JP6973708B2 - 乾性潤滑被膜組成物、及びその乾性潤滑被膜組成物により摺動層を構成した摺動部材 - Google Patents
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Description
本実施の形態に係る乾性潤滑被膜組成物は、例えば、基材の表面に摺動層を備える摺動部材において、その摺動層を構成する乾性潤滑被膜を形成するためのものであり、いわゆる乾性潤滑被膜形成用塗料である。なお、摺動層をその表面上に形成させる基材としては、例えば鋼製の基材が挙げられる。
[バインダー樹脂]
乾性潤滑被膜組成物は、バインダー樹脂として、ポリアミド樹脂を含有する。このポリアミド樹脂は、下記化学式(1)に示すように、ジフェニルエーテルを残基とするポリアミドイミド樹脂である。
乾性潤滑被膜組成物においては、固体潤滑剤を含有する。このように、固体潤滑剤が含まれていることにより、形成される乾性潤滑被膜の摩擦係数を小さくすることができ、優れた摺動特性を発揮する。また、非焼付性を向上させることもできる。
有機溶剤は、例えばバインダー樹脂を溶解させるためのものである。有機溶剤としては、特には限定されないが、使用するバインダー樹脂に対する溶解力、乾燥性等を考慮して選定することが好ましい。具体的には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロペンタノン等の有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併せて用いることができる。
なお、乾性潤滑被膜組成物においては、必要に応じて、種々の添加剤成分を含有させることができる。具体的には、例えば、充填剤、沈降防止剤、湿潤分散剤、消泡剤、表面調整剤等の添加剤を使用することができる。
本実施の形態に係る乾性潤滑被膜組成物の製造方法としては、特には限定されず、従来公知の方法により製造することができる。
図1は、本実施の形態に係る摺動部材であるすべり軸受の構成を示す断面図である。図1に示すように、すべり軸受1は、裏金13の表面に接合された、例えば銅系合金、アルミニウム系合金等から構成される基材11の表面に、摺動層12が設けられた構成を有している。
[実施例1]
(乾性潤滑被膜組成物の調製)
バインダー樹脂として、ジフェニルエーテルを残基とするポリアミドイミド樹脂(PAI)(区別のため「PAI[1]」と記載する)とポリアミド樹脂(PA)とを用い、固体潤滑剤として二硫化モリブデンを、体質顔料として炭酸カルシウムを用いて、下記表1に示すようにそれぞれ秤量し、有機溶剤と共にボールミルに投入して混合撹拌することによって、バインダー樹脂に固体潤滑剤が分散した乾性潤滑被膜組成物(乾性潤滑被膜形成用塗料)を調製した。なお、有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンと、キシレンとエチルベンゼンとを40:60の割合で含む溶剤(キシロール,三協化学社製)とを用いた。
次に、裏金となる鋼板上に銅系軸受金属層を接合して、これを円筒形状に加工した後、脱脂処理を施し、続いて軸受金属層の表面をブラスト加工により粗面化した。さらに、酸洗・湯洗、乾燥を行った後、その軸受金属層の表面に対して、調製した乾性潤滑被膜形成用塗料をエアースプレーで吹き付けて塗布した。その後、組成物中に含まれる有機溶剤を乾燥により除去し、240℃で30分間焼成した。これにより、軸受金属層の表面に乾性潤滑被膜により構成される摺動層を形成させた。なお、摺動層の厚さ(摺動層膜厚)としては10μmとなるようにした。
実施例2では、下記表1に示すように、バインダー樹脂(B)と固体潤滑剤(P)との比率(P/B)を変更したこと以外は、実施例1と同様にして乾性潤滑被膜組成物を調製した。また同様に、その乾性潤滑被膜組成物を塗布して形成した摺動層を有するすべり軸受を作製した。
実施例3では、下記表1に示すように、バインダー樹脂としてジフェニルエーテルを残基とするポリアミドイミド樹脂(PAI[1])のみから構成されるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして乾性潤滑被膜組成物を調製した。また同様に、その乾性潤滑被膜組成物を塗布して形成した摺動層を有するすべり軸受を作製した。
比較例1では、下記表1に示すように、バインダー樹脂として、ジフェニルメタンを残基とするポリアミドイミド樹脂(区別のため「PAI[2]」と記載する)とポリアミド樹脂とから構成されるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして乾性潤滑被膜組成物を調製した。また同様に、その乾性潤滑被膜組成物を塗布して形成した摺動層を有するすべり軸受を作製した。
比較例2では、下記表1に示すように、バインダー樹脂として、ジフェニルメタンを残基とするポリアミドイミド樹脂とポリアミド樹脂(PAI[2])とから構成されるものを用いたこと以外は、実施例2と同様にして乾性潤滑被膜組成物を調製した。また同様に、その乾性潤滑被膜組成物を塗布して形成した摺動層を有するすべり軸受を作製した。
比較例3では、下記表1に示すように、バインダー樹脂として、ジフェニルメタンを残基とするポリアミドイミド樹脂とポリアミド樹脂(区別のため「PAI[3]」と記載する)とから構成されるものを用いたこと以外は、実施例2と同様にして乾性潤滑被膜組成物を調製した。また同様に、その乾性潤滑被膜組成物を塗布して形成した摺動層を有するすべり軸受を作製した。
比較例4では、下記表1に示すように、バインダー樹脂として、ジフェニルメタンを残基とするポリアミドイミド樹脂(PAI[2])のみから構成されるものを用いたこと以外は、実施例3と同様にして乾性潤滑被膜組成物を調製した。また同様に、その乾性潤滑被膜組成物を塗布して形成した摺動層を有するすべり軸受を作製した。
比較例5では、下記表1に示すように、バインダー樹脂として、ジフェニルメタンを残基とするポリアミドイミド樹脂(PAI[3])のみから構成されるものを用いたこと以外は、実施例3と同様にして乾性潤滑被膜組成物を調製した。また同様に、その乾性潤滑被膜組成物を塗布して形成した摺動層を有するすべり軸受を作製した。
(トルク測定)
実施例1〜3、比較例1〜5のそれぞれのすべり軸受について、トルク試験機を用いたトルク測定試験を行った。試験条件は以下の通りである。
回転数 :70rpm、700rpm
試験面圧 :10MPa
試験時間 :6時間
潤滑油種 :VG22
潤滑油流量 :200cc/min
潤滑油温度 :80℃
軸材質 :S55C
実施例1〜3、比較例1〜5のそれぞれで調製した乾性潤滑被膜組成物による乾性潤滑被膜の硬度について、ダイナミック超微小硬度計(DUH−211S,島津製作所社製)を用いて測定した。試験条件は以下の通りである。
試験モード :負荷・除荷試験
最大負荷 :1.5mN
負荷保持時間 :10秒
除荷保持時間 :5秒
下記表1に、実施例1〜3、比較例1〜5のそれぞれで調製した乾性潤滑被膜組成物の組成と、形成された乾性潤滑被膜のトルク測定、硬度測定の結果を併せて示す。また、図2に、各実施例、比較例における回転数70rpmと700rpmでのトルク測定結果をグラフ化した。なお、回転数700rpmのトルク測定は、実施例1〜3及び比較例1の乾性潤滑被膜に対して行い、比較例2〜5では不実施(−)である。
上述した実施例2、3、比較例2、3のそれぞれで調製した乾性潤滑被膜組成物による被膜について熱分解ガスクロマトグラフによって質量分析を行った。
上述した実施例2、3、比較例2、3のそれぞれで調製した乾性潤滑被膜組成物を用い、基材である150mm×100mm×0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC−SB)上に、ドライ状態の膜厚が約10μmとなるように、エアースプレーで吹き付けて塗布した。その後、組成物中に含まれる有機溶剤を乾燥により除去し、240℃で30分間焼成し、基材上に乾性潤滑被膜を形成させてテストピースを作製した。
12 摺動層
13 裏金
Claims (8)
- ジフェニルエーテルを残基とするポリアミドイミド樹脂をバインダー樹脂として含み、該バインダー樹脂と固体潤滑剤とを含有し、
前記ポリアミドイミド樹脂に由来する残基であるジフェニルエーテルの構造の含有比率が、前記バインダー樹脂の構造のすべての酸基及び残基に対して20%以上である
乾性潤滑被膜組成物。 - 前記バインダー樹脂として、さらにポリアミド樹脂を含有する
請求項1に記載の乾性潤滑被膜組成物。 - さらに充填剤として炭酸カルシウムを含有する
請求項1又は2に記載の乾性潤滑被膜組成物。 - 前記固体潤滑剤の含有量が、全固形分に対して15質量%〜75質量%である
請求項1乃至3のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物。 - 前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、グラファイト、二硫化タングステン、窒化ホウ素、及びグラフェンから選ばれる1種以上である
請求項1乃至4のいずれかに記載の乾性潤滑被膜組成物。 - 基材の表面に摺動層を備える摺動部材であって、
前記摺動層は、ジフェニルエーテルを残基とするポリアミドイミド樹脂と、固体潤滑剤とを含む乾性潤滑被膜により構成されており、
前記ポリアミドイミド樹脂に由来する残基であるジフェニルエーテルの構造の含有比率が、前記摺動層を構成するバインダー樹脂の構造のすべての酸基及び残基に対して20%以上である
摺動部材。 - 前記摺動層は、摺動層表面粗さがRa1.5μm以下である
請求項6に記載の摺動部材。 - 前記摺動層は、摺動層膜厚が1μm〜30μmである
請求項6又は7に記載の摺動部材。
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