JPH06847B2 - 新規重合体とその製造方法 - Google Patents

新規重合体とその製造方法

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JPH06847B2
JPH06847B2 JP1600584A JP1600584A JPH06847B2 JP H06847 B2 JPH06847 B2 JP H06847B2 JP 1600584 A JP1600584 A JP 1600584A JP 1600584 A JP1600584 A JP 1600584A JP H06847 B2 JPH06847 B2 JP H06847B2
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松尾  茂
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【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は新規重合体とその製造方法に関し、更に詳しく
は、耐熱性、難燃性、耐溶剤性に優れ、また、共重合組
成を変化させることにより耐熱性を容易に調節すること
が可能な新規組成のシアンアリールオキシ重合体とその
製造方法に関する。
〔発明の技術的背景とその問題点〕
種々のシアンアリールオキシ重合体が特開昭47−14
270号公報に開示されている。これらの重合体は耐熱
性に備えているもののそのガラス転移温度(Tg)が13
6〜178℃、熱分解開始温度(Td)が400℃前後で
あり、必ずしも実用上、耐熱性が充分であるとはいい難
たい。
また、上記公報で開示されているように二価フエノール
としてビスフエノールAを用いて製造した重合体は、そ
のTgが173℃と一定でありこれを変化させることがで
きない。すなわち、上記公報記載の方法ではシアンアリ
ールオキシ重合体の耐熱性を調節することができない。
したがつて、得られた重合体も各種の耐熱性が要求され
る用途分野に柔軟に対応できないことになる。
〔発明の目的〕
本発明は、上記した重合体よりも耐熱性が優れるととも
に難燃性、耐溶剤性にも優れ、更には共重合組成を変化
させればその耐熱性も適宜に変えることができる新規重
合体とその製造方法の提供を目的とする。
〔発明の概要〕
本発明の新規重合体は、 で示される繰返し単位k個、 (式中、Qは−O−,−S−,−SO−,−CO−, (ただし、nは5〜6の整数を表わす)のいずれかを表
わす) で示される繰返し単位l個 (ただし、k,lはそれぞれ の関係を満足する整数を表わす) を有し、 末端基が−H,−OH, (式中、Rは水素原子;炭素数1〜10のアルキル基、
アリール基、アルアルキル基のいずれかを表わす)又は (式中、Rは上と同じ意味を有する)のいずれかであ
り、かつ、 N−メチルピロリドンを溶媒とする0.2g/dl濃度の溶液
の30℃における還元粘度(ηsp/C)が0.3dl/g以上で
あることを特徴とし、その製造方法は、 (式中、Xはハロゲン原子を表わす) で示されるジハロゲノベンゾニトリルと、 (式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表わす) で示されるp,p′−ビフエノール又はそのアルカリ金
属塩と、 (式中、Q,Mはいずれも上と同じ意味を有する) で示される二価フエノール又はその二価フエノールのと
きはアルカリ金属を加えて、溶媒の存在下で反応させつ
いで、得られた反応生成物を水又はアルコールで処理す
ることを特徴とする。
本発明の重合体にあつては、式(I)の繰り返し単位1個
又はこの単位が複数個適宜に直鎖状に連結して成る連結
体と、式(II)の繰り返し単位1個又はこの単位が複数個
適宜に直鎖状に連結して成る連結体とが、互いに無秩序
又は秩序立つて直鎖状に連結して構成され、全体の末端
は−H,−OH, 又は のいずれかでブロツクされている。
末端基の において、Rは水素原子;炭素数1〜10のアルキル
基、アリール基、アルアルミル基のいずれかを表わす。
これらのうち、Rとしては(CH3)3C-,CH3(CH2)7-, などが好ましいものである。
この重合体において、各繰返し単位の総数k,lは、 の関係を満足する整数であることが必要である。
が0.5未満の場合には、得られた重合体の分子量の低下
傾向が増し耐熱性の低下を招く。また、 が0.99を超えると、成形時の流動性が低下することにな
る。好ましくは である。
本発明の重合体は、この重合体をN−メチルピロリドン
に溶解してその濃度を0.2g/dlにしたとき、この樹脂溶
液の30℃における還元粘度(ηsp/C)が0.3g/dl以上
であるような分子量を有する重合体である。このηsp/C
が0.3g/dl未満であるような重合度の場合には、重合体
は低分子量であるため耐熱性が低くなる。
本発明の重合体は次のようにして製造される。
すなわち、式(III)で示されるジハロゲノベンゾニトリ
ルと式(IV)で示されるp,p′−ビフエノールのアルカ
リ金属塩と式(V)で示される二価フエノールのアルカリ
金属塩とを後述する溶媒に溶解させて後述の条件下で反
応させる。
式(III)の化合物で、ハロゲンXとしては、F,Clが好
ましい。式(IV)の化合物、式(V)の化合物でMのアル
カリ金属原子は、特に限定されないが、とくにK,Naは
好ましいものである。式(IV),式(V)の化合物のう
ち、アルカリ金属塩は、対応する、二価フエノールと炭
酸カリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩との
中和反応によつて容易に調製することができる。
なお、本発明の反応を進めるにあたつては、反応の当初
から式(IV),式(V)の化合物のうちのアルカリ金属塩
を用いることなく、例えば、反応系に対応する二価フエ
ノールと更に上記のようなアルカリ金属塩とを一緒に添
加しておいてもよい。この場合には、反応の進行に伴な
つて反応系には式(IV),式(V)の化合物のアルカリ金属
塩が生成することになる。
各化合物の使用量は、目的とする重合体の重合度との関
係から決められる。式(III)の化合物の使用モル数を
1,式(IV)の化合物の使用モル数をm2,式(V)化合物の
使用モル数をm3とすればm1=m2+m3関係が満足してい
ればよいが、この関係が崩れても不都合はない。
反応は溶媒中で行なわれる。使用する溶媒としては各種
の有機溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、N‐メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドをあ
げることができ、その使用量は式(III),式(IV),式(V)
の各化合物を溶解せしめるに充分な量であればよい。
反応温度は100〜350℃、好ましくは150〜28
0℃、反応時間は0.1〜5.0時間、好ましくは0.5〜3.0時
間である。また、反応は常圧下で行なつても、若干の加
圧下で行なつてもよい。
なお、この過程で分子量調節剤として一価フエノールを
添加することが好ましい。用いる一価フエノールとして
は、 などをあげることができる。また、その使用量は、目的
とする重合体の分子量との関係から決められる。
次に、上記過程を経て得られた反応生成物を水、アルコ
ールで処理して、反応生成物の末端に存在するアルカリ
金属を脱離せしめてH,OHで置換する。アルコールとし
ては、メタノール、エタノールが好ましい。また処理方
法としては、上記反応生成物を水、アルコールの中に投
入するだけでよい。
〔発明の実施例〕
実施例1 アルコンガス吹込管、攪拌装置ならびに精留装置を備え
た200mlのセパラブルフラスコに、2,6−ジクロル
ベンゾニトリル8.60g(0.05モル)、p,p′−ビフエ
ノール7.44g(0.04モル)、4,4′−ジヒドロキシフ
エニルスルホン2.50g(0.01モル)、炭酸カリウム7.05
1g(0.05モル)およびスルホラン40mlを入れ、アル
ゴンガスを吹込みながら攪拌し、230℃で30分間、
ついで250℃で2時間反応させた。反応終了後、生成
物をメタノール中に投入して重合体を析出させて回収し
た。ついで重合体をワーリング社製ブレンダーで粉砕
し、熱水1ついで熱メタノール1で洗浄し、110
℃において8時間減圧乾燥した。重合体の収量14.9
g(収率100%)。赤外吸収スペクトル(IR)分析
の結果、3030cm-1と830cm-1にベンゼン環のC−H結
合による吸収、1590cm-1にベンゼン環のC−C結合によ
る吸収、1240cm-1に芳香族エーテル結合による吸
収、2220cm-1にニトリルの吸収、1150cm-1にスルホ
ンによる吸収が認めらた。また、N−メチルピロリドン
を溶媒とする濃度0.2g/dlの溶液の30℃における還粘
度〔ηsp/Cは0.68g/dlであつた。この重合体の は0.8であり、ガラス転移温度(Tg)は215℃、熱分
解開始温度(Td)は532℃であつた。
つぎにこの重合体をプレス成形することによりフイルム
を作成し、このフイルムの折り曲げ部をメタノール、ア
セトン、塩化メチレン、クロロホルムに浸漬してクラツ
クの発生の有無を調べるという耐溶剤性試験を行なつた
ところ、いずれの溶剤の場合にもクラツクの発生はみら
れなかつた。
さらに、このフイルムにライターの炎を10秒間あてた
のち、炎を遠ざけて難燃性試験を行なつたところ火は直
ちに消火し、溶融滴下はみられなかつた。
実施例2 4,4′−ジヒドロキシフエニルスルホンに代えて、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロパン2.
28g(0.01モル)を用いたほかは実施例1と同様
にして重合体を得た。重合体の収量14.8g(収率100
%)。この重合体の は0.8であり、ηsp/Cは0.68dl/g,Tg=185℃,Td=5
36℃であつた。IR分析の結果は、3030cm-1と830
cm-1にベンゼン環のC−H結合、1590cm-1にベンゼン環
のC−C結合、2220cm-1にニトリル、1240cm-1
に芳香族エーテル結合の吸収が認められた。
耐溶剤性試験、難燃性試験の結果はいずれも実施例1と
同じであつた。
実施例3 4,4′−ジヒドロキシフエニルスルホンに代えて、
4,4′−チオジフエノール2.182g(0.01モ
ル)を用いたほかは実施例1と同様にして重合体を得
た。重合体の収量14.6g(収率100%)。この重
合体の は0.8であり、ηsp/C=2.13,Tg=190℃,Td=52
2℃であつた。IR分析の結果は実施例2と同じであ
り、また耐溶剤性試験、難燃性試験の結果も実施例1と
同じであつた。
実施例4 分子量調節剤としてp−ターシヤリーブチルフエノール
0.15g(0.001モル)を加えたほかは実施例3
と同様にして重合体を得た。重合体の収量は14.7g
(収率100%)。この重合体の は0.8ηsp/C=1.00dl/g,Tg=187℃、Td=514℃で
あつた。IR分析の結果は、実施例2と同じ吸収がみら
れたがそのほかに、2950cm-1にp−ターシヤリーブチル
フエノールのメチル基による吸収が認められた。耐溶剤
性試験、難燃性試験の結果は実施例1と同様であつた。
実施例5 分子量調節剤としてp−クミルフエノール0.212g
(0.01モル)を加えたほかは実施例3と同様にして
重合体を得た。重合体の収量は14.8g(収率100
%)。この重合体の は0.8,Tg=187℃、Td=511℃であつた。ηsp/C
=1.24dl/g。IR分析の結果は実施例2と同じ吸収がみ
られたがそのほかに、2950cm-1にp−クミルフエノール
のメチル基による吸収がみられた。耐溶剤性試験、難燃
性試験の結果は実施例1と同様であつた。
実施例6 2,6−ジクロルベンゾニトリルに代えて、2,6−ジ
フルオロベンゾニトリル6.955g(0.05モル)
を用いたほかは実施例2と同様にして重合体を得た。重
合体の収量は14.8g(収率100%)。この重合体
は0.8,ηsp/C=1.44dl/g,Tg=206℃、Td=534℃
であつた。IR分析結果は実施例2と同様であつた。耐
溶剤性、難燃性について試験結果は実施例1と同様であ
つた。
実施例7 実施例1と同様のセパラブルフラスコに2,6−ジフル
オロベンゾニトリル6.955g(0.05モル)、
p,p′−ビフエノール5.58g(0.03モル),
2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロパン4.
56g(0.02モル)、炭酸カリウム7.051g
(0.05モル)およびスルホラン40mlを入れて、ア
ルゴンガスを吹込みながら攪拌し、230℃において3
0分間、ついで250℃において1時間反応させ、得ら
れた生成物に実施例1と同様の処理を施こした。重合体
の収量は15.1g(収率100%)。この重合体の は0.6,ηsp/C=0.89dl/g,Tg=194℃、Td=501℃
であつた。IR分析結果は実施例2と同様であり、耐溶
剤性、難燃性試験の結果は実施例1と同様であつた。
実施例8 実施例1と同様のセパラブルフラスコに、2,6−ジク
ロベンゾニトリル8.60g(0.05モル)、p,
p′−ビフエノール8.835g(0.0475モ
ル)、4,4′−ジヒドロキシフエニルスルホン0.6
26g(0.0025モル)、炭酸カリウム8.98g
(0.065モル)、N−メチルピロリドン100mlお
よびトルエン40mlを仕込み、150℃において2時間
保持し、生成した水をトルエンと共に留去した。その後
190℃に昇温して残存するトルエンを留去し、ひきつ
づいて190℃において3時間反応を行なつた。重合反
応の終了後は、生成物を実施例1と同様に処理した。重
合体の収量13.9g(収率97%)。
は0.95,ηsp/C=1.41dl/g,Tg=213℃、Td=503
℃であつた。IR分析結果は実施例2と同様であり、耐
溶剤性、難燃性の試験結果は実施例1と同様であつた。
実施例9 p,p′−ビフエノールの使用量を7.44g(0.0
4モル)とし、かつ4、4′−ジヒドロキシフエニルス
ルホンに代えて1,1−ビス(4−ヒドロキシフエニ
ル)シクロヘキサン2.684g(0.01モル)を用
いたほかは実施例8と同様にして重合体を得た。重合体
の収量は14.2g(収率94%)。この重合体の は0.8,ηsp/C=0.67dl/g,Tg=204℃、Td=506℃
であつた。IR分析と結果は実施例2と同様であり、耐
溶剤性、難燃性の試験結果は実施例1と同様であつた。
〔発明の効果〕
以上の説明で明らかなように、本発明の重合体は、従来
のシアンアリールオキシ重合体に比べてその耐熱性に優
れ、また難燃性も良好であるのみならず、耐溶剤性にも
優れている。しかも、本発明の重合体はその共重合組成
を変えるとTg,Tdともに変化して多様な耐熱性要求に対
応することができる。
本発明の重合体は耐熱性、耐溶剤性、難燃性などが要求
される各種の電気・電子機器、機械部品の素材として有
用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式: で示される繰返し単位k個、 次式: (式中、Qは−O−、−S−、−SO−、−CO−、 (ただし、nは5〜6の整数を表わす)のいずれかを表
    わす) で示される繰返し単位l個 (ただし、k、lはそれぞれ の関係を満足する整数を表わす) を有し、 末端基が、−H、−OH、 (式中、Rは水素原子;炭素数1〜10のアルキル基、
    アリール基、アルアルキル基のいずれかを表わす)又は (式中、Rは上と同じ意味を有する)のいずれかであ
    り、かつ、N−メチルピロリドンを溶媒とする0.2g/
    dl濃度の溶液の30℃における還元粘度(ηsp/C)が
    0.3dl/g以上であることを特徴とする新規重合体。
  2. 【請求項2】 (式中、Xはハロゲン原子を表わす) で示されるジハロゲノベンゾニトリルと、 (式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表わす) で示されるp,p′−ビフエノール又はそのアルカリ金
    属塩と、 (式中、Qは−O−、−S−、−SO−、−CO−、 (ただし、nは5〜6の整数を表わす)のいずれかを表
    わし;Mは上と同じ意味を有する) で示される二価フエノール又はそのアルカリ金属塩と
    を、二価フエノールのときはアルカリ金属塩を加えて、
    溶媒の存在下で反応させ、ついで、得られた反応生成物
    を水又はアルコールで処理することを特徴とする、 次式: で示される繰返し単位k個、 次式: (式中、Qは−O−、−S−、−SO−、−CO−、 (ただし、nは5〜6の整数を表わす)のいずれかを表
    わす) で示される繰返し単位l個 (ただし、k、lはそれぞれ の関係を満足する整数を表わす) を有し、 末端基が、−H、−OH、 (式中、Rは水素原子;炭素数1〜10のアルキル基、
    アリール基、アルアルキル基のいずれかを表わす)又は (式中、Rは上と同じ意味を有する)のいずれかであ
    り、かつ、N−メチルピロリドンを溶媒とする0.2g/
    dl濃度の溶液の30℃における還元粘度(ηsp/C)が
    0.3dl/g以上であることを特徴とする新規重合体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】一価フエノールを分子量調節剤として用い
    る特許請求の範囲第2項記載の新規重合体の製造方法。
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