JPH0682960A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH0682960A
JPH0682960A JP23182592A JP23182592A JPH0682960A JP H0682960 A JPH0682960 A JP H0682960A JP 23182592 A JP23182592 A JP 23182592A JP 23182592 A JP23182592 A JP 23182592A JP H0682960 A JPH0682960 A JP H0682960A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】巻ぐせが付きにくく、力学特性にすぐれ、製造
適性にすぐれたハロゲン化銀写真感光材料を得る。 【構成】ポリエステル支持体上に少くとも1層以上の感
光層を有してなるハロゲン化銀写真感光材料において、
該支持体をTg+100℃以下、Tg−50℃以上の温
度でロール状に巻き取った後、該支持体をTg以下室温
以上の温度で0.1時間以上1500時間以下熱処理す
ることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真感光材料に関するも
のであり、特にTg+100℃以下Tg−50℃以上の
温度でロール状に巻取った後、該支持体を熱処理するこ
とを特徴とする巻ぐせの付きにくく、乳剤層との接着性
に優れたハロゲン化銀写真感光材料に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料は一般的に、プラスチック
フィルム支持体上に少なくとも1層の写真感光性層を塗
布することによって製造される。このプラスチックフィ
ルムとしては一般的にトリアセチルセルロース(以下
「TAC」と記す)に代表される繊維系のポリマーとポ
リエチレンテレフタレート(以下(PET)と記す)に
代表されるポリエステル系のポリマーが使用されてい
る。一般に写真感光材料としては、Xレイ用フィルム、
製版用フィルム及びカットフィルムの如くシート状の形
態のものと、ロールフィルムの代表的なものは、35m
/m巾又はそれ以下の巾でパトローネ内に収められてお
り、一般にカメラに装填して撮影に用いるカラー又は黒
白ネガフィルムである。ロールフィルム用支持体として
は、主にTACが用いられているがこの最大の特徴は、
光学的に異法性が無く、透明度が高いことである。さら
にもう一点優れた特徴があり、それは現像処理後のカー
ル解消性についても優れた性質を有している点である。
即ち、TACフィルムはその分子構造からくる特徴とし
て比較的プラスチックフィルムとしては吸水性が高い
為、ロールフィルムとして巻かれた状況で経時されるこ
とによって生じる巻きぐせカールが現像処理における吸
水で分子鎖が流動し、巻き経時で固定化された分子鎖が
再配列を起こす。その結果一旦形成された巻きぐせカー
ルが解消するという優れた性質を有している。この様な
TACのごとき巻きぐせカール回復性を有さないフィル
ムを用いた写真感光材料では、ロール状態で用いられた
際に、例えば現像後写真印画紙に画像を形成させる焼き
付け工程等で、スリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャ
ミング等の問題が生じてしま。一方、PETフィルムは
優れた生産性、機械的強度、ならびに寸度安定性を有す
るためTACに代替するものと考えられてきたが、写真
感光材料として広範囲に用いられているロール形態では
巻きぐせカールが強く残留するため現像処理後の取り扱
い性が悪く、上記の優れた性質がありながらその使用範
囲が限定されてきた。
【0003】ところで、近年写真感光材料の、用途は多
様化しており撮影時のフィルム搬送の高速化、撮影倍率
の高倍率化、ならびに撮影装置の小型化が著しく進んで
いる。その際には、写真感光材料用の支持体としては、
強度、寸度安定性、薄膜化等の性質が要求される。さら
に、撮影装置の小型化に伴い、パトローネの小型化の要
求が強くなっている。従来、135システムでは、直径
25mmのパトローネが用いられてきたが、このスプール
(巻芯)を10mm以下にし、同時に、現行135システ
ムで用いているTAC支持体厚みの122μmから90
μmに薄手化すれば、パトローネを直径20mm以下に小
型化することができる。これを達成するための第1の課
題はフィルムの薄手化に伴う力学強度の低下である。特
に、曲げ弾性は厚みの3乗に比例して小さくなる。ハロ
ゲン化銀写真感材は、一般にゼラチンに分散した感光層
を塗設しており、この層が低湿化で収縮を引き起こし、
トイ状カールを発生する。この収縮応力に抗するだけの
曲げ弾性が支持体に必要となる。
【0004】第2の課題は、スプールの小型化に伴う経
時保存中に発生する強い巻ぐせである。従来の135シ
ステムでは、パトローネ内部で最も巻径の小さくなる3
6枚撮フィルムでも、巻径は14mmである。これを10
mm以下に小型化しようとすると著しい巻ぐせが付き、こ
れにより種々のトラブルが発生する。例えば、ミニラボ
自現機で現像処理を行うと、一端がリーダーに固定され
ているだけで、もう一端は固定されないため、フィルム
が巻上り、ここに処理液の供給が遅れ“処理ムラ”の発
生原因となる。また、このフィルムの巻上りは、ミニラ
ボ中のローラーで押しつぶされ、“折れ”が発生する。
【0005】このような課題を達成するための支持体と
して従来から用いてきたTAC、PET支持体では満足
すべき性能が得られず、新たなポリマー素材から成る支
持体を用いる必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、優れた力学特性を有し、巻ぐせが付きにくく、製造
適性に優れたハロゲン化銀写真感光材料(以下写真感光
材料、写真材料と略する)を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
フィルム支持体上に少くとも1層の以上の感光層を有し
てなるハロゲン化銀写真感光材料において、該ポリエス
テルフィルム支持体をTg+100℃以下Tg−50℃
以上の温度でロール状に巻き取った後該支持体を熱処理
したことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料によっ
て達成された。最初に用いる巻ぐせ測定法およびそれに
関する用語等について説明を加える。 (1)コアセット フィルムをスプールに巻き付けて巻ぐせを付けること。 (2)コアセットカール コアセットにより付けた長さ方向の巻ぐせ。巻ぐせの程
度は、ANSI/ASC pH1.29−1985のTe
st Method Aに従って測定し、1/R〔m〕(Rはカー
ルの半径)で表示した。 (3)絶対コアセットカール 巻ぐせ改良を行う前の写真フィルムのコアセットカー
ル。 (4)コントロールドコアセットカール 巻ぐせ改良を行った後の写真フィルムのコアセットカー
ル。 (5)真のコアセットカール (絶対コアセットカール)−(コントロールドコアセッ
トカール) (6)カール低減率 (真のコアセットカール/絶対コアセットカール)×1
00 (7)ガラス転移温度(Tg) 示差熱分析計(DSC)を用い、サンプルフィルム10
mgをヘリウムチッ素気流中、20℃/分で昇温していっ
た時、ベースラインから偏奇しはじめる温度と新たなペ
ースラインに戻る温度の算術平均温度もしくはTgに吸
熱ピークが現われた時はこの吸熱ピークの最大値を示す
温度をTgとして定義する。
【0008】上述の2つの課題、即ち、強い力学強度と
少い巻ぐせを達成するためには、2つの方法が存在す
る。第1の方法は、巻ぐせ回復性を有するTACを変性
し、力学強度の向上を狙う方法である。第2の方法は、
力学強度に優れる、PETに代表されるポリエステル支
持体に、巻ぐせが付きにくいようにする方法である。前
者の方法でこの課題を達成することは、非常に困難であ
ると予想される。すなわち、現行カラーネガ写真材料で
用いているTAC支持体の厚みは122μmあり、これ
を90μmにまで低下させると、曲弾性率は、厚みの3
乗に比例するため、122μm支持体の4割にまで低下
する。即ち、2.5倍強い弾性率を持つ支持体を達成す
る必要がある。また、スプール径を10mm以下にまで低
下させると、巻ぐせ回復性を有するTACですら、現像
処理中に充分に回復しきれず、前述の“処理ムラ”や
“折れ”が発生する。このように、“弾性率の2.5倍
向上”と“巻ぐせ回復性の向上”という2つの課題を同
時に解決することはかなり困難であると考えられる。
【0009】一方、後者の方法で達成しようとする場
合、例えば、PETを用いた場合本来有する強い弾性率
のため、TAC122μm相当の曲げ弾性を90μmで
達成できる。さらに、ポリエチレンナフタレート(PE
N)を用いると、PETよりさらに弾性率が高く80μ
m近くまで薄くすることができる。従って後者の場合、
これらの支持体の巻ぐせ改良のみを行えば良いわけであ
り、この方向から検討を行い本発明に到った。
【0010】ポリエステルフィルムの巻きぐせを付きに
くくする方法として特開昭51−16358に記載され
ている方法、即ちガラス転移温度を30℃ないし50℃
下廻る温度で熱処理する方法が知られている。ところ
が、この方法を現実に工業生産に適応するには、いくつ
かの問題点が存在する。そのうち最も大きな問題がフィ
ルムの加熱処理方法である。生産性の観点からフィルム
支持体はロール状に巻き取って加熱処理するが、ポリエ
ステルの伝熱速度が低いため巻芯部の温度が、所定の温
度に上昇するために約2〜3日の時間が必要となり生産
効率が非常に低下するという問題があった。さらに室温
で巻き取った後加熱するとベースの収縮によりベースに
ベコが発生するという問題も発生した。この問題を解決
するために、本発明では支持体を巻き取り前に加熱した
後巻き取ってから所定の熱処理をすることにより特開昭
51−16358と同様の効果を短時間で得ることを見
出した。本発明を用いると従来支持体の昇温に必要であ
った2〜3日の時間を省略できる上、さらにゆっくり徐
冷することで一定温度に保った場合より短時間で同等の
効果を得ることができ著しく生産効率を向上することを
見出した。同時にベコの発生も防止でき、均一なベース
を得ることができるようになった。
【0011】本発明では、Tg+100℃以下Tg−5
0℃以上の温度さらに好ましくはTg+30℃以下Tg
−30℃以上の温度でロール状に巻き取られた後熱処理
される。巻取り温度はTg以上から行った方がより巻き
ぐせ防止効果が大きいが、高すぎる弾性率が低下し巻取
りを行いづらくなる。Tg+100℃以下、より好まし
くはTg+30℃以下で巻取ることが望ましい。一方、
Tg−50℃以下の温度で巻き取ると温度が低すぎるた
め後で行う熱処理に於て十分な効果が得られない。従っ
て、巻取り温度はTg−50℃以上、より好ましくはT
g−30℃以上で行うことが好ましい。
【0012】このような高温で支持体を巻き取ることは
容易に行うことができる。例えば、ポリエステル支持体
は製膜の最終プロセスに於て200℃にて熱固定を行う
ためこの支持体を本発明の温度にまで、冷風ないしは冷
却ドラムにて、冷却後巻取れば良い。また下塗りあるい
はバック層を塗設した後も、支持体は通常100℃ない
し200℃の乾燥ゾーンを通過して出てくるため、必要
に応じて冷却ドラムや冷風で支持体温度を下げたり、ヒ
ートドラムを通過させることにより、加熱した後、巻き
取ってもよい。さらに、一度室温まで低下したベース
も、温風ゾーンを通過させたりヒートロールに接触させ
るだけで容易に所定の温度まで上昇させることが可能で
ある。以上のように、ベースの温度を本発明の巻取り温
度に調整して容易に巻き取ることができる。巻き取りは
一度加熱された支持体がなるべく放冷しない様に速い速
度で巻き取ることが望ましい。さらに巻取機付近に赤外
線ヒーター等温風の吹出し口を設け加熱しながら巻き取
る方がさらに好ましい。
【0013】このようにして巻き取ると、巻き取った状
態ですでに巻芯部から巻外部までほぼ均一に希望する温
度にすることができる。これに対して直径1mに巻き取
った厚み100μm幅1mのPET支持体を室温から1
00℃に加熱するには、2日以上の時間を要するうえ、
巻芯部と巻外部で20℃以上の温度差が生ずる。さら
に、ベースの熱収縮によるベコも発生し、平面性が低下
する。このように本発明を用いると著しく短時間で効率
的でありかつ均質な熱処理をベースの平面性をそこなう
ことなく施すことが可能である。
【0014】このようにして巻き取った支持体をTg以
下室温以上より好ましくは、Tg以下室温以上、より好
ましくは、Tg−5℃以下Tg−40℃以上の温度で
0.1時間以上1500時間以下、さらに好ましくは2
時間以上200時間以下熱処理を行う。このようなTg
以下の熱処理は特開昭51−16358記載の方法と同
様であり、Tg以下で分子に安定構造を与え分子を流動
させにくくしようとするものである。一方、Tg以上で
熱処理を行うと分子の激しいブラウン運動のため、不安
定構造を作り分子は流動し易くなり巻きぐせは付き易く
なる。従ってこの熱処理はTg以下の温度で行う必要が
あり、Tg以上の温度で巻き取っても熱処理は、Tg以
下の温度まで冷却して行う必要がある。しかし、この熱
処理による安定構造の形成は、Tg以下であるべく高温
で作った方が、より速やかに形成されるためなるべく高
温で行う方が望ましい。一方Tg近くではすでにブラウ
ン運動による不安定構造形成が始まる。このため本発明
の熱処理はTg以下室温以上、より好ましくはTg−5
0℃以下、Tg−40℃以上の温度範囲で行うことが、
より好ましい。
【0015】このようにして、Tg+100℃以下Tg
−50℃以上の温度で巻き取った後Tg以下、室温以上
で熱処理を行った場合、支持体をロール状にしてから、
所定の温度にまで昇温し、この後加熱処理した場合に比
べて著しく短時間で熱処理が可能である上、巻芯部と巻
外部の間での温度差か少くため、より均一な熱処理を達
成することができる。さらに、室温など加熱していた場
合に生じていた、ベースの熱収縮に起因する巻きじまり
やベコ等の発生も防止することができる。熱処理時間は
充分な効果を得るために0.1時間以上、より好ましく
は2時間以上行う必要がある。一方、200時間以降か
らなる効果は飽和しはじめ1500時間以降は完全に飽
和する。従って熱処理時間は1500時間以下、より好
ましくは200時間以下である。
【0016】このようなTg以下での熱処理は、一定温
度で行った場合よりも徐冷しながら行う方がより促進さ
れることを新たに見出した。徐冷速度は−0.1℃/h
r以上−20℃/hr以下であることが必要である。−
20℃/hr以下では、冷却が早すぎ、充分な効果を挙
げることができない。一方、−0.01℃/hr以下で
は、一定温度での場合と同様で充分な徐冷効果が得られ
ない。従って−0.01℃/hr以上−20℃/hr以
下、より好ましくは、−3℃/hr以下−0.2℃/h
r以上である。また徐冷は上記理由からTg以上では、
効果がないためTg以下で行う必要がある。
【0017】このようにして加熱した支持体を徐冷す
る。最も容易に徐冷する方法としては、ロール状に巻き
取った支持体をそのまま室温に放置し徐冷する方法が挙
げられる。この場合、100μm厚1m幅のPET支持
体を直径1mに巻いた場合、100℃から室温まで約3
日間かけて徐冷することが可能である。但し、この場
合、最外層付近の温度の低下が、巻芯部より大きくなり
易い欠点がある。このような場合、断熱材を周囲に巻き
付けて、徐冷させることにより外周部、巻芯部でより均
一な熱処理を施すことが可能である。さらに均一な熱処
理を施すには、上述の方法で加熱した支持体を熱処理で
施そうとする温度の恒温槽に入れ、希望する冷却速度で
恒温槽内を冷却する。この方法によると所定の冷却速度
で徐冷することが可能となる。
【0018】徐冷の終了した支持体のロールは、そのま
ま室温まで冷却してもよく、また徐冷停止温度から、所
定の温度あるいは室温まで急冷してもよい。急冷する方
法としては、ロールを巻き換えながら冷却ロールに接触
させたり、冷風を送って冷却する方法などを実施するこ
とができる。
【0019】以上のような熱処理の効果は徐冷を行った
場合も、一定温度で熱処理した場合もこの処理の後、T
g以上の温度にさらされると消失する。従ってベースの
表面処理、下塗り層やバック層の塗設前に熱処理を行う
時は、これらの処理や塗設がTgを越えない様に行う必
要がある。この熱処理の前に行っておくことが必要であ
る。また、本発明の処理温度は乳剤層の成分を分解させ
るに充分な条件であるため乳剤塗設前に行うことが好ま
しい。
【0020】このような徐冷による熱処理効果はポリエ
ステルフィルムに対して有効であるがこれらの中で特に
Tgが90℃を越えるようなポリエステル支持体に対し
て有効である。これは、本発明の効果が、Tgを越える
温度にさらされると消失するためであり、夏季日照下の
自動車内は90℃近くまで上昇するため、90℃以上の
Tgを持つポリエステル支持体である方が好ましい。ま
た、汎用性を有し、透明なポリエステルで200℃以上
のTgを有するポリエステルは現在のところ存在しな
い。例えばポリ(オキシイソフタロイルオキシ−2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンイソプロピリデン−
3,5−ジメチル−1,4−フェニレン)は225℃の
Tgを有するが透明性が無い。従って本発明のポリエス
テルは、Tgが90℃以上200℃以下であるものが望
ましい。
【0021】このようなTgを有するポリエステルは、
次のような2塩基酸とジキルから形成される。使用可能
な二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸、無水フタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、無水コハク酸、マレイン酸、フマル
酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、
テトラヒドロ無水フタル酸、ジフェニレンp,p′−ジ
カルボン酸、テトラクロロ無水フタル酸、3,6−エン
ドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】等を挙げることができる。使用可能なジオ
ールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパン
ジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オク
タンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−
ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロ
ヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,4
−ベンゼンジメタノール、
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】等を挙げることができる。また、必要に応
じて、単官能または、3以上の多官能の水酸基含有化合
物あるいは、酸含有化合物が共重合されていても構わな
い。また、本発明のポリエステルには、分子内に水酸基
とカルボキシル基(あるいはそのエステル)を同時に有
する化合物が共重合されていても構わない。このような
化合物の例としては、以下が挙げられる。
【0028】
【化5】
【0029】これらのジオール、2塩基酸から成なるポ
リエステルの中で、さらに好ましいものとしては、ポリ
エチレン、2,6−ジナフタレート(PEN)、ポリア
クリレート(PAr)、ポリシクロヘキサンジメタノー
ルテレフタレート(PCT)等のホモポリマー、およ
び、ジカルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン
酸(NDCA)、テレフタル酸(TPA)、イソフタル
酸(IPA)、オルトフタル酸(OPA)、シクロヘキ
サンジカルボン酸(CHDC)、パラフェニレンジカル
ボン酸(PPDC)、ジオールとして、エチレングリコ
ール(EG)、シクロヘキサンジメタノール(CHD
M)、ネオペンチルグリコール(NPG)、ビスフェノ
ールA(BPA)、ビフェノール(BP)また、ヒドロ
キシカルボン酸としてパラヒドロキシ安息香酸(PHB
A)、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸(H
NCA)を共重合させたものが挙げられる。これらの中
でさらに好ましいものとして、ナフタレンジカルボン
酸、テレフタール酸とエチレングリコールのコポリマー
(ナフタレンジカルボン酸とテレフタール酸の混合モル
比は0.3:0.7〜1.0:0の間が好ましく、0.
5:0.5〜0.8:0.2が更に好ましい。)、テレ
フタル酸とエチレングリコール、ビスフェノールAのコ
ポリマー(エチレングリコールとビスフェノールAの混
合モル比は0.6:0.4〜0:1.0の間が好まし
く、更には0.5:0.5〜0:0.9が好まし
い。)、イソフタール酸、パラフェニレンジカルボン
酸、テレフタル酸とエチレングリコールのコポリマー
(イソフタール酸;パラフェニレンジカルボン酸のモル
比はテレフタル酸を1とした時それぞれ0.1〜10.
0、0.1〜20.0、更に好ましくは、それぞれ0.
2〜5.0、0.2〜10.0が好ましい)、ナフタレ
ンジカルボン酸、ネオペンチルグリコールとエチレング
リコールのコポリマー(ネオペンチルグリコールとエチ
レングリコールのモル比は1:0〜0.7:0.3が好
ましく、より好ましくは0.9:0.1〜0.6:0.
4)テレフタル酸、エチレングリコールとビフェノール
のコポリマー(エチレングリコールとビフェノールのモ
ル比は、0:1.0〜0.8:0.2が好ましく、さら
に好ましくは0.1:0.9〜0.7:0.3であ
る。)、パラヒドロキシ安息香酸、エチレングリコール
とテレフタル酸のコポリマー(パラヒドロキシ安息香
酸、エチレングリコールのモル比は1:0〜0.1:
0.9が好ましく、さらに好ましくは0.9:0.1〜
0.2:0.8)等の共重合体およびPENとPET
(組成比0.3:0.7〜1.0:0が好ましく、0.
5:0.5〜0.8:0.2が更に好ましい)、PET
とPAr(組成比0.6:0.4〜0:1.0が好まし
く、0.5:0.5〜0:0.9が更に好ましい)等の
ポリマーブレンドでも良い。
【0030】PENは、これらのポリエステルの中で最
もバランスが取れており、力学強度、特に高い弾性率を
有し、かつガラス転移温度も120℃付近と充分高い。
しかし蛍光を発するという欠点を有している。一方、P
CTは力学強度も高く、ガラス転移温度も110℃付近
と高いが結晶化速度が極めて高く、透明なフィルムを得
にくい欠点を有している。PArはこれらのポリマーの
中で、最も高いガラス転移温度(190℃)を有する
が、力学強度がPETに比べて弱い欠点を有する。従っ
て、これらの欠点を補うためこれらのポリマーをブレン
ドもしくはこれらを形成するモノマーを共重合したもの
を用いることができる。これらのホモポリマーおよびコ
ポリマーは、従来公知のポリエステルの製造方法に従っ
て合成できる。例えば酸成分をグリコール成分と直接エ
ステル化反応するか、または酸成分としてジアルキルエ
ステルを用いる場合は、まず、グリコール成分とエステ
ル交換反応をし、これを減圧下で加熱して余剰のグリコ
ール成分を除去することにより、合成することができ
る。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、グリコ
ールと反応させてもよい。この際、必要に応じて、エス
テル交換反応、触媒あるいは重合反応触媒を用いたり、
耐熱安定化剤を添加してもよい。これらのポリエステル
合成法については、例えば、高分子実験学第5巻「重縮
合と重付加」(共立出版、1980年)第103頁〜第
136頁、“合成高分子V”(朝倉書店、1971年)
第187頁〜第286頁の記載を参考に行うことができ
る。これらのポリエステルの好ましい平均分子量の範囲
は約10,000ないし500,000である。
【0031】また、このようにして得られたポリマーの
ポリマーブレンドは、特開昭49−5482、同64−
4325、特開平3−192718、リサーチ・ディス
クロージャー283,739−41、同284,779
−82、同294,807−14に記載した方法に従っ
て、容易に形成することができる。
【0032】次に本発明に用いるポリエステル(B)の
好ましい具体的化合物例を示すが、本発明がこれに限定
されるものではない。 ポリエステル化合物例 ・ホモポリマー PEN:〔2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)/エチレングリコー ル(EG)(100/100)〕 Tg=119℃ PCT:〔テレフタル酸(TPA)/シクロヘキサンジメタノール(CHDM )(100/100)〕 Tg=93℃ PAr:〔TPA/ビスフェノールA(BPA) (100/100)〕 Tg=192℃ ・共重合体(( )内はモル比を表わす。) PBC−1 2,6−NDCA/TPA/EG(50/50/100) Tg=92℃ PBC−2 2,6−NDCA/TPA/EG(75/25/100) Tg=102℃ PBC−3 2,6−NDCA/TPA/EG/BPA(50/50/75/ 25) Tg=112℃ PBC−4 TPA/EG/BPA(100/50/50)Tg=105℃ PBC−5 TPA/EG/BPA(100/25/75)Tg=135℃ PBC−6 TPA/EG/CHDM/BPA(100/25/25/50) Tg=115℃ PBC−7 IPA/PPDC/TPA/EG(20/50/30/100) Tg=95℃ PBC−8 NDCA/NPG/EG(100/70/30) Tg=105℃ PBC−9 TPA/EG/BP(100/20/80) Tg=115℃ PBC−10 PHBA/EG/TPA(200/100/100) Tg=125℃ ・ポリマーブレンド(( )内は重量比を表わす。) PBB−1 PEN/PET(60/40) Tg=95℃ PBB−2 PEN/PET(80/20) Tg=104℃ PBB−3 PAr/PEN(50/50) Tg=142℃ PBB−4 PAr/PCT(50/50) Tg=118℃ PBB−5 PAr/PET(60/40) Tg=101℃ PBB−6 PEN/PET/PAr(50/25/25)Tg=108℃
【0033】以上のようなポリエステルは全てTACよ
りも強い曲弾性率を有し、当初の目的であるフィルムの
薄手化を実現可能である。しかし、これらの中で最も強
い曲弾性を有していたのがPENであり、これを用いる
とTACで122μm必要だった膜厚を80μmにまで
薄くすることが可能である。また、これらのポリマーフ
ィルムの厚みは50μm以上、300μm以下である。
50μm以下で感光層の収縮おうりょく耐えられる曲げ
弾性を有する透明ポリマーフィルムはまた存在しておら
ず、また300μm以上では、細巻きスプールを用いる
意味が無い。
【0034】また、これらのポリマーフィルム中に蛍光
防止および経時安定性付与の目的で紫外線吸収剤を、練
り込んでも良い。紫外線吸収剤としては、可視領域に吸
収を持たないものが望ましく、かつその添加量はポリマ
ーフィルムの重量に対して通常0.5重量%ないし20
重量%、好ましくは1重量%ないし10重量%程度であ
る。0.5重量%未満では紫外線劣化を抑える効果が期
待できない。紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベン
ゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベン
ゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベ
ンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジ
メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2
(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2(2′−ヒドロキシ3′,5′−ジ−t−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒド
ロキシ−3′−ジ−t−ブチル−5′−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サ
リチル酸フェニル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系
紫外線吸収剤が挙げられる。
【0035】また、ポリエステルフィルムを写真感光材
料用支持体として使用する際に問題となる性質の一つに
支持体が高屈折率であるために発生するふちかぶりの問
題があげられる。ポリエステル特に芳香族系ポリエステ
ルの屈折率は、1.6〜1.7と高いのに対し、この上
に塗設する感光層の主成分であるゼラチンの屈折率は
1.50〜1.55とこの値より小さい。従って、光が
フィルムエッジから入射した時、ベースと乳剤層の界面
で反射しやすい。従って、ポリエステル系のフィルムは
いわゆるライトパイピング現象(ふちかぶり)を起こ
す。この様なライトパイピング現象を回避する方法とし
てはフィルムに不活性無機粒子等を含有させる方法なら
びに染料を添加する方法等が知られている。本発明にお
いて好ましいライトパイピング防止方法はフィルムヘイ
ズを著しく増加させない染料添加による方法である。フ
ィルム染色に使用する染料については特に限定を加える
ものでは無いが色調は感光材料の一般的な性質上グレー
染色が好ましく、また染料はポリエステルフィルムの製
膜温度域での耐熱性に優れ、かつポリエステルとの相溶
性に優れたものが好ましい。染料としては、上記観点か
ら三菱化成製の Diaresin 、日本化薬製の Kayaset等ポ
リエステル用として市販されている染料を混合すること
により目的を達成することが可能である。染色濃度に関
しては、マクベス社製の色濃度計にて可視光域での色濃
度を測定し少なくとも0.01以上であることが必要で
ある。更に好ましくは0.03以上である。
【0036】本発明によるポリエステルフィルムは、用
途に応じて易滑性を付与することも可能であり、易滑性
付与手段としては特に限定を加えるところでは無いが、
不活性無機化合物の練り込み、あるいは界面活性剤の塗
布等が一般的手法として用いられる。かかる不活性無機
粒子としてはSiO2 、TiO2 、BaSO4 、CaC
3、タルク、カオリン等が例示される。また、上記の
ポリエステル合成反応系に不活性な粒子を添加する外部
粒子系による易滑性付与以外にポリエステルの重合反応
時に添加する触媒等を析出させる内部粒子系による易滑
性付与方法も採用可能である。これら易滑性付与手段に
は特に限定を加えるものでは無いが、写真感光材料用支
持体としては透明性が重要な要件となるため、上記易滑
性付与方法手段では外部粒子系としてはポリエステルフ
ィルムと比較的近い屈折率をもつSiO2 、あるいは析
出する粒子径を比較的小さくすることが可能な内部粒子
系を選択することが望ましい。更には、練り込みによる
易滑性付与を行う場合、よりフィルムの透明性を得るた
めに機能付与した層を積層する方法も好ましい。この手
段としては具体的には複数の押し出し機ならびにフィー
ドブロック、あるいはマルチマニフォールドダイによる
共押出し法が例示される。
【0037】これらのポリマーフィルムを支持体に使用
する場合、これらポリマーフィルムがいずれも疎水性の
表面を有するため、支持体上にゼラチンを主とした保護
コロイドからなる写真層(例えば感光性ハロゲン化銀乳
剤層、中間層、フィルター層等)を強固に接着させる事
は非常に困難である。この様な難点を克服するために試
みられた従来技術としては、(1) 薬品処理、機械的処
理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処
理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処
理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理
をしたのち、直接写真乳剤を塗布して接着力を得る方法
と、(2) 一旦これらの表面処理をした後、あるいは表面
処理なしで、下塗層を設けこの上に写真乳剤層を塗布す
る方法との二法がある。(例えば米国特許第2,69
8,241号、同2,764,520号、同2,86
4,755号、同3,462,335号、同3,47
5,193号、同3,143,421号、同3,50
1,301号、同3,460,944号、同3,67
4,531号、英国特許第788,365号、同80
4,005号、同891,469号、特公昭48−43
122号、同51−446号等)。
【0038】これらの表面処理は、いずれも、本来は疎
水性であった支持体表面に多少共、極性基を作らせる
事、表面の架橋密度を増加させることなどによるものと
思われ、その結果として下塗液中に含有される成分の極
性基との親和力が増加すること、ないし接着表面の堅牢
度が増加すること等が考えられる。又、下塗層の構成と
しても種々の工夫が行なわれており、第1層として支持
体によく接着する層(以下、下塗第1層と略す)を設
け、その上に第2層として写真層とよく接着する親水性
の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重
層法と、疎水性基と親水性基との両方を含有する樹脂層
を一層のみ塗布する単層法とがある。(1) の表面処理の
うち、コロナ放電処理は、最もよく知られている方法で
あり、従来公知のいずれの方法、例えば特公昭48−5
043号、同47−51905号、特開昭47−280
67号、同49−83767号、同51−41770
号、同51−131576号等に開示された方法により
達成することができる。放電周波数は50Hz〜5000
kHz 、好ましくは5kHz 〜数100kHz が適当である。
放電周波数が小さすぎると、安定な放電が得られずかつ
被処理物にピンホールが生じ、好ましくない。又周波数
が高すぎると、インピーダンスマッチングのための特別
な装置が必要となり、装置の価格が大となり、好ましく
ない。被処理物の処理強度に関しては、通常のポリエス
テル、ポリオレフィン等のプラスチックフィルムの濡れ
性改良の為には、0.001KV・A ・分/m2〜5KV・A
・分/m2、好ましくは0.01KV・A ・分/m2〜1KV・
A ・分/m2、が適当である。電極と誘電体ロールのギャ
ップクリアランスは0.5〜2.5mm、好ましくは1.
0〜2.0mmが適当である。
【0039】多くの場合、もっとも効果的な表面処理で
あるグロー放電処理は、従来知られているいずれの方
法、例えば特公昭35−7578号、同36−1033
6号、同45−22004号、同45−22005号、
同45−24040号、同46−43480号、米国特
許3,057,792号、同3,057,795号、同
3,179,482号、同3,288,638号、同
3,309,299号、同3,424,735号、同
3,462,335号、同3,475,307号、同
3,761,299号、英国特許997,093号、特
開昭53−129262号等を用いることができる。グ
ロー放電処理条件は、一般に圧力は0.005〜20To
rr、好ましくは0.02〜2Torrが適当である。圧力が
低すぎると表面処理効果が低下し、また圧力が高すぎる
と過大電流が流れ、スパークがおこりやすく、危険でも
あるし、被処理物を破壊する恐れもある。放電は、真空
タンク中で1対以上の空間を置いて配置された金属板或
いは金属棒間に高電圧を印加することにより生じる。こ
の電圧は、雰囲気気体の組成、圧力により色々な値をと
り得るものであるが、通常上記圧力範囲内では、500
〜5000Vの間で安定な定常グロー放電が起る。接着
性を向上せしめるのに特に好適な電圧範囲は、2000
〜4000Vである。又、放電周波数として、従来技術
に見られるように、直流から数1000MHz、好ましく
は50Hz〜20MHz が適当である。放電処理強度に関し
ては、所望の接着性能が得られることから0.01KV・
A ・分/m2〜5KV・A ・分/m2、好ましくは0.15KV
・A ・分/m2〜1KV・A ・分/m2が適当である。
【0040】次に(2) の下塗法について述べると、これ
らの方法はいずれもよく研究されており、重層法におけ
る下塗第1層では、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン
酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発
原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミ
ン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロ
ースなど数多くのポリマーについて、下塗第2層では主
としてゼラチンについてその特性が検討されてきた。単
層法においては、多くは支持体を膨潤させ、親水性下塗
ポリマーと界面混合させる事によって良好な接着性を達
成している場合が多い。本発明に使用する親水性下塗ポ
リマーとしては水溶性ポリマー、セルロースエステル、
ラテックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが例示さ
れる。水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘
導体、ガゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、
ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸共重合体、無
水マレイン酸共重合体などであり、セルロースエステル
としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロースなどである。ラテックスポリマーとしては
塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合
体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有
共重合体、ブタジエン含有共重合体などである。この中
でも最も好ましいのはゼラチンである。本発明に使用さ
れる支持体を膨潤させる化合物として、レゾルシン、ク
ロルレゾルシン、メチルレゾルシン、o−クレゾール、
m−クレゾール、p−クレゾール、フェノール、o−ク
ロルフェノール、p−クロルフェノール、ジクロルフェ
ノール、トリクロルフェノール、モノクロル酢酸、ジク
ロル酢酸、トリフルオロ酢酸、抱水クロラールなどがあ
げられる。この中で好ましいのは、レゾルシンとp−ク
ロルフェノールである。
【0041】本発明の下びき層には種々のゼラチン硬化
剤を用いることができる。ゼラチン硬化剤としてはクロ
ム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアル
デヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート
類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒド
ロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹
脂などを挙げることができる。本発明の下びき層にはS
iO2 、TiO2 、マット剤の如き無機物微粒子又はポ
リメチルメタクリレート共重合体微粒子(1〜10μ
m)を含有することができる。これ以外にも、下塗液に
は、必要に応じて各種の添加剤を含有させることができ
る。例えば界面活性剤、帯電防止剤、アンチハレーショ
ン剤、着色用染料、顔料、塗布助剤、カブリ防止剤等で
ある。本発明において、下塗第1層用の下塗液を使用す
る場合には、レゾルシン、抱水クロラール、クロロフェ
ノールなどの如きエッチング剤を下塗液中に含有させる
必要は全くない。しかし所望により前記の如きエッチン
グ剤を下塗中に含有させることは差し支えない。
【0042】本発明に係わる下塗液は、一般によく知ら
れた塗布方法、例えばティップコート法、エアーナイフ
コート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイ
ヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは米国特許
第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用
するエクストルージョンコート法により塗布することが
出来る。所望により、米国特許第2,761,791
号、同3,508,947号、同2,941,898
号、及び同3,526,528号明細書、原崎勇次著、
「コーティング工学」253頁(1973年、朝倉書店
発行)などに記載された方法により2層以上の層を同時
に塗布することが出来る。
【0043】バック層のバインダーとしては、疎水性ポ
リマーでもよく、下びき層に用いる如き親水性ポリマー
であってもよい。本発明の感光材料のバック層には、帯
電防止剤、易滑剤、マット剤、界面活性剤、染料等を含
有することができる。本発明のバック層で用いられる帯
電防止剤としては、特に制限はなく、たとえばアニオン
性高分子電解質としてはカルボン酸及びカルボン酸塩、
スルホン酸塩を含む高分子で例えば特開昭48−220
17号、特公昭46−24159号、特開昭51−30
725号、特開昭51−129216号、特開昭55−
95942号に記載されているような高分子である。カ
チオン性高分子としては例えば特開昭49−12152
3号、特開昭48−91165号、特公昭49−245
82号に記載されているようなものがある。またイオン
性界面活性剤もアニオン性とカチオン性とがあり、例え
ば特開昭49−85826号、特開昭49−33630
号、US2,992,108、US3,206,31
2、特開昭48−87826号、特公昭49−1156
7号、特公昭49−11568号、特開昭55−708
37号などに記載されているような化合物を挙げること
ができる。本発明のバック層の帯電防止剤として最も好
ましいものは、ZnO、TiO3、SnO2 、Al2
3 、In2 3 、SiO2 、MgO、BaO、MoO3
の中から選ばれた少くとも1種の結晶性の金属酸化物あ
るいはこれらの複合酸化物の微粒子である。本発明に使
用される導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物の微
粒子はその体積抵抗率が107 Ωcm以下、より好ましく
は105 Ωcm以下である。またその粒子サイズは0.0
1〜0.7μ、特に0.02〜0.5μですることが望
ましい。
【0044】本発明に使用される導電性の結晶性金属酸
化物あるいは複合酸化物の微粒子の製造方法については
特開昭56−143430号及び同60−258541
号の明細書に詳細に記載されている。第1に金属酸化物
微粒子を焼成により作製し、導電性を向上させる異種原
子の存在下で熱処理する方法、第2に焼成により金属酸
化物微粒子を製造するときに導電性を向上させる為の異
種原子を共存させる方法、第3に焼成により金属微粒子
を製造する際に雰囲気中の酸素濃度を下げて、酸素欠陥
を導入する方法等が容易である。異種原子を含む例とし
てはZnOに対してAl、In等、TiO2 に対しては
Nb、Ta等、SnO2 に対してはSb、Nb、ハロゲ
ン元素等が挙げられる。異種原子の添加量は0.01〜
30mol%の範囲が好ましいが0.1〜10mol%
であれば特に好ましい。
【0045】次に本発明の写真感光材料の写真層につい
て記載する。ハロゲン化銀乳剤層としては黒白用カラー
用何れでもよい。ここではカラーハロゲン化銀写真感光
材料について説明する。本発明の感光材料は、支持体上
に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀
乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよく、ハロ
ゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特
に制限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質
的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲ
ン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有する
ハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層は青色
光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単
位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材
料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側
から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置
される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であって
も、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたよ
うな設置順をもとりえる。上記、ハロゲン化銀感光性層
の間および最上層、最下層には各層の中間層等の非感光
性層を設けてもよい。該中間層には、特開昭61−43
748号、同59−113438号、同59−1134
40号、同61−20037号、同61−20038号
明細書に記載されているようなカプラー、DIR化合物
等が含まれていてもよく、通常用いられるように混色防
止剤を含んでいてもよい。各単位感光性層を構成する複
数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,4
70号あるいは英国特許第923,045号、特開昭5
7−112751号、同62−200350号、同62
−206541号、同62−206543号、同56−
25738号、同62−63936号、同59−202
464号、特公昭55−34932号、同49−154
95号明細書に記載されている。ハロゲン化銀粒子は、
立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有す
るもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するも
の、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれ
らの複合形でもよい。
【0046】ハロゲン化銀の粒径は、約0.2ミクロン
以下の微粒子でも投影面積直径が約10ミクロンに至る
までの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳
剤でもよい。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤
は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.
17643(1978年12月)、22〜23頁、
“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)" 、
および同No. 18716(1979年11月)、648
頁、グラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ
ル社刊(P. Glafkides, Chemie et Phisique Photograp
hique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳
剤化学」、フォーカルプレス社刊 (G. F. Duffin Photo
graphic Emulsion Chemistry (Focal Press,196
6)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォ
ーカルプレス社刊(V. L. Zelikman et al., Making an
d Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 19
64)などに記載された方法を用いて調製することがで
きる。米国特許第3,574,628号、同3,65
5,394号および英国特許第1,413,748号な
どに記載された単分散乳剤も好ましい。また、アスペク
ト比が約5以上であるような平板状粒子も本発明に使用
できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック
・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Pho
tographic Science and Engineering)、第14巻、24
8〜257頁(1970年);米国特許第4,434,
226号、同4,414,310号、同4,433,0
48号、同4,439,520号および英国特許第2,
112,157号などに記載の方法により簡単に調製す
ることができる。結晶構造は一様なものでも、内部と外
部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状
構造をなしていてもよい。また、エピタキシャル接合に
よって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよ
く、また例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以
外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形
の粒子の混合物を用いてもよい。
【0047】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャーN
o. 17643および同No. 18716に記載されてお
り、その該当箇所を後掲の表にまとめた。本発明に使用
できる公知の写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・デ
ィスクロージャーに記載されており、下記の表に関連す
る記載箇所を示した。
【0048】 (添加剤種類) (RD17643) (RD18716) 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同上 3 分光増感剤、強色増感剤 23〜24頁 648頁右欄〜 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤および安定剤 24〜25頁 649頁右欄〜 6 光吸収剤、フィルター染料、 紫外線吸収剤 25〜26頁 649頁右欄〜 650頁左欄 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、表面活性剤 26〜27頁 650頁右欄 また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防
止するために、米国特許4,411,987号、や同第
4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと
反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加するこ
とが好ましい。
【0049】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスク
ロージャー(RD)No. 17643、VII −C〜Gに記
載された特許に記載されている。イエローカプラーとし
ては、例えば米国特許第3,933,501号、同第
4,022,620号、同第4,326,024号、同
第4,401,752号、同第4,248,961号、
特公昭58−10739号、英国特許第1,425,0
20号、同第1,476,760号、米国特許第3,9
73,968号、同第4,314,023号、同第4,
511,649号、欧州特許第249,473A号、等
に記載のものが好ましい。マゼンタカプラーとしては5
−ピラゾロン系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ま
しく、米国特許第4,310,619号、同第4,35
1,897号、欧州特許第73,636号、米国特許第
3,061,432号、同第3,725,067号、リ
サーチ・ディスクロージャーNo. 24220(1984
年6月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディ
スクロージャーNo. 24230(1984年6月)、特
開昭60−43659号、同61−72238号、同6
0−35730号、同55−118034号、同60−
185951号、米国特許第4,500,630号、同
第4,540,654号、同第4,556,630号、
WO(PCT)88/04795号等に記載のものが特
に好ましい。
【0050】シアンカプラーとしては、フェノール系及
びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,0
52,212号、同第4,146,396号、同第4,
228,233号、同第4,296,200号、同第
2,369,929号、同第2,801,171号、同
第2,772,162号、同第2,895,826号、
同第3,772,002号、同第3,758,308
号、同第4,334,011号、同第4,327,17
3号、西独特許公開第3,329,729号、欧州特許
第121,365A号、同第249,453A号、米国
特許第3,446,622号、同第4,333,999
号、同第4,753,871号、同第4,451,55
9号、同第4,427,767号、同第4,690,8
89号、同第4,254,212号、同第4,296,
199号、特開昭61−42658号等に記載のものが
好ましい。発色色素の不要吸収を補正するためのカラー
ド・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo. 1
7643のVII −G項、米国特許第4,163,670
号、特公昭57−39413号、米国特許第4,00
4,929号、同第4,138,258号、英国特許第
1,146,368号に記載のものが好ましい。発色色
素が過度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許
第4,366,237号、英国特許第2,125,57
0号、欧州特許第96,570号、西独特許(公開)第
3,234,533号に記載のものが好ましい。ポリマ
ー化された色素形成カプラーの典型例は、米国特許第
3,451,820号、同第4,080,211号、同
第4,367,282号、同第4,409,320号、
同第4,576,910号、英国特許2,102,13
7号等に記載されている。
【0051】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出するカプラーもまた本発明で好ましく使用でき
る。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のR
D17643、VII 〜F項に記載された特許、特開昭5
7−151944号、同57−154234号、同60
−184248号、同63−37346号、米国特許
4,248,962号に記載されたものが好ましい。現
像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカ
プラーとしては、英国特許第2,097,140号、同
第2,131,188号、特開昭59−157638
号、同59−170840号に記載のものが好ましい。
その他、本発明の感光材料に用いることのできるカプラ
ーとしては、米国特許第4,130,427号等に記載
の競争カプラー、米国特許第4,283,472号、同
第4,338,393号、同第4,310,618号等
に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950
号、特開昭62−24252号等に記載のDIRレドッ
クス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラ
ー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしくはDI
Rレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第17
3,302A号に記載の離脱後復色する色素を放出する
カプラー、R.D.No. 11449、同24241、特
開昭61−201247号等に記載の漂白促進剤放出カ
プラー、米国特許第4,553,477号等に記載のリ
ガンド放出するカプラー、特開昭63−75747号に
記載のロイコ色素を放出するカプラー等が挙げられる。
本発明に使用するカプラーは、種々の公知分散方法によ
り感光材料に導入できる。
【0052】水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の
例は米国特許第2,322,027号などに記載されて
いる。水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が17
5℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸
エステル類、リン酸またはホスホン酸のエステル類、安
息香酸エステル類、アミド類、アルコール類またはフェ
ノール類、脂肪族カルボン酸エステル、アニリン誘導
体、炭化水素類などが挙げられる。また補助溶剤として
は、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上約16
0℃以下の有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルア
セテート、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。ラ
テックス分散法の工程、効果および含浸用のラテックス
の具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特
許出願(OLS)第2,541,274号および同第
2,541,230号などに記載されている。本発明の
感光材料は乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜
厚の総和が28μm以下であり、かつ、膜膨潤速度T1/
2 が30秒以下が好ましい。膜厚は、25℃相対湿度5
5%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、膜膨潤速
度T1/ 2 は、当該技術分野において公知の手法に従って
測定することができる。例えばエー・グリーン(A. Gree
n)らによりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・
エンジニアリング( Photogr. Sci. Eng.)、19巻、2
号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨
潤計)を使用することにより測定でき、T1/2 は発色現
像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨
潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、このT1/2 の膜厚に到
達するまでの時間と定義する。膜膨潤速度T1/2 は、バ
インダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、ある
いは塗布後の経時条件を変えることによって調整するこ
とができる。また、膨潤率は150〜400%が好まし
い。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚
から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算
できる。
【0053】本発明に従ったカラー写真感光材料は、前
述のRD.No. 17643の28〜29頁、および同N
o. 18716の615左欄〜右欄に記載された通常の
方法によって現像処理することができる。本発明のハロ
ゲン化銀カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の
目的で発色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するために
は、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ま
しい。例えば米国特許第3,342,597号のインド
アニリン系化合物、同第3,342,599号、リサー
チ・ディスクロージャー14,850号および同15,
159号記載のシッフ塩基型化合物、同第13,924
号に記載されている。
【0054】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 1)支持体の作成 以下に述べる方法によって、下記支持体A〜Cを作成し
た。 支持体A(ポリエチレンナフタレート(PEN):厚み
40μm、80μm、122μm) 支持体B(ポリエチレンテレフタレート(PET):厚
み90μm) 支持体C(トリアセチルセルロース(TAC):厚み1
22μm) 支持体A:市販のポリエチレン−2,6−ナフタレート
ポリマー100重量部と染料として Diaresin (三菱化
成製)を80μm厚みで400nmでの吸光度が、0.
05となるように添加し常法により乾燥した後、300
℃にて溶融後、T型ダイから押し出し140℃で3.3
倍の縦延伸を行いつづいて130℃で3.3倍の横延伸
を行いさらに250℃で6秒間熱固定し、厚み40、8
0、122μmのフィルムを得た。 支持体B:市販のポリエチレンテレフタレートポリマー
を適法に従い2軸延伸、熱固定を行い、厚み90μmの
フィルムを得た。 支持体C:トリアセチルセルロースを通常の溶液流延法
によりメチレンクロライド/メタノール=82wt比、
TAC濃度13%可塑剤 TPP/BDP=2/1(こ
こでTPP;トリフェニルフォスフェート、BDP:ビ
フェニルジフェニルフォスフェート)の15wt%のバ
ンド法にて作成した。
【0055】2)支持体の熱処理 上記方法で製膜した支持体A、Bについて、製膜後巻き
取る際に表1に示すような方法で熱処理を施した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】熱処理は、製膜時巻取り機直前に加熱ロー
ラーを取り付けこれに約1秒接触するようにして支持体
を加熱した。巻き取ったロールの表面を接触式温度計で
測定し、加熱ロール温度を制御し、巻取温度を所定の温
度に設定した。巻取った支持体は幅1mで長さ5000
mを直径30cmの巻芯に下塗層が上巻になる様に巻き取
った。これを恒温室内に入れ、表1−1に示した条件で
徐冷した。また比較例として、同じ長さで同様に室温で
巻き付けたものを105℃の恒温室に入れた場合と10
5℃で上記方法にて巻き取った後105℃の恒温室に入
れた時を比べた。この結果を図1に示した。このように
本発明の方法では最初から巻芯部、巻外部とも105℃
に保たれているのに対し室温のロールを加熱しようとし
た場合、2日以上経っても巻芯部は105℃に達しない
上、巻芯部と巻外部で大きな温度差を生じ、均一に熱処
理されていることが判る。さらに、本発明と室温から加
熱した場合いを比べた場合、表1に示したように前者は
ベースの平滑性が熱処理後も保たれていたのに対し、後
者の方法では、ベースのベコ、巻きじまり等が発生して
いる。これは室温でベースを巻き取った後、熱処理を施
すことによる熱収縮、さらにはロールの外巻側と内巻側
の温度差による熱収縮量の差等が原因と思われる。熱処
理終了後、これらの支持体の力学強度の中で、支持体の
薄手化に伴い最も重要な曲げ弾性について測定を行っ
た。曲弾性率の測定は円環法と呼ばれる方法を用いて行
った。即ち、幅35mmで、長さ方向に平行にスリットし
たサンプルで円周10cmの円環を作りこれを水平に置
き、これを12mm変形する時の荷重を測定し、曲げ弾性
率の目安とした。今回の測定ではいづれも下塗り層が円
環の内周になるようにして測定し、また測定環境は25
℃60%RHで行った。これらで測定した結果を表1に
示した。PENは80μmでまたPETは90μmでほ
ぼTAC122μmに相当する曲弾性率を示している。
また、この値は本発明の熱処理を行っても変化しなかっ
た。PENの厚みをTAC同様122μmまで厚くする
とA−14、15に示すようにTACの3倍以上の曲げ
弾性を有することが判った。
【0059】3)下塗層の塗設 支持体A、Bは、その各々の両面にコロナ放電処理した
後、下記組成の下塗層を設けた。コロナ放電処理はビラ
ー社性ソリッドステートコロナ処理6KVA モデルを用
い、30cm幅支持体を20m/分で処理する。このと
き、電流、電圧の読み取り値より被処理的は、0.37
KV・A ・分/m2の処理がなされた。処理時の放電周波数
は9.6KHz 、電極と誘電体ロールのギャップクリアラ
ンスは1.6mmであった。 ゼラチン 3g 蒸留水 250cc ソジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート 0.05g ホルムアルデヒド 0.02g また、支持体Cに対しては下記組成の下塗層を設けた。 ゼラチン 0.2g サリチル酸 0.1g メタノール 15cc アセトン 85cc ホルムアルデヒド 0.01g
【0060】4)バック層の塗設 下塗後の支持体A〜Cの下塗層を設けた側とは反対側の
面に下記組成のバック層を塗設した。 4−1)導電性微粒子分散液(酸化スズ−酸化アンチモ
ン複合物分散液)の調製:塩化第二スズ水和物230重
量部と三塩化アンチモン23重量部をエタノール300
0重量部に溶解し均一溶液を得た。この溶液に1Nの水
酸化ナトリウム水溶液を前記溶液のpHが3になるまで滴
下し、コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈
澱を得た。得られた共沈澱を50℃に24時間放置し、
赤褐色のコロイド状沈澱を得た。赤褐色コロイド状沈澱
を遠心分離により分離した。過剰なイオンを除くため沈
澱に水を加え遠心分離によって水洗した。この操作を3
回繰り返し過剰イオンを除去した。過剰イオンを除去し
たコロイド状沈澱200重量部を水1500重量部に再
分散し、600℃に加熱した焼成炉に噴霧し、青味がか
った平均粒径0.2μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の微粒子粉末を得た。この微粒子粉末の比抵抗は2
5Ω・cmであった。上記微粒子粉末40重量部と水60
重量部の混合液をpH7.0に調製し、攪拌機で粗分散の
後、横型サンドミル(商品名ダイノミル;WILLYA. BACH
OFENAG製)で滞留時間が30分になるまで分散して調製
した。
【0061】4−2)バック層の塗設:下記処方〔A〕
を乾燥膜厚が0.3μmになるように塗布し、130℃
で30秒間乾燥した。この上に更に下記の被覆層用塗布
液(B)を乾燥膜厚が0.1μmになるように塗布し、
130℃で2分間乾燥した。 〔処方A〕 上記導電性微粒子分散液 10重量部 ゼラチン 1重量部 水 27重量部 メタノール 60重量部 レゾルシン 2重量部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.01重量部 〔被覆層用塗布液(B)〕 セルローストリアセテート 1重量部 アセトン 70重量部 メタノール 15重量部 ジクロルメチレン 10重量部 p−クロルフェノール 4重量部
【0062】5)感光層の塗設 上記方法で得た支持体上に下記に示すような組成の各層
を重層塗布し、多層カラー感光材料A−1〜17、B−
1〜2、C−1を作成した。 (感光層組成)各層に使用する素材いの主なものは下記
のように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収
剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機
溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬
化剤 ExS:増感色素 各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を
示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示
す。ただし増感色素については、同一層のハロゲン化銀
1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0063】 (試料101) 第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.18 ゼラチン 1.40 ExM−1 0.18 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.20
【0064】 第2層(中間層) 乳剤G 銀 0.065 2,5−ジ−t−ペンタデシルハイドロキノン 0.18 ExC−2 0.020 UV−1 0.060 UV−2 0.080 UV−3 0.10 HBS−1 0.10 HBS−2 0.020 ゼラチン 1.04
【0065】 第3層(低感度赤感乳剤層) 乳剤A 銀 0.25 乳剤B 銀 0.25 ExS−1 6.9×10-5 ExS−2 1.8×10-5 ExS−3 3.1×10-4 ExC−1 0.17 ExC−3 0.030 ExC−4 0.10 ExC−5 0.020 ExC−7 0.0050 ExC−8 0.010 Cpd−2 0.025 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0066】 第4層(中感度赤感乳剤層) 乳剤D 銀 0.70 ExS−1 3.5×10-4 ExS−2 1.6×10-5 ExS−3 5.1×10-4 ExC−1 0.13 ExC−2 0.060 ExC−3 0.0070 ExC−4 0.090 ExC−5 0.025 ExC−7 0.0010 ExC−8 0.0070 Cpd−2 0.023 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.75
【0067】 第5層(高感度赤感乳剤層) 乳剤E 銀 1.40 ExS−1 2.4×10-4 ExS−2 1.0×10-4 ExS−3 3.4×10-4 ExC−1 0.12 ExC−3 0.045 ExC−6 0.020 ExC−8 0.025 Cpd−2 0.050 HBS−1 0.22 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.20
【0068】 第6層(中間層) Cpd−1 0.10 HBS−1 0.50 ゼラチン 1.10
【0069】第7層(低感度緑感乳剤層) 乳剤C 銀 0.35 ExS−4 3.0×10-5 ExS−5 2.1×10-4 ExS−6 8.0×10-4 ExM−1 0.010 ExM−2 0.33 ExM−3 0.086 ExY−1 0.015 HBS−1 0.30 HBS−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0070】第8層(中感度緑感乳剤層) 乳剤D 銀 0.80 ExS−4 3.2×10-5 ExS−5 2.2×10-4 ExS−6 8.4×10-4 ExM−2 0.13 ExM−3 0.030 ExY−1 0.018 HBS−1 0.16 HBS−3 8.0×10-3 ゼラチン 0.90
【0071】第9層(高感度緑感乳剤層) 乳剤E 銀 1.25 ExS−4 3.7×10-5 ExS−5 8.1×10-5 ExS−6 3.2×10-4 ExC−1 0.010 ExM−1 0.030 ExM−4 0.040 ExM−5 0.019 Cpd−3 0.040 HBS−1 0.25 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.44
【0072】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.030 Cpd−1 0.16 HBS−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0073】第11層(低感度青感乳剤層) 乳剤C 銀 0.18 ExS−7 8.6×10-4 ExY−1 0.020 ExY−2 0.22 ExY−3 0.50 ExY−4 0.020 HBS−1 0.28 ゼラチン 1.10
【0074】第12層(中感度青感乳剤層) 乳剤D 銀 0.40 ExS−7 7.4×10-4 ExC−7 7.0×10-3 ExY−2 0.050 ExY−3 0.10 HBS−1 0.050 ゼラチン 0.78
【0075】第13層(高感度青感乳剤層) 乳剤F 銀 1.00 ExS−7 4.0×10-4 ExY−2 0.10 ExY−3 0.10 HBS−1 0.070 ゼラチン 0.86
【0076】第14層(第1保護層) 乳剤G 銀 0.20 UV−4 0.11 UV−5 0.17 HBS−1 5.0×10-2 ゼラチン 1.00
【0077】第15層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径 1.7 μm) 5.0×10-2 B−2(直径 1.7 μm) 0.10 B−3 0.10 S−1 0.20 ゼラチン 1.20
【0078】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0079】
【表3】
【0080】表2において、 (1)乳剤A〜Fは特開平2-191938号の実施例に従い、
二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒子調製時
に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Fは特開平3-237450号の実施例に従い、
各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウ
ムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されて
いる。 (3)平板状粒子の調製には特開平1-158426号の実施例
に従い、低分子量ゼラチンを使用している。 (4)平板状粒子および粒子構造を有する正常晶粒子に
は特開平3-237450号に記載されているような転位線が高
圧電子顕微鏡を用いて観察されている。
【0081】
【化6】
【0082】
【化7】
【0083】
【化8】
【0084】
【化9】
【0085】
【化10】
【0086】
【化11】
【0087】
【化12】
【0088】
【化13】
【0089】
【化14】
【0090】
【化15】
【0091】
【化16】
【0092】
【化17】
【0093】
【化18】
【0094】
【化19】
【0095】
【化20】
【0096】6)サンプル評価 このようにして作成した写真フィルムサンプルA−16
について巻ぐせの評価を実施した。評価は下記手順に従
って行った。 6−1)コアセット サンプルフィルムを35mm幅で、1.2mの長さにスリ
ットした。これを25℃60%RHで1晩調湿後、感光
層を内巻にし、8mmのスプールに巻きつけた。これを密
封容器中に入れ、80℃で2hr加熱して巻ぐせを付け
た。この温度条件は夏季に日中自動車中にフィルムを置
いていたことを想定した条件である。 6−2)現像処理、カール測定 上記条件で巻きぐせを付けたフィルムを、一晩25℃の
部屋の中で放冷した後、密封容器からサンプルフィルム
を取出し、これを自動現像機(ミニラボFP−550
B:富士写真フイルム製)で現像処理し、直ちに25℃
60%RH下にて、カール板を用いてカール測定を行っ
た。なお、現像処理条件は下記のとおりである。
【0097】 処理工程 温 度 時間 発色現像 38℃ 3分 停 止 38℃ 1分 水 洗 38℃ 1分 漂 白 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 定 着 38℃ 2分 水 洗 38℃ 1分 安定浴 38℃ 1分 用いた処理液は次の組成を有する。 発色現像液 苛性ソーダ 2g 亜硫酸ソーダ 2g 臭化カリウム 0.4g 塩化ナトリウム 1g ホー砂 4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水塩 2g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β− ヒドロキシエチル)アニリン・モノサルフェート) 4g 水を加えて 全量 1リットル 停止液 チオ硫酸ソーダ 10g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 30ml 酢酸 30ml 酢酸ソーダ 5g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル 漂白液 エチレンジアミン4酢酸鉄(III)ナトリウム・2水塩 100g 臭化カリウム 50g 硝酸アンモニウム 50g ホー酸 5g アンモニア水 pHを5.0に調節 水を加えて 全量 1リットル 定着液 チオ硫酸ソーダ 150g 亜硫酸ソーダ 15g ホー砂 12g 氷酢酸 15ml カリ明ばん 20g 水を加えて 全量 1リットル 安定浴 ホー酸 5g クエン酸ソーダ 5g メタホー酸ソーダ(4水塩) 3g カリ明ばん 15g 水を加えて 全量 1リットル
【0098】6−3)結果 結果を表1−1、1−2に示した。熱処理を行なわたか
ったA−1と本発明の熱処理を行ったA−3を比べると
カール回復性は大きく向上している。一方ロールを室温
で巻き取った後加熱処理を行った場合A−2に示したよ
うに熱処理後巻じまりやベコが発生している。また熱の
伝達が遅いため熱処理が内部まで充分に行なわれず、カ
ール低減率が低い。このため後端の折れが生ずる。巻取
時の温度は、Tg+100℃以下、Tg−50℃以上、
即ちPENの場合219℃以下、69℃以上であること
が必要である。Tg+100℃以上では、A−4に示し
たようにベースの弾性率が低下し巻取ることができな
い。一方、Tg+100℃のA−5では巻き取ることが
でき、かつカールの低減効果も充分に得られている。巻
取り温度がTg−50℃以下ではA−8に示したよう
に、充分な巻ぐせ低減効果は得られない、一方、Tg−
50℃以上のA−7では巻ぐせ低減効果が十分であり、
処理ムラ、折れ等は発生しない。これらの熱処理は徐冷
することでさらに促進される115℃から95℃まで徐
冷した場合(A−6)とこの平均温度である105℃で
同時間保った場合(A−3)を比べると前者の方が巻ぐ
せ低減効果は大きい。この徐冷温度は、−0.01℃/
hr以上−20℃/hr以下が望ましい。−20℃/h
r以上では、A−12に示すように処理ムラ、折れは発
生しないもののA−12の平均温度で一定に保ち同時間
処理したA−13より逆にカールは付易くなっている。
一方、−20℃/hr以下のA−11では、一定温度の
A−12に比べてカールは付きにくくなっている。ま
た、逆に−0.01℃/hr以下ではA−9に示すよう
に一定温度での熱処理(A−3)とカール値は同じにな
ってしまい、徐冷の効果は見られない。これに対し0.
01℃/hr以上のA−10では徐冷によりA−3に比
べてカールは付にくくなっている。また徐冷はTg以下
まで行うことが必要である。Tg以上で徐冷を止めたA
−15では巻ぐせは若し悪く折れや処理ムラを生じてい
る。一方、Tg以下にまで徐冷したA−14では充分な
カール低減効果を得る。次に支持体の厚みは、50μ以
上300μ以下が望ましい。50μ未満ではA−17に
示すように円環法の値がTAC122μの1/5以下と
なり、低湿下に於て、感光層の収縮による強いトイ状カ
ールが発生する。一方、50μm以上のA−16ではト
イ状カールは発生するものの実用上問題のないレベルで
ある。300μm以上の膜厚では、カートリッジが小型
化できず、本発明の目的からはずれる。また、Tgが9
0℃以下のPETでは、A−18に示すようにこのよう
な熱処理によるカール低減効果は得られない。このよう
にPET90μm並の曲弾性をPENでは80μmで達
成しており、かつ本発明の熱処理により巻ぐせも付きに
くくなっており巻ぐせ、力学強度をTACを越えて両立
することができた。
【0099】実施例2 1)感材の作成 支持体に用いるポリエステルは、PEN、PET、PA
r 、PCTのぺレットをあらかじめ150℃で4時間真
空下で乾燥した後表3−1に示す様な混合比で2軸混練
押出し機を用い280℃で混練押し出した後ぺレット化
し調製した。このポリエステルを実施例1のPENと同
じ方法で製膜した。これをさらに実施例1のPENの処
方に従い下塗り層の塗設、バック層の塗設を行った。こ
の後、熱処理は表2に示した条件で行った。これを実施
例1と同様にして円環法を用い、曲弾性率を評価した。
これにさらに実施例1に従い感光層の塗設を行い、サン
プルD−1〜20を作成した。
【0100】2)サンプルの評価 このようにして作成した写真フィルムB−1−12につ
いて実施例1と同様にして巻ぐせの評価を行った。さら
に同時に常法に従いセンシトメトリー評価を行い支持体
から発する蛍光の評価も行った。蛍光を発しないPET
のセンシトメトリーと比べ濃度の中央値に於て3%以上
濃度がずれるものを×、1〜3%ずれるものを△、1%
以下を○とした。 3)結果 結果を表3−1、3−2に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】このようなポリマーのブレンド系に於ても
Tgが90℃を越していれば本発明の効果を得ることが
できる。即ち、B−1〜3の様に加熱巻取り後温度を一
定で熱処理を施してもB−6〜8の様に加熱巻取り後徐
冷しても同様に効果が得られ、巻ぐせが付きにくく、現
像処理中のトラブルがない。一方、B−4、5、B−
9、10の様にTgが90℃以下では、いずれの方法で
も効果はない。また、B−1、B−6のようにPEN1
00%ではわずかに蛍光を発生したがB−2、5のよう
にPETを30%ぐらいブレンドすることにより、ほぼ
検出下限以下にまで低下した。また、このような効果は
PEN/PET系ブレンドのみならずPCT/PAr系
に於ても同様に得ることができる。これらの結果をB−
11、12に示した。即ち、Tgが90℃以上であるた
め、本発明の熱処理により巻ぐせも付きにくい、良好な
支持体を得ることができる。
【0104】実施例3 1)感材の作成 ガラス転移温度90℃以上のポリエステルはステンレス
鋼製のオートクレーブを用い、ジカルボン酸としてテレ
フタル酸ジメチルと2,6−ナフタレンジカルボン酸ジ
メチル、ジオールとしてエチレングリコール(EG)、
ビスフェノールA(BPA)、シクロヘキサンジメタノ
ール(CHDM)を表4に示す組成で混合し、触媒とし
て3酸化アンチモン0.025モル(酸成分に対して)
を用い、エステル交換法によって重縮合した。このよう
にして合成したポリエステルを実施例1のPENと同じ
方法で製膜した。これをさらに実施例1に従い、下塗り
層の塗設、バック層の塗設後、熱処理を行った。これを
実施例1と同様にして円環法にて曲弾性率を評価した。
これに感光層の塗設を実施例1に従い実施し、写真フィ
ルムサンプルC−8を得た。
【0105】2)サンプル評価 このようにして作成した写真フィルムサンプルC1−8
について、実施例−1と同様の方法で巻ぐせの評価を行
った。
【0106】
【表6】
【0107】
【表7】
【0108】C−1〜5に示したように、NDCA/T
PA/EG系共重合体に於てもTgが90℃を越えたも
のは、本発明の熱処理で巻ぐせ低下、接着良化の効果を
得ることができ、一方、Tgが90℃以下のC−4、5
はこれらの効果は得られなかった。また、C−6〜8に
示したようにTPA/EG/CHDM/BPA系に於て
も同様に90℃以上のTgを有するものについては本発
明の効果を得ることができた。このように本発明の効果
の有無はポリエステル系支持体の場合、Tgに依存して
おり、90℃前後によって効果の有無を分けることがで
きる。
【0109】
【発明の効果】Tg+100℃以下Tg−50℃以上の
温度で巻き取った後Tg以下室温以上の温度で0.1時
間以上1500時間以下熱処理を行ったポリエステル支
持体を用いることにより、巻ぐせの付きにくく、製造適
性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロール状に巻き取った支持体を室温から加熱し
ていった場合と加熱しながら巻き取った場合の巻芯部、
巻外部の温度変化を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル支持体上に少くとも1層以
    上の感光層を有してなるハロゲン化銀写真感光材料にお
    いて、該支持体をTg(ガラス転移点)+100℃以下
    Tg−50℃以上の温度でロール状に巻き取った後該支
    持体を熱処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感
    光材料。
  2. 【請求項2】 該熱処理が該支持体巻取後−0.01℃
    /hr以上−20℃/hr以下の速度でTg以下室温以
    上の温度にまで徐冷されることを特徴とする請求項1に
    記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 該ポリエステル支持体のTgが90℃以
    上200℃以下であり、厚みが50μm以上300μm
    以下であることを特徴とする請求項1および請求項2に
    記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】 該ポリエステル支持体が、ナフタレンジ
    カルボン酸とエチレングリコールを主原料とするポリエ
    ステルであることを特徴とする請求項1から請求項3に
    記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  5. 【請求項5】 該ポリエステル支持体がポリエチレン−
    2,6−ナフタレートでることを特徴とする請求項1か
    ら請求項5に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR200481881Y1 (ko) * 2016-05-30 2016-11-25 박준성 차량 시트용 목 베개

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5116358A (ja) * 1974-04-02 1976-02-09 Eastman Kodak Co Ookikuteigenseshimerareta kaarukeikoojusurunetsukasoseijugotaifuirumu oyobi netsukasoseijugotaifuirumuno kaaruoteigenseshimeruhoho
JPH0254254A (ja) * 1988-07-05 1990-02-23 Agfa Gevaert Nv 写真フイルムのカールを制御する方法

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