非磁性支持体の中心線平均粗さが
    0.03μm以下であることを特徴とする請求項1記載
    の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記非磁性支持体の走行方向のヤング率
    が750〜2000kg/mm2 であることを特徴とす
    る請求項1記載の磁気記録媒体。
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