JPH0684390B2 - アルキルグリコシドの製造方法 - Google Patents

アルキルグリコシドの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルキルグリコシドの製造方法に関し、詳しく
は色相が良好なアルキルグリコシドを製造する方法に関
するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
糖誘導体界面活性剤であるアルキルグリコシドは低刺激
性界面活性剤であり、しかも非イオン性界面活性剤であ
るにも拘わらず、それ自身安定な泡を生成するだけでは
なく、他の陰イオン性界面活性剤に対して泡安定剤とし
て作用することが知られており、近年注目されつつあ
る。
しかし、アルキルグリコシドは上記の如く新たな界面活
性剤として注目すべき性質を有しているにもかかわら
ず、その実際の製造には多くの困難が伴う。
アルキルグリコシドは糖類とアルコールとの反応によっ
て製造されるが、その中で最も大きい問題は製造工程に
おける種々の操作によって色相の劣化が容易に発生する
ことである。
特にアルキルグリコシドを高級アルコールと糖類との反
応により得ようとする時には、高級アルコールを糖類に
対し相当量過剰に用いるのが一般的であり、このこと
は、アルキルグリコシドの工業的な製造を行うにあたっ
て反応系より回収される未反応高級アルコールの回収再
使用がアルキルグリコシドをより経済的に製造するため
に重要であることを意味している。
しかしながら、反応終了混合物より蒸留等の手段によっ
て回収される高級アルコール(以下、回収アルコールと
呼ぶ)をそのまま次のアルキルグリコシドの製造に用い
る場合には、生成するアルキルグリコシドの色相の著し
い劣化を招くことが大きな問題となる。
従来よりアルキルグリコシド製造時における色相劣化を
防ぐ方法が研究されており、いくつかの解決方法が提案
されている。例えば、まず高級アルコールと単糖類との
反応によりアルキルグリコシドを生成する反応の段階に
おいて、特開昭59-139397号公報に開示されているよう
に酸触媒と還元剤とよりなる酸触媒組成物の存在下反応
を行う方法、欧州特許第0132043号明細書に記載されて
いる様に触媒としてアニオン活性剤の酸形を用いる方
法、また、欧州特許第0132046号明細書に記載されてい
る様に反応を停止するに際し、有機塩基による中和を行
う方法等が提示されている。また、生成したアルキルグ
リコシドを未反応の回収アルコールと分離する段階では
アルキルグリコシドの高い粘度及び不良な熱安定性ゆえ
に特に色相の劣化が著しいため粘度減少剤を添加する方
法(特開昭62-192396号公報)等の提案がなされてい
る。
しかしながら、これらの色相改良法を行った後もなお、
得られるアルキルグリコシドの色相はそのまま実際の商
品へ配合するに満足なものではない。また、特開昭61−
33193号公報では製造により最終的に得られたアルキル
グリコシドを過酸化水素及び二酸化硫黄源を用いて漂白
することを提示しているが、この場合には色相とは別に
匂いの面での劣化や保存安定性といった新たな問題が発
生し、抜本的な解決策とはいえない。
〔課題を解決するための手段〕
上記の事実より回収アルコールを新たなアルキルグリコ
シドの製造に再使用するに際しては、これを未使用の高
級アルコールと同等の品質、少なくとも着色の原因に関
し同等の品質に再生することが必要不可欠であることは
自明である。
そこで、本発明者らは上記回収アルコール再使用時の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、上記回収アルコ
ール再使用時のアルキルグリコシドの色相の悪化は、反
応終了混合物より蒸留等によって回収されるアルコール
中に、残留還元糖等の熱分解に伴い発生する酸性成分や
フラン誘導体および蒸留中に飛沫として同伴する糖分等
が含有されることに基づくものであることを見い出し
た。更にこれらの不純物を含む回収アルコールをアルカ
リ性物質と接触させて蒸留あるいは水洗により精製する
ことにより上記不純物を効率良く除去し得ること、およ
びこのような精製を行った回収アルコールを新たなアル
キルグリコシドの製造に用いる場合、未使用の高級アル
コールを用いて製造を行う場合と比較して得られるアル
キルグリコシドに意外にも色相上何等の遜色がないとい
う驚くべき効果を見い出して本発明を完成した。
即ち本発明は、高級アルコールをアルカリ性物質存在下
に蒸留するかあるいはアルカリ性水溶液で洗浄したの
ち、糖、もしくは糖と低級アルコールとの反応物と反応
させることを特徴とするアルキルグリコシドの製造方法
を提供するものである。
本発明の方法に用いられる高級アルコールとしては、下
記式(I)で表されるアルコールが挙げられる。
RO(AO)nH …(I) (式中、Rは炭素数6〜22の直鎖ないし分岐鎖のアルキ
ル基ないしアルケニル基、又はアルキルフェニル基を表
し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nはその
平均値が0〜5の数である。) 特に本発明に用いられる高級アルコールは、アルキルグ
リコシド製造反応生成物中より分離されたものである。
アルキルグリコシド製造反応生成物は周知の反応方法で
得られるものであって、糖類と高級アルコールとを酸触
媒の存在下に直接反応させる方法、あるいは予め糖類を
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールな
どの低級アルコールと反応させ、低級アルキルグリコシ
ドとしたのち、高級アルコールと反応させる方法のいず
れかの方法で得られたものであってもよく、公知の方法
と条件にて得られる(特公昭47-24532号、USP第3839318
号、EP第092355号、特開昭59-139397号、特開昭58-1891
95号)。
本発明において、未反応高級アルコールを含有するアル
キルグリコシド製造反応生成物から未反応高級アルコー
ルを回収する方法としては公知の蒸留方法を用いること
ができる。即ち、減圧下に加熱する通常の蒸留方法で
も、減圧下に薄膜蒸発器で蒸留する方法でもよく、粘度
減少剤を添加してトッピングを行ってもよい(特公昭48
-10716号、特開昭58-194902号、特開昭62-192396号)。
本発明の方法においては、上記のようにして回収された
高級アルコールをアルカリ性物質存在下に蒸留するかあ
るいはアルカリ性水溶液(以下アルカリ水溶液と略記す
る)で洗浄する。
本発明に用いられるアルカリ性物質(以下アルカリと略
記する)としては、無機アルカリ、有機アルカリのいず
れでもよく、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸カルシウム、水素化ホウ素ナトリウム、ステア
リルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルステアリル
アミン等が挙げられる。
本発明の方法において、アルカリの存在下に蒸留を行う
場合は、具体的には回収アルコールにアルカリを添加
し、直ちに、あるいは必要に応じ0〜5時間攪拌又は放
置したのち、蒸留を行う。アルカリの添加量はアルコー
ルに対し0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%で
ある。アルカリの添加は、そのままあるいは水溶液の形
のいずれの形で添加してもよい。蒸留条件は通常行われ
る温度、圧力で行われる。一例を示せばデシルアルコー
ルで0.1〜30mmHg,110〜150℃である。
また本発明の方法において、アルカリ水溶液で回収アル
コールを洗浄する場合は、アルカリ水溶液としては濃度
は特に限定されないが、通常0.1〜50重量%、好ましく
は0.5〜5重量%水溶液が用いられる。アルカリ水溶液
で洗浄した高級アルコールは、そのまま使用してもよい
が、中和、水洗、あるいは蒸留して用いることもでき
る。蒸留、水洗による処理の方式は特に限定されず、連
続式、半連続式、バッチ式のいずれでもよい。
上記のようにして精製された高級アルコールを糖、もし
くは糖と低級アルコールとの反応物と反応させることに
よって、色相の良好なアルキルグリコシドが得られる。
高級アルコールを糖、もしくは糖と低級アルコールとの
反応物と反応させる方法としては前記した公知の方法を
用いることができる。
本発明に用いられる糖類としては、単糖類、オリゴ糖類
あるいは多糖類が挙げられる。単糖類の具体例としては
アルドース類、例えばアロース、アルトロース、グルコ
ース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトー
ス、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、
リキソースなどが挙げられる。オリゴ糖類の具体例とし
ては、マルトース、ラクトース、スクロース、マルトト
リオースなどが挙げられる。多糖類の具体例としては、
ヘミセルロース、イヌリン、デキストリン、デキストラ
ン、キシラン、デンプン、加水分解デンプンなどが挙げ
られる。これらの糖類のうち好ましいものは単糖類であ
る。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。
実施例1 (a)デシルアルコール11400g(72.0mol)、無水グル
コース3240g(18.0mol)及びp−トルエンスルホン酸1
水和物96g(0.5mol)を30l反応槽中で加熱攪拌した。95
℃まで昇温の後、系内圧力を40mmHgとして脱水反応を開
始した。
この際、反応混合液中にN2を5Nl/minで吹き込み生成す
る水を効率よく除去する様にした。5時間後、グルコー
スが完全に消費されたのを確認した後、減圧を解除し冷
却して、NaOH20gで中和した。副生する多糖を濾別した
後、130℃、0.4mmHgの条件でアルキルグリコシド4270g
と未反応回収アルコール8460gとを分離した。
(b)(a)で得た未反応回収アルコール2030gに50%N
aOH水溶液39gを添加した後5mmHgにて減圧下蒸留し、留
分アルコール1830g(沸点105℃)を得た。
このアルカリ添加蒸留の留分アルコール1140g(7.2mo
l)、無水グルコース324g(1.8mol)及びp−トルエン
スルホン酸1水和物9.6g(50mmol)を用いて上記(a)
の要領でアルキルグリコシドを合成しアルキルグリコシ
ド457g(回収アルコール850g)を得た。
実施例2 実施例1(a)の未反応回収アルコール2320gに水素化
ホウ素ナトリウムのNaOH水溶液(水素化ホウ素ナトリウ
ム12%、NaOH42%を含有する)11.6gを添加した後5mmHg
減圧下蒸留し、留分アルコール2200g(沸点105℃)を得
た。
上記の留分アルコール1140gを用いて実施例1(b)記
載の方法でアルキルグリコシドを合成し、アルキルグリ
コシド438g(回収アルコール856g)を得た。
実施例3 実施例1(a)の未反応回収アルコール2000gに1%NaO
H水溶液200mlを加えて60℃で5分間激しく攪拌した。静
置分層後、少量のp−トルエンスルホン酸でpHを中性に
調整し水洗アルコール1998gを得た。
上記のアルカリ水洗アルコール1140gを用いて実施例1
(b)記載の方法でアルキルグリコシドを合成し、アル
キルグリコシド420g(回収アルコール840g)を得た。
実施例4 実施例1(a)の未反応回収アルコール2000gにステア
リルアミン20gを添加した後5mmHg減圧下蒸留し、留分ア
ルコール1900g(沸点105℃)を得た。
上記留分アルコール1140gを用いて実施例1(b)記載
の方法でアルキルグリコシドを合成し、アルキルグリコ
シド435g(回収アルコール860g)を得た。
比較例1 実施例1(a)の未反応回収アルコール1140gをアルカ
リ処理せずにそのまま用いて実施例1(b)記載の方法
でアルキルグリコシドを合成し、アルキルグリコシド45
7g(回収アルコール850g)を得た。
比較例2 実施例1(a)の未反応回収アルコール2240gを1mmHg減
圧下蒸留し、留分アルコール2133gを得た。上記の単蒸
留の留分アルコール1140gを用いて実施例1(b)記載
の方法で回収再使用実験を行い、アルキルグリコシド40
6g(回収アルコール799g)を得た。
比較例3 実施例1(a)の未反応回収アルコール2000gに蒸留水2
00mlを加えて60℃で5分間激しく攪拌した。静置分層
後、水洗アルコール2000gを得た。
上記の水洗アルコール1140gを用いて実施例1(b)記
載の方法でアルキルグリコシド430g(回収アルコール82
0g)を得た。
試験例1 実施例1〜4及び比較例1〜3によって得られたアルキ
ルグリコシドの50%水溶液の色相(ガードナー)を比較
した。結果を表1に示す。
ガードナー値の低い方が色相が良好である。
また、官能評価の結果、実施例1〜4にて得られたアル
キルグリコシドの匂いは無臭であり、良好であった。
表1から、本発明によりアルキルグリコシド製造時に生
成する未反応回収アルコールを繰り返し使用して、色相
の良好なアルキルグリコシドを製造する方法が提供され
ることがわかる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高級アルコールをアルカリ性物質存在下に
    蒸留するかあるいはアルカリ性水溶液で洗浄したのち、
    糖、もしくは糖と低級アルコールとの反応物と反応させ
    ることを特徴とするアルキルグリコシドの製造方法。
  2. 【請求項2】高級アルコールが、糖と高級アルコールと
    の反応によって得られる反応生成物中、もしくは糖と低
    級アルコールとを反応させ、ついでその反応生成物を高
    級アルコールと反応させることにより得られる反応生成
    物中より分離されたものである請求項1記載のアルキル
    グリコシドの製造方法。
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