JP7399761B2 - 塗料組成物及び乾性潤滑被膜 - Google Patents

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Description

本発明は、乾性潤滑被膜用塗料組成物に関し、より詳しくは、ディッピング処理にて被膜形成したとき、均一な乾性潤滑被膜を形成することができ、且つ低摩擦係数を発揮する乾性潤滑被膜を形成できる乾性潤滑被膜塗料組成物及びその乾性潤滑被膜に関する。
従来、OA機器、家電、自動車、産業機械等の初期なじみ対策、焼き付き性向上、オイルレス化等を目的として、固体潤滑剤を樹脂中に分散含有させた乾性潤滑被膜が使用されている。この乾性潤滑被膜は、固体潤滑剤とバインダー樹脂とを含む組成物を、金属部材の表面又はゴム部材や樹脂部材の表面に適切な膜厚で塗布し、乾燥又は加熱硬化させることにより被膜化して形成されるものである。
部材表面で硬化した乾性潤滑被膜は、樹脂の接着力により部材表面に定着され、その被膜に含まれる固体潤滑剤によって潤滑性や耐摩耗性を発揮する。なお、乾性潤滑被膜組成物に使用される固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、グラファイト等が一般的である。また、バインダー樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が広く使用されている。このような乾性潤滑被膜に関しては、例えば特許文献1にあるように、現在に至るまで広く応用されている。
特開平7-97517号公報
ここで、特定の用途では、塗布対象である部材(以下、「被塗物」ということもある。)を乾性潤滑被膜用の塗料にディッピング(浸漬)して、塗料を被塗物に塗布することが行われている。このようなディッピング法は、エアースプレー塗布法やスクリーン印刷法等、他の塗布方法と比較して、専用の設備を要しない等の利点があるが、その一方で、得られる潤滑被膜は表面が均一にならない傾向にある。乾性潤滑被膜は、表面が粗いと焼き付きの原因となりやすいことから、ディッピング法によって塗布した場合にも均一で、且つ低摩擦係数を発揮する乾性潤滑被膜を得ることができる塗料が求められている。
本発明は、以上のような実情に鑑みて提案されたものであり、ディッピング処理にて被膜形成したとき、均一な乾性潤滑被膜を形成することができ、且つ低摩擦係数を発揮する乾性潤滑被膜を形成できる塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、溶剤と、固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物(以下、「層状チタン酸化合物」という。)粒子と、バインダー樹脂であるニトロセルロースとを含有させてなる塗料組成物によれば、ディッピング処理によって均一な表面を有する乾性潤滑被膜が得られ、しかも低摩擦係数を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物であって、溶剤と、固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂であるニトロセルロースと、を含む、塗料組成物である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記層状チタン酸化合物粒子は、平均粒径が0.1μm~60μmである、塗料組成物である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記層状チタン酸化合物粒子は、当該塗料組成物に含まれる固形分合計100体積部に対して70体積部~95体積部の割合で含まれる、塗料組成物である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記溶剤は、分岐鎖アルコール系有機溶剤を含む、塗料組成物である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、当該塗料組成物を用い、被塗物に対しディッピングにより乾性潤滑被膜を形成したとき、前記潤滑被膜における表面の粗さ曲線の最大断面高さRtが6.0μm以下であり、かつ、十点平均粗さRzが5.0μm以下である、塗料組成物である。
(6)本発明の第6の発明は、固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂であるニトロセルロースと、を含む、乾性潤滑被膜である。
本発明によれば、ディッピング処理にて被膜形成したとき、均一な乾性潤滑被膜を形成することができ、且つ低摩擦係数を発揮する乾性潤滑被膜を形成できる塗料組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.塗料組成物≫
本実施の形態に係る塗料組成物は、被塗物に対してディッピング処理により塗布した場合でも、均一且つ優れた低摩擦性を有する乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物である。
具体的に、この塗料組成物は、固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂であるニトロセルロースと、含むことを特徴としている。
<1-1.構成成分について>
[(A)層状チタン酸化合物粒子]
(A)層状チタン酸化合物粒子は、TiO八面体の連鎖により形成される層状の結晶構造を有し、層間に陽イオン性の有機化合物を有している物質である。ここで、「板状」とは、例えば走査型電子顕微鏡等を用いて外観形状を観察した場合に、板状の粒子形状を有していることをいい、具体的には、厚さと、厚さ方向に対し垂直方向の面の最大長さ(端部から端部を結ぶ直線距離のうち、最大の長さ)との比(厚さ方向に対し垂直方向の面の最大長さ/厚さ)が、3以上のものをいう。なお、その面の形状は限定されない。
層状チタン酸化合物粒子は、層状の結晶構造を有し、その粒子形状が板状である。したがって、それを含有する塗料組成物を乾燥して得られる乾性潤滑被膜の内部において、板状の粒子が劈開して滑ることにより、低い摩擦係数を達成することができる。また、このような板状の層状チタン酸化合物粒子のうち一部は、乾性潤滑被膜の表面に露出される。このようにして層状チタン酸化合物粒子の板状の粒子面が露出されることにより、均一且つ平滑な乾性潤滑被膜が得られる。
層状チタン酸化合物粒子は、層状の結晶構造を有し、その層間に陽イオン性の有機化合物を有する(インターカレーションされている)。層状の結晶構造を有する層状チタン酸化合物粒子の中には、イオン交換性を有するものがある。このイオン交換性を利用して、例えば層間のカチオンを陽イオン性の有機化合物でイオン交換することで、層間に陽イオン性の有機化合物がインターカレーションされた層状チタン酸化合物粒子を得ることができる。陽イオン性の有機化合物は、例えば1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩等である。このようにして層間に有機物がインターカレーションされることにより、層の面同士がより滑りやすくなり、乾性潤滑被膜に対し、より高い潤滑性を付与することができる。
層状チタン酸化合物粒子としては、その粒子表面をチタネート系カップリング剤やシランカップリング剤で表面修飾されたものを用いることができる。このようにして層状チタン酸化合物粒子を有機物で表面修飾することにより、板状粒子の粒子面同士がより滑りやすくなり、乾性潤滑被膜により高い潤滑性を付与することができる。
層状チタン酸化合物粒子の厚さ方向に対して垂直な方向の面の最大長さ(端部から端部を結ぶ直線距離のうち、最大の長さをいい、「層状チタン酸化合物粒子の平均粒径」ということもある。)としては、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましく、1μm以上であることが特に好ましい。層状チタン酸化合物粒子の平均粒径が0.1μm以上であることにより、乾性潤滑被膜の表面に露出される面の面積を大きくして、表面を平滑にすることができる。また、板状の層状チタン酸化合物粒子同士の粒子面の重なりをより増加させてより滑りやすくさせることで、より低い摩擦係数を達成することができる。一方で、層状チタン酸化合物粒子の平均粒径としては、60μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがよりいっそう好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましく、7μm以下であることが最も好ましい。層状チタン酸化合物粒子の平均粒径が60μm以下であることにより、板状の層状チタン酸化合物粒子をより密に露出させ、より均一な面を得ることができる。なお、「層状チタン酸化合物粒子の平均粒径」は、走査型電子顕微鏡観察を行い、無作為に選択した100個の粒子の長さを測定し、その長さを算術平均したものである。
層状チタン酸化合物粒子の厚さとしては、特に限定されないが、0.033μm以上であることが好ましく、0.067μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましく、0.5μm以上であることが特に好ましく、1μm以上であることが最も好ましい。厚さが0.033μm以上であることにより、板状の層状チタン酸化合物粒子の機械的強度をより高めて、乾性潤滑被膜についてより高い耐久性を付与することができる。また、板状の層状チタン酸化合物粒子の厚さとしては、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。厚さが20μm以下であることにより、乾性潤滑被膜の厚さ方向(塗布面と垂直方向)の板状の層状チタン酸化合物粒子の面の重なりの数を増加させ、より低い摩擦係数を達成することができる。なお、「厚さ」は、走査型電子顕微鏡観察を行い、無作為に選択した100個の粒子の厚さを測定し、その厚さを算術平均したものである。
層状チタン酸化合物粒子の含有量としては、塗料組成物に含まれる固形分合計100体積部に対して70体積部~95体積部の範囲であることが好ましく、75体積部~93体積部の範囲であることがより好ましく、80体積部~90体積部であることがさらに好ましく、84体積部~86体積部であることが特に好ましい。
[(B)ニトロセルロース]
(B)ニトロセルロースは、乾性潤滑被膜において、バインダー樹脂として用いるものであり、下記の化学式で表されるセルロースの硝酸エステルである。なお、式中、RはH又はNOである。硝化綿、強綿薬又は硝酸繊維素と呼ばれることもある。
Figure 0007399761000001
ニトロセルロースの含有量としては、塗料組成物に含まれる固形分合計100体積部に対して5体積部~30体積部の範囲であることが好ましく、7体積部~25体積部の範囲であることがより好ましく、10体積部~20体積部であることがさらに好ましく、14体積部~16体積部であることが特に好ましい。
[(C)有機溶剤]
(C)有機溶剤は、上述したバインダー樹脂を溶解させるためのものである。有機溶剤としては、使用するバインダー樹脂に対する溶解力、乾燥性等を考慮して選定することが好ましい。具体的には、イソプロパノール等の分岐鎖アルコール系有機溶剤、酢酸エチル、及びそれらの混合溶剤等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併せて用いることができる。
[(D)その他の成分]
また、本実施の形態に係る塗料組成物は、必要に応じて、種々の添加剤成分を含有させることができる。具体的に、その添加剤としては特に限定されないが、例えば、沈降防止剤、湿潤分散剤、消泡剤、表面調整剤等の塗料添加剤を使用することができる。
さらに、本実施の形態に係る塗料組成物は、必要に応じて、層状チタン酸化合物粒子以外の固体潤滑剤を含有させることができる。固体潤滑剤の具体的例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タングステン(WS)、窒化ホウ素(BN)等が挙げられる。
<1-2.含有比率について>
以下、上述した各成分の含有比率について説明するが、以下に示す式中、[A]及び[B]との記載は、それぞれ、(A)板状の層状チタン酸化合物粒子及び(B)ニトロセルロースの固形分中の含有量を表す。以下も同様である。
本実施の形態に係る塗料組成物において、(B)ニトロセルロースに対する、(A)板状の層状チタン酸化合物粒子の含有比率([A]/[B])は、体積比で、1~10の範囲であることが好ましく、2~8の範囲であることがより好ましく、4~7の範囲であることがさらに好ましい。
≪2.乾性潤滑被膜用塗料組成物の製造方法≫
本実施の形態に係る塗料組成物の製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。
具体的には、バインダー樹脂としてのニトロセルロースと、板状の層状チタン酸化合物粒子と、揮発成分である有機溶剤とを、所定の割合となるように配合させ分散することによって製造することができる。このとき、有機溶剤により均一溶解させたバインダー樹脂中に、板状の層状チタン酸化合物粒子が均一に分散した状態とすることが重要となる。
例えば、この塗料組成物の製造方法としては、先ず、固形分合計100体積部のうち、好ましくは、ニトロセルロースが5体積部~30体積部、板状の層状チタン酸化合物粒子が70体積部~95体積部の割合となるように秤量する。また、揮発成分である有機溶剤を、バインダー樹脂の種類や含有量に応じて、例えば固形分合計100体積部に対して好ましくは1000~7000、より好ましくは2000~5000、さらに好ましくは2500~4000、特に好ましくは3000~3400の割合となるように秤量する。
次に、撹拌容器内にニトロセルロースを投入し、あらかじめ有機溶剤に溶解させ、その後、板状の層状チタン酸化合物粒子を投入して、これらの材料が均一に溶解するまで、ディゾルバー型撹拌機等の回転型撹拌機により撹拌する。その後、ビーズミル等の分散機を用いて、バインダー樹脂中に板状の層状チタン酸化合物粒子をそれぞれ均一に分散させる分散処理を実施する。なお、分散後に有機溶剤を添加することで希釈して塗料組成物としてもよい。
≪3.塗料組成物による乾性潤滑被膜の形成≫
上述したように、本実施の形態に係る塗料組成物は、乾性潤滑被膜を形成するためのものであり、この塗料組成物を塗布対象となる被塗物に塗布して、その後、例えば常温乾燥によって、乾性潤滑被膜を形成することができる。
<3-1.乾性潤滑被膜の形成方法>
(被塗物)
被塗物としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属部材、樹脂部材等が挙げられ、これらの部材の表面に塗料組成物を塗布して被膜を形成することができる。また、その被塗物となる部材の種類に応じて、上述したバインダー樹脂を選定することによって、いずれの被塗物に対しても高い密着性を有する被膜を形成することができ、摩擦係数を効果的に低減させることが可能な被膜となる。
(塗布方法)
被塗物に対して塗料組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、一般的な塗料と同様に、例えば、ディッピング(浸漬)塗布、エアースプレー塗布、刷毛塗り、吹付けによるタンブリング、スクリーン印刷等の手法により行うことができる。これらの塗布方法の選択は、被塗物の形状や処理数量に応じて決定することができる。特に、上述した塗料組成物は、ディッピングにより部材に塗布した場合でも、均一且つ潤滑性の高い乾性潤滑被膜を得ることができる。
なお、塗料組成物を被塗物に塗布するに先立ち、その被塗物に対する脱脂処理や、被膜の密着性を高めるための表面処理、あるいは洗浄処理等を行うことができる。
(硬化処理)
塗料組成物を被塗物に塗布して形成した塗膜の乾燥は、室温でも乾燥することができるが、加熱や減圧等の乾燥を早める操作を行ってもよい。このようにして乾性潤滑被膜を得ることができる。
<3-2.乾性潤滑被膜>
上述のようにして乾性潤滑被膜用塗料組成物を、金属部材等の被塗物の表面に塗布し硬化することによって、乾性潤滑被膜を形成することができる。具体的に、本実施の形態に係る塗料組成物により形成される乾性潤滑被膜は、板状の層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂であるニトロセルロースと、を含有する被膜である。
このような乾性潤滑被膜によれば、表面が均一で平滑性を有し、また、低摩擦性を有するものとなる。
この乾性潤滑被膜は、特に限定されないが、被塗物に対しディッピングにより乾性潤滑被膜を形成したとき、その乾性潤滑被膜における表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が6.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、4.5μm以下であることが特に好ましい。表面粗さが大きすぎると、被膜の焼き付きが増大する可能性がある。なお、乾性潤滑被膜の最大断面高さ(Rt)は、表面粗さ計を用いて測定することができる。
この乾性潤滑被膜は、特に限定されないが、被塗物に対しディッピングにより乾性潤滑被膜を形成したとき、その乾性潤滑被膜における十点平均粗さ(Rz)が5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが特に好ましい。表面粗さが大きすぎると、被膜の焼き付きが増大する可能性がある。なお、乾性潤滑被膜の十点平均粗さ(Rz)は、表面粗さ計を用いて測定することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
≪実施例、比較例≫
乾性潤滑被膜用塗料組成物を製造し、得られた塗料組成物を被塗物(鋼板)に塗布して乾燥させることで乾性潤滑被膜を形成し、その乾性潤滑被膜について摩擦摩耗試験を実施した。摩擦摩耗試験の確認項目は、その乾性潤滑被膜の摩擦係数とした。
なお、実施例及び比較例においては、溶剤として、酢酸エチル及びイソプロパノールの混合溶剤を用いた。また、板状の層状チタン酸化合物粒子としては、レピドクロサイト型チタン酸リチウムカリウムを前駆体とし、その層間がオクタデシルアミンでインターカレートされた化合物(平均粒径6μm、厚さ2μm)を、PTFE粒子としては、スリーエムジャパン株式会社製Dyneon TF9205(不定形、平均粒径8μm)、アルミナ粒子としては、キンセイマテック株式会社製セラフ 02025(板状、平均粒径2μm)、グラファイト粒子としては、伊藤黒鉛工業株式会社製w-5(鱗片状、平均粒径4μm)、酸化鉄粒子としては、チタン工業株式会社製、BM-200P(板状、平均粒径10~20μm)を用いた。
[乾性潤滑被膜用塗料組成物の製造]
表1に示す比となるよう固形成分を秤量した。また、これらの固形成分の合計量と同量の有機溶剤(酢酸エチル及びイソプロパノールの混合溶剤)を用意して、固形成分と混合させ溶解させた。
[乾性潤滑被膜の形成]
次に、塗料組成物の中に試験片を浸漬し、引き上げて被膜を形成させた。
≪評価試験、評価結果≫
[潤滑性評価試験]
形成させた乾性潤滑被膜について、トライボギヤを使用して摩擦係数を測定した。
摺動形態:ボールオンプレート(ボール:φ3/8inch SUJ2、プレート:SPCC-SB)
荷重:0.49N
速度:1200mm/min
移動距離:50mm
潤滑性試験により得られた、実施例、比較例のそれぞれの乾性潤滑被膜の平均摩擦係数の値について、以下の基準で評価した。
◎:0.45以下
○:0.45超0.50以下
△:0.50超0.60以下
×:0.60超
[表面粗さ評価試験]
得られた乾性潤滑被膜の表面粗さ算術平均粗さRa、表面の粗さ曲線の最大断面高さRt、十点平均粗さRzを、表面粗さ計(テーラーホブソン社製,フォームタリサーフS4F)を用いて測定した。表1に測定結果を併せて示す。
[評価結果]
下記表1に、実施例、比較例にて製造した塗料組成物の固形分の組成と、それぞれの評価結果をまとめて示す。なお、各成分の含有量は、体積比で表す。
Figure 0007399761000002

Claims (6)

  1. 乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物であって、
    溶剤と、
    固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂であるニトロセルロースと、を含む
    塗料組成物。
  2. 前記層状チタン酸化合物粒子は、平均粒径が0.1μm~60μmである
    請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記層状チタン酸化合物粒子は、当該塗料組成物に含まれる固形分合計100体積部に対して70体積部~95体積部の割合で含まれる
    請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 前記溶剤は、分岐鎖アルコール系有機溶剤を含む
    請求項1乃至3のいずれかに記載の塗料組成物。
  5. 当該塗料組成物を用い、被塗物に対しディッピングにより乾性潤滑被膜を形成したとき、
    前記潤滑被膜における表面の粗さ曲線の最大断面高さRtが6.0μm以下であり、かつ、十点平均粗さRzが5.0μm以下である
    請求項1乃至4のいずれかに記載の塗料組成物。
  6. 固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂であるニトロセルロースと、を含む
    乾性潤滑被膜。
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