JPH0681489A - 建物の移動工法およびその工法に用いられる建物の離反装置 - Google Patents

建物の移動工法およびその工法に用いられる建物の離反装置

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JPH0681489A
JPH0681489A JP23241992A JP23241992A JPH0681489A JP H0681489 A JPH0681489 A JP H0681489A JP 23241992 A JP23241992 A JP 23241992A JP 23241992 A JP23241992 A JP 23241992A JP H0681489 A JPH0681489 A JP H0681489A
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Takeshi Kumano
武士 熊野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、建物を、通常の生活が営め、かつ
変形および歪みが生じるのを防止しながら移動させるこ
とを主要な特徴とする。 【構成】建物1の土台3の下に、外部からレ−ル6a〜
6fを挿通して架台11構成し、この架台11の各部に
ジャッキ31を設け、建物1の各部にレベルセンサ30
を設け、レベルセンサ30からの検出情報にしたがいジ
ャッキ31の上昇動を制御して建物1を基礎2から離
し、この建物1を所定高さで保持し、この持上がった建
物1の下に、移動箇所へ向って延びるレ−ル78を敷設
し、レベルセンサ30からの検出情報にしたがいジャッ
キ31の下降動を制御して建物1を水平を保ちながら徐
々に下降させて架台11をレ−ル78にロ−ラ台80を
介して載せ、この建物1をレ−ル38に沿って移動させ
たことにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、建物を日常生活を続
ける状態を継続しながら移動させる建物の移動工法およ
びその工法に用いられる建物の離反装置に関する。
【0002】
【従来の技術】区画整理などにより、現在、住んでいる
木造家屋の前の道路が拡張することがある。
【0003】このような場合、家屋の後方に余裕がある
ときは、家屋を現在の位置から後方へ退避した位置へ移
動して、道路の拡張に必要な部分を確保することとな
る。
【0004】こうした家屋を現在位置から目的の場所へ
移動する方法として、従来より、曳家工法と称される移
動工法が用いられる。
【0005】曳家工法は、ジャッキを用いて、まず、家
屋の片側を徐々に10cm程度、持上げ、ついで、すぐさ
ま家屋の土台の下にさまざまな木片を挟み込む。つぎ
に、ジャッキを据付けし直して、家屋のもう片側を徐々
に同様に持上げて、家屋の土台の下にさまざまな木片を
挟み込む。
【0006】この工程の繰り返しを利用して、鉄道用の
枕木を櫓状に組んでなる仮基礎を家屋の下部に築き、家
屋を所定高さに位置決める。
【0007】その後、この家屋の下部に、移動用として
鉄道用のレ−ルを敷設し、このレ−ルにロ−ラなどを用
いて据付けた後、この家屋をワイヤロ−プを介して手巻
きウインチなどに連結し、手巻きウインチによってワイ
ヤロ−プを巻上げることにより、家屋を所定の場所に施
工してある基礎にまで運ぶ。
【0008】運んだ後は、上記持上げ作業と反対の作業
で、家屋を基礎に据付けるようにしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうした家
屋を傾斜させながら持上げる工法は、傾斜の影響を受け
て、箪笥など生活を営むに必要な家具が倒れたり、家具
の内部および上面に載せてある皿、花瓶などの壊れ物が
破損したりする。
【0010】そこで、上記工法は、通常、家屋の内部に
在る家具類、皿、花瓶といった小物類を外部に出して、
家屋の傾斜によって影響が無いようにしてから行うよう
にしていた。
【0011】ところが、このように家屋内部に在る物を
出すのは、大変な作業である。また生活に必要な物が全
て外部に出される上、家屋の移動にはある程度の日数を
必要とすることから、移動する家屋では通常の生活が営
めず、家屋に居住する人に対する負担はかなり大きい。
【0012】しかも、傾斜を繰返しながら家屋を持上げ
たり、下げたりする工法は、傾斜の際に加わる外力の影
響を受けて、家屋が変形したり歪んだりしやすく、現
在、住んでいる家屋をそのままの状態を保ちながら移動
するのは難しいとされている。
【0013】この発明は、このような事情に着目してな
されたもので、その目的とするところは、建物を、通常
の生活が営めることが可能な状態で、かつ変形および歪
みが生じるのを防止しながら移動させることができる家
屋の移動工法およびその工法に用いられる離反装置を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載の建物の移動工法は、既に構築されて
いる建物の土台の下に、外部から杆状の部材を挿通し
て、前記建物の下部に支持架台を構成する工程と、前記
支持架台の各部に、同支持架台を持上げるためのジャッ
キ装置を据付ける工程と、前記建物の各部に、同建物の
上下方向の変位を検出するためのセンサを据付ける工程
と、前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ
装置の上昇動作を制御して、前記土台を基礎から水平を
保ちながら徐々に持上げ、前記建物を基礎から離す工程
と、この建物を所定高さで保持する工程と、この所定高
さに持上がった建物の支持架台の下に、移動箇所へ向っ
て延びる移動用レ−ルを敷設する工程と、前記センサか
らの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置の下降動作を
制御して、前記建物を水平を保ちながら徐々に下降さ
せ、前記支持架台を前記移動用レ−ルにロ−ラ台を介し
て載せる工程と、この建物を移動用レ−ルに沿って移動
させる工程とを用いたことにある。
【0015】請求項2に記載の建物の離反装置は、省力
で建物を基礎から離すべく、自動で建物を持上げるため
に、既に構築されている建物の土台の下に外部から挿通
され、この建物の下部に支持架台を構成する杆状の部材
と、この支持架台の各部に設けた、同支持架台を持上げ
るためのジャッキ装置と、前記建物の各部に設けた、こ
の建物の上下方向の変位を検出するためのセンサと、建
物の持上げ高さを設定する設定部と、この設定部で設定
された持上げ高さと前記センサから検出される高さ情報
にしたがって前記ジャッキ装置を駆動し、前記建物を水
平に徐々に持ち上げる制御手段とから構成したことにあ
る。
【0016】請求項3に記載の建物の移動工法は、上記
請求項1の工程に加え、建物を安定した状態で基礎から
離すようにするために、建物の柱の側方を杆状の部材が
通過するようにして支持架台を構成する工程と、この柱
の土台と並行な下部部分に、同下部分と隣合う位置の杆
状の部材を受けるよう、同杆状の部材の上側を交差する
ように架台受を据付ける工程を設けたことにある。
【0017】請求項4に記載の建物の移動工法は、上記
請求項1の工程に加え、建物の持上げ時、所定の高さで
保持する時、不用意に建物が動くことがないようにする
ために、支持架台の下部に、上側を支持架台に連結させ
て、上方向には移動自在で下方向には移動が規制される
昇降台を据付ける工程と、この昇降台による規制を解除
する工程とを設けたことにある。
【0018】請求項5に記載の建物の移動工法は、特に
上部側が下部側に比べて重量が重たい建物を安定した状
態で基礎から離すようにするために、上記請求項1の工
程に加え、建物の柱間に補強枠を据付ける工程と、建物
の移動後、前記補強体を埋めるように建物の柱間に壁材
を設ける工程とを設けたことにある。
【0019】請求項6に記載の建物の移動工法は、建物
を安定した状態で基礎から離すようにする、建物の持上
げ時、所定の高さで保持する時、不用意に建物が落ちな
いようにする、上部側が下部側に比べて重量が重たい建
物を安定した状態で基礎から離すようにして、総合的な
安定化を図るために、上記請求項1の工程に加え、上記
請求項3、請求項4、請求項5の各工程を加えたことに
ある。
【0020】
【作用】請求項1に記載の建物の移動工法によると、既
に構築されている建物の土台の下に、外部から杆状の部
材を挿通して、建物の下部に支持架台を構成する。
【0021】つぎに、支持架台の各部にジャッキ装置を
据付け、建物の各部に同建物の上下方向の変位を検出す
るセンサを設ける。この後、センサからの検出情報にし
たがってジャッキ装置を上昇動作させ、建物の土台を建
物の基礎から水平を保ちながら徐々に持上げ、所定の高
さで保持する。
【0022】ついで、この建物の支持架台の下に、移動
箇所へ向って延びる移動用レ−ルを設け、この移動用レ
−ルに上記支持架台をロ−ラ台を介して載せた後、建物
を移動用レ−ルに沿って移動させた。
【0023】これにより、建物に負担を与えず、かつ建
物内部の家具など生活道具を外部に運び出さずに、建物
は目的とする場所に移動される。
【0024】請求項2に記載の建物の離反装置による
と、既に構築されている建物の土台の下に、外部から杆
状の部材を挿通して、建物の下部に支持架台を構成した
後、支持架台の各部にジャッキ装置を据付け、建物の各
部に同建物の上下方向の変位を検出するセンサを設け
る。
【0025】この後、設定部から所定高さを設定する
と、この所定高さと上記センサから検出される高さ情報
にしたがって上記ジャッキ装置が駆動され、建物を水平
に徐々に持上げる。
【0026】これにより、省力化を図りながら、建物は
安定して水平状態のまま、持上げられる。
【0027】請求項3に記載の建物の移動工法による
と、上記請求項1の支持架台を構成する工程のとき、建
物の柱の側方を通過するように杆状の部材を挿通し、つ
いでこの柱の下部部分に、同下部分と隣合う位置の杆状
の部材を受けるよう、杆状の部材の上側を交差するよう
に架台受を据付ける。
【0028】これにより、建物の持上げ時、建物の土台
だけでなく、建物の床下へ突き出ている柱も、架台受を
介して支持架台で支えられるから、建物は安定した状態
で基礎から離れる。
【0029】請求項4に記載の建物の移動工法による
と、上記請求項1の支持架台を構成した後、支持架台の
下部に、同部分を上側に連結させて昇降台を据付ける。
【0030】その後、建物を持上げる工程に移る。
【0031】ここで、昇降台は上方向には移動自在で下
方向には移動が規制されるものであるから、建物の持上
げ時、所定の高さで保持する時は、たとえ作業に不手際
があっても、不用意に建物が動くことはない。
【0032】請求項5に記載の建物の移動工法による
と、上記請求項1の支持架台を構成した後、建物の柱間
に補強枠を据付け、建物の移動後、補強体を埋めるよう
に建物の柱間に壁材を設ける。
【0033】上部側が下部側に比べて重量が重たい建物
は、他の建物に比べて、持上げたり、下げたり、移動し
たりするときに変形、歪みなどが生じやすいが、補強枠
による建物の剛性補強により、建物は変形、歪みに耐え
るようになる。また移動後は、補強枠は壁の芯となって
外部から見えないようになる。
【0034】請求項6に記載の建物の移動工法による
と、上記請求項1の工程に上記請求項3ないし請求項6
の工程が加わって、建物が基礎から持上げられた後、目
的とする場所に移動する。
【0035】これにより、どのような建物でも、水平状
態を保ちながら、安定して移動される。
【0036】
【実施例】以下、この発明を図1ないし図19に示す一
実施例にもとづいて説明する。
【0037】図面は、この発明の好適な家屋の移動工法
ならびに同工法に用いられる機器が示されている。
【0038】家屋の移動工法を説明しつつ、同移動工法
に用いられる各機器について説明していけば、図1は既
に構築されている木造の家屋(建物)である。この家屋
1は、例えば基礎2の位置から上方に土台3がある高床
式となっている。
【0039】今、この家屋1を、区画整理などにより、
現在の地点から左側の方向へ移動するものとする。
【0040】この家屋1の移動作業には、まず、基礎2
から家屋1を遊離させることから始まる。
【0041】これには、まず、図1に示されるように家
屋1の腰板(図示しない)を取外して、家屋1の最外側
にあり、かつ土台3の下側の支柱4a〜4fの部分を、
基礎2と共に外部に露出させる。なお、5a〜5eは腰
板の取外しによって、土台3の下側の支柱4a〜4fで
囲まれる部位に生じた開口を示す。
【0042】つぎに、この家屋1に架台11(支持架台
に相当)を組付ける工程に移る。
【0043】これには、まず、図2に示されるように家
屋1の土台3の下に、外部から複数本の鉄道用のレ−ル
6a〜6g(杆状の部材に相当)を支柱4c〜4fの側
方を通過するように、X方向(図1中のみに図示)から
挿通する。ついで、支柱4aおよび支柱4cの側方に、
先に土台3の下に挿入したレ−ル6a〜6gと直角をな
す格子状を組めるように、支柱4a〜4fの配列になら
い、複数本の鉄道用のレ−ル7a,7b(杆状の部材に
相当)をY方向(図1中のみに図示)に沿って配置す
る。すると、図3に示されるように各レ−ル6a〜6
g,7a,7bは、基礎2の上部に井桁状に配置され
る。
【0044】この後、図11および図12に示されるU
ボルト8を用いて、図4中の各レ−ル6a〜6g,7
a,7bの交差している端部同志を固定する。
【0045】具体的には、図11中、(a)および
(b)に示されるように交差しているレ−ル部分同志の
周囲に、同交差部Aを下側から跨ぐようにして、Uボル
ト8を通し、このUボルト8の端部に帯板9を貫通させ
た後、各貫通端にナット10を螺挿することで、交差し
ているレ−ル部分同志を締結している。
【0046】これにより、家屋1の下には井桁状の架台
11が組付けられ、家屋1を土台3と共に下側から支え
ることができるようになる。
【0047】ついで、架台11で、家屋1の荷重を均等
に受けられるようにする。
【0048】これには、例えば家屋1の支柱4a〜4f
のうち力学的均衡のとれる位置の支柱、具体的には支柱
4b,4d,4e、さらには図4中、矢印で引出して示
す家屋1の内方側の支柱4g,4hを、一対の架台受1
2a,12bおよび架台受13a,13bを用いて、そ
れぞれ架台511に支えさせることでなされる。
【0049】この具体的な構造が図13および図14に
示されている。図13には架台受12a,12bの構造
が示され、図14には架台受13a,13bの構造が示
されている。
【0050】架台受12a,12bについて説明すれ
ば、これらはいずれも同じ構造となっている。
【0051】すなわち、15はL字形に構成された板部
材である。この板部材15の一方の壁、例えば垂直壁1
5aの外面は、支柱側面に密接する面、すなわち支柱4
b,4gに対する据付面17となっている。この据付面
17の中央には、多数の小突起、例えば略楔状の小突起
16が設けられていて、据付面17を支柱側面に対して
密接させるにしたがい、支柱4b,4gの側面に食込む
ようになっている。
【0052】小突起群を挟むようにして垂直壁15aの
両側には、一対のボルト貫通孔18,18が設けられて
いる。これらボルト貫通孔18,18間は、支柱4b,
4gの外形より大きなスパンに設定されていて、支柱4
b,4bの両側を同支柱を挟むようにしてボルト19が
挿通できるようにしてある。
【0053】また板部材15の他方の水平壁15bの長
さ寸法は、支柱両側を通過するレ−ル6a〜6gの上側
に対して交差する長さ設定されていて、同水平壁15b
の外面をレ−ル受部20としてある。すなわち、架台受
12a,12bは、レ−ル6側に水平壁15bが張出す
ように支柱4b,4gに配置されると、レ−ル受部20
が柱4b,4gに隣接するレ−ル部分の上側に交差する
ように配置されるからである。
【0054】このように構成された架台受12a,12
bの据付けとしては、レ−ル6側に水平壁15bを張出
させ、かつ土台位置にレ−ル受部20が対応するように
して、各支柱4b,4gの側面部分に、各架台受12
a,12bの据付面17を配置する。この際、各据付面
17のボルト貫通孔18同志は、互いに対向するように
配置する。
【0055】ついで、架台受12a,12bの対向する
ボルト貫通孔18にそれぞれボルト19を挿入し、ボル
ト端にナット21を螺挿する。このナット締めにより、
図13に示されるように各架台受12a,12bは、各
支柱4b,4gを挟み込んでいく。と同時に小突起16
は支柱4b,4gの側面に食込み、各架台受12a,1
2bは各支柱4b,4hに固定される。
【0056】こうした据付けた各架台受12a,12b
のレ−ル受部20にて架台11を受けて、支柱4b,4
gを支えるようにしている。
【0057】なお、14は、垂直壁15aと水平壁15
bとの間に設けた補強用の三角形状の板材である。
【0058】また架台受13a,13bについて説明す
れば、これらもいずれも同じ構造となっている。
【0059】すなわち、23は断面がコ字形に構成され
たチャンネル部材である。このチャンネル部材23の側
壁23aの長さ方向中央の外面部分は、支柱側面に密接
する面、すなわち支柱4d,4e,4hに対する据付面
24となっている。この据付面24には、多数の小突
起、例えば略楔状の小突起25が設けられていて、据付
面24を支柱側面に対して密接させるにしたがい、支柱
4d,4e,4hに食込むようになっている。
【0060】小突起群を挟むようにして側壁23aの両
側には、一対のボルト貫通孔26,26が設けられてい
る。これらボルト貫通孔26,26間も、上記した架台
受12a,12bのときと同様、支柱4d,4e,4h
の外形より大きなスパンに設定されていて、支柱4d,
4e,4hの両側を同支柱を挟むようにしてボルト27
が挿通できるようにしてある。
【0061】またチャンネル部材23の長さ寸法は、支
柱両側を通過するレ−ル6a〜6gの上側に対して交差
する長さ設定されていて、チャンネル部材23の端壁2
3bをレ−ル受部28としてある。すなわち、架台受1
3a,13bは、レ−ル6側に張出すように支柱4d,
4e,4hに配置されると、レ−ル受部28が柱4d,
4e,4hに隣接するレ−ル部分の上側に交差するよう
に配置されるからである。
【0062】このように構成された架台受13a,13
bの据付けとしては、レ−ル6側に両側を張出させ、か
つ土台位置にレ−ル受部28が対応するようにして、各
支柱4d,4e,4gの側面部分に、各架台受13a,
13bの据付面24を配置する。この際、各据付面24
のボルト貫通孔26,26同志は、互いに対向するよう
に配置する。
【0063】ついで、架台受13a,13bの対向する
ボルト貫通孔26にそれぞれボルト27を挿入し、ボル
ト端にナット29を螺挿する。このナット締めにより、
図14に示されるように各架台受13a,13bは、各
支柱4d,4e,4hを挟み込んでいく。と同時に小突
起16は支柱4d,4e,4hの側面に食込み、各架台
受13a,13bは各支柱4d,4e,4hに固定され
る。
【0064】こうした据付けた各架台受13a,13b
のレ−ル受部28にて架台11を受けて、支柱4d,4
e,4hを支えるようにしている。
【0065】なお、架台受12a,12b,13a,1
3bは据付けは、架台11の組付け時でも、その前後で
も良い。
【0066】この後、図5に示されるように架台11を
組付けた家屋1に、家屋1を遊離させるための機器をセ
ットする。
【0067】これには、まず、家屋1の角部(隅部)の
4カ所、家屋1の構造上、力学的均衡のとれる部位、本
実施例では家屋1の支柱4dの1カ所、およびその反対
側にある図示しない支柱の計6カ所にレベルセンサ30
を据付ける。これらレベルセンサ30は家屋1の上下方
向の変位を検出するものである。具体的には、このレベ
ルセンサ30には、例えばスライド式の変位センサが用
いられていて、レベルセンサ30の固定側30aが基礎
2側に固定し、スライダ−側30bが家屋1の各支柱外
面に固定してある。
【0068】そして、これらレベルセンサ30の据付位
置に最も近い架台11の部位、例えばレ−ル6a,6
d,6gの各端部の下に、油圧ジャッキ31(ジャッキ
装置に相当)を設置する。なお、油圧ジャッキ31は、
シリンダ本体32にスライド可能に設けたピストン33
が油圧によって、上下動してピストン先端部に設けた、
荷重を受ける受部34を変位させるようにしたものであ
る。
【0069】また家屋1の移動の邪魔とならない家屋周
辺の場所に、昇降制御ユニット35、油圧装置36、油
圧ポンプ37を設置し、同機器間を接続する。
【0070】ついで、制御側の機器と現場側の機器との
必要な接続を行う。具体的には、昇降制御ユニット35
と上記各レベルセンサ30とを電線リ−ド38でそれぞ
れ結線し、油圧装置36と上記各油圧ジャッキ31とを
耐圧ホ−ス39でそれぞれ接続する。
【0071】こうした機器の組合わせから、家屋1の離
反装置50を構成している。この離反装置50の構成が
図10に示されている。
【0072】ここで、家屋1の離反装置50について説
明すれば、昇降制御ユニット35は、本体40内に、レ
ベルセンサ30に対応した数量の増幅回路41、比較回
路42、マイクロコンピュ−タよりなるコントロ−ルユ
ニット43に有し、本体40の操作面に自動用操作ボタ
ン44を有してなる。
【0073】各増幅回路41は、上記電線リ−ド38を
介して、レベルセンサ30に接続されている。また各増
幅回路41は、比較回路42に接続されていて、各レベ
ルセンサ30で検出される家屋高さの検出信号を比較回
路42に伝えるようにしてある。
【0074】自動用操作ボタン44は、家屋1をどの高
さまで持上げるかの高さを設定するためのボタン類を有
してなる。この自動用操作ボタン44は、上記比較回路
42に接続されていて、基準となる設定家屋高さの検出
信号を比較回路42に伝えるようにしてある。これによ
り、比較回路42において、設定高さに対する現在の家
屋各部の高さの差を検出できるようにしている。
【0075】比較回路42は、コントロ−ルユニット4
3に接続されていて、各較差をコントロ−ルユニット4
3に伝えるようにしてある。
【0076】コントロ−ルユニット43には、例えば6
つの油圧ジャッキ31のピストン33を所定のゆっくり
とした速度で昇降させるための送圧設定、さらには設定
高さになるまで所定の小高さ毎、例えば高さ5mmの間隔
毎で間欠的に昇降を行なわせる設定がなされている。
【0077】またコントロ−ルユニット43には、例え
ば間欠的(5mm毎)に上昇すると、その時点で得られる
家屋1の設定高さと、それぞれのレベルセンサ30で検
出した家屋1の移動高さとを比較する機能が設定されて
いる。さらにコントロ−ルユニット43には、この較差
(プラス側、マイナス側)に応じて上記送圧量を増減調
整するための増減デ−タが設定されている他、この送圧
量の増減変化に応じたバルブ開度が設定されていて、較
差があるときは同較差に応じたバルブ開度の制御信号を
油圧装置36に伝えるようにしている。
【0078】油圧装置36は、本体45内に、各種切換
バルブを組合わせてなるバルブユニット46を有してい
る。このバルブユニット46の油圧出力部が上記油圧ジ
ャッキ31に接続してある。
【0079】バルブユニット46には、各種切換バルブ
を動作させる駆動回路46aが内蔵されている。この駆
動回路46aの制御によって、コントロ−ルユニット4
3から上昇開始の信号が伝えられると、6つの油圧ジャ
ッキ31が、ゆっくりとした速度で、5mm毎に間欠的に
上昇するよう、油圧を発生させるようにしてある。
【0080】またバルブユニット46の制御によって、
間欠上昇時、その時点の設定高さと、それぞれレベルセ
ンサ30の検出で得られた家屋1の高さとに差があるこ
とを示す信号が伝えられると、その差が在ることを検出
したレベルセンサ30の近くにある油圧ジャッキ31の
油圧を、送圧量の増減デ−タにしたがって調整できるよ
うにしてある。
【0081】こうした設定により、6つの油圧ジャッキ
31を用いて、自動で家屋1を水平状態を保ちつつ、徐
々に設定高さに持上げることができるようにしている。
【0082】また本体45の操作面には、バルブユニッ
ト46につながる手動用操作ボタン47が設けられてい
る。この手動用操作ボタン47は、例えば油圧ジャッキ
毎の送圧操作ボタンから構成されていて、同ボタン操作
にしたがって、各位置にある油圧ジャッキ31を個々に
昇降動作できるようにしてある。
【0083】このようにして離反装置50の据付けを終
えると、同離反装置50を動作させる。
【0084】これには、まず、各レベルセンサ30のゼ
ロ点調整をする。
【0085】ついで、昇降制御ユニット35の自動用操
作ボタン44を用いて、家屋1の曳家の目的に合わせた
所定の高さを設定した後、離反装置50をオンする。
【0086】すると、図6に示されるようにバルブユニ
ット46を通して所定の油圧が、油圧ポンプ37から各
油圧ジャッキ31のシリンダ本体32へ供給され、各油
圧ジャッキ31のピストン33を上昇側に移動させる。
【0087】ゆっくりした速度で上昇する各ピストン3
3の先端部が各レ−ル4a,4d,4gの下面に当接す
るにしたがって、架台11の全体を持上げていく。続い
て、架台11の各レ−ル4a〜4fの上部が、家屋1の
土台3および各架台受12a,12b,13a,13b
のレ−ル受部20,28に当接し、家屋1を持上げてい
く。これにより、家屋1は基礎から離される。
【0088】このとき、家屋1の重量は、土台2のみな
らず、家屋1の支柱全体を活用して、支えているので、
安定した状態のまま家屋1は持上がる。
【0089】このときから家屋1の移動高さは、6つの
レベルセンサ30で検出される。
【0090】家屋1が基礎2から所定の高さ、例えば5
mm、持上がると、一旦、油圧ジャッキ31の上昇は停止
する。
【0091】この間、コントロ−ルユニット43は、こ
の時点の高さ5mmと、各6つのレベルセンサ30で検出
される家屋1の各部の現在の高さとを検出し、両者を比
較している。
【0092】ここで、同一な油圧で家屋1を持上げてい
るから、重たい箇所が家屋1にあれば、その部分に対応
するレベルセンサ30からは、5mmより小さな値を示す
高さ信号が検出される。
【0093】このような場合、コントロ−ルユニット4
3は、較差に応じた送圧量の増減デ−タの増側の値を読
取り、同値に応じたバルブ開度の制御信号をバルブユニ
ット46の駆動回路46aに伝える。
【0094】すると、バルブユニット46は、上記レベ
ルセンサ30を設置した地点にある油圧ジャッキ31の
油量を増大し、若干、傾斜している家屋1を水平状態に
修正していく。
【0095】この修正が終えると、ゆっくりした速度
で、各6つの油圧ジャッキ31が上昇動して、再び、家
屋1を5mm、持上げた後、油圧ジャッキ31を一旦、停
止させ、上記のように家屋1の状態を修正していく。
【0096】こうした家屋1の持上げが設定高さに到達
するまで繰返し行われる。
【0097】この家屋1の持上工程の際、遊離した家屋
全体の安定を保証させるときは、図6に示されるように
架台11の要所の部分、例えば本実施例ではレ−ル6
c,6eとレ−ル7aの両端部の下に昇降台55を設置
したり、図6中の矢印で引出した部分に示されるように
家屋下のレ−ル部分の下に、枕木56を井桁状に組んだ
構造物56aを設置したりして、架台11の各部を補強
する。
【0098】図15ないし図19には、この昇降台55
の構造が示されている。
【0099】ここで、昇降台55について説明すれば、
図15中、57は台座となる本体である。本体57は、
例えば長短のアングル部材58a〜58lを組合せて略
直六面体のような骨組みを構成してなる。この本体57
の上部を構成するアングル部材58a,58b間の中央
には、補強材として一対のアングル部材59a,59a
が所定の距離をおいて掛け渡されている。またこれらア
ングル部材59a,59aと連続するようにして、アン
グル部材58a、58d間、およびアングル部材58
b,58c間には、二対のアングル部材59b,59b
が内向きにして設けられていて、4本のアングル部材5
9bで囲まれる本体内部分に上下方向に沿うスライド路
60を構成している。なお、60aはアングル部材59
aおよびアングル部材58h,58gの中央部間に掛け
渡された、補強材を兼ねる支持板である。
【0100】61は可動台である。可動台61は、スラ
イド路60の形状に対応して長短のアングル部材62a
〜62f等を箱状に組んでなるスライド脚62から構成
される。このスライド脚62の上部には、レ−ル部分を
載せるための載プレ−ト63が設けられている。なお、
64は各アングル部材62a〜62d間に設けた補強用
部材である。
【0101】この可動台61が上記スライド路60にス
ライド自在に嵌挿されている。つまり、可動台61は本
体57から昇降自在に設けられる。
【0102】載プレ−ト63の角部側には、それぞれ略
十字状の孔部65が設けられていて、同孔部65を利用
して、図16ないし図18に示されるように鎖66(レ
−ル固定具)で載プレ−ト63に載せたレ−ル部分を固
定できるようにしてある。
【0103】またこの可動台61と本体57とは、一方
向性のロック機構68を介して連結されていて、可動台
61を上昇側に対しては移動自在とし、下降側に対して
は移動が規制されるようにしてある。
【0104】ロック機構68には、一方向に偏倚した歯
を連続したラッチ歯69と、これに係脱する爪部70と
を組合わせてなる構造が用いられている。具体的には、
図15ないし図19に示されるような構造となってい
る。
【0105】すなわち、スライド脚62内には、上記ラ
ッチ歯69を有した帯状板70aが各アングル部材62
a〜62dと並行に設けられていて、各ラッチ歯69を
外方に臨ませている。
【0106】本体57側の支持板60a,60aには、
一対の並行な支持軸71が回転自在に貫通されている。
この各支持軸71,71の貫通端は、本体57の幅方向
に延びている。これら支持軸71,71の各端部は、各
アングル部材59b,59bの外面に突設した軸受部材
72aでそれぞれ回転自在に支持されている。
【0107】また支持軸71,71の一方の端部には、
それぞれ帯板72が直角をなして取着されている。これ
ら帯板72,72の他端は、支持軸71,71間に向っ
て延び、支持軸71,71間の中央で重なっている。こ
れら帯板72,72のうち、一方の他端部には孔部73
が設けられ、他方の他端部には長孔74が設けられてい
る。これら孔部73および長孔74間には、ヒンジ軸7
5が摺動自在に嵌挿されていて、ヒンジ軸75を介して
帯板72、72の双方を回動自在に連結している。この
連結構造によって、ヒンジ軸75を上下方向に移動させ
ることにより、支持軸71,71の双方を同期的に回動
変位させることができるようにしている。
【0108】また上記各帯状板70と対応する各支持軸
71,71の軸部分には、それぞれラッチ歯69と組合
う上記した爪部70が設けられている。そして、各爪部
70は上記ヒンジ軸75の位置が下側にあるとき、各ラ
ッチ歯69と噛合い、上側にあるときその噛合いが解除
されるようになっている。このラッチ歯69と爪部70
との噛合いにより、可動台61は上方向には自在に移動
し、下方向には下がらないようにしている。そして、ヒ
ンジ軸75を、図示しない工具などで、下側へ移動させ
れば、図19に示されるようにラッチ歯69と爪部70
との噛合いの解除から、規制されていた可動台61を下
方向に下げることができるようにしている。
【0109】そして、このように構成された昇降台55
を、持上工程にあるレ−ル6c,6eとレ−ル7aの下
に据付けることにより、架台11の安定を保証する。
【0110】すなわち、昇降台55は、図6および図1
6に示されるように可動台61が本体57内に収容した
待機状態のまま、台76に重ねて、持上工程にあるレ−
ル6c,6eとレ−ル7aの両端部の下に設置し、直上
にあるレ−ル部分を載プレ−ト63に鎖66で連結する
ことにより据付けがなされる。
【0111】これにより、昇降台55を据付けた以降、
架台11の持上げ時、架台11が所定間隔で持上がる度
に、図17および図18に示されるように可動台61が
本体57からスライドして上昇する。
【0112】ここで、これら各昇降台55はラッチ歯6
9と爪部70との噛合いで、下方向には移動しないよう
に規制されているから、たとえ作業中、架台11の安定
を欠くようなことが油圧ジャッキ31において生じて
も、家屋1に不用意に動くような挙動を与えることはな
いので、安定性の保証が確保される。むろん、この昇降
台55は、先のレ−ル部分の下に枕木56を井桁状に組
む場合に比べ、枕木56を家屋1の上昇毎に組むような
作業が不要になるので、当初の据付け以降、作業は容易
となり合理的である。
【0113】そして、家屋1が設定高さにまで持上げら
れると、コントロ−ルユニット43からの指令により、
各油圧ジャッキ31の動きは停止する。
【0114】すると、架台11は各昇降台55、枕木5
6を井桁状に組上げた構造物56aで支えられ、家屋1
を所定の一定高さで水平状態に安定して保持していく。
このとき昇降台55、構造物56aを追加して、架台1
1を支えるようにしてもよい。
【0115】なお、この際にも、たとえ作業に不手際が
あったとしても、昇降台55は下降するようなことはな
いから、家屋1は不用意に動くことはない。
【0116】つぎに、家屋1を目的の場所へ移す工程に
入る。
【0117】これには、図8に示されるように持上げた
架台11の下に、まず、移動(走行)用として、例えば
一対の鉄道用のレ−ル78,78を敷設する。
【0118】これは、架台下の所要の位置から目的の場
所までの間に、例えば枕木79aを井桁状に組んで所定
高さとした構造物79を複数箇所、点在させた後、同構
造物79の上部間に渡り、走行用として上記鉄道のレ−
ル78,78を水平に据付けることでなされる。これに
より、移動箇所に向って、レ−ル78,78が敷設され
る。
【0119】ついで、図8中、矢印で引出されたように
各レ−ル78,78にロ−ラ台80をセットする。
【0120】ロ−ラ台80は、例えば本体部81の下部
にレ−ル78と組合う一対の回転自在なロ−ラ82,8
2を並設し、上部中央にレ−ル幅と対応する位置に複数
の係止突起83,83を有する支持台84を旋回自在に
設けて構成されるもので、ロ−ラ82,82をレ−ル7
8,78の所定位置に載せて、図示しない楔などストッ
パ−で動かないようにすればよいものである。
【0121】この各ロ−ラ台80の支持台83に、架台
11のレ−ル部分を係止させていく。この係止は、例え
ばレ−ル部分の下に楔(図示しない)を挿入して、レ−
ル高を調節して、支持台84の係止突起83,83間に
レ−ルを挿入するなどによりなされる。
【0122】これにより、家屋1は、ロ−ラ台80を介
してレ−ル78,78に走行可能に据付けられる。
【0123】ついで、図9に示されるように移動箇所側
に牽引装置、例えば電動ウィンチ装置85を、操作盤8
6と共に据付け、電動ウィンチ装置85に巻いてあるワ
イヤロ−プ87の端部を架台11の各部に連結する。な
お、85aは電動ウィンチ装置85のモ−タを示してあ
る。
【0124】この後、架台11を支えていた構造物56
aを排除、ならびにヒンジ軸75を上側に移動させて、
昇降台55の可動台61の規制を解除し、家屋1の荷重
をレ−ル78,78で受けるようにする。
【0125】その後、各ロ−ラ台80から楔などストッ
パ−を取去り、操作盤86の操作により電動ウィンチ装
置85を作動させて、家屋1を静かに目的の場所まで滑
走させる。
【0126】これにより、家屋1は、目的の場所、例え
ば新しく基礎(図示しない)が施工されている場所に所
定の高さのまま移動する。
【0127】この目的の場所の基礎に家屋1が所定に位
置決めされたら、先に述べた持上工程とは逆の作業で行
われる下げ工程、すなわちレベルセンサ30、油圧ジャ
ッキ31、昇降制御ユニット35、油圧装置36、油圧
ポンプ37を用いた、家屋1を所定間隔毎、水平状態を
保ちつつ、徐々に下降させる制御を用いて、新しい基礎
の上部に家屋1を載せていく。むろん、この家屋1の下
降前には、レ−ル78,78およびロ−ラ台80は家屋
1の下から取外しておく。
【0128】その後、家屋1を移動先の基礎に固定し、
本工法のために取除いた腰板等を復元すれば、家屋1の
移動を終える。
【0129】かくして、家屋1を水平状態を保ちつつ移
動させるから、家屋1に負担を与えず、かつ家屋内部の
家具などの生活道具を外部に運び出さずに、家屋1を目
的の場所に移動できることとなる。
【0130】このことは、通常の生活を営みつつ、かつ
家屋1に変形および歪みが生じるのを防止つつ、家屋1
を移動させることができる。
【0131】また家屋1を水平状態にしながら持上げた
り下降させたりする離反装置50の採用により、省力化
を図りながら、家屋1を移動させることができる。
【0132】また架台受12a,12b,13a,13
bで、家屋1の持上げ時、家屋1の土台2だけでなく、
床下へ突き出ている支柱4a〜4fも支えるようにした
から、家屋1を安定した状態で基礎2から遊離させるこ
とができる。
【0133】また持上げた家屋1を昇降台55で支えた
ことで、所定高さに保持する作業などにおいて、たとえ
作業に不手際があったとしても、家屋1は不用意に動く
ことはない。
【0134】図20および図21は、この発明の他の実
施例を示す。
【0135】本実施例は、上記一実施例の変形例で、変
形、歪みなどが生じやすい建物を移動するときに適した
工法である。
【0136】すなわち、上部側が下部側に比べて重たい
建物、例えば寺院建築物などの建物は、他の建物に比
べ、持上げ時、下降時、走行時などで発生する応力に耐
えられにくく、変形したり歪むが生じたりする。
【0137】このような家屋の場合、上述した一実施例
に示した工法だけでは不十分である。
【0138】そこで、本実施例は、架台11を構成した
後、図20(a),(b)に示されるように家屋1の部
屋を構成する支柱のうち、剛性補強に効果の在る支柱
間、たとえば支柱4i〜4k間の上部に形成されていた
矩形の空間90を埋めるような補強枠91を据付ける。
【0139】この補強枠91は、例えば図22(a)に
示されるように支柱間の大きさに対応してアングル部材
92を矩形枠に組み、斜めに筋交い93を設けた剛性構
造となっている。
【0140】この補強枠91の剛性補強により、家屋1
は変形、歪みに耐えられるようになる。
【0141】つまり、家屋1は水平状態を保ちながら、
安定して移動されることになる。
【0142】そして、家屋1の移動を終えた後、図21
および図22(b)に示されるように補強枠91を埋め
るようにして同支柱間に壁材を設けて、同部分に壁94
を構成する。
【0143】つまり、移動を終えた後は、補強枠91は
壁の芯となって外部から見えないようになる。
【0144】こうした補強を上記説明した工法に加える
と、変形、歪みが受けやすいといった、どのような建物
でも、水平状態を保ちながら、安定して移動することが
できる。
【0145】むろん、支柱間が空間でなく壁がある家屋
1の場合は、その壁面に沿って上記補強枠91を設け、
家屋1の移動を終えた後、同部分に補強枠91を埋める
ように壁材を設けるようにすればよいものである。
【0146】なお、上述した実施例では高床式の家屋を
例に挙げて移動工法を説明したが、図23に示されるよ
うな基礎2に土台3が載るような家屋1でも本工法を用
いることができる。
【0147】すなわち、この場合、腰板などを取除いた
後、基礎部分に開口95を形成して、同開口95から架
台11を構成するレ−ル6a〜6g、7a,7bを挿入
して、架台11を構成するようにすればよい。
【0148】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発
明によれば、建物に負担を与えず、かつ建物内部の家具
など生活道具を外部に運び出さずに、建物を目的とする
場所に移動することができるようになる。
【0149】したがって、通常の生活が営めることが可
能な状態で、かつ変形および歪みが生じるのを防止しな
がら、建物を移動することができる。
【0150】請求項2に記載の発明によれば、省力化を
図りながら、建物を安定して水平状態のまま、持上げる
ことができる。
【0151】請求項3に記載の発明によれば、上記請求
項1の効果に加え、建物の持上げ時、建物を土台だけで
なく、床下に突き出ている柱を支えるから、建物を安定
した状態で基礎から離すことができる。
【0152】請求項4に記載の発明によれば、上記請求
項1の効果に加え、所定高さに保持する作業などにおい
て、たとえ作業に不手際があったとしても、建物が不用
意に動くことを防止できる。
【0153】請求項5に記載の発明によれば、上記請求
項1の効果に加え、建物が剛性補強により、変形、歪み
に耐えられるようになる。しかも、移動後は補強枠は壁
の一部となるから、外部から見えることはない。
【0154】請求項6に記載の発明によれば、上記請求
項1の効果に加え、変形、歪みの影響を受けやすい、ど
のような建物でも、水平状態を保ちながら、安定して移
動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の建物の移動工法を説明す
るための移動前の家屋を示す斜視図。
【図2】同実施例の架台を構成するレ−ルを挿入工程を
説明するための斜視図。
【図3】同レ−ルの挿入を終えた状態を示す斜視図。
【図4】同挿入したレ−ルに金具をセットして架台を構
成した状態を示す斜視図。
【図5】同架台にレベルセンサ、油圧ジャッキ、その
他、必要な機器を据付けた状態を示す斜視図。
【図6】同油圧ジャッキで家屋を持上げられている状態
を示す斜視図。
【図7】同所定高さまで家屋が持上げられた状態を示す
斜視図。
【図8】同持上げた家屋の下に走行用レ−ルを敷いた状
態を示す斜視図。
【図9】同走行用レ−ルを使って家屋が移動場所へ引か
れていく状態を示す斜視図。
【図10】家屋を持上げる離反装置の制御の構成を示す
ブロック図。
【図11】(a),(b)は、架台を構成するレ−ル同
志を締結するUボルトを示す平面図および正面図。
【図12】同Uボルトの分解斜視図。
【図13】(a),(b),(c)は、家屋の支柱を利
用して、架台に荷重を分散する架台受の構造を示す平面
図、正面図、側面図。
【図14】(a),(b),(c)は、異なる架台受の
構造を示す平面図、正面図、側面図。
【図15】昇降台の構造を説明するための分解斜視図。
【図16】昇降台の構造を、待機状態と共に示す正面
図。
【図17】同家屋の上昇にしたがって可動台が持上げら
れた状態を示す正面図。
【図18】同側面図。
【図19】可動台が下がるときの状態を示す正面図。
【図20】(a)は、この発明の他の実施例を適用した
剛性の点で難点のある建物内部を示す斜視図。(b)
は、同支柱間に補強枠を据付けて剛性を高めた状態の建
物内部を示す斜視図。
【図21】建物の移動後、補強枠の支柱間を壁に仕上げ
た状態を示す斜視図。
【図22】(a)は、同補強枠の構造を示す斜視図。
(b)は、同補強枠を埋混んで壁にした状態を示す斜視
図。
【図23】この発明の他の実施例の異なる架台の構成の
仕方を説明するための斜視図。
【符号の説明】
1…家屋(建物) 2…基礎 3
…土台 4a〜4f…支柱 6a〜6g,7a,7b…レ−
ル(杆状の部材) 11…架台 12a,12b,13a,13
b…架台受 30…レベルセンサ 31…油圧ジャッキ 3
5…昇降制御ユニット 36…油圧装置 37…油圧ポンプ 4
3…コントロ−ラ 46…バルブユニット 50…離反装置 5
5…昇降台 61…可動台 62…スライド脚 6
3…載プレ−ト 65…孔部 66…鎖 6
8…ロック機構 78…レ−ル 80…ロ−ラ台 8
5…電動ウィンチ 91…補強枠

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既に構築されている建物の土台の下に、
    外部から杆状の部材を挿通して、前記建物の下部に支持
    架台を構成する工程と、 前記支持架台の各部に、同支持架台を持上げるためのジ
    ャッキ装置を据付ける工程と、 前記建物の各部に、同建物の上下方向の変位を検出する
    ためのセンサを据付ける工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の上昇動作を制御して、前記土台を基礎から水平を保ち
    ながら徐々に持上げ、前記建物を基礎から離す工程と、 この建物を所定高さで保持する工程と、 この所定高さに持上がった建物の支持架台の下に、移動
    箇所へ向って延びる移動用レ−ルを敷設する工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の下降動作を制御して、前記建物を水平を保ちながら徐
    々に下降させ、前記支持架台を前記移動用レ−ルにロ−
    ラ台を介して載せる工程と、 この建物を移動用レ−ルに沿って移動させる工程とを具
    備したことを特徴とする建物の移動工法。
  2. 【請求項2】 既に構築されている建物の土台の下に外
    部から挿通され、この建物の下部に支持架台を構成する
    杆状の部材と、 この支持架台の各部に設けた、同支持架台を持上げるた
    めのジャッキ装置と、 前記建物の各部に設けた、この建物の上下方向の変位を
    検出するためのセンサと、 建物の持上げ高さを設定する設定部と、 この設定部で設定された持上げ高さと前記センサから検
    出される高さ情報にしたがって前記ジャッキ装置を駆動
    し、前記建物を水平に徐々に持ち上げる制御手段とを具
    備したことを特徴とする建物の離反装置。
  3. 【請求項3】 既に構築されている建物の土台の下に、
    この建物の柱の側方を通過するようにして、外部から杆
    状の部材を挿通し、前記建物の下部に支持架台を構成す
    る工程と、 前記建物の柱の下部部分に、同下部部分と隣合う位置の
    杆状の部材を受けるよう、同杆状の部材の上側と交差す
    るように架台受を据付ける工程と、 前記支持架台の各部に、同支持架台を持上げるためのジ
    ャッキ装置を据付ける工程と、 前記建物の各部に、同建物の上下方向の変位を検出する
    ためのセンサを据付ける工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の上昇動作を制御して、前記土台を基礎から水平を保ち
    ながら徐々に持上げ、前記建物を基礎から離す工程と、 この建物を所定高さで保持する工程と、 この所定高さに持上がった建物の支持架台の下に、移動
    箇所へ向って延びる移動用レ−ルを敷設する工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の下降動作を制御して、前記建物を水平を保ちながら徐
    々に下降させ、前記支持架台を前記移動用レ−ルにロ−
    ラ台を介して載せる工程と、 この建物を移動用レ−ルに沿って移動させる工程とを具
    備したことを特徴とする建物の移動工法。
  4. 【請求項4】 既に構築されている建物の土台の下に、
    外部から杆状の部材を挿通して、前記建物の下部に支持
    架台を構成する工程と、 前記支持架台の各部に、同支持架台を持上げるためのジ
    ャッキ装置を据付ける工程と、 前記建物の各部に、同建物の上下方向の変位を検出する
    ためのセンサを据付ける工程と、 前記支持架台の下部に、上側を前記支持架台に連結させ
    て、上方向には移動自在で下方向には移動が規制される
    昇降台を据付ける工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の上昇動作を制御して、前記土台を基礎から水平を保ち
    ながら徐々に持上げ、前記建物を基礎から離す工程と、 前記ジャッキ装置の上昇動作の停止により、前記建物を
    所定高さで保持する工程と、 この所定高さに持上がった建物の支持架台の下に、移動
    箇所へ向って延びる移動用レ−ルを敷設する工程と、 前記昇降台による規制を解除する工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の下降動作を制御して、前記建物を水平を保ちながら徐
    々に下降させ、前記支持架台を前記移動用レ−ルにロ−
    ラ台を介して載せる工程と、 この建物を移動用レ−ルに沿って移動させる工程とを具
    備したことを特徴とする建物の移動工法。
  5. 【請求項5】 既に構築されている建物の土台の下に、
    外部から杆状の部材を挿通して、前記建物の下部に支持
    架台を構成する工程と、 前記支持架台の各部に、同支持架台を持上げるためのジ
    ャッキ装置を据付ける工程と、 前記建物の各部に、同建物の上下方向の変位を検出する
    ためのセンサを据付ける工程と、 前記建物の柱間に補強枠を据付ける工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の上昇動作を制御して、前記土台を基礎から水平を保ち
    ながら徐々に持上げ、前記建物を基礎から離す工程と、 この建物を所定高さで保持する工程と、 この所定高さに持上がった建物の支持架台の下に、移動
    箇所へ向って延びる移動用レ−ルを敷設する工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の下降動作を制御して、前記建物を水平を保ちながら徐
    々に下降させ、前記支持架台を前記移動用レ−ルにロ−
    ラ台を介して載せる工程と、 この建物を移動用レ−ルに沿って移動させる工程と、 移動後、前記補強枠の埋めるように前記建物の柱間に壁
    材を設ける工程とを具備したことを特徴とする建物の移
    動工法。
  6. 【請求項6】 既に構築されている建物の土台の下に、
    この建物の柱の側方を通過するようにして、外部から杆
    状の部材を挿通し、前記建物の下部に支持架台を構成す
    る工程と、 前記建物の柱の下部部分に、同下部部分と隣合う位置の
    杆状の部材を受けるよう、同杆状の部材の上側と交差す
    るように架台受を据付ける工程と、 前記支持架台の各部に、同支持架台を持上げるためのジ
    ャッキ装置を据付ける工程と、 前記建物の各部に、同建物の上下方向の変位を検出する
    ためのセンサを据付ける工程と、 前記建物の柱間に補強枠を据付ける工程と、 前記支持架台の下部に、上側を前記支持架台に連結させ
    て、上方向には移動自在で下方向には移動が規制される
    昇降台を据付ける工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の上昇動作を制御して、前記土台を基礎から水平を保ち
    ながら徐々に持上げ、前記建物を基礎から離す工程と、 前記ジャッキ装置の上昇動作の停止により、前記建物を
    所定高さで保持する工程と、 この所定高さに持上がった建物の支持架台の下に、移動
    箇所へ向って延びる移動用レ−ルを敷設する工程と、 前記昇降台による規制を解除する工程と、 前記センサからの検出情報にしたがい前記ジャッキ装置
    の下降動作を制御して、前記建物を水平を保ちながら徐
    々に下降させ、前記支持架台を前記移動用レ−ルにロ−
    ラ台を介して載せる工程と、 この建物を移動用レ−ルに沿って移動させる工程と、 移動後、前記補強枠を埋めるように前記建物の柱間に壁
    材を設ける工程とを具備したことを特徴とする建物の移
    動工法。
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