JP7476439B2 - 塗料組成物及び乾性潤滑被膜 - Google Patents

塗料組成物及び乾性潤滑被膜 Download PDF

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Description

本発明は、乾性潤滑被膜用塗料組成物に関し、より詳しくは、低摩擦性に優れ、且つ非粘着な乾性潤滑被膜を形成することができる乾性潤滑被膜塗料組成物及びその乾性潤滑被膜に関する。
従来、OA機器、家電、自動車、産業機械等の初期なじみ対策、焼き付き性向上、オイルレス化等を目的として、固体潤滑剤を樹脂中に分散含有させた乾性潤滑被膜が使用されている。この乾性潤滑被膜は、固体潤滑剤とバインダー樹脂とを含む組成物を、金属部材の表面又はゴム部材や樹脂部材の表面に適切な膜厚で塗布し、乾燥又は加熱硬化させることにより被膜化して形成されるものである。
部材表面で硬化した乾性潤滑被膜は、樹脂の接着力により部材表面に定着され、その被膜に含まれる固体潤滑剤によって潤滑性や耐摩耗性を発揮する。なお、乾性潤滑被膜組成物に使用される固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、グラファイト等が一般的である。また、バインダー樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が広く使用されている。このような乾性潤滑被膜に関しては、例えば特許文献1にあるように、現在に至るまで広く応用されている。
一方で、特許文献2には、固体潤滑剤とバインダー樹脂に加えてさらに所定量の球状樹脂微粒子を含有させた乾性潤滑被膜が開示されている。このような乾性潤滑被膜においては、球状樹脂微粒子を含有させることにより、表面粗さを大きくして相手材表面との接触面積を小さくし、低摩擦係数を実現している。
特開平7-97517号公報 特開2017-155201号公報
ところで、このような乾性潤滑被膜をゴム部材や樹脂部材に塗布する場合、乾性潤滑被膜に含まれる樹脂とゴム部材や樹脂部材の表面との間に強い相互作用が生じ、乾性潤滑被膜がゴム部材や樹脂部材に強く張り付き、ゴム部材や樹脂部材から除去できないこと(本明細書において「張り付き」という)があった。
本発明は、以上のような実情に鑑みて提案されたものであり、優れた低摩擦性を有するとともに、ゴム部材や樹脂部材の表面に対し非粘着な乾性潤滑被膜を形成するのに用いる塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物において、固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物(以下、「層状チタン酸化合物」という。)粒子と、バインダー樹脂とを含有させることにより、このような塗料組成物から得られる乾性潤滑被膜が、優れた低摩擦性を有するとともに、ゴム部材や樹脂部材の表面に対し、非粘着であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物であって、
固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂と、を含む、塗料組成物である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、さらに球状粒子を含む、塗料組成物である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記層状チタン酸化合物粒子は、平均粒径が0.1μm~60μmである、塗料組成物である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記バインダー樹脂は、シリコーン樹脂である、塗料組成物である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、ゴム部材の表面に乾性潤滑被膜を形成するための、塗料組成物である。
(6)本発明の第6の発明は、固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂と、を含む、乾性潤滑被膜である。
本発明によれば、優れた低摩擦性を有するとともに、ゴム部材の表面に対し非粘着な乾性潤滑被膜を形成するのに用いる塗料組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.塗料組成物≫
本実施の形態に係る塗料組成物は、優れた低摩擦性を有するとともに、ゴム部材の表面に対し非粘着な乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物である。
具体的に、この塗料組成物は、固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂と、を含むことを特徴としている。
板状の層状チタン酸化合物粒子は、層状の結晶構造を有し、その粒子形状が板状である。したがって、それを含有する塗料組成物を乾燥して得られる乾性潤滑被膜の内部において、重なって存在する板状の粒子面(厚さ方向と垂直な面)同士が滑るとともに、それぞれが劈開して滑ることにより、低い摩擦係数を達成することができる。また、このような板状の層状チタン酸化合物粒子のうち一部は、その面によってゴム部材と接触する。板状の層状チタン酸化合物の粒子面は、塗料組成物に含まれる樹脂に比べてゴム部材に対する粘着性が低く、乾性潤滑被膜の表面が滑らかになり、このような表面で板状の層状チタン酸化合物粒子がゴム部材と接触することで、ゴム部材の表面に対する乾性潤滑被膜の張り付きを防止することができる。
<1-1.構成成分について>
[(A)層状チタン酸化合物粒子]
(A)層状チタン酸化合物粒子は、TiO八面体の連鎖により形成される層状の結晶構造を有し、層間に陽イオン性の有機化合物を有する物質である。ここで、「板状」とは、例えば走査型電子顕微鏡等を用いて粒子形状を観察した場合に、板状の粒子形状を有していることをいい、具体的には、厚さと、厚さ方向に対し垂直方向の面の最大長さ(端部から端部を結ぶ直線距離のうち、最大の長さ)との比(厚さ方向に対し垂直方向の面の最大長さ/厚さ)が、3以上のものをいう。なお、その面の形状は限定されない。
層状チタン酸化合物粒子は、板状の粒子形状を有する。また、層状チタン酸化合物粒子は、層状の結晶構造を有し、その層間に陽イオン性の有機化合物を有する(インターカレーションされている)。層状の結晶構造を有する層状チタン酸化合物粒子の中には、イオン交換性を有するものがある。このイオン交換性を利用して、例えば層間のカチオンを陽イオン性の有機化合物でイオン交換することで、層間に陽イオン性の有機化合物がインターカレーションされた層状チタン酸化合物粒子を得ることができる。陽イオン性の有機化合物は、例えば1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩等である。このようにして層間に有機物がインターカレーションされることにより、層の面同士がより滑りやすくなり、乾性潤滑被膜に対し、より高い潤滑性を付与することができる。
層状チタン酸化合物粒子としては、その粒子表面をチタネート系カップリング剤やシランカップリング剤で表面修飾されたものを用いることができる。このようにして層状チタン酸化合物粒子を有機物で表面修飾することにより、板状粒子の粒子面同士がより滑りやすくなり、乾性潤滑被膜により高い潤滑性を付与することができる。
層状チタン酸化合物粒子の厚さ方向に対して垂直な方向の面の最大長さ(端部から端部を結ぶ直線距離のうち、最大の長さをいい、「層状チタン酸化合物粒子の平均粒径」ということもある。)としては、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましく、1μm以上であることが特に好ましい。層状チタン酸化合物粒子の平均粒径が0.1μm以上であることにより、板状の層状チタン酸化合物粒子同士の重なりをより増加させてより滑りやすくさせることで、より低い摩擦係数を達成することができる。また、層状チタン酸化合物粒子の平均粒径としては、60μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがよりいっそう好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましく、7μm以下であることが最も好ましい。層状チタン酸化合物粒子の平均粒径が60μm以下であることにより、ゴム部材や樹脂部材と接触する板状の層状チタン酸化合物粒子の偏在をより低下させ、より適切な粘着性を達成することができる。なお、「層状チタン酸化合物粒子の平均粒径」は、走査型電子顕微鏡観察を行い、無作為に選択した100個の粒子の長さを測定し、その長さを算術平均したものである。
層状チタン酸化合物粒子の厚さとしては、特に限定されないが、0.033μm以上であることが好ましく、0.067μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましく、0.5μm以上であることが特に好ましく、1μm以上であることが最も好ましい。厚さが0.033μm以上であることにより、板状の層状チタン酸化合物粒子の機械的強度をより高めて、乾性潤滑被膜についてより高い耐久性を付与することができる。また、板状の層状チタン酸化合物粒子の厚さとしては、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。厚さが20μm以下であることにより、乾性潤滑被膜の厚さ方向(塗布面と垂直方向)の板状の層状チタン酸化合物粒子の粒子面の重なりの数を増加させ、より低い摩擦係数を達成することができる。なお、「厚さ」は、走査型電子顕微鏡観察を行い、無作為に選択した100個の粒子の厚さを測定し、その厚さを算術平均したものである。
層状チタン酸化合物粒子の含有量としては、塗料組成物に含まれる固形分合計100体積に対して8.5体積部~40体積部の範囲であることが好ましく15.5体積部~35体積部の範囲であることがより好ましく、15.5体積部~30体積部であることがさらに好ましい。層状チタン酸化合物粒子の含有量が、固形分合計100体積部に対して8.5体積部以上であることにより、板状の層状チタン酸化合物粒子の量を増加させ、これによって粘着性や摩擦係数の低減効果をより高く発揮させることができる。
[(B)バインダー樹脂]
(B)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂等が挙げられる。その中でも、シリコーン樹脂を含むバインダー樹脂であることが、潤滑性を維持しながらもゴム部材に対する粘着性を低下させることができる点で、特に好ましい。これらのバインダー樹脂は、1種単独で、あるいは2種以上を併せて用いることができる。
バインダー樹脂の含有量としては、塗料組成物に含まれる固形分合計100体積部に対して60体積部~91.5体積部の範囲であることが好ましく、65体積部~84.5体積部の範囲であることがより好ましく、70体積部~84.5体積部の範囲であることがさらに好ましい。バインダー樹脂の含有量が70体積部以上であることにより、被膜を引き伸ばした際に生じる、被膜の割れやしわを防止することができる。バインダー樹脂の含有量が91.5体積部以下であることにより、非粘着性に特に優れるものとなる。
[(C)球状粒子]
本実施形態に係る塗料組成物は、固形成分として(C)球状粒子をさらに含有することができる。このような球状粒子は、それ自身がゴム部材や樹脂部材に対し非粘着である。したがって、層状チタン酸化合物粒子に由来する表面の滑らかさを維持しながら、乾性潤滑被膜及びゴム部材の界面近傍で、球状粒子の一部がゴム部材と直接接触して、粘着性を低下させることができる。また、球状粒子は、上述した板状の層状チタン酸化合物粒子とともに乾性潤滑被膜中に含まれると、その板状の層状チタン酸化合物粒子が球状粒子を支え、球状粒子が所定の位置に固定される。このようにして球状粒子の位置が固定されると、球状粒子のうち表面からその一部を露出したものが存在することにより、潤滑面に接する相手材が滑ることできるようになる。これにより、より低い摩擦係数を達成することができる。
すなわち、球状粒子を含有する塗料組成物において、板状の層状チタン酸化合物粒子は、このようにして、より低い摩擦係数を達成することができる。
球状粒子の平均粒径としては、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましい。平均粒径が5μm以上であることにより、ゴム部材又は樹脂部材と接触する球状粒子の1個あたりの接触面積や、乾性潤滑被膜の表面に露出する球状粒子の1個あたりの露出面積をより大きくすることができ、より低い粘着性及びより低い摩擦係数を達成することができる。また、平均粒径としては、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、15μm以下であることが特に好ましい。平均粒径が30μm以下であることにより、被膜摩耗量の増加を抑制し、耐摩耗性の低下を抑制することができる。なお、「球状粒子の平均粒径」は、レーザー回折式粒度分析計を用いて測定することができる。
具体的に、球状樹脂微粒子の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアミド12樹脂、ポリアミド6樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミンーホルムアルデヒド縮合体等が挙げられる。このうち、ポリエチレン樹脂を用いることが好ましく、超高分子量ポリエチレン樹脂を用いることがより好ましい。なお、「超高分子量ポリエチレン樹脂」とは、ポリエチレン樹脂のうち重量平均分子量1×10以上7×10以下のものをいう。このような超高分子量ポリエチレン樹脂粒子は、硬度が高く、表面の滑らかさに優れ、乾性潤滑被膜及びゴム部材又は樹脂部材の界面や、乾性潤滑被膜の表面に存在することで、より低い粘着性及びより低い摩擦係数を達成することができる。なお、これらの球状樹脂微粒子は、1種単独で、あるいは2種以上を併せて用いることができる。
超高分子量ポリエチレン粒子の分子量としては、5×10以上であれば特に限定されないが、10×10以上であることが好ましく、12×10以上であることがより好ましく、15×10以上であることがさらに好ましい。
球状粒子の含有量としては、塗料組成物に含まれる固形分合計100体積部に対して2.7体積部~21.5体積部の範囲であることが好ましく、12.1体積部~17.1体積部の範囲であることがより好ましい。球状粒子の含有量が、固形分合計100体積部に対して12.1体積部以上であることにより、非粘着性に優れるものとなるとともに、摩擦係数をより低減させることができる。
[(D)有機溶剤]
(D)有機溶剤は、上述したバインダー樹脂を溶解させるためのものである。有機溶剤としては、使用するバインダー樹脂に対する溶解力、乾燥性等を考慮して選定することが好ましい。具体的には、例えば、シリコーン樹脂をバインダー樹脂として使用する場合には、トルエン、キシレン等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併せて用いることができる。
[(E)その他の成分]
また、本実施の形態に係る塗料組成物は、必要に応じて、種々の添加剤成分を含有させることができる。具体的に、その添加剤としては特に限定されないが、例えば、沈降防止剤、湿潤分散剤、消泡剤、表面調整剤等の塗料添加剤を使用することができる。
さらに、本実施の形態に係る塗料組成物は、必要に応じて、固体潤滑剤を含有させることができる。ここでの固体潤滑剤は、板状の層状チタン酸化合物粒子及び球状粒子を除く概念であり、これら以外に固体潤滑剤として知られるものを適宜使用することができる。固体潤滑剤の具体的例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タングステン(WS)、窒化ホウ素(BN)等が挙げられる。
<1-2.含有比率について>
以下、上述した各成分の含有比率について説明するが、以下に示す式中、[A]、[B]、及び[C]との記載は、それぞれ、(A)層状チタン酸化合物粒子、(B)バインダー樹脂、及び(C)球状粒子の固形分中の含有量(体積部)を表す。以下も同様である。
本実施の形態に係る塗料組成物において、(B)バインダー樹脂に対する、(A)層状チタン酸化合物粒子の含有比率([A]/[B])は、体積比で、0.09~0.5の範囲であることが好ましく、0.18~0.45の範囲であることがより好ましく、0.18~0.4の範囲であることがさらに好ましい。[A]/[B]で表される構成成分の含有比率が0.18~0.45の範囲であることにより、非粘着性に優れるものとなるとともに、摩擦係数をより低減させることができる。
さらに、本実施の形態に係る塗料組成物において、(C)球状粒子を含む場合、(C)球状粒子に対する、(A)層状チタン酸化合物粒子の含有比率([A]/[C])は、体積比で、1.0~2.0の範囲であることが好ましく、1.3~2.0の範囲であることがより好ましい。[A]/[C]で表される構成成分の含有比率が1.0~2.0の範囲であることにより、板状層状チタン酸化合物粒子による球状粒子の固定効果をより高めることができ、より低い粘着性及びより低い摩擦係数を達成することができる。
≪2.乾性潤滑被膜用塗料組成物の製造方法≫
本実施の形態に係る塗料組成物の製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。
具体的には、バインダー樹脂と、板状の層状チタン酸化合物粒子と、揮発成分である有機溶剤とを、所定の割合となるように配合させ分散することによって製造することができる。このとき、有機溶剤により均一溶解させたバインダー樹脂中に、板状の層状チタン酸化合物粒子が均一に分散した状態とすることが重要となる。なお、球状粒子を用いる場合、球状粒子も均一に分散した状態とする。
例えば、この塗料組成物の製造方法としては、先ず、固形分合計100体積部のうち、好ましくは、バインダー樹脂が60体積部~91.5体積部、板状の層状チタン酸化合物粒子が8.5体積部~40体積部秤量する。なお、球状粒子を用いる場合、球状粒子の含有量は2.7体積部~21.5体積部である。また、揮発成分である有機溶剤を、バインダー樹脂の種類や含有量に応じて秤量する。
次に、撹拌容器内に有機溶剤を投入し、その後、必要に応じて添加剤、板状の層状チタン酸化合物粒子、バインダー樹脂をこの順に投入して、これらの材料が均一に溶解するまで、ディゾルバー型撹拌機等の回転型撹拌機により撹拌する。その後、ビーズミル等の分散機を用いて、バインダー樹脂中に板状の層状チタン酸化合物粒子をそれぞれ均一に分散させる分散処理を実施する。なお、分散後に有機溶剤を添加することで希釈して塗料組成物としてもよい。
≪3.塗料組成物による乾性潤滑被膜の形成≫
上述したように、本実施の形態に係る塗料組成物は、乾性潤滑被膜を形成するためのものであり、この塗料組成物を塗布対象となる被塗物に塗布して、その後、硬化処理を施すことによって、乾性潤滑被膜を形成することができる。
<3-1.乾性潤滑被膜の形成方法>
(被塗物)
被塗物としては、特に限定されるものではなく、例えば、ゴム部材、等が挙げられ、これらの部材の表面に塗料組成物を塗布して被膜を形成することができる。また、その被塗物となる部材の種類に応じて、上述したバインダー樹脂を選定することによって、いずれの被塗物に対しても高い密着性を有する被膜を形成することができ、摩擦係数及び粘着性を効果的に低減させることが可能な被膜となる。特に、被塗物としてゴム部材を用いる場合、従来の乾性潤滑被膜に含有されるバインダー樹脂が、それらの化学的な類似性や、相互の極性の程度等により、ゴム部材や樹脂部材と強く結合することがある。このような場合であっても、板状の層状チタン酸化合物粒子を用いることにより、板状の層状チタン酸化合物粒子が、乾性潤滑被膜の低粘着性及び低摩擦性を発現させることができる。
(塗布方法)
被塗物に対して塗料組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、一般的な塗料と同様に、例えば、エアースプレー塗布、浸漬(ディッピング)塗布、吹付けによるタンブリング、スクリーン印刷等の手法により行うことができる。これらの塗布方法の選択は、被塗物の形状や処理数量に応じて決定することができる。
なお、塗料組成物を被塗物に塗布するに先立ち、その被塗物に対する脱脂処理や、被膜の密着性を高めるための表面処理、あるいは洗浄処理等を行うことができる。
(乾性潤滑被膜の膜厚)
形成する乾性潤滑被膜の膜厚としては、特に限定されるものではなく、被塗物の用途等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、5μm~50μm程度とすることが好ましく、10μm~15μm程度とすることがより好ましい。
塗料組成物を被塗物に塗布するにあたっては、加熱等の手段により塗膜(乾性潤滑被膜組成物)を硬化させることによって得られる乾燥被膜が、所望とする膜厚(乾燥膜厚)となるように塗布量を決定して塗布することが好ましい。
(硬化処理)
塗料組成物を被塗物に塗布して形成した塗膜の硬化処理は、通常の塗膜の焼付手法により行うことができる。具体的には、例えば、その塗膜に対して、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等を行うことによって焼成することで、塗膜を硬化させることができる。このように、塗膜を硬化させて得られる被膜が、乾性潤滑被膜となる。
より具体的に、塗膜硬化のための焼成条件としては、特に限定されるものではなく、使用した塗料組成物中のバインダー樹脂等の組成に応じて決定することができる。例えば、バインダー樹脂としてシリコーン樹脂を使用した場合、その硬化温度としては、100℃~200℃の範囲とすることが好ましく、120℃~170℃の範囲とすることがより好ましく、これらの硬化温度の範囲で適宜設定して焼成することができる。また、焼成処理時間(硬化時間)としては、特に限定されないが、例えば、30分間~60分間の範囲で適宜設定することができ、30分間~40分間程度とすることがより好ましい。
<3-2.乾性潤滑被膜>
上述のようにして乾性潤滑被膜用塗料組成物を、金属部材等の被塗物の表面に塗布し硬化することによって、乾性潤滑被膜を形成することができる。具体的に、本実施の形態に係る塗料組成物により形成される乾性潤滑被膜は、板状の層状チタン酸化合物粒子と、バインダー樹脂と、を含有する被膜である。
このような乾性潤滑被膜によれば、摩擦係数が低くなり優れた低摩擦性且つゴム部品の相手材に対して非粘着である。
また、この乾性潤滑被膜は、特に限定されないが、表面粗さ(Ra)が0.9μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.3μm以上であることが特に好ましい。乾性潤滑被膜の表面粗さが大きいほど、その被膜と摺動する相手材との接触面積が小さくなり、摩擦低減効果がより効果的に発揮されるようになる。表面粗さの上限値としては、特に限定されないが、3.0μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることがより好ましく、2.0μm以下であることが特に好ましい。表面粗さが大きすぎると、被膜の摩耗量が多くなる可能性がある。なお、乾性潤滑被膜の表面粗さ(Ra)は、表面粗さ計を用いて測定することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
≪実施例、比較例≫
乾性潤滑被膜用塗料組成物を製造し、得られた塗料組成物を被塗物(シリコーンゴム)に塗布して硬化させることで乾性潤滑被膜を形成し、その乾性潤滑被膜について摩擦摩耗試験を実施した。摩擦摩耗試験の確認項目は、その乾性潤滑被膜の摩擦係数とした。
なお、実施例及び比較例においては、溶剤として、トルエン及びキシレンの混合溶剤を用いた。また、板状の層状チタン酸化合物粒子としては、レピドクロサイト型チタン酸リチウムカリウムを前駆体とし、その層間がオクタデシルアミンでインターカレートされた化合物(平均粒径6μm、厚さ2μm)を用いた。さらに、板状アルミナとしては、キンセイマテック株式会社製セラフ 02025(板状、平均粒径2μm)を用いた。
[乾性潤滑被膜用塗料組成物の製造]
表1に示す体積比となるよう固形成分を秤量した。また、これらの固形成分の合計量と同量の有機溶剤(トルエン及びキシレンの混合溶剤)を用意して、固形成分と混合させた。さらに、添加剤として、湿潤分散剤を加えて、各成分を十分に撹拌分散させた。
[乾性潤滑被膜の形成]
次に、シリコーンゴムを被塗物として用い、そのシリコーンゴムの表面に、得られた塗料組成物をエアースプレー塗布の手法で均一塗布した。続いて、シリコーンゴムを熱風循環炉に装入し、焼成温度150℃、焼成時間40分の条件で塗膜を熱硬化させることによって、乾性潤滑被膜を形成させた。乾性潤滑被膜の膜厚は10μmであった。
≪評価試験、評価結果≫
[潤滑性評価試験]
形成させた乾性潤滑被膜について、摩擦摩耗試験機(フリクションプレーヤー)(株式会社レスカ製,フリクションプレーヤーFRP-2100)を使用して摩擦係数を測定した。フリクションプレーヤー試験の設定条件としては、相手材をSUJ-2 3/8inchφボールとし、荷重0.49N(50gf)、摺速度0.1m/s(回転円径:φ15mm)、測定時間60分として行った。
摩擦摩耗試験により得られた、実施例、比較例のそれぞれの乾性潤滑被膜の平均摩擦係数を算出し、以下の基準で評価した。
〇:0.60以下
×:0.60超
[評価結果]
下記表1に、実施例、比較例にて製造した塗料組成物の固形分の組成と、潤滑性評価試験の結果をまとめて示す。なお、各成分の含有量は、体積分率で表し、[A]/[B]については体積比で表す。
Figure 0007476439000001

Claims (5)

  1. 乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物であって、
    固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、シリコーン樹脂を含むバインダー樹脂と、を含む、
    塗料組成物。
  2. さらに球状粒子を含む、
    請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記層状チタン酸化合物粒子は、平均粒径が0.1μm~60μmである、
    請求項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. ゴム部材の表面に乾性潤滑被膜を形成するための塗料組成物である、
    請求項1乃至のいずれかに記載の塗料組成物。
  5. 固形成分として、少なくとも、板状で層間に陽イオン性の有機化合物を有する層状チタン酸化合物粒子と、シリコーン樹脂を含むバインダー樹脂と、を含む、
    乾性潤滑被膜。
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