JP2740577B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2740577B2
JP2740577B2 JP3030405A JP3040591A JP2740577B2 JP 2740577 B2 JP2740577 B2 JP 2740577B2 JP 3030405 A JP3030405 A JP 3030405A JP 3040591 A JP3040591 A JP 3040591A JP 2740577 B2 JP2740577 B2 JP 2740577B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非磁性支持体と磁性層と
バック層からなる磁気記録媒体に関し、更に詳しくはポ
リエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム
を非磁性支持体とする磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリエチレンテレフタレート
よりなる二軸延伸フィルムは、表面平坦性や機械特性が
良好で、かつ磁気記録媒体にしたときの耐磨耗性、走行
性に優れることから、磁気記録媒体の支持体(以下ベー
スともいう)として多用されている。そして近年ポリエ
ステルを支持体としたビデオテープの分野において、高
密度記録化、長時間記録化の要求が高まり、これに伴っ
て支持体は平滑でかつ滑り性に優れ、かつ薄手、高強度
で走行耐久性に優れたものの要求が強くなっている。こ
の問題を解決する手段として、磁気テープ製造者達は縦
方向、横方向共に高強度化されたPET支持体を使用し
ているが、薄手化に伴って強度的に不足し、テープ走行
系においてテープエッヂの変形や損傷を生じて記録、再
生の特性を著しく損なってしまう。
【0003】また薄手で高強度化する手段として、特開
昭62−234233に記載されるようなポリアラミド
を用いる技術やEP−229346に記載されているよ
うなPENを用いた技術がある、これらのベースは、こ
れらの素材の強い面内配向性によって高強度が達成され
ている、一方この強い面内配向性のために引裂伝幡抵抗
が著しく低い。そのため磁気記録材料の塗布、カレンダ
ー、スリットの工程での切断故障が多く大幅な歩留り低
下となる。またテープ化された後でも走行系でトラブル
があってテープに少しでも傷がつくと極めて容易に切断
してしまい製品品質上の大きな問題となる。また特開昭
63−197643や特開昭63−212549に記載
されているような複合ポリエステルを用いた技術がある
が、これらも適切な積層比を選択しないと上記同様に強
い面内配向性のために引裂伝幡抵抗の著しい低下や強度
不足を生じて磁気記録材料の塗布、カレンダー、スリッ
トの工程での切断故障が多く大幅な歩留り低下やテープ
走行系においてテープエッヂの変形や損傷を生じて記
録、再生の特性を著しく損なってしまう。
【0004】すなわち特開昭63−197643には芯
層が二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、両
外層が二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートフィルムよりなる三層複合フィルムであ
って、両外層の厚みがフィルム全厚みの1/40〜1/
5であることを特徴とする複合ポリエステルフィルムが
提案されている。これはこのような構成とすることによ
ってドロップアウトの原因となるオリゴマーの結晶が析
出するのを防止する試みである。しかしながら通常のバ
ランスタイプでこのような構成では長手方向(縦方
向)、巾方向(横方向)の強度が不足し、エッジ変形が
生じ大幅に出力低下するという問題があった。又PEN
は極めて強度の高い材料として知られているが横方向
(巾方向)の引裂き強度が小さく、実用するレベルには
なかった。
【0005】そこでポリエチレンテレフタレート(PE
T)を用いて更に強度を向上した強化PETを用いたら
どうかと検討したところ、PENに比べて極めて良好な
磁気記録媒体が得られることがわかり、本発明に至っ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は出力波
形の平坦度を改良し、高出力、高耐久性の磁気記録媒体
を提供することにある。
【0007】本発明の上記目的は非磁性支持体の一方の
面に強磁性粉末と結合剤を含む磁性層を設け、他方の面
にバック層を設けた磁気記録媒体において、前記非磁性
支持体はTD方向のヤング率が700kg/mm2
上、MD方向のヤング率が450〜700kg/mm2
であるポリエチレンテレフタレートであり、前記強磁性
粉末が金属磁性粉末であり、前記磁性層の中心線平均粗
さ(Ra)が9nm以下であり、かつ前記磁気記録媒体
の総厚みが11μm以下であることを特徴とする磁気記
録媒体によって達成できる。本発明の上記目的は、更に
好ましくは前記非磁性支持体の中心線平均粗さ(Ra)
が11nm以下であ磁気記録媒体によって達成でき
る。
【0008】すなわち本発明では、巾方向の腰を強く
した強化ポリエチレンテレフタレートの支持体を使用す
ることによって、薄手テープであっても厚手テープと同
じようなヘッド当たりを達成することができるようにし
。従来のPETでは膜厚が厚い時には出力波形エンベ
ロープは入口側と出口側でそれぞれ100%で良好であ
るが、これを薄手テープにすると強度が弱くなり入口側
では100%の値を示しても、出口側では50%程度に
なってしまう。又PENの使用も考えられ、通常長手方
向に強く配向したものが知られているが、同様に出口側
では56%程度であった。本発明では長手方向巾方向に
更に強く配向した強化タイプを用いたところ思いもかけ
ず出口側でも80%程度の出力低下であり、極めて優れ
た出力平担度を示すことが判った。同時にC/Nも顕著
に改良された。本発明は、磁気記録媒体の最短波記録波
長が1μm以下、特に0.8μm以下であるVTRにお
いて使用されるビデオ・テープに関して特に有効であ
る。特に記録幅が25μm以下で、デジタル記録を行な
い、長時間記録のために薄手テープを製造することは従
来極めて困難であった。C/Nを高くするためには、金
属磁性粉末を用いることが必要である。更にC/Nを
くするためには、Hcは1400Oe以上、Bmが27
00ガウス以上であるのが好ましい。磁性層の中心線平
均粗さは11nm以下であることが好ましい。使用する
非磁性支持体は、TD方向のヤング率が700kg/m
2以上、MD方向のヤング率が450〜700kg/
mm2 であるポリエチレンテレフタレートである。この
支持体の厚みは5〜9μmであることが望ましい。支持
体のRaは11nm未満であることが望ましい。長時間
記録のため、全厚みが11μm以下であることが必須で
ある。全厚とは支持体の厚み、磁性層及びバック層の乾
燥厚みを含んだ磁気記録媒体全体の厚さをいう。
【0009】本発明の好ましい態様は以下の通りであ
る。 (1) 金属磁性粉末を含む磁性層とバック層と非磁性支持
体からなる磁気記録媒体において、非磁性支持体の厚み
が5〜9μmであることを特徴とする磁気記録媒体。 (2) 金属磁性粉末を含む磁性層とバック層と非磁性支持
体からなる磁気記録媒体において、非磁性支持体の中心
線平均粗さ(Ra)が11nm以下であることを特徴と
する磁気記録媒体。 (3) 金属磁性粉末を含む磁性層とバック層と非磁性支持
体からなる磁気記録媒体において、磁性層の中心線平均
粗さ(Ra)が9nm以下であることを特徴とする磁気
記録媒体。 (4) 金属磁性粉末を含む磁性層とバック層と非磁性支持
体からなる磁気記録媒体において、磁性層の長手方向の
ヤング率が1200kg/mm2 以上であることを特徴とす
る磁気記録媒体。 (5) 金属磁性粉末を含む磁性層とバック層と非磁性支持
体からなる磁気記録媒体において、テープHcが140
0Oe以上、Bmが2700ガウス以上であることを特
徴とする磁気記録媒体。
【0010】ポリエチレンテレフタレートは、エチレン
グリコール、テレフタル酸から重縮合により製造するこ
とが出来る。グリコールはエチレングリコール以外のも
のを一部使用してもよい。フィラーとしては、従来公知
のシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を用い
ることが可能である。フィラーはベース厚み方向の片側
の面に集中させてもよい。一般的に重縮合物は、高温溶
融状態でノズルから押し出しテンター内で同時二軸延伸
法でMD、TD方向に延伸する。片側、ないしは両側に
容易接着層を設けてもよい。また各々の側の表面性を平
滑(11nm)、粗面(20〜40nm)としてもよ
い。
【0011】PETフィルムは未延伸フィルムを二軸配
向させることによって製造することができる。二軸配向
は、例えば逐次二軸延伸法では、PETのガラス転移温
度(Tg)よりも高い温度、好ましくは(Tg+3)〜
(Tg+10)℃で一段目の延伸を行ない、次いで一段
目の延伸温度と同じ乃至10℃高い温度の範囲で2段目
の延伸を行う。延伸倍率は少なくとも一軸方向で2倍以
上、更には2.5倍以上とし、面積倍率で6倍以上、更
には8倍以上とするのが好ましい。熱処理(ヒートセッ
ト)は170℃以上、更には190℃以上の温度で緊張
下に行うのが好ましい。熱処理温度の上限は処理時間に
もよるが、フィルムが安定した形状をとる温度であるこ
とは言うまでもない。熱処理時間は数秒〜数十秒間、更
には3秒〜30秒間が好ましい。その後さらにTg(T
gはガラス転移温度)+10〜Tm(Tmは溶融温度)
−40℃の条件下で縦方向に1.05〜5.0倍、横方
向に1.05〜5.0倍の逐次延伸を行ない、再熱処理
はTg+50°〜Tm−10℃の温度で行うのが好まし
い。このようにして本発明のTD方向のヤング率が70
0kg/m2以上という高強度のポリエステルフィルムを製
造することができる。
【0012】本発明においては、滑り性を改善するため
に、PETに、無機や有機の不活性微粒子、有機高分子
不活性微粒子等の滑剤を含有させることができる。無機
不活性微粒子としては、例えば、MgO,ZnO,Mg
CO3 ,CaCO 3 ,CaSO4 ,BaSO4 ,Al2
3 ,SiO2 ,TiO2 ,C等が挙げられ、代表例と
してシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等
が挙げられる。有機不活性微粒子としては、ソルビタ
ン、サイロイドやカタロイド等が挙げられ、有機高分子
不活性微粒子としては、テトラフルオロエチレンやポリ
エチレンの微粒子が挙げられる。
【0013】本発明に使用される強磁性粉末としては
鉄、コバルトあるいはニッケルを含む強磁性金属粉末で
あって、その比表面積(S BET径)が40m2/g以上の
強磁性金属微粉末である。強磁性金属微粉末の比表面積
が40m2/gより小さいと、目的とする高い電磁変換特
性を有する磁気記録媒体が得られにくくなる。この強磁
性金属微粉末の例としては、強磁性金属微粉末中の金属
分が75重量%以上であり、そして金属分の80重量%
以上が少なくとも一種類の強磁性金属あるいは合金
(例、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、C
o−Ni、Co−Ni−Fe)であり、該金属分の20
重量%以下の範囲内で他の成分(例、Al、Si、S、
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、
Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、
W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、P
r、Nd、B、P)を含むことのある合金を挙げること
ができる。また、上記強磁性金属分が少量の水、水酸化
物または酸化物を含むものなどであってもよい。これら
の強磁性金属微粉末の製造方法は既に公知であり、本発
明で用いる強磁性金属微粉末についてもこれら公知の方
法に従って製造することができる。すなわち、強磁性金
属微粉末の製造方法の例としては、下記の方法を挙げる
ことができる。 (a) 複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)を水素などの
還元性気体で還元する方法; (b) 酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeある
いはFe−Co粒子などを得る方法; (c) 金属カルボニル化合物を熱分解する方法; (d) 強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次
亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して
還元する方法; (e) 水銀陰極を用い強磁性金属粉末を電解析出させたの
ち水銀と分離する方法; (f) 金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得
る方法。 強磁性金属微粉末の形状に特に制限はないが、通常は針
状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどが
使用される。これらの強磁性粉末の表面に後で述べる分
散剤、潤滑剤、帯電防止剤等をそれぞれの目的の為に分
散に先立って溶剤中で含浸させて、吸着させてもよい。
【0014】本発明に使用される結合剤(バインダー)
としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応
型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑性樹脂と
しては軟化温度が150℃以下、平均分子量が10,0
00〜300,000、重合度が約50〜1,000程
度のもので、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロ
ニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリ
ル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合
体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル
酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エ
ステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル
スチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−
シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、
ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共
重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリア
ミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体
(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイア
セテート、セルローストリアセテート、セルロースプロ
ピオネート、ニトロセルロース等)、スチレンブタジエ
ン共重合体、ポリエステル樹脂、クロロビニルエーテル
アクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、各種の合成
ゴム系の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物等が使用され
る。さらに熱可塑性樹脂として好ましいものとして側鎖
に下記の一般式 −SO3 M,−OSO2 M,−OSO3 M,−COO
M,および−PO(OM) 2 (式中、MはH,Li,N
aまたはKを表わす) で表わされる極性基からなる群から選ばれた極性基を有
する樹脂、特に塩化ビニル系共重合体を使用するとその
効果が顕著に現れる。
【0015】熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては塗布
液の状態では200,000以下の分子量であり、塗
布、乾燥後に加熱することにより、縮合、付加等の反応
により分子量は無限大のものとなる。又、これらの樹脂
のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化又は溶融し
ないものが好ましい。具体的には例えばフェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ア
クリル系反応樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロ
セルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂と
イソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩
共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポ
リエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合
物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/
高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネ
ートの混合物、ポリアミン樹脂及びこれらの混合物等で
ある。これらの結合剤の単独又は組合わされたものが使
われ、ほかに添加剤が加えられる。強磁性微粉末と結合
剤との混合割合は重量比で強磁性微粉末100重量部に
対して結合剤5〜300重量部の範囲で使用される。添
加剤は分散剤、潤滑剤、研磨剤等が加えられる。
【0016】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナアチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、又当該イソ
シアネート類とポリアルコールとの生成物、又イソシア
ネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等
を使用することができる。これらポリイソシアネート類
の市販されている商品名としては、コロネートL、コロ
ネートHL、コロネート2030、コロネート203
1、ミリオネートMR、ミリオネートMTL(日本ポリ
ウレタン(株)製)、タケネートD−102、タケネー
トD−110N、タケネートD−200、タケネートD
−202(武田薬品(株)製)、デスモジュールL、デ
スモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュール
HL(住友バイエル社製)等があり、これらを単独若し
くは硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上の
組み合わせによって使用することができる。
【0017】本発明に使用する分散剤としては、カプリ
ル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数10
〜22個の脂肪酸(R1 COOH,R1 は炭素数9〜2
1個のアルキル基)、前記の脂肪酸のアルカリ金属(L
i,Na,K等)またはアルカリ土類金属(Mg,C
a,Ba等)、Cu,Pd等からなる金属石鹸;レシチ
ン等が使用される。この他に炭素数10以上の高級アル
コール、及びこれらの硫酸エステル、燐酸エステル等も
使用可能である。これらの分散剤は結合剤100重量部
に対して0.05〜20重量部の範囲で添加される。こ
れら分散剤の使用方法は、強磁性微粉末や非磁性微粉末
の表面に予め被着させても良く、また分散途中で添加し
てもよい。このようなものは、例えば特公昭39−28
369号、特公昭44−17945号、特公昭48−1
5001号、米国特許3387993号、同34700
21号等に於いて示されている。
【0018】本発明に使用される潤滑剤としては、シリ
コンオイル、グラファイト、二硫化モリブデン、チッカ
硼素、フッカ黒鉛、フッ素アルコール、ポリオレフィン
(ポリエチレンワックス等)、ポリグリコール(ポリエ
チレンオキシドワックス等)、アルキル燐酸エステル、
ポリフェニルエーテル、二硫化タングステン、炭素数1
0〜20の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価の
アルコールもしくは二価のアルコール、三価のアルコー
ル、四価のアルコール、六価のアルコールのいずれか1
つもしくは2つ以上とから成る脂肪酸エステル類、炭素
数10個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合
計して炭素数が11〜28個と成る一価〜六価のアルコ
ールから成る脂肪酸エステル類等が使用できる。又、炭
素数8〜22の脂肪酸或いは脂肪酸アミド、脂肪族アル
コールも使用できる、これら有機化合物潤滑剤の具体的
な例としては、カプリル酸ブチル、カプリル酸オクチ
ル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸
オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、
ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸エチル、パルミチ
ン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸エチ
ル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステ
アリン酸アミル、アンヒドロソルビタンモノステアレー
ト、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロ
ソルビタントリステアレート、アンヒドロソルビタンテ
トラステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアル
コール等がある。また本発明に使用される潤滑剤として
は所謂潤滑油添加剤も単独で使用でき、酸化防止剤(ア
ルキルフェノール等)、錆止め剤(ナフテン酸、アルケ
ニルコハク酸、ジラウリルフォスフェード等)、油性剤
(ナタネ油、ラウリルアルコール等)、極圧剤(ジベン
ジルスルフィド、トリクレジルフォスフェート、トリブ
チルホスファイト等)、清浄分散剤、粘度指数向上剤、
流動点降下剤、泡どめ剤等がある。これらの潤滑剤は結
合剤100重量部に対して0.05〜20重量部の範囲
で添加される。
【0019】本発明に用いる帯電防止剤としてはグラフ
ァイト、カーボンブラック、カーボンブラックグラフト
ポリマー等の導電性粉末;サポニン等の天然界面活性
剤;アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシド
ール系、多価アルコール、多価アルコールエステル、ア
ルキルフェノールEO付加体等のノニオン界面活性剤;
高級アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導
体、アミドアミン、エステルアミド、第四級アンモニウ
ム塩類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウムま
たはスルホニウム類、等のカチオン界面活性剤;カルボ
ン酸、スルホン類、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステ
ル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸
類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸また
は燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活
性剤等が使用される。これらの界面活性剤は単独又は混
合して添加しても良い。これらは帯電防止剤として用い
られるものであるが、時としてそのほかの目的、例えば
分散、磁気特性の改良、潤滑性の改良、塗布助剤として
適用される場合もある。
【0020】本発明に使用されるカーボンブラックはゴ
ム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、
アセチレンブラック等を用いる事ができる。これらカー
ボンブラックの米国における略称の具体例を示すとSA
F,ISAF,IISAF,T,HAF,SPF,F
F,FEF,HMF,GPF,APF,SRF,MP
F,ECF,SCF,CF,FT,MT,HCC,HC
F,MCF,LFF,RCF等があり、米国のASTM
規格のD−1765−82aに分類されているものを使
用することができる。本発明に使用されるこれらカーボ
ンブラックの平均粒子サイズは10〜1000ミリミク
ロン(電子顕微鏡)、窒素吸着法比表面積は1〜800
m2/g、pHは6〜11(JIS規格 K−6221−
1982法)、DBP吸油量は10〜400ml/100
g(JIS規格 K−6221−1982法)である。
本発明に使用されるカーボンブラックのサイズは、塗布
膜の表面電気抵抗を下げる目的で10〜100ミリミク
ロンのカーボンブラックを、また塗布膜の強度を制御す
るときに50〜1000ミリミクロンのカーボンブラッ
クを用いる。また塗布膜の表面粗さを制御する目的でス
ペーシングロス減少のための平滑化のためにより微粒子
のカーボンブラック(100ミリミクロン以下)を、粗
面化して摩擦係数を下げる目的で粗粒子のカーボンブラ
ック(50ミリミクロン以上)を用いる。このようにカ
ーボンブラックの種類と添加量は磁気記録媒体に要求さ
れる目的に応じて使い分けられる。また、これらのカー
ボンブラックを、後述の分散剤などで表面処理したり、
樹脂でグラフト化して使用してもよい。また、カーボン
ブラックを製造するときの炉の温度を2000℃以上で
処理して表面の一部をグラファイト化したものも使用で
きる。また、特殊なカーボンブラックとして中空カーボ
ンブラックを使用することもできる。これらのカーボン
ブラックは磁性層の場合強磁性微粉末100重量部に対
して0.1〜20重量部で用いることが望ましい。本発
明に使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブ
ラック便覧」、カーボンブラック協会編(昭和46年発
行)を参考にすることができる。
【0021】本発明の分散、混練、塗布の際に使用する
有機溶媒としては、任意の比率でアセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン系;メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イ
ソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチル
シクロヘキサノールなどのアルコール系;酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプ
ロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール、モノエチルエー
テル等のエステル系;エーテル、グリコールジメチルエ
ーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンな
どのグリコールエーテル系;ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クレゾール、クロルベンゼン、スチレンなどのタ
ール系(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチ
レンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレン
クロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水
素、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ヘキサン等の
ものが使用できる。
【0022】混練の方法には特に制限はなく、また各成
分の添加順序などは適宜設定することができる。磁性塗
料の調製には通常の混練機、例えば、二本ロールミル、
三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミ
ル、サンドグラインダー、Szegvariアトライター、高速
インペラー、分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミ
ル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレ
ンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラ
ー、フレンダー、ディスパーサー、ホモジナイザー、単
軸スクリュー押し出し機、二軸スクリュー押し出し機、
及び超音波分散機などを用いることができる。混練分散
に関する技術の詳細は、T. C. PATTON著“Paint Flow a
nd Pigment Dispersion ”( 1964年 John Wiley &
Sons社発行)や田中信一著「工業材料」25巻37(1
977)などに記載されている。また、米国特許第25
81414号及び同第2855156号などの明細書に
も記載がある。本発明においても上記の文献などに記載
された方法に準じて混練分散を行ない磁性塗料を調製す
ることができる。
【0023】磁性層の形成は上記の組成などを任意に組
合せて有機溶媒に溶解し、塗布溶液として支持体上に塗
布・乾燥する。テープとして使用する場合には支持体の
厚み2.5〜100ミクロン程度、好ましくは3〜70
ミクロン程度が良い。これらの支持体は塗布に先立っ
て、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、熱処
理、除塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理をおこな
ってもよい。
【0024】支持体上へ前記の磁性層を塗布する方法と
してはエフードクターコート、ブレードコート、エアー
ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバース
ロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤ
コート、キスコート、キャストコート、スプレイコート
等が利用でき、その他の方法も可能であり、これらの具
体的説明は朝倉書店発行の「コーティング工学」253
頁〜277頁(昭和46.3.20.発行)に詳細に記
載されている。
【0025】このような方法により、支持体上に塗布さ
れた磁性層は必要により層中の強磁性粉末を直ちに乾燥
しながら配向させる処理を施したのち、形成した磁性層
を乾燥する。このときの支持体の搬送速度は、通常10
m/分〜500m/分でおこなわれ、乾燥温度か20℃
〜120℃で制御される。又必要によりカレンダー処理
等の表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断した
りして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
【0026】
【実施例】以下実施例を挙げて更に具体的に説明する。
なお、実施例中「部」との表示は「重量部」を表わす。
【0027】実施例1 下記磁性層組成物の(1) をニーダーに入れ充分混練した
後(2) を投入し混合分散後(3) を投入分散し磁性塗布液
を作成した。
【0028】 磁性層組成物 (1) 金属磁性粉末(Hc1600Oe、Sb60m2/g σs=130emu /g、 100部 塩化ビニル樹脂(日本ゼオン(株)、MR110) 11部 ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)、UR8600) 4部 分散剤:オレイン酸 0.5部 メチルエチルケトン 8部 シクロヘキサノン 40部 以上混合物 (2) 研磨剤:アルミナ(住友化学(株)、Hit100) 10部 カーボンブラック(コロンビアン(株)、#975) 2部 ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)、UR8600) 3部 メチルエチルケトン 20部 以上分散物 (3) ポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)、C3040) 5部 潤滑剤:ステアリン酸ジブチルアミド 1部 潤滑剤:2−エチルヘキシルステアレート 1部 潤滑剤:ステアリン酸/パルミチン酸(1/1) 1部 メチルエチルケトン 200部 以上混合物 この磁性塗布液を粘度調整した後7μmの非磁性支持体
のポリエチレンテレフタレート上に乾燥後塗布厚み2.
5μmで塗布し、3000ガウスの対向磁石で塗布進行
方向に磁場配向ながら下記条件で乾燥する。その後連続
して磁性層をカレンダー処理し、磁性層を設けた非磁性
支持体の裏面側に下記バック層を0.5μ厚みで設け、
0.5吋にスリットした後サファイア刃で磁性層を表面
処理しトレシーでクリーニング後テープを作成した。
【0029】 バック組成物 (1) カーボンブラック(キャボット(株)、BP800) 100部 ニトロセルロース(ダイセル(株)) 20部 ポリウレタンポリカーボネート(大日精化(株)、FJ2) 25部 フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド(株)、PKHH) 10部 メチルエチルケトン 300部 (2) ポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)、C3040) 15部 研磨剤(住友化学(株)、Hit100) 0.1部 潤滑剤(信越化学(株)、KF69) 0.1部 オレイン酸銅 0.1部 メチルエチルケトン 700部 このテープをM2フォーマットカセットに250m巻き
込んだ。
【0030】 表1 ヘ゛-ス ヘ゛-スヤンク゛率 磁性層 全厚み C/N 出 力 種類 MD/TD Ra (μm) (dB) 平坦度 (nm) (%) 実施例1 PET 500/750 4.0 10.0 +1.8 90 2 PET 600/750 3.5 10.0 +1.8 90 3 PET 500/850 3.5 10.0 +1.8 90 比較例1 PEN 1200/600 4.0 10.0 +0.8 75 2 PET 800/400 4.0 10.0 +0.5 80 3 PET 750/600 3.5 10.0 +0.7 75 4 PET 650/650 4.0 10.0 +0.7 75 5 PET 600/400 3.0 10.0 +0.3 60 6 PET 500/750 10.0 10.0 +0.0 75 7 PET 600/400 4.0 13.5 +2.0 75
【0031】VTR:M2−Pal VTR、7MHz
での出力。出力平坦度は出力波形において最大(max)出
力と最小(min)出力の平均の出力を出力平坦度100で
割ったもの。すなわち( max−min )/2を100で割
ったもの。 Ra:中心線平均粗さ、カットオフ0.25mm ヤング率:ヤング率は荷重伸長曲線(load-extension c
urve, load-elongation curve)あるいは応力変形(ひず
み)曲線(stress-strain curve)により求めることがで
きる。この曲線は、ポリマーの変形が外力をうけた瞬間
には弾性変形によって起こり、ついで粘弾性変形によっ
て変形が大きくなり、さらに粘性変形が主体になって行
われることを示している。もちろん、実際にはこれらの
変形の段階には明瞭な区分はなく、常に重複してあらわ
れる。はじめの部分の直線の傾きαが弾性率であってヤ
ング率ともいう。 Ε=tan α×100 (dyne/cm2) (式1) この時のテープの延伸速度は5〜80mm/分で、測定条
件は23℃、50%RHである。また、振動型ヤング率
測定装置を用いることもでき、例えばオリエンティック
社製レオバイブロン等を利用できる。この場合も測定条
件は23℃、50%RHで、ヤング率の値は振動周波数
11Hz以下で測定した値である。本発明においては、
応力変形曲線によりヤング率を求めた。具体的には、サ
ンプルを10cm×12.65mmに裁断し、長手方向から
ひっぱり変形に対する応力をロードセル(付加荷重測定
器)で測定して曲線を求め式1に従いヤング率を求め
た。 ベースRa:6〜8nm。中心線平均粗さ(Ra)、カ
ットオフ0.25mm 磁性層ヤング率:長手方向1500kg/mm2 比較例7はベース厚みが、10.5μm
【0032】表1の結果より明らかな如く、本発明のP
ETを用いたサンプルは通常のPETを用いた場合の2
倍程度のC/Nと約2割増しの出力平坦度が得られてい
る。一方通常のPETを用いたサンプルはC/Nも低
く、出力平坦度も75%程度で充分ではなかった。PE
Nを用いても長手方向に強く配向した従来タイプでは同
様に充分な値を示さなかった。
【0033】本発明の磁気記録媒体は、TD方向のヤン
グ率が700kg/mm 2 以上、MD方向のヤング率が
450〜700kg/mm 2 であるポリエチレンテレフ
タレート支持体を使用しているために、薄手でありなが
らヘッド当りが極めて良好である。このため、本発明の
磁気記録媒体は、出口側の出力波形エンベロープの劣化
を抑制することができ、出力平坦度が極めて優れてい
る。また、本発明の磁気記録媒体は、金属製磁性粉末を
使用していることもあって、再生出力が極めて高いとい
う特徴も有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比野 信郎 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富士写真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−205815(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末と結
    合剤を含む磁性層を設け、他方の面にバック層を設けた
    磁気記録媒体において、前記非磁性支持体はTD方向の
    ヤング率が700kg/mm2以上、MD方向のヤング
    率が450〜700kg/mm2であるポリエチレンテ
    レフタレートであり、前記強磁性粉末が金属磁性粉末で
    あり、前記磁性層の中心線平均粗さ(Ra)が9nm以
    下であり、かつ前記磁気記録媒体の総厚みが11μm以
    下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】前記非磁性支持体の中心線平均粗さ(R
    a)が11nm以下であ請求項1の磁気記録媒体。
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