JPH0682423U - ワッシャーシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本考案は、締付け具とカバー部材とを密封するワッシャ
ー材に関し、さらに詳しくは密封性と制振性に優れるワ
ッシャーシールに関するものである。 【構成】 芯材を複数個積層し、この複数個の芯材を合
成ゴム材で被覆し一体化せしめたことを特徴としてい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、締付け具とカバー部材との間に装着されるワッシャー材に関し、具 体的には密封性及び組付け性に優れ制振特性の極めて高いワッシャーシールに関 する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、エンジンのロッカーカバーとかオイルパンの如きカバー部材を装着固定 するには、該カバー部材の要所要所に締付け具を配置してカバー部材の周囲に装 着したガスケットを含めて締付け装着をなさしめており、その締付け具の密封と カバー部材の防音防振などを図るために該締付け具とカバー部材との間に弾性体 からなるワッシャーシールを挿着している。 以下、図面を参照しつつ詳述する。

【０００３】 この構造の多くは、図７に示すように、リング状に形成した弾性体のシール部 ８とこれの上方に輪形状の金属製ワッシャー９を配設してワッシャーシールを構 成しており、これに充分な締付け力を与えてカバー部材１０のボルト孔１０ｃを 密封すると共に、該カバー部材１０の周囲に配置されたガスケット（図示してい ない）に対して強い圧力を働かせしめていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような上方から圧縮されるとシール部８が放射状に流れ変 形する横方向の変形を規制し得ないワッシャーシールにあっては、自動車用エン ジン組立ライン等での締付けの自動化された装着をなすに適していない。 すなわち、合成ゴム等の弾性体でなるシール部８は多少の硬度の差異はあって も最適な締付け圧力はある一定の巾を有するものであり、一般的に締付トルク、 ２０ｋｇｆ・ｃｍ〜８０ｋｇｆ・ｃｍがその範囲と考えられ、これ以上の荷重が 該シール部８に加わるとトルクダウン（応力緩和）したり過大な横流れ変形によ って破壊を招いたりする。前記自動化組付けラインは残念ながらこの範囲内の調 整が難しく、前記した不都合の理由の一つに挙げられる。

【０００５】 このような不都合を解消するために、図８に示す実開昭５７ー８３２５４号公 報の如くの、シール部８の横流れを防止し得る受皿１１を持ったワッシャーシー ルが開発されたが、この構造においては粗雑な締付け作業により金属製ワッシャ ー９と受皿１１の位置ずれが起きてお互いに緩衝したり、該シール部８にあって は逃げ場のない圧縮によりその弾性を消失してしまうなど新たな問題が発生して いる。 本考案はこのような欠点に鑑み、応力緩和を防ぎ防振性を向上せしめると共に シール性能をも高めたワッシャーシールを提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案を図面に基づいて説明すると、図１、及び図２に示すように、自動車用 エンジン等に在るカバー部材１０の締付けとボルト孔１０ｃの密封をなすワッシ ャーシールであって、金属環あるいはコンパウンド層１ａを持つ金属環からなる 芯材１を複数個積層し、前記複数の芯材１の外部を合成ゴム材２で被覆一体化せ しめたことを特徴としている。

【０００７】 この合成ゴム材２は前記芯材１を合成ゴム材２で被覆成型することによって一 体化せしめること、あるいは前記合成ゴム材２を予め複数の芯材１を抱持するバ ンド形状２ａに造形しこれに芯材１を組付けて一体化せしめることを特徴として いる。

【０００８】

【作用】

本考案は、上記した構造をもって下記に示す優れた作用をなす。 すなわち、本考案のワッシャーシールを構成する芯材１は、図１、及び図２に 示す如く金属環あるいは合成ゴム等のコンパウンド層１ａを持つ金属環からなっ ており、このため締付け荷重が大きく、熱的負荷等が加わっても横流れせず、極 めて高いトルク保持力を発揮するものであり、また、強い機械的強度をもってい る。 一方、合成ゴム材２は前記芯材１を被覆成型、あるいは予め複数の芯材１を抱 持するバンド形状２ａに造形されて、前記芯材１と一体化されるものであり、締 付けボルト５とかカバー部材１０に接触して安定的なシール性を発揮する。

【０００９】 このような構造の芯材１を図１の如く複数重ね合わせて合成ゴム材２で一体化 せしめると、各々の芯材１はその締付け特性を比例的に向上させ、締付け荷重の バラツキに左右されない安定的で良好な圧縮性能と制振性能を発揮せしめる。こ のとき、芯材１の表面にコンパウンド層１ａを形成した場合、該コンパウンド層 １ａが締付け圧力を柔軟に受け止め接触部材との有効なシール性を発揮するもの となる。

【００１０】 このワッシャーシールの成形においては、金属板材あるいはコンパウンド層１ ａを表面に持つ金属板材をリング状に打ち抜き形成するのが大量にしかも安価に 形成でき製造コストに有利なものとなっており、一体化においては前記芯材１を 合成ゴム材２で被覆成型して一体化するか、または前記合成ゴム材２を予め複数 の芯材１を抱持するバンド形状２ａに造形して芯材１を組付け一体化するなどの 方法を有する。

【００１１】

【実施例】

本考案を実施するに、図３に示すように、芯材１へ一部を切り欠いた切欠部３ を形成して、この切欠部３に対応する合成ゴム材２の一部に前記切欠部３と係合 する凸部４を形成せしめると、前記両者はしっかりはまり合って固定されるので 締付けズレと共回りを防ぎ、この作用によって加わる締付け圧力を全て有効に受 け止めることができる。 また、前記芯材１へ環状に凸出するビード１ｂを形成せしめることも可能であ り、この構造では締付け部材とのフリクション性を高め締付け部材との共回りを 防いで高い反発弾性を長期にわたって働かす。

【００１２】 また、図５に示すように前記合成ゴム材２の内径部にボルト５と接触する突起 ６を配設せしめ、挿入されたボルト５を掴む構造に造形すると簡単にボルト５と 一体化され、該ワッシャーシールの組付け性及びカバー部材１０との装着作業性 を大きく高める。 なお、前記合成ゴム材２の頂部に強剛性を有するワッシャー７を配設せしめる と、締付け荷重の分散均一化が図られるばかりでなく、過大な締付け力に対して その機械的強度によって芯材１及び合成ゴム材２を破壊から護る作用をなす。

【００１３】 なお、前記芯材１に設けたコンパウンド層１ａの表面にグラファイト層を付着 成形することも可能であって、この構造では高い締付け荷重及び高い熱負荷を伴 っても接触部材と粘着せずシール部分の単体性を保ち、締付け力を有効に芯材１ へ伝えるので好ましい表面材となる。

【００１４】

【考案の効果】

上記のような構成によって、以下に示す優れた効果が得られる。 本考案でのワッシャーシールは、締付け荷重が大きく、高いトルク保持力を持 って、締付け初期の軸力を保ちシール面圧を低下させない。従って、増し締め等 の後手間の必要がなく保守管理性に優れる。 その成形においては、基となる芯部分を打ち抜き造形せしめ、弾性材で被覆成 型あるいは係合せしめて一体化するので極めて低価格で大量生産することが可能 となる。

【００１５】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す断面図である。

【図２】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【図３】本考案の他の実施例の組合せ状態を示す斜視図
である。

【図４】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【図５】本考案の他の実施例を示す部分拡大断面図であ
る。

【図６】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【図７】本考案を使用しない従来の構造の装着状態を示
す断面図である。

【図８】本考案を使用しない従来の構造の断面図であ
る。

【００１６】

【符号の説明】

１ 芯材 １ａ コンパウンド層 １ｂ ビード ２ 合成ゴム材 ２ａ バンド形状 ３ 切欠部 ４ 凸部 ５ ボルト ６ 突起 ７ ワッシャー １０ カバー部材 １０ｃ ボルト孔

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属環あるいはコンパウンド層を持つ金
   属環からなる芯材を複数個積層し、前記複数の芯材の外
   部を合成ゴム材で被覆し一体化せしめたことを特徴とす
   るワッシャーシール。
2. 【請求項２】 前記芯材を合成ゴム材で被覆成型するこ
   とによって一体化せしめたことを特徴とする請求項１の
   ワッシャーシール。
3. 【請求項３】 前記合成ゴム材を予め複数の芯材を抱持
   するバンド形状に造形し、これに芯材を組付けて一体化
   せしめたことを特徴とする請求項１のワッシャーシー
   ル。
4. 【請求項４】 前記芯材へ一部を切り欠いた切欠部を形
   成せしめ、該切欠部に対応する合成ゴム材の一部に凸部
   を形成したことを特徴とする請求項１、２ないし３のワ
   ッシャーシール。
5. 【請求項５】 前記芯材へ環状に凸出するビードを形成
   せしめることを特徴とする請求項１、２、３、ないし４
   のワッシャーシール。
6. 【請求項６】 前記合成ゴム材の内周部へボルトと接す
   る突起を設けることを特徴とする請求項１、２、３、な
   いし４のワッシャーシール。
7. 【請求項７】 前記合成ゴム材の頂部に強剛性を有する
   ワッシャーを配設せしめたことを特徴とする請求項１、
   ２、３、４、５、ないし６のワッシャーシール。